(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可動部材は、前記支柱が前記起立位置に位置する状態で、前記第1ロック位置から180度以上回転して前記補強フレームに載る位置に移動可能であることを特徴とする請求項4または5に記載の投光器。
前記第1ロック機構は、前記可動部材と前記固定部材との間に作用する磁力によって前記可動部材を前記第1ロック位置で保持することを特徴とする請求項4ないし6のいずれかの項に記載の投光器。
前記起立位置から前記折り畳み位置に向かう前記支柱の倒れ動作による回転トルクを緩衝するダンパー機構を備えることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかの項に記載の
投光器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、特許文献1の投光器は、上部支柱を起立させた位置で固定するロック機構を2重に備え、2重ロック機構のうちの1つ(マストロック装置47)は、上部支柱を起こす動作で爪部材が係合してロックがかかる。しかしながら、もう1つのロック機構(マスト連結装置48)は、ピン孔を位置合わせしてピンを差し込まなければならないので、上部支柱を起こしたとしても、それだけではロックはかからない。従って、ロックをかけ忘れるおそれがある。
【0007】
また、特許文献1の投光器は、それぞれ独立にロックを解除でき、ロックを解除する順序は決まっていない。このため、一方のロックが何らかの理由で外れていることに気づかず、不用意にロックを解除してしまうおそれがある。その結果、不用意に上部支柱が倒れて投光器が損傷するおそれがある。
【0008】
また、投光器を使用するために、上部支柱を起立状態でロックすると、上述したように重心が高くなるので、強風等であおられると揺れが大きく、照射方向のずれが問題となる。また、強風を受けると、支柱を支持する箇所に大きな力がかかるため、部品の変形や脱落等が懸念される。
【0009】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、照明灯を取り付けた支柱を折り畳み可能にした投光器において、支柱のロックのかけ忘れ、あるいは、不用意にロックを解除してしまうなど、ユーザーの意図に反して支柱のロックが解除された状態になるおそれを少なくすることにある。
【0010】
また、本発明の他の課題は、強風時の揺れや部品の脱落、変形等を軽減できる投光器を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の投光器は、台車と、前記台車に支持され、上下方向に延びる起立位置、および前記起立位置に対して傾いた折り畳み位置に移動可能な支柱と、前記支柱の上端に取り付けられる照明灯と、前記支柱を前記起立位置でロックする第1ロック機構および第2ロック機構を有し、前記第1ロック機構と前記第2ロック機構のうちの一方は、他方のロックが解除された状態では、ロックを解除できないことを特徴とする。
【0012】
本発明の投光器は、このように、照明灯を取り付けた支柱が起伏可能であるため、支柱を倒すことにより、投光器を低重心でコンパクトな形態にすることができる。よって、移動時の取り回しが容易である。また、支柱は、2つのロック機構によって起立位置にロックされ、2つのロック機構のうち、一方のロックが解除された状態では、もう一方のロックを解除できない。このように、予め定めた順番でのみロックを解除できるようにしたことで、ユーザーの意図に反してロックが解除された状態になるおそれが少ない。従って、不用意に支柱が倒れるおそれが少ない。
【0013】
本発明において、前記第1ロック機構および前記第2ロック機構は、前記支柱が前記折り畳み位置から前記起立位置に移動することにより、ロック状態に切り換わることが望ましい。このようにすると、支柱が起立することによって2つのロック機構が自動的にロック状態に切り換わるので、容易に、且つ、確実に支柱の2重ロックを行うことができる。従って、ロックのかけ忘れによって、不用意に支柱が倒れることを防止できる。
【0014】
本発明において、前記台車に固定された補強フレームを有し、前記補強フレームを介して前記支柱が前記台車に支持されることが望ましい。このように、補強フレームで支柱を支持することにより、強風などによる揺れや部品の変形、脱落等を少なくすることができる。
