特許第6461591号(P6461591)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6461591ジンバル湾曲部に2段始動構造を有するサスペンション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6461591
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】ジンバル湾曲部に2段始動構造を有するサスペンション
(51)【国際特許分類】
   G11B 21/21 20060101AFI20190121BHJP
   G11B 21/10 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
   G11B21/21 D
   G11B21/10 N
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-258006(P2014-258006)
(22)【出願日】2014年12月19日
(65)【公開番号】特開2015-130221(P2015-130221A)
(43)【公開日】2015年7月16日
【審査請求日】2017年11月15日
(31)【優先権主張番号】14/145,515
(32)【優先日】2013年12月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508130890
【氏名又は名称】ハッチンソン テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】HUTCHINSON TECHNOLOGY INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】マーク エイ.ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ シー.ウィートリー
(72)【発明者】
【氏名】ノール ディ.ジャーマン
【審査官】 中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−004165(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0181812(US,A1)
【文献】 米国特許第08310790(US,B1)
【文献】 特開2010−146631(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0244786(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 21/21
G11B 21/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジンバル湾曲部に2段始動(DSA)構造を有するサスペンションであって、
ロード点窪みを有するロードビームと、
前記ロードビームに装着され、かつ、金属層を備える湾曲部であって、前記金属層が、
一対のバネアームと、
前記バネアーム間に配置される舌状部と、
前記一対のバネアームを前記舌状部に接続する一対の長尺状の支柱であって、前記支柱の長軸が相互に平行でありかつオフセットされ、前記一対の支柱間の中線が該一対の支柱から等距離にある支柱と、
を備える湾曲部と、
前記湾曲部に搭載されるモータと、
を備え、前記モータの電気始動により前記一対の支柱が屈曲して回転軸を中心に前記舌状部を回転させ、回転軸が前記窪みと一致し、前記中線が前記回転軸と窪みからオフセットされ、前記舌状部の質量中心が前記回転軸の遠位または近位の一方に配置され、前記支柱間の中線が該回転軸の遠位または近位の他方に配置されるサスペンション。
【請求項2】
前記窪みと前記支柱間の中線とのオフセットが、前記窪みと一致しない第1の回転軸を中心とした舌状部の回転傾向を相殺する請求項1に記載のサスペンション。
【請求項3】
前記一対の支柱の第1の支柱が前記モータの近位に配置され、前記一対の支柱の第2の支柱が前記モータの遠位に配置される請求項1または2に記載のサスペンション。
【請求項4】
前記一対の支柱の第1の支柱が前記一対の支柱の第2の支柱の近位に配置され、前記第1の支柱が前記モータの近位縁から第1の距離離れて配置され、前記第2の支柱が前記モータの遠位縁から第2の距離離れて配置され、前記第1の距離が前記第2の距離と等しくないために前記一対の支柱が前記モータに対して非対称に配置される請求項1〜のいずれか一項に記載のサスペンション。
【請求項5】
それぞれが1つ以上の絶縁導体を備える一対のトレースをさらに備え、前記金属層がベース部をさらに備え、前記一対のバネアームが前記ベース部から遠位に延在し、前記一対のトレースが前記一対のバネアームを超えて横方向に延在することなく前記ベース部から前記舌状部まで延在する請求項1〜のいずれか一項に記載のサスペンション。
【請求項6】
前記金属層が前記ベース部から遠位に延在する一対のスネークテザーをさらに備え、前記一対のスネークテザーが前記トレースをそれぞれ支持し、各トレースが前記一対のバネアーム間に配置される少なくとも2つの可撓屈曲部を備える請求項5に記載のサスペンション。
【請求項7】
前記モータの対向端がそれぞれ前記バネアームに搭載される請求項1〜のいずれか一項に記載のサスペンション。
【請求項8】
前記金属層の2つの最も狭い部分が前記一対の支柱を画定する請求項1〜のいずれか一項に記載のサスペンション。
