(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
食品用保存バッグ(ポリ袋等)や食品(お菓子等)を収容する容器として、コートボールを材料とした容器、いわゆる紙カートンが広く用いられている。このような容器は、例えば、有底有蓋の四角筒状で、筒壁部に周方向に帯状の開封部が設けられ、該開封部を切り取ることで開封できるようになっている。
【0003】
開封後に繰り返し開閉できる容器としては、有底有蓋の四角筒状で筒壁部に周方向に帯状の開封部が設けられ、開封部を切り取ったときに、容器本体部と、容器本体部に接続片を介して接続された蓋部が形成される容器が提案されている(特許文献1)。該容器では、接続片を容器本体部の外側に折り返しつつ蓋部を容器本体部の上端部に被せて閉じることができる。また、輸送時等には開封部が切り取られていないため、蓋部が予期せず開くことが抑制されている。
しかし、該容器では、容器本体部と蓋部との平面視でのサイズが同じであることから、蓋部を容器本体部の上端部に被せることが困難である。特に容器を構成するコートボールの坪量が高いと、蓋部を容器本体の上端部に被せて容器本体部の上端開口部を閉じることが難しい。
【0004】
開封部を切り取った後に蓋部を容器本体部の上端部に被せやすくした容器としては、容器本体部における側壁のうち、左側面及び右側面を形成する側壁に、縦方向(上下方向)に延びる縦方向折目と、該縦方向折目の下端から両側の側縁に向かって斜め下方に延びる2本の斜状折目が形成された容器が提案されている(特許文献2)。前記縦方向折目の上端は側壁の上縁に達しており、また前記の2本の斜状折目の下端は側壁の側縁に達している。該容器では、縦方向折目と2本の斜状折目を利用して側壁を径方向の内側に折り込むことで、容器本体部における上端側部分を縮径させることできるため、容器本体部の上端部に蓋部を容易に被せることができる。
しかし、該容器では、内側に折り込んだ側壁がそのままの形状となり、容器本体部における上端側部分が縮径されたままの状態となるため、予期せず蓋部が開くおそれがある。
【0005】
ところで、開口部を繰り返し開閉できる容器としては、例えば、上端開口部を有する有底四角筒状の容器本体部と、該容器本体部の各外側面を形成する側壁の1つに接続片を介して接続された有天四角筒状の蓋部とを備える容器も提案されている(特許文献3)。該容器では、蓋部の内径が容器本体部の外径よりも大きく、接続片を容器本体部の外側に折り返しつつ蓋部を容器本体部の上端部に被せて上端開口部を閉じることができるようになっている。また、蓋部と容器本体部のそれぞれに互いに係合する係合片を設け、容器本体部の上端部に蓋部を被せた状態でそれら係合片同士を引っ掛けて係合させることで、蓋部が予期せず開くことを抑制するようになっている。
しかし、該容器では、係合片同士の係合強度が弱いと輸送中等に蓋部が予期せず開く問題がある。一方、係合片同士の係合強度が強いと開封操作が困難になる。また、紙製の容器の場合、係合片同士の係合強度は湿度の影響を受けやすく、係合強度を一定に保つことは困難である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明における罫線とは、基材の表面に形成された凹条である。
本明細書においては、蓋部が容器本体部の各外側面を形成する側壁の1つに接続片を介して接続されている場合、該接続片と接続された側壁の外側面を背面、該接続片と接続された側壁と対向する側壁の外側面を前面、容器を前面側から見たときの左側の外側面を左側面、右側の外側面を右側面ということがある。
【0016】
以下、本発明の容器の一例について、図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態の容器1は、
図1及び
図2に示すように、平面視矩形状の底壁部2と、底壁部2の各辺から立設された4つの側壁3からなる筒壁部4と、筒壁部4の上端を閉じる天壁部5と、を備える。このように、容器1は、有底有蓋の四角筒状の容器である。容器1の筒壁部4における、左側面、前面及び右側面を形成する各側壁3の上端寄りには、周方向に延びる帯状の開封部6が設けられている。
容器1の大きさは、収容する内容物に応じて適宜設定すればよい。
【0017】
この例の開封部6は、帯状の切り取り可能な部分であり、筒壁部4における上端寄りに周方向に延びる破線状の切れ目6aと、切れ目6aの下方に切れ目6aから離間して周方向に延びるように形成された破線状の切れ目6bとによって形成されている。
