(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記塗膜の形成工程と近赤外線ヒーターを用いた乾燥工程との間に、風を用いて塗膜を乾燥する工程を有する、請求項1に記載の印刷層付き熱収縮性フィルムの製造方法。
請求項5に記載の印刷層付き熱収縮性フィルムを筒状に形成した熱収縮性筒状ラベルを被着体に被せ、これに近赤外線を照射して熱収縮性筒状ラベルの全部又は一部を熱収縮させる、包装体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
ただし、本明細書において、「裏面」とは、筒状ラベルを形成したときにその筒状内側となる面をいい、「表面」とは、前記裏面の反対面(他方の面)を指し、筒状ラベルを形成したときにその筒状外側となる面をいう。
また、本明細書において、「横方向」は、印刷層付き熱収縮性フィルムの1つの方向であって、この熱収縮性フィルムが筒状ラベルに形成されたときにはその筒状ラベルの周方向に相当し、「縦方向」は、印刷層付き熱収縮性フィルムの面内で前記横方向と略直交する方向をいう。本明細書において、用語の頭に、「第1」、「第2」を付す場合があるが、この第1などは、用語を区別するためだけに付加されたものであり、その順序や優劣などの特別な意味を持たない。「〜」で表される数値範囲は、「〜」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。
なお、各図において表された形状、大きさ、各層の厚み及びそれらの相対的な比率などは、実際の寸法とは異なっていることに留意されたい。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、本発明の印刷層付き熱収縮性フィルムを裏面側から見た正面図であり、
図2及び
図3は、その印刷層付き熱収縮性フィルムの各部で切断した断面図である。
本発明の印刷層付き熱収縮性フィルムの用途は、特に限定されず、例えば、それを用いて熱収縮性筒状ラベルを形成する、それをオーバーラップフィルムとして使用するなどの用途が挙げられる。
前記熱収縮性筒状ラベルは、シュリンクチューブ又は筒状シュリンクなどとも呼ばれ、加熱することにより、筒状の形態で被着体に装着される包装材の1種である。
前記オーバーラップフィルムは、被着体を被包するように被せた後、加熱することにより、被着体を包む包装材の1種である。
本明細書では、印刷層付き熱収縮性フィルムが熱収縮性筒状ラベルとして使用される場合を主として説明する。
【0013】
一般に、熱収縮性筒状ラベルは、容器などの被着体に対する装着方法に従って、予め筒状に形成された熱収縮性筒状ラベルと、被着体に装着すると同時に筒状に形成される熱収縮性筒状ラベルと、に大別できる。これらの熱収縮性筒状ラベルは、いずれも熱収縮性フィルムを筒状に形成した筒状体からなる点において共通しているが、その違いは、被着体に装着される前から筒状となっているか、又は、被着体に装着する前には枚葉状であって、被着体に装着すると同時に筒状となる点である。本発明の熱収縮性筒状ラベルは、前記2つのいずれのタイプでもよい。
以下、図面などを含めて前者のタイプの熱収縮性筒状ラベルについて説明する。
【0014】
<印刷層付き熱収縮性フィルム>
印刷層付き熱収縮性フィルム1は、
図1乃至
図3に示すように、平面視矩形状の熱収縮性フィルム2と、前記熱収縮性フィルム2に設けられた印刷層3と、を有し、前記印刷層3が、黒色を呈する黒色印刷層31を含む。好ましくは、前記印刷層3は、黒色印刷層31と、黒色以外の色彩を呈する印刷層32と、を含む。以下、黒色以外の色彩を呈する印刷層を「カラー印刷層」という。
前記印刷層付き熱収縮性フィルム1は、必要に応じて、前記熱収縮性フィルム2及び印刷層3以外の他の機能層を有していてもよい。前記他の機能層としては、表面保護層、裏面保護層、滑り層、アンカーコート層などが挙げられる。
この印刷層付き熱収縮性フィルム1の裏面が内側となるように、これを筒状にして、その第1側端部21の表面側に第2側端部22を重ねて接着することにより、
図4乃至
図6に示すような、本発明の熱収縮性筒状ラベル9Aが得られる。この場合、第1側端部21の表面及び第2側端部22の裏面が重ね合わせ面となる。
なお、工業的生産過程では、印刷層付き熱収縮性フィルム1は、例えば、複数の長尺状の形態で製造される。熱収縮性筒状ラベルを形成するに際して、その長尺状の形態の印刷層付き熱収縮性フィルムを所定長さに切断することにより、個々の印刷層付き熱収縮性フィルム1が得られる。
【0015】
<熱収縮性フィルム>
前記熱収縮性フィルム2としては、透明なフィルムでもよく、不透明なフィルムでもよい。印刷層3が熱収縮性フィルム2の裏面側に設けられる場合には、熱収縮性フィルム2は透明なフィルムが用いられる。なお、本明細書において、ある部材が「透明」とは、その部材の表面側からその部材の裏面側に設けられた層の色彩及び表示を視認できる程度の透光性を有することをいう。前記熱収縮性フィルム2の全光線透過率は、例えば、70%以上であり、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。前記全光線透過率は、JIS K7105(プラスチックの光学的特性試験方法)に準拠した測定法によって測定される値をいう。
また、熱収縮性フィルム2は、近赤外線を透過する性質を有するフィルムが用いられる。熱収縮性フィルム2の近赤外線透過率は、例えば、80%以上であり、好ましくは85%以上であり、より好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは95%以上である。また、熱収縮性フィルム2の近赤外線吸収率は、例えば、20%未満であり、好ましくは15%以下であり、より好ましくは、10%以下であり、さらに好ましくは5%以下である。熱収縮性フィルム2の近赤外線透過率及び近赤外線反射率は、そのフィルムをサンプルとし、23℃、波長2500nmで分光光度計を用いて測定できる。熱収縮性フィルム2の近赤外線吸収率は、前記測定した透過率及び反射率から算出できる。熱収縮性フィルム2の近赤外線吸収率=100−(熱収縮性フィルム2の近赤外線透過率+近赤外線反射率)。
前記熱収縮性フィルム2は、熱収縮性を有していることを条件として、例えば、自己伸縮性も有していてもよく、或いは、自己伸縮性を有していなくてもよい。自己伸縮性は、フィルムに拡張力を加えるとそのフィルムが伸び、その拡張力を解除するとフィルムがほぼ元の寸法に戻る性質をいう。
【0016】
前記熱収縮性は、所要温度(例えば、70℃〜100℃)に加熱されると収縮する性質をいう。熱収縮性フィルム2は、横方向(横方向は、筒状に形成した際に、周方向となる)に少なくとも熱収縮し、必要に応じて、縦方向にも若干熱収縮又は熱伸張し得るものでもよい。
熱収縮性フィルム2の横方向における熱収縮率は、被着体に密着させることができる程度以上であれば特に限定されない。
本発明の印刷層付き熱収縮性フィルム1が熱収縮性筒状ラベルとして用いられる場合には、その印刷層付き熱収縮性フィルム1の熱収縮性フィルム2の、90℃に加熱した際の横方向における熱収縮率は、例えば、30%以上であり、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上である。なお、同熱収縮性フィルム2が縦方向にも若干熱収縮又は熱伸張する場合、その90℃に加熱した際の縦方向における熱収縮率は、例えば、−3%〜15%である。前記縦方向の熱収縮率のマイナスは、熱伸張を意味する。前記90℃に加熱した際の熱収縮率は、加熱前のフィルムの長さ(元の長さ)と、フィルムを90℃の温水中に10秒間浸漬した後のフィルムの長さ(浸漬後の長さ)の割合であり、下記式に代入して求められる。
本発明の印刷層付き熱収縮性フィルム1がオーバーラップフィルムとして用いられる場合には、その印刷層付き熱収縮性フィルム1の熱収縮性フィルム2の、90℃に加熱した際の横方向及び縦方向における熱収縮率は、例えば、それぞれ独立して、20%以上であり、好ましくは25%以上である。
