(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の蓋付カップ容器では、構造の複雑化を防ぎつつ、蓋体をカップ本体に対して容易かつ確実に嵌合させることに改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、構造の複雑化を防ぎつつ、蓋体をカップ本体に対して容易かつ確実に嵌合させることができる蓋付カップ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の蓋付カップ容器は、内容物が収容されるカップ本体と、前記カップ本体の上端部に装着されるとともに、前記カップ本体の上方に配設された本体板を有する蓋体と、を備える蓋付カップ容器であって、前記蓋体が、前記本体板の外周縁から下方に向けて延びる周壁と、前記周壁の下端からカップ径方向の外側に向けて突出する蓋体フランジ部と、該蓋体フランジ部の外周縁から下方に向けて延設され、内周面に前記カップ本体の上端からカップ径方向の外側に突出するカップフランジ部の下面を支持する支持突部が形成された装着筒と、を有し、前記蓋体フランジ部には、前記支持突部に対応する位置に配されカップ周方向に沿って延在するスリットと、該スリットよりもカップ径方向の外側に配設されたリブと、が設けられていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、蓋体フランジ部にスリットとカップ周方向で対応するリブとを形成することにより、蓋体をカップ本体のカップフランジ部上に載置した状態で蓋体フランジ部全体を上方から押し込むことによる装着動作を安定させることができる。
例えば、スリットがあってもリブが無い場合、蓋体をカップ本体のカップフランジ部上に載置した状態で蓋体フランジ部全体を上方から押し込むと、装着筒のうちカップ周方向でスリットに対応する部分が他の部分よりもカップ径方向の外側へ広がるように弾性変形しやすいので、蓋体の押し込みを解除して装着筒が復元変位したときに装着筒の支持突部がカップ本体のカップフランジ部の下面に係止できず、蓋体をカップ本体に装着できないことがある。
しかし、本発明ではスリットに対応させてリブを形成することにより、装着筒のうちカップ周方向でリブに対応する部分は、他の部分よりもリブの高さに対応するカップ軸方向の下方に押し込まれ、支持突部は、カップフランジ部の下面に係止する。そのため、蓋体の押し込みを解除して装着筒が復元変位しても装着筒の支持突部がカップ本体のカップフランジ部の下面に係止でき、蓋体のカップ本体に対する装着動作が安定する。このように、蓋体に、スリット、リブ及び支持突部を備えることで、カップ本体に装着しやすく、かつ、一旦嵌ると抜けにくいといった、優れた嵌合性を具備することができる。
また、蓋体のわずかな構造変更で対応できるため、蓋体をカップ本体に対して容易かつ確実に嵌合させるために既存の設備を変更する必要性が無く、低い打栓圧での嵌合が可能である。
【0008】
本発明の蓋付カップ容器は、内容物が収容されるとともに、上端開口部がシール材によって封止されたカップ本体と、前記カップ本体の上端部に装着されるとともに、前記シール材の上方に配設された本体板を有する蓋体と、を備える蓋付カップ容器であって、前記本体板に形成された貫通孔内に、第1回動部を介して前記本体板に連結され、かつ第1回動部から前方に向けて延びる切刃部と、前記切刃部におけるカップ周方向の両側に連結されるとともに、各第2回動部を介して前記本体板に各別に連結され、かつ第2回動部から後方に向けて延びる左右一対の操作部と、が配設され、これらの切刃部、操作部、第1回動部、及び第2回動部は、前記本体板と一体に形成され、前記第1回動部、及び前記第2回動部は、前記本体板の平面視で同一直線上に配置されていることを特徴としてもよい。
従って、操作部を引き上げると、切刃部の前端部が下降するように、切刃部及び操作部が一体に第1、第2回動部回りに回動することで、切刃部がシール材に押し付けられシール材が破断される。
このように、操作部を引き上げる操作だけでシール材を破断してカップ本体を開封することが可能になり、優れた開封操作性を具備させることができる。また、操作部が左右一対配設されているので、開封時に、操作部に複数の指をかけることが可能になり、切刃部からシール材に大きな力を安定して加えることができる。