切れ目6a及び切れ目6bはいずれも、筒壁部4における左側面を形成する側壁3から、前面を形成する側壁3を経て、右側面を形成する側壁3まで形成されている。すなわち、開封部6は、筒壁部4における左側面を形成する側壁3から、前面を形成する側壁3を経て、右側面を形成する側壁3まで設けられている。背面を形成する側壁3には開封部6は設けられていない。
【0018】
容器1においては、開封部6を切り取って開封したときに、
図3及び
図4に示すように、上端が開口した容器本体部10と、容器本体部10と接続片14を介して接続された蓋部16とが形成されるようになっている。
【0019】
開封部6を切り取った状態における容器本体部10は、底壁部2と、底壁部2の各辺から立設された、各外側面を形成する4つの側壁12とを有する有底四角筒状であり、上端に上端開口部10aが形成されている。側壁12は、筒壁部4の側壁3における開封部6よりも下側の部分からなる。
蓋部16は、天壁部5と、天壁部5の各辺から垂下された4つの側壁18とを有する有天四角筒状である。側壁18は、筒壁部4の側壁3における開封部6よりも上側の部分からなる。
背面を形成する側壁3における開封部6と対応する部分が接続片14となっている。蓋部16における背面を形成する側壁18と、容器本体部10における背面を形成する側壁12とが接続片14を介して接続されている。
【0020】
このように2本の破線状の切れ目で帯状の開封部を形成する場合、前面を形成する側壁に形成される下側の切れ目は、下方に向かって凸状となるように形成されることが好ましい。具体的には、この例においては、
図1に示すように、前面を形成する側壁3における切れ目6bが下方に向かって凸状になっていることが好ましい。これにより、開封部を切り取ったときに形成される容器本体部の前面部分の上縁形状が下方に凹んだ形状となるため、内容物の取り出し時に容器本体部の前面を形成する側壁が邪魔になりにくく、内容物の取り出しが容易になる。
【0021】
また、2本の破線状の切れ目で帯状の開封部を形成する場合、左側面と右側面を形成する側壁にそれぞれ形成される下側の切れ目は、背面から前面に向かうに従って下方に傾斜していることが好ましい。具体的には、この例においては、左側面及び右側面を形成する側壁3におけるそれぞれの切れ目6bが、背面から前面に向かうに従って下方に傾斜していることが好ましい。これにより、開封部を切り取ったときに形成される容器本体部において、前面を形成する側壁における上縁の上下方向の位置がより低くなるため、内容物の取り出し時に容器本体部の該側壁が邪魔になりにくく、内容物の取り出しが容易になる。
【0022】
筒壁部4における開封部6の上下方向の位置は、後述のように蓋部16を容器本体部10の上端部に被せたときに、蓋部16によって容器本体部10の上端開口部10aを充分に閉じることができる範囲で適宜設定すればよい。
蓋部16の高さ、すなわち側壁18の上下方向の長さは、接続片14の上下方向の長さ以上あることが必要である。
【0023】
筒壁部4の背面を形成する側壁3における接続片14の上下方向の長さ(高さ)は、15〜35mmが好ましく、20〜25mmがより好ましい。接続片14の高さが下限値以上であれば、蓋部16による容器本体部10における上端開口部10aの密封性がより良好になり、持ち運び時等に予期せず蓋部16が開いてしまうことが抑制されやすい。接続片14の高さが上限値以下であれば、容器本体部10の上端開口部10aを蓋部16によって閉める操作が容易になる。
【0024】
接続片14の上端及び下端となる部分には、
図2に示すように、周方向に延びる折り目14a,14bが形成されていることが好ましい。これにより、開封部6を切り取って開封した後に、接続片14と容器本体部10の境界部分や接続片14と蓋部16の境界部分が折れ曲がりやすくなることで、蓋部16を容器本体部10の上端部に被せて上端開口部10aを閉じる操作が容易になる。
【0025】
この例では、
図4に示すように、容器本体部10の側壁12のうち、右側面及び左側面を形成する側壁12の外側面に、上下方向に延びる第1罫線20と、上方に向かうに従って互いに近づくように傾斜した一対の第2罫線22及び第3罫線24とがそれぞれ形成されている。すなわち、容器1においては、接続片14と接続された側壁12の両隣の側壁12に、第1罫線20、第2罫線22及び第3罫線24がそれぞれ形成されている。
