(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1反射面は前記発光素子から出射される全光束のうち約30%の光束が出射される立体角に対応する領域に形成され、前記第2反射面は前記発光素子から出射される全光束のうち約10%の光束が出射される立体角に対応する領域に形成され、前記第3反射面は前記発光素子から出射される全光束のうち約20%の光束が出射される立体角に対応する領域に形成されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の照明装置。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の照明装置としては、例えば、特許文献1に「電球形ランプ」として
図8に示す構造のものが開示されている。
【0003】
それは、ヒートパイプ80の一端部の先端に多面体形の支持体81が取り付けられ、支持体81の表面(周面の6面及び上面の1面)に放熱シートを介して発光モジュール83が取り付けられている。発光モジュール83は、基板84と基板84に実装された半導体発光素子(LED素子)85を備えている。そして、光拡散性を有するドーム状のグローブ86が、支持体81及び発光モジュール83からなる発光体87を覆うように形成されている。このような構造の電球形ランプ88は、白熱電球に近い配光特性を得ることができる、とされている。
【0004】
また、特許文献2には、
図9(a)に示す光学系を備えた「LEDバルブ」として開示されている。
【0005】
それは、LED発光体素子90の光照射方向前方に反射部材91を配設した構成からなり、反射部材91はLED発光体素子90の発光面92に対向する反射面95を備えており、該反射面95は頂部93をLED発光体素子90の発光面92側に向けると共に側面を中心軸96側に凹状に湾曲した湾曲面とする湾曲円錐状反射面94からなっている。
【0006】
これにより、LED発光体素子90からの出射光は、反射部材91の湾曲円錐状反射面94によって光照射方向の側方及び斜め後方に向けて放射状に反射される。このとき湾曲円錐状反射面94は反射光を出射光とする疑似光源(E)を形成し、疑似光源(E)の出射光(湾曲円錐状反射面94の反射光(F))は、フィラメントを有するハロゲンバルブを光源としたときの光の出射方向と略同一となり、且つ疑似光源(E)の形成位置及び発光領域の大きさはハロゲンバルブの配置位置及び大きさと略同一とすることが可能である、とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献1で開示された電球形ランプ88は、光学系において点光源とみなすことができるLED素子85が支持体81に対して点在して配置されている。そのため、1点を焦点とする光学系においては、焦点位置にある1つのLED素子以外のいずれのLED素子もその出射光を配光制御することはできない。
【0009】
一方、上記特許文献2のLEDバルブは、疑似光源(E)からの出射光、つまり湾曲円錐状反射面94による反射光(D)が
図9(b)に示すように、湾曲円錐状反射面94を投影して内側に凹んだ一対の脚を有する湾曲台形状の配光パターン97を形成する。そのため、疑似光源(E)からの出射光は、一定の径でコイル状に巻回されたフィラメントからの出射光とは異なる配光パターンを形成する。
【0010】
換言すると、疑似光源(E)は配光特性に関しては、巻径を徐々に変えて湾曲円錐状に巻回したコイル状のフィラメント(F)からなる光源に相当するものである。そのため、疑似光源(E)を灯具内に配設した場合、疑似光源(E)からの出射光のうち疑似光源(E)の、フィラメントの大径で巻回された部分に対応する位置からの出射光は、灯具の配光制御系によって広がる方向に配光制御され、フィラメントの小径で巻回された部分に対応する位置からの出射光は、集光する方向に配光制御される。
【0011】
その結果、疑似光源(E)を配設した灯具は、一定の径でコイル状に巻回されたフィラメントからなる発光源を配設した本来の灯具による配光特性と同等な配光特性を得ることは難しい。
【0012】
また、疑似光源(E)となる湾曲円錐状反射面95を備えた反射部材91は、該反射部材91を支持する支柱が必要であり、該支柱は灯具内の限られたスペースにおいては反射部材91の近傍に配置する必要があり、そのため、疑似光源(E)からの出射光を遮って影を形成する要因となる。