【0015】
本発明において、前記第1ロック機構は、前記支柱に回転可能に取り付けられ、前記支柱が前記起立位置に位置する状態で、自重によって他端が鉛直方向下方を向く第1ロック位置に移動する可動部材と、前記補強フレームに固定され、前記第1ロック位置に位置する前記可動部材と係合可能な固定部材と、を備えることが望ましい。このようにすると、支柱が起立する動作によって、可動部材を自重で第1ロック位置に移動させることができるので、第1ロック機構を自動でロック状態に切り換えることができる。
【0016】
本発明において、前記固定部材は、前記第1ロック位置に位置する前記可動部材に対して下側から当接可能な第1ロック面を備えることが望ましい。このようにすると、第1ロ
ック面に可動部材が上から当接することによって、第1ロック面と可動部材の支点との間で可動部材が突っ張った状態(固定部材と可動部材とが係合した状態)が形成される。従って、第1ロック機構によるロック状態(可動部材によって支柱の傾きを規制できる状態)を形成できる。
【0017】
本発明において、前記可動部材は、前記支柱が前記起立位置に位置する状態で、前記第1ロック位置から180度以上回転して前記補強フレームに載る位置に移動可能であることが望ましい。このようにすると、第1ロック機構の可動部材を補強フレームに載せて保持できる。また、起立位置の支柱を倒すとき、可動部材が補強フレームから直ちに落下して第1ロック位置に戻ることはないので、支柱を倒す途中で第1ロック機構がロック状態に切り換わってしまうことを回避できる。
【0018】
本発明において、前記第1ロック機構は、前記可動部材と前記固定部材との間に作用する磁力によって前記可動部材を前記第1ロック位置で保持するように構成することもできる。このようにすると、振動等によって不用意に第1ロック機構のロックが外れることを回避できる。また、可動部材のがたつきによる騒音を減らすことができる。
【0019】
本発明において、前記第2ロック機構は、前記補強フレームによって上下動可能に支持される係合部材と、前記係合部材を上方に付勢する付勢部材と、を備え、前記係合部材は、前記起立位置に位置する前記支柱の下端と係合する第2ロック位置、および前記第2ロック位置よりも下側で前記支柱の下端と係合しないロック解除位置に移動可能であることが望ましい。このようにすると、係合部材を下方に押し下げて第2ロック機構のロックを解除できる。また、係合部材から手を放せば、付勢部材の付勢力によって係合部材が第2ロック位置に戻る。従って、ロック解除動作およびロック動作が容易である。
【0020】
本発明において、前記係合部材は、前記支柱が前記起立位置に向けて回転する際に前記支柱の下端が移動する移動方向の前方に向かうに従って上昇する傾斜面と、前記傾斜面に対して前記移動方向の前方に位置しており、前記支柱の下端と係合可能な第2ロック面と、を備えることが望ましい。このようにすると、支柱が起立する際に支柱の下端で係合部材の傾斜面を押圧し、係合部材を押し下げる。そして、支柱の下端が傾斜面を乗り越えると、付勢部材の付勢力によって係合部材が上昇し、支柱の下端が第2ロック面と係合する。従って、支柱が起立する動作によって第2ロック機構をロック状態に切り換えることができる。
【0021】
本発明において、前記起立位置から前記折り畳み位置に向かう前記支柱の倒れ動作による回転トルクを緩衝するダンパー機構を有することが望ましい。このようにすると、重量の大きい照明灯を用いる場合に、支柱が急激に倒れることを回避できる。従って、支柱を折り畳む作業が容易であり、支柱が急に倒れて投光器の各部が損傷することを回避できる。
【0022】
本発明において、前記支柱を前記折り畳み位置でロックする第3ロック機構を有することが望ましい。このようにすると、移動時に衝撃や振動などによって支柱および照明灯ががたつくことによる、騒音や部品の損傷を減らすことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、照明灯を取り付けた支柱が起伏可能で、2つのロック機構によって支柱を起立位置にロックできる投光器において、2つのロック機構のうち、一方のロックが解除された状態では、もう一方のロックを解除できず、予め定めた順番でのみロックを解除できる。従って、ユーザーの意図に反してロックが解除された状態になるおそれが少なく、不用意に支柱が倒れるおそれが少ない。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した投光器の実施形態を説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る投光器の側面図であり、