第2罫線22及び第3罫線24は第1罫線20よりも下方に形成されている。また、第1罫線20の下端と、第2罫線22の上端と、第3罫線24の上端は1点で交わっている。第2罫線22の下端及び第3罫線24の下端は、それらが形成された側壁12の外側面の側縁12aから離間している。
【0026】
容器1では、
図5に示すように、右側面及び左側面を形成する側壁12における第1罫線20が形成された部分を径方向に内側に指で押し込むことで、第1罫線20の部分及びそれより上方の部分が内側に折り曲がり、容器本体部10における上端側部分を容易に縮径させることができる。そのため、
図6及び
図7に示すように、縮径させた状態の容器本体部10の上端側部分に蓋部16を被せやすく、容器本体部10の上端開口部10aを閉じることが容易である。
【0027】
また、容器1では、側壁12における第1罫線20の部分が押し込まれたときには、第1罫線20よりも下方の部分においては、第2罫線22と第3罫線24の部分が折れ曲がる。これにより、側壁12を押し込む力が第2罫線22と第3罫線24に沿って側縁側へと逃げるため、第1罫線20の部分が折れ曲げられた状態においても、第1罫線20より下方の第2罫線22と第3罫線24の間の部分は折れ曲がらない。さらに、第2罫線22の下端と第3罫線24の下端が側壁12の側縁12aに達していないことで、側壁12の第1罫線20の部分を押し込むことを止めると、第2罫線22と第3罫線24の間の部分が内側に押し込まれていた状態から元の状態に戻ろうとする。そして、第1罫線20、第2罫線22及び第3罫線24が1点で交わっていることで、この第2罫線22と第3罫線24の間の部分が元の状態に戻ろうとする力が、側壁12における第1罫線20の部分及びそれよりも上方の部分に充分に伝わる。その結果、側壁12における第1罫線20の部分及びそれよりも上方の部分にも、内側に押し込まれていた状態から元の状態に戻ろうとする力が働く。
これらのことから、容器本体部10の上端部に蓋部16を被せた状態で側壁12の押し込みを解除したときには、容器本体部10における内側に押し込まれていた上端側部分が元の状態に戻ろうとする。これにより、蓋部16が被さった状態においては、容器本体部10の側壁12の上端部から蓋部16の側壁18に対して、側壁18を押し広げるように力が加わる。そのため、容器本体部10に対して上方に蓋部16が動くときの抵抗が強くなることで、蓋部16が容器本体部10の上端部から予期せず外れにくくなる。
【0028】
第1罫線20は、容器本体部10の上端側部分を縮径させやすく、容器本体部10の上端部に蓋部16を被せやすい点から、側壁12の幅方向における中央部に設けられていることが好ましい。
【0029】
第1罫線20の上下方向の長さd1(
図4)は、容器1の材質、側壁12の形状及び大きさ等を考慮して適宜設定できる。第1罫線20の長さd1が長いほど、容器本体部10の上端側部分を径方向の内側に押し込むことが容易になる傾向がある。第1罫線20の長さd1が短いほど、内側に押し込んだ状態の側壁12が元の状態に戻ろうとする力が強くなり、蓋部16が予期せず外れにくくなる傾向がある。
例えば、坪量が200〜500g/m
2の紙で形成された容器1である場合、第1罫線20の上下方向の長さd1を15〜30mmとする態様が挙げられる。
【0030】
第1罫線20、第2罫線22及び第3罫線24の交点と側壁12の上縁12bとの距離d2(
図4)は、容器1の材質、側壁12の形状及び大きさ等を考慮して適宜設定できる。距離d2が長いほど、容器本体部10の上端側部分を径方向の内側に押し込むことが容易になる傾向がある。距離d2が短いほど、内側に押し込んだ状態の側壁12が元の状態に戻ろうとする力が強くなり、蓋部16が予期せず外れにくくなる傾向がある。
例えば、坪量が200〜500g/m
2の紙で形成された容器1である場合、距離d2を25〜50mmとする態様が挙げられる。
【0031】
第2罫線22の下端及び第3罫線24の下端が、それらが形成された側壁12の外側面の側縁12aから離間していることで、側壁12における内側に押し込まれた状態の第2罫線22と第3罫線24の間の部分が元に戻ろうとする力が充分に強くなる。
第2罫線22の下端と側壁12の外側面の側縁12aとの距離d3(
図4)は、容器1の材質、側壁12の形状及び大きさ等を考慮して適宜設定できる。距離d3は程良い長さが好ましく、長すぎても短すぎても内側に押し込んだ状態の側壁12が元の状態に戻ろうとする力が弱くなる傾向がある。
【0032】
第3罫線24の下端と側壁12の外側面の側縁12aとの距離d4(
