(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
有機溶媒などの可燃性物質を内部で扱う格納容器では、当該可燃性物質の発火により容器の外へ炎が噴き出す場合がある。例えば、二次電池用試験装置では、試験中の二次電池が過充電により異常加熱されることで電解液である有機溶媒が発火し、これにより装置本体と扉との間の隙間から炎が噴き出す場合がある。したがって、上記特許文献1に開示された充放電評価装置では、このような二次電池の発火時における炎の噴出に対する対策が十分ではない場合がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、安全性がより向上した格納容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る格納容器は、可燃性物質を内部で扱う本体と、前記本体に対して開閉自在に取り付けられた扉と、前記扉と前記本体との間の隙間を覆うように前記隙間の外側に配置され
た第1の遮炎部材であって、前記扉
の側面部における前記本体の側面に沿った側面に固定された第1の遮炎部材と、を備えている。
前記第1の遮炎部材は、前記扉の側面部から前記隙間を跨いで前記本体の前記側面にまで延在していると共に、前記扉に固定された一方の端部と反対側の他方の端部が前記隙間に対して前記扉と反対側に位置している。
【0008】
上記格納容器では、扉の側面部と本体との間の隙間を覆う第1の遮炎部材により、可燃性物質の発火時に当該隙間から本体の外部へ炎が噴き出すことを抑制することができる。また第1の遮炎部材を扉の側面部に固定することにより、当該隙間から炎が噴き出した場合でも扉側とは反対の容器の背面側へ炎を導くことができる。これにより、ユーザが位置する扉側への炎の噴き出しが抑制されるため、安全性をより向上させることができる。
また上記構成によれば、扉の側面部と本体との間の隙間が広がった場合でも、当該隙間を第1の遮炎部材により覆うことができる。そのため、安全性をさらに向上させることができる。
【0009】
ここで、「可燃性物質」とは、本体内に収容されるガス、液体又は粉体であってもよいし、本体内に収容されるものが反応することにより生じるものでもよい。
【0012】
上記格納容器において、前記扉は、前記側面部と反対側の側面部が回動軸側として軸支されており、前記本体に対して開閉自在に構成されていてもよい。
【0013】
回動軸側として軸支される方と反対側の側面部(扉の開閉が行われる方の側面部)では、本体との間の隙間が広がり易く、これにより本体の外部へ炎が噴き出し易くなる。そのため、当該側面部に第1の遮炎部材を固定して炎の噴き出しを抑制することにより、安全性を一層向上させることができる。
【0014】
上記格納容器において、前記第1の遮炎部材は、前記扉の側面部に対して取り外し可能に固定されていてもよい。
【0015】
上記構成によれば、第1の遮炎部材が消耗したときに当該第1の遮炎部材の交換作業を容易に行うことができる。
【0016】
上記格納容器において、前記第1の遮炎部材は、弾性変形可能な部材からなっていてもよい。
【0017】
上記構成によれば、第1の遮炎部材が変形した場合でも、その後形状が元に戻ることにより扉と本体との隙間を再び覆うことができる。これにより、本体の内部に空気が流入することを抑制することができる。その結果、本体内部への酸素供給が遮断され、継続的な炎の発生を抑制することができる。また、硬質な部材ではなく弾性変形可能な柔軟な部材を用いることにより、ユーザが第1の遮炎部材に触れたときにも怪我を防止することができる。
【0018】
上記格納容器は、前記扉の上面部に固定され、前記扉の上面部と前記本体との間の隙間を覆うように配置された第2の遮炎部材をさらに備えていてもよい。
【0019】
上記構成によれば、可燃性物質の発火時における扉の上面部と本体との間の隙間から外部への炎の噴き出しを第2の遮炎部材により抑制することができる。また、第2の遮炎部材を扉の上面部に固定することにより、当該隙間から炎が噴き出した場合でも扉側と反対の容器の背面側へ炎を導くことができる。
【0020】
上記格納容器は、前記可燃性物質を含む二次電池が被試験電池として前記本体に収容される二次電池用試験装置であってもよい。
【0021】
