(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記IC基板と前記センサハウジングの底面に設けられたパッドとを繋ぐ金属ワイヤが設けられ、前記金属ワイヤを介して前記IC基板と前記圧力センサとが電気的に接続されており、前記ヤング率の高い樹脂は前記金属ワイヤも覆っていることを特徴とする請求項1に記載のセンサパッケージ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、リードフレームや導体部を覆う樹脂が、圧力を検知する圧力センサに接触するように配置されていた場合、装置周辺の温度変化やリードフレームの温度変化によって樹脂の温度が変化すると、この樹脂に接触する圧力センサも周辺環境の影響を受けることになるため、圧力センサの温度特性の精度が低下するおそれがある。また、ヤング率の高い樹脂は、硬化時の応力が高いものが多く、そのような応力によって圧力センサの出力を変動させないためには硬化時の応力が小さい材料を選ぶことが望ましい。このため、選択できる材料が限られることから、コストを低減させることが難しい。
【0008】
さらにまた、特許文献1や特許文献2の圧力センサ装置のように、圧力を検知するセンサと、リードフレームや導体部とが共通の樹脂で一体化され、かつ、この樹脂が圧力室及び/又は圧力導入孔の一部を構成する場合、圧力センサのキャリブレーションを行う際に圧力センサ装置の全体をキャリブレーション装置に取り付けて行う必要がある。このため、大型かつ複雑な構造のキャリブレーション装置を用意する必要が生じることから、大きな設備投資を要するという問題があった。
【0009】
また、圧力センサの検知結果に基づく演算を行う演算部等を有するIC基板を設ける場合、静電破壊を防止するためには絶縁性の高い樹脂でIC基板及びそれに接続された素子等を被覆する必要がある。ここで、ボンディングワイヤによってIC基板に圧力センサが接続されている構成では、IC基板を覆う樹脂は圧力センサの動作を妨げないような柔らかいものであることが求められる。一方、上述のように、空気の残留防止の観点からは、リードフレームや導体部を覆う樹脂は固いものが好ましい。このように、リードフレームや導体部を覆う樹脂と、IC基板を覆う樹脂とでは求められる性質が異なるため、それぞれを別の空間に配置して異なる樹脂で覆うことが必要となることから、リードフレームや導体部の引き回しパターンやその周辺の構造が複雑になってしまうという問題がある。
【0010】
そこで本発明は、周辺環境の影響による、温度特性精度や圧力検知精度の低下を抑えることができ、かつ、大型かつ複雑な構造のキャリブレーション装置を必要とせず、さらに、リードフレームやその周辺の構造を複雑化させることのないセンサパッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の基本態様に係るセンサパッケージは、圧力センサと、圧力センサによる検知結果に基づいて所定の演算を行う演算部と、演算部による演算結果を外部へ出力するリードフレームと、リードフレームを保持する樹脂製のメインハウジングと、内部空間に圧力センサが配置された、セラミックス製のセンサハウジングとを備えるセンサパッケージであって、センサハウジングは、圧力センサがメインハウジングに接触しないように、メインハウジング内に配置されていることを特徴としている。
【0012】
圧力センサとリードフレームを、センサハウジングとメインハウジングにそれぞれ別個に収容させたことにより、装置周辺やリードフレームの温度変化の影響が圧力センサに及びづらくなるため、圧力センサの温度特性精度の低下を抑えることができる。また、リードフレームとメインハウジングの樹脂との隙間や界面に残った空気の影響が、センサハウジングによって遮られるため、圧力センサの圧力検知精度を維持することができる。さらにまた、圧力センサのキャリブレーションは、センサハウジングのみを取りだして行うことができるため、キャリブレーション装置の大型化を防ぐことができる。
【0019】
本発明
のセンサパッケージは、上記基本態様に加えて、演算部を有するIC基板を備え、IC基板はセンサハウジングの外部であってメインハウジング内に配置されていること
を特徴とする。
【0020】
これにより、センサパッケージを小型化することができるため、キャリブレーション装置の大型化を防ぐことができる。
【0021】
本発明
のセンサパッケージは
さらに、メインハウジングにおいては、1つの面に凹部が形成されるとともに、凹部が形成された面に対向する面から凹部まで貫通する貫通孔が形成されており、センサハウジングは、凹部へ貫通孔が貫通する領域を覆い、かつ、貫通孔と