図4)については、前記した距離d3と同様である。第2罫線22の下端と側縁12aとの距離d3と第3罫線24の下端と側縁12aとの距離d4とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
例えば、坪量が200〜500g/m
2の紙で形成された容器1である場合、距離d3及び距離d4を5〜20mmとする態様が挙げられる。
【0033】
第2罫線22と第3罫線24とがなす角度θ(
図4)は、容器1の材質によっても異なるが、20〜90°が好ましく、30〜60°がより好ましい。角度θが大きいほど、内側に押し込んだ状態の側壁12が元の状態に戻ろうとする力が強くなり、蓋部16が予期せず外れにくくなる傾向がある。角度θが小さいほど、容器本体部10の上端側部分を径方向の内側に押し込むことが容易になる傾向がある。
【0034】
第2罫線22の上下方向の長さd5(
図4)は、容器1の材質、側壁12の形状及び大きさ等を考慮して適宜設定できる。距離d5が長いほど、内側に押し込んだ状態の側壁12が元の状態に戻ろうとする力が強くなり、蓋部16が予期せず外れにくくなる傾向がある。距離d5が短いほど、元に戻ろうとする力は弱くなる傾向がある。
第3罫線24の上下方向の長さについては、第2罫線22の上下方向の長さd5と同様である。第2罫線22の上下方向の長さd5と第3罫線24の上下方向の長さとは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0035】
容器本体部10の側壁12のうち、前面を形成する側壁12の外側面には、
図1及び
図3(A)に示すように、上方に向かうに従って互いに近づくように傾斜した一対の第4罫線26及び第5罫線28が形成されている。すなわち、容器1においては、接続片14と接続された側壁12と対向する側壁12に、第4罫線26及び第5罫線28が形成されている。
第4罫線26の上端及び第5罫線28の上端は、前面を形成する側壁12おける上縁12b及び側縁12aから離間している。また、第4罫線26の下端及び第5罫線28の下端は、前面を形成する側壁12おける下縁及び側縁12aから離間している。また、第4罫線26及び第5罫線28は、第4罫線26の上端からの延長線と第5罫線28の上端からの延長線が、側壁12の上縁12bよりも上方で交わるように形成されている。
前面を形成する側壁12にこのような第4罫線26及び第5罫線28が形成されていることで、前面を形成する側壁12が径方向の内側に押し込まれやすくなるため、容器本体部10の上端部に蓋部16を被せることがさらに容易になる。
【0036】
蓋部16の上面には、正面視台形状で、中央部に正面視円形状の貫通孔30aが形成された突出片30が設けられている。これにより、容器本体部10の上端部に被せた蓋部16を、貫通孔30aに指を引っ掛けて容易に開くことができる。また、商品陳列時においては、突出片30の貫通孔30aを利用してフック掛けにより展示することもできる。
なお、突出片30及び貫通孔30aの正面視形状は、この例の形状には限定されない。ただし、指を引っ掛けて引き上げたときに突出片30が破損しにくい点では、突出片30の正面視形状は台形状であることが好ましい。
【0037】
本発明の容器を形成する基材としては、板紙、カード紙、コートボール等の紙やポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチック等が挙げられる。なかでも、基材としては、紙が好ましく、紙の中でもコートボールが好ましい。
紙の坪量は、200〜500g/m
2が好ましく、300〜400g/m
2がより好ましい。坪量が下限値以上であれば、充分な強度が得られやすい。坪量が上限値以下であれば、接続片が厚くなりすぎないため折り曲げやすくなる。
【0038】
本発明の容器に収容する内容物としては、特に限定されず、例えば、開口部に嵌合によって繰り返し開閉可能なチャックを備える食品用保存バッグ(ポリ袋等)や、食品(お菓子等)等が挙げられる。
前記のチャックを備える食品用保存バッグの場合は、チャック部分が損傷しにくい点から、複数枚の食品用保存バッグを重ねて円柱状に巻き回した状態で、その軸方向が容器の上下方向となるように容器内に収容することが好ましい。
【0039】
本発明の容器の製造方法は、特に限定されない。
例えば、
図8の展開図に示すようなブランク101を、コートボール等の紙をトムソン刃により打ち抜く方法等で作製し、そのブランク101を組み立てて容器1を作製する方法等が挙げられる。