【請求項9】
前記一対の支柱が、前記一対のバネアームと前記舌状部とを接続する前記金属層の唯一の部分である請求項1〜のいずれか一項に記載のサスペンション。
【請求項10】
各バネアームは外側アーム部、内側アーム部、前記内側アーム部を前記外側アーム部に接続する遠位屈曲部を備え、前記一対の支柱はそれぞれ前記一対のバネアームの内側アーム部を接続する請求項1〜のいずれか一項に記載のサスペンション。
【請求項11】
前記支柱の長軸が前記サスペンションの長軸に直交する請求項1〜1のいずれか一項に記載のサスペンション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2013年12月31日に提出された米国出願第14/145,515号、現在は2014年11月25日付けの米国特許第8,896,970号の権利を主張し、あらゆる目的のため引用によりその全文を本願に組み込む。
【0002】
本発明は、ディスクドライブとディスクドライブ用サスペンションに関する。特に、本発明は、オフセット湾曲部支柱を有する2段始動(DSA)サスペンションである。
【背景技術】
【0003】
DSAディスクドライブヘッドサスペンションとDSAサスペンションを組み込んだディスクドライブとは一般的に既知であり市販されている。たとえば、ベースプレートまたはサスペンションのその他の搭載部、すなわちサスペンションのバネまたはヒンジ領域の近位に始動構造を有するDSAサスペンションは、Okawaraの特許文献1、Shumの特許文献2、Fuchinoの特許文献3、Imamuraの特許文献4に記載されている。サスペンションのロードビームまたはジンバル部、すなわちバネおよびヒンジ領域の遠位に始動構造が配置されたDSAサスペンションも既知であり、たとえばJurgensonの特許文献5、Krinkeの特許文献6、Yaoの特許文献7に開示されている。同一場所に配置されたジンバルベースDSAサスペンションは特許文献8と特許文献9に開示されている。上記特許および特許出願はすべてあらゆる目的のため引用により全文を本願に組み込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0067151号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2012/0002329号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2011/0242708号明細書
【特許文献4】米国特許第5,764,444号明細書
【特許文献5】米国特許第5,657,188号明細書
【特許文献6】米国特許第7,256,968号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2008/0144225号明細書
【特許文献8】同時係属米国仮出願第61/700,972号明細書
【特許文献9】同時係属米国仮出願第61/711,988号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
改良されたDSAサスペンションは未だ必要とされている。高度な性能と機能を備えたDSAサスペンションが望まれる。サスペンションは効率的に製造可能でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
各種実施形態は、ロード点窪みを有するロードビームとロードビームに装着される湾曲部とを備えるジンバル湾曲部にDSA構造を有するサスペンションに関する。湾曲部は、一対のバネアームと、バネアーム間に配置される舌状部と、一対の長尺状の支柱とを画定する金属層を備える。支柱は一対のバネアームを舌状部に接続する。支柱の長軸は相互に平行でありかつオフセットされる。一対の支柱間の中線は一対の支柱から等距離にある。サスペンションは湾曲部に搭載されるモータをさらに備える。モータの電気始動により、一対の支柱が屈曲して回転軸を中心に舌状部を回転させる。回転軸は窪みに一致する。中線は回転軸と窪みからオフセットされる。舌状部は回転軸と一致しない質量中心を備える。たとえば、サスペンションは舌状部に搭載される熱支援磁気記録要素をさらに備え、舌状部の質量中心は、少なくとも一部には舌状部に搭載される熱支援磁気記録要素のためにアンバランスとなる。舌状部の質量中心は回転軸の遠位または近位の一方に配置され、支柱の中線は回転軸の遠位または近位の他方に配置される。窪みと支柱間の中線とのオフセットは、窪みと一致しない第1の回転軸を中心とした舌状部の回転の傾向を相殺する。サスペンションは、それぞれが1つ以上の絶縁導体を有する一対のトレースをさらに備え、金属層はベース部をさらに備え、一対のバネアームがベース部から遠位に延在する。一対のトレースは、一対のバネアームを超えて横方向に延在することなくベース部から舌状部まで延在することができる。金属層は、前記ベース部から遠位に延在する一対のスネークテザーをさらに備え、一対のスネークテザーはそれぞれトレースを支持することができる。場合によっては、各トレースはバネアーム間に配置される少なくとも2つの可撓屈曲部を備える。
【0007】
各種実施形態は、ロード点窪みを有するロードビームとロードビームに装着される湾曲部とを備えるジンバル湾曲部にDSA構造を有するサスペンションに関する。湾曲部は、一対のバネアームと、バネアーム間に配置される舌状部と、一対の支柱とを画定する金属層を備える。支柱は一対のバネアームを舌状部に接続する。一方の支柱は他方の支柱の遠位に位置する。一対の支柱はその中心にある中線を有する。サスペンションは湾曲部に搭載されるモータをさらに備える。モータの電気始動により、一対の支柱が屈曲して回転軸を中心に舌状部を回転させる。回転軸は窪みに一致する。中線は回転軸に対して遠位または近位にオフセットされる。オフセットは舌状部の質量のアンバランスを相殺する。