上記構成によれば、第1の遮炎部材により二次電池の爆発時に扉と本体との隙間から外へ炎が噴き出すことを抑制することができる。これにより、安全性が向上した二次電池用試験装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、安全性がより向上した格納容器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。
【0025】
(実施形態1)
<二次電池用試験装置の構成>
まず、本発明の格納容器の一例として、二次電池用試験装置1の構成について、
図1〜
図4を参照して説明する。
図1は、二次電池用試験装置1を正面側から見たときの構造を示している。
図2は、二次電池用試験装置1を
図1中矢印Aの方向から見たときの構造を示している。
図3は、二次電池用試験装置1を
図1中矢印Bの方向から見たときの構造を示している。
図4は、二次電池用試験装置1を
図1中矢印Cの方向から見たときの構造を部分的に示している。
【0026】
二次電池用試験装置(格納容器)1は、二次電池90について充放電試験などの信頼性試験を行うための装置である。二次電池用試験装置1は、二次電池90を収容する装置本体20及び当該装置本体20に対して開閉自在に取り付けられた扉10を有する恒温恒湿槽と、二次電池90に電流を流して充放電を行う電源部及びこれを制御する制御部(図示しない)と、を主に備えている。上記二次電池用試験装置1では、電源部を用いて二次電池90に対して充放電を繰り返すことにより信頼性評価が行われる。試験対象となる二次電池90としては、リチウムイオン電池、ニッケル・カドミウム電池、ニッケル水素電池等の各種の二次電池を挙げることができる。
【0027】
二次電池90(リチウムイオン電池)は、可燃性物質である有機溶媒を電解液として含んでいる。二次電池90は、試験中の過充電により異常加熱され、当該有機溶媒が発火することにより爆発する場合がある。上記二次電池用試験装置1では、二次電池90に含まれる可燃性物質である有機溶媒が装置本体20の内部において扱われる。
【0028】
装置本体20には、二次電池90を収容するための内部空間91が形成されている(
図2,3)。装置本体20は、空調部(図示しない)を備え、当該空調部により温度及び湿度が調整された空気が内部空間91へ吹き出される構造を有している。これにより、一定の温度湿度環境下において二次電池90の充放電試験を行うことができる。
【0029】
内部空間91には、二次電池90を載置するための棚板21が複数段(例えば3段)設けられている。棚板21の段数や二次電池90の設置個数は特に限られず、任意に設定することができる。また装置本体20は、二次電池90を収容可能に構成されていればよく、棚板21の構成を省略し、内部空間91の底面部に二次電池90が直接配置されてもよい。
【0030】
扉10は、装置本体20に対して二次電池90の出し入れを行うため、装置本体20に対して開閉自在に取り付けられている。扉10は、
図1に示すように当該扉10を閉じた状態において扉面18が内部空間91を覆うように装置本体20に取り付けられている。
【0031】
扉10は、一方の側面部が装置本体20に固定される固定端12として構成され(
図3)、当該一方の側面部と反対側の側面部が自由端11として構成されている(
図2)。固定端12は、
図3に示すように蝶番32により装置本体20に固定されており、当該装置本体20に対して回動軸側として軸支されている。これにより、扉10は、固定端12を回動軸として自由端11側から装置本体20に対して開閉(回動)自在となっており、装置本体20に対して二次電池90の出し入れを行うことができる。なお、扉10の開閉動作は、扉面18において自由端11側に設けられた取手部10A(
図1)をユーザが手で掴んで行うことができる。なお、蝶番32の数は1個に限られず、複数設けられていてもよい。
【0032】
扉10の自由端11側には、高さ方向の両端に扉ロック機構14が設けられている(
図1)。充放電試験を行う際には、扉ロック機構14により扉10の自由端11が装置本体20に対して固定される。
【0033】
上記二次電池用試験装置1は、扉10の自由端11側に取り付けられた第1の遮炎部材30をさらに備えている(
図2)。第1の遮炎部材30は、試験中の二次電池90の爆発に起因した装置本体20から外部への炎の噴き出しを抑制するための部材である。
【0034】
第1の遮炎部材30は、長方形状を有する一枚のゴム板状部材によって構成されている。第1の遮炎部材30は、短手方向の幅W2が扉10の自由端11と装置本体20との間の隙間Sの幅W1よりも大きく、長手方向の幅W3が扉10の縦幅W4と略同じである。第1の遮炎部材30は、
