(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る補助シート1を、長手方向(すなわち、
図1中の上下方向)に広げた状態にて示す平面図である。補助シート1は、着用者が着用する吸収性物品である使い捨ておむつや補助吸収具等の内側(すなわち、着用者側)に、着脱可能に取り付けられる。補助シート1は、着用者からの排泄物を受けるシート部材である。補助シート1は、液状分を多く含む軟便や下痢便(以下、「軟便等」という。)を受ける場合等に好ましく使用される。
図1では、使用前の状態における補助シート1を、使用時に着用者側を向く面を手前側にして描いている(
図6、
図9および
図13においても同様)。
【0025】
図1に示す例では、補助シート1は、平面視において略矩形状である。補助シート1の長手方向の長さは、好ましくは、15cm(センチメートル)以上70cm以下であり、より好ましくは、20cm以上60cm以下である。補助シート1の幅方向(すなわち、長手方向に垂直な方向)の幅は、好ましくは10cm以上30cm以下であり、より好ましくは13cm以上25cm以下である。補助シート1の長さは、好ましくは幅よりも大きい。
【0026】
図2は、補助シート1を、
図1中に示すA−Aの位置(すなわち、長手方向の略中央部)にて、補助シート1の長手方向に垂直な面で切断した断面図である。補助シート1の構造は、後述する長手方向の両端部を除き、
図2に示す構造とほぼ同様である。
図2では、図の理解を容易にするために、実際には接している各構成を離間させて描いている。
【0027】
図1および
図2に示すように、補助シート1は、繊維集合体2と、支持シート3と、カバーシート4とを備える。カバーシート4は、後述するように、補助シート1の使用時に取り外されて除去される。繊維集合体2は、平面視において略矩形状のシート部材である。
図1では、図の理解を容易にするために、繊維集合体2の輪郭を太破線にて示す。
図2に示すように、支持シート3は、繊維集合体2の下面22を覆うとともに当該下面22に接合される。支持シート3は、透液性のシート部材である。カバーシート4は、好ましくは、不透液性のシート部材である。
【0028】
補助シート1の使用前の状態において、支持シート3の両側端部31(すなわち、幅方向の両端部)は、繊維集合体2の上面21上に折り返されている。
図2に示す例では、支持シート3の両側端部31は、繊維集合体2の両側縁23において、幅方向の内側(すなわち、幅方向の中央部側)へと折り返されている。支持シート3の両側端部31と、繊維集合体2の上面21とは、繊維集合体2の長手方向の全長に亘って非接合である。なお、支持シート3の両側端部31と繊維集合体2の上面21とは、例えば、ホットメルト接着剤等の接着剤により接合されてもよい。繊維集合体2の上面21の幅方向の中央部は、支持シート3の両側端部31の間にて露出する露出部211である。
図2に示す例では、繊維集合体2の上面21の幅方向の中央部は、繊維集合体2の長手方向の全長に亘って支持シート3から露出している。
【0029】
カバーシート4は、繊維集合体2の上面21を覆うとともに支持シート3に接続する。
図1および
図2に示す例では、カバーシート4の幅は、繊維集合体2の幅とおよそ同じである。カバーシート4は、繊維集合体2の上面21上にて支持シート3に接続される。詳細には、カバーシート4は、繊維集合体2の上面21上に折り返された支持シート3上において、支持シート3の両側端部31の繊維集合体2とは反対側の面に接続される。
【0030】
補助シート1の使用前の状態において、カバーシート4は、例えば、支持シート3に仮接合されることにより接続される。仮接合とは、支持シート3とカバーシート4との接合部、および、当該接合部の周囲の部位をほとんど損傷させることなく、支持シート3とカバーシート4との接合を解除することが可能な程度の強度による接合を意味する。カバーシート4は、例えば、ホットメルト接着剤等の接着剤52により支持シート3に仮接合される。カバーシート4を支持シート3に仮接合することにより、カバーシート4と支持シート3との接続を容易に実現することができる。なお、カバーシート4と支持シート3との仮接合は、接着剤52による接着以外の方法(例えば、エンボス加工)により行われてもよい。
【0031】
図1に示すように、補助シート1の使用前の状態において、繊維集合体2の幅方向の中央部は、長手方向に関してカバーシート4および支持シート3よりも短い。また、繊維集合体2の幅方向の中央部は、長手方向に関して、繊維集合体2の幅方向の両側部よりも短い。
図1に示す例では、繊維集合体2の幅方向の両側部(すなわち、両側端部)は、長手方向に関してカバーシート4および支持シート3とおよそ同じ長さである。なお、繊維集合体2の両側端部は、長手方向に関してカバーシート4および支持シート3よりも短くてもよい。換言すれば、繊維集合体2の幅方向の少なくとも中央部は、長手方向に関してカバーシート4および支持シート3よりも短い。繊維集合体2の幅方向の中央部は、長手方向に関して、繊維集合体2の幅方向の両側部と略同じ長さであってもよく、当該両側部よりも長くてもよい。