センサハウジングの内部空間が互いに連なって、凹部に対して閉じた空間を形成するように配置され、IC基板は、凹部内であってセンサハウジングの外部に配置されていること
を特徴とする。
【0022】
これにより、IC基板をセンサハウジングの外部に配置したため、センサハウジングをより小型化することが可能となる。これにより、センサハウジングやIC基板の配置の自由度を上げることができる。また、被測定物である流体が帯電性を持つものであっても、IC基板をセンサハウジングの外部に配置したことにより、圧力伝達媒体を介してIC基板の表面に電荷が溜まることがなく、IC基板の静電破壊を抑制することができる。
【0023】
本発明
のセンサパッケージ
はまた、貫通孔内と内部空間には圧力伝達媒体が充填され、内部空間に配置されている圧力センサが圧力伝達媒体で覆われており、凹部内には圧力伝達媒体よりもヤング率の高い樹脂が充填され、IC基板がヤング率の高い樹脂によって覆われていること
も特徴とする。
【0024】
これにより、メインハウジングとリードフレームとの隙間や界面の空気が膨張しにくくなるため、圧力伝達媒体内の圧力変化を防止でき、これにより圧力検知の精度を確保することができる。
【0025】
本発明
のセンサパッケージにおいて、IC基板とセンサハウジングの底面に設けられたパッドとを繋ぐ金属ワイヤが設けられ、金属ワイヤを介してIC基板と圧力センサとが電気的に接続されており、ヤング率の高い樹脂は金属ワイヤも覆っていることが好ましい。
【0026】
この構成においては、IC基板と圧力センサとを電気的に接続する金属ワイヤが圧力伝達の経路上になく、かつ、ヤング率の高い樹脂で覆われているため、圧力伝達媒体が圧力を伝達する際の応力で切断されるおそれがなく、電気的接続の信頼性を向上させることができる。
【0027】
本発明
のセンサパッケージにおいて、圧力センサとセンサハウジングの底面のパッドは、センサハウジングを貫通するホール部を介して互いに電気的に接続されていることが好ましい。
【0028】
これにより、センサハウジングを小型化することができるため、キャリブレーション装置の大型化を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によると、周辺環境の影響による、温度特性精度や圧力検知精度の低下を抑えることができ、かつ、大型かつ複雑な構造のキャリブレーション装置を必要とせず、さらに、リードフレームやその周辺の構造を複雑化させることのないセンサパッケージを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態に係るセンサパッケージについて図面を参照しつつ詳しく説明する。
【0032】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るセンサパッケージ10の構成を示す斜視図である。
図2は、センサパッケージ10の構成を示す分解斜視図である。
図3は、センサパッケージ10の構成を示す断面図であり、
図1のIII面を、Y方向に沿った矢印III’の方向から見た断面図である。各図には、基準座標としてX−Y−Z座標が示されている。X−Y面はZ方向に直交する面であり、以下の説明において、Z方向を上方向と呼び、Z方向上側から見た状態を平面視と呼ぶことがある。
【0033】
第1実施形態に係るセンサパッケージ10は、
図1又は
図2に示すように、ノズル部20と、メインハウジング30と、メインハウジング30から外部へ延出するリードフレーム40と、センサハウジング50とを備える。センサハウジング50とメインハウジング30との間には、
図2に示すように、アンダーフィル材60と導電材71、72、73、74が配置されている。
【0034】
ノズル部20は、例えばポリアセタール(POM)やポリフェニレンスルファイド(PPS)で構成され、メインハウジング30から上方向(Z方向)へ延びるように形成されている。
図3に示すように、ノズル部20の内部には、圧力導入孔21が形成されている。圧力導入孔21は、上部に開口22が設けられ、下に向かうほど内径が広がるように形成されており、ノズル部20の下面23には、下側へ突出する嵌合凸部24が形成されている。
【0035】
