(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6461811
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】角度高さ調整方法を備えたベルト剥離装置
(51)【国際特許分類】
B65G 45/12 20060101AFI20190121BHJP
【FI】
B65G45/12 B
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-551173(P2015-551173)
(86)(22)【出願日】2014年1月7日
(65)【公表番号】特表2016-502965(P2016-502965A)
(43)【公表日】2016年2月1日
(86)【国際出願番号】EP2014000011
(87)【国際公開番号】WO2014106621
(87)【国際公開日】20140710
【審査請求日】2016年12月15日
(31)【優先権主張番号】102013000039.4
(32)【優先日】2013年1月7日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102013006821.5
(32)【優先日】2013年4月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515064755
【氏名又は名称】シュヴァルツ,ハンス−オットー
【氏名又は名称原語表記】SCHWARZE,Hans−Otto
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァルツ,ハンス−オットー
【審査官】
福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】
特表平09−507462(JP,A)
【文献】
特開昭58−002111(JP,A)
【文献】
米国特許第04664250(US,A)
【文献】
米国特許第08485344(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 45/12
B65G 45/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト−剥離装置モジュールであり、搬送ベルトの戻り領域の剥離装置用に作られ、かつ高さ調整可能なシステム支持部に複数のそのようなモジュールの1つとして取り付けられたベルト−剥離装置モジュールであって、
・前記システム支持部(21)に結合される基部(1)と、
・剥離用薄板(4)が取り付けられる切れ刃支持部(3)であって、
・剥離用刃(5)が前記剥離用薄板(4)に取り付けられ、
・前記剥離用薄板(4)が、走行方向において見られる場合、前記ベルトに対して鈍角を形成する
切れ刃支持部(3)と、
・剥離本体(2)であって、2つのジョイント部であって、その場合、
・回転軸(11)が前記ベルトの走行方向に対して横方向に延び、トーションばね(16)を有し、前記基部(1)と前記剥離本体(2)を接続し、前記トーションばね(16)がここで前記剥離用薄板(4)前記ベルトを押す第1ジョイント部(7)と、
・ブッシング(6)を有する第2ジョイント部であって、前記ブッシング(6)の中に前記切れ刃支持部(3)が回転可能に取り付けられ、前記第2ジョイント部の回転軸(12)が前記ベルトの走行方向に関して長手方向に延び、前記第2ジョイント部は、前記剥離用刃(5)が常に平らに前記ベルトに当接するように前記切れ刃支持部(3)を前記走行ベルト上で方向づける第2ジョイント部と
である2つのジョイント部を有するジョイント部ハウジングを有する剥離本体(2)と、
・前記基部(1)上の前記ベルト−剥離装置モジュール用の高さ調整手段(8)と
を有し、