【0032】
上述のように、カバーシート4の幅は、繊維集合体2の幅とおよそ同じである。このため、補助シート1の使用前の状態において、繊維集合体2の上面21のうち、支持シート3の両側端部31の間から露出する露出部211の全体が、カバーシート4により覆われる。
【0033】
図2に示すように、繊維集合体2の下面22と支持シート3とは、接着剤51により接合される。補助シート1の製造では、接着剤51は、支持シート3および繊維集合体2のいずれか一方、または、双方に付与される。当該接着剤としては、例えば、ホットメルト接着剤が利用される。
【0034】
図3は、繊維集合体2の下面22を示す底面図である。
図3に示す例では、繊維集合体2の下面22において、幅方向の中央部には接着剤は付与されず、両側端部には接着剤51が付与される。繊維集合体2の下面22のうち、幅方向の中央部において接着剤が付与されない略矩形状の領域を「第1領域221」と呼ぶ。また、繊維集合体2の下面22のうち、幅方向の両側部において接着剤51が付与される略矩形状の2つの領域を「第2領域222」と呼ぶ。
図3では、第1領域221および第2領域222に異なる種類の平行斜線を付す。また、第1領域221と第2領域222との境界を破線にて示す。第1領域221は、繊維集合体2の下面22において、繊維集合体2の長手方向の全長に亘る。各第2領域222も同様に、繊維集合体2の下面22において、繊維集合体2の長手方向の全長に亘る。
【0035】
2つの第2領域222は、第1領域221の周囲の領域であり、第1領域221の幅方向の両側に隣接する。各第2領域222では、接着剤51(
図2参照)が、例えば、補助シート1の長手方向に沿ってスパイラル状に広がる。換言すれば、接着剤51は、スパイラル塗工により第2領域222、または、支持シート3の第2領域222と対向する領域に塗布される。そして、接着剤51により、繊維集合体2の下面22の第2領域222と支持シート3とが接合される。第2領域222では、接着剤51のスパイラルと直接的に接している部位のみならず、当該部位の周囲の部位も支持シート3に対する相対移動が接着剤51により大きく制限される。したがって、第2領域222の全体が、接着剤51により支持シート3に接合されていると捉えられる。各第2領域222と第1領域221との境界は、例えば、スパイラル状に付与された接着剤51の幅方向の複数の端部(すなわち、第1領域221側の端部)を、およそ長手方向に沿ってつないだ位置とする。
【0036】
このように、繊維集合体2の下面22は、幅方向の中央部に位置する第1領域221と、支持シート3に接合される第2領域222とを含む。第1領域221は、支持シート3と非接合である非接合領域である。第1領域221は、第2領域222よりも高い透液性を有する高透液性領域である。第2領域222の接着剤51の目付量は、好ましくは、0.001g/m
2以上0.1g/m
2以下である。なお、第1領域221の接着剤の目付量は、0g/m
2である。
【0037】
図1および
図2に示す補助シート1が製造される際には、まず、複数の繊維集合体2が長手方向に連続する連続繊維集合体と、複数の支持シート3が長手方向に連続する連続支持シートと、複数のカバーシート4が長手方向に連続する連続カバーシートとが準備される。続いて、連続繊維集合体が連続支持シートに接合され、連続支持シートの両側端部が連続繊維集合体上に折り返される。そして、連続支持シートの両側端部に連続カバーシートが仮接合された後、長手方向に垂直な切断線にて、連続カバーシート、連続繊維集合体および連続支持シートを切断することにより、複数の補助シート1が順次形成される。
【0038】
上述の補助シート1の製造工程では、連続繊維集合体が長手方向にテンションを加えられた状態で搬送され、連続繊維集合体の両側端部が連続支持シートに接合される。そして、上記切断線にて切断されることにより、繊維集合体2のうち支持シート3に接合されていない幅方向の中央部(すなわち、第1領域221に対応する部位)が長手方向に収縮する。これにより、上述のように、繊維集合体2の幅方向の中央部は、長手方向に関してカバーシート4および支持シート3よりも短くなる。
【0039】
支持シート3としては、例えば、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド等)にて形成された透液性の不織布(ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンボンド不織布等)が利用される。
図1および
