特許第6461568号(P6461568)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6461568
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/67 20180101AFI20190121BHJP
   F21S 41/37 20180101ALI20190121BHJP
   F21S 41/64 20180101ALI20190121BHJP
   F21V 7/24 20180101ALI20190121BHJP
   F21V 9/40 20180101ALI20190121BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20190121BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20190121BHJP
【FI】
   F21S41/67
   F21S41/37
   F21S41/64
   F21V7/24
   F21V9/40 400
   F21W102:13
   F21Y115:10
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-237441(P2014-237441)
(22)【出願日】2014年11月25日
(65)【公開番号】特開2016-100251(P2016-100251A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2017年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 敬四郎
(72)【発明者】
【氏名】都甲 康夫
【審査官】 山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−176981(JP,A)
【文献】 特開2012−009435(JP,A)
【文献】 特開平10−133236(JP,A)
【文献】 特開2012−094332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00 − 45/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に光を放出する光源と、
前記光源の光軸上に、該光軸に直交する2つの仮想軸各々に対して傾いて配置されるミラー部材と、
前記光源と前記ミラー部材との間の該光源の光軸上に、該光軸に対して傾いて配置される第1の光学素子であって、光を透過する状態と反射する状態とに切り替えることができる第1の領域、および、少なくとも光を反射する状態を有する第2の領域、を含む第1の光学素子と、
を備える車両用灯具であって、
前記第1の光学素子の第1の領域は、前記光源から放出された光の一部を、相対的により離れた場所に反射することができ、
前記第1の光学素子の第2の領域は、前記光源から放出された光の一部を、相対的により近い場所に反射することができ、
前記ミラー部材は、前記光源から放出され、前記第1の光学素子の第1の領域を透過した光を、相対的により近い場所に反射することができる、
車両用灯具。
【請求項2】
前記第1の光学素子において、前記第1および第2の領域は、ともに、光を透過する状態と反射する状態とに切り替えることができる請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第1の光学素子において、前記第1の領域は、光を透過する状態と反射する状態とに切り替えることができ、前記第2の領域は、常に、光を反射する状態である請求項1記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記第1の光学素子の第1の領域は、光を透過する状態と反射する状態とにそれぞれ独立に切り替えることができる複数のサブ領域を包含している請求項2または3記載の車両用灯具。
【請求項5】
さらに、前記光源と前記第1の光学素子との間の該光源の光軸上に、該光軸に対して該第1の光学素子と異なる角度で傾いて配置される第2の光学素子であって、光を透過する状態と反射する状態とに切り替えることができる領域を有する第2の光学素子と、を備える請求項1〜4いずれか1項記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロデポジション素子を利用した車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、いわゆるエレクトロデポジション素子が開示されている。エレクトロデポジション素子は、主に、対向配置される一対の電極と、その一対の電極に挟持され、銀を含むエレクトロデポジション材料を含有する電解質層と、を有する。
【0003】
定常時(電圧無印加時)、電解質層はほぼ透明であり、エレクトロデポジション素子は透明状態となる。一対の電極間に電圧を印加すると、酸化・還元反応により、電解質層のエレクトロデポジション材料(銀)が、電極上に析出・堆積する。これにより、エレクトロデポジション素子は鏡面(高光反射)状態となる。
【0004】