図2に示すように、扉10の自由端11側から見たときに当該隙間S全体を覆うように配置されている。
【0035】
第1の遮炎部材30の形状は、本実施形態のような長方形状に限られず、任意の形状を採用することができる。また第1の遮炎部材30は、本実施形態のように一体形成されたものでもよいし、複数の部材からなるものでもよい。
【0036】
第1の遮炎部材30は、短手方向の一方の端部(
図2中左側の端部)が固定部材31により扉10の自由端11に固定されるとともに、当該自由端11から隙間Sを跨いで装置本体20まで延在している。より具体的には、
図4に示すように、第1の遮炎部材30は、固定部材31により自由端11に固定されかつ当該自由端11側の側面11Aに密着する第1の部分71、隙間Sを覆う第2の部分72、及び装置本体20の側面20Aと接触する第3の部分73を有し、これらの部分が互いに繋がって構成される。第3の部分73は、第1の部分71とは異なり、装置本体20に対して固定されずに側面20Aと接触している。
【0037】
第1の遮炎部材30は、前側の部位である第1の部分71において扉10に固定される一方、後側の部位は固定されていない。すなわち、第1の遮炎部材30は、第1の部分71を支持側として、片持ち支持された状態となっている。第3の部分73は、
図4に示すように扉10から後方に突出しているが、上記の通り第1の遮炎部材30がゴム板状部材によって構成されているため、ユーザが触れたときでも安全である。
【0038】
第1の遮炎部材30は、クロロプレンゴムなどの弾性変形可能なゴム部材からなる。これにより、二次電池90の爆発時に第1の遮炎部材30が風圧に押されて変形して隙間Sから爆風が放出された場合でも、当該第1の遮炎部材30が元の形状に戻ることによって隙間Sを覆うことができる。第1の遮炎部材30には、クロロプレンゴム以外の任意の弾性部材を用いることも可能である。また第1の遮炎部材30は、弾性変形可能なゴム部材でなくてもよく、弾性変形しない部材でもよい。
【0039】
第1の遮炎部材30は、隙間Sの少なくとも一部を覆うものであればよく、本実施形態のように隙間S全体を覆うものに限られない。例えば、第1の遮炎部材30は、長手方向の幅W3が扉10の縦幅W4よりも小さく、隙間Sを部分的に覆うように配置されていてもよい。この場合には、二次電池90の爆発による炎の噴き出しを効果的に防ぐため、第1の遮炎部材30は、少なくとも内部空間91に面する隙間Sの部分を覆うように配置されることが好ましい。
【0040】
第1の遮炎部材30は、扉10の自由端11に対して取り外し可能に固定されている。より具体的には、第1の遮炎部材30は、ネジなどの固定部材31によって扉10の自由端11に対して取り外し可能に固定されている。固定部材31は、複数設けられており、
図2に示すように第1の遮炎部材30の長手方向において等間隔に配置されている。なお、固定部材31の個数や配置位置は特に限られず、爆発時に第1の遮炎部材30と扉10の側面11A(
図4)との密着が確保される範囲において任意に設定することができる。
【0041】
第1の遮炎部材30は、固定部材31によって扉10の自由端11に対して取り外し可能に固定される場合に限られず、任意の固定手段によって当該自由端11に対して取り外し可能に固定されてもよい。また第1の遮炎部材30は、扉10の自由端11に固定されていればよく、当該自由端11に対して取り外し可能に固定される場合にも限られない。
【0042】
上記二次電池用試験装置1は、動作状態表示部15をさらに備えている(
図1〜
図3)。動作状態表示部15は、装置本体20の上面20Bに配置されており、二次電池用試験装置1の動作状態(通常運転状態、異常発生状態など)を表示する。例えば、二次電池90の爆発が発生した場合には、別途設けられた煙検知器(図示しない)からの情報によって動作状態表示部15において装置が異常状態であることが表示される。
【0043】
上記二次電池用試験装置1において、二次電池90の充放電を行う電源部及びこれを制御する制御部(図示しない)は、装置本体20の外部に配置されている。電源部は、ケーブルにより二次電池90と電気的に接続されており、装置本体20には当該ケーブルを通すためのケーブル孔(図示しない)が設けられている。制御部は、電源部と接続されたパーソナルコンピュータであり、当該電源部を制御することにより二次電池90への充放電を行う。