メインハウジング30は、ノズル部20と同様の材料、例えばポリアセタール(POM)やポリフェニレンスルファイド(PPS)で構成され、平面視略矩形状に形成される。メインハウジング30には、XY平面の中央部分に、センサハウジング50を収容するために内側へ凹んだ形状としたキャビティ31が形成されている。また、メインハウジング30の上面32には、XY平面においてキャビティ31の外側を囲む位置であって、ノズル部20の嵌合凸部24に対応した位置において、下側へ凹んだ嵌合凹部33が設けられている。この嵌合凹部33は、ノズル部20の嵌合凸部24に対応した形状を備えており、嵌合凹部33内に嵌合凸部24を嵌合することにより、ノズル部20とメインハウジング30が互いに結合されるとともに、ノズル部20の圧力導入孔21とメインハウジング30のキャビティ31とが互いに連通した空間を形成する。
【0036】
リードフレーム40は、4本のリード材41、42、43、44からなり、インサート成形によってメインハウジング30内の所定位置に配置される。リード材41、42、43、44は、
図2に示すように、一方の端部41a、42a、43a、44aがメインハウジング30から外部へそれぞれ延出している。これに対して、他方の端部41b、42b、43b、44bは、キャビティ31内において、センサハウジング50の底面50bの第2パッド部57a、57b、57c、57d(
図5)にそれぞれ対応する位置まで引き回され、キャビティ31内において上面が露出している。リード材41、42、43、44は、例えば銅の母材の表面に金メッキを施した構成を備える。
【0037】
図4は、センサハウジング50の構成を示す、上面50a側から見た斜視図である。
図5は、センサハウジング50の構成を示す、底面50b側から見た斜視図である。
【0038】
センサハウジング50は、
図4に示すように平面視略矩形状をなしており、XY平面の中央部分に、内側へ凹んだ形状とした内部空間51が形成されている。この内部空間51には、IC基板52と圧力センサ53が配置されている。IC基板52と圧力センサ53は、内部空間51の底面51aに対してダイボンド樹脂によって固定されている。IC基板52と圧力センサ53は金属製のボンディングワイヤ54(金属ワイヤ)によって電気的に接続されており、圧力センサ53による検知信号がIC基板52へ出力される。
【0039】
センサハウジング50を構成する材料は、絶縁性であり、かつ、そのヤング率及び融点は、メインハウジング30、アンダーフィル材60、メインハウジング30とアンダーフィル材60を結合させる接着剤、及び、センサハウジング50とアンダーフィル材60を結合させる接着剤のヤング率及び融点よりも高い。センサハウジング50に用いる材料としてはセラミックスが好ましく、例えば、酸化アルミニウムの焼結体やガラスが挙げられる。
【0040】
IC基板52は、圧力センサ53から出力される検知結果としての電流や電圧に基づいて、デジタル出力用のデータを作成する演算を行う演算部を有する。また、IC基板52は、温度センサと記憶部(不図示)を有しており、この温度センサによる検知結果に基づいて、記憶部に予め保存された補正テーブルを用いて、圧力センサ53による検知結果を補正する。
【0041】
圧力センサ53は、例えばダイアフラムゲージであって、ダイアフラムに加わる圧力を静電容量の変化や歪みゲージを用いて検知する。圧力センサ53が配置された内部空間51は、メインハウジング30とノズル部20を結合するとノズル部20の圧力導入孔21に連なった空間となっており、この空間には、圧力伝達媒体として、例えばポッティングによってフッ素ゲルが充填される。圧力導入孔21内のゲルの圧力が変化すると、圧力センサ53のダイアフラムに加わる圧力が変化する。このため、圧力導入孔21内のゲルの圧力を検知することによって、例えばノズル部20に接続されたチューブの内部の液体の圧力を検知することができる。
【0042】
センサハウジング50の内部空間51には、導電性材料(例えば金)からなる複数の第1パッド部55が設けられており、ボンディングワイヤ54によってIC基板52と電気的に接続されている。センサハウジング50の底面50bには、
図5に示すように、導電性材料(例えば金)からなる第2パッド部57a、57b、57c、57dが設けられている。また、センサハウジング50には、厚み方向(Z方向)に貫通する複数のスルーホール56(ホール部)(
図3、
図5)が形成され、このスルーホール56内に導電性材料(例えばタングステン、モリブデン)を充填することによって導通路が形成される。この導通路によって、センサハウジング50の底面50bに設けた、第2パッド部57a、57b、57c、57dと、内部空間51内の対応する第1パッド部55がそれぞれ電気的に接続される。
【0043】