特許文献2には、光学部材の機械的制御により、光出射方向ないし光照射領域を調整する車両用灯具が開示されている。また、特許文献3には、液晶素子を利用した車両用灯具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−181389号公報
【特許文献2】特開2008−120162号公報
【特許文献3】特開2005−183327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、エレクトロデポジション素子を利用した車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主な観点によれば、所定の方向に光を放出する光源と、前記光源の光軸上に、該光軸に直交する2つの仮想軸各々に対して傾いて配置されるミラー部材と、前記光源と前記ミラー部材との間の該光源の光軸上に、該光軸に対して傾いて配置される第1の光学素子であって、光を透過する状態と反射する状態とに切り替えることができる第1の領域、および、少なくとも光を反射する状態を有する第2の領域、を含む第1の光学素子と、を備える車両用灯具であって、前記第1の光学素子の第1の領域は、前記光源から放出された光の一部を、相対的により離れた場所に反射することができ、前記第1の光学素子の第2の領域は、前記光源から放出された光の一部を、相対的により近い場所に反射することができ、前記ミラー部材は、前記光源から放出され、前記第1の光学素子の第1の領域を透過した光を、相対的により近い場所に反射することができる、車両用灯具、が提供される。
【発明の効果】
【0008】
エレクトロデポジション素子を利用した車両用灯具を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1Aおよび図1B、実施例によるエレクトロデポジション素子を示す断面図および平面図である。
図2図2Aは、エレクトロデポジション素子を含む車両用灯具の基本構造を示す模式図であり、図2Bは、エレクトロデポジション素子等の設置状態を示す模式図である。
図3図3Aおよび図3Bは、車両用灯具の配光状態であって、正面方向におけるロービーム配光およびハイビーム配光を示す模式図である。
図4-1】および、
図4-2】図4Aは、2つのエレクトロデポジション素子を含む車両用灯具の基本構造を示す模式図であり、図4Bは、エレクトロデポジション素子等の設置状態を示す模式図であり、図4Cは、当該車両用灯具の配光状態であって、左側方向におけるロービーム配光を示す模式図である。
図5図5Aは、2つのエレクトロデポジション素子を含む車両用灯具の基本構造を示す模式図であり、図5Bは、当該車両用灯具の配光状態であって、右側方向におけるロービーム配光を示す模式図である。
図6-1】、
図6-2】および、
図6-3】図6A図6Cは、実施例による車両用灯具を用いたヘッドライトの配光状態を示す模式図である。
図7-1】および、
図7-2】図7Aは、変形例によるエレクトロデポジション素子を示す平面図であり、図7Bは、当該エレクトロデポジション素子を含む車両用灯具を用いたヘッドライトの配光状態を示す模式図である。
図8図8Aおよび図8Bは、他の変形例によるエレクトロデポジション素子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1Aおよび図1Bは、実施例による車両用灯具に用いられるエレクトロデポジション素子(ED素子)90を示す断面図および平面図である。以下、主に図1Aを参照しながら、ED素子90の製造方法について説明する。
【0011】
最初に、ベース基板の表面に電極が形成された透明基板を2枚準備する。必要に応じて、ベース基板表面の電極を、エッチング法やレーザアブレーション法などにより、所望の平面形状にパターニングしておく。
【0012】
ベース基板には、透光性を有する基板が用いられ、青板ガラスなどのプレート基板や、ポリカーボネートなどにより構成されるフィルム基板などを用いることができる。また、電極には、主に、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)など、導電性および透光性を有する部材を用いることができる。
【0013】
2枚準備した透明基板のうち、一方の基板を下側基板10に設定し、他方の基板を上側基板20に設定する。下側基板10におけるベース基板および電極を、それぞれ下側ベース基板11および下側電極12(12a,12b)と呼ぶこととする。また、上側基板20におけるベース基板および電極を、それぞれ上側ベース基板21および上側電極22(22a,22b)と呼ぶこととする。
【0014】
次に、下側または上側基板10,20(下側または上側電極12,22表面)、たとえば下側基板10に、シール枠部材40を形成する。シール枠部材40は、たとえば、矩形枠状の全体的平面形状を有し、紫外線硬化性樹脂により構成される。なお、シール枠部材40は、熱硬化性樹脂により構成されていてもかまわない。
【0015】