図1(a)は支柱が起立した状態を示し、
図1(b)は支柱を折り畳んだ状態を示す。
図2は投光器を後方から見た背面図である。また、
図3は投光器の正面図であり、
図3(a)は、
図1のA−A線よりも前方の部分を省略した投光器を前方から見た図、
図3(b)は
図3(a)の領域Bの部分拡大図である。
図1〜3に示すXYZの3方向は互いに直交する方向であり、X方向は幅方向、Y方向は前後方向、Z方向は上下方向(鉛直方向)を示す。また、Y1方向は前方、Y2方向は後方、Z1方向は上方、Z2方向は下方を示す。
【0026】
(全体構造)
投光器1は、台車10と、台車10に固定された補強フレーム20と、補強フレーム20によって支持される支柱30と、支柱30の上端に取り付けられる照明灯40と、照明灯40に電力を供給するための電源ユニット50等を備える。本形態の投光器1は、台車10に照明灯40およびその支柱30を補強フレーム20で起伏可能に取り付けて電源ユニット50を一緒に載せたものである。なお、本形態の投光器1は、台車10を除く部分(補強フレーム20、支柱30、照明灯40および電源ユニット50)を、台車10から取り外すことも可能であり、この部分を投光器付き補強フレームと呼ぶこともできる。投光器付き補強フレームは、各種の形態の台車や、移動式の支持台や筐体に取り付けて用いることが可能である。
【0027】
照明灯40は、例えば、LED、ヒートシンク、リフレクター等を備えるLEDライトユニットであり、台車10に乗せられる電源ユニット50に対し、図示しない配線で接続される。なお、照明灯40は、LED以外の光源を用いたものでもよい。電源ユニット50は、筐体の内部にバッテリーやコントロールユニットを収納しており、図示しない電源ケーブルによって外部電源に接続可能である。支柱30は、管状の第1支柱31および第2支柱32を備える。第2支柱32は第1支柱31の上端から突出する。第1支柱31からの第2支柱32の突出寸法は調節可能である。第2支柱32の上端には、照明灯40を角度調整可能に取り付けるための取付部33が設けられている。なお、本形態では、2本の支柱(第1支柱31、第2支柱32)をスライド可能に装着して支柱30を伸縮可能にしたが、3本以上の支柱を用いて支柱30を伸縮可能にしてもよい。また、支柱30は伸縮可能でなくてもよい。
【0028】
台車10は、金属管で構成した支持台11を備える。支持台11は、横材11aおよび縦材11bを備える。横材11aは、幅方向Xに延びる前後一対の平行な金属管である。縦材11bは、前後方向Yに平行に延びる複数本の金属管であり、幅方向Xに一定間隔で配置されている。縦材11bの前端と後端は横材11aに支持されている。前後一対の横材11aのうち、前方Y1に位置する横材11aの両端には、左右一対の前輪12aが取り付けられている。また、後方Y2に位置する横材11aの両端には、左右一対の後輪12bが取り付けられている。すなわち、横材11aは車軸として用いられ、これら4個の車輪(前輪12a、後輪12b)により、台車10が移動可能となっている。
【0029】
台車10は、支持台11の前方Y1の端部から起立する前方フレーム13と、支持台11の後方Y2の端部から起立する後方フレーム14を備える。前方フレーム13は、縦材11bのうちの幅方向Xの両端に位置する金属管の前端から上方Z1に屈曲して延びる2本の縦管部分と、これら2本の縦管部分の上端同士を接続するように幅方向Xに延びる水平管部分を備える。前方フレーム13の水平管部分には、樹脂等からなる被覆材が装着されている。
【0030】
