【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)平成28年6月15日に、電子情報通信学会技術研究報告,Vol.116,No.110,RCS2016−49(一般社団法人電子情報通信学会)にて公開 (2)平成28年6月22日に、電子情報通信学会 無線通信システム研究会,琉球大学(沖縄県中頭郡西原町字千原1番地)にて発表
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、総務省「移動通信システムにおける三次元稠密セル構成及び階層セル構成技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のハンドオーバでは、移動局が接続しているサービングセルに対する周辺セルからの干渉により、ハンドオーバに失敗したり両セルの間でハンドオーバを繰り返す現象(ピンポン・ハンドオーバ現象)が発生したりするおそれがある。また、サービングセルに対する周辺セルからの干渉により、サービングセルに接続している移動局の通信環境が劣化してサービングセルの基地局と移動局との通信が切断してしまうおそれがある。
【0004】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、移動局が接続しているサービングセルに対する周辺セルからの干渉による移動局の通信環境の劣化に起因した通信切断を防止するとともに、その周辺セルからの干渉に起因したハンドオーバ失敗やピンポン・ハンドオーバ現象を確実に防止することができる基地局、移動通信システム及びハンドオーバ制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る移動通信システムは、移動局が接続している第1基地局と、その第1基地局の周辺に位置する一又は複数の第2基地局とを備える移動通信システムであって、前記第1基地局は、前記移動局による測定結果報告(MR)の送信タイミングを規定する第1通信品質閾値を決定し、その決定した第1通信品質閾値を前記移動局に送信し、前記第1通信品質閾値を受信した移動局で測定された第1通信品質が前記第1通信品質閾値未満又は前記第1通信品質閾値以下になった後に前記移動局から送信された測定結果報告(MR)を受信し、前記測定結果報告(MR)を受信した後、前記移動局から送信された通信品質情報を受信し、前記移動局から受信した前記測定結果報告(MR)及び前記通信品質情報に基づいて、前記第1通信品質よりも測定精度が高い第2通信品質が第2通信品質閾値未満又は該第2通信品質閾値以下になったタイミングに、データ信号及び制御信号の少なくとも一方を含む下りリンク信号の送信停止を前記第2基地局に要求する。
ここで、前記第1通信品質は参照信号受信品質(RSRQ)であり、前記第2通信品質は、前記通信品質情報に含まれるチャネル品質情報(CQI)とデータ通信の受信に関する受信成功/失敗情報とに基づいて推定されるSINRであってもよい。
【0006】
前記移動通信システムにおいて、前記第2基地局は、前記送信停止の要求に応じて、前記下りリンク信号の送信を停止する無線リソースの決定及び前記第1基地局への通知を行うとともに、前記下りリンク信号の送信を停止し、前記第1基地局は、前記移動局に対する下りリンク信号に用いる無線リソースとして、前記第2基地局から通知された無線リソース又はそれを一部に含む無線リソースを割り当ててもよい。
【0007】
また、前記移動通信システムにおいて、前記第1基地局は、前記第2通信品質が前記第2通信品質閾値以上又は該第2通信品質閾値よりも大きい場合に、前記移動局から受信した測定結果報告(MR)に含まれる前記第2基地局からの受信電力S2と、前記測定結果報告(MR)に含まれる前記第1基地局からの受信電力S1とを比較し、その受信電力差(S2−S1)が所定の閾値よりも大きくなる場合又は該閾値以上となる場合に、データ信号及び制御信号の少なくとも一方を含む下りリンク信号の送信停止を前記第2基地局に要求し、前記第2基地局は、前記送信停止の要求に応じて、前記下りリンク信号の送信を停止する無線リソースの決定及び前記第1基地局への通知を行うとともに、前記下りリンク信号の送信を停止し、前記第1基地局は、前記移動局に対する下りリンク信号に用いる無線リソースとして、前記第2の基地局から通知された無線リソース又はそれを一部に含む無線リソースを割り当ててもよい。
【0008】
また、前記移動通信システムにおいて、前記第1基地局は、前記第2通信品質が前記第2通信品質閾値以上又は該第2通信品質閾値よりも大きい場合に、前記移動局から受信した測定結果報告(MR)に含まれる前記複数の第2基地局からの受信電力S2と、前記測定結果報告(MR)に含まれる前記第1基地局からの受信電力S1とを比較し、その受信電力差(S2−S1)が所定の閾値よりも大きくなる又は該閾値以上となる複数の第2基地局のうち、前記受信電力差(S2−S1)が大きい順に上位の一又は複数の第2基地局に対して、データ信号及び制御信号の少なくとも一方を含む下りリンク信号の送信停止を要求し、前記上位の一又は複数の第2基地局は、前記送信停止の要求に応じて、前記下りリンク信号の送信を停止する無線リソースの決定及び前記第1基地局への通知を行うとともに、前記下りリンク信号の送信を停止し、前記第1基地局は、前記移動局に対する下りリンク信号に用いる無線リソースとして、前記上位の一又は複数の第2基地局から通知された無線リソース又はそれを一部に含む無線リソースを割り当ててもよい。
【0009】
前記移動通信システムにおいて、前記送信を停止する下りリンク信号は、データ信号及び制御信号の両方を含んでもよい。
また、前記移動通信システムにおいて、前記第1基地局は、前記第2基地局に前記下りリンク信号の送信停止を要求するとき、前記下りリンク信号の送信を停止する無線リソースの時間及び周波数の少なくとも一方を指定してもよい。
また、前記移動通信システムにおいて、前記第1基地局は、前記第2基地局に前記下りリンク信号の送信停止を要求するとき、前記下りリンク信号の送信を停止する無線リソース量を指定し、前記第2基地局は、前記第1基地局によって指定された無線リソース量を満たすように、前記下りリンク信号の送信を停止する無線リソースの時間及び周波数の少なくとも一方を前記第1基地局に通知してもよい。
【0010】
また、前記移動通信システムにおいて、前記第2基地局は、前記移動局が接続する基地局を前記第1基地局から前記第2基地局に切り換えるハンドオーバ処理が完了したときに、前記第2基地局に接続されている複数の移動局のうち前記ハンドオーバ処理が完了した移動局に割り当てられている無線リソースについて前記下りリンク信号の送信停止を終了してもよい。
また、前記移動通信システムにおいて、前記第2基地局は、前記第2基地局における前記下りリンク信号の送信停止を開始してから所定時間経過したときに、前記第2基地局に接続されている複数の移動局のうち前記下りリンク信号の送信停止開始から所定時間経過した移動局に割り当てられている無線リソースについて前記下りリンク信号の送信停止を終了してもよい。
また、前記移動通信システムにおいて、前記第2基地局は、前記移動局における前記第2基地局からの参照信号の受信電力と前記第1基地局から参照信号の受信電力との間の受信電力差(S2−S1)に基づいて、前記第2基地局に接続されている複数の移動局のうち前記受信電力差(S2−S1)が所定の閾値よりも小さい又は該閾値以下の移動局に割り当てられている無線リソースについて前記下りリンク信号の送信停止を終了してもよい。
また、前記移動通信システムにおいて、前記第2基地局は、前記移動局における前記第1基地局からの下りリンク信号の受信品質の予測結果に基づいて、前記第2基地局に接続されている複数の移動局のうち前記受信品質の予測結果が所定の閾値よりも大きくなった又は該閾値以上になった移動局に割り当てられている無線リソースについて前記下りリンク信号の送信停止を終了してもよい。
【0011】
また、前記移動通信システムにおいて、前記第1基地局は、前記移動局が接続する基地局を前記第1基地局から前記第2基地局に切り換えるハンドオーバを開始する基準となる前記受信電力差(S2−S1)が通常のハンドオーバ閾値に到達するよりも早期に前記移動局が前記第2基地局及び前記第1基地局からの受信電力の次回フィードバックを行うように前記移動局に指示してもよい。
また、前記移動通信システムにおいて、前記第1基地局は、前記第2通信品質が所定の閾値よりも低下する場合又は該閾値以下になる場合には、前記移動局が接続する基地局を前記第1基地局から前記第2基地局に切り換えるハンドオーバを開始する基準となる前記受信電力差(S2−S1)が通常のハンドオーバ閾値に到達するよりも早期に前記移動局のハンドオーバの開始を決定してもよい。
【0012】
本発明の他の態様に係る基地局は、移動通信システムの基地局であって、自局に接続する移動局による測定結果報告(MR)の送信タイミングを規定する第1通信品質閾値を決定する手段と、前記決定した第1通信品質閾値を前記移動局に送信する手段と、前記第1通信品質閾値を受信した移動局で測定された第1通信品質が前記第1通信品質閾値未満又は前記第1通信品質閾値以下になった後に前記移動局から送信された測定結果報告(MR)を受信する手段と、前記測定結果報告(MR)を受信した後、前記移動局から送信された通信品質情報を受信する手段と、前記移動局から受信した前記測定結果報告(MR)及び前記通信品質情報に基づいて、前記第1通信品質よりも測定精度が高い第2通信品質が第2通信品質閾値未満又は該第2通信品質閾値以下になったタイミングに、データ信号及び制御信号の少なくとも一方を含む下りリンク信号の送信停止を前記第2基地局に要求する手段と、を備える。