前記第1ジョイント部(7)は、ばね角度測定手段(9)および前記ベルトの方向における前記剥離本体(2)の変位を制限する固定ストッパ(13、14)が設けられることを特徴とするベルト−剥離装置モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のベルト−剥離装置モジュールにおいて、前記固定ストッパ(13、14)を有する前記第1ジョイント部(7)が、方形ソケット(15)を有するゴム製トーションばね(16)を有するように構成され、前記方形ソケット(15)にはストッパディスク(14)が結合され、前記ストッパディスク(14)が、前記ジョイント部ハウジングに結合されたストッパ突出部(13)に衝突することを特徴とするベルト−剥離装置モジュール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のベルト−剥離装置モジュールにおいて、プレストレス力が、各モジュールに一体化された測定および検出機構によって検出され、プレストレスの差が、モジュール高さ調整手段によって補われることを特徴とするベルト−剥離装置モジュール。
【請求項4】
請求項3に記載のベルト−剥離装置モジュールにおいて、前記測定および検出機構が、リング(17)と組み合わされた一体化ばね角度測定手段の形態で構成され、前記リング(17)が、前記第1ジョイント部(11)の回転軸の周りを回転可能であり、前記第1ジョイント部(7)上に同軸に位置付けられ、前記ベルト剥離装置が揺り戻されると一緒に移動され、その後再び揺り戻ることはなく、および最大搖動振幅の位置において、その地点まで上に到達させられたまま維持されることを特徴とするベルト−剥離装置モジュール。
【請求項5】
請求項4に記載のベルト−剥離装置モジュールにおいて、前記測定および検出機構が、一体化ばね角度測定手段、および矢印(18)を有する回転可能なプラスチックリング(17)の形態で構成され、前記矢印(18)がスケール(19)上で前記トーションばねのプレストレスを示すことを特徴とするベルト−剥離装置モジュール。
【請求項6】
請求項5に記載のベルト−剥離装置モジュールにおいて、前記回転可能なプラスチックリング(17)が、発泡ディスクまたはゴム製リング(23)に対して回転できるように結合され、前記発泡ディスクまたはゴム製リング(23)の上に前記リング(23)がわずかに減寸した状態で配置され、従って前記プラスチックリング(17)は、前記発泡ディスクまたはゴム製リング(23)とプラスチックリング(17)との間の摩擦によって、前記モジュールが再度応力から解放されるときでさえ、変位された位置に固定されることを特徴とするベルト−剥離装置モジュール。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のベルト−剥離装置モジュールにおいて、電子的回転角度測定装置が、前記モジュールの、拘束手段が前記基部(1)に取り付けられる側に設けられることを特徴とするベルト−剥離装置モジュール。
【請求項8】
請求項7に記載のベルト−剥離装置モジュールにおいて、前記電子的回転角度測定装置が、カバーキャップの中に一体化されることを特徴とするベルト−剥離装置モジュール。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のベルト−剥離装置モジュールにおいて、前記電子的回転角度測定装置に送信機が設けられ、前記送信機により、信号に変換された回転角度の状態が、前記モジュールの外部に配置された受信機に送信されることを特徴とするベルト−剥離装置モジュール。
【請求項10】
請求項9に記載の装置において、前記システム支持部に受信機が取り付けられ、前記受信機が、前記ベルト−剥離装置モジュールによって送信された信号を受信し、前記信号を評価ユニットで評価することを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置において、前記評価ユニットが指示装置に接続されることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の装置において、前記評価ユニットに送信機が設けられ、前記送信機によって、決定されたデータまたは評価が、離れたサービスステーションまたは測定ステーションに送られることを特徴とする装置。
【請求項13】
スピンドルを用いて高さ調整可能でありかつ搬送ベルトの戻り領域の剥離装置用に作られたシステム支持部における使用であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のベルト−剥離装置モジュールの使用。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか1項に記載のベルト−剥離装置モジュールを取り付け、調整する方法において、以下の作業ステップ:
(i)前記剥離装置が、前記システム支持部のスピンドル移動によって、第1モジュールが前記ベルトと接触するまで、前記ベルトに向かって移動される。このとき前記角度測定装置の全ての従動ポインタは前記固定ストッパの所まで戻されている。
(ii)この位置から、前記剥離装置は、前記システム支持部の前記スピンドル移動によって、前記ベルトとの関連においてさらなる距離だけプレストレスを受ける。支持部移動手段の前記スピンドルの高さ位置に印がつけられる。
(iii)前記モジュールを有する前記システム支持部が前記ベルトから再び後退され、移動される。
(iv)ここで全ての前記モジュールが最適なプレストレスレベルを有しているかどうかを示すために前記従動ポインタの位置を使用することができる。
(v)モジュールの前記プレストレスが規定の条件に一致しない場合、前記モジュールは前記モジュールの前記基部の高さ調整手段によって適合される。
(vi)前記モジュールの高さ調整のあと、前記従動ポインタは再びゼロに設定され、前記剥離装置は、ステップ(ii)の位置に再び達するまで、もう一度前記ベルトとの関連においてプレストレスを受ける、
を特徴とする方法。
【請求項15】
請求項7乃至12の何れか1項に記載の評価ユニットを操作する方法において、前記評価ユニットが、ひどく摩耗し、残りの作動期間の間ほとんど有利性のないモジュールを決定し、そして3つの評価:
・制限されない連続する作動に対する第1評価、
・メンテナンスが必要という第2評価、および
・終端に達し、もはや剥離作用が発生しないという場合の第3評価、
を出すことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ベルトの戻り領域用の、モジュールから構成されたベルト−剥離装置システムに関し、ベルト−剥離装置システムは、ベルトの走行方向を横切る方向に、調整可能な、固定されたまたは弾性的に取り付けられたシステム支持部と、支持部に横並びに保持された複数の剥離用モジュールとを含む。剥離用モジュールはそれぞれ、剥離用薄板を支持し、剥離用薄板は、はがし作用を伴ってベルトに当接し、ベルトに弾性的に押し付けられる。対応するベルト−剥離装置システムは、十分に試行された従来技術を形成し、欧州特許第254 977 B1号明細書が例として本明細書に記載されている。
【0002】
周知のベルト−剥離装置システムは、多様な搬送条件の下、さまざまな可搬物品に使用される。それらは、搬送物の特性が変化する場合、例えば屋外で雨が降り始めた場合、または原材料の回収(採鉱)において作業場から離れている場合でさえ、常に確実に動作しなければならず、長い耐用年数が必要である。停止期間はできるだけ短く維持するべきである。生産の停止は一般的に高い補償費が発生するためである。
【0003】
これら条件はモジュラー式の構成によって満たされる。従来のモジュールは、例として欧州特許第254 977 B1号明細書および独国特許出願公開第A−36 20 960号明細書に記載されるように、
・システム支持部の1つに結合される基部、
・剥離用薄板が取り付けられる切れ刃支持部、
・剥離用薄板に取り付けられる剥離用刃、
・および剥離本体であって、
・中に切れ刃支持部が回転可能に取り付けられるブッシング、
・基部および剥離本体に接続されるトーションばねを有するジョイント部
を有する剥離本体
を有する。
【0004】
摩滅によって非常にゆっくりと摩耗する摩耗抵抗性カーバイド切れ刃を有し、カミソリ型カーバイド切れ刃がその結果である剥離用薄板によって長い耐用年数も得られる。このカミソリ型カーバイド切れ刃は、作業の中断およびメンテナンス技術の実装に関する考慮すべき問題を生じる。
【0005】
ベルト搬送設備のスイッチがいったん切られると、少し後ろに戻る搬送用ベルトをしばしば見ることができ、これは、例えば作動の間弾性的に拡張し、設備が停止状態のときに再び収縮する搬送用ベルトによって引き起こされる。設備に依存して、結果として生じるこの戻り移動は、合計数メートルになり得る。ここでカーバイド刃をベルトの方に引くことができ、これは、カーバイド刃がカミソリ型であることを考慮すると、ベルトが損傷するという結果につながる。メンテナンスのため、支持部が取り付けられかつ取り外されている間、カーバイド刃が切り込む状況は、同じく回避すべきであり、これは調整を困難にする。