【0008】
各種実施形態は、ロード点窪みを有するロードビームとロードビームに装着される湾曲部とを備えるジンバル湾曲部にDSA構造を有するサスペンションに関する。湾曲部は、一対のバネアームと、バネアーム間に配置される舌状部と、一対の支柱とを画定する金属層を備える。支柱は一対のバネアームを舌状部に接続する。一対の支柱は第1の支柱および第1の支柱の遠位に配置される第2の支柱を備える。サスペンションは湾曲部に搭載されるモータをさらに備える。モータの電気始動により、一対の支柱が屈曲して回転軸を中心舌状部を回転させる。第1の支柱は回転軸の近位に第1の距離離れて配置される。第2の支柱は回転軸の遠位に第2の距離離れて配置される。第1の距離は第2の距離と異なる。
【0009】
各種実施形態のさらなる特徴と変形について本願で説明し図面に示す。複数の実施形態を開示したが、当業者にとっては、本開示の例示の実施形態を記載する以下の詳細な説明から、本開示のさらに別の実施形態が明らかであろう。したがって、図面と詳細な説明は限定ではなく例示であるとみなすべきである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】2段始動(DSA)構造を有する湾曲部を備えたサスペンションのロードビーム側の等角図である。
図2図1のサスペンションのロードビーム側の詳細等角図である。
図3図1および2のサスペンションの側面図である。
図4図1〜3のサスペンションの湾曲部およびDSA構造の等角図である。
図5図1〜4の湾曲部の等角図である。
図6図1〜5の湾曲部の金属層の等角図である。
図7】様々な移動状態における図1〜5のDSA構造の平面図である。
図8】様々な移動状態における図1〜5のDSA構造の平面図である。
図9】様々な移動状態における図1〜5のDSA構造の平面図である。
図10図1〜9の湾曲部の平面図である。
図11】湾曲部の金属層に搭載されるモータの平面図である。
図12】湾曲部の金属層に搭載されるモータの平面図である。
図13】湾曲部の金属層に搭載されるモータの平面図である。
図14】湾曲部に搭載されるモータの平面図である。
図15】振動ゲインと、窪みと支柱間のオフセットとの関係を実証するデータ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ハードディスクドライブサスペンション、特にディスク媒体に横方向に接合されるように設計される2段始動(DSA)サスペンションは不必要な振動を被りやすい。本明細書に提示するようなDSAサスペンションにおける不必要な振動を防止する、および/または振動を抑止するために様々な特徴が採用可能である。
【0012】
図1は、同一場所に配置されたまたはジンバルベースのDSA構造14を有する湾曲部12を備えたサスペンション10のロードビーム側の等角図である。図2は、図1のロードビーム18とDSA構造14の詳細等角図である。サスペンション10は、近位搭載構造であるベースプレート16と、バネまたはヒンジ領域22に沿ってベースプレート16に接続される剛体またはビーム領域20を有するロードビーム18とを含む。ベースプレート16とロードビーム18はそれぞれステンレス鋼などの金属から形成することができる。ジンバル24は湾曲部12の遠位端に配置される。DSA構造14は、ロードビーム18の遠位端近傍のジンバル24に配置される。ヘッドスライダ32はロードビーム18に対向する湾曲部12側のジンバル24に搭載される。ディスク媒体からの読取および/またはディスク媒体への書込用の1つ以上のトランスデューサ(図示せず)がヘッドスライダ32上および/または内に配置される。
【0013】
図2に示す軸キー13はX軸、Y軸、Z軸を示す。サスペンション10は遠位方向および近位方向にX軸に沿って略長尺状をなす。したがって、サスペンション10の長軸は、X軸に平行にサスペンション10に沿って長手方向に延在する。本文書で使用される近位および遠位はサスペンション10の長軸に沿った相対的方向または位置を指し、横はサスペンション10の長軸に直交する(Y軸に沿った)左右方向を指す。たとえば、ベースプレート16は図1に示すようにロードビーム18の近位にあり、モータ34(図4に示す)の対向端は横方向に延在する。湾曲部12とロードビーム18とを含むサスペンション10は、X−Y面と同一平面上で略面配向する。Z軸は高さまたは上下の配向を表す。Z軸は回転軸11と略平行である。
【0014】