さらに、第1、第2回動部が、本体板の平面視で同一直線上に配置されているので、操作部を引き上げたときに、第1、第2回動部が捩じれるのを防ぐことが可能になり、優れた開封操作性を安定して発揮させることができる。
また、切刃部、操作部、第1回動部、及び第2回動部が、本体板と一体に形成されているので、部品点数が抑えられ構造の複雑化を防ぐことができる。
ここで、前記切刃部には、その前端部に配置され、下方に向けて突出する開封刃と、前記開封刃より後方に配置され、下方に向けて突出し、かつ前記切刃部及び前記操作部を第1、第2回動部回りに一体に回動させたときに、前記シール材に前記開封刃より先に当接する先行刃と、が配設されてもよい。
この場合、切刃部及び操作部を第1、第2回動部回りに一体に回動させたときに、シール材に開封刃より先に先行刃が当接するので、開封刃に先立って先行刃でシール材を破断することが可能になる。したがって、カップ本体の内圧が加圧状態にあったときに、まず後方に位置する先行刃でシール材を破断してカップ本体の内圧を開放した後に、前方に位置する開封刃でシール材を破断することができる。これにより、カップ本体の内圧が加圧状態にあったとしても、カップ本体の開封時に、内容物が外部に飛散するのを防ぐことができる。
また、前記切刃部には、前記開封刃における左右方向の両側から後方に向けて延在し、前記先行刃を、左右方向の両側から囲う一対の囲繞壁が配設されてもよい。
この場合、先行刃が、開封刃及び囲繞壁で囲まれるので、開封刃に先立って先行刃でシール材を破断したときに、この破断部分から内容物が飛び出しても、この飛び出した内容物が、開封刃及び囲繞壁に衝突することによって、外部に飛散するのを抑制することができる。
なお、囲繞壁の下端縁を下方に向けて尖らせて、開封刃とともにシール材を破断するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、構造の複雑化を防ぎつつ、蓋体をカップ本体に対して容易かつ確実に嵌合させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明に係る蓋付カップ容器1について説明する。
本実施形態の蓋付カップ容器1は、
図1に示されるように、内容物が収容されるカップ本体11と、カップ本体11に装着された蓋体12と、蓋体12を覆うオーバーキャップ13と、を備えている。
カップ本体11は有底筒状に形成され、蓋体12及びオーバーキャップ13はそれぞれ有頂筒状に形成されている。そして、カップ本体11、蓋体12及びオーバーキャップ13それぞれの中心軸線は、共通軸と同軸に配置されている。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿うカップ本体11の底部11a側を下側、これとは反対側を上側といい、容器軸Oに沿う方向を上下方向という。また、容器軸O方向から見た平面視において、容器軸Oに直交する方向をカップ径方向といい、容器軸O回りに周回する方向をカップ周方向という。
【0012】
カップ本体11の上端には、カップ径方向の外側に向けて突出し、かつ全周にわたって連続して延びる第1フランジ部11bが形成されている。この第1フランジ部(カップフランジ部)11bにシール材14が固着されることによって、カップ本体11の上端開口部11eが封止されている。
なお、カップ本体11の下部には、カップ径方向の内側に向けて突出する支持突起11dが、カップ周方向に間隔をあけて複数形成されている。この支持突起11dは、カップ本体11内に、他のカップ本体11が底部11a側から挿入された状態で、他のカップ本体11の底部11aの外周縁部を支持する。これにより、両カップ本体11の密接を防止し、複数積み重ねられたカップ本体11を個別に容易に取り出すことができる。
【0013】
そして、本実施形態では、第1フランジ部11bは、
図2に示されるように、カップ本体11の内圧が上昇したときに、第1フランジ部11bが水平になるように、カップ径方向の内側から外側に向かうに従い漸次下方に向けて延在している。
また、カップ本体11の内周面における上端部には、カップ径方向の内側に向けて張り出し、かつ上面が第1フランジ部11bの上面に段差なく連なる張出部11cが形成されている。張出部11cは、カップ周方向の全周にわたって連続して延在している。張出部11cの下端は、カップ本体11の内周面に段差なく連なっている。張出部11cの上端におけるカップ径方向の内端が、カップ径方向の内側に向けて尖るように、この部分の、カップ本体11の縦断面視でなす曲率半径が、例えば約0.2mmと極力小さくなっている。