【0006】
作業中のベルト異常または堆積の場合、ベルト剥離装置が第1の例ではベルトから跳ね返り、その後ベルト剥離装置はベルトに跳ね戻るが、この跳ね戻り動作が非常に正確に起きることが必要である。ここでの技術的な問題は以下のことである。すなわち、全ての考えられる運転および負荷状況において正確であるために、摩耗期間を通して、ベルト−剥離装置システムで最初に実行された調整が実際面で変えられずに保たれるように、ベルト剥離装置および剥離用薄板を構成する必要がある。
【0007】
遅くともカーバイド切れ刃が一度完全に摩耗したら、モジュールを新しいものと交換する必要がある。このメンテナンス期限を越えた場合、切れ刃支持部は、最終的に、ベルトに当接するのが切れ刃支持部のアームだけになるまで、急速に進む摩耗に曝される。表面領域圧力の顕著な増加、または鋭い刃の形成に基づいて、これが原因でベルトが損傷する可能性がある。
【0008】
剥離装置をベルトコンベヤの中および下に取り付けるために、安全規則は、特別な対策を講じることなく作業が実行されることを禁じている。従って、剥離装置を外側から取り付けること、および平らでないベルトのモジュールの必要な精度調整をベルト枠組みの外側で同じく実行することができるはずである。
【0009】
従って、上述の問題を解決し、迅速かつ容易に取り付け可能な簡単で費用対効果に優れた装置を提供することが本発明の目的である。従ってその意図は、本発明が、極めて簡単なモジュール構成である一方、考えられ得る最良の清掃性能を実現し、かつ非常に取り付けが簡単、すなわち特別な技術が一切要らない剥離装置を作り出すことであり、剥離装置取付け作業は、枠組み構造の外側からのみ発生し、モジュール交換作業は、剥離用刃が摩耗したとき、枠組み構造の外側でのみ同じく発生する。剥離装置は、カーバイド刃が完全に摩耗するまでメンテナンスを必要とせずに作動するはずである。様々な理由でしばしば起きるようなベルトの戻り移動は、剥離装置もベルトも損傷することなく起きなければならない。剥離装置は、ベルトの非平坦性を測定可能な装置を有する必要があり、従って高さ調整を用いてモジュールをその非平坦性に適合させる。剥離装置は材料が堆積することなく概ね保たれるべきである。材料の堆積は装置の機能を損なう。
【0010】
本発明は、ベルト−剥離装置モジュールであって複数のそのようなモジュールの1つとして高さ調整可能なシステム支持部に取り付けられたベルト−剥離装置モジュールを用いて目的を達成し、ベルト−剥離装置モジュールは、
・システム支持部に結合される基部と、
・剥離用薄板が取り付けられる切れ刃支持部であって、
・剥離用刃が剥離用薄板に取り付けられ、
・剥離用薄板が、走行方向において見られる場合、ベルトに対して鈍角を形成する
切れ刃支持部と、
・剥離本体であって、2つのジョイント部であって、その場合、
・回転軸がベルトの走行方向に対して横方向に延び、トーションばねを有し、基部と剥離本体を接続し、トーションばねがここで剥離用薄板ベルトを押す第1ジョイント部と、
・ブッシングを有する第2ジョイント部であって、ブッシングの中に切れ刃支持部が回転可能に取り付けられ、前記第2ジョイント部の回転軸がベルトの走行方向に関して長手方向に延び、前記第2ジョイント部は、剥離用刃が常に平らにベルトに当接するように切れ刃支持部を走行ベルト上で方向づける第2ジョイント部と
である2つのジョイント部を有するジョイント部ハウジングを有する剥離本体と、
・基部上のベルト−剥離装置モジュール用の高さ調整手段と
を有し、第1ジョイント部は、ばね角度測定手段および変位用の固定ストッパが設けられる。
【0011】
固定ストッパは、システム支持部に取り付けた後、ベルト−剥離装置モジュールの全ての剥離用刃が第1の例において直線的な面に配置される状態を達成する。固定ストッパの導入によりベルトが保護されるレベルが高まる。何故なら、メンテナンス期限を越えた場合でさえ、または剥離用刃が早期摩耗を受けたか完全に摩耗された場合でさえ、ベルト−剥離装置モジュールは、それが前記固定ストッパに達するまで調整されるだけであり、ベルトの方に一切押されないからである。