ここで、前記通信品質は参照信号受信品質(RSRQ)であり、前記第2通信品質は、前記通信品質情報に含まれるチャネル品質情報(CQI)とデータ通信の受信に関する受信成功/失敗情報とに基づいて推定されるSINRであってもよい。
前記基地局において、前記移動局に対する下りリンク信号に用いる無線リソースとして、前記他の基地局から通知された無線リソース又はそれを一部に含む無線リソースを割り当てる手段を備えてもよい。
また、前記基地局において、前記第2通信品質が前記第2通信品質閾値以上又は該第2通信品質閾値よりも大きい場合に、前記移動局から受信した測定結果報告(MR)に含まれる前記他の基地局からの受信電力S2と、前記測定結果報告(MR)に含まれる自局からの受信電力S1とを比較する手段と、前記移動局が接続する基地局を自局から前記他の基地局に切り換えるハンドオーバを開始する基準となる受信電力差(S2−S1)が通常のハンドオーバ閾値に到達するよりも早期に前記移動局が前記他の基地局及び自局からの受信電力のフィードバックを行うように前記移動局に要求する手段と、前記移動局からフィードバックされる前記自局からの受信品質Q1が所定の閾値よりも低下する場合又は該閾値以下になる場合には、前記移動局のハンドオーバを開始する基準となる前記受信電力差(S2−S1)が通常のハンドオーバ閾値に到達するよりも早期に前記移動局のハンドオーバの開始を決定する手段と、を備えてもよい。
また、前記基地局において、前記第2通信品質が前記第2通信品質閾値以上又は該第2通信品質閾値よりも大きい場合に、前記移動局から受信した測定結果報告(MR)に含まれる前記他の基地局からの受信電力S2と、前記測定結果報告(MR)に含まれる自局からの受信電力S1とを比較する手段と、その受信電力差(S2−S1)が所定の閾値よりも大きくなる場合又は該閾値以上となる場合に、データ信号及び制御信号の少なくとも一方を含む下りリンク信号の送信停止を前記他の基地局に要求する手段と、前記移動局に対する下りリンク信号に用いる無線リソースとして、前記他の基地局から通知された無線リソース又はそれを一部に含む無線リソースを割り当てる手段と、を備えてもよい。
また、前記基地局において、前記第2通信品質が前記第2通信品質閾値以上又は該第2通信品質閾値よりも大きい場合に、前記移動局から受信した測定結果報告(MR)に含まれる前記他の基地局からの受信電力S2と、前記測定結果報告(MR)に含まれる自局からの受信電力S1とを比較する手段と、その受信電力差(S2−S1)が所定の閾値よりも大きくなる又は該閾値以上となる複数の他の基地局のうち、前記受信電力差(S2−S1)が大きい順に上位の一又は複数の他の基地局に対して、データ信号及び制御信号の少なくとも一方を含む下りリンク信号の送信停止を要求する手段と、前記移動局に対する下りリンク信号に用いる無線リソースとして、前記上位の一又は複数の他の基地局から通知された無線リソース又はそれを一部に含む無線リソースを割り当てる手段と、を備えてもよい。
【0013】
本発明の他の態様に係るハンドオーバ制御方法は、移動通信システムにおける移動局のハンドオーバを制御するハンドオーバ制御方法であって、移動局が接続している第1基地局が、前記移動局による測定結果報告(MR)の送信タイミングを規定する第1通信品質閾値を決定することと、前記決定した第1通信品質閾値を前記移動局に送信することと、前記第1基地局が、前記第1通信品質閾値を受信した移動局で測定された第1通信品質が前記第1通信品質閾値未満又は前記第1通信品質閾値以下になった後に前記移動局から送信された測定結果報告(MR)を受信することと、前記第1基地局が、前記測定結果報告(MR)を受信した後、前記移動局から送信された通信品質情報を受信することと、前記第1基地局が、前記移動局から受信した前記測定結果報告(MR)及び前記通信品質情報に基づいて、前記第1通信品質よりも測定精度が高い第2通信品質が第2通信品質閾値未満又は該第2通信品質閾値以下になったタイミングに、データ信号及び制御信号の少なくとも一方を含む下りリンク信号の送信停止を前記第2基地局に要求することを含む。
ここで、前記通信品質は参照信号受信品質(RSRQ)であり、前記第2通信品質は、前記通信品質情報に含まれるチャネル品質情報(CQI)とデータ通信の受信に関する受信成功/失敗情報とに基づいて推定されるSINRであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、移動局が接続しているサービングセルに対する周辺セルからの干渉による移動局の通信環境の劣化に起因した通信切断を防止するとともに、その周辺セルからの干渉に起因したハンドオーバ失敗やピンポン・ハンドオーバ現象を確実に防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
ここでは、LTE(Long Term Evolution)/LTE−Advancedへの適用を前提に本発明の実施形態を説明するが、類似のセル構成、物理チャネル構成を用いるシステムであれば、本発明の概念はどのようなシステムにも適用可能である。また、伝搬路の推定に用いられる参照信号系列や誤り訂正のために用いられる符号化方式はLTE/LTE−Advancedで定義されているものに限定されず、これらの用途に適合するものであれば、どのような種類のものでも構わない。
【0017】
まず、本発明に係る移動局を適用可能な移動通信システムの全体構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る移動局装置が通信可能な移動通信システムの概略構成を示す説明図である。
図1において、本実施形態の移動通信システムは、前述のLTE/LTE−Advancedの仕様に準拠する移動通信システムであり、無線通信エリアであるセル10A,20Aが互いに隣接する第1基地局10と第2基地局20とを備え、そのセル10A,20A間を移動局であるユーザ端末装置UE(以下「端末」という。)30が移動するときハンドオーバして連続的に通信可能に構成されている。
図1において、端末30は、第1基地局10のセル10Aに在圏し、第1基地局10から電話やデータ通信などの下りリンクの無線信号を希望信号(希望波)として受信可能な状態にある。また、端末30は、セル10Aとセル20Aとのセル境界エリアに位置しているため、第2基地局20から送信された下りの無線信号を干渉信号(干渉波)として受信するおそれがある。
【0018】
なお、
図1では、第1基地局10、第2基地局20及び端末30を一つずつ図示しているが、第1基地局10、第2基地局20及び端末30はそれぞれ複数であってもよい。また、
図1では、第1基地局10及び第2基地局20それぞれがマクロセル基地局である場合について説明するが、第1基地局10及び第2基地局20それぞれがスモールセル基地局であってもよい。また、第1基地局10及び第2基地局20のいずれか一方がマクロセル基地局であり他方がスモールセル基地局であってもよい。また、第1基地局10及び第2基地局20のいずれか一方の基地局が他方の基地局のセル内に配置されていてもよい。例えば、第1基地局10がマクロセル基地局であり、そのマクロセル内にスモールセル基地局である第2基地局20が配置された異種混在ネットワーク(HetNet)を構成してもよい。
【0019】
本実施形態の第1基地局10及び第2基地局20として用いられるマクロセル基地局は、移動体通信網において屋外に設置されている通常の半径数百m乃至数km程度の広域エリアであるマクロセルをカバーする広域の基地局であり、LTE/LTE−Advancedでは一般にeNB(Evolved Node-B)と呼ばれ、また、「Macro e−Node B」、「MeNB」等と呼ばれる場合もある。マクロセル基地局は、他の基地局と例えば有線の通信回線で接続され、所定の通信インターフェースで通信可能になっている。また、第1基地局10は、回線終端装置及び専用回線を介して移動体通信網のコアネットワークに接続され、移動体通信網内の各種ノードとの間で所定の通信インターフェースにより通信可能になっている。
【0020】
また、本実施形態の第1基地局10及び第2基地局20の少なくとも一方として用いることができるスモールセル基地局は、広域のマクロ基地局とは異なり、無線通信可能距離が数m乃至数百m程度であり、一般家庭、店舗、オフィス等の屋内にも設置することができる移動設置可能な基地局である。スモールセル基地局は、移動体通信網における広域のマクロ基地局がカバーするエリアよりも小さなエリア(例えばマイクロセルやピコセル)をカバーするように設けられるため、マイクロ基地局やピコ基地局と呼ばれる場合もある。また、スモールセル基地局は、「フェムト基地局」、「Home e−Node B」、「Home eNB」と呼ばれる基地局の場合もある。スモールセル基地局についても、回線終端装置及びADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線や光回線等のブロードバンド公衆通信回線を介して移動体通信網のコアネットワークに接続され、コアネットワーク上の各種ノードとの間で所定の通信インターフェースにより通信可能になっている。