式:熱収縮率(%)=[{(横方向(又は縦方向)の元の長さ)−(横方向(又は縦方向)の浸漬後の長さ)}/(横方向(又は縦方向)の元の長さ)]×100。
【0017】
前記熱収縮性フィルム2の材質は、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリ乳酸系樹脂などのポリエステル系樹脂;ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂などのオレフィン系樹脂;スチレン−ブタジエン共重合体などのスチレン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;などの熱可塑性樹脂を含むフィルムが挙げられる。また、熱収縮性フィルム2は、単層構造でもよく、複層構造でもよい。印刷溶剤耐性に優れているという点を考慮した場合の熱収縮性フィルム2としては、少なくとも印刷層3の設けられる面がポリエステル系樹脂層で構成されたものが挙げられる。このような熱収縮性フィルム2としては、例えば、ポリエステル系樹脂層の単層フィルム若しくはポリエステル系樹脂層が複数積層された積層フィルム、又は、表裏面層にポリエステル系樹脂層を有し、且つ中間層にポリエステル系樹脂層以外の樹脂層(例えば、ポリスチレン系樹脂層又はポリオレフィン系樹脂層など)を有する異種積層フィルムなどが挙げられる。また、ポリスチレン系樹脂からなる又はポリスチレン系樹脂を含む熱収縮性フィルムは、一般に溶剤が含浸し且つ残留し易いという特質を有するが、本発明によれば、印刷層内に溶剤が残留し難いので、このような熱収縮性フィルム2(例えば、少なくとも印刷層が設けられる面がポリスチレン系樹脂層である熱収縮性フィルム、表裏面層にポリスチレン系樹脂層を有する積層フィルムからなる熱収縮性フィルム、中間層にポリスチレン系樹脂層を有する積層フィルムからなる熱収縮性フィルム、ポリスチレン系樹脂層のみの単層フィルムからなる熱収縮性フィルムなど)も好適に使用できる。
熱収縮性フィルム2の厚みは、特に限定されず、例えば、20μm〜120μmであり、好ましくは30μm〜100μmである。
前記矩形状の熱収縮性フィルム2は、縦方向に沿う第1側端部21と、この第1側端部21に横方向において対向する、縦方向に沿う第2側端部22と、をそれぞれ有する。前記第1側端部21は、熱収縮性フィルム2の1つの側端部において上縁から下縁にまで縦方向に延びる帯状領域である。前記第2側端部22は、熱収縮性フィルム2のもう1つの側端部において上縁から下縁にまで縦方向に延びる帯状領域である。前記第1側端部21及び第2側端部22は、熱収縮性筒状ラベル9Aを形成する際に重ね合わせて接着される、シール部29を構成する。
前記第1側端部21及び第2側端部22の横幅は、それぞれ特に限定されないが、通常、3mm〜20mmであり、好ましくは5mm〜15mmである。前記横幅とは、横方向における長さである。
【0018】
<印刷層>
印刷層3は、熱収縮性フィルム2の表面側及び裏面側の少なくとも一方側に設けられる。例えば、印刷層3は、熱収縮性フィルム2の表面側にのみ設けられていてもよく、その裏面側にのみ設けられていてもよく、或いは、表裏面側の双方に設けられていてもよい。好ましくは、印刷層3は、熱収縮性フィルム2の少なくとも裏面側に設けられる。
図1乃至
図3では、熱収縮性フィルム2の裏面側にのみ印刷層3が設けられた場合を図示している。
印刷層3は、熱収縮性フィルム2の裏面又は表面に直接積層されていてもよく、或いは、熱収縮性フィルム2の裏面又は表面に透明な樹脂層が設けられ、その樹脂層の裏面又は表面に積層されていてもよい。
【0019】
印刷層3は、表示や色彩を施したい領域に設けられる。従って、印刷層3は、熱収縮性フィルム2の所望の領域に設けられ、例えば、熱収縮性フィルム2の全体に設けられていてもよく、或いは、その一部分に設けられていてもよい。もっとも、上記シール部29はフィルム同士を直接接着することによって強固となるので、シール部29を構成するフィルム重ね合わせ面には、印刷層3が設けられていないことが好ましい。
例えば、印刷層3が熱収縮性フィルム2の裏面に設けられ且つ第1側端部21の表面に第2側端部22の裏面を重ね合わせて接着してシール部29を形成する場合、印刷層3は、熱収縮性フィルム2の上縁と、下縁と、第1側端縁(第1側端部21側の側縁)と、第2側端部22の境界線と、によって囲われた領域内に設けられる。また、印刷層3が熱収縮性フィルム2の表面に設けられ且つ第1側端部21の表面に第2側端部22の裏面を重ね合わせて接着してシール部29を形成する場合、印刷層3は、熱収縮性フィルム2の上縁と、下縁と、第2側端縁(第2側端部22側の側縁)と、第1側端部21の境界線と、によって囲われた領域内に設けられる。以下、これらの領域を「特定領域」という。なお、前記第1側端部21の境界線は、熱収縮性フィルム2を筒状に形成した際の、第2側端縁に対応するシール部29の縁29aに相当し、前記第2側端部22の境界線は、熱収縮性フィルム2を筒状に形成した際の、前記シール部29の縁29aとは反対側の縁29bに相当する(
図6参照)。
印刷層3は、前記特定領域内の全体に設けられていてもよく、又は、その特定領域内の一部分に設けられていてもよい。一部分とは、1つの部分という意味ではなく、熱収縮性フィルムの面内における1つの部分のみならず、独立した2つ以上の部分も含まれる。従って、印刷層3が特定領域の一部分に設けられる場合、印刷層3は、前記特定領域の1箇所に設けられていてもよく、独立した2箇所以上に設けられていてもよい。
図示例では、印刷層3は、熱収縮性フィルム2の裏面における前記特定領域の全体に設けられている。かかる特定領域全体に印刷層3が設けられた印刷層付き熱収縮性フィルム1を筒状に形成した熱収縮性筒状ラベル9Aは、
図5及び
図6に示すように、第2側端部22に印刷層3を有さないが、その第2側端部22に、印刷層3の設けられた第1側端部21が重なるので、印刷層3がシール部29において途切れることなく筒状体の周囲全体に存在するようになる。
印刷層3の厚みは、特に限定されず、例えば、0.5μm〜8μmであり、好ましくは、1μm〜5μmである。
【0020】
印刷層3は、黒色を呈する黒色印刷層31を含み、必要に応じて、カラー印刷層32を含んでいてもよい。
本明細書において、黒色は、視覚を以て黒と認識できる色彩をいう。前記黒色の指標としては、L*a*b*表色系が知られている。これは、国際照明委員会(CIE)が1976年に推奨した色空間であり、CIE1976(L*a*b*)表色系と称される色空間であり、日本工業規格では、JIS Z 8729に規定されている。前記黒色は、例えば、L*a*b*表色系で規定されるL*が、35以下(0〜35)であり、好ましくは30以下(0〜30)であり、より好ましくは28以下(0〜28)である黒色系が含まれる。なお、前記L*a*b*表色系で規定されるa*及びb*は、特に限定されないが、例えば、それぞれ独立して−20〜20であり、より好ましくは−10〜10であり、より好ましくは−5〜5であり、特に好ましくは略0である。
【0021】
前記黒色印刷層31は、文字や模様などの所望のデザインを表すことを目的としているもの(以下、デザイン目的という)でもよく、或いは、所望のデザインを表すものではなく、その黒色の印刷層を設けることを目的としているもの(以下、非デザイン目的という)でもよい。デザイン目的の黒色印刷層31は、一般的に、商品の説明書きなどの文字、商標、模様の線画などを黒色で表示する。非デザイン目的の黒色印刷層31は、例えば、それが紫外線などを遮断する遮光層、デザインを際立たせるためにデザインの背景に設けられる背景印刷層などが挙げられる。
【0022】
