(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
<本発明の第1実施形態>
(1)送電線の構造
本発明の一実施形態に係る送電線について、
図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る送電線10の軸方向と直交する断面図である。
【0015】
本実施形態に係る送電線(架空送電線)10は、海峡横断および河川横断などの長径間の横断で使用されるよう構成されている。本実施形態の送電線10は、特にアルミニウム素線300が所定の導電性および引張強さを有することにより、従来の長径間送電線の電流容量特性と同等以上の電流容量特性と、従来の長径間送電線の引張強度特性よりも大きい引張強度特性とを有している。また、本実施形態の鋼心部200は、高強度と耐食性とを兼ね備えている。以下、詳細を説明する。
【0016】
なお、以下において、送電線10の「軸方向」とは送電線10の長手方向をいい、送電線10の「径方向」とは送電線10の軸方向に垂直な方向、すなわち送電線10の短手方向をいい、送電線10の「周方向」とは送電線10の外周に沿った方向のことをいう。
【0017】
(鋼心部)
図1に示されているように、送電線10の中心には、架線時に送電線10の張力を負担するテンションメンバとして機能する鋼心部200が設けられている。鋼心部200は、軸方向に延在して設けられている。鋼心部200は、複数の心線100が撚り合わせられることにより構成されており、例えば、中心に設けられ1本の心線100により構成される第1鋼心層210と、第1鋼心層210の外周を覆うように6本の心線100が撚り合わされて設けられる第2鋼心層220と、第2鋼心層220の外周を覆うように12本の心線100が撚り合わされて設けられる第3鋼心層230と、を有している。
【0018】
鋼心部200のそれぞれの心線100は、中心に鋼線部120を有している。鋼線部120は、例えば、鋼により構成されている。具体的には、鋼線部120は、0.7質量%以上0.9質量%以下の炭素(C)を含み、残部鉄(Fe)および不可避不純物からなっている。また、心線100には、鋼線部120の外周を被覆するように、被覆部140が設けられている。本実施形態では、被覆部140は、マンガン(Mn)を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなっている。被覆部140がMnを含有することにより、Al−Mn系の金属間化合物が形成され、腐食性の不可避不純物の介在粒子(Fe等)と結合する。これにより、腐食性の不可避不純物による腐食作用が打ち消され、鋼心部200の耐食性を向上させることができる。
【0019】
被覆部140のMnの含有量は、例えば、0.3質量%以上1.0質量%以下である。被覆部140のMnの含有量が0.3質量%未満であると、Al−Mn系の金属間化合物が充分に形成されない可能性がある。これに対して、被覆部140のMnの含有量が0.3質量%以上であることにより、Al−Mn系の金属間化合物が形成され、鋼心部200の耐食性を向上させる効果を発現させることができる。一方、被覆部140のMnの含有量が1.0質量%超であると、心線100の加工が困難となるとともに、加工の際に心線100の表面に微細な欠陥が生じ易くなる可能性がある。これに対して、被覆部140のMnの含有量が1.0質量%以下であることにより、心線100を容易に加工することができる。
【0020】
なお、心線100の断面積に対する被覆部140の断面積の比率は、例えば、13%以上である。
【0021】
本実施形態の心線100において、JIS C3002に準拠した引張強さは、従来の長径間送電線で用いられる特強亜鉛めっき鋼線の引張強さ(1770MPa)と同等以上となっており、例えば、1770MPa以上である。なお、心線100の引張強さの上限値については、特に限定されないが、例えば、2000MPa以下程度である。
【0022】
本実施形態の心線100において、JIS C3002に準拠した伸びは、例えば、1.5%以上である。心線100の伸びが1.5%以上であることにより、送電線10に着雪した場合などに、送電線10が破断することを抑制することができる。なお、心線100の伸びの上限値については、特に限定されないが、例えば、10%以下である。
【0023】
本実施形態の心線100において、JIS C3002に準拠した導電率は、例えば、11.5%IACS以上である。なお、鋼線部を電気用アルミで被覆した場合の導電率は14%IACS以上である。本実施形態の心線100の導電率の下限値(11.5%IACS)は、鋼線部を電気用アルミで被覆した場合の導電率の下限値(14%IACS)よりも低い。本実施形態のAl−Mn系の被覆部140の導電率が、電気用アルミの導電率(61%IACS)よりも低いからである。なお、本実施形態の心線100の導電率の下限値が鋼線部を電気用アルミで被覆した場合の導電率の下限値よりも低くなっているが、本実施形態の心線100の導電率は、心線の導電率として実用上充分な値となっている。また、心線100の被覆部140の厚さを調整すれば、本実施形態の心線100の導電率を、鋼線部を電気用アルミで被覆した場合の導電率と同等とすることも可能である。一方、本実施形態の心線100の導電率の上限値については、特に限定されないが、例えば、20%IACS以下である。