【0013】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて創案なされたもので、その目的とするところは、従来のコイル状フィラメントを発光源とする電球と近似した配光特性を有することにより該電球と置き換えが可能な、LED素子を発光源とする照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載された発明は、発光素子と、前記発光素子の前方に配置された反射部材と、を有し、前記反射部材は、前方に向かって凹んだ凹反射面からなる第1反射面を備え、前記第1反射面は、前記発光素子の近傍に位置する第1の焦点と、前記発光素子の光軸上かつ、前記反射部材と前記第1の焦点の間に位置する第2の焦点と、を有し、前記発光素子からの出射光は、前記第1反射面で反射され一旦前記第2の焦点の位置に収束した後に、後方へと発散しながら進
み、前記反射部材は、さらに、前記光軸と前記反射部材との交点を頂点として前記発光素子側に拡径した略円錐面形状にて構成された第2反射面を備え、前記第2反射面は、前記第1反射面よりも前記頂点側に形成されているとともに、前記第1反射面よりも後方側に突出した凸反射面となっていることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の請求項2に記載された発明は、請求項1において、
前記反射部材は、前記発光素子の照射方向に向かって前記光軸から離れる方向に直線状に傾斜した略逆円錐面形状を呈する第3反射面を備え、前記第3反射面は、前記第1反射面よりも前記反射部材の外径側に形成されていることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の請求項3に記載された発明は、請求項2において、
前記発光素子の側方及び斜め側方を覆うようにシェードが設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の請求項4に記載された発明は、
請求項2又は請求項3において、
前記第1反射面は前記発光素子から出射される全光束のうち約30%の光束が出射される立体角に対応する領域に形成され、前記第2反射面は前記発光素子から出射される全光束のうち約10%の光束が出射される立体角に対応する領域に形成され、前記第3反射面は前記発光素子から出射される全光束のうち約20%の光束が出射される立体角に対応する領域に形成されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の照明装置によれば、第2の焦点位置に第2の疑似点光源が形成されると共に第2反射面で第1の疑似点光源が形成され、従来の電球用フィラメントが包含する位置に第2の疑似点光源のみ、又は、第1の疑似点光源及び第2の疑似点光源の2つの疑似光源が位置するように設定することにより、LEDからの出射光があたかも第1の疑似点光源及び第2の疑似点光源の夫々から出射されたかのような光として光路形成が行われ、フィラメント60の、第2の疑似点光源、又は、第1の疑似点光源及び第2の疑似点光源の2つの疑似点光源に対応する位置から出射された光と同様の光路を辿る。
【0020】
そのため、照明装置1からの出射光は、第2の疑似点光源、又は、第1の疑似点光源及び第2の疑似点光源の2つの疑似点光源が包含される長さの従来の電球用フィラメント60と同等の配光特性を有することができる。したがって、第2の疑似点光源、又は、第1の疑似点光源及び第2の疑似点光源の2つの疑似点光源に対応した長さのフィラメントを用いた電球と置き換えることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の好適な実施形態を
図1〜
図7を参照しながら、詳細に説明する(同一部分については同じ符号を付す)。尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施形態に限られるものではない。
【0023】
図1は、本発明の照明装置に係る実施形態を前方斜め上方から見た斜視図、
図2は
図1の横断面図である。
【0024】
照明装置1は、光源のLED2、LED2からの出射光の光路を制御する光路制御用カバー10及びLED2からの発熱を放熱する放熱機能を有する本体部30で構成されている。
【0025】
本体部30は、複数の放熱フィン31を有するヒートシンク部32とヒートシンク部32の中央部から立ち上がって一方向に延びる支柱部33を有しており、ヒートシンク部32及び支柱部33には、中心部を支柱部33の延長方向に沿って貫通する貫通孔34が設けられている。この貫通孔34は、LED2に電力を供給する給電部材(例えば、給電線)の配線路となる。