【0021】
ユーザが使用する端末30は、LTE/LTE−Advancedでは一般にUE(User Equipment)と呼ばれる。端末30は、第1基地局10のセル10Aや第2基地局20のセル20Aに在圏するときに、その在圏するセルに対応する第1基地局10や第2基地局20と間で所定の通信方式及びリソースを用いて無線通信することができる。
【0022】
図2は、LTE/LTE−AdvancedのNormal Cyclic Prefix(以下、「Normal CP」という。)仕様における下りリンクのフレーム構成、サブフレーム構成およびチャネル構成の一例を示す説明図である。また、
図3は、サブフレームの一構成例を示す説明図である。無線フレーム長は10msであり、1ms長の10個のサブフレームから構成される。
【0023】
図3に示すように、サブフレームは14OFDMシンボルから構成される。また、無線リソース割当て最小単位はRB(Resource Block)と呼ばれ、周波数方向に12サブキャリア、時間軸方向に7OFDMシンボルの計84個のRE(Resource Element)で構成される。スケジューリングの最小単位であるTTI(Transmission Time Interval)は、1サブフレーム(14OFDMシンボル)であり、1サブフレーム毎に各移動局装置がどの周波数/時間リソースマッピングされているのか、各端末へのデータ信号などの下りリンク信号がどのような変調フォーマット(変調方式、符号化率)を使用するか等のスケジューリングを行い、その結果が端末30へ通知される。以下、下りリンク物理チャネルとその役割について説明する。
【0024】
〔同期信号(SS)〕
端末30が接続先の最適なセルを探索することを「セルサーチ」と呼び、セルサーチに用いられる信号を同期信号(SS:Synchronization Signal)と呼ぶ。同期信号SSは、システム帯域の中央72サブキャリア分を用い、最小周波数帯域幅内で送信される。この最小周波数帯域幅内で同期信号SSを送信することにより、端末30がシステムで使用されているシステム帯域幅を意識せずにセルサーチが可能となる。同期信号SSは2種類の符号系列を持っており、シンボルタイミング同期およびローカルID検出を目的としたP−SS(Primary-SS)と、無線フレーム同期およびセルIDグループ検出を目的としたS−SS(Secondary-SS)とがある。これらの2系列の組合せを検出することにより、当該セルの識別情報である物理レイヤセルID(以下、「セルID」という。)を取得することが可能となる。
【0025】
〔物理報知チャネル(PBCH)〕
物理報知チャネル(PBCH:Physical Broadcast Channel)には、端末30がセルサーチ後に最初に読むべき最低限の情報のみが含まれる。これらの情報はMIB(Master information Block)と呼ばれ、システム帯域幅やシステムフレーム番号(SFN:System Frame Number)等の基本情報が含まれる。その他のシステム情報であるSIB(System Information Block)に関しては、後述する物理共有データチャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)で送信される。端末30は、PBCHを復号することにより、当該セルの基地局の送信アンテナ数の情報を取得することができる。また、PBCHもSSと同様にシステム帯域幅の事前情報なしで復号できる必要があるため、帯域の中心において最小帯域幅内で送信される。
【0026】
〔参照信号(RS)〕
図4はLTE及びLTE−AdvancedのNormal CP仕様における参照信号の構成例を示す説明図である。
図4に示すように、LTEにおいてサブフレーム内の時間領域で14OFDMシンボルのうち、第1、5、8、12OFDMシンボル内、周波数領域で6サブキャリア間隔でセル固有参照信号(CRS:Cell-specific Reference Signal)はCC全体(周波数軸上および時間軸上)に分散して規則的に配置され常時送信される。また、CRSは、端末30におけるチャネル品質情報(CSI:Channel State Information)の測定用の基準信号及びデータ復調用の基準信号という2つの役割を担っている。CRSはセルIDによって、異なるスクランブリングとマッピングされるサブキャリア位置の周波数シフトが適用される。
【0027】
〔L1/L2制御チャネル(PCFICH、PHICH、PDCCH)〕
下りリンクL1/L2制御信号はLayer−1(L1)およびLayer−2(L2)に閉じた制御情報であり、PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)、PHICH(Physical HARQ Indicator Channel)、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)という3つの異なる物理チャネルに対応する。
【0028】
PCFICHは、PDCCHが使用するOFDMシンボル数を通知し、通常、間接的にサブフレーム内のデータ領域のスタートタイミングを示す。制御信号領域のサイズが1、2または3OFDMシンボルのどれに対応するかをPCFICHの中のCFI(Control Format Indicator)値により端末30へ通知する。また、PCFICHが、復号されるまで制御信号領域のサイズが分からないため、常に各サブフレームの先頭のOFDMシンボルにマッピングされる。
【0029】
PHICHは、上りリンクの共有チャネルであるPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)に対する再送要求信号を通知する。PHICHは、PCFICHの指示によらず通常、各サブフレームの第1OFDMで送信される。また、PHICHは、MIBに設定するPHICH関連のパラメータにより、準静的に第1、第2、第3の3つのOFDMシンボル区間を用いて送信することも可能である。この場合は、制御信号領域のOFDMシンボル数はPCFICHの指示によらず3となり、データ領域のスタートタイミングは固定される。
【0030】
PDCCHは、上下リンクのスケジューリングの決定や上りリンクの電力制御コマンドなどの制御情報(DCI:Downlink Control Information)の伝送に用いられる。DCIには、PDSCHリソース指示、伝送フォーマット、HARQ情報、および空間多重に関する制御情報を含む下りリンクスケジューリング割当てが含まれる。また、DCIには、PUSCHリソース指示、伝送フォーマット、HARQ関連情報を上りリンクスケジューリンググラントも含まれる。なお、上りリンクスケジューリンググラントには、PUSCH上り物理チャネルの電力制御のためのコマンドも含まれる。さらに、スケジューリング割当て/グラントにおける補助的なコマンドとなるUEのセットに対する電力制御コマンドもDCIに含まれる。
【0031】
前述のように、各サブフレームは、下りリンクL1/L2制御チャネル信号のREがマッピングされる制御信号領域と、各ユーザのデータ信号およびL1/L2より上位レイヤの制御信号が含まれる下りリンク信号である物理共有チャネル信号のREがマッピングされるデータ領域とに分けられ、CRSに割り当てられたRE以外のREに対し、制御信号またはデータ信号が配置される。また、制御信号領域はリソース量に応じて各サブフレームの先頭1〜3OFDMシンボルである。
【0032】
〔物理共有チャネル(PDSCH)〕
PDSCHは、下りリンクのデータ信号を送信する物理チャネルである。また、MIB以外の報知情報であるSIBや着信時の呼び出しであるページング情報、その他上位レイヤの制御メッセージ、例えばRRC(Radio Resource Control protocol)レイヤの制御情報もPDSCHで送信される。端末30は、PDCCHから取得した無線リソース割当位置、変調方式、データサイズ(TB:Transport Block size)等の情報に基づいてPDSCHを復号する。
【0033】
次に、上記構成の移動通信システムにおいて端末30が接続している第1基地局10のセル10Aからセル境界エリアを通過して第2基地局20のセル20Aに移動してセル20A内に在圏するようになるときのハンドオーバ処理について説明する。
【0034】
なお、以下の説明において、ハンドオーバ前の端末30が接続しているセル10A及び第1基地局10をそれぞれソースセル10A及びソースセル基地局10といい、ハンドオーバ後の端末30が接続するセル20A及び第2基地局20をそれぞれターゲットセル20A及びターゲットセル基地局20という。
【0035】
図5(a)は、ソースセルセル10Aからターゲットセル20Aに端末30がハンドオーバするときの制御の一例を示すシーケンス図である。また、