後方フレーム14は、上述した補強フレーム20が取り付けられる部位である。後方フレーム14は、支持台11の後方Y2の端部に固定される左右一対の取付管15と、各取付管15に固定されて上方に延びる左右一対の縦フレーム16と、一対の取付管15の間で幅方向Xに延びる1本の下フレーム17を備える。取付管15は、支持台11を構成する縦材11bのうち、幅方向Xの両端に位置する金属管の後端に固定されている。取付管15と縦材11b(金属管)とが接続された角部には、三角プレート18が溶接で固定されている。下フレーム17はアングル材であり、直角に繋がる2つの側板部を備える。下フレーム17は、一方の側板部が縦材11bの後端の上に載り、且つ、もう一方の側板部が左右一対の取付管15に前方Y1から当たる位置で固定されている。
【0031】
左右一対の縦フレーム16は、縦材11bと同様の金属管であり、その下端は、それぞれ、取付管15に挿入されて、固定ネジによって取付管15に固定されている。縦フレーム16の上端には、台車10の動きを制御するための操作部19が設けられている。操作部19は、2本の縦フレーム16の上端からそれぞれ、後方Y2に傾くように屈曲して延びる2本の傾斜管部分と、傾斜管部分の上端同士を接続するように幅方向Xに延びている水平管部分を備える。操作部19の水平管部分には、樹脂等からなる被覆材が装着されている。台車は、操作部19の水平管部分を持ってその移動方向を制御しながら動かすことが可能である。
【0032】
なお、台車10に図示しないブレーキを設けることができる。ブレーキは、例えば、左右一対の後輪12bの後方に配置したブレーキ板と、このブレーキ板を手あるいは足で操作して後輪12bに押し付けるための操作部材を設けた構成にすることができる。
【0033】
(補強フレーム)
補強フレーム20は金属製であり、幅方向Xに延在する下フレーム21および上フレーム22と、下フレーム21と上フレームに上下の端部が固定された左右一対の縦フレーム23と、2本の縦フレーム23の間に配置された下部支柱24と、下部支柱24の上端の高さで幅方向Xに延在する中間フレーム25を備える。本形態では、下フレーム21および上フレーム22がアングル材であり、縦フレーム23は金属管である。下フレーム21は、後方フレーム14の下端に設けられた下フレーム17の上に重なっており、下フレーム17に固定されている。一方、上フレーム22は、左右一対の縦フレーム16の上端の間で幅方向Xに延在する。上フレーム22の両端は、それぞれ、縦フレーム16の上端に前方Y1から当接してネジ固定されている。
【0034】
補強フレーム20の縦フレーム23は、後方フレーム14を構成する2本の縦フレーム16の幅方向Xの内側に位置する。縦フレーム23の上端と下端は、それぞれ、上フレーム22と下フレーム21に前方Y1から当接して固定されている。より詳しくは、上フレーム22と下フレーム21はアングル材であり、直角に繋がった側板部の一方が上下方向Zに延在する。上フレーム22は、下方Z2に向けて延びる側板部と、その上端から前方Y1に突出する水平な側板部を備え、下フレーム21は、上方Z1に立ち上がる側板部と、その下端縁から前方Y1に突出する水平な側板部を備える。上フレーム22と下フレーム21の水平な側板部は、上下方向Zに重なっている。2本の縦フレーム23は、上下方
向Zに重なる側板部の間に配置され、その上下端が、上下方向Zに延びる側板部に前方から当接して固定されている。
【0035】
このように、下フレーム21、上フレーム22、および縦フレーム23は、枠状に組み付けられて、台車10の後方フレーム14に固定されている。また、中間フレーム25は、その両端が、左右一対の縦フレーム23に前方Y1から当接して溶接等によって固定されている。中間フレーム25は、幅方向Xの中央で前方Y1に向けて突出する形状に屈曲しており、屈曲部の内側に、後方Y2から下部支柱24の上端が当接して固定されている。下部支柱24の下端は、下フレーム21に固定されている。補強フレーム20は、これらの枠状に組み付けられた部材を介して台車10に支持される機構として、照明灯40付きの支柱30を起伏可能に支持するための支持機構60を備える。また、補強フレーム20は、支柱30を垂直に起立した起立位置30A(
図1(a)参照)でロックする第1ロック機構70および第2ロック機構80を備える。以下、それぞれの機構について説明する。
【0036】
(支柱の支持機構)
図4は投光器1の部分断面図であり、
図4(a)は
図3(a)のC−C位置で切断した断面図、
図4(b)は
図3(a)のD−D位置で切断した断面図である。
図3、