図3図1および2のサスペンション10の側面図である。図示するように、窪み36はロードビーム18のステンレス鋼基板から形成される。窪み36はロードビーム18の下側から突出し、補強材39と係合する。補強材39はモータ34の上側に搭載される要素である。補強材39はモータ34に保護カバーを提供し、モータ34を電気的に絶縁することができる。その他の各種実施形態では、補強材39がないために、別の要素が補強材39の代わりを果たす、あるいは窪み36がモータ34の上側に直接係合する。窪み36は、モータ34が湾曲部12のベース部50に対して面外で接続されるジンバル24の部分を付勢することによってロード点としての役割を果たす。湾曲部12の遠位端は片持ち梁のようにベース部50から突き出る。バネアーム52は舌状部33、モータ34、補強材39を通じて力を印加し、補強材39と窪み36間の接触を維持する。補強材39と窪み36間の接触のため、舌状部33とヘッドスライダ32は、たとえばディスク媒体の回転によって生成される振動および/または風などに応答してサスペンション10の動作中に必要に応じて揺れることができる。ヘッドスライダ32は舌状部33に搭載される。たとえば、ヘッドスライダ32の上側は、舌状部33の下側のスライダ搭載面に接着剤で装着することができる。従来のサスペンションでは、窪み36の中心は通常、ヘッドスライダ32の中心と位置合わせされ、窪み36を通じて印加されるグラム荷重をヘッドスライダ32の中心に合わせて、フライト安定性を向上させフライト特性を最適化させるが、本開示の各種実施形態は後述するようにこのような慣習から逸脱することができる。
【0015】
図4は、湾曲部12の遠位端の等角図である。ロードビーム18は湾曲部12をより詳細に示すために図4では省略してある。補強材39は非対称の形状を有しており、遠位アームが補強材39の第1の側面に、近位アームが補強材39の第2の側面に形成される。任意の種類の補強材またはその他の部品または構造が、引用により本願に全文を組み込む2012年10月10日付けで提出された特許文献9(米国仮特許出願第61/711,988号明細書)に記載されており、本開示の任意の実施形態において採用することができる。補強材39はモータ34の上面に接着する接着層を含むことができる。
【0016】
湾曲部12は、湾曲部12の主構造支持部を形成するステンレス鋼層40(またはその他の金属層)を含む。ステンレス鋼層40は、(たとえば、溶接によって)ロードビーム18に接着することのできるベース部50を含む。ステンレス鋼層40は、一対のバネアーム52、舌状部33、一対のバネアーム52を舌状部33に接続する支柱56、57をさらに含む。支柱56は支柱57の近位にオフセットされる。このように、一対の支柱56、57は近位支柱56、遠位支柱57とそれぞれ称することができる。
【0017】
トレース60は一対のバネアーム52間で湾曲部12の遠位端に沿って延在する。トレース60は、誘電ベース層(たとえば、ポリイミドなどのポリマー)とベース層に沿って延在する少なくとも1つの導体とを備える。さらに、導体は誘電材料のカバーコートで覆うことができる。トレース60はサスペンション10に沿って導体の経路を制御し、サスペンション10の部品(たとえば、ヘッドスライダ32のトランスデューサ)をハードディスクドライブの制御回路に電気的に接続する。バネアーム52間にトレース60の経路を設定することで、一対のバネアーム52の外部でのトレース60の経路設定に比べて、湾曲部12の遠位端の幅、ひいては材料の使用量が最小化される。いくつかの実施形態では、トレース60のどの部分もバネアーム52を越えて横方向に延在しない。たとえば、各トレース60は、完全に横断バネアーム52間でベース部から舌状部33まで延在することができる。いくつかの実施形態では、各トレース60はどの部分もいずれのバネアーム52を超えて延在することなくベース部50から舌状部33まで延び、バネアーム52に重複してもよい。別のいくつかの実施形態では、各トレース60はほぼ横断バネアーム52間でベース部50から舌状部33まで延在し、各トレース60の一部がわずかにバネアーム52を超えて延在してもよい。なお、バネアーム52間でのトレース60の経路設定は振動ゲインを増大させる傾向がある。
【0018】
各トレース60は第1の屈曲部61と第2の屈曲部62を含む。第1の屈曲部61と第2の屈曲部62は、これら屈曲部に湾曲しやすい部分を設けることによってジンバル24の剛性を低下させる。さらに、各トレース60はスネークテザー63を含む。スネークテザー63はステンレス鋼層40の一部であり、ベース部50から遠位方向に延在する。スネークテザー63は第1の屈曲部61を含むトレース60の輪郭を追従する。スネークテザー63はトレース60を構造的に支持する。スネークテザー63は、引用により本願に全文を組み込む2012年2月3日に提出された共同所有特許出願第13/365,443号「ディスクドライブヘッドサスペンション湾曲部用の細長トレーステザー」に開示されるように構成することができる。
【0019】
図2〜4に示すように、DSA構造14はモータ34を含む。モータ34は圧電要素とすることができる。モータ34は、ハードディスクドライブの制御回路によって送信される駆動信号により電気的に始動される際に拡張および収縮する。モータ34はロードビーム18とヘッドスライダ32間の湾曲部12のジンバル24に搭載される。後で詳述するように、モータ34を始動すると、舌状部33とそこに搭載されるヘッドスライダ32とが回転軸11を中心に回転する。回転軸11は湾曲部12とロードビーム18の面を横切る。ヘッドスライダ32の回転またはその他のトラッキングによって、ヘッドスライダ32の読取/書込トランスデューサの位置を精密に制御し、ディスク媒体の特定の箇所を選択的に走査することができる。
【0020】