図5(b)はハンドオーバ制御時の端末30における参照信号受信電力(RSRP)の時間変化を示すグラフである。なお、図示の例は、LTE/LTE−Advancedで採用されている、通信するために接続するセルが1つとなるハード・ハンドオーバ(Hard HO)の例である。
【0036】
図5において、端末30は、接続中のソースセル基地局10に、ハンドオーバ先候補セルの情報を含む測定結果報告(MR:Measurement Report)を送出する。ソースセル基地局10は、端末30から受信した測定結果報告(MR)に基づき、周辺基地局であるターゲットセル基地局20から送信した参照信号の受信電力(RSRP:Reference Signal Received Power):S2と自局(第1基地局)10から送信した参照信号の受信電力(RSRP):S1との受信電力差ΔS(=S2−S1)が所定の閾値Th(HO)(「A3offset」や「ハンドオーバマージン」ともいう。)を上回っているかどうか監視するハンドオーバ開始判定処理を行う。
【0037】
上記ハンドオーバ開始判定処理において、ソースセル基地局10は、受信電力差ΔSが所定の閾値Th(HO)よりも大きくなったときにハンドオーバ処理を開始する。なお、ソースセル基地局10は、受信電力差ΔSが所定の閾値Th(HO)よりも大きくなった状態が所定の監視期間(TTT:Time-to-trigger)継続したときにハンドオーバ処理を開始してもよい。
【0038】
上記ハンドオーバ処理を開始するとき、例えば、ソースセル基地局10は、端末30から受信した測定結果報告(MR)を元にハンドオーバ先となるターゲットセル基地局20にコアネットワークを介して、ハンドオーバ要求とともに、ハンドオーバする端末30の情報を送信して設定する。ソースセル基地局10は、ターゲットセル基地局20からハンドオーバ要求応答を受信したら、端末30が自局との通信を切断するようにセル移動のハンドオーバ指示(HO Command)を端末30に送信する。ハンドオーバ指示を受けた端末30は、ハンドオーバ先のターゲットセル基地局20にハンドオーバ完了を送信してターゲットセル基地局20との通信を開始することにより、ハンドオーバを完了する。
【0039】
上記ハンドオーバを行う端末30は、前述のようにセル10Aとセル20Aとのセル境界エリアに位置しているため、ターゲットセル基地局20から送信された下りの無線信号を干渉信号(干渉波)として受信するおそれがある。このようなターゲットセル20Aからソースセル10Aへの干渉があると、下りリンク(DL)の信号(例えば、前述のデータ信号や制御信号)が受信できず、ハンドオーバに失敗するおそれがある。このハンドオーバの失敗を回避するために上記閾値Th(HO)の値を小さく設定して緩和すると、ソースセル10Aの参照信号受信電力(RSRP)とターゲットセル20Aの参照信号受信電力(RSRP)とが拮抗し、ハンドオーバを繰り返すピンポン・ハンドオーバ現象が発生し、システムへの負荷増大及び不要なハンドオーバが発生するおそれがある。このようなハンドオーバの失敗やピンポン・ハンドオーバ現象について本願発明者らが検討した結果、上記ハンドオーバ開始判定処理を行っているときにターゲットセル基地局20から送信される下りリンクの参照信号以外の信号(例えば、前述のデータ信号や制御信号)がソースセル10Aの下りリンクの信号(例えば、前述のデータ信号や制御信号)に与える干渉が大きく影響していることがわかった。そこで、本実施形態では、以下に示すように上記ハンドオーバ判定処理時におけるターゲットセル基地局20からの信号の送信を制御することにより、ターゲットセル20Aからソースセル10Aへの干渉に起因したハンドオーバ失敗やピンポン・ハンドオーバ現象を防止している。
【0040】
また、上記ハンドオーバ失敗やピンポン・ハンドオーバ現象を防止するためのターゲットセル基地局20からの信号送信の制御を、端末30からの測定結果報告(MR)に基づいて行う場合、更に次のような課題があることがわかった。すなわち、上記ターゲットセル基地局20や他の周辺セルの基地局から送信された干渉信号(干渉波)が強くなると、ソースセル10Aに接続している端末30の通信環境が劣化してソースセル基地局10と端末30との通信が切断してしまうおそれがある。このように端末30との通信が切断してしまうと、ソースセル基地局10は、端末30から測定結果報告(MR)を受信することができず、上記ハンドオーバ失敗やピンポン・ハンドオーバ現象を防止するためのターゲットセル基地局20からの信号送信の制御を行うことができない。そこで、本実施形態では、以下に示すように上記ハンドオーバ判定処理時においてソースセル基地局10が、周辺セル情報に基づいて、端末30による測定結果報告(MR)の送信タイミングを規定する通信品質閾値を決定し、その決定した通信品質閾値を端末30に送信している。これにより、周辺セルからの干渉による端末30の通信環境の劣化に起因した通信切断を防止し、ターゲットセル基地局20からの信号送信制御の判定に用いる端末30からの測定結果報告(MR)を確実に受信できるようにしている。
【0041】
以下、本実施形態に係る移動通信システムにおけるハンドオーバ制御について説明する。
図6(a)は、本実施形態に係る移動通信システムにおけるハンドオーバ制御の一例を示すシーケンス図であり、
図6(b)は、
図6(a)のハンドオーバ制御時のソースセル10A及びターゲットセル20Aそれぞれから受信した参照信号の受信電力(RSRP)の時間変化の一例を示すグラフである。なお、
図6(a)及び(b)において、前述の
図5(a)及び(b)と共通する部分については説明を省略する。
【0042】
図6において、ソースセル基地局10は、周辺セル情報に基づいて、端末30による測定結果報告(MR)の送信タイミングを規定する第1通信品質閾値Th0を決定し、その決定した第1通信品質閾値Th0を端末30に送信する。ここで、第1通信品質閾値Th0の決定に用いる周辺セル情報としては、例えば端末30から受信済みの直近の測定結果報告(MR)に含まれる周辺セル情報(例えば、周辺セルのセル識別情報や周辺セルの参照信号の受信電力(RSRP))を用いることができる。また、第1通信品質閾値Th0としては、従来のハンドオーバ開始判断の際の閾値を設定するLTEのパラメータである「A2threshold」を流用してもよい。
【0043】
上記ソースセル基地局10による第1通信品質閾値Th0の決定は、例えば次のように行う。ソースセル基地局10は、周辺セル情報に基づいて端末30の通信環境が劣化していると判断した場合すなわち図中の端末30で測定された第1通信品質(以下「端末通信品質」ともいう。)としての参照信号受信品質(RSRQ)が破線から実線に劣化していると判断した場合、通信が切断する前に端末30が測定結果報告(MR)を早めに送信するように第1通信品質閾値Th0として通常値よりも高い値を決定する。
【0044】
上記ソースセル基地局10が決定した第1通信品質閾値Th0を受信した端末30は、その端末30で測定された第1端末通信品質としての参照信号受信品質(RSRQ)が第1通信品質閾値Th0未満(又は第1通信品質閾値Th0以下)になったときに、測定結果報告(MR)をソースセル基地局10に送信する。また、端末30は、測定結果報告(MR)を送信した後、チャネル品質情報(CQI)を含む通信品質情報を定期的にソースセル基地局10に送信(フィードバック)する。
【0045】
次に、ソースセル基地局10は、端末30から受信した通信品質情報に基づいて、第1通信品質としての参照信号受信品質(RSRQ)よりも測定精度が高い第2通信品質としてのSINR値と、第2通信品質閾値としての第4閾値Th4とを比較する。ここで、上記第2通信品質としてのSINRの値は、例えば、端末30から受信した通信品質情報に含まれるチャネル品質情報(CQI)の値と、OLLA(Outer Loop Link Adaptation)と呼ばれる制御におけるデータ通信の受信に関する受信成功/失敗情報とに基づいて、推定することができる。
【0046】
次に、ソースセル基地局10は、端末30におけるソースセル基地局10からの下りリンク信号の受信品質の指標値である第2通信品質としてのSINR値が所定の第2通信品質閾値としての第4閾値Th4より低下したとき(又は閾値Th4以下になったとき)、上記受信電力差ΔSに基づく判定を行うことなく、ターゲットセル基地局20からの下りリンク信号の送信停止を指示する下りリンク信号送信停止要求をターゲットセル基地局20等の周辺基地局に送信する。下りリンク信号送信停止要求を送信する周辺基地局は、例えば端末30から受信した測定結果報告(MR)に含まれる情報に基づいて決定される。
【0047】
ターゲットセル基地局20は、ソースセル基地局10から受信した下りリンク信号送信停止要求に基づいて、ターゲットセル基地局20からの下りリンク信号の送信停止を開始する。
【0048】
上記ターゲットセル基地局20からの下りリンク信号の送信停止を開始した後、ソースセル基地局10は、ハンドオーバ開始判定処理を開始し、端末30から受信した測定結果報告(MR)に基づき、前述の受信電力差ΔSが所定の第2閾値Th(HO)を超えたか(又は第2閾値Th(HO)以上になったか)を監視する。
【0049】