ブランク101においては、容器1における背面、左側面、前面及び右側面を形成する各側壁3となる正面視矩形状の4つの側板103a〜103dが横方向にこの順に接続されている。右側面を形成する側壁3となる側板103dの側縁には、上下方向に延びる帯状の糊代片104が接続されている。背面を形成する側壁3となる側板103aにおける容器の内側となる面に糊代片104を重ねて接着することで、筒壁部4が形成される。
【0040】
左側面、前面及び右側面を形成する各側壁3となる3つの側板103b〜103dの上端寄りには、ミシン刃やジッパー等により切り目6a,6bを形成して開封部6を設ける。また型押し等により第1罫線20、第2罫線22、第3罫線24、第4罫線26及び第5罫線28を設ける。また、背面を形成する側壁3となる側板103aには、切れ目6a及び切れ目6bと上下方向の位置が一致するように、罫線(型押しによる溝)、ハーフカット(紙の厚みの約半分の深さまで切り刃を入れた溝)、リード罫(罫線と半切れを交互に入れた溝)、間欠切れ刃等により折れ目14a,14bを設ける。
【0041】
前面及び背面を形成する側壁3となる側板103c,103aの上端には、天壁部5となる天板105a,105bがそれぞれ接続されている。天板105aにおける上端側の部分には、その一部が突出片30となるように、下方に向かうに従って遠ざかる2本の切れ目106を形成する。突出片30となる部分の中央には、正面視円形状の貫通孔30aを形成する。
左側面及び右側面を形成する側壁3となる側板103b,103dの上端には、糊代片107a,107bがそれぞれ接続されている。糊代片107a及び107bと、天板105bと、天板105aとをこの順に重ねて接着することで天壁部5が形成される。
【0042】
前面及び背面を形成する側壁3となる側板103c,103aの下端には、底壁部2となる底板102a,102bがそれぞれ接続されている。左側面及び右側面を形成する側壁3となる側板103b,103dの下端には、糊代片108a,108bがそれぞれ接続されている。糊代片108a及び108bと、底板102bと、底板102aとをこの順に重ねて接着することで底壁部2が形成される。
【0043】
前述したように、特許文献3のような従来の容器においては、側壁において上縁に達するように設けた縦方向折目と、側縁に達するように設けた2本の斜状折目を利用して、該側壁を径方向の内側に押し込んで容器本体部の上端側部分を縮径させることで、蓋部を容易に被せることができる。しかし、押し込んだ側壁が内側に折り込まれたままとなり、容器本体部の上端側部分が縮径したままとなるため、蓋部が予期せず開くことがある。
【0044】
これに対して、容器1においては、開封部6を切り取って開封した後に、側壁12における第1罫線20の部分を押し込むことで容器本体部10の上端側部分が容易に縮径し、容器本体部10の上端部に蓋部16を容易に被せることができる。また、この状態においては、側壁12における第2罫線22と第3罫線24の間の部分は折れ曲がっておらず、また第2罫線22と第3罫線24の下端が側縁12aに達していないことで、該部分には内側に押し込まれていた状態から元の状態に戻ろうとする力が強く働く。そして、第1罫線20、第2罫線22及び第3罫線24が1点で交わっているため、元の状態に戻ろうとする力が側壁12における第1罫線20及びそれよりも上方の部分に充分に伝わる。これにより、蓋部16が被さった状態において、容器本体部10の側壁12の上端部から蓋部16の側壁18に対して、側壁18を押し広げるように力が加わることで、容器本体部10に対して蓋部16が上方に動くときの抵抗が強くなる。その結果、蓋部16が容器本体部10の上端部から予期せず外れることが抑制される。
【0045】
また、開封後の容器本体部における前面を形成する側壁は、内容物を取り出す際に邪魔になりやすく、内容物の種類によっては内容物が破損する要因になることもある。しかし、容器1では、左側面及び右側面を形成する側壁3における切れ目6bが背面から前面に向かうに従って下方に傾斜し、かつ前面を形成する側壁3における切れ目6bが下方に向かって凸状になっている。これにより、内容物の取り出し時に容器本体部の前面を形成する側壁が邪魔になりにくい。そのため、嵌合により繰り返し開閉可能なチャックを備える複数枚の食品用保存バッグを巻き回して収容した場合でも、容器本体部10から取り出す際に、前面を形成する側壁12によって食品用保存バッグのチャック部分が破損するおそれが少ない。また、内容物が粒状物であっても、前面を形成する側壁12を下に向けることで内容物を手に受けやすい。
