特許第6461780号(P6461780)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6461780
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】ベント式射出成形機のベント機構
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/63 20060101AFI20190121BHJP
   B29C 45/62 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
   B29C45/63
   B29C45/62
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-252390(P2015-252390)
(22)【出願日】2015年12月24日
(65)【公開番号】特開2017-114009(P2017-114009A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2017年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】506428045
【氏名又は名称】富士越工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119769
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 清
(72)【発明者】
【氏名】四家 一男
【審査官】 酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−293050(JP,A)
【文献】 実開昭60−102911(JP,U)
【文献】 特開昭60−65009(JP,A)
【文献】 韓国登録実用新案第20−0369865(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/62,45/63
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱筒内に回転スクリューを嵌挿して加熱筒中間部にベント孔を設けた熱可塑性樹脂用のベント式射出成形機のベント機構であって、
前記加熱筒に設けたベント孔に取りつけるスリーブと、該スリーブに嵌挿固定するベント部品とから構成され、
前記スリーブは外径が前記ベント孔内径に等しく、長さは加熱筒厚みに等しい円筒形状で、その一端側に取りつけたフランジを加熱筒表面に固定してベント孔に取りつけてあり、
前記ベント部品は前記スリーブの円筒内に丁度納まる外径で、長さは前記スリーブのフランジ厚みを含む全長より長い円筒状とし、その外面には前記スリーブに下端側を一致させた状態で前記フランジに固定させるためのベント部品側フランジが取りつけてあり、円筒内部の長さ方向中間部には通気性金属板が円筒内部を塞いで取りつけてあることを特徴とするベント式射出成形機のベント機構。
【請求項2】
請求項1に記載のベント式射出成形機のベント機構において、前記ベント部品には上方開口を覆うベント部品カバーを取り付け、該ベント部品カバー又は前記ベント部品側フランジより上のベント部品側面に排気口を設け、該排気口を介して真空ポンプによりベント部品内部のガスを吸引して内部を減圧するようにしたことを特徴とするベント式射出成形機のベント機構。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のベント式射出成形機のベント機構において、前記ベント部品の挿入側端部と通気性金属板下面の中間部に中央に小孔を設けた遮蔽板を取りつけたことを特徴とするベント式射出成形機のベント機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱可塑性樹脂の成形に用いるベント式射出形成機に関し、加熱筒内で溶融させた溶融樹脂から発生するガス成分や空気を外部に放出させるために加熱筒中間部に設ける射出成形機のベント機構に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂を原料とするプラスチック製品の加工には、加熱溶融させた樹脂を金型内に射出注入して冷却・固化させる射出成形法が広く採用されている。射出成形法に使用される射出成形機は型締ユニットと射出ユニットからなり、射出ユニットで樹脂を加熱溶融させ、型締ユニットの金型内に射出する。射出ユニットは原料樹脂を加熱溶融させる加熱筒と、加熱筒内に進退動可能に嵌挿されて樹脂を圧縮・混連しつつ前方に移送する回転スクリューと、移送されてきた溶融樹脂を金型内に射出するノズルと、原料樹脂を加熱筒に投入する原料ホッパーで構成される。
【0003】