【0024】
以上のように、Al−Mn系の合金からなる被覆部140を有し、上記のような特性を有する心線100を、「特強耐食アルミ覆鋼線(特強耐食AC線)」と呼ぶ。
【0025】
本実施形態では、鋼心部200の心線100における被覆部140がMnを含有し、心線100の耐食性が向上していることにより、鋼心部200には、例えば防食用のグリスが充填(塗布)されていない。言い換えれば、鋼心部200の心線100は、グリスを介さずに互いに直接接している。
【0026】
(外部撚線層)
鋼心部200の外側には、複数のアルミニウム素線300が撚り合わせられることにより外部撚線部400が設けられている。外部撚線部400は、送電時に主に電流を流す導体部分として構成されている。本実施形態では、外部撚線部400は、例えば、鋼心部200の外周を覆うように18本のアルミニウム素線300が撚り合わされて設けられる第1外部撚線層410と、第1外部撚線層410の外周を覆うように24本のアルミニウム素線300が撚り合わされて設けられる第2外部撚線層420と、を有している。また、本実施形態では、第1外部撚線層410および第2外部撚線層420の両方において、アルミニウム素線300の断面は、円形となっている。
【0027】
外部撚線部400を構成する複数のアルミニウム素線300のそれぞれは、例えば、Al−Mg−Si系のアルミニウム合金により構成されている。アルミニウム素線300中のMgやSiが例えばMg
2Siとして析出することにより、アルミニウム素線300の引張強さが向上する。
【0028】
アルミニウム素線300のMgの含有量は、例えば、0.4質量%以上0.6質量%以下であり、アルミニウム素線300のSiの含有量は、例えば、0.4質量%以上0.6質量%以下である。アルミニウム素線300のMgの含有量が0.4質量%未満であり、Siの含有量が0.4質量%未満であると、Mg
2Siが充分に析出されず、アルミニウム素線300の引張強さを向上させる効果が発現しない可能性がある。これに対して、アルミニウム素線300のMgの含有量が0.4質量%以上であり、Siの含有量が0.4質量%以上であることにより、所定量のMg
2Siを析出させ、アルミニウム素線300の引張強さを向上させる効果を発現させることができる。一方、アルミニウム素線300のMgの含有量が0.6質量%超であり、Siの含有量が0.6質量%超であると、Mg
2Siの析出物のサイズが大きくなりすぎて、引張強さが低下する可能性がある。これに対して、アルミニウム素線300のMgの含有量が0.6質量%以下であり、Siの含有量が0.6質量%以下であることにより、Mg
2Siの析出物のサイズが大きくなりすぎることを抑制し、引張強さが低下することを抑制することができる。
【0029】
本実施形態のアルミニウム素線300は、製造工程のうち時効工程の処理条件を調整することにより、以下のような特性を有している。
【0030】
本実施形態のアルミニウム素線300において、JIS C3002に準拠した引張強さは、従来の長径間送電線で用いられるSI33アルミ合金の引張強さ(324MPa)より大きくなっており、好ましくは、例えば、350MPa以上である。なお、アルミニウム素線300の引張強さの上限値については、特に限定されないが、例えば、365MPa以下である。
【0031】
本実施形態のアルミニウム素線300において、JIS C3002に準拠した伸びは、従来の長径間送電線で用いられるSI33アルミ合金の伸び(3%)より大きくなっており、好ましくは、例えば、4%以上である。アルミニウム素線300の伸びが3%超であることにより、送電線10に着雪した場合などに、送電線10が破断することを抑制することができる。なお、アルミニウム素線300の伸びの上限値については、特に限定されないが、例えば、7%以下である。
【0032】
本実施形態のアルミニウム素線300において、JIS C3002に準拠した導電率は、従来の長径間送電線で用いられるSI33アルミ合金の導電率(54%IACS)とほぼ同等となっており、例えば、52%IACS以上であり、好ましくは、例えば、53%IACS以上である。
【0033】
以上のように、Al−Mg−Si系のアルミニウム合金からなり、上記のような特性を有するアルミニウム素線300を、「特別強力イ号アルミ合金線」と呼ぶ。
【0034】
本実施形態では、上述のように、鋼心部200の心線100における被覆部140がMnを含有し、心線100の耐食性が向上していることにより、外部撚線部400においても、防食用のグリスが充填(塗布)されていない。言い換えれば、外部撚線部400のアルミニウム素線300は、グリスを介さずに互いに直接接している。
【0035】
(送電線の特性)
送電線10の公称断面積(アルミニウム素線300の合計断面積)は、例えば、400mm