前記カラー印刷層32は、デザイン目的でもよく、非デザイン目的でもよく、デザイン目的と非デザイン目的を併有するものでもよい。デザイン目的のカラー印刷層32は、例えば、赤色、青色、白色などの黒色以外の色彩の1色又は2色以上の印刷層からなり、商品の説明書きなどの文字、商標、模様の線画などをカラーで表示する。なお、非デザイン目的のカラー印刷層32は、白色、銀色などの黒色以外の色彩の1色又は2色以上の印刷層3からなり、それは、遮光層や背景印刷層などとして機能する。
【0023】
図2及び
図3に示す第1例の印刷層付き熱収縮性フィルム1は、熱収縮性フィルム2の裏面側に印刷層3を有し、その印刷層3が、黒色印刷層31と、その黒色印刷層31の裏面側に設けられたカラー印刷層32と、を有する。なお、便宜上、各断面図において、黒色印刷層を塗り潰しで示している。
この場合の黒色印刷層31及びカラー印刷層32の組み合わせとしては、例えば、次のような場合が挙げられる。
(1)黒色印刷層31が、デザイン目的の印刷層であり、カラー印刷層32が、デザイン目的の印刷層である場合。この場合、カラー印刷層32は、例えば、赤色などの1色又は2色以上で、黒色印刷層31のデザインとは異なるデザインを表示する、又は、黒色印刷層31のデザインと結合して1つのデザインを表示する。
(2)黒色印刷層31が、デザイン目的の印刷層であり、カラー印刷層32が、非デザイン目的の印刷層である場合。この場合、カラー印刷層32は、例えば、白色や銀色などの1色又は2色以上で、特にデザインを表わさず、ベタ状に設けられる。なお、本明細書において、印刷層がベタ状に設けられるとは、その印刷層が設けられる範囲において隙間無く連続的に印刷層が設けられることをいう。
(3)黒色印刷層31が、デザイン目的の印刷層であり、カラー印刷層32が、デザイン目的と非デザイン目的を併有する印刷層である場合。この場合、カラー印刷層32は、例えば、前記(1)のようなデザインを表す印刷層と、さらに、その裏面側に前記(2)のようなデザインを表さない印刷層とからなり、非デザイン目的の印刷層は、ベタ状に設けられる。
なお、黒色印刷層31及びカラー印刷層32は、それぞれ1回の印刷によって形成されていてもよく、2回以上の印刷によって形成されていてもよい。例えば、前記(3)のカラー印刷層32は、通常、2回以上の印刷によって形成される。
【0024】
図7は、第2例の印刷層付き熱収縮性フィルムの断面図である。第2例の印刷層付き熱収縮性フィルムの正面図は、
図1と同様であるので、省略し、
図7の断面図は、
図1のII−II線と同様の箇所で第2例の印刷層付き熱収縮性フィルムを切断した図である。
第2例の印刷層付き熱収縮性フィルム1は、熱収縮性フィルム2の裏面側に印刷層3を有し、その印刷層3が、カラー印刷層32と、そのカラー印刷層32の裏面側に設けられた黒色印刷層31と、を有する。
この場合のカラー印刷層32及び黒色印刷層31の組み合わせとしては、例えば、次のような場合が挙げられる。
(4)カラー印刷層32が、デザイン目的の印刷層であり、黒色印刷層31が、非デザイン目的の印刷層である場合。この場合、黒色印刷層31は、ベタ状に設けられる。
(5)カラー印刷層32が、デザイン目的の印刷層であり、黒色印刷層31が、デザイン目的の印刷層である場合。なお、図示例では、黒色印刷層31がカラー印刷層32の裏面側においてベタ状に設けられているが、黒色印刷層31がデザイン目的の印刷層である場合、カラー印刷層32が設けられていない部分において又はカラー印刷層32が設けられている部分に重なって、部分的に設けられることが多い。
【0025】
図8は、第3例の印刷層付き熱収縮性フィルムの断面図である。第3例の印刷層付き熱収縮性フィルムの正面図は、
図1と同様であるので、省略し、
図8の断面図は、
図1のII−II線と同様の箇所で第3例の印刷層付き熱収縮性フィルムを切断した図である。
第3例の印刷層付き熱収縮性フィルム1は、熱収縮性フィルム2の裏面側に印刷層3を有し、その印刷層3が、黒色印刷層31のみからなる。
このような印刷層付き熱収縮性フィルム1は、遮光用フィルムとして好適に用いられる。
【0026】
前記黒色印刷層31は、近赤外線吸収率が30%未満の着色剤と、バインダー樹脂と、を含む。以下、黒色印刷層31に含まれる近赤外線吸収率が30%未満の着色剤を、「特定着色剤」と記す。好ましくは、黒色印刷層31は、特定着色剤と、バインダー樹脂と、を含み、実質的にカーボンブラックを含まない。必要に応じて、黒色印刷層31は各種の添加剤を含んでいてもよい。なお、実質的にカーボンブラックを含まないとは、着色剤としてのカーボンブラックを含まないという意味であり、着色剤として機能しない程度に不可避的に含まれる程度の微量のカーボンブラックの混入は許容され且つ有意な量の混入は除外されるという意味である。
前記特定着色剤は、近赤外線吸収率が30%未満であって、近赤外線を透過する性質(近赤外線透過性)及び/又は近赤外線を反射する性質(近赤外線反射性)も有する。
ここで、近赤外線の波長は、一般に、波長780nm〜3000nmの範囲であるが、本明細書に記載の近赤外線透過性、近赤外線透過性及び近赤外線反射性は、いずれも23℃で波長2500nmの近赤外線を基準とする。
特定着色剤の近赤外線吸収率は、例えば、好ましくは20%以下であり、より好ましくは、15%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。
前記特定着色剤の近赤外線透過率は、例えば、70%以上であり、好ましくは75%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。
前記特定着色剤の近赤外線反射率は、例えば、5%以上であり、好ましくは15%以上であり、より好ましくは20%以上であり、さらに好ましくは25%以上である。
前記特定着色剤(近赤外線吸収率が30%未満の着色剤)は、前記数値の近赤外線透過率及び前記数値の近赤外線反射率の少なくとも一方を有することが好ましく、或いは、前記数値の近赤外線透過率及び前記数値の近赤外線反射率の何れか一方のみを有することが好ましい。
なお、近赤外線吸収率と近赤外線透過率の合計が100%に満たない特定着色剤は、近赤外線反射性をも有している。
特定着色剤の近赤外線透過率及び近赤外線反射率は、それぞれ、1質量部の特定着色剤と10質量部の臭化カリウムとを混合して得られた粉末を、100kg/mm
2で加圧して厚み0.1mmにしたペレットをサンプルとして、23℃、波長2500nmで分光光度計を用いて測定できる。特定着色剤の近赤外線吸収率は、前記測定した透過率及び反射率から算出できる。特定着色剤の近赤外線吸収率=100−(特定着色剤の近赤外線透過率+近赤外線反射率)。
【0027】
前記特定着色剤は、黒色印刷層31を黒色に着色できるものであればよい。
特定着色剤は、1種の着色剤から構成されていてもよく、2種以上の着色剤から構成されていてもよい。特定着色剤が2種以上の着色剤から構成される場合、2種以上の着色剤の近赤外線透過率、近赤外線透過率及び近赤外線吸収率は、それぞれ、上記特定着色剤の近赤外線透過率、近赤外線透過率及び近赤外線吸収率の数値範囲と同様であればよい。2種以上の着色剤のそれぞれの近赤外線透過率、近赤外線透過率及び近赤外線吸収率は、上記特定着色剤と同様な方法で測定できる。
前記特定着色剤としては、チタンブラック;Cr−Fe系やCr−Fe−Co系などの複合酸化物;アゾ系、アンスラキノン系、フタロシニアン系、ペリレン系、インジゴ・チオインジオ系、ジオキサン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ジケトピロロピロール系、アゾメチン系、アゾメチンアゾ系、ビスベンゾフラノン系などの染料又は顔料;などが挙げられる。その他、特開2002−249676号公報に開示された染料又は顔料などを用いてもよい。(前記公報の記載を本明細書に記載したものとして)本明細書では、紙面の都合上、前記公報の記載を省略するが、本明細書には、前記公報の記載をそのままは取り込めるものとする。これらの中では、チタンブラック、アゾ系、フタロシアニン系、ペリレン系、ビスベンゾフラノン系の特定着色剤が好ましく、さらに、ペリレン系がより好ましい。