センサハウジング50は、アンダーフィル材60を介してメインハウジング30のキャビティ31内に配置される。アンダーフィル材60は、樹脂で形成され、例えばエポキシ樹脂を用いる。アンダーフィル材60は、非導電性の接着剤によって、その底面部60a及び側面部60bがキャビティ31の底面31a及び内側面31bにそれぞれ固定される。この接着剤としては、例えばエポキシ樹脂やフッ素系エラストマーを用いる。
【0044】
アンダーフィル材60の底面部60aには、センサハウジング50の第2パッド部57a、57b、57c、57dにそれぞれ対応する位置に、厚み方向に貫通する孔部61、62、63、64が形成されている。孔部61、62、63、64は、アンダーフィル材60をメインハウジング30のキャビティ31内に配置したときに、端部41b、42b、43b、44b上にそれぞれ位置する。
【0045】
センサハウジング50をアンダーフィル材60を介してキャビティ31内に固定するには、まず、端部41b、42b、43b、44b上において、センサハウジング50の第2パッド部57a、57b、57c、57dに対応する位置に、導電材71、72、73、74を配置し、かつ、キャビティ31の底面31aにおいて導電材71、72、73、74以外の領域に熱硬化性の接着剤を配置する。ここで、導電材71、72、73、74は、例えば半田や導電性ペーストで構成する。
【0046】
次に、導電材71、72、73、74に、センサハウジング50の第2パッド部57a、57b、57c、57dがそれぞれ接触するように、メインハウジング30のキャビティ31内にセンサハウジング50を配置する。この状態で導電材71、72、73、74の溶融温度まで加熱を行った後に冷却させると、接着剤が固化するとともに、導電材71、72、73、74が溶融・固化し、これによって、リード材41、42、43、44と第2パッド部57a、57b、57c、57dとがそれぞれ電気的に接続された状態で固定される。
【0047】
つづいて、メインハウジング30とセンサハウジング50との隙間に液体状のアンダーフィル材60を流し込む。次に、この状態のセンサパッケージ10を、閉ざされた空間内に載置して所定の圧力まで脱気することによって、液体状のアンダーフィル材60に対して脱泡を行う。さらに、脱泡の終了後に加熱を行ってアンダーフィル材60を固化させる。
【0048】
このようにしてアンダーフィル材60を介してセンサハウジング50が固定されたメインハウジング30の嵌合凹部33に対して、嵌合凸部24を嵌合することによって、ノズル部20をメインハウジング30に結合し、これによってセンサパッケージ10が完成する。
【0049】
以上の構成によれば、端部41b、42b、43b、44bの直上にセンサハウジング50が配置され、IC基板52及び圧力センサ53は、メインハウジング30に直接接触することなく、キャビティ31内に配置される。また、リードフレーム40に関しては、(1)リード材41が、その端部41b上に配置された導電材71を介して、第2パッド部57aに電気的に接続され、(2)リード材42が、その端部42b上に配置された導電材72を介して、第2パッド部57bに電気的に接続され、(3)リード材43が、その端部43b上に配置された導電材73を介して、第2パッド部57cに電気的に接続され、(4)リード材44が、その端部44b上に配置された導電材74を介して、第2パッド部57dに電気的に接続される。このような接続関係としたことにより、圧力センサ53による検知結果に基づいてIC基板52の演算部で行われた演算の結果は、リードフレーム40が接続された外部機器へ出力される。
【0050】
図6は、センサパッケージ10に取り付け部80を設けた構成を示す斜視図である。
図7は、
図6のVII面における断面図であって、X方向に沿った矢印VII’の方向から見た図である。
【0051】
センサパッケージ10を外部機器に固定する方法は種々あるが、
図6又は
図7に示すように取り付け部80を設ける構成がある。取り付け部80は、ノズル部20の側面25に取り付け部80の取り付け面82を固定することによって、メインハウジング30に取り付け部80を結合させている。この取り付け部80には、厚み方向(Z方向)に貫通するようにボルト挿入孔81が設けられ、このボルト挿入孔81に挿入したボルトの先端側を外部機器に設けた固定孔に嵌め込むことによって、センサパッケージ10を外部機器に結合させることができる。
【0052】
以上のように構成されたことから、第1実施形態によれば、次の効果を奏する。