2以上500mm
2以下であり、本実施形態では、例えば、450mm
2である。また、送電線10の外径(直径)は、例えば、25mm以上60mmであり、本実施形態では、例えば、33.3mmである。
【0036】
本実施形態において、上記のような構成を有する送電線10は、以下のような特性を有している。
【0037】
本実施形態の送電線10において、JIS C3002に準拠した(最大)引張荷重は、従来の長径間送電線(SI33ACSR/EST)の引張荷重(456.9kN)と同等以上となっており、例えば、450kN以上である。なお、送電線10の引張荷重の上限値については、特に限定されないが、例えば、850kN以下である。
【0038】
本実施形態の送電線10において、JIS C3002に準拠した単位長さ当たりの電気抵抗は、従来の長径間送電線(SI33ACSR/EST)の電気抵抗(0.0726Ω/km)以下となっており、例えば、0.07Ω/km以下である。本実施形態では、鋼心部200の心線100が亜鉛めっき鋼線ではなく、被覆部140がAl合金からなる特強耐食アルミ覆鋼線であり、被覆部140にも送電時の電流が流れるため、本実施形態の送電線10における電気抵抗は、従来の長径間送電線の電気抵抗以下となっている。なお、送電線10の単位長さ当たりの電気抵抗の下限値については、特に限定されないが、例えば、0.02Ω/km以上である。
【0039】
本実施形態の送電線10において、電流容量は、従来の長径間送電線(SI33ACSR/EST)の電流容量と同等以上となっている。例えば、送電線10の常時90℃のときの電流容量は、900A以上であり、常時100℃のときの電流容量は、1000A以上である。本実施形態では、上述のように、鋼心部200の心線100が亜鉛めっき鋼線ではなく、被覆部140がAl合金からなる特強耐食アルミ覆鋼線であり、被覆部140にも送電時の電流が流れるため、本実施形態の送電線10における電流容量は、従来の長径間送電線の電流容量と同等以上となっている。なお、送電線10の常時90℃のときの電流容量の上限値、常時100℃のときの電流容量の上限値については、特に限定されないが、例えば、それぞれ、3000A以下、3500A以下である。
【0040】
(2)送電線の製造方法
次に、本実施形態に係る送電線10の製造方法について説明する。
【0041】
(心線形成工程)
まず、以下のようにして、心線100を形成する。
【0042】
所定の純度を有するアルミニウム地金に、所定の含有量でMnを添加したアルミニウム合金の溶湯を鋳造して、鋳塊(鋳造材)を形成する。次に、鋳塊を熱間圧延することにより、所定のアルミニウム合金からなる荒引き線(熱間圧延材)を形成する。次に、熱間押出法によって、荒引き線を用いて、鋼からなる鋼線部120にアルミニウム合金を被覆することにより、複合線材を形成する。得られた複合線材を単頭伸線機によって冷間伸線することにより、所定の直径を有し鋼線部120および被覆部140を有する心線100(アルミ覆鋼線)を形成する。
【0043】
(アルミニウム素線形成工程)
また、以下のようにして、アルミニウム素線300を形成する。
【0044】
所定の純度を有するアルミニウム地金に、所定の含有量でMgおよびSiを添加したアルミニウム合金の溶湯を鋳造して、鋳塊(鋳造材)を形成する。次に、鋳塊を熱間圧延することにより、所定のアルミニウム合金からなる荒引き線(熱間圧延材)を形成する。次に、荒引き線に対して、400℃以上600℃以下(例えば500℃)の温度で1時間以上10時間以下の条件で加熱を行った後、水冷による溶体化処理を施す。これにより、MgおよびSiなどの添加物をAl結晶中に充分に固溶させる。次に、荒引き線を単頭伸線機によって冷間伸線することにより、所定の直径を有するアルミニウム素線300を形成する。
【0045】
次に、伸線したアルミニウム素線300に対して、140℃以上160℃以下の温度で10時間以上15時間以下の条件で熱処理(時効処理)を行う(時効工程)。従来では、時効工程の温度が160℃以上180℃以下であり、時効工程の時間が1時間以上10時間以下であったのに対して、本実施形態では、時効工程の温度が低く、時効工程の時間が長い。低い温度で長い時間をかけて時効工程を行うことにより、アルミニウム素線300の導電率を向上させることができるとともに、過度にMg
2Siが析出することを抑制し、引張強さが低下することを抑制することができる。
【0046】
詳細には、時効工程の温度に対して、アルミニウム素線300の引張強さは上に凸の関係を示し、アルミニウム素線300の導電率は単調増加を示す。時効工程の温度を140℃未満とすると、アルミニウム素線中でMg
2Siの析出が起こり難く、アルミニウム素線の引張強さが充分に向上しない可能性がある。また、アルミニウム素線の導電率が充分に向上しない可能性がある。これに対して、時効工程の温度を140℃以上とすることにより、アルミニウム素線300が、Mg
2Siが析出した状態で硬化し、アルミニウム素線300の引張強さを向上させる効果を発現させることができる。また、アルミニウム素線300の導電率を所定値以上に向上させることができる。一方、時効工程の温度を160℃超とすると、アルミニウム素線の導電率は向上するものの、Mg