特定着色剤の具体例としては、例えば、赤顔料、藍顔料及び黄顔料を適宜量混合した調色顔料;BASF社製の商品名「ルモゲンブラック FK4280」及びBASF社製の商品名「パリオゲンブラック S0084」を適宜量混合した調色顔料などが挙げられる。なお、前記BASF社の調色顔料は、ペリレン系顔料である。
【0028】
前記バインダー樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ニトロセルロースやセルロース・アセテート・ブチレートなどのセルロース系樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂などが挙げられる。バインダー樹脂は、1種単独で又は2種以上を併用できる。
前記添加剤として、例えば、沈降防止剤、滑剤、分散安定剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤などが挙げられる。
前記特定着色剤の含有量は、特に限定されず、黒色印刷層31の全体を100質量%とした場合に、例えば、0.3質量%〜70質量%であり、好ましくは0.5質量%〜60質量%である。
【0029】
前記カラー印刷層32は、黒色以外の色彩の着色剤と、バインダー樹脂と、を含む。好ましくは、カラー印刷層32は、黒色以外の着色剤と、バインダー樹脂と、を含み、実質的にカーボンブラックを含まない。必要に応じて、カラー印刷層32は各種の添加剤を含んでいてもよい。前記黒色以外の色彩の着色剤は、カラー印刷層32を黒色以外に着色できる着色剤をいう。前記黒色以外の色彩の着色剤も、特定着色剤と同様に、その着色剤自体の色彩やカラー印刷層形成用インキの色彩は、必ずしもカラー印刷層32の色彩と同じでなくてもよい。
前記黒色以外の着色剤としては、従来より印刷インキに用いられている有機又は無機顔料を適宜用いることができる。これらの顔料としては、例えば、酸化チタンなどの白色顔料、アルミニウム微粒子などの銀色顔料、銅フタロシアニンブルーなどの青色顔料、縮合アゾ系顔料などの赤色顔料、アゾレーキ系顔料などの黄色顔料などが挙げられる。
黒色以外の色彩の着色剤は、近赤外線を吸収し難い。黒色以外の色彩の着色剤の近赤外線吸収率は、例えば、好ましくは30%未満であり、好ましくは20%以下であり、より好ましくは、15%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。また、黒色以外の色彩の着色剤の近赤外線透過率は、例えば、70%以上であり、好ましくは75%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。前記黒色以外の色彩の着色剤の近赤外線反射率は、例えば、5%以上であり、好ましくは15%以上であり、より好ましくは20%以上であり、さらに好ましくは25%以上である。
前記黒色以外の着色剤は、近赤外線吸収率が30%未満で、且つ前記数値の近赤外線透過率及び前記数値の近赤外線反射率の少なくとも一方を有することが好ましく、さらに、近赤外線吸収率が30%未満で、且つ前記数値の近赤外線透過率及び前記数値の近赤外線反射率の何れか一方のみを有することがより好ましい。
黒色以外の着色剤の近赤外線吸収率、近赤外線透過率及び近赤外線吸収率は、上記特定着色剤と同様にして測定できる。
前記カラー印刷層32のバインダー樹脂及び添加剤は、上記黒色印刷層31で例示したようなものを適宜選択して用いることができる。
【0030】
また、特定着色剤を含む本発明の印刷層付き熱収縮性フィルム1の前記黒色印刷層31とそれが設けられたフィルム部分との一体積層部の近赤外線吸収率は、30%未満であり、好ましくは20%以下であり、より好ましくは、15%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。また、前記一体積層部の近赤外線透過率は、例えば、70%以上であり、好ましくは75%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上であり、その近赤外線反射率は、例えば、5%以上であり、好ましくは15%以上であり、より好ましくは20%以上であり、さらに好ましくは25%以上である。
前記一体積層部は、近赤外線吸収率が30%未満で、且つ前記数値の近赤外線透過率及び前記数値の近赤外線反射率の少なくとも一方を有することが好ましく、さらに、近赤外線吸収率が30%未満で、且つ前記数値の近赤外線透過率及び前記数値の近赤外線反射率の何れか一方のみを有することがより好ましい。
黒色印刷層31とフィルム部分との一体積層部の近赤外線透過率及び近赤外線反射率は、その一体積層部をサンプルとし、23℃、波長2500nmで分光光度計を用いて測定でき、その近赤外線吸収率は、前記測定した透過率及び反射率から算出できる。
【0031】
<熱収縮性筒状ラベル>
図4及び
図6において、本発明の熱収縮性筒状ラベル9Aは、上記印刷層付き熱収縮性フィルム1の裏面側を内側にし且つその横方向(主たる熱収縮方向)が周方向となるように丸め、印刷層付き熱収縮性フィルム1の第1側端部21と第2側端部22を重ね合わせ、その重ね合わせ面を接着剤、粘着剤又は溶剤にて接着してシール部29を形成することにより、得られる。
かかる熱収縮性筒状ラベル9Aは、従来と同様にして、容器などの被着体に装着される。すなわち、熱収縮性筒状ラベル9Aを容器などの被着体の周囲を覆うように位置決めして装着した後それを加熱することにより、熱収縮性筒状ラベル9Aが収縮し、
図9に示すように、容器8などの被着体に熱収縮性筒状ラベル9Aが装着されたラベル付き容器10が得られる。
加熱手段としては、例えば、スチーム、ドライスチーム、熱風、遠赤外線(輻射熱)などが挙げられる。前記スチームは、100℃未満の水蒸気であり、ドライスチームは、100℃以上の水蒸気である。前記スチームの温度は、例えば、90℃〜99℃、ドライスチームの温度は、100℃〜130℃、熱風の温度は、150℃〜400℃などが例示できる。遠赤外線の波長としては、4000nm〜1000μmである。
【0032】
<印刷層付き熱収縮性フィルムの製造方法>
次に、印刷層付き熱収縮性フィルムの製造方法について説明する。
本発明の印刷層付き熱収縮性フィルムは、熱収縮性フィルムに、特定着色剤を含む黒色印刷層形成用インキを塗布して塗膜を形成する工程、塗膜を近赤外線を用いて乾燥することにより黒色印刷層を形成する工程、を経て製造することができる。また、上記のようなカラー印刷層及び黒色印刷層を有する印刷層付き熱収縮性フィルムは、さらに、黒色以外の着色剤を含むカラー印刷層形成用インキを熱収縮性フィルムに印刷する工程を有する。
【0033】
熱収縮性フィルムは、上述のような枚葉状のフィルムを用いてもよいが、工業的生産過程では、通常、長尺状のフィルムが用いられる。長尺状とは、MD方向の長さがTD方向の長さに比して十分に長い矩形状をいい、例えば、MD方向の長さがTD方向の長さの10倍以上、好ましくは50倍以上である。一般には、MD方向の長さが50m〜20000m、TD方向の長さが10cm〜3mの長尺状の熱収縮性フィルム2が用いられる。
熱収縮性フィルム2の性質や材質などは、上記<熱収縮性フィルム>に記載の通りである。
【0034】
この長尺状の熱収縮性フィルムの裏面及び表面の少なくとも何れか一方面に、印刷層を形成する。
印刷層として黒色印刷層のみを有する印刷層付き熱収縮性フィルムを形成する場合には、特定着色剤を含む黒色印刷層形成用インキを公知の塗布法にて熱収縮性フィルムに塗布する。
印刷層として黒色印刷層及びカラー印刷層を有する印刷層付き熱収縮性フィルムを形成する場合には、黒色印刷層形成用インキを公知の塗布法にて熱収縮性フィルムに塗布して黒色印刷層を形成すると共に、カラー印刷層形成用インキを公知の塗布法にて熱収縮性フィルムに塗布してカラー印刷層を形成する。なお、黒色印刷層とカラー印刷層の形成順序は、特に限定されない。
【0035】