【0044】
<二次電池用試験装置の作用効果>
次に、上記二次電池用試験装置1による作用効果について説明する。
【0045】
上記二次電池用試験装置1は、二次電池90を収容し、その電解液である有機溶媒(可燃性物質)を内部で扱う装置本体20と、扉10と、扉10の側面部(自由端11)に固定され、当該自由端11と装置本体20との隙間Sを覆う第1の遮炎部材30と、を備えている。
【0046】
上記二次電池用試験装置1では、扉10の自由端11と装置本体20との間の隙間Sを覆う第1の遮炎部材30により、二次電池90の電解液が発火して爆発が起きた時に当該隙間Sから装置本体20の外部へ炎が噴き出すことを抑制することができる。また第1の遮炎部材30は、短手方向の一方の端部が複数の固定部材31により長手方向において均等に扉10の自由端11に対して固定され(
図2)、当該一方の端部が自由端11側の側面11Aに密着し(
図4)、他方の端部が装置本体20の側面20Aに対して固定されずに接触している。そのため、
図5に示すように扉10と装置本体20との隙間Sから炎100が噴き出した場合でも、当該一方の端部と扉10の自由端11との隙間から炎が扉10側に噴き出さず、扉10側とは反対の装置の背面側へ炎100を導くことができる。これにより、ユーザが位置する扉10側への炎100の噴き出しが抑制されるため、装置の安全性をより向上させることができる。
【0047】
上記二次電池用試験装置1において、第1の遮炎部材30は、扉10の自由端11から隙間Sを跨いで装置本体20にまで延在している。これにより、二次電池90の爆発による風圧等により扉10の自由端11と装置本体20との間の隙間Sが広がった場合でも、当該隙間Sを第1の遮炎部材30により覆うことができる。そのため、装置の安全性をさらに向上させることができる。
【0048】
上記二次電池用試験装置1において、扉10は、自由端11と反対側の固定端12が回動軸側として軸支されることにより装置本体20に対して開閉(回動)自在に構成されている。扉10の開閉動作が行われる自由端11では、二次電池90の爆発により装置本体20との間の隙間Sが広がり易く、これにより装置本体20の外部へ炎が噴き出し易くなる。そのため、当該自由端11に第1の遮炎部材30を固定して炎の噴き出しを抑制することにより、装置の安全性を一層向上させることができる。
【0049】
上記二次電池用試験装置1において、第1の遮炎部材30は、扉10の自由端11に対して取り外し可能に固定されている。これにより、第1の遮炎部材30が消耗したときに当該第1の遮炎部材30の交換作業を容易に行うことができる。
【0050】
上記二次電池用試験装置1において、第1の遮炎部材30は、弾性変形可能な部材からなっている。これにより、
図5に示すように二次電池90の爆発時の風圧により第1の遮炎部材30が変形した場合でも、爆発後に形状が元に戻ることにより扉10と装置本体20との隙間Sを再び覆うことができる。これにより、爆発後に装置本体20の内部空間91に空気が流入することを抑制することができる。その結果、装置本体20の内部への酸素供給が遮断され、継続的な炎の発生を抑制することができる。また、硬質な部材ではなく弾性変形可能な柔軟な部材を用いることにより、ユーザが第1の遮炎部材30に触れたときにも怪我を防止することができる。
【0051】
<変形例>
次に、上記実施形態1の変形例に係る二次電池用試験装置の構成について説明する。
【0052】
[変形例1]
図6は、上記実施形態1の第1変形例に係る二次電池用試験装置を上方から見たときの構造を示している。第1変形例に係る二次電池用試験装置は、第1の遮炎部材30に加えて、扉10の上面部19と装置本体20との間の隙間S1を覆うように配置された第2の遮炎部材30Aをさらに備えている。
【0053】
第2の遮炎部材30Aは、第1の遮炎部材30と同様に、長方形状を有し、クロロプレンゴムなどの弾性部材によって構成されている。第2の遮炎部材30Aは、短手方向の幅W5が扉10の上面部19と装置本体20との間の隙間S1の幅W6よりも大きく、長手方向の幅W7が扉10の横幅W8と略同じである。第2の遮炎部材30Aは、扉10の上面部19側から見たときに(
図6)、当該隙間S1全体を覆うように配置されている。
【0054】