ソースセル基地局10は、受信電力差ΔSが第2閾値Th(HO)を超えた場合(又は第2閾値Th(HO)以上になった場合)、ターゲットセル基地局20にハンドオーバ要求を送信し、ターゲットセル基地局20からハンドオーバ要求応答を受信したら、ハンドオーバ指示(HO Command)を端末30に送信する。ハンドオーバ指示を受けた端末30は、ハンドオーバ先のターゲットセル基地局20にハンドオーバ完了を送信してターゲットセル基地局20との通信を開始することにより、ハンドオーバを完了する。
【0050】
ターゲットセル基地局20は、端末30の自局20のセル20Aへのハンドオーバが完了したら、下りリンク信号の送信を再開する。ここで、ターゲットセル基地局20は、自局に複数の端末が接続され、その複数の端末について下りリンク信号が送信停止されている場合、その複数の端末の全体ではなく、複数の端末のうちハンドオーバ処理が完了した端末30に割り当てられている無線リソースについて下りリンク信号の送信停止を終了して下りリンク信号の送信を再開してもよい。
【0051】
図6の制御例によれば、ハンドオーバ開始判定処理時にターゲットセル基地局20からの信号の送信が停止されているため、ターゲットセル20Aからの下りリンク信号の干渉を受けることなく、通信品質を維持したまま受信電力差が確実に生じてからハンドオーバが実行できるため、ピンポン・ハンドオーバ現象が発生することなく、端末30のハンドオーバ開始を判定することができる。
しかも、上記ハンドオーバ判定処理時においてソースセル基地局10が、周辺セル情報に基づいて通信品質閾値Th0を決定して端末30に送信することにより、周辺セルからの干渉による端末30の通信環境の劣化に起因した通信切断を防止できる。従って、ソースセル基地局10は、ターゲットセル基地局20からの信号送信制御の判定に用いる端末30からの測定結果報告(MR)及び通信品質情報(CQI)を確実に受信できる。
よって、ソースセル(サービングセル)に対する周辺セルからの干渉による移動局の通信環境の劣化に起因した通信切断を防止するとともに、その周辺セルからの干渉に起因したハンドオーバ失敗やピンポン・ハンドオーバ現象を確実に防止することができる。
【0052】
特に、端末30による測定結果報告(MR)の送信タイミングの判定に用いる通信品質が、周辺セルからの干渉に起因した通信環境の劣化を直接的に反映する参照信号受信品質(RSRQ)であるため、端末30の通信切断が発生する前に端末30からの測定結果報告(MR)をより確実に受信できる。
【0053】
なお、
図6の制御例では、ターゲットセル基地局20からの下りリンク信号の送信停止を行うか否かの判定に、上記端末30におけるソースセル基地局10からの下りリンク信号の第2通信品質(例えば、SINR値)のみを用いているが、その第2通信品質を優先的に用いつつ次に示す受信電力差ΔSを更に用いてもよい。例えば、ソースセル基地局10は、第2通信品質としてのSINR値が第4閾値Th4以上(又は第4閾値Th4よりも大きい)場合に、端末30から受信した測定結果報告(MR)に基づき、ターゲットセル基地局20から送信した参照信号の受信電力(RSRP):S2と、自局(第1基地局)10から送信した参照信号の受信電力(RSRP):S1とを比較する。この両方の受信電力の差分である受信電力差ΔS(=S2−S1)が所定の第1閾値Th1を超えた(又は第1閾値Th1以上になった)場合、ソースセル基地局10は、両方の受信電力S1,S2が拮抗してきたと判断し、ターゲットセル基地局20からの下りリンク信号の送信停止を指示する下りリンク信号送信停止要求をターゲットセル基地局20に送信する。なお、第1閾値Th1を設定するパラメータしては、従来のハンドオーバ開始判断の際の閾値を設定するパラメータである「A3offset」を流用してもよい。
【0054】
図7は、本実施形態に係る移動通信システムにおけるハンドオーバ制御の他の例を示すシーケンス図である。なお、
図7において、前述の
図5(a)及び
図6(a)と共通する部分については説明を省略する。
図7の制御例において、ソースセル基地局10は、信号送信停止要求をターゲットセル基地局20に送信するとき、ターゲットセル基地局20において信号の送信を停止するリソースブロック(RB)の候補及び信号の送信を停止する送信停止要求時間の少なくとも一方を指定するようにターゲットセル基地局20に通知する。ここで、信号の送信を停止するリソースブロック(RB)の候補は、任意の時間、周波数範囲であってよい。
【0055】
なお、
図7の例では、信号の送信を停止するリソースブロック(RB)の候補及び送信停止要求時間の両方を指定するように通知しているが、リソースブロック(RB)の候補及び送信停止要求時間のいずれか一方を指定するように通知してもよい。また、リソースブロック(RB)の候補は、信号停止に用いる1サブフレーム当たりのRBの個数などの無線リソース量でもよいし、無線リソースにおける下りリンク信号停止に用いるRBの識別情報(例えば、無線リソース上の何番目のRBであるかを識別可能な情報)であってもよい。
【0056】
ターゲットセル基地局20は、ソースセル基地局10から受信した通知情報に基づいて、信号の送信を停止するリソースブロック(RB)及び前記下りリンク信号の送信を停止する送信停止時間の少なくとも一方を決定し、決定した情報をソースセル基地局10に通知する。ここで、ターゲットセル基地局20が決定する信号の送信を停止するリソースブロック(RB)は、周波数軸上で連続するリソースブロックであってもよいし、周波数軸上で非連続のリソースブロックであってもよい。
【0057】
ソースセル基地局10は、ターゲットセル基地局20が下りリンク信号の送信を停止しているリソースブロック(RB)を使用して、ターゲットセル20Aへのハンドオーバを要求するハンドオーバコマンドを端末30に送信する。このように信号の送信を停止しているリソースブロックを用いてハンドオーバコマンドを端末30に送信することにより、ターゲットセル20Aの信号の干渉の影響を受けることなく端末30と通信することができる。
【0058】
なお、
図7の例では、下りリンク信号の送信を停止するリソースブロック(RB)及び送信停止要求時間の両方を決定しているが、リソースブロック(RB)及び送信停止要求時間のいずれか一方を決定して他方として初期値を用いてもよい。また、ターゲットセル基地局20が決定する信号の送信を停止するリソースブロック(RB)は、信号送信停止の制御が簡易になるように周波数軸上で連続するリソースブロックであってもよいし、周波数ダイバーシティを確保するために周波数軸上で非連続のリソースブロックであってもよい。
【0059】
図8(a)は、本実施形態に係る移動通信システムにおけるハンドオーバ制御の他の例を示すシーケンス図であり、
図8(b)は、
図8(a)のハンドオーバ制御時のソースセル10A及びターゲットセル20Aそれぞれから受信した参照信号の受信電力(RSRP)の時間変化の一例を示すグラフである。
図8の例は、端末30がセル境界エリアからターゲットセル20A内に入らず、セル境界エリア付近を移動している場合の制御例である。なお、
図8(a)及び(b)において、前述の
図5及び
図6と共通する部分については説明を省略する。
【0060】
図8において、ソースセル基地局10は、信号送信停止要求をターゲットセル基地局20に送信した後、上記受信電力差ΔSが第1閾値Th1を超えない(又は第1閾値Th1以上にならない)ためハンドオーバ要求をターゲットセル基地局20に送信しない。そのため、端末30のハンドオーバが実行されない。
【0061】
ソースセル基地局10は、上記信号送信停止要求をターゲットセル基地局20に送信した時点からの経過時間をタイマーで計測し、ハンドオーバが発生することなく所定時間Tth1経過したとき、ターゲットセル基地局20からの信号の送信停止の終了を指示する送信停止終了要求を第2基地局に送信する。ターゲットセル基地局20は、ソースセル基地局10から受信した送信停止終了要求に基づいて、停止していた信号の送信を再開する。ここで、ターゲットセル基地局20は、自局に複数の端末が接続され、その複数の端末について下りリンク信号が送信停止されている場合、その複数の端末の全体ではなく、複数の端末のうち下りリンク信号の送信停止開始から所定時間Tth1が経過した端末に割り当てられている無線リソースについて下りリンク信号の送信停止を終了して下りリンク信号の送信を再開してもよい。
【0062】
なお、後述の
図14に示すように、ターゲットセル基地局20は、上記信号の送信停止を開始した時点からの経過時間をタイマーで計測し、ハンドオーバが発生することなく所定時間Tth1経過したとき、停止していた信号の送信を再開するようにしてもよい。
【0063】
図9(a)は、本実施形態に係る移動通信システムにおけるハンドオーバ制御の更に他の例を示すシーケンス図であり、
図9(b)は、
図9(a)のハンドオーバ制御時のソースセル10A及びターゲットセル20Aそれぞれから受信した参照信号の受信電力(RSRP)の時間変化の一例を示すグラフである。
図9の例は、端末30がセル境界エリアからターゲットセル20A内に入らず、ソースセル10A内に戻る場合の制御例である。なお、
図9(a)及び(b)において、前述の
図5及び
図6と共通する部分については説明を省略する。
【0064】