以下、印刷層として黒色印刷層及びカラー印刷層の双方を形成する場合を主として説明する。
黒色印刷層及びカラー印刷層を形成する各工程の順序としては、大別して、次のようなパターンが挙げられる。
(1)第1パターンは、黒色印刷層形成用インキを熱収縮性フィルムに塗布して塗膜(以下、黒塗膜という場合がある)を形成する工程、その黒塗膜を近赤外線ヒーターを用いて乾燥して黒色印刷層を形成する工程、カラー印刷層形成用インキを塗布して塗膜(以下、カラー塗膜という)を形成する工程、そのカラー塗膜を乾燥してカラー印刷層を形成する工程、を有する。
(2)第2パターンは、黒色印刷層形成用インキを熱収縮性フィルムに塗布して黒塗膜を形成する工程、その黒塗膜を風を用いて乾燥する工程、その黒塗膜をさらに近赤外線ヒーターを用いて乾燥して黒色印刷層を形成する工程、カラー印刷層形成用インキを塗布してカラー塗膜を形成する工程、そのカラー塗膜を乾燥してカラー印刷層を形成する工程、を有する。
(3)第3パターンは、黒色印刷層形成用インキを熱収縮性フィルムに塗布して黒塗膜を形成する工程、その黒塗膜を風を用いて乾燥する工程、カラー印刷層形成用インキを塗布してカラー塗膜を形成する工程、そのカラー塗膜を乾燥してカラー印刷層を形成する工程、その後、前記黒塗膜を近赤外線ヒーターを用いて乾燥して黒色印刷層を形成する工程、を有する。
(4)第4パターンは、黒色印刷層形成用インキを熱収縮性フィルムに塗布して黒塗膜を形成する工程、その黒塗膜を近赤外線ヒーターを用いて乾燥して黒色印刷層を形成する工程、その黒色印刷層を風を用いてさらに乾燥する工程、カラー印刷層形成用インキを塗布して塗膜(以下、カラー塗膜という)を形成する工程、そのカラー塗膜を乾燥してカラー印刷層を形成する工程、を有する。
(5)第5パターンは、カラー印刷層形成用インキを熱収縮性フィルムに塗布してカラー塗膜を形成する工程、そのカラー塗膜を乾燥してカラー印刷層を形成する工程、その後、黒色印刷層形成用インキを塗布して黒塗膜を形成する工程、その記黒塗膜を近赤外線ヒーターを用いて乾燥して黒色印刷層を形成する工程、を有する。
(6)第6パターンは、カラー印刷層形成用インキを熱収縮性フィルムに塗布してカラー塗膜を形成する工程、そのカラー塗膜を乾燥してカラー印刷層を形成する工程、その後、黒色印刷層形成用インキを塗布して黒塗膜を形成する工程、その黒塗膜を風を用いて乾燥する工程、その黒塗膜をさらに近赤外線ヒーターを用いて乾燥して黒色印刷層を形成する工程、を有する。
(7)第7パターンは、カラー印刷層形成用インキを熱収縮性フィルムに塗布してカラー塗膜を形成する工程、そのカラー塗膜を乾燥してカラー印刷層を形成する工程、その後、黒色印刷層形成用インキを塗布して黒塗膜を形成する工程、その黒塗膜を近赤外線ヒーターを用いて乾燥して黒色印刷層を形成する工程、その黒色印刷層を風を用いてさらに乾燥する工程、を有する。
なお、黒塗膜を風乾燥する工程は、必要に応じて行われる。第3パターンにおいて、黒色印刷層形成用インキを塗布した直後の黒塗膜を風乾燥することにより、黒塗膜の表面のべとつきが無くなり、その黒塗膜の上からカラー印刷層形成用インキを塗布することも可能となる。ただし、カラー印刷層と黒色印刷層は、重ねて形成してもよいし、別々に形成してもよい。
なお、カラー印刷層を形成しない場合には、上記各パターンからカラー印刷層の形成工程が省略される。
【0036】
(黒塗膜の形成工程)
本発明の黒色印刷層形成用インキは、特定着色剤及びバインダー樹脂を含み(必要に応じて各種添加剤を含み)、乾燥することによって層を成すインキである。前記黒色印刷層形成用インキは、好ましくはカーボンブラックを実質的に含まない。このような黒色印刷層形成用インキは、特定着色剤、バインダー樹脂及び任意の添加剤が溶剤に分散又は溶解された溶剤型、それらが水系溶媒に分散又は溶解された水性インキ型などが挙げられる。
黒色印刷層形成用インキが溶剤型である場合、その溶剤としては、特に限定されず、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;トルエンなどの炭化水素類;これらの混合溶媒などが挙げられる。
黒色印刷層形成用インキが水性インキ型である場合、そのバインダー樹脂としては、上記に例示したような熱可塑性樹脂の樹脂エマルジョンや水溶性樹脂などが挙げられ、その水系溶媒としては、水や、アルコール類が添加された水などが挙げられる。
【0037】
前記溶剤型又は水性インキ型の黒色印刷層形成用インキを熱収縮性フィルムに塗布して黒塗膜を形成する。塗布法は、特に限定されず、例えば、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、凸版輪転印刷法、オフセット印刷法などの各種の印刷法を用いることができる。印刷速度は、特に限定されず、例えば、100m/分〜300m/分である。
【0038】
(カラー塗膜の形成工程)
カラー印刷層形成用インキは、黒色以外の着色剤及びバインダー樹脂を含むインキであり、さらに、必要に応じて各種添加剤を含むインキであり、好ましくはカーボンブラックを実質的に含まない。
カラー印刷層形成用インキは、溶剤型、水性インキ型、紫外線硬化型などの反応型の何れでもよいが、上述のように黒色以外の着色剤は近赤外線を吸収し難いことから、黒色印刷層形成用インキと同様に、溶剤型、又は、水性インキ型が好ましい。なお、カラー印刷層形成用インキは、従来公知のものを用いることができる。
特定着色剤、バインダー樹脂、黒色以外の着色剤及び添加剤の詳細は、上記<印刷層>に記載の通りである。
【0039】
(近赤外線ヒーターによる乾燥工程)
近赤外線ヒーターによる乾燥工程は、主として黒塗膜の乾燥のために行われる。
黒塗膜を、近赤外線ヒーターを用いて乾燥する。近赤外線ヒーターとしては、市販品を用いることができ、例えば、ヘレウス(株)製の商品名「カーボンヒーター」などが挙げられる。
前記近赤外線ヒーターの波長は、特に限定されず、波長780nm〜3000nmの範囲から適宜選択できる。
黒塗膜を近赤外線ヒーターで乾燥することにより、溶剤又は水系溶媒が除去され、熱収縮性フィルムに黒色印刷層が形成される。
本発明においては、近赤外線を透過する特定着色剤を含む黒色印刷層形成用インキを用いているため、近赤外線ヒーターでの乾燥時に、特定着色剤が大きく発熱せず、熱収縮性フィルムが不用意に収縮することを防止できる。また、近赤外線ヒーターを用いて乾燥すれば、例えば、1〜5秒程度の比較的短い時間でインキ乾燥が完了するので、印刷層付き熱収縮性フィルムの製造効率に優れている。また、本発明によれば、内部に溶剤などの溶媒が残存し難い黒色印刷層を有する印刷層付き熱収縮性フィルムを形成できる。
【0040】
カラー塗膜を、近赤外線ヒーターを用いて乾燥してもよい。
溶剤型又は水性インキ型のカラー印刷層形成用インキを用いた場合には、黒色印刷層形成用インキと同様に、カラー印刷層形成用インキを熱収縮性フィルムに塗布してカラー塗膜を形成後、近赤外線ヒーターを用いてそれを乾燥することが好ましい。
【0041】
(風乾燥工程)
風乾燥工程は、黒塗膜及びカラー塗膜の何れの乾燥のために行ってもよい。
黒塗膜の風乾燥工程は、(a)黒塗膜を形成した後で且つ近赤外線ヒーターによる乾燥工程の前に、又は、(b)近赤外線ヒーターによる乾燥工程を行って黒色印刷層を形成した後に行われる。
前記(a)の場合、黒色印刷層形成用インキを塗布して得られた黒塗膜に対して、風を吹き付け、その黒塗膜を1次乾燥し、その1次乾燥後の黒塗膜に対して近赤外線ヒーターによる乾燥を2次的に行う。前記風による1次乾燥は、黒塗膜の表面のべとつきが無くなる程度まで行うことが好ましい。
前記(b)の場合、黒塗膜を近赤外線ヒーターによって乾燥して得られた黒色印刷層に対して風を吹き付ける。
近赤外線ヒーターによる乾燥に加えて、風乾燥を併用することにより、残留溶剤をより低減できる。さらに、風乾燥を併用することにより、近赤外線ヒーターによる乾燥と自然乾燥を併用した場合に比して、より早く印刷層付き熱収縮性フィルムを得ることができる。