続いて、下側または上側基板10,20(下側または上側電極12,22表面)、たとえば上側基板20に、粒径が数十μm〜数百μm、たとえば500μmであるギャップコントロール剤を散布する。ギャップコントロール剤の密度は、たとえば1〜3個/mm程度である。なお、ギャップコントロール剤を散布するかわりに、柱状の突起体を形成してもかまわない。また、ギャップコントロール剤は、シール枠部材40が形成された基板、つまり下側基板10に散布してもかまわない。
【0016】
次に、下側基板10(下側電極12表面)のシール枠部材40内側に、銀を含むエレクトロデポジション(ED)材料を含有する電解液(電解質層)50を滴下する。そして、下側および上側電極12,22が相対するように、上側基板20を、電解液50を滴下した下側基板10に貼合する。その後、シール枠部材40に紫外線を照射して、シール枠部材40を硬化させる。これにより、電解液50は、下側および上側基板10,20、ならびに、シール枠部材40により囲まれる空間内に充填される。
【0017】
電解液(電解質層)50は、たとえば、ED材料(AgNO等)、電解質(TBABr等)、メディエータ(CuCl等)、電解質の浄化剤(LiBr等)、溶媒(DMSO:dimethyL―suLfoxide 等)などにより構成される。なお、さらにゲル化用ポリマ(PVB:poLyvinyL―butyraL等)などを添加して、ゲル状(ゼリー状)にしてもよい。実施例においては、溶媒であるDMSO中に、ED材料としてAgNOを50mM、支持電解質としてLiBrを250mM、メディエータとしてCuClを10mM、ゲル化用ポリマとして10wt%のPVBを添加したものを用いた。
【0018】
ED材料は、AgNO以外にも、たとえば銀を含むAgClOやAgBrなどを用いることができる。ここで、ED材料とは、下側ないし上側電極12,22表面において、酸化還元反応などにより、その一部が析出・堆積、または、消失する材料をいう。
【0019】
支持電解質は、ED材料の酸化還元反応等を促進するものであれば限定されない。たとえば、リチウム塩(LiCl、LiBr、LiI、LiBF、LiClO等)、カリウム塩(KCl、KBr、KI等)、ナトリウム塩(NaCl、NaBr、NaI等)を好適に用いることができる。
【0020】
メディエータは、銅を含むCuCl以外にも、たとえば銅を含むCuSOやCuBrなどを用いることができる。ここで、メディエータとは、銀よりも電気化学的に低いエネルギで酸化・還元する材料をいう。
【0021】
溶媒は、ED材料等を安定的に保持することができるものであれば限定されない。たとえば、水や炭酸プロピレン等の極性溶媒、極性のない有機溶媒、更にはイオン性液体、イオン導電性高分子、高分子電解質等を用いることができる。具体的には、DMSOの他、炭酸プロピレン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ポリビニル硫酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸等を好適に用いることができる。
【0022】
なお、電解液の滴下は、ディスペンサやインクジェットヘッドなどを用いて行うことができる。また、下側および上側基板10,20の貼合は、大気中、真空中ないし窒素雰囲気中で行うことができる。
【0023】
以上により、ED素子90が完成する。以下、ED素子90の基本的な機能を説明する。
【0024】
定常時(電圧無印加時)、電解質層50は概ね透明であり、ED素子90は透明状態を実現する。ただし、実際には、若干黄みを帯びて見える場合がある。これは、メディエータ(CuCl)の影響だと考えらえる。このような若干の着色は、下側および上側基板10,20の間隔(ED素子90の厚み)を狭く(薄く)することにより改善される。
【0025】
たとえば、下側電極12の電位を基準としたときに、上側電極22に正の直流電位(2.5V程度で数十秒間)を印加した場合(つまり、下側電極12に負の直流電圧を印加した場合)、下側電極12表面において、電解質層50中の銀イオン(ED材料)が還元され、銀薄膜(高反射膜)が析出する。これにより、ED素子90は鏡面状態を実現する。なお、下側電極12の電位を基準としたときに、上側電極22に負の直流電位を印加した場合(つまり、上側電極22に負の直流電圧を印加した場合)には、上側電極22表面に銀薄膜(高反射膜)が析出する。
【0026】
下側および上側電極12,22への電圧印加を停止すると、下側電極12表面に析出した銀(薄膜)は、電解質層50中に銀イオンとして溶解し、下側電極12表面から消失する。これによりED素子90は再度透明状態を実現する。
【0027】
図1Bに示すように、下側および上側電極12,22各々は、たとえば2つの光学特性(光透過/光反射)切替領域に区分されている。つまり、下側電極12は、第1および第2の下側電極12a,12bを含み、上側電極22は、第1および第2の上側電極22a,22bを含む。なお、下側電極12または上側電極22のどちらか一方は、ベタ電極(ベース基板全面に形成される電極)であってもかまわない。
【0028】
第1の下側電極12aと第1の上側電極22aとが相対して形成されており、相互に重なり合う領域がED素子90の第1の領域30aを画定する。第1の下側電極12aと第1の上側電極22aとの間に電圧を印加することにより、ED素子90の第1の領域30aが鏡面状態となる。なお、第1の下側電極12aと第1の上側電極22aとの間に電圧が印加されていないときは、ED素子90の第1の領域30aは透明状態になっている。