図2に示す例では、支持シート3はエアスルー不織布である。なお、支持シート3として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)が利用されてもよい。
【0040】
カバーシート4としては、例えば、不透液性のプラスチックフィルムまたは不織布が利用される。あるいは、不透液性のプラスチックフィルムと不織布とが積層された積層シートが、カバーシート4として利用されてもよい。なお、カバーシート4は、撥水性または透液性のシート部材であってもよい。
【0041】
繊維集合体2は、長繊維により形成される。好ましくは、繊維集合体2は、補助シート1の長手方向を向く長繊維により形成される。当該長繊維は、好ましくは、トウを開繊することにより形成される。これにより、繊維集合体2を軽量化することができる。当該長繊維のSP値(すなわち、ヒルデブラント溶解パラメータ)は、好ましくは、12以上19以下である。なお、上記長繊維は、トウの開繊以外の様々な方法により形成されてもよい。
【0042】
繊維集合体2を形成する長繊維は、好ましくはセルロース系繊維である。当該セルロース系繊維としては、例えば、アセテート繊維等のセルロース系半合成繊維、レーヨン等のセルロース系再生繊維、または、綿等のセルロース系天然繊維が利用される。繊維集合体2が、セルロース系繊維により形成されることにより、着用者の肌に接する繊維集合体2の上面21において、柔らかな肌触りを実現することができる。
【0043】
繊維集合体2は、好ましくは、セルロース系半合成繊維により形成される。これにより、セルロース系再生繊維やセルロース系天然繊維により形成される場合に比べて、繊維集合体2をさらに嵩高く形成することができ、また、より大きい弾性回復力を繊維集合体2に付与することもできる。繊維集合体2は、より好ましくは、セルロース系半合成繊維のうち、アセテート繊維により形成される。
【0044】
上述のように、補助シート1は、繊維集合体2と、透液性の支持シート3と、カバーシート4とを備える。繊維集合体2は長繊維により形成される。支持シート3は、繊維集合体2の下面22を覆うとともに当該下面22に接合される。カバーシート4は、補助シート1の使用前の状態において、繊維集合体2の上面21を覆うとともに支持シート3に接続し、補助シート1の使用時に取り外されて除去される。
【0045】
このように、繊維集合体2の上面21がカバーシート4により覆われることにより、補助シート1の製造現場における繊維集合体2への紙粉の混入等の汚損、および、補助シート1の使用現場における繊維集合体2への異物の付着等の汚損を抑制することができる。換言すれば、補助シート1において、使用前の繊維集合体2の汚損を抑制することができる。
【0046】
また、補助シートが繊維集合体のみで形成される場合や、繊維集合体が露出している場合に比べて、製造現場や使用現場における補助シート1の取り扱いを容易とすることができるとともに、繊維集合体2からの繊維の脱落等を抑制することができる。さらに、繊維集合体2が長繊維により形成されるため、繊維集合体2が破断しにくくなり、その結果、補助シート1の取り扱いを、より一層容易とすることができる。
【0047】
補助シート1では、カバーシート4が、繊維集合体2の上面21の露出部211全体を覆う。これにより、使用前の繊維集合体2の汚損を、より一層抑制することができる。また、カバーシート4が不透液性であるため、カバーシート4の上面に液体等が付着した場合であっても、当該液体等がカバーシート4を通過して繊維集合体2に到達することが防止される。このため、使用前の繊維集合体2の汚損を、さらに抑制することができる。
【0048】
上述のように、補助シート1の使用前の状態においては、支持シート3の両側端部31が、繊維集合体2の上面21上に折り返されており、カバーシート4が繊維集合体2の上面21上にて支持シート3に接続される。当該構造を採用することにより、補助シート1の構造を簡素化することができるとともに、カバーシート4による繊維集合体2の被覆、および、カバーシート4の支持シート3への接続を容易に実現することができる。
【0049】
補助シート1の使用時には、カバーシート4が支持シート3から剥離されることにより取り外される。具体的には、介護士や看護士等の作業者によりカバーシート4の長手方向の一方の端部が把持され、当該一方の端部が他方の端部に向かって引っ張られることにより、カバーシート4と支持シート3との仮接合が解除される。このように、支持シート3に仮接合されたカバーシート4を剥離することにより、カバーシート4を繊維集合体2および支持シート3上から容易に除去することができる。
【0050】