2Siの析出が短時間で進行し、アルミニウム素線がオーバーエージングされてしまい、アルミニウム素線の引張強さが低下してしまう可能性がある。これに対して、時効工程の温度を160℃以下とすることにより、アルミニウム素線300の導電率を所定値まで向上させつつ、Mg
2Siを徐々に析出させてアルミニウム素線300を硬化することにより、アルミニウム素線300の引張強さを安定的に向上させることができる。
【0047】
また、時効工程の時間を10時間未満とすると、Mg
2Siの析出が不十分となり、アルミニウム素線の引張強さが充分に向上しない可能性がある。また、アルミニウム素線の導電率が充分に向上しない可能性がある。これに対して、時効工程の時間を10時間以上とすることにより、所定量のMg
2Siを析出させて、アルミニウム素線300の引張強さを向上させる効果を発現させることができる。また、アルミニウム素線300の導電率を所定値以上に向上させることができる。一方、時効工程の時間を15時間超とすると、アルミニウム素線の導電率は向上するものの、Mg
2Siが過度に凝集され、アルミニウム素線がオーバーエージングされてしまう可能性がある。これに対して、時効工程の時間を15時間以下とすることにより、アルミニウム素線300の導電率を所定値まで向上させつつ、Mg
2Siが過度に凝集されることを抑制し、アルミニウム素線がオーバーエージングされてしまうことを抑制することができる。
【0048】
(鋼心部形成工程)
送出機によって第1鋼心層210となる1本の心線100を送り出しながら、撚り線機によって第1鋼心層210の外周を覆うように6本の心線100を撚り合わせることにより、第2鋼心層220を形成する。次に、撚り線機によって第2鋼心層220の外周を覆うように12本の心線100を撚り合わせることにより、第3鋼心層230を形成する。これにより、鋼心部200を形成する。
【0049】
(外部撚線部形成工程)
次に、撚り線機によって鋼心部200の外周を覆うように18本のアルミニウム素線300を撚り合わせることにより、第1外部撚線層410を形成する。次に、撚り線機によって第1外部撚線層410の外周を覆うように24本のアルミニウム素線300を撚り合わせることにより、第2外部撚線層420を形成する。これにより、鋼心部200の外側に外部撚線部400を形成する。
【0050】
以上により、本実施形態に係る送電線10が製造される。
【0051】
(3)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
【0052】
(a)本実施形態によれば、MgおよびSiを含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム素線300において、JIS C3002に準拠した導電率は、従来の長径間送電線で用いられるSI33アルミ合金の導電率(54%IACS)とほぼ同等となっており、例えば、52%IACS以上である。また、当該アルミニウム素線300におけるJIS C3002に準拠した引張強さは、従来の長径間送電線で用いられるSI33アルミ合金の引張強さ(324MPa)より大きくなっており、好ましくは、例えば、350MPa以上である。ところで、アルミニウム素線300の導電率および引張強さはトレードオフの関係にあり、これまでアルミニウム素線300の導電率および引張強さを両立して向上させることは困難とされていた。しかしながら、本発明者等の鋭意検討により、上記のように導電率および引張強さを両立して向上させたアルミニウム素線300が初めて実現された。上記のように、アルミニウム素線300の導電率が52%IACS以上であることにより、本実施形態の送電線10の(単位長さ当たりの)電気抵抗を従来の長径間送電線(SI33ACSR/EST)の電気抵抗と同等以下とすることができ、送電線10の電流容量を従来の長径間送電線の電気容量と同等以上とすることができる。また、アルミニウム素線300の引張強さが324MPa超であることにより、本実施形態の送電線10の(最大)引張荷重を従来の長径間送電線の引張荷重と同等以上とすることができる。
【0053】
(b)本実施形態によれば、上記の特性を有する送電線10は、アルミニウム素線300を形成する工程の条件を調整することにより実現することができる。例えば、アルミニウム素線300を形成する工程は、アルミニウム素線300を伸線した後に、アルミニウム素線300に対して、140℃以上160℃以下の温度で10時間以上15時間以下の条件で時効処理(熱処理)を行う。これにより、現有設備で製造が可能なイ号アルミ合金の技術で、アルミニウム素線300の導電率を維持しつつ、アルミニウム素線300の引張強さを向上させることができる。その結果、従来の長径間送電線と比較して、電流容量特性を同等以上としつつ、引張強度特性を向上させた送電線10を提供することができる。
【0054】