図4に示すように、支持機構60は、上フレーム22の水平な側板部の下側で、鉛直になった側板部から前方Y1に突出する一対のブラケット61A、61Bと、ブラケット61A、61Bの間に配置される支柱支持部材62を備える。支柱支持部材62には、幅方向Xの両側に向けて突出する回転軸63A、63Bが設けられている。支柱支持部材62は、回転軸63A、63Bおよびブラケット61A、61Bを介して、幅方向Xに延びる回転軸線Lを中心として回転可能に支持される。
【0037】
支柱30の下端を支柱支持部材62に固定すると、支柱30は、回転軸線Lを中心として回転可能に支持される。ここで、支柱支持部材62は、支柱30の下端に固定されて支柱30と一体になって回転するので、本発明では、支柱支持部材62は補強フレーム20の一部というよりも支柱の一部に相当し、支柱支持部材62の下端が支柱の下端に相当するものとする。支柱30および支柱支持部材62は、回転軸線Lを中心として回転することにより、
図1(a)に示す起立位置30Aと、
図1(b)に示す折り畳み位置30Bに移動可能である。以下、起立位置30Aから折り畳み位置30Bに向かう回転方向を「折り畳み方向P1」とし、折り畳み位置30Bから起立位置30Aに向かう回転方向を「起立方向P2」とする(
図1(b)参照)。なお、本形態では、折り畳み位置30Bで支柱30が略水平になっているが、折り畳み位置30Bは、支柱30が水平方向に対して傾く位置であってもよい。
【0038】
図3(b)等に示すように、支柱支持部材62は、第1支柱31の下端が固定される筒状部64と、筒状部64に固定される溝型部65を備える。溝型部65は、底板部65aと、底板部65aの両側の端縁から鉛直方向下方に延びる一対の側板部65bを備え、底板部65aを上にしてブラケット61A、61Bの間に配置される。回転軸63A、63Bは、一対の側板部65bから、それぞれ、幅方向Xの両側に向けて突出する。溝型部65は、溝幅方向と直交する方向の長さが上フレーム22の前後方向Yの幅よりも長く、上フレーム22の水平な側板部の下から、さらに前方Y1に突出している(
図5(a)等参照)。筒状部64は、上フレーム22よりも前方Y1に突出している底板部65aの部位を垂直に貫通している。
【0039】
支持機構60は、回転軸63A、63Bとブラケット61A、61Bとの間にそれぞれ、ダンパー機構66A、66Bを組み込んでいる。ダンパー機構66A、66Bはねじりコイルばねを備える。ねじりコイルばねは回転軸63A/63Bの外周側に装着され、そ
の一端が回転軸63A/63Bに固定され、他端がブラケット61A/61Bに固定される。ダンパー機構66A、66Bは、照明灯40付きの支柱30および支柱支持部材62が前方Y1に倒れる方向(折り畳み方向P1)に回転するときに、これらの荷重による回転トルクを緩衝する作用を持つ。従って、支柱支持部材62および照明灯40付き支柱30付き照明灯40が前方Y1に倒れるときに、照明灯40の荷重によって大きな回転トルクが生じ、急激に倒れることを回避できる。
【0040】
(第1ロック機構)
第1ロック機構70は、支柱支持部材62の折り畳み方向P1への回転を規制することにより、支柱支持部材62に固定された支柱30を起立位置30Aにロックする機構である。
図1、
図3、
図4等に示すように、第1ロック機構70は、中間フレーム25の上側の端面に載っており中間フレーム25に溶接等により固定された固定部材71と、固定部材71の上方に配置された可動部材72と、可動部材72を支柱支持部材62に回転可能に取り付ける支軸73を備える。可動部材72は、細長い棒状部材である。可動部材72の一端(上端)は、溝型部65の一方の側板部65bの前端部に対し、支軸73によって回転可能に取り付けられる。これにより、可動部材72は、支柱支持部材62の回転軸線Lから離れた位置にある回転軸線L1を中心として回転可能となる。可動部材72は、支柱30が起立位置30Aに位置する状態では、上フレーム22から前方Y1に突出する溝型部65の前端部から自重によって下向きに延びており、その先端面72aは下方Z2を向いている。この位置が、可動部材72の第1ロック位置72Aである。
【0041】
固定部材71は、第1ロック位置72Aに位置する可動部材72と係合可能である。固定部材71は、前後方向Yに水平に延在する水平部74と、水平部74の前端から斜め上方に傾斜して延びる傾斜部75と、水平部74の後端から上方に起立する縦板部76を備える(