前記風は、室温の風でもよく、室温よりも高い温風でもよい。温風の温度は、例えば、30℃〜60℃である。
風速及び風を当てる時間は、特に限定されず、例えば、風速20m/秒〜40m/秒であり、時間0.1秒〜3秒である。
カラー塗膜の風乾燥工程は、(a)カラー塗膜を形成した後で且つ近赤外線ヒーターによる乾燥工程の前に、又は、(b)カラー塗膜を形成した後(近赤外線ヒーターによる乾燥を行わずに)に行われる。カラー塗膜の風の条件は、上記黒塗膜と同様である。
なお、上述のように、黒色印刷層の形成及びカラー印刷層の形成に際して、風乾燥は、必要に応じて行われる。
【0042】
[第2実施形態]
第2実施形態は、印刷層付き熱収縮性フィルムを筒状に形成した熱収縮性筒状ラベルであって、近赤外線によって発熱する発熱層をさらに有する熱収縮性筒状ラベル及びそれを被着体に装着したラベル付き容器に関する。
以下、第2実施形態を説明するが、第1実施形態と同様の構成及び効果は、(その説明をしたものとして)その説明を省略し、用語及び符号を援用する場合がある。
【0043】
図10及び
図11に示すように、本実施形態の印刷層付き熱収縮性フィルム1には、発熱層5が設けられている。
印刷層付き熱収縮性フィルム1は、上記第1実施形態と同様である。なお、
図11では、印刷層付き熱収縮性フィルム1として、第1実施形態の第1例の態様を図示しているが、第2例又は第3例の態様を適用してもよい。
【0044】
発熱層5は、近赤外線により発熱する近赤外線発熱性化合物を含み、この化合物が発熱することにより、その周囲(発熱層5を構成する他の成分及び熱収縮性フィルム2)に熱が伝搬し、熱収縮性フィルム2のうちその発熱層5に対応する領域が収縮する。発熱層5に対応する領域は、熱収縮性フィルム2の面内において発熱層5が設けられた領域である。以下、発熱層に対応する領域を「発熱層対応領域」という場合がある。
発熱層5は、透明でもよいし、不透明でもよい。発熱層5が印刷層3よりも表面側に配置される場合には、印刷層3を透視するため、透明な発熱層5が用いられる。
発熱層5の近赤外線透過率は、例えば、50%未満であり、好ましくは40%以下であり、より好ましくは30%以下である。発熱層5の近赤外線吸収率は、例えば、50%以上であり、好ましくは60%以上であり、より好ましくは70%以上である。このような発熱層5は、近赤外線を十分に吸収し、大きく発熱し得る。特に、発熱層5が熱収縮性フィルム2の表面側に設けられる場合には、前記範囲の近赤外線透過率を有する発熱層5が好ましい。
なお、発熱層5の近赤外線透過率及び近赤外線反射率は、その発熱層とそれが設けられた熱収縮性フィルム部分との一体積層部をサンプルとし、23℃、波長2500nmで分光光度計を用いて測定できる。発熱層5の近赤外線吸収率は、前記測定した透過率及び反射率から算出できる。発熱層5の近赤外線吸収率=100−(発熱層5の近赤外線透過率+近赤外線反射率)。
【0045】
発熱層5は、例えば、次の関係を満たすようなものが好ましく用いられる。
関係:発熱層の熱によって収縮させた際の熱収縮性フィルムの熱収縮量>加熱手段によって熱収縮性フィルムを収縮させた際の熱収縮性フィルムの熱収縮量
前記関係において、後者の熱収縮量は、加熱手段として95℃のスチームを用いた場合である。
【0046】
発熱層5は、近赤外線により発熱する近赤外線発熱性化合物と、それを固定するマトリックス樹脂と、必要に応じて含有される各種の添加剤と、からなる。
近赤外線発熱性化合物としては、近赤外線を吸収し発熱するものであれば特に限定されないが、例えば、ジイモニウム塩化合物が挙げられる。ジイモニウム塩化合物を用いると、透明性に優れた発熱層5を形成できる。ジイモニウム塩化合物の具体例は、例えば、特開2010−249964に開示されているものを用いることができる。
本発明に使用できるジイモニウム塩化合物として、特開2010−249964の[0024]乃至[0050]に開示されたものを本明細書に記載したものとして、その記載は省略する。
近赤外線発熱性化合物として、ジイモニウム塩化合物以外に、シアニン系化合物、ジチオール金属錯体化合物、フタロシアニン系化合物、カーボンブラック、酸化チタン、アルミ顔料なども例示できる。近赤外線発熱性化合物は、これらの化合物の1種又は2種以上を混合して使用できるが、少なくともジイモニウム塩化合物を含んでいることが好ましい。
【0047】
発熱層5は、近赤外線発熱性化合物、マトリックス樹脂及び添加剤を含む組成物を、熱収縮性フィルム2などに塗布し、それを固化することにより形成できる。
発熱層5の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.1μm〜5μmであり、好ましくは0.5μm〜5μmである。
マトリックス樹脂は、特に限定されず、上記バインダー樹脂として例示したような樹脂を適宜選択して用いることができる。
前記組成物は、溶剤型、水性インキ型、又は反応型の何れでもよい。
【0048】
前記発熱層5は、熱収縮性フィルム2の表面側及び裏面側の少なくとも一方側に設けられる。例えば、発熱層5は、熱収縮性フィルム2の表面側にのみ設けられていてもよく、その裏面側にのみ設けられていてもよく、或いは、表裏面側の双方に設けられていてもよい。近赤外線を十分に受け得るようにするために、発熱層5は、熱収縮性フィルム2の少なくとも表面側に設けることが好ましい。
発熱層5は、熱収縮性フィルム2の全体に設けられていてもよいが、シール部29を強固に形成する観点から、特定領域に設けられる。発熱層5は、特定領域の全体に設けられていてもよく、特定領域の一部分に設けられていてもよい。なお、一部分とは、1つの部分という意味ではなく、独立した2つ以上の部分も含まれる。従って、発熱層5が特定領域の一部分に設けられる場合、発熱層5は、前記特定領域内の1箇所に設けられていてもよく、独立した2箇所以上に設けられていてもよい。
発熱層5が特定領域の一部分に設けられる場合、その位置は、容器の形状に応じて適宜設定できるが、容器が縮径部を有する場合には、熱収縮性筒状ラベルを容器に外装した際に、その縮径部に対応するような位置に設けられる。例えば、発熱層5は、熱収縮性フィルム2の特定領域のうち、上縁を含む上方帯領域及び下縁を含む下方帯領域の少なくとも一方に設けられる。図示例では、発熱層5は、特定領域のうち、下縁を下方帯領域に設けられている。
なお、発熱層5の形成時期は、<印刷層付き熱収縮性フィルムの製造方法>の近赤外線ヒーターによる乾燥工程の後が好ましい。
【0049】
かかる発熱層5を有する印刷層付き熱収縮性フィルム1を、上記第1実施形態と同様に、その裏面側を内側にし且つその横方向が周方向となるように丸め、第1側端部21と第2側端部22の重ね合わせ面を接着してシール部29を形成することにより、第2実施形態の熱収縮性筒状ラベル9Bが得られる。
かかる熱収縮性筒状ラベル9Bは、
図12に示すように、熱収縮性筒状ラベル9Bの下縁を含む下方周帯領域に、発熱層5が周方向全体に亘って延在している。
【0050】
本実施形態の熱収縮性筒状ラベル9Bを容器に装着することにより、ラベル付き容器が得られる。
そのラベル付き容器の製造方法は、熱収縮性筒状ラベル9Bを容器に装着した後(装着工程の後)、その熱収縮性筒状ラベル9Bに対して近赤外線を作用させて発熱層5を発熱させることにより筒状体の一部分を熱収縮させた後(部分収縮工程の後)、さらに、その熱収縮性筒状ラベル9Bに対して加熱手段を作用させて筒状体全体に熱を加える(全体加熱工程)ことを特徴とする。
具体的には、容器は、特に限定されない。もっとも、例えば、
図13に示すように、縮径部を有する中空柱状の容器8に前記熱収縮性筒状ラベル9Bを装着することが効果的である。
容器8の内部に充填される内容物は、特に限定されず、飲料、ゲル状又は顆粒状の食品、調味料、医薬品、シャンプー、リンス、洗剤、柔軟剤、殺虫剤、消臭剤、芳香剤などのトイレタリー用品などが挙げられる。