カバーシート4の取り外し時の引き剥がし強さは、好ましくは、0.3N以上5N以下である。これにより、カバーシート4の意図しない剥離を抑制しつつ、カバーシート4を支持シート3から容易に取り外すことができる。当該引き剥がし強さは、例えば、次のような測定方法にて測定される。まず、上述のように仮接合された支持シート3およびカバーシート4の長手方向端部の幅方向中央部分をテンシロン万能試験機(株式会社エー・アンド・ディー製、製品名「RTG−1210」)の上下の摘まみ具で挟持し、上下の摘まみ具を上下方向に離間させて180度剪断方向への力を加え、引き剥がし力が測定される。なお、摘まみ具の上下方向への移動速度は、例えば、分速300mmである。
【0051】
上述のように、使用前の状態の補助シート1では、繊維集合体2の幅方向の少なくとも中央部は、長手方向に関してカバーシート4および支持シート3よりも短い。したがって、補助シート1の長手方向の端部では、幅方向の中央部における繊維集合体2の端縁が、支持シート3およびカバーシート4の端縁よりも、長手方向の中央部に近い位置に位置する。すなわち、補助シート1の長手方向の端部では、幅方向の中央部において、支持シート3の長手方向の端部と、カバーシート4の長手方向の端部とが、間に繊維集合体2を挟むことなく、直接的に対向する。このため、カバーシート4を支持シート3から剥離する際に、作業者がカバーシート4の長手方向の端部を容易に把持することができる。その結果、カバーシート4を、繊維集合体2および支持シート3上から、さらに容易に除去することができる。
【0052】
上述のように、支持シート3の両側端部31は、繊維集合体2の上面21と接合されていない。このため、使用時においてカバーシート4が除去された後の補助シート1では、
図4に示すように、支持シート3の両側端部31が、繊維集合体2の上面21から離間して側方に広がる。補助シート1は、吸収性物品9の上側(すなわち、着用者側)に配置される。
図4では、補助シート1と共に使用される吸収性物品9の一部も示す。
図4は、補助シート1および吸収性物品9の長手方向のおよそ中央部の断面を示す。吸収性物品9は、例えば、テープタイプの使い捨ておむつである。吸収性物品9は、透液性のトップシート91と、不透液性のバックシート93と、トップシート91とバックシート93との間に配置される吸収コア92とを備える。
【0053】
補助シート1の支持シート3の外面(すなわち、吸収性物品9に対向する面)には、例えば、面ファスナ等の係止部(図示省略)が設けられ、当該係止部が、吸収性物品9のトップシート91等に係止される。これにより、補助シート1が吸収性物品9上に着脱可能に取り付けられる。そして、補助シート1が着用者の股間部に対向するように、吸収性物品9が着用者に装着される。
【0054】
着用者から液状分が多い軟便等が排泄されると、当該軟便等は補助シート1の繊維集合体2により受けられる。詳細には、軟便等は、繊維集合体2の上面21の幅方向における中央部にて受けられる。補助シート1では、軟便等の固形分が繊維集合体2により漉し取られて液状分と分離される。軟便等の固形分は繊維集合体2により保持され、液状分は繊維集合体2および支持シート3を透過して、吸収性物品9により受けられて保持される。なお、補助シート1では、軟便等の固形分と液状分とが完全に分離される必要はなく、軟便等に含まれる液状分の少なくとも一部が、繊維集合体2上の軟便等から分離される。
【0055】
上述のように、繊維集合体2は長繊維により形成されるため、軟便等の固形部により目詰まりが生じて液状分が透過せずに滞留することを抑制することができる。このため、繊維集合体2において、軟便等の排泄物の液状分を速やかに下方へと(すなわち、支持シート3および吸収性物品9へと)透過させることができ、液状分が補助シート1の側方等へと漏出することを抑制することができる。
【0056】
補助シート1では、繊維集合体2が長繊維により形成されるため、軟便等の液状分が、長繊維が向く方向に拡散しやすい。このため、繊維集合体2における液状分の透過性を向上することができる。また、当該長繊維が長手方向を向いているため、軟便等の液状分は、繊維集合体2の長手方向に拡散しやすい。これにより、軟便等の液状分が繊維集合体2の広い範囲に亘って迅速に拡散される。その結果、繊維集合体2における液状分の透過性を、より一層向上することができる。
【0057】
補助シート1では、繊維集合体2がセルロース系繊維の長繊維により形成されるため、補助シート1の使用前は繊維集合体2が嵩高である、このため、繊維集合体2において、液状分の多い軟便等の固形分を好適に漉し取って、速やかに固形分と液状分とを分離させることができる。また、繊維集合体2の嵩は、液状分との接触により速やかに減少し、繊維集合体2の液状分保持可能量が減少する。その結果、補助シート1では、軟便等の固形分を繊維集合体2にて漉し取りつつ、より多くの液状分を透過させることができる。換言すれば、補助シート1は、軟便等の固形分と液状分とを好適かつ速やかに分離させることができる。
【0058】