(c)本実施形態によれば、鋼心部200の心線100における被覆部140は、Mnを含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなっている。被覆部140がMnを含有することにより、Al−Mn系の金属間化合物が形成され、腐食性の不可避不純物の介在粒子(Fe等)と結合する。これにより、鋼心部200の耐食性を向上させることができる。
【0055】
(d)本実施形態によれば、鋼心部200の心線100における被覆部140がMnを含有し、心線100の耐食性が向上していることにより、鋼心部200には、例えば防食用のグリスが充填(塗布)されていない。これにより、グリスの油分消失を起因として、送電線10の耐食性が低下することを抑制することができる。
【0056】
ここで、参考までに、従来の長径間送電線(SI33ACSR/EST)のように、鋼心部および外部撚線部において防食用のグリスが充填(塗布)されている場合について説明する。グリスの油分は、グリス表面に遮水性の被膜を形成し、NaClなどを含んだ電解質溶液がグリス内に浸透することを抑制する効果を有している。しかしながら、従来の長径間送電線では、海峡付近などで長年に亘って、グリスを塗布した送電線を使用すると、グリスの油分が消失し、油分消失後の送電線内部に、電解質溶液が浸透する可能性がある。このため、送電線の耐食性(特に鋼心部と接触するアルミニウム素線の耐食性)を保持することができなくなる可能性がある。これに対して、本実施形態によれば、鋼心部200にはグリスが塗布されておらず、鋼心部200の耐食性は、各々の心線100に設けられたMnを含む被覆部140によって維持される。これにより、グリスの油分消失を起因として、送電線10の耐食性が低下することを抑制することができる。
【0057】
<本発明の第2実施形態>
図2を用い、本発明の第2実施形態について説明する。
図2は、本実施形態に係る送電線の軸方向と直交する断面図である。
【0058】
本実施形態は、第1外部撚線層の構成が第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態と異なる要素についてのみ説明し、第1実施形態で説明した要素と実質的に同一の要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0059】
(1)送電線の構造
(外部撚線部)
図2に示されているように、本実施形態の送電線12では、外部撚線部402は、鋼心部200の外側に16本の第1アルミニウム素線310が撚り合わされて設けられる第1外部撚線層412と、第1外部撚線層412の外側に24本の第2アルミニウム素線320が撚り合わされて設けられる第2外部撚線層420と、を有している。
【0060】
第1外部撚線層412では、第1アルミニウム素線310のそれぞれの断面は、例えば扇形となっている。第1アルミニウム素線310のそれぞれは、径方向に沿った側面を有している。第1アルミニウム素線310は、互いに側面で接し(面接触し)、周方向に並んで設けられている。これにより、第1外部撚線層412において、第1アルミニウム素線310が密に充填されている。
【0061】
なお、第2外部撚線層420では、第2アルミニウム素線320の断面は、円形となっている。
【0062】
(送電線の特性)
本実施形態の送電線12の公称断面積は、例えば、400mm
2以上500mm
2以下であり、本実施形態では、例えば、460mm
2である。なお、本実施形態の送電線12の外径は、第1実施形態の送電線10と等しく、例えば、33.3mmである。
【0063】
本実施形態の送電線12において、JIS C3002に準拠した(最大)引張荷重は、従来の長径間送電線(SI33ACSR/EST)の引張荷重(456.9kN)と同等となっており、例えば、450kN以上である。なお、送電線12の引張荷重の上限値については、特に限定されないが、例えば、850kN以下である。
【0064】
本実施形態の送電線12において、JIS C3002に準拠した単位長さ当たりの電気抵抗は、従来の長径間送電線(SI33ACSR/EST)の電気抵抗(0.0726Ω/km)以下となっている。また、本実施形態の送電線12の電気抵抗は、第1実施形態の送電線10の電気抵抗よりも低い。本実施形態の送電線12の電気抵抗は、例えば、0.07Ω/km以下である。なお、送電線12の単位長さ当たりの電気抵抗の下限値については、特に限定されないが、例えば、0.02Ω/km以上である。
【0065】
本実施形態の送電線12において、電流容量は、従来の長径間送電線(SI33ACSR/EST)の電流容量と同等以上となっている。また、本実施形態の送電線12の電流容量は、第1実施形態の送電線10の電流容量よりも大きい。例えば、送電線12の常時90℃のときの電流容量は、900A以上であり、常時100℃のときの電流容量は、1000A以上である。なお、送電線12の常時90℃のときの電流容量の上限値、常時100℃のときの電流容量の上限値については、特に限定されないが、例えば、それぞれ、3000A以下、3500A以下である。
【0066】