【0014】
そして、シール材14が、第1フランジ部11b及び張出部11cの各上面の全域にわたって一体に固着されている。
このように、シール材14を、第1フランジ部11bの上面のみならず、張出部11cの上面にも固着することによって、シール材14のカップ本体11に対する固着面積が、カップ径方向の内側に拡げられることとなり、カップ本体11の内圧上昇時に、シール材14が上方に膨出変形するのを抑えることができる。
【0015】
蓋体12は、カップ本体11の上端部に装着されている。
蓋体12は、シール材14の上方に配設された本体板21と、本体板21の外周縁から下方に向けて延びる周壁22と、周壁22の下端からカップ径方向の外側に向けて突出し、かつ全周にわたって連続して延びる第2フランジ部(蓋体フランジ部)23と、第2フランジ部23におけるカップ径方向の外端から下方に向けて延在し、カップ本体11の第1フランジ部11bに外嵌された装着筒24と、を備えている。
【0016】
装着筒24には、カップ径方向の内側に向けて突出し、かつ第1フランジ部11bの下面を支持する支持突部24aが形成されている。支持突部24aは、装着筒24に、カップ周方向に間隔をあけて複数形成されている。図示の例では、支持突部24aは、カップ周方向に同等の間隔をあけて11個配置されている。つまり、複数の支持突部24aは、装着筒24の内周面のうち、容器軸Oをカップ径方向に挟んで互い対向する位置に対してカップ周方向にずれた位置に配置されている。これにより、支持突部24aが第1フランジ部11bを下方に乗り越えて、蓋体12がカップ本体11の上端部に装着される際に、蓋体12に加えるカップ本体11に向けた押し付け力が過度に高くなるのを抑制することができる。
【0017】
そして、本実施形態では、
図3及び
図4に示されるように、本体板21に形成された貫通孔25内に、第1回動部31を介して本体板21に連結され、かつ第1回動部31から前方に向けて延びる切刃部32と、切刃部32におけるカップ周方向の両側に連結されるとともに、各第2回動部33を介して本体板21に各別に連結され、かつ第2回動部33から後方に向けて延びる左右一対の操作部34と、が配設されている。
貫通孔25は、前後方向に延びる左右一対の側部25aと、各側部25aの前端同士を連結する前部25bと、により構成され、本体板21の平面視で、後方に向けて開口するU字状を呈している。
また、第1、第2回動部31、33は、本体板21、切刃部32、及び操作部34より薄肉に形成されたヒンジとなっている。
【0018】
切刃部32は、貫通孔25の前部25bに配置され、操作部34は、貫通孔25の側部25aに配置されている。
切刃部32は、本体板21の平面視で、後方から前方に向かうに従い漸次、左右方向の幅が小さくなる三角形状を呈している。なお、切刃部32における左右方向の両端部が、貫通孔25の内周縁に、破断可能なブリッジ21bを介して連結されている。
ここで、前記三角形状を構成する3つの辺部のうちの1つが、左右方向に延びる切刃部32の後端部32aを構成している。また、前記三角形状を構成する3つの頂部のうちの1つが、左右方向の中央部に位置する切刃部32の前端部を構成している。切刃部32の前端部には、下方に向けて突出する開封刃35が配設されている。開封刃35は、
図5に示されるように、左右方向に延びる壁部とされ、その前面が貫通孔25の内周縁における前端に近接している。開封刃35の下端部には、下方に向けて尖る切刃35aが左右方向に沿って複数連ねられて形成されている。
【0019】
切刃部32には、
図1及び
図4に示されるように、開封刃35より後方に配置され、下方に向けて尖り、かつ切刃部32及び操作部34を第1、第2回動部31、33回りに一体に回動させたときに、シール材14に開封刃35より先に当接する先行刃36が配設されている。先行刃36は、開封刃35と比べて、シール材14に形成する破断開口が小さくなるように、左右方向の幅が小さくされ、開封刃35に隣接している。また、先行刃36は、切刃部32における左右方向の中央部に配設されている。先行刃36及び開封刃35それぞれの下端縁の上下方向に沿う位置が互いに同等になっている。なお、先行刃36及び開封刃35それぞれの下端縁の上下方向に沿う位置を互いに異ならせてもよい。
【0020】