上述のように、繊維集合体2は、好ましくはアセテート繊維の長繊維により形成される。アセテート繊維は、軟便等に含まれる液状分のうち水分および油分のいずれにも過剰に高い親和性を示すことがない。したがって、繊維集合体2がアセテート繊維の長繊維により形成されることにより、軟便等に含まれる水分および油分の双方を好適かつ速やかに透過させることができる。その結果、補助シート1では、軟便等に含まれる液状分における水分および油分の割合にかかわらず、軟便等の固形分と液状分とを好適かつ速やかに分離させることができる。
【0059】
補助シート1では、繊維集合体2は、SP値が12以上19以下の長繊維により形成される。SP値が12以上19以下の長繊維は、軟便等に含まれる液状分のうち水分および油分のいずれにも過剰に高い親和性を示すことがない。したがって、繊維集合体2がSP値が12以上19以下の長繊維により形成されることにより、軟便等に含まれる水分および油分の双方を好適かつ速やかに透過させることができる。その結果、補助シート1では、軟便等に含まれる液状分における水分および油分の割合にかかわらず、軟便等の固形分と液状分とを好適かつ速やかに分離させることができる。
【0060】
上述のように、軟便等は、繊維集合体2の上面21において幅方向の中央部により受けられ、軟便等の液状分は、繊維集合体2中を繊維集合体2の下面22および支持シート3に向かって移動する。繊維集合体2の下面22は、幅方向の中央部に位置する第1領域221と、第1領域221の周囲の領域であって支持シート3に接合される第2領域222とを含む。繊維集合体2を透過した上記液状分は、繊維集合体2の下面22において幅方向の中央部に位置する第1領域221へと導かれる。第1領域221は、第2領域222よりも高い透過性を有する高透液性領域であるため、軟便等の液状分は、第1領域221および支持シート3を速やかに透過することができる。このように、補助シート1では、軟便等の排泄物の液状分を速やかに透過させて、吸収性物品9へと導くことができる。
【0061】
繊維集合体2では、下面22の第2領域222が、接着剤により支持シート3に接合され、第1領域221は、支持シート3と非接合である非接合領域である。これにより、繊維集合体2の下面22における上述の高透過性領域を容易に実現することができるとともに繊維集合体2を支持シート3に好適に固定することができる。そして、上述のように、補助シート1において軟便等の液状分を速やかに透過させて、吸収性物品9へと導くことができる。
【0062】
また、第1領域221は、繊維集合体2の下面22において長手方向の全長に亘る。このため、長手方向の広い範囲に亘って軟便等の液状分を速やかに透過させて、吸収性物品9へと導くことができる。第1領域221の当該形状は、繊維集合体2が補助シート1の長手方向を向く長繊維により形成される場合に特に好ましい。これにより、繊維集合体2において長手方向に拡散する液状分を速やかに透過させて、吸収性物品9へと迅速に、かつ、広範囲に亘って導くことができる。
【0063】
さらに、第1領域221が、繊維集合体2の下面22において長手方向の全長に亘ることにより、上述のように、補助シート1の製造工程において、繊維集合体2の幅方向中央部が長手方向に収縮する。このため、使用前の状態の補助シート1において、繊維集合体2の幅方向の少なくとも中央部が、長手方向に関してカバーシート4および支持シート3よりも短くなり、作業者がカバーシート4の長手方向の端部を容易に把持することができるようになる。すなわち、第1領域221が繊維集合体2の下面22において長手方向の全長に亘ることにより、繊維集合体2の幅方向の少なくとも中央部が、長手方向に関してカバーシート4および支持シート3よりも短い構造を容易に実現することができる。
【0064】
補助シート1では、第1領域221の透液性が第2領域222の透液性よりも高いのであれば、第1領域221は、必ずしも非接合領域である必要はない。第1領域221は、例えば、第2領域222よりも目付量が小さい接着剤により支持シート3と接合される弱接合領域であってもよい。この場合であっても、第1領域221が、第2領域222よりも高い透過性を有する高透液性領域であるため、軟便等の液状分は、第1領域221および支持シート3を速やかに透過することができる。その結果、補助シート1では、軟便等の液状分を速やかに透過させて、吸収性物品9へと導くことができる。上記弱接合領域では、接着剤は、例えば、ドット状に塗布される。
【0065】
第1領域221が弱接合領域とされる場合、第1領域221の接着剤の目付量は、好ましくは、0.0001g/m
2以上0.001g/m
2以下である。これにより、上述の繊維集合体2および支持シート3における液状分の速やかな通過を好適に実現することができる。また、第2領域222の接着剤51の目付量は、好ましくは、0.001g/m
2以上0.1g/m
2以下である。これにより、繊維集合体2と支持シート3とを強固に接合することができる。
【0066】