第2の遮炎部材30Aは、短手方向の一方の端部が固定部材31A(ネジなど)により扉10の上面部19に固定されるとともに、当該上面部19から隙間S1を跨いで装置本体20まで延在している。また第2の遮炎部材30Aは、第1の遮炎部材30と同様に、扉10の上面部19に密着する部分と、隙間S1を覆う部分と、装置本体20の上面20Bに固定されずに接触する部分と、を有している。
【0055】
第2の遮炎部材30Aは、第1の遮炎部材30と同様に、隙間S1の少なくとも一部を覆うものであればよく、隙間S1を部分的に覆っていてもよい。
【0056】
上記変形例1では、扉10の自由端11と装置本体20との隙間Sからの炎の噴き出しを第1の遮炎部材30により抑制するとともに、扉10の上面部19と装置本体20との隙間S1からの炎の噴き出しを第2の遮炎部材30Aにより抑制することができる。また隙間Sの場合と同様に、隙間S1から炎が噴き出した場合でも第2の遮炎部材30Aにより扉10側と反対の装置の背面側へ炎を導くことができる。
【0057】
[変形例2]
図7は、上記実施形態1の第2変形例に係る二次電池用試験装置を上方から見たときの構造を示している。第2変形例に係る二次電池用試験装置は、第1及び第2の遮炎部材30,30Aに加えて、扉10の固定端12側に設けられた第3の遮炎部材30Bをさらに備えている。
【0058】
第3の遮炎部材30Bは、第1及び第2の遮炎部材30,30Aと同様に、クロロプレンゴムなどの弾性部材によって構成されている。第3の遮炎部材30Bは、一方の端部が固定部材31B(ネジなど)により扉10の固定端12に固定されるとともに、固定端12と装置本体20の隙間を塞ぐ蝶番32を覆うように固定端12から装置本体20まで延在している。
【0059】
上記変形例2では、扉10の自由端11側及び上面部19側からの炎の噴き出しを抑制するとともに、第3の遮炎部材30Bにより固定端12側からの炎の噴き出しをより確実に抑制することができる。なお、上記第2変形例において、第2の遮炎部材30Aの構成が省略され、第1及び第3の遮炎部材30,30Bのみが設けられてもよい。
【0060】
[変形例3]
図8は、上記実施形態1の第3変形例に係る二次電池用試験装置を上方から見たときの構造を示している。第3変形例に係る二次電池用試験装置は、扉10の自由端11と装置本体20との間の隙間Sを覆う金属板からなる第1の遮炎部材83に加えて、支持部材82及び弾性体81をさらに備えている。
【0061】
支持部材82は、扉10の自由端11側の側面11Aから延設され、かつ第1の遮炎部材83との間に間隔を空けて略平行に対向している。弾性体81は、バネであって、第1の遮炎部材83と支持部材82とにより挟まれるように配置されている。
【0062】
上記変形例3では、
図9に示すように、二次電池90の爆発時の風圧により第1の遮炎部材83が変形するが、押し縮められた弾性体81の力で塑性変形を起こさない状態で留められるため、爆発の風圧がなくなると元の状態に戻ることにより隙間Sを再び覆うことができる。そのため、弾性変形可能な部材を用いた場合と同様に、装置本体20内への酸素供給を遮断し、継続的な炎の発生を抑制することができる。また金属板からなる第1の遮炎部材83を用いることで、ゴム部材を用いる場合に比べて耐久性を高めることができる。
【0063】
[変形例4]
図10は、上記実施形態1の第4変形例に係る二次電池用試験装置を上方から見たときの構造を示している。第4変形例に係る二次電池用試験装置は、扉10の自由端11と装置本体20との間の隙間Sを覆う金属板からなる第1の遮炎部材84を備えている。
【0064】
第1の遮炎部材84は、
図10に示すように一方の端部(
図10中左側の端部)が固定部材31により扉10の自由端11側の側面11Aに固定されている。また第1の遮炎部材84は、装置本体20の側面20Aとの間に隙間Dを維持するように当該側面20Aに沿って平行に延びている。この状態で、第1の遮炎部材84は、装置本体20と扉10との間の隙間Sを覆っている。つまり、第1の遮炎部材84は、装置本体20の側面20Aと接触しないように後方側へ延びている。
【0065】
このように、第1の遮炎部材84と装置本体20の側面20Aとの間に隙間Dを設けることで、当該第1の遮炎部材84が風圧によって変形しない場合でも、隙間Sから噴き出す炎を側面20Aに沿って背面側へ導き、扉10側への噴き出しを抑制することができる。また金属板からなる第1の遮炎部材84を用いることで、ゴム部材を用いる場合に比べて耐久性を高めることができる。
【0066】
(実施形態2)
次に、本発明の他の実施形態である実施形態2について、
図11及び