金型に注入する溶融樹脂に揮発物質、水分、空気が含まれていると固化した成形品中に気泡が生じたり表面に成形不良を生じたりする。このため注入前にそれらガス成分を除去しておく必要がある。そうしたガス成分を除去する方法としては、原料樹脂を加熱筒に投入する前に十分に予備乾燥させるノンベント式と、予備乾燥なしに投入して加熱筒内で溶融させ、ガス成分を加熱筒中間部に設けたベント孔から大気中に放出させて除去するベント式とがある。ベント式の場合、スクリューのピッチや溝深さの調整により材料投入口からベント孔下部に至る間では原料樹脂を加熱しながら圧縮する。このため溶融樹脂は前進するにつれて内圧が高まっていき、大気に連通したベント孔下部に達すると外部圧力の低下により溶融していた蒸気を含むガス成分は溶融樹脂から放出される。放出されたガス成分はベント孔を通して大気中に放出される。こうして脱気された溶融樹脂は再び加熱、圧縮されつつスクリューにて前方に移送され先端ノズルから金型に注入される。
【0004】
このベント式には溶融樹脂がベント孔内で盛り上がってベント孔を閉塞したりベント孔を通じて機外に流出したりするベントアップ現象が生ずる問題がある。これは加熱溶融され、圧縮されつつ移送されてきた溶融樹脂の内圧がベント孔下で急に低下し、溶融樹脂内の揮発成分、水分等が気化して樹脂全体が発泡状態になると生ずる。また、加熱筒内スクリューが金型への溶融樹脂の射出のために前進する際にスクリューの螺旋溝間の溶融樹脂が螺旋溝に押されて盛り上がることでも生ずる。更に、原料ホッパーからの原料投入速度が適当でない場合やベント孔に達する間の樹脂移送量がベント孔より先部分の樹脂移送量より大きくなった場合にも生じ、成形開始時や成形再開時に生じやすい。射出成形法では回分式に溶融樹脂を射出するため加熱筒内各部の圧力調整が困難なことに起因している。
【0005】
こうしたベントアップの問題を解決する方法として、例えば、原料投入量を常時、少なめに行なう飢餓的供給法が提案(非特許文献1)されているが、原料樹脂と加熱筒内側との接触が悪くなって加熱効率が低下する問題がある。ベント孔の内径を大きくして閉塞を防止したり、外部への流出を防いだりすることも考えられるが、内径を大きくすると溶融樹脂が外気に触れやすくなり、溶融樹脂の表面が酸化したり炭化したりして変色や劣化を生じさせる。ベント孔を覆うベント孔に開閉弁を取り付けたり、ベント孔にベントアップ防止スクリューを設置したりしてベントアップを防ぐ方法も提案されているが(特許文献1、2)機構が複雑でありその効果にも疑問がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭63−65009号公報
【特許文献2】特公平04−68129号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】プラスチックス、2002年2月号、30頁、図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来技術のこうした問題点を解決するためになされたもので、その課題はベント式射出成形機においてベントアップが発生しても溶融樹脂の外部流出を防止でき、正常運転時には溶融樹脂と外気との接触を防止でき、ベントアップが生じて溶融樹脂が付着しても短時間で部品交換して運転再開できるベント式射出成形機のベント機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、加熱筒内に回転スクリューを嵌挿して加熱筒中間部にベント孔を設けた熱可塑性樹脂用のベント式射出成形機のベント機構であって、加熱筒に設けたベント孔に取りつけるスリーブと、該スリーブに嵌挿固定するベント部品とから構成され、スリーブは外径がベント孔内径に等しく、長さは加熱筒厚みに等しい円筒形状で、その一端側に取りつけたフランジを加熱筒表面に固定してベント孔に取りつけてあり、ベント部品はスリーブの円筒内に丁度納まる外径で、長さはスリーブのフランジ厚みを含む全長より長い円筒状で、その外面にはスリーブに下端側を一致させた状態で前記フランジに固定させるためのベント部品側フランジが取りつけてあり、円筒内部の長さ方向中間部には通気性金属板が円筒内部を塞いで取りつけてあることを特徴とするベント式射出成形機のベント機構である。
【0010】
このような構成によれば、ベント孔は通気性金属板で塞がれた状態になっているため大量のベットアップが生じても溶融樹脂がベント孔から機外に漏れるのが防止され、通常運転時には溶融樹脂から放出されたガス成分は通気性金属板の通気孔を通って機外に放出される。また、通気性金属板は気体の通過に際して通気抵抗を生ずため通気性金属板下部空間の圧力は上部の外気圧より高くなる。この圧力差のため外気の通気性金属板下側への侵入が阻止され、溶融樹脂と外気との接触が防止される。これにより開放型の従来のベント孔で生ずることのある溶融樹脂の外気との接触による溶融樹脂表面の酸化や炭化が防止され、それらに起因する変色や劣化が防止される効果を生ずる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のベント式射出成形機のベント機構において、ベント部品には上方開口を覆うベント部品カバーを取り付け、該ベント部品カバー又はベント部品側フランジより上のベント部品側面に排気口を設け、該排気口を介して真空ポンプによりベント部品内部のガスを吸引して内部を減圧するようにしたことを特徴とするベント式射出成形機のベント機構である。