上述のように、補助シート1では、軟便等の液状分が繊維集合体2により分離され、固形分が漉し取られる。軟便等の固形分と液状分との分離に使用された補助シート1は、作業者により吸収性物品9から取り外される。そして、繊維集合体2上に保持されている軟便等の固形分がトイレ等に流されて処分される。繊維集合体2上に残る軟便等では、液状分が分離されて液状分の含有率が低減されているため、当該軟便等を補助シート1上から容易に除去することができる。その後、使用済みの補助シート1は、丸められる等して廃棄される。
【0067】
補助シート1では、使用時に、カバーシート4が取り外された後、支持シート3の両側端部31が繊維集合体2の上面21から離間して側方に広がる。このため、使用済みの補助シート1を吸収性物品9から取り外す際、繊維集合体2上の軟便等を除去する際、および、補助シート1を廃棄する際等に、支持シート3のうち繊維集合体2の側縁23から側方に広がる部位を把持して補助シート1を取り扱うことができる。これにより、繊維集合体2上の軟便等により手を汚すことが抑制され、使用済みの補助シート1を容易に取り扱うことができる。また、使用前の状態の補助シート1では、支持シート3の両側端部31が、繊維集合体2の両側縁において折り返されて、繊維集合体2の上面21上に折り返されている。これにより、使用前の補助シート1の小型化が実現される。
【0068】
使用前の状態の補助シート1は、例えば、
図5に示すように、幅方向に延びる2本の折り畳み線11にて長手方向に折り畳まれた状態で、図示省略の包装袋に収容されている。当該包装袋には、例えば、複数の補助シート1が同様に折り畳まれて収容される。包装袋に収容される補助シート1の数は1つであってもよい。
図5に示す補助シート1は、支持シート3を外側にし、カバーシート4(
図1および
図2参照)を内側にして長手方向に折り畳まれている。このため、補助シート1の使用前にカバーシート4が支持シート3から外れることを抑制することができる。なお、補助シート1は、必ずしも3つに折り畳まれる必要はなく、例えば、1本の折り畳み線11にて長手方向に2つ折りにされてもよい。後述する他の補助シートにおいても同様である。
【0069】
図6は、補助シートの他の好ましい例を示す平面図である。
図6では、補助シート1aを長手方向(すなわち、
図6中の上下方向)に広げた状態にて示す。
図7は、
図6に示す補助シート1aを、
図6中のB−Bの位置(すなわち、長手方向の略中央部)にて、補助シート1aの長手方向に垂直な面で切断した断面図である。
【0070】
図6および
図7に示す補助シート1aでは、支持シート3aの両側縁33が、繊維集合体2の両側縁23から幅方向の外側に離間している。支持シート3aの両側縁33には、長手方向に延びる一対の弾性部材55が設けられる。一対の弾性部材55は、両側縁33に沿って支持シート3aに伸長状態にて接合される。支持シート3aは、幅方向において繊維集合体2上に折り返され、繊維集合体2の上面21の両側端部に接合される。補助シート1aの他の構造は、
図1および
図2に示す補助シート1とおよそ同様である。
【0071】
カバーシート4が取り外されて補助シート1aが使用される際には、一対の弾性部材55が収縮することにより、
図8に示すように、支持シート3aの両側縁33近傍の部位が上方(すなわち、着用者側)に向かって起立する。支持シート3aの起立した部位は、着用者の肌に接する立体ギャザーとなる。これにより、排泄物が補助シート1aの側方へと漏出することを抑制することができる。
【0072】
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る補助シート1bを、長手方向(すなわち、
図9中の上下方向)に広げた状態にて示す平面図である。
図10は、補助シート1bを、
図9中に示すC−Cの位置(すなわち、長手方向の略中央部)にて、補助シート1bの長手方向に垂直な面で切断した断面図である。補助シート1bの繊維集合体2は、
図1および
図2に示す補助シート1の繊維集合体2と同様の構造を有する。
【0073】
図9および
図10に示すように、使用前の状態における補助シート1bでは、支持シート3bおよびカバーシート4bのそれぞれの幅が、繊維集合体2の幅よりも大きい。また、カバーシート4bと支持シート3bとは、繊維集合体2の両側縁23よりも幅方向の外側(すなわち、繊維集合体2から幅方向に離間した位置)にて接続される。当該構造を採用することにより、補助シート1bの構造を簡素化することができるとともに、カバーシート4bによる繊維集合体2の被覆、および、カバーシート4bの支持シート3bへの接続を容易に実現することができる。
【0074】
カバーシート4bは、例えば、
図1および