図4(b)、
図5(a)等参照)。固定部材71は、可動部材72が第1ロック位置72Aに位置するとき、下方Z2を向く可動部材72の先端面72aと対向する第1ロック面77(
図5(a)等参照)を備える。第1ロック面77は、水平部74の上面であり、第1ロック位置72Aに位置する可動部材72の先端面72aと上下方向Zに対向する。第1ロック機構70は、可動部材72が第1ロック位置72Aに位置する場合、支柱支持部材62を折り畳み方向P1に倒そうとしても、第1ロック面77と支軸73との間で可動部材72が突っ張った状態になる。従って、支柱支持部材62を倒すことができなくなり、第1ロック機構70によって支柱30が起立位置30Aにロックされる。
【0042】
可動部材72は、第1ロック位置72Aでは、先端面72aが第1ロック面77に対向し、且つ、固定部材71の縦板部76に対し、前方Y1から当接している。従って、第1ロック位置72Aでは、可動部材72の後方Y2への回転が規制されている。一方、固定部材71の傾斜部75は、前方Y1へ回動する可動部材72の下端と干渉することのない角度で傾斜している。従って、第1ロック機構70は、可動部材72を手で前方Y1へ回動させることにより、ロックを解除することが可能である。
【0043】
(第2ロック機構)
第2ロック機構80は、第1ロック機構70と同様に、支柱支持部材62の折り畳み方向P1への回転を規制することにより、支柱30を起立位置30Aにロックする機構である。
図5は、ロック解除動作および支柱30の折り畳み動作の説明図であり、
図6は、支柱30の起立動作およびロック動作の説明図である。
図5(a)に示すように、第2ロック機構80は、下部支柱24の上端で上下動可能に支持される係合部材81と、係合部材81を上方Z1に付勢する付勢部材82と、支柱支持部材62の下端に設けられた被係合部83を備える。
図1(b)、
図5(a)等に示すように、被係合部83は、支柱支持部材62の筒状部64の下端に設けられた平板状の部位である。上述したように、支柱支持部材62は本発明の支柱の下端部分に相当するので、被係合部83が本発明の支柱の下端
に相当する。
【0044】
下部支柱24の上端には、円筒形状の後方Y2側の部分を180度の角度範囲にわたって所定高さ分切り欠いた切り欠き部26が形成されている。切り欠き部26の前方Y1には、前方Y1に向けて湾曲する湾曲壁27が残存する。下部支柱24の切り欠き部26は、半円形の端面(
図4(b)参照)を備えており、この端面の周方向の中央に、上下方向Zに延びる切り欠き溝28(
図2、
図4(b)参照)が形成されている。切り欠き溝28には、係合部材81が上下動可能に配置される。係合部材81は、下部支柱24の内側に配置される係合爪84と、係合爪84から切り欠き溝28を通って後方Y2に延びており、下部支柱24の後方Y2で直角に屈曲して幅方向Xの一方側に延びる操作板85と、係合爪84から前方Y1に延びて湾曲壁27の下側で下部支柱24を貫通する連結板86を備える。連結板86は、下部支柱24と一体に形成された突出板24aに挟まれ、突出板24aに対して回転可能に連結される。これにより、係合部材81は、幅方向Xに延びる回転軸線L2を中心として回転可能となる。
【0045】
係合部材81は、切り欠き溝28に沿って操作板85を上下に動かすと、回転軸線L2を中心として上下に傾き、係合爪84が上下に移動する。下部支柱24の内部には、係合爪84の下側に付勢部材82(
図5、
図6参照)が配置されている。付勢部材82としては、例えばコイルばねを用いることができる。本形態では、コイルばねの上端に配置した押圧板を介して係合爪84を上方Z1に押し上げる。なお、他の構造の付勢部材を用いてもよい。係合爪84は、前方Y1に向かうに従って上昇する傾斜面87と、傾斜面87の前方Y1に形成された第2ロック面88を備える。ここで、支柱30および支柱支持部材62が起立方向P2に回転するとき、その下端に位置する被係合部83は前方Y1に移動する。つまり、傾斜面87は、支柱30が起立する際の、被係合部83の移動方向の前方(すなわち、前方Y1)に向かうに従って上昇する斜面である。
【0046】