【0029】
また、第2の下側電極12bと第2の上側電極22bとが相対して形成されており、相互に重なり合う領域がED素子90の第2の領域30bを画定する。第2の下側電極12bと第2の上側電極22bとの間に電圧を印加することにより、ED素子90の第2の領域30bが鏡面状態となる。なお、第2の下側電極12bと第2の上側電極22bとの間に電圧が印加されていないときは、ED素子90の第2の領域30bは透明状態になっている。
【0030】
第1および第2の領域30a,30b各々の平面サイズは、横方向(図中、左右方向)が40mm程度であり、縦方向(図中、上下方向)が25mm程度である。また、それらの間隔は0.1mm程度である。
【0031】
以下、ED素子を用いた車両用灯具、具体的には前照灯(ヘッドライト)の構造や基本的な機能等について説明する。ここで、便宜的に、XYZ直交座標系を定義する。X軸およびY軸が水平面を構成し、Z軸が垂直(高さ)方向を示すものとする。以下では、Y軸正方向を前方ないし正面方向、Y軸負方向を後方ないし背面方向、X軸正方向を右方向、X軸負方向を左方向、と呼ぶことがある。また、Z軸正方向を上方、Z軸負方向を下方、と呼ぶことがある。
【0032】
図2Aは、第1の実施例による車両用灯具100の構造を示す模式図(XY平面)である。車両用灯具100は、主に、ED素子90、光源101およびミラー部材(鏡)102から構成される。なお、ED素子90は、図1Aおよび図1Bに示すED素子の構造と同様の構造を有する。
【0033】
光源101は、たとえば半導体発光素子(LED)を含み、X軸正方向に、可視光(白色光)を出射する。なお、光源101の光軸上の、たとえば光源101の近傍に、投影レンズ103等の光学部材を設けてもよい。このような光学部材には、たとえば、光源101からの光を平行光にするコリメートレンズなどを用いることができる。
【0034】
ミラー部材102は、光源101の光軸上に、当該光軸に対して傾いて配置される。たとえば、光源101から出射された光を、概ねY軸正方向に反射する。
【0035】
ED素子90は、光源101とミラー部材102との間であって光源101の光軸上に、当該光軸に対して傾いて配置される。たとえば、鏡面状態において、光源101から出射された光を、概ねY軸正方向に反射する。
【0036】
ED素子90、光源101およびミラー部材102は、たとえばハウジング機構104内に収容されている。光源101から出射され、ED素子90ないしミラー部材102により反射された光が、ハウジング機構104の外部に放出されるように、ハウジング機構104の光放出部104aは、たとえば透光性樹脂部材により構成されている。
【0037】
なお、車両用灯具100を構成する部材はこれらに限られない。必要に応じて、更なる光学部材を設けてもよい。たとえば、ハウジング機構104の光放出部104aの外側に、投影レンズ105などの光学部材を設けてもよい。投影レンズ105は、ED素子90およびミラー部材102の光反射パターンを反転して、Y軸正方向(前方)に投影する。投影レンズ105を設ける場合は、ED素子90およびミラー部材102をZ軸方向(上下方向)に反転して配置する。
【0038】
図2Bは、ED素子90およびミラー部材102の設置状態を示す模式図(XZ平面)である。
【0039】
ED素子90は、第1および第2の領域30a,30bがZ軸方向に並ぶように配置されている。たとえば、第1の領域30aがZ軸正方向側に、第2の領域30bがZ軸負方向側に、配置されている。
【0040】
また、ED素子90は、鏡面状態において、X軸正方向に進行する光をY軸正方向(正面方向)に反射するように配置されている。そして、ミラー部材102は、X軸正方向に進行する光を、Y軸正方向(正面方向)であって、ややZ軸負方向側(下方側)に反射するように配置されている。
【0041】
図3Aおよび図3Bは、車両用灯具100の配光制御の様子を示す模式図(XY平面)である。車両用灯具100から放出される光は、XY面(水平面)に平行な路面上を照射する。以下、図2Aおよび図2Bも併せて参照しながら、車両用灯具100の基本的な機能について説明する。
【0042】
図3Aに、車両用灯具100において、ED素子90の第2の領域30bを鏡面状態にしたときの配光状態を示す。すなわち、ED素子90の電極12b,22bとの間に電圧を印加したときの配光状態を示す(図1Aおよび図1B参照)。
【0043】
光源101から出射された光の一部は、透明状態であるED素子90の第1の領域30aを透過し、ミラー部材102により反射され、ハウジング機構104(光放出部104a)から放出される。ミラー部材102により反射された光は、Y軸正方向(正面方向)であってややZ軸負方向側(下方側)に進行し、路面上の車両用灯具100に比較的近い領域Amを照射する。
【0044】
また、光源101から出射された光の一部は、鏡面状態であるED素子90の第2の領域30bにより反射され、ハウジング機構104(光放出部104a)から放出される。ED素子90の第2の領域30bにより反射された光は、Y軸正方向(正面方向)に進行する。このとき、ED素子90の第2の領域30bは、比較的低い位置に、つまりED素子90においてZ軸負方向側に設けられているため、ED素子90の第2の領域30bにより反射された光は、路面上の車両用灯具100に比較的近い領域Aef2にまでしか到達しない。