図5は湾曲部12の等角図である。モータ34の下に隠れた詳細を示すため、図4からモータ34を省略している。図6はステンレス鋼層40の等角図である。図5からトレース60の層を省略している。図示するように、ステンレス鋼層40はバネアーム52、支柱56、57、舌状部33を形成する。各バネアーム52はジンバル24に沿って長尺状をなす。バネアーム52はそれぞれジンバル24の対向側面に位置する。バネアーム52は舌状部33を支持する。舌状部33は、バネアーム52間に配置される長尺状部(X軸に沿って長尺状)である。図6に示すように、バネアーム52はそれぞれ外側アーム部41と内側アーム部42を含む。各外側アーム部41は、バネアーム52の遠位屈曲部43を介して各自の内側アーム部42につながっている。一対の支柱56、57は、バネアーム52間で舌状部33を接続またはそれ以外の形で支持するステンレス鋼層40の唯一の部分である。具体的には、支柱56、57はバネアーム52と舌状部33間の唯一の構造上の連結機構である。また、舌状部33と組み合わせて、支柱56、57はベース部50の遠位のバネアーム52間を接続するステンレス鋼層40の唯一の部分である。図示するように、支柱56、57はそれぞれX−Y面においてステンレス鋼層40の最も狭い部分であるが、ステンレス鋼層40の厚さは湾曲部12に沿って一定である。図示するように、支柱56、57は相互にオフセットされる。具体的には、支柱56は支柱57に対して近位に位置する。このオフセット配置により、舌状部33の回転が容易になる。たとえば、モータ34が拡張または収縮すると、モータ34の対向端が搭載されるバネアーム52は、横方向に押される、あるいは内方に引かれる、すなわち、支柱56、57が舌状部33に接続されるオフセット点で支柱56、57を横方向に引く、あるいは支柱56、57を内方に押す。オフセット点において舌状部33で支柱56、57を押す、あるいは引くと、支柱56、57間の舌状部33にトルクまたはモーメントが印加されて舌状部33が回転する。
【0021】
DSA構造14の動作を図7〜9を参照して説明することができるが、それらの図はそれぞれモータ34の活動または非活動相中の湾曲部12を上から見た図である。図7に示すように、DSA構造14とモータ34は中立の非駆動状態にあり、舌状部33はバネアーム52間の略中心に配置されるため、舌状部33の長軸はY軸と平行である。これは、トラッキング駆動信号がモータ34に印加されないときのDSA構造14の状態に相当する。図8に示すように、第1の電位(たとえば、正)トラッキング駆動信号がモータ34に印加されると、モータ34の形状が変化し、通常はその長さが拡張する。この形状変化は、支柱56、57を含む連結機構の機械的動作と結びついて、舌状部33を回転軸11を中心に第1の方向に回転させる。モータ34の長さが拡張すると、ジンバル24が横方向に伸張して支柱56、57が屈曲する。支柱56、57のオフセット配置のため、支柱56、57は舌状部33が第1の方向に回転するように屈曲する。
【0022】
図9に示すように、第2の電位(たとえば、負)トラッキング駆動信号がモータ34に印加されると、モータ34の形状が変化して、通常はその長さが収縮する。この形状変化は、支柱56、57を含む連結機構の機械的動作と結びついて、舌状部33を回転軸11を中心に第2の方向に回転させる。第2の方向は第1の方向の逆である。モータ34が収縮すると、ジンバル24が横方向に圧縮されて支柱56、57が屈曲する。支柱56、57のオフセット配置のため、支柱56、57は舌状部33が第2の方向に回転するように屈曲する。図8〜10には示していないが、他の図には舌状部33に装着して示しているヘッドスライダ32は舌状部33と共に回転する。
【0023】
図示しないが、本文書に開示の実施形態はエネルギー支援磁気記録(EAMR)を利用することができる。EAMRは様々な種類のエネルギーを利用して、ディスク媒体の飽和保磁力を選択的に変更する。たとえば、ディスク媒体の小領域を加熱することによって書込直前の該領域の飽和保磁力を一時的に変更する。熱支援磁気記録(HAMR)やマイクロ波支援磁気記録(MAMR)などの様々な種類のEAMRが存在する。EAMR要素は舌状部33(たとえば、舌状部33の上面)に搭載し、ロードビーム18の窓15を通じて垂直上方に突出させることができる。本開示の実施形態は、あらゆる目的のため引用により全文を本願に組み込む、2013年7月15日に提出された共同所有米国仮特許出願第61/846,492号「部分的無フランジロード点窪みを有するディスクドライブサスペンションアセンブリ」に開示されるようにEAMR要素を含むことができる。
【0024】
本文書で使用される回転軸という用語は、要素または構造が中心に回転する軸を指す。舌状部33の回転軸11は図2図3図9図10に示される。回転軸11は好ましくは、窪み36の中心または頂点を通って延在する。舌状部33の回転軸11が窪み36の中心または頂点を中心としていない場合、窪み36は補強材39または要素(たとえば、モータ34)に係合するその他の窪み36に擦れて、DSA構造14に不必要な揺動を引き起こし、部品の中でも特に補強材39、モータ34、および/または窪み36を損傷する。
【0025】
X−Y面での回転軸11の位置は複数の要因に基づく。たとえば、DSA構造14の重量バランスが舌状部33の質量中心を決定する。舌状部33は質量中心を中心に回転する傾向がある。舌状部33の質量中心は窪み36と一致していないため、舌状部33の回転軸11が窪み36と一致しない傾向がある。EAMR要素などの舌状部33に装着される質量は舌状部33の質量中心の位置、ひいては舌状部33の回転軸11の位置に影響を及ぼす。また、トレース60が経路設定されて舌状部33または舌状部33に固定される要素と接続される方法が、舌状部33にアンバランスを引き起こす可能性がある。たとえば、トレース60内の緊張が舌状部33に力を印加して、舌状部33の回転バランスを相殺する可能性がある。舌状部33の回転のアンバランスは振動ゲインを増大させる。
【0026】