切刃部32には、開封刃35における左右方向の両側から後方に向けて延在し、先行刃36を、左右方向の両側から囲う一対の囲繞壁37が配設されている。囲繞壁37は、開封刃35に連結されており、先行刃36は、開封刃35により前側が覆われ、一対の囲繞壁37により左右方向の両側が覆われている。囲繞壁37の下端縁は、先行刃36及び開封刃35それぞれの下端縁より上方に位置している。囲繞壁37の下端縁は、下方に向けて尖り、シール材14を破断可能に形成されている。囲繞壁37の下方に向けた突出量は、後方から前方に向かうに従い漸次大きくなっている。
なお、囲繞壁37と開封刃35との間に隙間を設けてもよいし、囲繞壁37の下端縁は下方に尖らせなくてもよい。また、囲繞壁37の下方に向けた突出量を、前後方向の全長にわたって同等にしてもよいし、前方から後方に向かうに従い漸次大きくしてもよい。
【0021】
切刃部32の後端部32aにおいて、左右方向の中央部に第1回動部31が連結され、左右方向(カップ周方向)の両端部に後方に向けて突出する操作部34が連結されている。
操作部34は、切刃部32から後方だけでなく左右方向の外側にも突出しており、この突出した部分における前端部に第2回動部33が連結されている。第1回動部31、及び第2回動部33は、本体板21の平面視で同一直線上に配置されている。
操作部34の下面のうち、第2回動部33との接続部分には、下方に向けて突出し、かつ後方に向けて延びる補強リブ34bが形成されている。補強リブ34bにより、操作部34の引き上げ時に操作部34が変形するのを抑制することができる。
【0022】
操作部34における後端縁34aと左右方向の内端縁34cとの接続部分には、本体板21の平面視で、後方から前方に向かうに従い漸次、左右方向の外側から内側に向けて延びる面取り部34dが形成されている。
操作部34は、上方に向けて膨出し、かつ後半分が排除されて後方に向けて開口したドーム状に形成されている。
ここで、操作部34が前述のようなドーム状に形成されているだけでなく、操作部34に面取り部34dも形成されているので、操作部34の下方に指を差込み易くなっている。
なお、操作部34は、本体板21より上方に膨出している。また、切刃部32の上面は、本体板21の上面と面一となっている。
操作部34の後端縁34aは、
図3及び
図4に示されるように、左右方向の外側から内側に向かうに従い漸次前方に向けて窪む曲線状に形成されている。操作部34の後端縁34aは、貫通孔25の側部25aにおける後端から前方に離れており、貫通孔25の側部25aのうち、その後端と操作部34の後端縁34aとの間に位置する部分に、指が挿入可能となっている。
以上の切刃部32、操作部34、第1回動部31、及び第2回動部33は、本体板21と一体に形成されている。
なお、第1回動部31における左右方向の中央部には、左右方向に延びるスリット31aが形成されている。
【0023】
本体板21には、
図1及び
図4に示されるように、下方に向けて突出する穿刺部21aが形成されている。穿刺部21aは、カップ本体11の内圧が過度に上昇し、シール材14が上方に大きく膨出変形したときに、シール材14に当接してシール材14を破断させ、カップ本体11の内圧を開放する。
穿刺部21aは、本体板21において、貫通孔25における前部25b及び一対の側部25aで囲まれた半島部分21eに配設されている。図示の例では、穿刺部21aは、本体板21の中央部に配設され、前方から後方に向かうに従い漸次下方に向けて突出する先鋭形状に形成されている。なお、穿刺部21aの下端縁は、先行刃36及び開封刃35それぞれの下端縁より上方に位置し、囲繞壁37の下端縁より下方に位置している。また、本体板21の半島部分21eは、前後方向に長い長方形状の板状に形成されている。
ここで、半島部分21eの下面には、下方に向けて突出する第1突リブ21c及び第2突リブ21dが形成されている。これらの第1、第2突リブ21c、21dにより半島部分21eの曲げ剛性が高められるので、シール材14が上方に大きく膨出変形し、穿刺部21aに押し付けられたときに、半島部分21eが上方に撓むのを抑制することが可能になり、穿刺部21aによりシール材14を確実に破断させることができる。
図示の例では、第1突リブ21cは、穿刺部21aをカップ径方向の外側から囲繞している。また、第1突リブ21cは、本体板21の平面視で、前方に向けて開口するC字状を呈している。
第2突リブ21dは、半島部分21eにおける前後方向の全長にわたって延在し、左右方向に間隔をかけて複数形成されている。
【0024】
なお、
図1及び