【0045】
透明状態であるED素子90の第1の領域30aを透過し、ミラー部材102により反射された光、および、鏡面状態であるED素子90の第2の領域30bにより反射された光は、ともに、車両用灯具100に比較的近い場所を照射する。このため、車両用灯具100は、比較的近い場所をより明るく光照射することができる。このような配光状態は、一般に、ロービーム状態と呼ばれる。ここでは、便宜的に、このような配光状態を、正面方向におけるロービーム配光と呼ぶこととする。
【0046】
図3Bに、車両用灯具100において、ED素子90の第1および第2の領域30a,30bをともに鏡面状態にしたときの配光状態を示す。すなわち、ED素子の電極12(電極12a,12b)と電極22(電極22a,22b)との間にそれぞれ電圧を印加したときの配光状態を示す(図1Aおよび図1B参照)。ED素子90は、全体としてミラー部材(鏡)として機能している。
【0047】
光源101から出射された光は、全体として鏡面状態であるED素子90により反射され、ハウジング機構104(光放出部104a)から放出される。ED素子90により反射された光は、Y軸正方向(正面方向)に進行する。
【0048】
このとき、ED素子90の第1の領域30aは、比較的高い位置に、つまりED素子90においてZ軸正方向側に設けられているため、ED素子90の第1の領域30aにより反射された光は、路面上の車両用灯具100から比較的遠い領域Aef1にまで到達する。また、ED素子90の第2の領域30bは、比較的低い位置に、つまりED素子90においてZ軸負方向側に設けられているため、ED素子90の第2の領域30bにより反射された光は、路面上の車両用灯具100に比較的近い領域Aef2にまでしか到達しない。
【0049】
ED素子90により反射された光は、全体として、車両用灯具100に近い領域から遠い領域までの広い領域Aefを照射する。このため、車両用灯具100は、より遠方の場所まで明るく光照射することができる。このような配光状態は、一般に、ハイビーム状態と呼ばれる。ここでは、便宜的に、このような配光状態を、正面方向におけるハイビーム配光と呼ぶこととする。
【0050】
以上のように、車両用灯具にED素子を用いることにより、光学部材を機械的に制御することなく、電気的な制御のみで、正面方向におけるロービーム配光およびハイビーム配光を切り替えることができる。このため、車両用灯具の軽量化・小型化や信頼性の向上などに貢献することができるであろう。
【0051】
図4Aは、第2の実施例による車両用灯具の構造を示す模式図(XY平面)である。当該車両用灯具200Lは、主に、第1および第2のED素子91L・92L、光源201Lおよびミラー部材202Lから構成される。
【0052】
車両用灯具200Lは、第2のED素子92Lを除いて、基本的に、第1の実施例による車両用灯具100と同様の構造を有する。つまり、光源201Lおよびミラー部材202Lに加え、投影レンズ203Lおよびハウジング機構204L(光放出部204La)が、それぞれ第1の実施例による車両用灯具100の光源101、ミラー部材102、投影レンズ103およびハウジング機構104(光放出部104a)に対応する。また、第1のED素子91Lが、第1の実施例による車両用灯具100のED素子90に対応する。
【0053】
第2のED素子92Lは、図1に示すED素子90と同様の構造を有し、光源201Lと第1のED素子91Lとの間であって光源201Lの光軸上に、当該光軸に対して傾いて配置される。第2のED素子92Lは、光源201Lの光軸に対して、第1のED素子91Lよりも鋭い角度で傾いている。
【0054】
図4Bは、特に第2のED素子92Lの設置状態を示す模式図(XZ平面)である。第2のED素子92Lも、第1のED素子91Lと同様に、第1および第2の領域30a,30bがZ軸方向に並ぶように配置されている。つまり、第1の領域30aがZ軸正方向側に、第2の領域30bがZ軸負方向側に、配置されている。
【0055】
第2のED素子92Lは、光源201Lの光軸に対して、第1のED素子91Lよりも鋭い角度で配置されている。第2のED素子92Lは、鏡面状態において、X軸正方向に進行する光をY軸正方向(正面方向)よりもややX軸負方向側(左側)に反射するように配置されている。
【0056】
図4Cは、車両用灯具200Lの配光制御の様子を示す模式図(XY平面)である。車両用灯具200Lから放出される光は、XY面(水平面)に平行な路面上を照射する。以下、図4Aおよび図4Bも併せて参照しながら、車両用灯具200Lの基本的な機能について説明する。
【0057】
車両用灯具200Lにおいて、第2のED素子92Lが全体として透明状態であるときは、第1の実施例による車両用灯具100と同様に機能する。つまり、第1のED素子91Lにおいて、第1の領域が透明状態であり、第2の領域が鏡面状態である場合に、正面方向におけるロービーム配光を実現し、第1および第2の領域がともに鏡面状態である場合に、正面方向におけるハイビーム配光を実現する。