【0012】
固定ストッパを有する第1ジョイント部は、本発明の好ましい構成において、方形ソケットを有するゴム製トーションばねを有するように構成され、方形ソケットにはストッパディスクが結合され、ストッパディスクはジョイント部ハウジングに結合されたストッパ突出部に衝突する。
【0013】
剥離装置が応力の下で平らでないベルトに対して位置付けられるとき、様々な度合のプレストレスが各モジュールで発生する。本発明の一構成において、これらプレストレスの差が、各モジュールに一体化される測定および検出機構によって検出され、その後、プレストレスの差が、モジュール高さ調整手段によって補われることが実現される。
【0014】
測定および検出機構により、シュートでまたはコンベヤベルトの下で作業を行う必要なく、剥離装置のプレストレスの最適な調整を行うことが可能になる。従って、通常の先行技術において必要な高い費用の(足場用)装備を設ける必要なく、拘束力がある安全規則を現場で順守することが可能であり、これは本発明の利点である。
【0015】
本発明の一構成において、測定および検出機構は、第1ジョイント部の回転軸の周りを回転可能でありかつ第1ジョイント部上に同軸に位置付けられるリングと組み合わされた一体化ばね角度測定手段の形態で構成される。ベルト剥離装置が揺り戻されると、前記リングは一緒に移動されるが、ここでも揺り戻されるというよりもむしろ、最大搖動振幅の位置において、その地点まで上に到達させられたまま維持される。リングはまた指示機構も含み、それを参照して、開始状態に対して得られた回転を見ること、または読み取ることができる。トーションばねのプレストレスをこのようにして読み取ることができる。
【0016】
本発明のさらなる構成において、測定および検出機構は、一体化ばね角度測定手段、および矢印を有する回転可能なプラスチックリングの形態で構成され、矢印がスケール上でトーションばねのプレストレスを示す。
【0017】
本発明のさらなる構成において、回転可能なプラスチックリングは発泡ディスクまたはゴム製リングに対して回転され、発泡ディスクまたはゴム製リングの上にリングはわずかに減寸した状態で配置され、従ってプラスチックリングは、発泡ディスクまたはゴム製リングとプラスチックリングとの間の摩擦によって、モジュールが再度応力から解放されるときでさえ、変位された位置に固定される。
【0018】
本発明のさらなる構成において、電子的回転角度測定装置が、モジュールの、拘束手段が取り付けられる側に設けられる。前記装置は、例えば、カバーキャップの中に一体化されてもよい。これにより回転角度位置を決定し、デジタル化し、信号に変換することが可能になり、ここでゼロ位置および端部位置が知られている。さらなる構成において、電子的回転角度測定装置には送信機が設けられ、それにより、信号に変換される回転角度の状態は、モジュールの外部に配置された受信機に送信される。
【0019】
本発明のさらなる構成において、システム支持部に受信機が取り付けられ、受信機がモジュールによって送信された信号を受信し、前記信号を評価ユニットで評価する。この評価ユニットは、ひどく摩耗し、残りの作動期間の間ほとんど有利性のないモジュールを決定し、3つの評価、すなわち、無制限連続作動に対する第1評価、メンテナンスが必要という第2評価、終端に達し、もはや剥離作用が発生しないという場合の第3評価、を出すように好ましくは操作される。
【0020】
評価ユニットは指示装置に有利に接続される。そのような指示装置は、例えば、緑色のインジケータがシステム支持部の端部で第1評価の場合に発光し、アンバー色のインジケータが第2評価の場合に発光し、赤色のインジケータが第3評価の場合に発光するように構成可能であり、従って、摩耗の状態を、交通信号の組の方法で遠方から見ることができる。当然のことながら、他の指示方法が同じ効果を得ることも可能である。また、言うまでもなく、数字を用いてデジタル信号を表示することも可能である。
【0021】
さらなる構成は、送信機が設けられた評価ユニットを提供し、送信機によって、決定されたデータまたは評価が、離れたサービスステーションまたは測定ステーションに送られる。もちろん、指示方法を組み合わせることも可能である。
【0022】