上述したように、たとえば、トレース60の経路をバネアーム52間に設定してサスペンション幅を最小化する、および/またはEAMR要素を追加するなど、サスペンション10に特徴を追加することで舌状部33のアンバランスや振動ゲインの増加などのリスクが生じる。しかしながら、本開示は、このようなアンバランスに対抗し、好ましくは舌状部33の回転軸11と窪み36の中心または頂点とを位置合わせする特徴を提供する。たとえば、後述するようにDSA構造14の部品は、アンバランスに対抗して回転軸11を窪み36の中心または頂点に一致させるモーメント力を提供するように配置することができる。
【0027】
図10は湾曲部12の平面図である。支柱56は、支柱56の中心と一致する長軸71に沿って長尺状をなす。支柱57は、支柱57の中心と一致する長軸72に沿って長尺状をなす。長軸71、72はサスペンション10の長軸に略垂直に延在する。支柱56、57の長軸71、72は相互に平行に延在するが、支柱56、57が応力を受けていないとき(たとえば、図10の非活動状態で屈曲していないとき)交差またはその他の形で重複していない。支柱56、57の長軸71、72は、Y軸と平行である、舌状部40、ジンバルアセンブリ24、ロードビーム18、サスペンション10全体の長軸(図示せず)を横切る(たとえば、直交する)。別のいくつかの実施形態では、支柱56、57はそれぞれ、サスペンション10の長軸に直交しないようにバネアーム52と舌状部33間に調整して配置することもできる。
【0028】
中線70は支柱56、57間の中心を示す。具体的には、中線70はY軸に沿って測定した場合に支柱56、57から等距離にある。中線70は支柱56、57の長軸71、72と平行に延在する。支柱56、57が上述したように配置されるいくつかの別の実施形態では、中線70も同様に長軸71、72と平行に維持させることができる。
【0029】
DSA構造14によって生成される回転力は支柱56、57間の回転力またはトルクに集中する。具体的には、回転力は支柱56、57間の中線70に集中する。上述したように、釣り合い重りの舌状部33などのDSA構造14のアンバランスは、舌状部33の質量中心を窪み36から、したがって回転中心にとって好適な位置から(たとえば、遠位方向に)離れるように移動させることができる。アンバランスは、中線70を窪み36からオフセットして配置することによって対抗することができる。中線70をオフセットさせることで、窪み36を中心に回転しがちなDSA構造14に(たとえば、舌状部33に関連するオフセット質量中心から)均等で反対のモーメントが生じる。たとえば、窪み36の近位の支柱56、57間の中線70(図示していないが回転軸11と一致)は、窪み36の遠位の舌状部33の質量中心を相殺することができる。他の各種実施形態では、中線70は、窪み36の近位の舌状部33の質量中心に対抗するために窪み36の遠位に置くことができる。
【0030】
各種実施形態では、アンバランスな舌状部33は第1の軸を中心に回転する傾向があり、舌状部33の質量中心が窪み36および/または部品(たとえば、トレース60)と一致していないために第1の軸は窪み36と一致せず、窪み36からオフセットされるベクトルに沿って舌状部33に力を印加する。第1の軸は窪み36の近位または遠位の一方に配置することができる。したがって、中線70は窪み36の近位または遠位の他方に置くことができる。いくつかの実施形態では、第1の軸は、中線70が窪み36からオフセットされるのと同一な距離だけ窪み36からオフセットされる。いくつかのその他の実施形態では、第1の軸は、中線70が窪み36からオフセットされる距離と異なる距離だけ窪み36からオフセットされる。図8および9に示すように、回転軸11はモータ34の中心線から(遠位に)オフセットされる。本文書で使用されるモータの中心線は、モータの長尺状の寸法に沿って延在し、モータの2つの対向する長手方向縁部間の中心にあるモータ軸を指す。たとえば、モータ34の中心線は中線70と平行であり、モータ34の近位縁と遠位縁から等距離にある。
【0031】
中線70は様々な構造で窪み36からオフセットさせることができる。図7に示すように、支柱56、57はそれぞれモータ34から完全に近位および遠位にある。さらに、支柱56の遠位縁はモータ34の遠位縁と支柱57の近位縁と比較してモータ34の近位縁から等距離にある。別のいくつかの実施形態では、支柱56の遠位縁はモータ34の近位縁から第1の距離だけオフセットされ、モータ34の遠位縁は支柱57の近位縁から第2の距離だけオフセットされ、第1の距離は第2の距離と等しくない。たとえば、支柱56の遠位縁はモータ34の遠位縁および支柱57の近位縁よりもモータ34の近位縁に近くすることができる、あるいは支柱56の遠位縁はモータ34の遠位縁と支柱57の近位縁間の距離よりもモータ34の近位縁から遠くにすることができる。図11〜13はその他の様々なオフセット構造を示す。
【0032】