【0026】
光路制御用カバー10は、透明部材からなり、一端部の円環状開口縁10aから該円環状開口縁10aに沿って立ち上がって外側に開くように環状に延びる側壁部11と、同様に一端部の円環状開口縁10aから該円環状開口縁10aに沿って立ち上がって側壁部11の内側を且つ側壁部11よりも短く環状に延びるシェード12と、同様に一端部の円環状開口縁10aから該円環状開口縁10aに沿って立ち上がって側壁部11及びシェード12の延長方向と反対側に円筒状に延びる外嵌部13と、側壁部11の他端部の円環状開口部10bに該開口部10bを塞ぐように装着された光路制御部材20を有している。
【0027】
支柱部33の円筒状の先端部33aには、光路制御用カバー10の外嵌部13が外嵌されて該光路制御用カバー10が保持されており、貫通孔34の先端部には、LED2が実装されたLED実装基板5を支持する金属製の基板支持部材6が挿嵌されている。
【0028】
LED実装基板5に実装されたLED2は、LED素子3が、透明樹脂に蛍光体が分散されてなる蛍光体樹脂4で球面状あるいは非球面状に樹脂封止されており、光路制御用カバー10の一端部側の開口を挿通して側方及び斜め側方がシェード12で囲まれる位置に位置している。LED2の光照射方向前方に光路制御用カバー10に装着された光路制御部材20が位置している。
【0029】
次に、LED2からの出射光とシェード12及び光路制御部材20との光学的な関係を
図3(横断面図の部分拡大図)を参照して説明する。
【0030】
LED2は、出射光がランバーシアン分布の指向特性を有し、LED2の側方及び斜め側方を囲むシェード12の遮光によって出射光の全光束のうち約60%の光束が直接光路制御部材20に照射されるように設定されている。
【0031】
シェード12のLED2側を向く面(内面)は鏡面反射面12aからなり、LED2の側面を該側面に沿って囲む環状の湾曲面状反射面(湾曲反射面)12bと湾曲反射面12bの円環状上端から立ち上がって略円柱状に延びる円柱反射面12cを有している。
【0032】
LED2から出射される全光束のうち約60%の光束が直接照射される光路制御部材20は、その被照射面となる内面が例えばアルミニウム蒸着膜からなる金属鏡面反射面(以下、「鏡面反射面」と略称する)21からなり、鏡面反射面21は、LED2の光軸Zとの交点を含む円形状の近傍領域に形成された第2鏡面反射面(以下、「第2反射面」と略称する)22、第2反射面22の外側に該第2反射面22を囲むように位置する環状(リング状)の領域に形成された第1鏡面反射面(以下、「第1反射面」と略称する)23、及び第1反射面23の外側に該第1反射面23を囲むように最外側に位置する環状(リング状)の領域に形成された第3鏡面反射面(以下、「第3反射面」と略称する)24の3つの鏡面反射面を備えている。
【0033】
そのうち、第2反射面22は、LED2から出射される全光束のうち約10%の光束が照射される領域、言い換えると、LED2から出射される全光束のうち約10%の光束が出射される立体角に対応する領域に形成され、
図4(第2反射面の拡大図)にあるように、光軸Zとの交点Pを頂点としLED2の照射方向(外側)に向かって凹んで内側に膨らんだ略円錐面形状を呈している。この第2反射面22の領域は、光軸Zとの交点Pを含む近傍領域であると共にLED2から出射される全光束のうち約10%の光束が照射される領域であり、またLED2の指向特性がランバーシアン分布を有することから、他の第1反射面23の領域及び第3反射面24の領域よりも極めて小さい。そのため、略円錐面形状の第2反射面22は極小凸反射面で構成されていると言える。
【0034】
図3に戻って、第2反射面22の外側に位置する第1反射面23は、LED2から出射される全光束のうち約30%の光束が照射される領域、言い換えると、LED2から出射される全光束のうち約30%の光束が出射される立体角に対応する領域に形成され、LED2内のLED素子3の位置を第1焦点F1の位置とすると共に光軸Z上の、第1焦点F1と光軸Zが鏡面反射面21と交差する交点との間の適宜な位置を第2焦点F2の位置とする、外側に向かって凹んだ凹面形状を呈する凹反射面で構成されている。
【0035】
第1反射面23の外側の最外側に位置する第3反射面24は、LED2から出射される全光束のうち約20%の光束が照射される領域、言い換えると、LED2から出射される全光束のうち約20%の光束が出射される立体角に対応する領域に形成され、LED2の照射方向に向かって光軸Zから離れる方向に直線状に傾斜した逆円錐面形状を呈する逆円錐反射面で構成されている。