【0058】
第1のED素子91Lの第1の領域が透明状態であり、第2の領域が鏡面状態であるときに、第2のED素子92Lの第2の領域を鏡面状態にする場合を想定する。このとき、光源201Lから出射された光の一部は、鏡面状態である第2のED素子92Lの第2の領域により反射され、ハウジング機構204L(光放出部204La)から放出される。図4Cに示すように、第2のED素子92Lの第2の領域により反射された光は、Y軸正方向(正面方向)からX軸負方向側(左側)に進行し、路面上の車両用灯具200Lに比較的近い領域Ael2を照射する。
【0059】
なお、光源201Lから出射された光の一部は、透明状態である第2のED素子92Lの第1の領域および第1のED素子91Lの第1の領域を透過し、ミラー部材202Lにより反射され、ハウジング機構204L(光放出部204La)から放出される。ミラー部材202Lにより反射された光は、Y軸正方向(正面方向)であってややZ軸負方向側(下方側)に進行し、路面上の車両用灯具200Lに比較的近い領域Amを照射する。
【0060】
ミラー部材202Lにより反射された光、および、鏡面状態である第2のED素子92Lの第2の領域により反射された光は、全体として、車両用灯具200Lの前方左側であって比較的近い場所を照射する。このように、車両用灯具200Lは、ロービーム状態において、配光方向を正面方向から左側方向に切り替えることができる。なお、便宜的に、このような配光状態を、左側方向におけるロービーム配光と呼ぶこととする。
【0061】
第1のED素子91Lの第1の領域が透明状態であり、第2の領域が鏡面状態であるときに、第2のED素子92Lの第1および第2の領域をともに鏡面状態にする場合を想定する。このとき、光源201Lから出射された光は、全体として鏡面状態である第2のED素子92Lにより反射され、ハウジング機構204L(光放出部204La)から放出される。第2のED素子92Lにより反射された光は、Y軸正方向(正面方向)からX軸負方向側(左側)に進行し、路面上の車両用灯具200Lに近い領域から遠い領域までの広い領域を照射する。
【0062】
全体として鏡面状態である第2のED素子92Lにより反射された光は、車両用灯具200Lの前方左側であって比較的離れた場所を照射する。このように、車両用灯具200Lは、ハイビーム状態において、配光方向を正面方向から左側方向に切り替えることができる。なお、便宜的に、このような配光状態を、左側方向におけるハイビーム配光と呼ぶこととする。
【0063】
以上のように、車両用灯具に2つのED素子を用いることにより、配光方向を正面方向と正面方向から左側の方向とに切り替えることができる。なお、ED素子は、3つ以上用いてもかまわない。光源の光軸に対する傾き角度が相互に異なる3つ以上のED素子を用いることにより、さらに多方向に配光方向を切り替えることができるであろう。
【0064】
図5Aは、第2の実施例による車両用灯具の変形例を示す模式図(XY平面)である。当該車両用灯具200Rは、車両用灯具200Lの各構成部材を、YZ面を対称面として反転するように配置した構造を有する。
【0065】
車両用灯具200Rは、基本的に、車両用灯具200Lと同様の構成部材を有し、第1および第2のED素子91R・92R、光源201R、ミラー部材202R、投影レンズ203Rおよびハウジング機構204R(光放出部204Ra)を有する。車両用灯具200Rでは、図5Aに示すように、X軸正方向に向かって、ミラー部材202R、第1および第2のED素子91R,92R、光源201Rが並んで配置されている。光源201Rは、X軸負方向に、可視光(白色光)を出射する。
【0066】
ミラー部材202Rは、光源201Rの光軸上に、当該光軸に対して傾いて配置される。たとえば、光源201Rから出射された光を、Y軸正方向(正面方向)であって、ややZ軸負方向側(下方側)に反射する。
【0067】
第1のED素子91Rは、光源201Rとミラー部材202Rとの間であって光源201Rの光軸上に、当該光軸に対して傾いて配置される。たとえば、鏡面状態において、光源201Rから出射された光を、概ねY軸正方向(正面方向)に反射する。第1のED素子91Rにおいて、第1の領域がZ軸正方向側に、第2の領域がZ軸負方向側に、配置されている。
【0068】
第2のED素子92Rは、光源201Rと第1のED素子91Rとの間であって光源201Rの光軸上に、当該光軸に対して傾いて配置される。たとえば、鏡面状態において、光源201Rから出射された光を、Y軸正方向(正面方向)よりもややX軸正方向側(右側)に反射する。第2のED素子92Rにおいて、第1の領域がZ軸正方向側に、第2の領域がZ軸負方向側に、配置されている。
【0069】
図5Bは、車両用灯具200Rの配光制御の様子を示す模式図(XY平面)である。車両用灯具200Rは、基本的に、車両用灯具200Lと同様に機能する。
【0070】
第2のED素子92Rが全体として透明状態である場合を想定する。このとき、第1のED素子91Rにおいて、第1の領域が透明状態であり、第2の領域が鏡面状態である場合に、車両用灯具200Rは、正面方向におけるロービーム配光を実現する。また、第1および第2の領域がともに鏡面状態である場合に、車両用灯具200Rは、正面方向におけるハイビーム配光を実現する。