図9において、ソースセル基地局10は、下りリンク信号送信停止要求をターゲットセル基地局20に送信した後、上記受信電力差ΔSが第1閾値Th1を超えない(又は第1閾値Th1以上にならない)ためハンドオーバ要求をターゲットセル基地局20に送信しない。そのため、端末30のハンドオーバが実行されない。本例では、ハンドオーバ開始判定処理が開始された後、端末30がソースセル10A側に戻るため、ソースセル基地局10からの参照信号の受信電力(RSRP)が上昇し、ターゲットセル基地局20からの参照信号の受信電力(RSRP)が低下している。そのため、ハンドオーバが発生することなく上記受信電力差ΔSが小さくなっていく。
【0065】
ソースセル基地局10は、上記下りリンク信号送信停止要求をターゲットセル基地局20に送信した後、上記受信電力差ΔSが所定の第3閾値Th3を下回った場合(又は第3閾値Th3以下になった)場合、ターゲットセル基地局20からの信号の送信停止の終了を指示する送信停止終了要求をターゲットセル基地局20に送信する。ターゲットセル基地局20は、ソースセル基地局10から受信した送信停止終了要求に基づいて、ターゲットセル基地局20からの信号の送信を再開する。ここで、ターゲットセル基地局20は、自局に複数の端末が接続され、その複数の端末について下りリンク信号が送信停止されている場合、その複数の端末の全体ではなく、複数の端末のうち受信電力差ΔSが所定の第3閾値Th3を下回った(又は第3閾値Th3以下になった)端末に割り当てられている無線リソースについて下りリンク信号の送信停止を終了して下りリンク信号の送信を再開してもよい。
【0066】
なお、上記ハンドオーバを実行しない場合のターゲットセル基地局20からの信号の送信再開は、端末30におけるソースセル基地局10からの下りリンク信号の第2通信品質(例えば、SINR値)の予測結果に基づいて判定してもよい。例えば、ターゲットセル基地局20からの信号の送信が再開されたときの端末30でのソースセル基地局10からの下りリンク信号に対する干渉が小さく通信品質が高くなると予想される場合は、端末30は隣接セルからの干渉を受けることなくソースセル10Aにおいて継続して通信可能である。このターゲットセル基地局20からの信号の送信が再開されたときの干渉を反映した端末30における第2通信品質(例えば、SINR値)γは、ターゲットセル基地局20からの信号の送信停止中に端末30において測定される第1基地局20からの下りリンク信号の第2通信品質(例えば、SINR値)を補正して予測可能である。
【0067】
例えば、上記信号送信再開時の端末30におけるソースセル10Aからの第2通信品質の指標値としてのSINR値γは、次式(1)を用いて計算して予測することができる。ここで、式(1)中のSはソースセル10Aからの受信電力であり、I
jはターゲットセル20を含む隣接セルからの受信電力であり、Nは隣接セルの数であり、N
0はノイズである。
【数1】
【0068】
そして、次の式(2)に示すように、上記SINR値γが所定の第5閾値Th5よりも大きい場合(第5閾値Th5以上の場合)に、ソースセル基地局10からターゲットセル基地局20に下りリンク信号の送信を再開するように指示してもよい。ここで、ターゲットセル基地局20は、自局に複数の端末が接続され、その複数の端末について下りリンク信号が送信停止されている場合、その複数の端末の全体ではなく、複数の端末のうち上記SINR値γが所定の第5閾値Th5よりも大きい(第5閾値Th5以上の)端末に割り当てられている無線リソースについて下りリンク信号の送信停止を終了して下りリンク信号の送信を再開してもよい。
【0069】
図10〜
図12は、本実施形態に係る移動通信システムのソースセルの第1基地局におけるハンドオーバ時の制御例を示すフローチャートである。
図10において、端末30は、ソースセル10A及びターゲットセル20Aそれぞれからの受信電力S1,S2を計測しており、その受信電力差ΔS(=S2−S1)がΔ>Th1(=A3offsetを満たした場合、Measurement Report(MR)をソースセル基地局10へ定期的に送信する(S101)。また、端末30は、ソースセル基地局10から第1通信品質閾値Th0を受信した後、端末30で測定された第1端末通信品質としての参照信号受信品質(RSRQ)が第1通信品質閾値Th0未満(又は第1通信品質閾値Th0以下)になった後、測定結果報告(MR)をソースセル基地局10に送信(フィードバック)する。更に、端末30は、測定結果報告(MR)を送信した後、CQIを含む通信品質情報をソースセル基地局10に送信(フィードバック)する。ソースセル基地局10は、上記受信電力S1,S2の情報を含むMRと上記CQIを含む通信品質情報とを端末30から受信した場合、S102の判定へと遷移する。
【0070】
次に、ソースセル基地局10は、MR及びCQIを送信してきた端末の端末IDが自局のメモリ内に存在しているか否か判定を行う(S102)。ここで、端末IDがメモリ内に存在している場合(S102でNo)は、ターゲットセル基地局20へ信号送信停止を指示できないようにするため、後述の
図12の処理へ遷移する。一方、端末IDがメモリ内に存在していない場合(S102でYes)は、次のS103の判定へと遷移する。
【0071】
次に、ソースセル基地局10は、ターゲットセル20Aの信号の送信が停止しているか判定を行う(S103)。ここで、信号の送信が停止されていない場合(S103でNo)は、ターゲットセル基地局20に対して下りリンク信号の送信停止を要求するため、S104の判定へと遷移する。一方、信号の送信が停止していた場合(S103でYes)は、ソースセル基地局10は、信号の送信再開の判定を行うため、S110の判定へと遷移する。
【0072】
ステップS104において、ソースセル基地局10は、端末30から受信した通信品質情報に含まれるCQIに基づいて、端末30における下りリンク信号の第2通信品質の指標値であるSINRの値がSINR<Th4を満たすか判定を行う。ここで、SINRの値が第2通信品質閾値としての第4閾値Th4を下回る場合(S104でYes)、通信品質は不十分であると判断でき、S106へと遷移し、端末30から受信したMRに基づいて特定されるターゲットセル基地局20等の周辺基地局に対して信号の送信停止を指示する。一方、SINRの値が第4閾値Th4以上の場合(S104でNo)、S105の判定へと遷移する。
【0073】
ステップS105において、ソースセル基地局10は、上記MR内の情報に基づき、ソースセル10A及びターゲットセル20Aそれぞれからの受信電力S1,S2の受信電力差ΔS(=S2−S1)を算出し、受信電力差ΔS>Th1の判定式を満たすか判定を行う。受信電力差ΔSが第1閾値Th1を超えていた場合(S105でYes)は、ターゲットセル基地局20に対して信号の送信停止を指示する(S106)。一方、受信電力差ΔSが第1閾値Th1を超えていない場合(S105でNo)は、
【0074】
ターゲットセル基地局20等の周辺基地局における信号の送信停止を行う必要がないと判断でき、次回の通信品質(CQI)及びMRの受信まで待機する。
【0075】
ソースセル基地局10は、ターゲットセル基地局20に対して信号の送信停止を指示するとき(S106)、その信号の送信を停止する送信停止対象のリソースブロック(RB)数と送信停止時間とを指示する(S107)。その後、ソースセル基地局10は、ターゲットセル基地局20が決定した信号の送信停止に使用すべきRB番号の指示を受信し、その受信と同時にタイマーt
sを初期化し、経過時間のカウントをスタートする(S108)。
【0076】
なお、上記ステップS101において、ソースセル基地局10は、端末30からのMR及び通信品質情報(CQI)の受信を確認できなかった場合(S101でNo)、ターゲットセル基地局20からの信号の送信状態を判定する(S109)。ここで、ターゲットセル基地局20からの信号の送信が停止している場合(S109でYes)、その信号の送信再開のための判定と遷移する。
【0077】
また、上記ステップS110において、ソースセル基地局10は、MR内の情報に基づき、ソースセル10A及びターゲットセル20Aそれぞれからの受信電力S1,S2の受信電力差ΔS(=S2−S1)が、ΔS>Th2(HO)の判定式を満たすか判定を行う。ここで、受信電力差ΔSが第2閾値Th2(HO)よりも大きい場合(S110でYes)、即時ハンドオーバを実行し(S111)、ハンドオーバ終了後、下りリンク信号の送信再開の指示をターゲットセル基地局20に送信する(S112)。一方、受信電力差ΔSが第2閾値Th2(HO)以下の場合(S110でNo)、S113の判定へと遷移する。
【0078】
上記ステップS113において、ソースセル基地局10は、MR内の情報に基づき、受信電力差ΔSが、ΔS<Th3の判定式を満たすか判定を行う。ここで、受信電力差ΔSが第3閾値Th3よりも小さい場合(S113でYes)、ハンドオーバの発生確率が低下したと想定でき、信号の送信再開の指示をターゲットセル基地局20に送信する(S112)。一方、受信電力差ΔSが第3閾値Th3以上の場合(S113でNo)S114の判定へと遷移する。
【0079】