(1)圧力センサ53を収容するセンサハウジング50とリードフレーム40を保持するメインハウジング30とを別体で形成したため、メインハウジング30、リードフレーム40、及び装置周辺の温度変化の影響がセンサハウジング50の内部空間51内の圧力センサ53まで及びづらくなることから、圧力センサ53の温度特性の精度を維持することができる。また、リードフレーム40とメインハウジング30の樹脂との隙間や界面に残った空気の影響が、センサハウジング50によって遮られるため、圧力センサ53の圧力検知精度を維持することができる。
【0053】
(2)圧力センサ53を収容するセンサハウジング50をメインハウジング30とは独立した形態にしているため、圧力センサ53のキャリブレーションは、圧力センサ53を内包したセンサハウジング50のみで行うことができる。したがって、キャリブレーション装置の大型化及び複雑化を招くおそれがなくなり、設備投資を抑えることが可能となる。
【0054】
(3)IC基板52をセンサハウジング50内に配置し、かつ、アンダーフィル材60、及び、導電材71、72、73、74を介して、Z方向に沿ってIC基板からリードフレーム40への電気的接続をとる構成をとっている。このため、センサハウジング50内には柔らかいゲルを充填してIC基板の静電破壊を防止し、かつ、リードフレーム40を固い樹脂によって保持して気泡の発生を抑えるという構成でありながら、リードフレーム40の形状、及び、IC基板からリードフレーム40への電気配線を複雑化させることがない。
【0055】
(4)リードフレーム40を覆う樹脂、すなわち、メインハウジング30を構成する樹脂を、ヤング率の高い樹脂で構成しているため、リードフレーム40との隙間や界面の空気が膨張しにくくなっており、これにより、圧力伝達媒体内の圧力変化を防止して圧力検知の精度を確保することができる。
【0056】
(5)メインハウジング30とセンサハウジング50との間に、センサハウジング50よりもヤング率の低い樹脂からなるアンダーフィル材60及び接着剤を配置することにより、装置周辺やリードフレーム40の温度変化が圧力センサ53に伝わりにくくなるため、圧力センサ53の温度特性の精度を高いレベルで維持することができる。
【0057】
以下に変形例について説明する。
上述のセンサパッケージ10においては、センサハウジング50とメインハウジング30との間にアンダーフィル材60を配置していたが、アンダーフィル材60を省略して、非導電性の接着剤でセンサハウジング50をメインハウジング30のキャビティ31に固定させてもよい。これにより、センサパッケージ10をより安価に製造することができる。
【0058】
ノズル部20及び圧力導入孔21の形状は、上述の形状に限定されることはなく、センサパッケージ10の仕様に応じて任意の形状とすることができ、仕様によってはノズル部のない構成も可能である。
【0059】
圧力センサ153による検知結果に基づいて所定の演算を行う演算部は、上述のように、IC基板52にその機能を持たせてもよいが、単機能の単体部品として構成させてもよいし、圧力センサ153に演算部の機能を持たせてもよい。
【0060】
<第2実施形態>
つづいて、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態においては、IC基板がセンサハウジングの外部に設けられている点が第1実施形態と異なる。
【0061】
図8は、第2実施形態に係るセンサパッケージ110の構成を示す斜視図である。
図9は、センサパッケージ110の構成を示す分解斜視図である。
図10は、センサパッケージ110の構成を示す断面図であり、
図9のX−X’線に沿った断面図である。
図11(A)は、封止された状態のメインハウジング130の構成を示す下面図、(B)は封止する前であって、センサハウジング150及びIC基板152を配置する前の状態のメインハウジング130の構成を示す下面図である。
図12は、センサハウジング150及びIC基板152を配置し、ワイヤーボンディングを行った後であって、封止を行う前の状態のメインハウジング130の構成を示す下面図である。
図13(A)は、センサハウジング150の構成を示す平面図、(B)はセンサハウジング150の構成を示す下面図である。
図10においては、ボンディングワイヤの図示を省略している。
【0062】
第2実施形態に係るセンサパッケージ110は、
図8又は
図9に示すように、ノズル部120と、メインハウジング130と、メインハウジング130から外部へ延出するリードフレーム141、142とを備える。
【0063】
ノズル部120は、第1実施形態のノズル部20と同様の材料で構成され、メインハウジング130から上方向(Z方向)へ延びるように形成されている。