【0012】
こうような構成により通気性金属板の上部空間を減圧すれば通気性金属板に通気抵抗が存在しても通気性金属板下部空間も減圧されるため溶融樹脂中のガス成分を一層効果的に排出させることができる。大量のベントアップが発生しても溶融樹脂は通気性金属板でせき止められるため真空ポンプへの流入も阻止される。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のベント式射出成形機のベント機構において、ベント部品の挿入側端部と通気性金属板下面の中間部に中央に小孔を設けた遮蔽板を取りつけたことを特徴とするベント式射出成形機のベント機構である。
【0014】
溶融樹脂中のガス成分が溶融樹脂から放出される際には溶融樹脂の飛沫が飛び散る場合がある。また、水分が蒸気となって上昇する。そうした飛沫や蒸気が通気性金属板下面に付着すると通気性金属の微細な通気孔は塞がれて通気性が悪くなる。本構成のように小孔を設けた遮蔽板を取りつければ飛沫、蒸気等の影響を受けるのは小孔に対向する通気性金属板表面部に限定され周辺部の通気孔は影響を免れる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ベント式射出ユニット1の全体の縦断面図である。
図2】ベント機構2の部分拡大図である。
図3】ベント機構2の分解断面図である。
図4】ベント部品カバー13を取り付けたベント部品11の構成例である。
図5】真空ポンプ16により通気性金属板11cの上部空間を減圧する構成例である。
図6】通気性金属板11cの下部に小孔16のある遮蔽板17を取りつけたベント部品11の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るベント式射出成形機のベント機構の一実施形態を図面を参照して説明する。
図1は射出成形機の金型側を除くベント式射出ユニット1の縦断面図、図2はそのベント部である本実施形態のベント機構2の部分拡大図、図3はそのベント機構2の分解断面図である。射出ユニット1は原料樹脂を加熱溶融(可塑化)して型締ユニット(図示せず)の射出金型内に回分式に射出する装置である。図1に示すように、射出ユニット1は加熱筒3、スクリュー4、射出ノズル5、原料ホッパー6、スクリュー駆動部(図示せず)、加熱筒3中間部のベント孔8に設けたベント機構2から構成される。
【0017】
原料樹脂は加熱筒3の後端部に取り付けた原料ホッパー6から加熱筒3内に供給される。加熱筒3外面には加熱用のバンドヒーター7が取り付けられ、内部にはスクリュー4が回転可能かつ進退動可能に挿通されている。加熱筒3の先端部には射出ノズル5が取り付けられている。スクリュー4には螺旋溝が均等なピッチで形成されており、スクリュー4は加熱筒3の後端に取りつけたスクリュー駆動部により駆動される。
【0018】
原料ホッパー6から投入された原料樹脂はスクリュー4の螺旋溝に落下し、加熱筒3からの熱により加熱されつつスクリュー4の回転により前方に移送される。螺旋溝の深さは前進方向に向けて浅くなるように形成されており、投入された樹脂は加熱されながら加圧・混練されて溶融する。スクリュー4の螺旋溝の深さはベント孔8の下部では浅く形成して溝断面積が大きくしてあり、且つベント孔8はベント機構2を介して大気に連通しているため溶融樹脂はベント孔8下で減圧されて体積が膨張し、溶け込んでいた揮発成分、水分は樹脂から放出されて脱気される。脱気された溶融樹脂は再び加圧、加熱されながら前方に移送されて先端部に貯留された後、スクリュー4の進退動作により射出ノズル5から金型内に射出される。
【0019】
加熱筒3の中間部において溶融樹脂を減圧するベント孔として機能する本実施形態のベント機構2は、図2図3に示すように加熱筒3の中間位置上面部に上方に開口して設けたベント孔8と、そのベント孔8に嵌挿固定するスリーブ10と、該スリーブ10に嵌挿固定するベント部品11から構成される。スリーブ10は外径がベント孔8の内径に等しく、長さは加熱筒厚みに等しい円筒形状に形成され、その一端側にはスリーブ10を加熱筒3に固定するためのフランジ10bが形成されている。スリーブ10の円筒部10aをベント孔8に挿通し、フランジ10bをボルトで加熱筒3に固定して取りつける。
【0020】
ベント部品11はスリーブ10の内側に嵌挿固定する円筒状部品で、外径はスリーブ10の円筒内に丁度納まる外径で、長さはスリーブ10のフランジ厚みを含む全長より長くしてある。その円筒部11aの外面にはスリーブ10のフランジ10bにボルトで固定するためのベント部品側フランジ11bが形成してある。ベント部品側フランジ11bの形成位置は、ベント部品11の円筒部11aの下端をスリーブ10の下端に一致させた状態でスリーブ10のフランジ10bに固定できる位置にしてある。図2に示すようにスリーブ10を加熱筒3の表面に固定してその内部にベント部品11を嵌挿固定すると、ベント部品11の円筒部11aの下端は加熱筒3の内表面に一致した状態となる。
【0021】