(2)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、第1アルミニウム素線310のそれぞれは、径方向に沿った側面を有している。第1アルミニウム素線310は、互いに側面で接している(面接触している)。第1外部撚線層412において、第1アルミニウム素線310が密に充填されている。これにより、第1外部撚線層412の断面積における第1アルミニウム素線310の断面積の占める割合を増やすことができる。したがって、本実施形態の送電線12の引張荷重を、断面が円形であるアルミニウム素線300により構成された第1実施形態の送電線10の引張荷重よりも大きくすることができる。また、本実施形態の送電線12の電気容量を、断面が円形であるアルミニウム素線300により構成された第1実施形態の送電線10の電気容量よりも大きくすることができる。
【0067】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態および変形例について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態および変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0068】
上述の実施形態では、鋼心部が例えば3層の鋼心層を有する場合について説明したが、鋼心部は、1〜2層の鋼心層、または4層以上の鋼心層を有していてもよい。
【0069】
また、上述の実施形態では、外部撚線部が例えば2層の外部撚線層を有する場合について説明したが、外部撚線部が例えば3層以上の外部撚線層を有していてもよい。
【実施例】
【0070】
(1)アルミニウム素線および心線の製造と性能評価
(実施例1の心線)
以下の表1に示されているように、実施例1の送電線サンプルの鋼心部に用いられる心線(特強耐食アルミ覆鋼線)を製造した。具体的には、0.3質量%以上1.0質量%以下のMnを添加したアルミニウム合金の溶湯を鋳造して、鋳塊(鋳造材)を形成した。次に、鋳塊を熱間圧延することにより、所定のアルミニウム合金からなる荒引き線を形成した。次に、熱間押出法によって、荒引き線を用いて、鋼からなる鋼線部にアルミニウム合金を被覆することにより、複合線材を形成した。得られた複合線材を単頭伸線機によって冷間伸線し、直径3.7mmの心線を得た。
【0071】
【表1】
【0072】
製造した心線のうち、10本の心線に対して、JIS C3002に準拠して、線径、引張荷重、引張強さ、伸び、電気抵抗、質量、導電率を計測した。また、当該心線の外観について評価した。また、被覆部の厚さを拡大投影機により計測した。
【0073】
また、心線の片端を固定し、他端を捻回させ、心線が破断するときのねじり回数を求めた。これにより、心線の靭性を確認した。また、心線の直径の5倍の直径を有する円筒に心線を8回巻き付け、心線の被覆部が剥がれないかを確認した。また、心線の直径と同一の直径を有する円筒に8回巻き付けた後、巻き戻した。これにより、心線の靭性を確認した。
【0074】
その結果、実施例1の心線において、引張強さが1770MPa以上であり、伸びが1.5%以上であり、導電率が11.5%以上であることを確認した。つまり、実施例1の心線の引張強さは、従来の長径間送電線で用いられる特強亜鉛めっき鋼線の引張強さ(1770MPa)と同等となっていることを確認した。また、実施例1の心線の外観は良好であることを確認した。また、実施例1の心線の靭性も良好であることを確認した。また、実施例1の心線において被覆部の剥がれがないことを確認した。
【0075】
(実施例1のアルミニウム素線)
以下の表2に示されているように、実施例1の送電線サンプルの外部撚線部に用いられるアルミニウム素線(特別強力イ号アルミ合金線)を製造した。具体的には、所定の純度を有するアルミニウム地金に、0.4質量%以上0.6質量%以下のMgと、0.4質量%以上0.6質量%以下のSiとを添加したアルミニウム合金の溶湯を鋳造して、鋳塊を形成した。次に、鋳塊を熱間圧延することにより、所定のアルミニウム合金からなる荒引き線を形成した。次に、荒引き線に対して500℃の温度で1時間以上10時間以下の条件で加熱を行った後、水冷による溶体化処理を施した。次に、荒引き線を単頭伸線機によって冷間伸線することにより、直径3.7mmのアルミニウム素線を形成した。その後、伸線したアルミニウム素線に対して、150℃以下の温度で10時間以上15時間以下の条件で時効処理を行った。
【0076】
【表2】
【0077】
製造したアルミニウム素線のうち、10本のアルミニウム素線に対して、JIS C3002に準拠して、線径、引張荷重、引張強さ、伸び、電気抵抗、質量、導電率を計測した。また、アルミニウム素線の外観について評価した。
【0078】
その結果、実施例1のアルミニウム素線において、引張強さの実測値が350MPa以上であり、伸びの実測値が4.0%以上であり、導電率の実測値が53%以上であることを確認した。つまり、実施例1のアルミニウム素線において、引張強さは従来の長径間送電線で用いられるSI33アルミ合金の引張強さ(324MPa)より大きくなっており、伸びは従来のSI33アルミ合金の伸び(3%)より大きくなっており、導電率は従来のSI33アルミ合金の導電率(54%IACS)とほぼ同等となっていることを確認した。また、実施例1のアルミニウム素線の外観は良好であることを確認した。