図11はDSA構造114の平面図である。具体的には、図11は湾曲部112の遠位部の下側とモータ134とを示す。湾曲部112のトレースは明瞭化のため図示しない。湾曲部112は、特に記載または図示しないかぎり本願に記載のサスペンションの他の湾曲部と同様に構成することができる。他の湾曲部の特徴と類似する湾曲部112の特徴には類似の参照符号を付す。湾曲部112はバネアーム152と、支柱156、157と、支柱156、157によってバネアーム152に接続される舌状部133とを形成するステンレス鋼層140を含む。支柱156、157の長軸171、172は相互に、かつ、支柱156、157間の中線170と、平行に延在する。中線170は支柱156、157から等距離にある。図示するように、支柱157はモータ134の遠位縁と一致しており、モータ134に部分的にのみ重複する。支柱156はモータ134と完全に重複する。具体的には、支柱156はモータ134の近位縁から遠位にオフセットされる。したがって、支柱156はモータ134の近位縁とは一致しない。このように、支柱156、157はそれぞれモータ134の近位縁と遠位縁に対して対称に配置されない。この非対称のため、中線170はモータ134の中心線とは一致しない。舌状部133の回転軸111とロードビーム窪みの中心または頂点(図11には示さないが、先に示したように回転軸111と一致)はモータ134の中心線と交差する。したがって、モータ134の中心線、回転軸111、窪みはそれぞれ支柱156、157間の中線170の近位にある。窪みの遠位に中線170をオフセットすることで、窪みに一致しないように舌状部133の回転軸111を再配置させることになるその他の要因が相殺される。
【0033】
図12はDSA構造214の平面図である。具体的には、図12は湾曲部212の遠位部の下側とモータ234とを示す。湾曲部212のトレースは明瞭化のために図示していない。湾曲部212は、特に説明または図示しないかぎり本願のサスペンションのその他の湾曲部と同様に構成することができる。その他の湾曲部の特徴に類似する湾曲部212の特徴には類似の参照符号を付す。湾曲部212は、バネアーム252と、支柱256、257と、支柱256、257によってバネアーム252に接続される舌状部233とを形成するステンレス鋼層240を含む。支柱256、257の長軸271、272は相互に、かつ、支柱256、257間の中線270と、平行に延在する。中線270は支柱256、257から等距離にある。図示するように、支柱257はモータ234に完全に重複する。具体的には、支柱257はモータ234の遠位縁の近位にオフセットされる。支柱256はモータ234の近位縁の近位にあり、モータ234とは全く重複しない。このように、支柱256、257はそれぞれモータ234の近位端と遠位縁に対して対称に配置されない。この非対称のため、中線270はモータ234の中心線と一致しない。舌状部212の回転軸211とロードビーム窪みの中心または頂点(図12には示さないが、先に示したように回転軸211と一致)はモータ234の中心線に交差する。したがって、モータ234の中心線と回転軸211はいずれも支柱256、257間の中線270の遠位にある。回転軸211と窪みの近位に中線270をオフセットすることで、窪みに一致しないように舌状部233の回転軸211を再配置させることになるその他の要因が相殺される。
【0034】
図13はDSA構造314の平面図である。具体的には、図13は湾曲部312の遠位部の下側とモータ334とを示す。湾曲部312のトレースは明瞭化のため図示しない。湾曲部312は、特に説明または図示しないかぎり本願のサスペンションのその他の湾曲部と同様に構成することができる。他の湾曲部と類似する湾曲部312の特徴には類似の参照符号を付す。湾曲部312はバネアーム352と、支柱356、357と、支柱356、357によってバネアーム352に接続される舌状部333とを形成するステンレス鋼層340を含む。支柱356、357の長軸371、372は相互に、かつ、支柱356、357間の中線370と、平行に延在する。中線370は支柱356、357から等距離にある。図示するように、支柱356はモータ334に重複しない。具体的には、支柱356はモータ334の近位縁の近位に第1の距離だけオフセットされる。支柱357はモータ334に重複しない。具体的には、支柱357はモータ334の遠位縁の遠位に第2の距離だけオフセットされる。第1の距離は第2の距離と等しくすることができる。このように、支柱356、357はモータ334の近位縁と遠位縁に対してそれぞれ対称に配置される。支柱356、357間の中線370はモータ334の中心線と一致する。このような配置と対称性により、支柱356、357への均等な応力や、始動の際のモータ334への非対称な応力の最小化などの利点を提供することができる。にもかかわらず、舌状部333は本願に記載の理由によりアンバランスになるおそれがある。したがって、支柱356、357とモータ334のアセンブリは、アンバランスを相殺するために支柱356、357間の中線370が回転軸311と一致しないように配置することができる。図13に示すように、回転軸311は中線370およびモータ334の中心線の近位にある。図13が実証するように、上述の各種実施形態とは異なり支柱356、357とモータ334の配列と対称性を維持し、その代わりにロードビーム窪みを移動させて回転軸311と一致させDSA構造314のアンバランスを相殺することが望ましい。したがって、図13には示していないが、湾曲部312に対応するロードビームの窪みを移動させて回転軸311と一致させることができる。
【0035】