【0046】
以上説明したように、本発明の容器は、開封後に繰り返し開閉できるうえ、側壁に特定の第1罫線、第2罫線及び第3罫線を形成することで、容器本体部の上端部に蓋部を被せて閉じやすく、また予期せず蓋部が開くことを抑制できる。
【0047】
なお、本発明の容器は、前記した容器1には限定されない。
例えば、有底有蓋の五角筒状の容器であってもよく、有底有蓋の六角筒状の容器であってもよい。
【0048】
本発明の容器においては、容器本体部と蓋部とが接続片を介して接続されている場合、容器本体部における接続片と接続された側壁以外の側壁の少なくとも1つに第1罫線、第2罫線及び第3罫線が形成されていればよい。例えば、開封後に有底四角柱状の容器本体部が形成される場合、その前面を形成する側壁のみに第1罫線、第2罫線及び第3罫線が形成されていてもよく、左側面、前面及び右側面を形成する各側壁の全てに第1罫線、第2罫線及び第3罫線が形成されていてもよい。有底四角柱状の容器本体部が形成される場合には、容器本体部の上端部に蓋部を被せやすい点から、容器1のように、左側面と右側面を形成する側壁に第1罫線、第2罫線及び第3罫線が形成されていることが好ましい。
【0049】
本発明の容器においては、第1罫線の下端又は下端からの延長線と、第2罫線の上端又は上端からの延長線と、第3罫線の上端又は上端からの延長線とが1点で交わっていれば、第1罫線の下端と第2罫線の上端と第3罫線の上端とが互いに交わっていなくてもよい。
具体的には、例えば、
図9(A)に示すように、第1罫線20の下端からの延長線と、第2罫線22の上端からの延長線と、第3罫線24の上端からの延長線とが1点で交わっていれば、第1罫線20の下端と第2罫線22の上端と第3罫線24の上端とが交わっていない態様でもよい。また、
図9(B)に示すように、第1罫線20の下端からの延長線と、第2罫線22の上端と第3罫線24の上端とが1点で交わっていれば、第1罫線20の下端が第2罫線22の上端及び第3罫線24の上端に交わっていない態様でもよい。また、
図9(C)に示すように、第2罫線22の上端からの延長線と、第1罫線20の下端と第3罫線24の上端とが1点で交わっていれば、第2罫線22の上端が第1罫線20の下端及び第3罫線24の上端に交わっていない態様でもよい。
第1罫線、第2罫線及び第3罫線は、破線状に形成されていてもよい。
【0050】
第1罫線の下端又は下端からの延長線と、第2罫線の上端又は上端からの延長線と、第3罫線の上端又は上端からの延長線とが1点で交わっていれば、本発明の効果が得られる範囲内で第1罫線は上下方向に対して傾斜していてもよい。
第1罫線は、容器本体部における側壁の上縁まで達していてもよい。
第1罫線、第2罫線及び第3罫線は、側壁の外側面に設けられていてもよく、側壁の内側面に設けられていてもよい。同様に、側壁に第4罫線及び第5罫線を設ける場合、それらは側壁の外側面に設けられていてもよく、側壁の内側面に設けられていてもよい。
【0051】
本発明の容器は、開封部で開封したときに形成される容器本体部と蓋部とが接続片で接続されない容器であってもよい。具体的には、
図10及び
図11に例示した容器7であってもよい。
図10及び
図11における
図1〜3と同じ部分には同符号を付して説明を省略する。
容器7は、筒壁部4において周方向に全周にわたって延びる2本の切れ目6a,6bにより、周方向に全周にわたって開封部6Aが形成され、開封部6Aで開封したときに、容器本体部10と蓋部16とが別々に形成される以外は、容器1と同じである。
容器7においても、開封後に繰り返し開閉できるうえ、容器本体部10の上端部に蓋部16を被せて閉じやすく、また予期せず蓋部16が開くことを抑制できる。
【0052】
容器7のように、開封部で開封したときに形成される容器本体部と蓋部とが接続片で接続されない容器においては、第1罫線、第2罫線及び第3罫線は、いずれの側壁に設けられていてもよく、対向する一対の側壁に設けられていることが好ましい。
【0053】
本発明の容器においては、筒壁部に設ける開封部は帯状には限定されない。例えば、1本の破線状の切れ目からなる開封部であってもよい。このような開封部を設ける場合も、内容物を取り出しやすい点から、左側面及び右側面を形成する側壁における切れ目は、背面から前面に向かうに従って下方に傾斜していることが好ましい。また、前面を形成する側壁における切れ目は、下方に向かって凸状になっていることが好ましい。
本発明の容器は、蓋部の上面に突出片が設けられていないものであってもよい。