【0079】
(実施例2の心線)
以下の表3に示されているように、実施例2の送電線サンプルの鋼心部に用いられる心線(耐食アルミ覆鋼線)を製造した。実施例2の心線では、線径が3.9mmである点が、実施例1の心線と異なる。
【0080】
【表3】
【0081】
製造した心線のうち、10本の心線に対して、JIS C3002に準拠して、線径、引張荷重、引張強さ、伸び、電気抵抗、質量、導電率を計測した。また、当該心線の外観について評価した。また、被覆部の厚さを拡大投影機により計測した。また、実施例1と同様の方法により、心線の心線の靭性等を確認した。
【0082】
その結果、実施例2の心線において、引張強さが1570MPa以上であり、伸びが1.5%以上であり、導電率が11.5%以上であることを確認した。つまり、実施例1の心線の引張強さは、従来の長径間送電線で用いられる特強亜鉛めっき鋼線の引張強さ(1770MPa)とほぼ同等となっていることを確認した。また、実施例2の心線の外観は良好であることを確認した。また、実施例2の心線の靭性も良好であることを確認した。また、実施例2の心線において被覆部の剥がれがないことを確認した。
【0083】
(実施例2のアルミニウム素線)
以下の表4に示されているように、実施例2の送電線サンプルの外部撚線部に用いられる(第2)アルミニウム素線(特別強力イ号アルミ合金線)を製造した。実施例2のアルミニウム素線では、線径が4.0mmである点が、実施例1のアルミニウム素線と異なる。
【0084】
【表4】
【0085】
製造したアルミニウム素線のうち、10本のアルミニウム素線に対して、JIS C3002に準拠して、線径、引張荷重、引張強さ、伸び、電気抵抗、質量、導電率を計測した。また、アルミニウム素線の外観について評価した。
【0086】
その結果、実施例2のアルミニウム素線において、引張強さの実測値が350MPa以上であり、伸びの実測値が4.0%以上であり、導電率の実測値が53%以上であることを確認した。つまり、実施例2のアルミニウム素線において、引張強さは従来の長径間送電線で用いられるSI33アルミ合金の引張強さ(324MPa)より大きくなっており、伸びは従来のSI33アルミ合金の伸び(3%)より大きくなっており、導電率は従来のSI33アルミ合金の導電率(54%IACS)とほぼ同等となっていることを確認した。また、実施例2のアルミニウム素線の外観は良好であることを確認した。
【0087】
(2)送電線サンプルの製造および性能評価
以下の表5に示されているように、第1実施形態に相当する実施例1の送電線サンプルを製造した。具体的には、上記した実施例1の心線を19本の撚り合わせることにより、鋼心部を形成した。次に、鋼心部の外周を覆うように実施例1のアルミニウム素線を42本撚り合わせることにより、外部撚線部を形成した。なお、鋼心部および外部撚線部にはグリスを塗布しなかった。このようにして、実施例1の送電線サンプルを製造した。
【0088】
また、以下の表5に示されているように、第2実施形態に相当する実施例2の送電線サンプルを製造した。具体的には、上記した実施例2の心線を19本の撚り合わせることにより、鋼心部を形成した。次に、鋼心部の外周を覆うように断面が扇形の第1アルミニウム素線を16本撚り合わせることにより、第1外部撚線層を形成し、第1外部撚線層の外周を覆うように実施例2の第2アルミニウム素線を24本撚り合わせることにより、第2外部撚線層を形成した。なお、鋼心部および外部撚線部にはグリスを塗布しなかった。このようにして、実施例2の送電線サンプルを製造した。
【0089】
また、表5および
図3に、従来の長径間送電線サンプルとして、比較例の送電線サンプル(SI33ACSR/EST)を示す。
なお、
図3は、比較例に係る送電線の軸方向と直交する断面図である。
図3に示されているように、比較例の送電線サンプルは、例えば以下のようにして製造する。特強亜鉛めっき鋼線からなる心線910を19本撚り合わせることにより、鋼心部920を形成する。次に、SI33アルミ合金からなるアルミニウム素線930を42本撚り合わせることにより、外部撚線部940を形成する。なお、鋼心部および外部撚線部にはグリスを塗布する。以下の表5では、このようにして製造された比較例の送電線サンプルを例示している。
【0090】
【表5】
【0091】
製造した実施例1の送電線サンプル、実施例2の送電線サンプル、および比較例の送電線サンプルに対して、質量、弾性係数、線膨張係数、電気抵抗、電気容量、引張荷重を計測した。
なお、質量は、電子天秤で測定した。
また、弾性係数は、以下の方法により計測した。引張試験機に各送電線サンプルを装着後、引張荷重規格値の60%まで荷重を印加し、その後、0kNまで除荷する。荷重上昇または下降時の送電線サンプルの伸びをダイヤルゲージで測定する。これにより、弾性係数が求められる。なお、送電線サンプルの伸びを測定するときの送電線サンプルの長さは約2mとする。