図14はDSA構造414の平面図である。具体的には、図14は湾曲部412の遠位部とモータ434とを示す。湾曲部412は特に説明または図示しないかぎり本願のサスペンションの別の湾曲部と同様に構成することができる。他の湾曲部と類似する湾曲部412の特徴には類似の参照符号を付す。湾曲部412は、ベース部450と、ベース部450から延在するバネアーム452と、バネアーム452から横方向内方に延在する支柱456、457と、支柱456、457に接続される舌状部433とを形成するステンレス鋼層440を含む。各バネアーム452は外側アーム部441と内側アーム部442とを含む。各外側アーム部441は、バネアーム452の遠位屈曲部443を介して各自の内側アーム部442とつながる。支柱456、457は内側アーム部442から直角に分岐して舌状部433に接続する。湾曲部412は、湾曲部412の左右側面でバネアーム452の外側アーム部441に装着される一対の拡張アーム453をさらに含む。一対の拡張アーム453は外側アーム部441から遠位に延在する。一対の拡張アーム453は遠位端454を含み、そこから一対の拡張アーム453は横方向内方および近位方向に延在して遠位部455に接続する。一対の拡張アーム453と遠位部455はそれぞれステンレス鋼層440から形成することができる。舌状部433は本願に記載するようにモータ434の始動によって回転させることができる。舌状部433は回転軸を中心に回転し、ジンバルを備え、それ以外の方法で遠位部455に対して移動することができる。トレース460は湾曲部412の遠位端に沿って延在する。トレース460は本願に記載するように構成することができる。トレース460は、少なくともベース部450から舌状部433まで一対のバネアーム452間に延在する。
【0036】
支柱456、457はその他の実施形態に記載および例示されるように長軸と支柱間の中線とを有することができる。湾曲部412はロードビーム(図14には示さず)に装着することができる。具体的には、湾曲部412は近位溶接部480と遠位溶接部481において、ロードビームの下側に溶接またはその他の方法で装着することができる。ロードビームの窪みは、本願に記載されるように支柱456、457間の中線からオフセットさせて、舌状部433のアンバランスに対抗し振動ゲインを低減することができる。窪みはたとえば、舌状部の回転軸と一致する接触点で、モータ、モータに搭載される要素(たとえば、補強材)、または舌状部433と係合することができる。
【0037】
図15はテストデータの図である。同図は、図7に示す実施形態と類似の実施形態における振動ゲイン(Y軸)と、遠位の支柱と近位の支柱(X軸)間の中線の位置との関係を示す。支柱間の中線は図のゼロにおいて窪みと一致し、一方の支柱の位置を変更することによって中線を近位および遠位にシフトした(中線の位置を変更)。図示するように、中線の一方方向へのシフトは、望ましくないことに振動ゲインを増大させるが、中線の他方方向へのシフトは、さらなるシフトが振動ゲインを増大させる前に限られたウィンドウにおいて振動ゲインを低減させる。このようなデータが実証するとおり、とりわけ支柱間の中線を窪みからオフセットすることで、DSA構造における他のアンバランスを相殺するモーメントが導入され、望ましいことに振動ゲインが低減される。
【0038】
本発明の様々な特徴を示すために例示の実施形態を提示したが、本開示の範囲内で様々な変更が考えられる。たとえば、窪みは例示のロード点突起として本願では提示されているが、たとえば釘状またはその他の形状の任意の種類のロード点突起と置き換えることができる。また、窪みはロードビームの一部であり、湾曲部または湾曲部に搭載される要素と接触するように記載されているが、窪みはDSA構造(たとえば、湾曲部、モータ、補強材)に配置して、接触点でロードビームの面状部と係合させることもできる。たとえば、回転軸の位置は、本願に記載の各種実施形態において舌状部、モータ、および/または補強材に被さるように示される。また、各種実施形態においてロードビーム窪みがX−Y面の回転軸の位置と一致する場合、回転軸の示される位置は舌状部、モータ、補強材、またはその他の要素の窪みの接触点に対応する。したがって、窪みの位置が各種実施形態で説明されているが、接触点の位置(たとえば、DSA構造の要素と窪みまたはその他のロード点突起との間)は窪みに関して置き換えることができる。
【0039】
本開示の実施形態は、2013年8月21日に提出された共同所有米国特許出願第13/972,137号「オフセットモータを備えた、同一場所に配置されたジンバルベース2段始動ディスクドライブサスペンション」、2013年9月13日に提出された米国特許出願第14/026,427号「同一場所に配置されたジンバルベース2段始動ディスクドライブサスペンション」、2013年10月2日に提出された米国特許出願第14/044,238号「モータ補強材を備えた、同一場所に配置されたジンバルベース2段始動ディスクドライブサスペンション」、2013年10月10日に提出された米国特許出願第14/050,660号「ダンパーを備えた、同一場所に配置されたジンバルベース2段始動ディスクドライブサスペンション」に開示される特徴を備えるように変更することができ、上記出願はそれぞれあらゆる目的のため全文を本願に組み込む。さらに、上記開示のいずれの実施形態も本開示に鑑み変更することができる。たとえば、任意の実施形態における支柱間の中線は、窪みまたは他のロード点突起に関してオフセットさせてDSA構造のアンバランスを相殺し、振動ゲインを低減させることができる。
【0040】
本発明を好適な実施形態を参照して説明したが、当業者であれば、発明の精神と範囲を逸脱せずに形状や細部を変更できると理解するであろう。たとえば、同一場所に配置された特定のDSA構造について説明したが、本願に記載の補強材とそれに関連する特徴は、その他の同一場所に配置されるDSA構造を含む別のDSA構造と組み合わせて使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15