図2に示すカバーシート4と同様に、支持シート3bに仮接合されることにより接続される。カバーシート4bは、例えば、ホットメルト接着剤等の接着剤52により支持シート3bに仮接合される。カバーシート4bを支持シート3bに仮接合することにより、カバーシート4bと支持シート3bとの接続を容易に実現することができる。なお、カバーシート4bと支持シート3bとの仮接合は、接着剤52による接着以外の方法(例えば、エンボス加工)により行われてもよい。補助シート1bが使用される際は、カバーシート4bが支持シート3bから剥離されることにより、カバーシート4bを繊維集合体2および支持シート3b上から容易に除去することができる。
【0075】
図11に示すように、補助シート1bでは、
図6および
図7に示す補助シート1aと同様に、支持シート3bの両側縁33に、長手方向に延びる一対の弾性部材55が設けられてもよい。一対の弾性部材55は、両側縁33に沿って支持シート3bに伸長状態にて接合される。カバーシート4bが取り外されて補助シート1bが使用される際には、一対の弾性部材55が収縮することにより、
図12に示すように、支持シート3bの両側縁33近傍の部位が上方(すなわち、着用者側)に向かって起立する。支持シート3bの起立した部位は、着用者の肌に接する立体ギャザーとなる。これにより、排泄物が補助シート1bの側方へと漏出することを抑制することができる。
【0076】
図13は、補助シートの他の好ましい例を示す平面図である。
図13では、補助シート1cを長手方向(すなわち、
図13中の上下方向)に広げた状態にて示す。
図14は、
図13に示す補助シート1cを、
図13中のD−Dの位置(すなわち、長手方向の略中央部)にて、補助シート1cの長手方向に垂直な面で切断した断面図である。
【0077】
図13および
図14に示す補助シート1cでは、使用前の状態において、カバーシート4bの両側縁近傍の部位と、支持シート3bの両側縁近傍の部位とが、上述の仮接合よりも強い接合強度にて接合されることにより、カバーシート4bと支持シート3bとが接続される。
図13では、カバーシート4bと支持シート3bとの接続部44に平行斜線を付す。カバーシート4bと支持シート3bとの接続部44は、繊維集合体2の両側縁23よりも幅方向の外側に位置する。カバーシート4bの各接続部44近傍には、弱化線54が設けられている。
図13では、弱化線54を太破線にて示す。補助シート1cの他の構造は、
図9および
図10に示す補助シート1bとおよそ同様であり、以下の説明では、対応する構成に同符号を付す。
【0078】
図13および
図14に示す2本の弱化線54はそれぞれ、カバーシート4bの略全長に亘って長手方向に沿って略直線状に延びる。弱化線54は、詳細には、接続部44の幅方向の内縁上、または、当該内縁から僅かに幅方向の内側に離間した位置において、カバーシート4bに設けられる。弱化線54は、例えば、複数の小さい切れ目や穴が断続的に配列されたミシン目である。また、弱化線54は、例えば、カバーシート4bに設けられたスリットをリニアカットフィルムにて覆うことにより形成されてもよい。
【0079】
補助シート1cが使用される際には、上述の2本の弱化線54が破断されることにより、カバーシート4bが取り外される。詳細には、カバーシート4bのうち、接続部44を構成する部位を除く部位が、繊維集合体2上および支持シート3bから取り外されて除去される。この場合も、
図9および
図10に示す補助シート1bと同様に、カバーシート4bを繊維集合体2および支持シート3b上から容易に除去することができる。
【0080】
弱化線54は、必ずしも接続部44近傍に設けられる必要はない。例えば、接続部44よりも幅方向の内側において、繊維集合体2の上方にて長手方向に延びる2本の弱化線54が、カバーシート4bに設けられてもよい。また、例えば、繊維集合体2の幅方向および長手方向の中央部上において、当該中央部を囲む略長円状や略矩形状の弱化線54が、カバーシート4bに設けられてもよい。
【0081】
弱化線54は、必ずしもカバーシート4bに設けられる必要はない。例えば、接続部44の幅方向の内縁上、または、当該内縁から僅かに幅方向の内側に離間した位置において、支持シート3bの略全長に亘って長手方向に沿って略直線状に延びる2本の弱化線54が、支持シート3bに設けられてもよい。この場合、補助シート1cが使用される際には、2本の弱化線54が破断されることにより、カバーシート4bが、支持シート3bの接続部44を構成する部位と共に、繊維集合体2および支持シート3b上から容易に取り外されて除去される。
【0082】
上述の補助シート1,1a〜1cでは、様々な変更が可能である。
【0083】
図1および
図2に示す補助シート1では、カバーシート4は、接着剤52により支持シート3に直接的に接続されるが、カバーシート4は、他の部材を介して支持シート3に間接的に接続されてもよい。ただし、当該他の部材には、繊維集合体2は含まれない。補助シート1a〜1cにおいても同様である。
【0084】
図1および
図2に示す補助シート1では、