図3に示されるように、貫通孔25の内周縁のうちの前端は、周壁22の内周面と面一となっている。また、本体板21の外周縁部のうち、貫通孔25の前部25bに隣接する部分は、カップ周方向の外側から内側に向かうに従い漸次上方に向けて延在している。これに伴い、周壁22も、貫通孔25の前部25bに隣接する部分が、カップ周方向の外側から内側に向かうに従い漸次上方に向けて延在している。
【0025】
また、本実施形態では、蓋体12に、オーバーキャップ13を装着したときに、オーバーキャップ13の頂壁部が、操作部34を押し下げることにより、開封刃35及び先行刃36それぞれの下端縁を、上昇させ上下方向に沿う所期した位置に位置させる。これにより、開封刃35及び先行刃36それぞれの下端縁が、シール材14に当接するのを防止することができる。
また、蓋体12にオーバーキャップ13が装着された状態において、オーバーキャップ13の頂壁部が、操作部34に当接若しくは近接しているので、開封刃35及び先行刃36それぞれの下端縁が下方に移動するように、切刃部32及び操作部34が第1、第2回動部31、33回りに回動しようとしたときに、操作部34が、オーバーキャップ13の頂壁部に係止されることとなり、この回動を抑制することができる。
以上より、オーバーキャップ13が装着された蓋体12をカップ本体11に装着する時、並びにこの蓋付カップ容器1の流通時に、開封刃35及び先行刃36それぞれの下端縁が、シール材14に当接するのを確実に防止することができる。
【0026】
以上説明したように、本実施形態による蓋付カップ容器1によれば、操作部34を引き上げると、切刃部32の前端部が下降するように、切刃部32及び操作部34が一体に第1、第2回動部31、33回りに回動することで、開封刃35がシール材14に押し付けられシール材14が破断される。
このように、操作部34を引き上げる操作だけでシール材14を破断してカップ本体11を開封することが可能になり、優れた開封操作性を具備させることができる。また、操作部34が左右一対配設されているので、開封時に、操作部34に複数の指をかけることが可能になり、切刃部32からシール材14に大きな力を安定して加えることができる。
さらに、第1、第2回動部31、33が、本体板21の平面視で同一直線上に配置されているので、操作部34を引き上げたときに、第1、第2回動部31、33が捩じれるのを防ぐことが可能になり、優れた開封操作性を安定して発揮させることができる。
また、切刃部32、操作部34、第1回動部31、及び第2回動部33が、本体板21と一体に形成されているので、部品点数が抑えられ構造の複雑化を防ぐことができる。
【0027】
さらに、切刃部32及び操作部34を第1、第2回動部31、33回りに一体に回動させたときに、シール材14に開封刃35より先に先行刃36が当接するので、開封刃35に先立って先行刃36でシール材14を破断することが可能になる。したがって、カップ本体11の内圧が加圧状態にあったときに、まず後方に位置する先行刃36でシール材14を破断してカップ本体11の内圧を開放した後に、前方に位置する開封刃35でシール材14を破断することができる。これにより、カップ本体11の内圧が加圧状態にあったとしても、カップ本体11の開封時に、内容物が外部に飛散するのを防ぐことができる。
【0028】
さらに、先行刃36が、開封刃35及び囲繞壁37で囲まれるので、開封刃35に先立って先行刃36でシール材14を破断したときに、この破断部分から内容物が飛び出しても、この飛び出した内容物が、開封刃35及び囲繞壁37に衝突することによって、外部に飛散するのを抑制することができる。
また、囲繞壁37の下端縁が下方に向けて尖っているので、切刃部32及び操作部34を第1、第2回動部31、33回りに一体に回動させたときに、開封刃35及び囲繞壁37の双方でシール材14を破断することが可能になり、シール材14に広い破断開口を形成することができる。
さらに、第1回動部31にスリット31aが形成されているので、操作部34を引き上げてシール材14を破断した後に、切刃部32及び操作部34が復元変位するのを抑制することができる。
【0029】
次に、本発明の実施形態に係る蓋付カップ容器100について説明する。なお、本実施形態に係る蓋付カップ容器100は、上述した蓋付カップ容器1とその基本的構成が同様であり、上述した蓋付カップ容器1に別の要素を付加したものである。したがって、
図6から
図8においては、
図1から