本ベント機構2の大きな特徴として、ベント部品11の円筒部11aの内部には通気性金属板11cが円筒部11aの内部を塞いで取りつけてある。取り付け位置は円筒部11aの中間部であり、その円筒部11aの下端から通気性金属板11c下面側までの間隔は、射出成形機の正常運転時における溶融樹脂のベント孔8付近での盛り上がり程度では溶融樹脂が通気性金属板11cの下面に接触しない間隔にしてある。
【0022】
通気性金属は発泡アルミ、ステンレス鋼、銅−スズ合金等の金属粉末を焼結したもので、全体に孔径1〜100μmの微細な連通孔を有し、空気やガスを容易に通過させる金属である。本実施形態の通気性金属板11cはこの通気性金属を板状に形成したものである。加熱筒3のベント孔8にスリーブ10をボルト固定し、そのスリーブ10のフランジ10bにベント部品11を嵌挿し、ベント部品側フランジ11bをスリーブ10のフランジ10にボルト固定してベント機構2を図2に示すように完成させる。これによりベント孔8は通気性金属板11cで塞がれた状態となる。
【0023】
このような構成のベント機構2は次のような利点を有する。通気性金属板11cの上方側は大気圧で低圧あるのに対し、ベント孔8下部に移送されてきた溶融樹脂はスクリュー4の螺旋溝と加熱筒3内面との間で圧縮されて内部が高圧になっている。通気性金属板11cは気体を通過させるため通気性金属板11c下面側空間も減圧され、圧縮された溶融樹脂に含まれていた揮発成分、水分、空気等は溶融樹脂から放出されて通気性金属板11cを通過し、大気中に放出される。即ち、通気性金属板11cのない開放孔だけのベント孔の場合と同様に溶融樹脂は脱気される。
【0024】
また、通気性金属板11cが通気性を有するとしても気体成分の通過に際しては通気抵抗を生ずる。このため通気性金属板11c下部空間の圧力は大気圧より高くなる。この圧力差は大気が通気性金属板11c下側に侵入するのを阻止する。このため外気が溶融樹脂に触れることはない。開放型のベント孔では外気が溶融樹脂に接触して溶融樹脂表面を酸化・炭化させて変色や劣化を生じさせることがあるが本構成ではそうした問題は生じない利点がある。
【0025】
また、ベント孔8は通気性金属板11cで塞がれた構造になっているため、大量のベットアップが生じても溶融樹脂がベント孔8から機外に漏れるのが防止される。また、ベント部品11はスリーブ10にボルト固定されているだけであるので、大量のベットアップにより通気性金属板11c下面側に溶融樹脂が付着して機能停止した場合には新たなベント部品11と簡単に交換できる。開放型ベント孔の場合のように孔に付着・固化した樹脂を取り除く手間を要せず、短時間で復旧できる利点を有する。
【0026】
前述したベント機構2は次のように変更を加えて実施してもよい。
(変形例1)
前記ベント部品11には上方開口を覆うベント部品カバー13を取り付け、該ベント部品カバー14又は前記ベント部品側フランジ11bより上のベント部品11側面に大気に連通する排気口13aを設けてもよい。図4は小さな排気口13aを設けたベント部品カバー13を取りつけた例である。ベント部品カバー13は取り外し可能に取りつけるのがよい。このようなベント部品カバー13を取りつけておけば通気性金属板11c上面の微細な通気孔が埃等で塞がれるのを防止することができる。
【0027】
(変形例2)
前記変形例2の構成に追加して排気口13aをホース、配管等で真空ポンプ16に繋ぎ、真空ポンプ16で通気性金属板11cの上部空間を減圧するとよい。図5はそのような構成例である。通気性金属板11cの上部空間を減圧すれば通気性金属板11cに通気抵抗が存在しても通気性金属板11c下部空間も減圧されるため溶融樹脂中のガス成分を一層効果的に排出させることができる。大量のベントアップが発生しても溶融樹脂は通気性金属板11cでせき止められるため真空ポンプ16への流入も阻止される。
【0028】
(変形例3)
前述した各実施形態で採用したベント部品11の通気性金属板11cの下部には、通気性金属板11c下面との間に隙間を設けた状態で中央に小孔16を設けた遮蔽板17を取りつけるとよい。図6は、そのような遮蔽板17を設けたベント部品11の断面図である。取り付け位置はベント部品11の挿入側下端と通気性金属板11c下面との中間部とする。溶融樹脂中のガス成分が溶融樹脂から放出される際には溶融樹脂の飛沫が飛び散る場合がある。また、水分が蒸気となって上昇する。そうした飛沫や蒸気が通気性金属板11c下面に付着すると通気性金属の微細な通気孔は塞がれて通気性が悪くなる。上記のような小孔15を設けた遮蔽板17を取りつければ小孔15に対向する通気性金属板11c表面部のみがそれら飛沫、蒸気等の影響を受け、周辺部の通気孔は塞がれるのが防止される。
【符号の説明】
【0029】
図面中、1はベント式射出成形機、2はベント機構、3は加熱筒、4は回転スクリュー、8はベント孔、10はスリーブ、10bはフランジ、11はベント部品、11bはベント部品側フランジ、11cは通気性金属板、13はベント部品カバー、13aは排気口、16は真空ポンプ、17は遮蔽板を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6