図13に示す補助シート1cと同様に、カバーシート4と支持シート3とが接合され、カバーシート4に弱化線54が設けられてもよい。この場合も、補助シート1cと同様に、弱化線54が破断されることにより、カバーシート4が支持シート3および繊維集合体2上から取り外されて除去される。
図6および
図7に示す補助シート1aにおいても同様である。
【0085】
図13および
図14に示す補助シート1cでは、
図6および
図7に示す補助シート1aと同様に、一対の弾性部材が、繊維集合体2の両側縁23から幅方向の外側に離間している支持シート3bの両側縁33に沿って、支持シート3bに伸長状態にて接合されてもよい。補助シート1cが使用される際には、当該一対の弾性部材が収縮することにより、支持シート3bの両側縁33近傍の部位が上方(すなわち、着用者側)に向かって起立する。これにより、排泄物が補助シート1cの側方へと漏出することを抑制することができる。
【0086】
繊維集合体2は、アセテート繊維以外のセルロース系繊維の長繊維により形成されてもよく、セルロース系繊維以外の様々な繊維の長繊維により形成されてもよい。
【0087】
繊維集合体2は、長繊維のみにより形成されることが好ましいが、実質的に長繊維により形成されるのであれば、長繊維以外の材料を含んでいてもよい。例えば、繊維集合体2は、長繊維を主材料として含み、さらに、短繊維をある程度の割合にて含んでいてもよい。
【0088】
図1および
図2に示す補助シート1の使用前の状態において、繊維集合体2の幅方向の中央部は、長手方向に関してカバーシート4および支持シート3とおよそ同じ長さであってもよい。補助シート1a〜1cにおいても同様である。
【0089】
補助シート1では、繊維集合体2の下面22と支持シート3との接合に利用される接着剤51は、カーテン塗工、スプレー塗工またはコータ塗工等の様々な方法により塗布されてもよい。また、繊維集合体2と支持シート3との接合は、接着剤による接着以外の様々な方法により行われてもよい。補助シート1a〜1cにおいても同様である。
【0090】
繊維集合体2では、第1領域221および各第2領域222は、必ずしも、繊維集合体2の下面22において長手方向の全長に亘って設けられる必要はない。例えば、第1領域221は、繊維集合体2の下面22の幅方向中央部において長手方向の中央部のみに設けられてもよい。換言すれば、繊維集合体2の下面22において、幅方向中央部かつ長手方向中央部のみが第1領域221であり、第1領域221の周囲の部位全体が第2領域222であってもよい。
【0091】
また、繊維集合体2の下面22では、第2領域222よりも高い透液性を有する複数の第1領域221が設けられ、当該複数の第1領域221の一部が、繊維集合体2の下面22の幅方向中央部に位置してもよい。第1領域221の周囲に位置する第2領域222の数は、1つでも3つ以上であってもよい。
【0092】
図1および
図2に示す補助シート1では、使用前の状態において、カバーシート4は、必ずしも繊維集合体2の上面21の露出部211全体を覆う必要はなく、繊維集合体2の露出部211の少なくとも一部を覆っていればよい。これにより、繊維集合体2のカバーシート4により覆われた部位の汚損を抑制することができる。また、カバーシート4は必ずしも設けられなくてもよい。補助シート1a〜1cにおいても同様である。
【0093】
図15は、他の好ましい補助シート1dを示す断面図である。補助シート1dは、
図1および
図2に示す補助シート1と同様の繊維集合体2、支持シート3およびカバーシート4に加えて、透液性のシート部材である外装シート6を備える。外装シート6は、例えば、支持シート3と同様の材料により形成される。外装シート6は、例えば、透液性のエアスルー不織布である。
図15に示す例では、カバーシート4の幅は、繊維集合体2の幅よりも小さく、繊維集合体2の上面21の露出部211の幅よりも大きい。
【0094】
外装シート6は支持シート3の下方に配置される。また、外装シート6の両側端部61は、繊維集合体2の両側縁23にて繊維集合体2の上面21上に折り返され、カバーシート4の両側端部の上側に配置される。外装シート6の両側端部61は、カバーシート4の上面に仮接合される。外装シート6とカバーシート4との仮接合は、例えば、ホットメルト接着剤等の接着剤53を介して行われる。カバーシート4が支持シート3および外装シート6に仮接合されることにより、カバーシート4の意図しない剥離を、より一層抑制することができる。
【0095】
補助シート1,1a〜1dの平面視における形状は、様々に変更されてよい。例えば、補助シート1,1a〜1dの平面視における形状は、長手方向の中央部の幅が、長手方向の両端部の幅よりも小さい、いわゆる砂時計型であってもよい。あるいは、補助シート1,1a〜1dの平面視における形状は、長円形等であってもよい。
【0096】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。