図示例の容器8は、いわゆるボトル型の容器である。この容器8は、底面部81と、底面部81から上方に延びる胴部82と、胴部82の上端に開口された注出部を開閉する蓋部83と、を有する。底面部81は、容器8を水平面に自立させた際に、当該水平面に接する部分である。前記胴部82は、内容物を収容する部分であり、全体に亘って直胴状でない。前記容器8の胴部82をその外形に従って区分すると、前記容器8の胴部82は、直胴状の大径部821と、前記大径部821との対比においてその大径部821よりも相対的に小径な縮径部であって上方に向かうに従って径が小さくなっている上方縮径部822と、前記大径部821との対比においてその大径部821よりも相対的に小径な縮径部であって下方に向かうに従って径が小さくなっている下方縮径部823と、からなる。前記上方縮径部822は、大径部821と注出部の間に形成されており、下方縮径部823は、大径部821と底面部81の間に形成されている。
なお、前記直胴状の大径部821は、容器8の最大径部である。ただし、前記大径部821は、必ずしも直胴状に限られず、一部分において縮径した部分、凹んだ部分又は突出した部分を有していてもよい。
また、図示例の容器8の胴部82は、中空略円柱状であるが、円形に限られず、略四角柱状などでもよい。
【0051】
<装着工程>
この容器8の胴部82に、上記熱収縮性筒状ラベル9Bを外装する。具体的には、発熱層5が設けられた領域が容器8の下方縮径部823に向かい合うように、熱収縮性筒状ラベル9Bを容器8に外装する。熱収縮性筒状ラベル9Bが容器8に外装された状態では、
図14(a)に示すように、熱収縮性筒状ラベル9Bは、熱収縮性筒状ラベル9Bの内周長と容器8の外周長の差によって、容器8に密着していない。
【0052】
(部分収縮工程)
次に、この外装された熱収縮性筒状ラベル9Bの外側から近赤外線照射装置(図示せず)を用いて近赤外線を照射する。照射する近赤外線の波長は、波長780nm〜3000nmの範囲であり、好ましくは、900nm〜1400nmである。
熱収縮性筒状ラベル9Bに近赤外線を照射することにより、近赤外線発熱性化合物を含む発熱層5が近赤外線を吸収して発熱し、その熱が発熱層対応領域(熱収縮性筒状ラベル9Bの下方周帯領域)に伝搬する。そのため、
図14(b)に示すように、熱収縮性筒状ラベル9Bの下方部のみが先ず熱収縮し、容器8の下方縮径部823に密着する。
本発明の印刷層付き熱収縮性フィルム1における印刷層3は、近赤外線を吸収し難いので、発熱層5を発熱させる際に、印刷層3が発熱することを防止できる。従来のように、カーボンブラックを含む印刷層が設けられている熱収縮性筒状ラベルに発熱層を設け、それを近赤外線を用いて熱収縮させた場合、発熱層のみならずカーボンブラックを含む印刷層も発熱するので、発熱層と印刷層が重なっている領域における熱収縮性フィルムが特に大きく熱収縮するようになる。このため、熱収縮性筒状ラベルが歪に収縮した状態で容器に装着され、或いは、熱収縮性筒状ラベルがカーボンブラックを含む印刷層又はその周辺にて破損するおそれがある。この点、本発明の熱収縮性筒状ラベル9Bは、近赤外線の照射により印刷層3が発熱し難いので、発熱層対応領域が略均等に熱収縮するので、装着仕上がりの良好なラベル付き容器10が得られ得る。
【0053】
近赤外線は、熱収縮性筒状ラベル9Bの全体の周囲に対して照射してもよいし、熱収縮性筒状ラベル9Bの下方部の周囲に対して照射してもよい。上記のように、発熱層5が熱収縮性フィルム2の全体でなく一部分(熱収縮させたい部分)に設けられている場合には、発熱層5が設けられていない領域においては、近赤外線を照射しても(実質的に発熱せず)実質的に熱収縮しないので、熱収縮性筒状ラベル9Bの全体に近赤外線を照射してもよい。もっとも、比較的小型の近赤外線照射装置を用いることができることから、熱収縮性筒状ラベル9Bの下方部の周囲に対して近赤外線を照射することが好ましい。
【0054】
(全体加熱工程)
最後に、前記下方部が容器8の下方縮径部823に密着した熱収縮性筒状ラベル9Bの外側から、加熱手段を用いて熱媒体を作用させ、筒状体全体に熱を加える。加熱手段は、加熱手段としては、上述のようなスチーム、ドライスチーム、熱風、遠赤外線(輻射熱)などが挙げられる。
前記加熱手段による熱媒体を熱収縮性筒状ラベル9Bの全体の周囲に対して作用させることにより、熱収縮性フィルム2の全体が熱収縮して容器8に密着し、
図14(c)に示すような、ラベル付き容器10が得られる。
本実施形態のように、熱収縮性筒状ラベル9Bの全体を熱収縮させる前に、熱収縮性筒状ラベル9Bのうち容器8の縮径部に対応する部分を先ず容器8に密着させておくことにより、熱収縮性筒状ラベル9Bの位置ずれを防止できる。図示例のように、熱収縮性筒状ラベル9Bの下方部を先ず容器8の下方縮径部823に密着させた場合には、熱収縮性筒状ラベル9Bの全体を熱収縮させる際に、それが上方にずれることを防止できる。
このように本実施形態の熱収縮性筒状ラベル9Bは精度良く熱収縮させることができので、これを用いれば、熱収縮性筒状ラベル9Bが容器8の所定位置に良好に装着されたラベル付き容器10を得ることができる。
【0055】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
上記では、発熱層5は熱収縮性筒状ラベルの下方周帯領域のみに設けられているが、発熱層5が、熱収縮性筒状ラベルの上縁を含む上方周帯領域のみに設けられていてもよい(図示せず)。この熱収縮性筒状ラベルを用いた場合、部分収縮工程を行うと、容器の上方縮径部に、熱収縮性筒状ラベルの上方部が密着し、全体加熱工程において熱収縮性筒状ラベルの位置ずれを防止できる。
また、例えば、
図15に示すように、発熱層5が熱収縮性筒状ラベルの上縁を含む上方周帯領域及び下縁を含む下方周帯領域にそれぞれ設けられていてもよい。この熱収縮性筒状ラベル9Cも、上記と同様にして容器8に装着される。この熱収縮性筒状ラベル9Cも上記と同様にして容器8に装着される。かかる熱収縮性筒状ラベル9Cを用いれば、
図16に示すように、部分収縮工程を行うと、容器8の上方縮径部822及び下方縮径部823に、熱収縮性筒状ラベル9Cの上方部及び下方部が密着するので、事後、全体加熱工程を行った際、それが上下に位置ずれすることを防止できる。もっとも、熱収縮性筒状ラベル9Cの上端部及び下端部の双方を先に容器8に密着させると、熱収縮性筒状ラベル9Cの中間領域(上端部及び下端部を除いた領域)を熱収縮させる際に前記中間部と容器8の間の空気が逃げにくいので、上方部又は下方部の何れか一方部を密着させる方が好ましい。
【0056】
また、発熱層5が上下方向中途部において周方向全体に設けられている熱収縮性筒状ラベル(第3例に係る熱収縮性筒状ラベル)を用いてもよい。
かかる熱収縮性筒状ラベルは、例えば、
図17に示すような、胴部82の上下方向中途部に縮径部を有する容器8に装着される。この容器8は、上記と同様に、底面部81、胴部82、注出部及び蓋部83を有する。その胴部82を外形に従って区分すると、前記容器8の胴部82は、直胴状の第1大径部824及び第2大径部825と、前記第1大径部824との対比においてその大径部824よりも相対的に小径な縮径部であって上方に向かうに従って径が小さくなっている上方縮径部826と、前記第2大径部825との対比においてその大径部825よりも相対的に小径な縮径部であって下方に向かうに従って径が小さくなっている下方縮径部827と、第1大径部824と第2大径部825の間に形成された中途縮径部828と、からなる。前記中途縮径部828は、第1大径部824及び第2大径部825にそれぞれ向かうに従って径が大きくなっている。
【0057】
この容器8に、
図18(a)に示すように、第3例に係る熱収縮性筒状ラベル9Dを外嵌した後、近赤外線を照射することにより、
図18(b)に示すように、上下方向中途部(発熱層対応領域)のみが先ず熱収縮し、容器8の中途縮径部828に密着する。事後、加熱手段により、熱収縮性筒状ラベル9Dの全体を加熱することにより、