図5と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0030】
本実施形態の蓋付カップ容器100における蓋体101は、
図6から
図8に示すように、本体板21と、周壁22と、第2フランジ部102と、装着筒103と、を備える。
第2フランジ部102の外周縁部には、
図7に示すように、周方向に延在する3本のフランジスリット(スリット)102a及び3本のフランジリブ(リブ)102bが周方向に間隔をあけて形成されている。
フランジスリット102aは、第2フランジ部102の左右両側及び後側に形成されている。すなわち、3本のうち2本のフランジスリット102aは、上面視で切刃部32の先端を通りかつカップ軸Oに直交する中心軸Cに対して左右両側に配設されている。
3本のフランジリブ102bは、フランジスリット102aよりもカップ径方向の外側に配設されており、フランジスリット102aの全長にわたって延在する。
【0031】
装着筒103の内周面には、
図6及び
図8に示すように、カップ本体2の第1フランジ部11bの下面に係止する複数の支持突部103aがカップ径方向の内側に向けて周方向に間隔をあけて突設されている。複数の支持突部103aのうちの3つは、平面視で第2フランジ部102に形成されたフランジスリット102aと周方向で重なる位置に設けられている。
【0032】
また、本体板21に形成されている穿刺部104の前端部には、上下方向の全長にわたって解放スリット104aが形成されている、穿刺部104は、前方に向けて開口している。これにより、カップ本体11の開封前に蓋付カップ容器100を加熱するなどすることによってカップ本体11の内圧が上昇してシール材14が上方に膨出変形し、穿刺部104がシール材14を穿刺したときに、解放スリット104aを通してカップ本体2と穿刺部104の外部との間の流路を確保し、カップ本体11の圧力をカップ本体11の外部に逃がす。
【0033】
このような構成の蓋付カップ容器100では、蓋体101をカップ本体11に装着するために、蓋体101をカップ本体11の第1フランジ部11b上に載置した状態で第2フランジ部102全体を上方から押し込むと、装着筒103のうちカップ周方向でフランジリブ102bに対応する部分が、フランジリブ102bの高さに対応して他の部分よりも下方へ押し込まれる。そのため、装着筒103のうちカップ周方向でフランジスリット102aに対応する部分が他の部分よりもカップ径方向外側に弾性変形して、カップ周方向でフランジリブ102bに対応して形成された支持突部103aは、第1フランジ部11bの外周縁を乗り越えて第1フランジ部11bの下面に係止する。その後、蓋体101の押し込みを解除しても、第1フランジ部11bの下面に対する支持突部103aの係止状態が維持される。
【0034】
本実施形態による蓋付カップ容器100によれば、第2フランジ部102にフランジスリット102aに対してカップ周方向で対応するフランジリブ102bを形成することにより、蓋体101をカップ本体11の上端開口部11e上に載置した状態で上方から押し込むことよる装着動作を安定させることができる。したがって、蓋体101をカップ本体11に対して容易かつ確実に嵌合させることができる。
【0035】
本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0036】
例えば前記実施形態では、先行刃36及び囲繞壁37を配設したが、これらを設けなくてもよい。
また、前記実施形態では、開封刃35の下端部に、下方に向けて尖る切刃35aが左右方向に沿って複数連ねられて形成された構成を示したが、切刃35aは1つだけであってもよいし、前後方向に複数連ねて形成する等適宜変更してもよい。
また、前記実施形態では、第1、第2回動部31、33として、本体板21、切刃部32、及び操作部34より薄肉に形成されたヒンジを示したが、これに限らず適宜変更してもよい。
さらに、前記実施形態では、3本のフランジスリット及び3本のフランジリブをカップ周方向に間隔をあけて形成しているが、少なくとも中心軸Cに対して左右両側に設けられていればよく、フランジスリット及びフランジリブは、2本ずつであっても4本以上ずつ形成されてもよい。
また、前記実施形態では、シール材14やオーバーキャップ13を備えていたが、これらの有無及びその構成は適宜変更しても良い。
【0037】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。