本発明によるモジュールはいったんシステム支持部に取り付けられると、調整操作は以下のステップにおいて行われる。
1.剥離装置が、システム支持部の移動によって、第1モジュールがベルトと接触するまで、ベルトに向かって移動される。このとき角度測定装置の全ての従動ポインタは固定ストッパの所まで戻されている。
2.この位置から、剥離装置は、システム支持部のスピンドル移動によって、ベルトとの関連において所定の量だけプレストレスを受ける。支持部移動手段のスピンドルの高さ位置に印がつけられる。
3.モジュールを有するシステム支持部がベルトから再び後退され、移動される。
4.ここで全てのモジュールが最適なプレストレスレベルを有しているかどうかを示すために従動ポインタの位置を使用することができる。
5.モジュールのプレストレスが規定の条件に一致しない場合、モジュールはモジュールの基部の高さ調整手段によって適合される。
6.モジュールの高さ調整のあと、従動ポインタは再びゼロに設定され、剥離装置は、ステップ2の位置(印)に再び達するまで、もう一度ベルトとの関連においてプレストレスを受ける。
必要であれば、ステップ3〜6を先と同様に繰り返す。
【0023】
本発明の利点は以下のとおりである。
・モジュールの切れ刃支持部の角度位置は、製造後に均一であり、ゴム要素の寸法および材料許容差によっても、ゴム製ばねの方形構造の寸法によっても定義されない。
・システム支持部に取り付けた後、モジュールの全ての剥離用刃は1つの面に配置される。これによりベルト上での調整がより簡単になり、また、モジュールの均質な調整が可能になる。全てのモジュールのばね応力角度を測定し、適合させることが可能である。
・ベルトに対するスピンドル調整の間、モジュールは、初期ベルト接触の際、すでに数度さらに後方に傾けられる。これは剥離装置がさらなる応力にかけられるときにモジュールが引っ掛かる危険性を低減する。従ってこれは、スピンドル調整の間、手動でモジュールを後ろに回転させる作業を回避する。
・最大摩耗量は固定ストッパによって制限される。これは、剥離装置のメンテナンスが適時に実行されない場合、モジュールが過度の摩耗を受けた結果としてベルトに損傷が及び得る状況を防ぐ。
・ベルトの戻り移動の際、剥離装置はベルトに割り込むことも、ベルトに引っ掛かることもできない。
【0024】
本発明を本明細書において以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図3】
図3は、第1ジョイント部が開かれた状態のモジュールの斜め図を示す。
【
図4】
図4は、高さ調整および回転可能なプラスチックリングを有するモジュールを示す。
【
図5】
図5は、ベルトのシステム支持部のベルト−剥離装置モジュールの高さ調整を示す。
【
図6】
図6は、測定するために必要なプラスチックリングの断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1はベルト剥離装置の正面図を示し、ベルト剥離装置は基部1と、剥離本体2と、切れ刃支持部3とを有し、切れ刃支持部3には剥離用薄板4が取り付けられ、剥離用刃5が剥離用薄板の先端に結合されている。剥離本体2はまたブッシング6を含み、その中に切れ刃支持部3が自由に回転できるように取り付けられる。ブッシング6は、トーションばねジョイント部の形態で構成される第1ジョイント部7に固定され、およびそれ自体が第2ジョイント部を形成する。第2ジョイント部を形成するブッシング6および第1ジョイント部のハウジングが、剥離本体2を形成する。第1ジョイント部は基部1に接続され、基部1は高さ調整手段8を有する。第1ジョイント部は、ばね角度測定手段9と、ドライバの形態の固定ストッパ10とを有し、それは、モジュールがプレストレスを受けると、回転可能プラスチックリング17に沿って移動する。第1ジョイント部は回転軸11の周りを回転する。
【0027】
図2は
図1のベルト−剥離装置モジュールの側面図を示し、第2ジョイント部の回転軸12も示されている。
【0028】
図3は、
図1および2のベルト−剥離装置モジュールの斜め図を示し、