図5(a)に示すように、支柱30が起立位置30Aに位置する状態では、支柱支持部材62が垂直な姿勢になるので、被係合部83は下部支柱24の側を向いており、係合爪84よりも前方Y1に位置する。係合部材81は、付勢部材82の付勢力で押し上げられて、第2ロック面88が被係合部83の後方Y2に位置する高さまで上昇する。この位置が、係合部材81の第2ロック位置81Aである。第2ロック位置81Aでは、第2ロック面88と被係合部83とが係合するので、支柱支持部材62および支柱30を折り畳み方向P1に倒すことはできない。つまり、支柱30が起立位置30Aにロックされる。
【0047】
(2重ロック機構のロック解除動作およびロック動作)
図5を参照して、第1ロック機構70および第2ロック機構80による2重ロックを解除するロック解除動作、および支柱30の折り畳み動作を説明する。
図5(a)は、第1ロック機構70および第2ロック機構80がいずれもロック状態になっている状態を示す。すなわち、第1ロック機構70の可動部材72は第1ロック位置72Aに位置し、第2ロック機構80の係合部材81は第2ロック位置81Aに位置する。これにより、支柱30が起立位置30Aにロックされる。
【0048】
この状態から、まず、第1ロック機構70によるロックを解除するため、
図5(b)に示す矢印S1方向に可動部材72を回転させる。可動部材72は、180度以上回転させることができ、回転軸線L1よりも後方Y2に位置する上フレーム22の上に載せて保持することができる。続いて、
図5(b)に示す矢印S2方向に係合部材81を押し下げて、係合爪84を被係合部83よりも下の位置まで下げる。これが、係合部材81のロック解除位置81Bである。ここで、可動部材72を回転させて上フレーム22に載せるよりも先に、係合部材81を押し下げて第2ロック機構80のロックを解除してしまうと、前方Y1寄りに重心がある照明灯40付きの支柱30が折り畳み方向P1に傾き、第1ロッ
ク面77と支軸73との間で可動部材72が突っ張った状態になってしまう。この状態では、可動部材72を回転させて第1ロック面77の上から移動させることはできず、ロックを解除することはできない。そこで、最初に可動部材72を回転させて、第1ロック機構70によるロックを解除し、しかる後に第2ロック機構80のロックを解除しなければならない。
【0049】
図5(b)に示す状態になると、被係合部83が第2ロック面88と係合しておらず、且つ、第1ロック面77と支軸73との間から可動部材72が移動させられているので、支柱支持部材62およびこれに固定された支柱30を折り畳み方向P1に倒すことができる。支柱支持部材62および支柱30は、
図5(c)に示す折り畳み位置30Bまで移動可能である。
【0050】
支柱30を起立位置30Aから折り畳み位置30Bに移動させる途中で、可動部材72は上フレーム22から自重で滑り落ちるが、可動部材72が滑り落ちる時点で、支軸73が既に後方Y2に移動し且つ下降している。従って、可動部材72は固定部材71に当たって前方Y1に傾いた姿勢になるものの、先端面72aが第1ロック面77と対向する垂直な姿勢になることはできない。従って、支柱30が折り畳み位置30Bに移動するまで、第1ロック機構70のロック解除状態が保たれる。また、支柱30を起立位置30Aから折り畳み位置30Bに移動させる途中で、係合部材81の押し下げを止めると、
図5(c)に示すように、係合部材81が矢印S3方向に戻り、ロック解除位置81Bあるいはその上方まで移動する。
【0051】
次に、
図6を参照して、支柱30の起立動作、および、第1ロック機構70および第2ロック機構80が自動でロック状態に切り換わるロック動作を説明する。
図5(c)に示す状態から、支柱30および支柱支持部材62を起立方向P2に回転させると、
図6(a)に示すように、第1ロック機構70の可動部材72は、最初は固定部材71の傾斜部75の前端に引っかかっているが、
図6(b)に示すように起立位置30Aの近くまで回転させると、可動部材72の下端が傾斜部75に載る状態になる。
【0052】
一方、第2ロック機構80は、支柱支持部材62の下端が下降しながら前方Y1に移動するので、
図6(a)に示すように、被係合部83は係合部材81の操作板85の上を通過し、しかる後に、係合爪84の傾斜面87に当たる。この状態で、さらに支柱30および支柱支持部材62を起こす(起立方向P2に回転させる)と、被係合部83が係合爪84の傾斜面87に当接する。そして、