【0036】
そこで、
図5の光線追跡図より、LED素子3の発光時(点灯時)にLED2から出射した全光束のうち光路制御用カバー10の第2反射面22に向かう10%の光束を有する光L1は、第2反射面22の極小凸反射面で反射されて反射光が側壁部11を透過して斜め後方(後方とは、LED2の照射方向と反対方向)に向かい、本体部30(特に、本体部30の支柱部33)に遮蔽されることなくそのまま直進する。したがって、第2反射面22の極小凸反射面は、該極小凸反射面で反射された反射光が本体部30で遮蔽されないような位置及び形状に設定されている。
【0037】
この場合、点光源のLED素子3から発せられてLED2から出射した光が照射される第2反射面22は上述したように極小凸反射面で構成されている。そのため、第2反射面22による反射光はあたかも第2反射面22の位置に配置した光源(第1の疑似点光源7)から出射した光であるかのように光学的に取り扱うことができる。
【0038】
また、LED素子3が第1焦点F1の位置にあるLED2から出射した全光束のうち光路制御用カバー10の第1反射面23に向かう30%の光束を有する光L2は、第1反射面23の凹反射面で反射されて反射光が一旦第2焦点F2の位置に収束した後に発散しながら側壁部11を透過して斜め後方から側方の範囲に向かい、本体部30(特に、本体部30の支柱部33)に遮蔽されることなくそのまま直進する。したがって、第1反射面23の凹反射面は、該凹反射面で反射された反射光が本体部30で遮蔽されないような位置及び形状に設定されている。
【0039】
この場合、第2焦点F2で収束した後の発散光はあたかも第2焦点F2の位置に配置した光源(第2の疑似点光源8)から出射した光であるかのように光学的に取り扱うことができる。
【0040】
さらに、LED2から出射した全光束のうち光路制御用カバー10の第3反射面24に向かう20%の光束を有する光L3は、第3反射面24の逆円錐反射面で反射されて反射光が側壁部11を透過して側方から斜め前方の範囲に向かい、そのまま直進する。
【0041】
ところで、従来の電球用フィラメント60が包含する位置に第1の疑似点光源7及び第2の疑似点光源8が位置するように設定すると、点光源のLED素子3から発せられてLED2から出射してあたかも第1の疑似点光源7及び第2の疑似点光源8の夫々から出射されたかのような光L1、L2は、フィラメント60の、第1の疑似点光源7及び第2の疑似点光源8の夫々に対応する位置から出射された光と同様の光路を辿る。
【0042】
そのため、照明装置1からの出射光は、第1の疑似点光源7及び第2の疑似点光源8が包含される長さの従来の電球用フィラメント60と同等の配光特性を有することができる。したがって、第1の疑似点光源7と第2の疑似点光源8の間の距離を適宜設定することにより、第1の疑似点光源7と第2の疑似点光源8の間の距離に対応した長さのフィラメントを用いた電球と置き換えることが可能となる。
【0043】
なお、従来の電球用フィラメント60が包含する位置に第2の疑似点光源8のみが位置するように設定した場合、つまり第1反射面23による反射光を用いた場合においても、点光源のLED素子3から発せられてLED2から出射してあたかも第2の疑似点光源8から出射されたかのような光L2は、フィラメント60の、第2の疑似点光源8に対応する位置から出射された光と同様の光路を辿る。したがって、この場合でもフィラメントを用いた電球と置き換えが可能である。
【0044】
ところで、LED素子3は発光と同時に発熱を生じる。この場合、LED2は該LED2が実装されたLED実装基板5が、本体部30の貫通孔34に挿嵌された基板支持部材6に支持されている。そのため、LED素子3の発熱は、LED実装基板6を経て順次熱伝導性が良好な基板支持部材6、本体部30の支柱部33及びヒートシンク部32に伝導され、ヒートシンク部32の放熱フィン31を介して効率的に外部に放散される(
図2参照)。
【0045】
これにより、LED素子3の発光時の自己発熱が効率良く放熱されてLED素子3自体の温度上昇が抑制され、温度上昇に起因するLED素子3の発光効率の低減による発光光量の減少が抑えられると共に、同様にLED素子3の温度上昇に起因するLED素子3の素子劣化による発光寿命の短縮を抑制することができ、その結果、照明装置1において高い信頼性及び適切な照射光量を確保することができる。
【0046】
次に、上述した照明装置1を光源に用いた灯具50について光学的に説明する。
【0047】