図12を参照して説明する。実施形態2に係る二次電池用試験装置1Aは、基本的には上記実施形態1に係る二次電池用試験装置1と同様の構成を備え、かつ同様の効果を奏する。しかし、実施形態2に係る二次電池用試験装置1Aは、扉の開閉機構において上記実施形態1に係る二次電池用試験装置1とは異なっている。
【0067】
図11は、二次電池用試験装置1Aにおいて扉50が閉じた状態を示している。
図12は、二次電池用試験装置1Aにおいて扉50が開いた状態を示している。
図11に示すように、二次電池用試験装置1Aは、上記実施形態1と同様に、二次電池90を収容する内部空間91が形成された装置本体20と、当該装置本体20に対して開閉自在に取り付けられた扉50と、扉50の側面部51と装置本体20との間の隙間Sを覆うように配置された第1の遮炎部材30と、を備えている。
【0068】
図12に示すように、実施形態2では、下面部52が回動軸として軸支されることにより、扉50は装置本体20に対して開閉自在に構成されている。扉50の下面部52は、蝶番33により装置本体20に固定されている。実施形態2においても、上記実施形態1と同様に扉50の側面部51に第1の遮炎部材30を設けることにより、扉50の側面部51と装置本体20との隙間Sからの前方(扉50側)への炎の噴き出しを抑制することができる。
【0069】
なお、実施形態2において、上記実施形態1の変形例1と同様に扉50の上面部53に固定される遮炎部材がさらに設けられてもよいし、扉50の側面部51と反対側の側面部に固定される遮炎部材がさらに設けられてもよい。
【0070】
(実施形態3)
次に、本発明のさらに他の実施形態である実施形態3について、
図13及び
図14を参照して説明する。実施形態3に係る二次電池用試験装置1Bは、基本的には上記実施形態1に係る二次電池用試験装置1と同様の構成を備え、かつ同様の効果を奏する。しかし、実施形態3に係る二次電池用試験装置1Bは、扉の開閉機構において上記実施形態1に係る二次電池用試験装置1とは異なっている。
【0071】
図13は、二次電池用試験装置1Bにおいて扉60が閉じた状態を示している。
図14は、二次電池用試験装置1Bにおいて扉60が開いた状態を示している。
図13に示すように、二次電池用試験装置1Bは、上記実施形態1と同様に、二次電池90を収容する内部空間91が形成された装置本体20と、当該装置本体20に対して開閉自在に取り付けられた扉60と、扉60の側面部61と装置本体20との間の隙間Sを覆うように配置された第1の遮炎部材30と、を備えている。
【0072】
図14に示すように、実施形態3では、上面部62が回動軸として軸支されることにより、扉60は装置本体20に対して開閉自在に構成されている。扉60の上面部62は、蝶番34により装置本体20に固定されている。実施形態3においても、上記実施形態1と同様に扉60の側面部61に第1の遮炎部材30を設けることにより、扉60の側面部61と装置本体20との隙間Sからの扉60側への炎の噴き出しを抑制することができる。
【0073】
上記実施形態1〜3では、本発明の格納容器の一例として充放電試験に用いられる二次電池用試験装置1,1A,1Bについて説明したが、これに限定されない。本発明の格納容器は、例えば釘刺試験や圧壊試験などの他の評価試験に用いられる二次電池用試験装置であってもよい。これらの評価試験においても、充放電試験と同様に二次電池90の爆発により装置本体の外部へ炎が噴き出す場合があるが、同様に遮炎部材を設けることによってこれを抑制することで装置の安全性を確保することができる。
【0074】
また本発明の格納容器は、上記二次電池用試験装置に限定されず、例えば有機溶剤(可燃性物質)を含む被乾燥物を本体内に収容し、当該本体内において有機溶剤を揮発させる乾燥機やオーブン、有機溶媒(可燃性物質)を電解液として含むリチウム一次電池を本体内に収容して評価試験を行う試験装置、又は反応により水素ガス(可燃性物質)を発生させる硫酸鉛電池を本体内に収容して評価試験を行う試験装置、などに適用することができる。この場合でも、上記二次電池用試験装置の場合と同様に、本体内において上記可燃性物質が発火したとき、扉の側面部と本体との間の隙間を覆う第1の遮炎部材により当該隙間から外へ炎が噴き出すことを抑制することができる。
【0075】
今回開示された実施形態及びその変形例は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。