図2と反対の側に配置されている第1ジョイント部7の側が、開いた状態で示される。ここでは第1ジョイント部のハウジングに固定されたストッパ突出部13を見ることができる。当接部がストッパディスク14によって形成され、ストッパディスク14は方形ソケット15に接続される。方形ソケット15はここでは固定され、剥離本体2と一緒に回転しない。例えば独国特許出願公開第A 36 20 960号明細書に記載されるような、周知の従来技術に従い構成されたゴム製トーションばね16を、第1ジョイント部の中に示されるように見ることができる。剥離用薄板4が摩耗を受けるにつれ、切れ刃支持部3はベルトの方向に徐々に移動する。これを防止する、この場合ストッパ突出部13およびストッパディスク14から形成された固定ストッパがない場合、端部でベルトを損傷するであろう。
【0029】
図4は、他方の側からであるが
図3のベルト−剥離装置モジュールの斜め図を示す。ここでは、ばね角度測定手段9および固定ストッパ10を見ることができる。矢印18を有するプラスチックリング17が、取付けの間、応力からの解放後、スケール19においてトーションばねのプレストレスを示す。このプレストレスは、ベルト剥離装置が剥離動作の間ベルトに押し付けられる圧力を及ぼす力と混同してはならない。圧力を及ぼす力は摩耗が増えるにつれて変化する。ゴム製トーションばね16が角度変化のせいで幾分屈服し、従って圧力を及ぼす力が対応して減少するためである。プレストレス力の表示は、取り付ける目的で使用される。動作中、ベルトの剥離障害から生じる剥離本体2の作用が、ゴム製トーションばね16の変位を引き起こす。従って、矢印18は、現在のプレストレスレベルを示し続けるのではなく、最大の変位を、従って移動中に生じた最大の圧力を及ぼす力を示す。ゴム製トーションばねのプレストレスに加えて、支持システムが上方に移動する結果として、追従応力も発生するという事実も考慮すべきである。圧力を及ぼす力はプレストレス力および追従応力の合計から、摩耗が発生するときにゴム製トーションばね16が屈服するときの応力の低下を引いたものである。
【0030】
各ベルト−剥離装置モジュールを支持するシステム支持部が取付けの後真下からベルトに対し後方へ移動される場合、ベルト−剥離装置モジュールは、いったんベルトに到達すると、跳ね返り、ベルト移動方向と反対の上方への移動が進み、前記モジュールはベルトとぶつかり、擦れ合う。プレストレスは、ストッパ突出部13およびストッパディスク14の選択によって工場で設定され、その場合、開口部の形状を方形ソケットの位置に対して変えることができる。
【0031】
ストッパディスク14はここでは2つの機能を有する。一方で、いったん剥離用薄板4が摩耗されると、ベルトに対する損傷を防止するために、それはベルトの方向における剥離本体2の変位を制限し、他方で、ストッパディスク14の形状がプレストレスのレベルを設定する。固定ストッパはこのような方法でストッパディスク14およびストッパ突出部13を介して実現されるが、本発明の全体的な概念から逸脱することなく本発明による固定ストッパを達成する他の手段を有することも可能である。この固定ストッパは、ばね角度測定手段9の固定ストッパ10と混同してはならず、固定ストッパ10は第1ジョイント部7の反対の位置に配置されている。
【0032】
図5は、どのようにベルト表面の高さの差を測定するか、および続いてベルト−剥離装置モジュールをどのように高さ調整し、その後全ての剥離用刃が同じ所定の圧力レベルでベルトとぶつかる状態を達成するかを例として示す。図の上側部分は、システム支持部21に5つのモジュールを備えた剥離装置を示し、これは既にプレストレスを受け、さらに応力から解放されている。拡大鏡は、プラスチックリングの矢印がどのプレストレス指標を示しているかを示す。矢印が4番目の最も長い指標を指している(これはこれらモジュールがプレストレスを完全に受けていることを意味する)のは、各外側モジュールの場合だけである。中央のモジュールは矢印が2番目の指標を指し、残りの2つのモジュールは矢印が3番目の指標を指している。従って、これらモジュールはプレストレスを完全に受けておらず、それぞれ外側モジュールに対して示される差だけ高さを再調整する必要がある。中心モジュールの矢印は2番目の指標を指しており、2(4−2=2)目盛り指標だけ上に調整する必要がある。2つの他のモジュールの場合、指示器は3番目の目盛り指標に位置付けられており、それぞれ1(4−3=1)目盛り指標だけ上に調整する必要がある。図の2番目の部分は、高さ調整されたモジュールを有する剥離装置を示す。ベルトが剥離装置の作動領域で凹状に湾曲し、モジュールが前記湾曲に適合されていることをはっきり見ることができる。ここで剥離装置を作動させることができ、全てのモジュールは、更新されたスピンドル調整の場合、ここで同じプレストレスレベルが提供されている。必要であれば、概説された手順を繰り返すことによって、精度を簡単に監視することができる。