図10に示すように、ノズル部120の内部には、圧力導入孔121が形成されている。圧力導入孔121は、上部に開口122が設けられ、下に向かうほど内径が広がるように形成されており、ノズル部120の下面には、メインハウジング130を内部へ嵌め込む嵌合凹部124が形成されている。
【0064】
メインハウジング130は、ノズル部120と同様の材料で構成され、平面視略矩形状に形成される。メインハウジング130には、
図10、
図11(B)、
図12に示すように、上面130aに対向する面である、底面130fに上方向(Z方向)に凹むように形成された凹部131が設けられている。この凹部131において、Y方向の一方の側壁130d側には、凹部131からさらに上方向に凹んだ形状のハウジング収容空間132が形成されている。ハウジング収容空間132の上側には、メインハウジング130の上面130aからハウジング収容空間132内まで貫通したポッティング孔133が形成されている。
図10に示すように、ハウジング収容空間132内には、センサハウジング150が配置されている。センサハウジング150には、下方向に凹んだ内部空間151が形成されており、XY平面において、ポッティング孔133の下部開口133aが、センサハウジング151によって覆われ、かつ、内部空間151の範囲内に収まるように、ポッティング孔133に対してセンサハウジング150が配置されている。内部空間151内には圧力センサ153が配置されている。この構成において、ポッティング孔133と内部空間151が互いに連なって凹部131に対して閉じた空間を形成する。この空間に対して、ポッティングによって、ノズル部120の開口122から圧力伝達媒体(例えばフッ素ゲル)を流入すると、圧力伝達媒体はポッティング孔133を経てセンサハウジング150の内部空間151内に充填され、圧力センサ153が圧力伝達媒体で覆われる。
【0065】
図9に示すように、メインハウジング130の上面130aには、X方向においてポッティング孔133よりも側壁130b側に、下方向に凹むようにセンサ収容凹部134が形成されている。このセンサ収容凹部134は、凹部131には至らない有底の空間であって、内部に温度センサ135が収容されている。このセンサ収容凹部134に対しても、ポッティングによって、ノズル部120の開口122から流入された圧力伝達媒体が充填され、温度センサ135が圧力伝達媒体で覆われる。
【0066】
リードフレーム141、142を構成するリード材は、第1実施形態のリード材41、42、43、44と同様の材料で構成される。
【0067】
リードフレーム141は、6本のリード材141a、141b、141c、141d、141e、141fからなり、インサート成形によりメインハウジング130の側壁130bから、X方向に沿うように外部へ延出するように、それぞれ配置されている。
図12に示すように、リード材141a、141b、141cの先端部141a1、141b1、141c1は、凹部131内に露出しており、それぞれが金属製のボンディングワイヤ154aによってIC基板152において対応するパッド部152aに電気的に接続されている。
【0068】
リードフレーム142は、6本のリード材142a、142b、142c、142d、142e、142fからなり、インサート成形により、上記側壁130bに対向する側壁130cから、X方向に沿うように外部へ延出するように、それぞれ配置されている。
図12に示すように、リード材142a、142b、142c、142d、142e、142fの先端部142a1、142b1、142c1、142d1、142e1、142f1は、凹部131内に露出しており、これらのうちの先端部142a1、142b1、142c1は、それぞれが金属製のボンディングワイヤ154bによってIC基板152の対応するパッド部152bに対して電気的に接続されている。また、先端部142d1は、金属製のボンディングワイヤ154cによってIC基板152のパッド部152cに電気的に接続されるとともに、金属製のホンディングワイヤ154dによって、センサハウジング150の下面150bのパッド部157cに電気的に接続されている。
【0069】
センサハウジング150は、第1実施形態のセンサハウジング50と同様の材料で構成され、接着剤(例えばエポキシ樹脂)により、ハウジング収容空間132の上面132aに固定されている。センサハウジング150の構成材料は、メインハウジング130、及び、ハウジング収容空間132に固定するための接着剤よりもヤング率の高い材料である。センサハウジング150は、