【0071】
第1のED素子91Rの第1の領域が透明状態であり、第2の領域が鏡面状態であるときに、第2のED素子92Rの第2の領域を鏡面状態にする場合を想定する。このとき、図5Bに示すように、ミラー部材202Rにより反射された光、および、鏡面状態である第2のED素子92Rの第2の領域により反射された光は、全体として、車両用灯具200Rの前方右側であって比較的近い場所(ミラー部材202Rの反射による光照射領域Amおよび第2のED素子92Rの第2の領域の反射による光照射領域Aer2)を照射する。このように、車両用灯具200Rは、ロービーム状態において、配光方向を正面方向から右側方向に切り替えることができる。なお、便宜的に、このような配光状態を、右側方向におけるロービーム配光と呼ぶこととする。
【0072】
第1のED素子91Rの第1の領域が透明状態であり、第2の領域が鏡面状態であるときに、第2のED素子92Rの第1および第2の領域をともに鏡面状態にする場合を想定する。このとき、全体として鏡面状態である第2のED素子92Rにより反射された光は、車両用灯具200Rの前方右側であって比較的離れた場所を照射する。このように、車両用灯具200Rは、ハイビーム状態において、配光方向を正面方向から右側方向に切り替えることができる。なお、便宜的に、このような配光状態を、右側方向におけるハイビーム配光と呼ぶこととする。
【0073】
図6A図6Cは、車両用灯具200L,200Rを含むヘッドライト(前照灯)の配光制御の様子を示す模式図(XY平面)である。図4Aおよび図5Aに示すような車両用灯具200L,200Rを組み合わせることにより、正面方向、ならびに、正面方向から左側および右側に光を放出するヘッドライト(前照灯)を構成することができる。車両用灯具200L,200Rは、車両Cの前方であって、それぞれ左側および右側に取り付けられる。
【0074】
以下では、図4Aおよび図5Aも併せて参照しながら、車両用灯具200L,200Rを含むヘッドライトの基本的な機能について説明する。なお、車両用灯具200L,200Rを、改めて、左側前照灯200Lおよび右側前照灯200Rと呼ぶこととする。
【0075】
図6Aに示すように、左側および右側前照灯200L,200Rをともに、正面方向におけるロービーム配光とすると、車両Cに比較的近い場所をより明るく光照射することができる。このような配光状態により、車両Cの運転手は、前方を走行する他の車両の運転手が眩しくならないようにしながら、良好な視界で運転をすることができる。
【0076】
なお、図中では、左側および右側前照灯200L,200R各々において、ミラー部材202L,202Rの反射により光照射される領域を、領域Amとして示している。また、第1のED素子91L,91R(ともに第2の領域)の反射により光照射される領域を、領域Aef2として示している。
【0077】
図6Bに示すように、左側および右側前照灯200L,200Rをともに、正面方向におけるハイビーム配光とすると、車両Cから比較的離れた場所を光照射することができる。このような配光状態により、車両Cの運転手は、前走車ないし対向車がいない場合などに、より遠方を望みながら、良好な視界で運転をすることができる。なお、左側および右側前照灯200L,200R各々において、第1のED素子91L,91R(ともに第1および第2の領域)の反射により光照射される領域を、領域Aefとして示している。
【0078】
図6Cに示すように、左側前照灯200Lを左側方向におけるロービーム配光とし、右側前照灯200Rを正面方向におけるロービーム配光とすると、車両Cに比較的近い場所であって正面および正面から左側の場所を光照射することができる。このような配光状態により、車両Cの運転手は、左折する場合などに、進行方向の安全を確認しながら、良好な視界で運転をすることができる。
【0079】
なお、図中では、左側および右側前照灯200L,200R各々において、ミラー部材202L,202Rの反射により光照射される領域を、領域Amとして示している。また、左側前照灯200Lにおいて第2のED素子92L(第2の領域)の反射により光照射される領域を領域Ael2として示し、右側前照灯200Rにおいて第1のED素子91R(第2の領域)の反射により光照射される領域を領域Aef2として示している。
【0080】
以上のような配光状態に加えて、左側および右側前照灯200L,200Rを制御することにより、より遠方の場所や正面から右側の場所など、種々の場所を光照射することができる。このような配光制御方法は、一般にAFS(アダプティブ・フロントライティング・システム)と呼ばれる。
【0081】
なお、ED素子の第1および第2の領域の形状は、図1Bに示す形状に限られず、他の形状にしてもよい。たとえば、第1および第2の領域を、さらに複数のサブ領域に分割してもかまわないし、それぞれ異なる形状にしてもかまわない。
【0082】
図7Aは、ED素子90の第1の変形例であるED素子93を示す平面図である。第1の変形例であるED素子93は、ED素子90において、第1の領域30aをさらに複数のサブ領域31a〜31dに分割した構造を有する。つまり、第1の領域を画定する電極12a,22a(図1A参照)が、それぞれ相互に離隔する複数のパターンに区分されている。