図6(b)に示すように、係合部材81を矢印S2方向に押し下げながら前方Y1に移動する。
【0053】
支柱30が起立位置30Aまで移動すると、
図6(c)に示すように、第1ロック機構70は、可動部材72が自重で矢印S4方向に回転して第1ロック位置72に移動し、可動部材72の先端面72aが第1ロック面77に対向してロック状態に切り換わる。また、第2ロック機構80は、被係合部83が係合爪84を完全に乗り越えるので、付勢部材82が係合部材81を矢印S3方向に押し上げて、第2ロック位置81Aまで上昇させる。その結果、第2ロック面88が被係合部83に後方から当接し、第2ロック機構80がロック状態に切り換わる。従って、2重ロック状態が完成する。
【0054】
(作用効果)
以上のように、本形態の投光器1は、照明灯40を取り付けた支柱30が起伏可能であるため、支柱30を倒すことにより、投光器1を低重心でコンパクトな形態にすることができる。よって、移動時の取り回しが容易である。また、支柱30は、第1ロック機構70および第2ロック機構80によって起立位置30Aにロックされる。このような2重ロックを設けることで、不用意にロックが外れて支柱30が急に倒れるおそれを少なくする
ことができる。
【0055】
また、本形態では、第2ロック機構80のロックを先に解除してしまうと、第1ロック面77と支軸73との間で可動部材72が突っ張った状態になってしまう。この状態では、可動部材72を回転させて第1ロック面77の上から移動させることはできず、ロックを解除することはできない。つまり、本形態では、第2ロック機構80のロックを先に解除してしまうと、第1ロック機構70のロックを解除できない。このように、予め定めた順番でのみロックを解除できるようにしたことで、ユーザーの意図に反してロックが解除された状態になるおそれが少ない。従って、不用意に支柱が倒れるおそれが少ない。
【0056】
また、本形態では、第1ロック機構70および前記第2ロック機構80は、支柱30が折り畳み位置30Bから起立位置30Aに移動することに伴い、自動的にロック状態に切り換わる。従って、容易に、且つ、確実に支柱30の2重ロックを行うことができる。従って、ロックのかけ忘れによって、不用意に支柱30が倒れることを防止できる。
【0057】
また、本形態では、台車10に固定された枠状の補強フレーム20を介して支柱30が台車10に支持されているので、強風などによる揺れや部品の変形、脱落等を少なくすることができる。
【0058】
また、本形態では、起立位置30Aから折り畳み位置30Bに向かう支柱30の倒れ動作による回転トルクを緩衝するダンパー機構66A、66Bを有するので、重量の大きい照明灯40を用いる場合に、支柱30が急激に倒れることを回避できる。従って、支柱30を折り畳む作業が容易であり、支柱30が急に倒れて投光器1の各部が損傷することを回避できる。
【0059】
(変形例)
(1)上記形態において、第1ロック機構70の固定部材71と可動部材72の一方あるいは両方を磁石とし、磁力によって可動部材72を第1ロック位置72Aで保持することができる。このようにすると、第1ロック機構70のロック状態で、可動部材72ががたつくことを回避できる。よって、固定部材71と可動部材72の接触による騒音を少なくすることができる。また、振動等によって不用意に第1ロック機構のロックが外れることを回避できる。例えば、可動部材72を鉄などの磁石に吸着される素材とし、固定部材71の縦板部76を磁石で構成すればよい。
【0060】
(2)上記形態において、支柱30を折り畳み位置30Bでロックする第3ロック機構を設けてもよい。例えば、補強フレーム20に、支柱支持部材62を水平な姿勢で保持する機構を設けてもよい。あるいは、台車10の前方フレーム13に、支柱30の上端部を係合して保持する機構を設けてもよい。
【0061】
(3)上記形態において、補強フレーム20は、金属管やアングル材などを組み合わせて構成されているが、補強フレーム20の構成部材は、各種の形状および素材のものを用いることができる。例えば、角筒状、C型、I型などの断面形状の部材を用いても良い。また、部材同士の固定は、溶接、ネジ止めなどの方法を適宜用いることができる。