図13(A)、(B)に示すように平面視略矩形状をなしており、XY平面の中央部分に、Z方向内側へ凹んだ形状とした内部空間151が形成されている。この内部空間151においては、底面151aに対して、圧力センサ153がダイボンド樹脂によって固定されている。圧力センサ153は4本のボンディングワイヤ156によって、内部空間151内に設けられたパッド部155a、155b、155c、155dに対してそれぞれ電気的に接続されている。パッド部155a、155b、155c、155dは、センサハウジング150を厚み方向に貫通するスルーホール158a、158b、158c、158d(ホール部)によって、下面150bに設けたパッド部157a、157b、157c、157dにそれぞれ電気的に接続されている。スルーホール158a、158b、158c、158d内には、導電性材料(例えばタングステン、モリブデン)が充填され、導通路が形成されている。
図12に示すように、パッド部157a、157b、157cは、金属製のボンディングワイヤ154eによってIC基板152のパッド部152dにそれぞれ電気的に接続されており、パッド部157dは、上述のとおり、ボンディングワイヤ154dによってリード材142dの先端部142d1に電気的に接続されている。ここで、IC基板152のパッド部152a、152b、152c、152d、及び、センサハウジング150のパッド部155a、155b、155c、155d、157a、157b、157c、157dは導電性材料(例えば金)で構成されている。
【0070】
圧力センサ153は、第1実施形態の圧力センサ53と同様の構成であって圧力導入孔121内の圧力伝達媒体(例えばフッ素ゲル)の圧力が変化すると、圧力導入孔121に連通するポッティング孔133及び内部空間151内の圧力伝達媒体の圧力も変化し、これにより、圧力センサ153のダイアフラムに加わる圧力が変化するため、この圧力を検知することによって、例えばノズル部120に接続されたチューブ内の液体の圧力を検知することができる。
【0071】
図12に示すように、メインハウジング130の凹部131において、ハウジング収容空間132よりも側壁130e側に、IC基板152が配置されている。IC基板152は、ダイボンド樹脂によって、
図10に示すように、凹部131の上面131aに固定されている。IC基板152は、圧力センサ153から出力される、検知結果としての電流や電圧に基づいて、デジタル出力用のデータを作成する演算を行う演算部を有する。また、IC基板152には、不図示の接続手段によって、温度センサ135が電気的に接続されており、IC基板152は、温度センサ135による検知結果に基づいて、記憶部(不図示)に予め保存された補正テーブルを用いて、圧力センサ153による検知結果を補正する。
【0072】
凹部131においては、以上のようにセンサハウジング150とIC基板152が配置され、ボンディングワイヤ154a、154b、154c、154d、154e(金属ワイヤ)によるワイヤーボンディングが施された後に、これらを覆うように、下部の開口131b側から封止剤160が充填される(
図11(A)、(B))。封止剤160は、絶縁性の樹脂であって、圧力伝達媒体よりもヤング率が高い材料、例えばエポキシ樹脂やフッ素系エラストマーを用いる。
【0073】
第2実施形態によれば、IC基板152をセンサハウジング150の外部に配置したため、センサハウジング150をより小型化することが可能となる。これにより、センサハウジング150やIC基板152の配置の自由度を上げることができる。また、被測定物である流体が帯電性を持つものであっても、IC基板152をセンサハウジング150の外部に配置したことにより、圧力伝達媒体(ゲル)を介してIC基板152の表面に電荷が溜まることがなく、IC基板152の静電破壊を抑制することができる。さらに、IC基板152と圧力センサ153とを電気的に接続するボンディングワイヤが圧力伝達の経路上になく、ヤング率の高い樹脂で覆われているため、第1実施形態のセンサパッケージ10と比べて圧力伝達媒体が圧力を伝達する際の応力で切断されるおそれがなく、電気的接続の信頼性を向上させることができる。
【0074】
また、圧力センサ153のキャリブレーションについては、キャリブレーション装置側に、センサハウジング150のパッド部157a、157b、157c、157dにそれぞれ対応する導電板を設けることによって圧力センサ153からの出力を受けることが可能となる。
なお、その他の作用、効果、変形例は第1実施形態と同様である。
【0075】
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。