ターゲットセル基地局20が信号の送信を停止しているため、端末30における通信品質が上昇している。そこで、上記S114において、ソースセル基地局10は、MRに基づき、ターゲットセル基地局20が下りリンク信号を送信している場合での第2通信品質の指標値としての前述のSINR値γを予測し、γ>Th5を満たすか判定を行う(S114)。ここで、SINR値γの予測結果が第5閾値Th5を超えていた場合(S114でYes)、ソースセル基地局10は、ターゲットセル基地局20から下りリンク信号を送信しても通信品質は十分に維持されると判断し、データ慎吾の送信再開の指示をターゲットセル基地局20に対して送信する(S112)。一方、SINR値γの予測結果が第5閾値Th5以下の場合(S114でN0)、
図11の制御と遷移する。
【0080】
上記ステップS110、S113及びS114の判定のいずれも条件を満たさない場合、
図11に示すように、ソースセル基地局10は、タイマーt
sの判定を行う(S120)。ここで、ts>Tth1を満たしている場合(S120でYes)、ソースセル基地局10は、タイマーt
sが第1時間閾値Tth1を超えるまでハンドオーバしなかった端末30の端末IDを記録し、第2のタイマーt
ignoreを開始し(S121)、ターゲットセル基地局20に対して下りリンク信号の送信再開の指示を送信する(S122)。一方、ts>Tth1を満たしていない場合(S120でNo)、タイマーt
sを所定時間Δt(例えば1ms)だけインクリメントして最初に戻る(S123)。
【0081】
また、上記ステップS102において、MR及び通信品質情報(CQI)を送信した端末30の端末IDがメモリー内に存在した場合(S102でNo)、ターゲットセル基地局20に対して下りリンク信号の送信停止を指示できないようにする必要がある。しかし、ハンドオーバの判定は行う必要があるため、
図12に示すように、ソースセル基地局10は、MR内の情報に基づき、ソースセル10A及びターゲットセル20Aそれぞれからの受信電力S1,S2の受信電力差ΔSが、ΔS>Th2(HO)の判定式を満たすか判定を行う(S130)。ここで、ΔS>Th2(HO)を満たしている場合(S130でYes)、即時ハンドオーバを実行し(S131)、ハンドオーバ終了後メモリ内から該当する端末IDを消去する(S132)。一方、ΔS>Th2(HO)を満たしていない場合すなわちハンドオーバが発生しない場合(S130でNo)、S133の判定へと遷移する。
【0082】
上記ステップS133において、ソースセル基地局10は、タイマーt
ignoreがt
ignore>Tth2を満たすか否かの判定を行う。ここで、t
ignore>Tth2を満たしている場合すなわちタイマーt
ignoreが第2時間閾値Tth2を経過した場合(S133でYes)は、メモリ内から該当する端末IDを消去する(S134)。一方、t
ignore>Tth2を満たしていない場合(S133でNo)は、タイマーt
ignoreを所定時間Δt(例えば1ms)だけインクリメントする。
【0083】
図13は、
図10〜
図12に示したソースセルの第1基地局におけるハンドオーバ時の制御例の一部の変形例を示すフローチャートである。
図13の制御例は、前述の
図10のS101とS102との間に挿入されて実行される。
図13において、ソースセル基地局10は、端末30からMR及び通信品質情報を受信した後(S101でYes)、通信品質情報に含まれるCQIから算出される第2通信品質としての通信品質Q1(例えばSINR値)が所定の閾値Thr6を下回っているか否かを判断する(S140)。通信品質Q1が閾値Thr6を下回っている場合(S140でYes)、即時ハンドオーバを実行する(S141)。そして、ハンドオーバ終了後、ターゲットセル基地局20が下りリンク信号の送信を停止している場合(S142でYes)は、下りリンク信号の送信再開の指示をターゲットセル基地局20に送信する(S143)。一方、通信品質Q1が閾値Thr6を下回っていない場合(S140でNo)、
図10のS102の判定へと遷移する。
【0084】
図13の制御例によれば、端末30における通信品質Q1が閾値Thr6を下回っている場合にハンドオーバを速やかに実行することにより、端末30の通信の切断を回避することができる。なお、
図13の制御例のS140では、通信品質Q1が閾値Thr6を下回っているか否かを判断しているが、通信品質Q1が閾値Thr6以下であるか否かを判断してもよい。
【0085】
図14は、本実施形態に係る移動通信システムのターゲットセル基地局20におけるハンドオーバ時の制御例の主要部を示すフローチャートである。
図14において、ターゲットセル基地局20は、ソースセル基地局10から下りリンク信号の送信停止を指示する送信停止開始要求を受信したか否かを判定する(S201)。送信停止開始要求を受信した場合(S201でYes)、ターゲットセル基地局20は、ソースセル基地局10から送信停止開始要求とともに受信した情報(例えば、信号の送信を停止するリソースブロック(RB)の候補及び送信停止要求時間)に基づき、信号の送信を停止する送信停止RB番号及び送信停止時間を決定する(S202)。
【0086】
次に、ターゲットセル基地局20は、上記決定した送信停止RB番号及び送信停止時間をソースセル基地局10に通知し(S203)、上記決定した送信停止RBにおける信号の送信停止を開始する(S204)とともに、タイマーt
tを初期化し、経過時間のカウントをスタートする(S205)。その後、ターゲットセル基地局20は、信号の送信を再開するための判定へと遷移する。
【0087】
ターゲットセル基地局20は、ソースセル基地局10から下りリンク信号の送信停止終了要求を受信したか否かを判定し(S206)、送信停止終了要求を受信した場合(S206でYes)、信号の送信を再開する(S207)。一方、送信停止終了要求が受信されていない場合(S206でNo)、S208の判定に遷移する。
【0088】
上記送信停止終了要求が受信されていない場合、ターゲットセル基地局20は、自身のタイマーt
tのカウント値に基づいて、下りリンク信号の送信停止開始から所定時間Tth1経過したか否か、すなわちt
t>Tth1を満たしているか否かを判定する(S208)。ここで、信号の送信停止開始から所定時間Tth1経過した場合(t
t>Tth1を満たした場合)(S208でYes)、ターゲットセル基地局20は信号の送信を再開する(S207)。一方、信号の送信停止開始から所定時間Tth1経過していない場合(t
t>Tth1を満たしていない場合)(S208でNo)、ターゲットセル基地局20は、タイマーt
tを所定時間Δt(例えば1ms)だけインクリメントしてステップ206に戻る(S209)。
【0089】
以上、本実施形態によれば、ソースセル10Aからターゲットセル20Aへのハンドオーバ開始を判定するハンドオーバ判定処理時に、そのハンドオーバ判定処理に用いられるソースセル10Aにおける下りリンク信号に干渉するおそれがあるターゲットセル基地局20からの下りリンク信号の送信を停止している。これにより、ターゲットセル20Aからの下りリンク信号の干渉を受けることなく、通信品質が低下することなく、受信電力差が十分に生じた後、ソースセル10Aからのハンドオーバ開始を適切に判定できるようになる。従って、端末30がハンドオーバしようとしているターゲットセル20Aからソースセル10Aへの干渉に起因したハンドオーバ失敗やピンポン・ハンドオーバ現象を防止することができる。
しかも、上記ハンドオーバ判定処理時においてソースセル基地局10が、周辺セル情報に基づいて第1通信品質閾値Th0を決定して端末30に送信することにより、周辺セルからの干渉による端末30の通信環境の劣化に起因した通信切断を防止できる。従って、ソースセル基地局10は、ターゲットセル基地局20からの信号送信制御の判定に用いる端末30からの測定結果報告(MR)及び通信品質情報(CQI)を確実に受信できる。
よって、ソースセル(サービングセル)に対する周辺セルからの干渉による移動局の通信環境の劣化に起因した通信切断を防止するとともに、その周辺セルからの干渉に起因したハンドオーバ失敗やピンポン・ハンドオーバ現象を確実に防止することができる。
特に、端末30による測定結果報告(MR)の送信タイミングの判定に用いる第1通信品質が、周辺セルからの干渉に起因した通信環境の劣化を直接的に反映する参照信号受信品質(RSRQ)であるため、端末30の通信切断が発生する前に端末30からの測定結果報告(MR)及び通信品質情報(CQI)をより確実に受信できる。
【0090】
また、本実施形態によれば、端末30から受信するMRに含まれるターゲットセル基地局20からの参照信号の受信電力S2とソースセル基地局10からの参照信号の受信電力S1とを利用し、その受信電力差ΔS(=S2−S1)に基づいてターゲット基地局20からの信号の送信停止を開始している。このようにMR内の情報を利用することにより、ターゲット基地局20からの下りリンク信号の送信停止の開始を判定するために、別途情報を所得する必要がない。
【0091】
また、本実施形態によれば、端末30におけるソースセル基地局10からの下りリンク信号の第2通信品質(SINR)に基づいて、ターゲットセル基地局20からの下りリンク信号の送信停止を開始している。このターゲットセル20Aからソースセル10Aへの干渉を反映した第2通信品質(SINR)により、ソースセル10Aへの干渉をより正確に把握してターゲットセル基地局20からの下りリンク信号の送信停止を開始できるため、ターゲットセル基地局20における不要な信号送信停止を回避しつつ、ソースセル10Aからのハンドオーバ開始をより適切に判定できる。