図18(c)に示すようなラベル付き容器10が得られる。なお、図示例では、容器8の上方縮径部826及び下方縮径部827にまで装着されないような熱収縮性筒状ラベル9Dを用いているが、容器8の上方縮径部826及び/又は下方縮径部827にまで装着され得る長さの熱収縮性筒状ラベルを用いてもよい。
この熱収縮性筒状ラベル9Dを用いた場合にも、部分収縮工程の後、全体加熱工程を行う際に、熱収縮性筒状ラベル9Dが上下に位置ずれすることを防止できる。
また、本実施形態において、上方部、下方部及び中途部の全てに発熱層が設けられた熱収縮性筒状ラベル、或いは、上方部及び下方部の何れか一方と中途部に発熱層が設けられた熱収縮性筒状ラベルを用いてもよい(図示せず)。
【0058】
なお、上記ラベル付き容器の製造方法は、装着工程、部分収縮工程、全体加熱工程の順で行う場合を説明したが、熱収縮性筒状ラベルを容器に装着した後(装着工程の後)、その熱収縮性筒状ラベルに対して加熱手段を作用させてその全体に熱を加えた後(全体加熱工程の後)、その熱収縮性筒状ラベルに対して近赤外線を作用させて発熱層を発熱させることにより熱収縮性フィルムの一部分に熱を加える(部分収縮工程)という順序で行ってもよい。
このように熱収縮性筒状ラベルに対して全体加熱を行った後に、それを部分収縮させることにより、次のような効果を奏する。
一般に、比較的大きく縮径した縮径部を有する容器の当該縮径部を含んで熱収縮性筒状ラベルを装着し、それを加熱手段のみによって熱収縮させた際には、その縮径部に完全に密着するほどまでに熱収縮性筒状ラベルが熱収縮しないことがある。特に、縮径部のうち熱収縮性筒状ラベルが装着される部位における縮径部の外周長の最小値が、熱収縮性筒状ラベルが装着される胴部の外周長の最大値の0.7倍以下である容器の場合に、前記のような不完全密着が生じ易い。これは、加熱手段のみでは、熱収縮性フィルムを収縮限界にまで収縮させるほどの熱量を熱収縮性筒状ラベルに付与できないことがあり、熱収縮性フィルムが十分に熱収縮しないからである。熱収縮性筒状ラベルの一部分が十分に熱収縮していないと、その部分が容器から浮き上がり、外観が悪くなる。特に、その部分が、熱収縮性筒状ラベルの上縁を含む上方部である場合、外観が悪いだけでなく、その部分が異物に引っ掛かったり、その隙間から異物が混入するおそれがある。
この点、全体加熱工程の後、部分収縮工程を行うことにより、発熱層対応領域である熱収縮性筒状ラベルの上方部を、精度良く熱収縮させることができるので、熱収縮性筒状ラベルが良好に容器に密着したラベル付き容器を得ることができる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに説明する。ただし、本発明は、下記実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた測定方法は、以下の通りである。
【0060】
[使用した材料]
熱収縮性フィルム:厚み40μmの二軸延伸ポリスチレン系フィルム(シーアイ化成(株)製、商品名「BS551S」)。
黒色印刷層形成用インキ(1):特定着色剤(1)を含むインキ。この特定着色剤(1)は、BASF社製の商品名「ルモゲンブラック FK4280」とBASF社製の商品名「パリオゲンブラック S0084」を、質量比1:1で混合したもの。前記商品名「ルモゲンブラック FK4280」の近赤外線吸収率は、5%で、前記商品名「パリオゲンブラック S0084」の近赤外線吸収率は、5%であった。
黒色印刷層形成用インキ(2):特定着色剤(2)を含むインキ。この特定着色剤(2)は、赤顔料、藍顔料及び黄顔料の混合物からなる調色顔料である。前記赤顔料の近赤外線吸収率は、16%で、前記藍顔料の近赤外線吸収率は、15%で、前記黄顔料の近赤外線吸収率は、13%であった。
黒色印刷層形成用インキ(3):カーボンブラック顔料を含むインキ(大日精化工業(株)製、商品名「OS−M795黒」)。このカーボンブラック顔料の近赤外線吸収率は、90%であった。
カラー印刷層形成用インキ:酸化チタン顔料を含むインキ(大日精化工業(株)製、商品名「OS−M白」)。
【0061】
[近赤外線吸収率の測定方法]
23℃下で、サンプルに対して波長2500nmの光を照射し、分光光度計((株)島津製作所製、商品名「UV−3600Plus」)を用いて、その近赤外線透過率及び近赤外線反射率を測定した。その結果を、式:近赤外線吸収率=100−(近赤外線透過率+近赤外線反射率)に代入して、そのサンプルの近赤外線吸収率を算出した。
なお、特定着色剤(1)及び(2)を構成する各顔料及びカーボンブラック顔料の測定の際には、1質量部の顔料に10質量部の臭化カリウムを混合して得られた粉末を、100kg/mm
2で加圧して厚み0.1mmにしたペレットをサンプルとした。
【0062】
[L*の測定方法]
JIS Z 8729に準拠して、黒色印刷層のL*を測定した。
具体的には、カラー測定ソフトウェアを備える紫外可視分光光度計((株)島津製作所製、商品名「UV−2450」)を用いて、波長380nm〜780nmの範囲で、サンプルの一方面に光を照射し、分光反射率を測定した。なお、光は、サンプル(黒色印刷層とフィルム部分との一体積層部)の黒色印刷層とは反対側のフィルム部分の表面に対して照射した。前記測定後に、照明の分光分布、得られたサンプルの分光反射率、等色関数を用いて演算を行い、L*値(明度指数)を算出した。なお、附属のカラー測定ソフトウェアには、照明の分光分布と等色関数の値がプログラムされており、分光反射率の測定と同時にL*値が得られる。対象となる標準白色板は硫酸バリウムを使用し、計算条件は、照明D
65、視野2°とした。
【0063】
[実施例1]
上記熱収縮性フィルムの一方面に、黒色印刷層形成用インキ(1)を塗布して、厚み約1μmの塗膜を形成した直後に、この塗膜に、ヘレウス(株)製のカーボンヒーター(波長:1700〜2500nm、ヒーター出力:30kW/m
2、塗膜までの距離:100mm、照射時間:4秒)を用いて近赤外線を照射して塗膜を乾燥することにより、黒色印刷層付き熱収縮性フィルムを作製した。この熱収縮性フィルムから、黒色印刷層とそれが設けられたフィルム部分との一体積層部を切り出してサンプルとし、この近赤外線吸収率を測定したところ、5%であった。
また、この黒色印刷層のL*を測定したところ、25であった。
得られた実施例1の印刷層付き熱収縮性フィルムの写真を
図19に示す。
【0064】
[実施例2]
黒色印刷層形成用インキ(1)に代えて、黒色印刷層形成用インキ(2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、黒色印刷層付き熱収縮性フィルムを作製した。実施例1と同様にして切り出したサンプルの近赤外線吸収率を測定したところ、15%であった。
また、この黒色印刷層のL*を測定したところ、24であった。
得られた実施例2の印刷層付き熱収縮性フィルムの写真を
図19に示す。
【0065】
[比較例]
黒色印刷層形成用インキ(1)に代えて、黒色印刷層形成用インキ(3)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、黒色印刷層付き熱収縮性フィルムを作製した。実施例1と同様にして切り出したサンプルの近赤外線吸収率を測定したところ、85%であった。
また、この黒色印刷層のL*を測定したところ、23であった。
得られた比較例の印刷層付き熱収縮性フィルムの写真を
図19に示す。
【0066】
[参考例]
黒色印刷層形成用インキ(1)に代えて、カラー印刷層形成用インキを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、白色印刷層付き熱収縮性フィルムを作製した。
得られた参考例の印刷層付き熱収縮性フィルムの写真を
図19に示す。
【0067】
図19から明らかなとおり、実施例1及び2並びに参考例で得られた熱収縮性フィルムは、殆ど皺を生じていなかった。一方、比較例で得られた熱収縮性フィルムは、いびつに熱収縮している上、面内の一部に穴が開いていた。