【0083】
サブ領域31a〜31dは、それぞれ独立に透明状態および鏡面状態を切り替えることができる。左側および右側前照灯200L,200Rには、このようなED素子93を採用してもかまわない。
【0084】
図7Bは、変形例によるED素子93を用いたヘッドライト(前照灯300L,300R)の配光制御の様子を示す模式図(XY平面)である。前照灯300L,300Rは、前照灯200L,200Rにおいて、第1および第2のED素子(図4Aおよび図5A参照)が全て変形例によるED素子93に代替された構造を有する。初期状態において、左側および右側前照灯300L,300R各々は、正面方向におけるロービーム配光となっているものとする。
【0085】
この状態において、左側前照灯300Lの第2のED素子(より光源の近くに配置されるED素子93)のサブ領域31a〜31d各々を鏡面状態にすると、正面方向から左側の方向であってより遠方の領域Aela〜Aeld各々を光照射することができる。また、左側前照灯300Lの第1のED素(第2のED素子とミラー部材との間に配置されるED素子93)のサブ領域31a〜31d各々を鏡面状態にすると、正面方向のより遠方の領域Aefa〜Aefd各々を光照射することができる。
【0086】
さらに、右側前照灯300Rの第2のED素子(より光源の近くに配置されるED素子93)のサブ領域31a〜31d各々を鏡面状態にすると、正面方向から右側の方向であってより遠方の領域Aerd〜Aera各々を光照射することができる。また、右側前照灯300Rの第1のED素子(第2のED素子とミラー部材との間に配置されるED素子93)のサブ領域31a〜31d各々を鏡面状態にすると、正面方向のより遠方の領域Aefd〜Aefa各々を光照射することができる。
【0087】
このように、第1の領域が細分化されたED素子を用いることにより、遠方の場所をより特定的に光照射することができる。たとえば、前走車を避けつつより遠方の領域を光照射する(領域Aefaおよび領域Aefdを光照射する)ことにより、車両Cの運転手は、前走車の運転手が眩しくならないようにしながら、より良好な視界で運転をすることができる。また、両端の領域のみ光照射する(領域Aelaおよび領域Aerdを光照射する)ことにより、車両Cの運転手は、歩行者等の飛び出しに特に注意しながら運転をすることができる。このような配光制御方法は、一般にADB(アダプティブ・ドライビング・ビーム)と呼ばれる。
【0088】
図8Aは、ED素子90の第2の変形例であるED素子94を示す平面図である。ED素子94において、第2の領域30bは、一端側において、第1の領域30aに張り出すような形状を有している。また、第1の領域30aは、第2の領域30bの形状に対応して、一端側において、引っ込むような形状を有している。このようなED素子94を前照灯に用いることにより、ロービーム配光における光照射領域をカットオフ形状にすることができる。なお、第2の変形例のED素子94であっても、図7Aに示すように、第1の領域30aを複数のサブ領域に分割してもかまわない。
【0089】
図8Bは、ED素子90の第3の変形例であるED素子95を示す平面図である。フェールセーフの観点から、前照灯200L,200R(図4Aおよび図5B参照)において、第1のED素子の第2の領域は、常に鏡面状態であることが好ましい。このため、前照灯200L,200Rの第1のED素子には、第2の領域30bに対応する領域に、別途、AgやAlなどの光反射性を有する部材35を設けたED素子95を用いてもかまわない。または、電極12b,22b(図1Aおよび図1B参照)に、透光性を有する部材(ITO等)ではなく、光反射性を有する部材(Ag,Al等)を用いたED素子を用いてもよい。なお、第3の変形例のED素子95であっても、図7Aに示すように、第1の領域30aを複数のサブ領域に分割してもかまわない。
【0090】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。たとえば、第1の実施例による車両用灯具(図2A)を用いて前照灯(ヘッドライト)を構成してもかまわない。つまり、図2Aに示す車両用灯具100を左側前照灯とし、車両用灯具100の構成を左右反転させた車両用灯具を右側前照灯とするヘッドライトを構成してもかまわない。また、必要に応じて、更なる光学部材を設けてもかまわない。その他、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【符号の説明】
【0091】
10…下側基板、11…下側ベース基板、12…下側電極、20…上側基板、21…上側ベース基板、22…上側電極、30…光学特性切替領域、40…シール枠部材、50…電解質層(電解液)、90…ED素子、100,200,300…車両用灯具(前照灯ないしヘッドライト)、101,201…光源、102,202…ミラー部材(鏡)、103,203…投影レンズ、104,204…ハウジング。
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図5
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図7-1】
図7-2】
図8