【0033】
図6は、測定のために必要であるプラスチックリング17がベルト−剥離装置モジュールの固定部分にどのように取り付けられるかを示す。それは、わずかに減寸した状態でゴムリング23に押し付けられ、従って上で概説したように、単に中程度の量の力をかけることによって手で回転させることができる。
【0034】
ベルト−剥離装置モジュールの作動を以下に詳細に記載する。このため、ベルト−剥離装置モジュールは、工場で内側ストッパに対してプレストレスをかけられ、このようにして使用場所まで運ばれる。ベルト−剥離装置モジュールを工場でシステム支持部に取り付けることもできるが、使用場所での取り付けが同様に可能である。いったん新しいシステム支持部が適所に置かれると、それは2つの作業においてスピンドル上で上方に持ち上げられる。第1の作業の間、システム支持部は、モジュールの剥離用刃の先端がベルトとちょうど接触するまで上に移動される。ベルトが平らでない場合、各ベルト−剥離装置モジュールをそれぞれ正しい位置に置き、再調整することができ、それにより上に記載したように、ベルトとちょうど接触する剥離用刃をそれぞれが有するようにする。
【0035】
その後、第2の作業において、剥離装置は、取付および作業指示書に記載された量、例えば20mmだけスピンドル上でさらに上に持ち上げられる。変位スピンドルはその後固定され、剥離装置は作動する準備が整う。これ以降、剥離装置は、剥離用刃が完全に摩耗されるまで調整すべきでない。
【0036】
工場におけるプレストレスの前記レベルは、それにより第1のスピンドル調整作業の間に発生されかつベルトの方向において垂直に作用する圧力を及ぼす力が、ベルトを申し分なく清掃するのに十分であるように、すなわち、第2のスピンドル調整作業のあとの追従応力に必要な追加距離が摩耗により使い尽くされたときでさえ十分であるように、十分に大きくなるように選択される。作業指示書に記載された量、例えば20mmによる第2のスピンドル調整作業は、トーションばねおよび圧力を及ぼす力の応力、従ってベルトの方向において垂直に作用する応力を対応して増大する。この追加的に適用されるばね応力は、板が徐々に摩耗するにつれて再び緩やかに散逸する。20mmが使い尽くされると、モジュールは内側ストッパに再び位置付けられ、板が圧力のない状態でベルトにぶつかる。
【0037】
ベルト−剥離装置モジュールは、ベルトの戻り移動の間でさえそれらが常に申し分なく機能するように設計される必要があることが剥離装置の本質的な特徴である。これは、軸11と剥離用刃5の間の水平距離の比率、および軸11とベルトまたは剥離用刃5の間の垂直距離の比率による。この比率は、ベルトと剥離用刃の材料との間の摩擦係数より常に大きくなければならない。この比率は、スピンドル上でシステム支持部を上に持ち上げる第2作業の間に単に増大するので、最小比率を工場で設定することができる。一般的な使用の場合、これは少なくとも0.7である。
【0038】
運転を続けると、各ベルト−剥離装置モジュールはさまざまな時期に摩耗限界に達する。基部を最大20mmで高さ調整するにもかかわらず、ベルトに危険はない。基部の高さ調整にかかわらず、ストッパ突出部13およびストッパディスク14から形成された固定ストッパが、確実に危険を防止するためである。
【符号の説明】
【0039】
1 基部
2 剥離本体
3 切れ刃支持部
4 剥離用薄板
5 剥離用刃
6 ブッシング
7 第1ジョイント部
8 高さ調整手段
9 ばね角度測定手段
10 固定ストッパ
11 第1ジョイント部の回転軸
12 第2ジョイント部の回転軸
13 ストッパ突出部
14 ストッパディスク
15 方形ソケット
16 ゴム製トーションばね
17 プラスチックリング
18 矢印
19 スケール
20 調整リング
21 システム支持部
22 シール
23 ゴムリング