また、線膨張係数は、以下の方法により計測した。送電線サンプルに規格値の20%の荷重を印加した状態で、通電により送電線サンプルの温度を上昇させる。送電線サンプルの温度上昇時の送電線サンプルの伸びをダイヤルゲージで測定する。これにより、線膨張係数が求められる。なお、送電線サンプルの伸びを測定するときの送電線サンプルの長さは約2mとする。
また、電気抵抗は、4端子ダブルブリッジ法で測定した。
また、電流容量は、CIGRE(Conference Internatinale des Grands Reseaux Electriques a Haute)における式で計算した。なお、CIGREにおける電流容量を求める式は、電気学会技術報告論文No.660「架空送電線の電流容量」に記載されている。
また、JIS C3002に準拠して、引張荷重を計測した。具体的には、送電線サンプルの両端を引張試験機に把持し、片側の把持ヘッドを油圧で移動させることにより、送電線サンプルに荷重を印加する。そして、送電線サンプルが破断するまで引っ張る。送電線サンプルが破断した時の荷重を引張荷重として求める。
【0092】
その結果、実施例1の送電線サンプルおよび実施例2の送電線サンプルのそれぞれにおいて、電気抵抗が0.07Ω/km以下となっており、比較例の送電線サンプルの電気抵抗(0.0726Ω/km)以下となっていることを確認した。
【0093】
また、実施例1の送電線サンプルおよび実施例2の送電線サンプルのそれぞれにおいて、常時90℃のときの電流容量が900A以上となっており、また常時100℃のときの電流容量が1000A以上となっていることを確認した。つまり、実施例1の送電線サンプルおよび実施例2の送電線サンプルのそれぞれにおける電気容量が、比較例の送電線サンプルの電流容量と同等以上となっていることを確認した。
【0094】
また、実施例1の送電線サンプルおよび実施例2の送電線サンプルのそれぞれにおいて、引張荷重が450kN以上となっており、比較例の送電線サンプルの引張荷重と同等となっていることを確認した。なお、実施例2の送電線サンプルにおける心線の引張強さが比較例の送電線サンプルにおける心線の引張強さよりも小さいものの、実施例2の送電線サンプルにおけるアルミニウム素線の引張強さが比較例の送電線サンプルにおけるアルミニウム素線の引張強さよりも大きいことにより、実施例2の送電線サンプルの引張荷重を比較例の送電線サンプルの引張荷重と同等とすることが可能となっていることを確認した。
【0095】
(3)弛度
以下の表6に示されているように、上記した実施例1の送電線サンプル、実施例2の送電線サンプル、および比較例の送電線サンプルに対して、径間長を998mとし、最大使用張力を132.4kNとして、連続許容温度90℃のとき、および短時間許容温度100℃のときのそれぞれにおいて、送電線サンプルの弛度を算定した。
【0096】
【表6】
【0097】
その結果、実施例1の送電線サンプルにおける100℃のときの弛度は、比較例の送電線サンプルにおける弛度よりも1.7m小さかった。また、実施例2の送電線サンプルにおける100℃のときの弛度は、比較例の送電線サンプルにおける弛度よりも0.4m小さかった。したがって、実施例1の送電線サンプルおよび実施例2の送電線サンプルでは、比較例の送電線サンプルよりも弛度を低減できることを確認した。
【0098】
(4)腐食加速試験
以下の表7に示されているように、上記した実施例1の送電線サンプル、および実施例2の送電線サンプルに対して、腐食加速試験を行った。腐食加速試験では、腐食溶液を送電線サンプルの表面にスプレー塗布し、送電線サンプルに電流を流すことで送電線サンプルを加熱させた。腐食溶液は、海塩および酸性雨を想定し、NaClおよびH
2SO
4の溶液とし、腐食溶液のpHは5とした。また、送電線サンプルの温度は、90℃に維持した。腐食加速試験の期間は4.5ヶ月とした。
【0099】
【表7】
【0100】
【表8】
【0101】
ここで、電気学会技術報告2004年6月第968号「架空送電線の電線腐食現象」p.13に記載された一般環境下でのアルミ腐食速度を、表8に示す。表8に示されているように、海洋雰囲気におけるアルミの腐食速度は48μm/年である。したがって、海洋雰囲気における10年での孔食深さは、480μmとなる。
【0102】
これに対して、表7における腐食加速試験の期間(4.5ヶ月)は、海洋雰囲気の10年以上に相当する。表7によれば、実施例1の送電線サンプルおよび実施例2の送電線サンプルのそれぞれにおける各部の孔食深さは、海洋雰囲気の10年の孔食深さ(480μm)以下であることを確認した。したがって、実施例1の送電線サンプルおよび実施例2の送電線サンプルでは、耐食性が良好であることを確認した。
【0103】
以上の実施例1および実施例2のように、従来の長径間送電線(比較例)と比較して、電流容量特性を同等以上としつつ、引張強度特性および耐食性を向上させた送電線を提供することができることを確認した。