灯具50(
図6(灯具を前方斜め上方から見た斜視図)参照)は、ハウジング53の後方から該ハウジング53内に、照明装置1の支柱部33の先端部33a及び先端部33aに保持された光路制御用カバー10が収容され、照明装置1のヒートシンク部53がハウジング53外に配置されている。
【0048】
また、ハウジング53内には、灯具50の一方向(
図6のX−X方向)に対して光路制御用カバー10を斜め後方から側方を経て斜め前方まで囲む複数の反射面51aを備え、灯具50の一方向に垂直な方向(
図6のY−Y方向)に対して光路制御用カバー10を斜め後方から側方まで囲む複数の反射面51aを備えた、マルチリフレクタ52に形成された複合反射面51を有している。
【0049】
そこで(
図7(
図6のX−X方向の光線追跡図)参照))、照明装置1のLED2から光路制御用カバー10の第2反射面22に向けて出射して該第2反射面22で反射されて側壁部11を透過して斜め後方に向う光L1は、マルチリフレクタ52の複合反射面51を構成する個々の反射面51a(符号Mで示す領域)で反射されてLED2の光軸Zを中心とする近傍領域に向けて照射される。
【0050】
また、LED2から第1反射面23に向けて出射して該第1反射面23で反射されて一旦第2焦点F2の位置に収束した後に発散しながら側壁部11を透過して斜め後方から側方の範囲に向かう光L2は、マルチリフレクタ52の複合反射面51を構成する個々の反射面51a(符号Mで示す領域)で反射されてLED2の光軸Zを中心とする近傍領域に向けて照射される。
【0051】
さらに、LED2から第3反射面24に向けて出射して該第3反射面24で反射されて側壁部11を透過して側方から斜め前方の範囲に向かう光L3は、マルチリフレクタ52の複合反射面51を構成する個々の反射面51aで反射されてLED2の光軸Zに対して広がり方向の領域に向けて照射される。
【0052】
このように、LED2から出射してマルチリフレクタ52の複合反射面51に向かう光L1〜L3のうち、第1の疑似点光源7(
図6参照)から出射したものと見なすことができる光L1及び第2の疑似点光源8(
図6参照)から出射したものと見なすことができる光L2はいずれも照射方向に規則性を有するため、複合反射面51を構成する個々の反射面51aの形状を単純化することでき、複合反射面51の光学設計に係る設計工数の低減、及び金型設計・製造に係る工数の低減を図ることができる。また、作製された複合反射面51によって光学設計に沿った光学特性を忠実に再現することができる。
【0053】
なお、上記照明装置1及び光学設計に沿った光学特性を再現できる複合反射面51を有するマルチリフレクタ52による構成を車両用灯具に採用した場合、灯具前方に出射された光L1、L2によって主配光が形成され、光L3によって路肩側を照らす照明が形成されるため、配向性能に優れた商品性の高い車両用灯具が実現できる。
【0054】
ところで、上述したように、LED2から出射される光のうち側方あるいは斜め側方に向かう光はシェード12で遮蔽されて全光束のうち40%の光束が照射光として寄与しないものとなっている。これは、LED素子3の光出射面から出射して前方(光軸Z方向)あるいは斜め前方に向かう光よりも側方あるいは斜め側方に向かう光のほうが蛍光体樹脂4内を進む距離が長くなるため、LED素子3からの出射光に対する蛍光体による波長変換光の比率が高くなって色相の異なる光が出射され、照明装置1からは色むらのある光が照射されることになるからである。
【0055】
具体的には、例えば、LED素子3が青色光を発光する青色発光素子で、蛍光体樹脂4内に分散された蛍光体が青色光に励起されて青色光の補色となる黄色光に波長変換する蛍光体(黄色蛍光体)の場合、LED2の前方あるいは斜め前方に出射される光に対して側方あるいは斜め側方に出射される光は黄色みがかった光になる。
【0056】
なお、光路制御用カバー10の側壁部11は、照明装置1の光路制御には関係しない部分であり、LED2の前方の該LED2に対向する位置に鏡面反射面21が位置するように光路制御部材20を支持するために設けられたものである。したがって、光路形成に影響を及ぼさないでLED2と鏡面反射面21との位置関係が保持できる保持手段が用いられるのであれば、側壁部11は必ずしも必要ではない。
【0057】
また、光路制御部材20に形成される鏡面反射面21は、必ずしも、後加工によるアルミニウム蒸着膜からなる金属鏡面反射面とする必要はなく、例えば、光路制御部材20自体を金属材料で形成して表面研磨によって鏡面反射面を形成することも可能である。