【0092】
また、本実施形態によれば、ソースセル基地局10が下りリンク信号の送信停止を要求する下りリンク信号送信停止要求をターゲットセル基地局20に送信し、ターゲットセル基地局20がソースセル基地局10からの送信停止要求に基づいて下りリンク信号の送信を停止している。このようにソースセル基地局10からターゲットセル基地局20に送信される下りリンク信号送信停止要求に基づいて下りリンク信号の送信を停止できるため、ターゲットセル基地局20で下りリンク信号の送信停止を行うか否かの判定処理を行う必要がない。また、ハンドオーバ開始判定処理を行うソースセル基地局10が、下りリンク信号の送信停止を行うか否かを判定できるため、ハンドオーバ開始判定処理時にターゲットセル基地局20からの下りリンク信号の送信をより確実に停止させることができる。
【0093】
また、本実施形態によれば、ソースセル基地局10が、端末30からフィードバックされるターゲットセル基地局20からの受信電力S2と、端末30からフィードバックされるソースセル基地局10からの受信電力S1とを比較し、その差分である受信電力差(S2−S1)が所定の第1閾値(Th1)よりも大きくなる場合又は第1閾値(Th1)以上になる場合、すなわちターゲットセル20Aからソースセル10Aへの干渉が大きくなる場合に、下りリンク信号の送信停止をターゲットセル基地局20に要求している。これにより、ターゲットセル20Aからソースセル10Aへの干渉に起因したハンドオーバ失敗やピンポン・ハンドオーバ現象をより確実に防止することができる。
【0094】
なお、本実施形態において、前記受信電力差(S2−S1)が所定の第1閾値(Th1)よりも大きくなる場合又は第1閾値(Th1)以上となる場合であって、且つ、端末30からフィードバックされる第2通信品質としてのソースセル基地局10からの受信品質Q1が所定の第2通信品質閾値としての第4閾値(Th4)よりも小さくなる場合又は第4閾値(Th4)以下となる場合に、下りリンク信号の送信停止をターゲットセル基地局20に要求してもよい。この場合は、ターゲットセル20Aからソースセル10Aへの干渉によるソースセル基地局10からの受信品質Q1の低下を正確に把握し、その干渉に起因したハンドオーバ失敗やピンポン・ハンドオーバ現象をより確実に防止することができる。
【0095】
また、本実施形態によれば、前記受信電力差(S2−S1)が所定の第1閾値(Th1)よりも小さくなる場合又は第1閾値(Th1)以下となる場合であって、且つ、端末30からフィードバックされる第2通信品質としてのソースセル基地局10からの受信品質Q1が所定の第2通信品質閾値としての第4閾値(Th4)よりも小さくなる場合又は第4閾値(Th4)以下となる場合に、下りリンク信号の送信停止をターゲットセル基地局20に要求してもよい。この場合は、受信電力差(S2−S1)が小さいにもかかわらずターゲットセル20Aからソースセル10Aへの干渉によってソースセル基地局10からの受信品質Q1が低下しているときに、その干渉に起因したハンドオーバ失敗やピンポン・ハンドオーバ現象をより確実に防止することができる。
【0096】
また、本実施形態において、ソースセル基地局10は、下りリンク信号の送信停止をターゲットセル基地局20のみに要求するのではなく、ソースセル基地局10の周辺に位置する複数の基地局(以下「周辺基地局」という。)に要求してもよい。例えば、ソースセル基地局10は、端末30からフィードバックされる前記第1基地局からの受信品質Q1が所定の閾値よりも小さくなる場合又その閾値以下となる場合に、端末30からフィードバックされる周辺基地局からの受信電力S2と、端末30からフィードバックされるソースセル基地局10からの受信電力S1とを比較し、その差分(S2−S1)が所定の閾値よりも大きくなる場合又はその閾値以上となる複数の周辺基地局のうち、前記差分(S2−S1)が大きい順に上位の一又は複数の周辺基地局に対して下りリンク信号の送信停止を要求してもよい。この場合は、ターゲットセル20Aを含む複数の周辺セルからソースセル10Aへの干渉に起因したハンドオーバ失敗やピンポン・ハンドオーバ現象を防止することができる。
【0097】
また、本実施形態によれば、ソースセル基地局10が、前記下りリンク信号の送信を停止するリソースブロックの候補及び前記信号の送信を停止する送信停止要求時間の少なくとも一方をターゲットセル基地局20に通知している。このリソースブロックの候補の通知により、ソースセル10Aへの干渉をより確実に防止できるため、ソースセル10Aからのハンドオーバ開始をより適切に判定できる。また、上記送信停止要求時間の通知により、ソースセル基地局10がハンドオーバ開始判定処理を行う期間にターゲットセル基地局20からの下りリンク信号の送信をより確実に停止させることができる。
【0098】
また、本実施形態によれば、ターゲットセル基地局20が、前記下りリンク信号の送信を停止する無線リソース(例えば、リソースブロック)及び下りリンク信号の送信を停止する送信停止時間の少なくとも一方を決定することにより、ターゲットセルに接続している他の端末との通信状況を考慮してターゲットセル基地局20からの下りリンク信号の送信を停止できる。
【0099】
また、本実施形態によれば、ターゲットセル基地局20が、前記決定した無線リソース(例えば、リソースブロック)及び送信停止時間の少なくとも一方をソース基地局10に通知することにより、ソースセル基地局10は、ターゲットセル基地局20からの下りリンク信号が停止されたリソースブロックを用いて端末30にハンドオーバコマンドを送信したり、その信号停止時間内にハンドオーバコマンドを送信したりすることが可能になる。また、ソースセル基地局10は、端末30に対する下りリンク信号に用いる無線リソースとして、ターゲットセル基地局20から通知された無線リソース又はそれを一部に含む無線リソースを割り当てることにより、端末30に対する下りリンク信号の通信品質を高めることができる。
【0100】
また、本実施形態によれば、前記下りリンク信号の送信を停止するリソースブロックが周波数軸上で連続するリソースブロックである場合、下りリンク信号の送信停止制御が簡易になる。また、前記下りリンク信号の送信を停止するリソースブロックが周波数軸上で非連続のリソースブロックである場合は、周波数ダイバーシティを確保することができる。
【0101】
また、本実施形態によれば、ソースセル基地局10は、ターゲットセル基地局20が下りリンク信号の送信を停止しているリソースブロックを使用してハンドオーバコマンドを端末30に送信することにより、ハンドオーバコマンドの送受信エラーの発生を抑制できる。
【0102】
また、本実施形態によれば、ソースセル基地局10は、端末30における第2通信品質としての通信品質Q1が所定の閾値Thr6を下回っている場合にハンドオーバを速やかに実行することにより、端末30の通信の切断を回避することができる。
【0103】
また、本実施形態によれば、ターゲットセル基地局20は、ソースセル10Aからターゲットセル20Aへのハンドオーバ処理が完了したときに下りリンク信号の送信停止を終了することにより、ハンドオーバ完了後のターゲットセル20Aにおける周波数利用効率の低下やスループットの低下を防止することができる。
【0104】
また、本実施形態によれば、ターゲットセル基地局20は、自局における信号送信を開始してから所定時間経過したときに下りリンク信号の送信停止を終了することにより、ハンドオーバ完了後のターゲットセル20Aにおける周波数利用効率の低下やスループットの低下を防止することができる。特に、端末30がセル境界エリアを移動する等によってソースセル10Aからターゲットセル20Aへのハンドオーバが完了しない場合でも、所定経過時間経過時に下りリンク信号の送信停止を終了するため、周波数利用効率の低下やスループットの低下を防止することができる。
【0105】
また、本実施形態によれば、ターゲットセル基地局20は、端末30におけるターゲット基地局20からの参照信号の受信電力S2とソースセル基地局10から参照信号の受信電力S1との間の受信電力差ΔS(=S2−S1)に基づいて下りリンク信号の送信停止を終了することにより、ハンドオーバ完了後のターゲットセル20Aにおける周波数利用効率の低下やスループットの低下を防止することができる。特に、端末30がセル境界エリアからターゲットセル20A内に入らずにソースセル10A側に戻ることによってソースセル10Aからターゲットセル20Aへのハンドオーバが完了しない場合でも、ソースセル10A側に戻ることによる受信電力差ΔSが低下時に下りリンク信号の送信停止を終了するため、周波数利用効率の低下やスループットの低下を防止することができる。
【0106】
また、本実施形態によれば、ターゲットセル基地局20は、端末30におけるソースセル基地局10からの下りリンク信号の受信品質の予測結果に基づいて下りリンク信号の送信停止を終了することにより、ソースセル10Aからターゲットセル20Aへのハンドオーバが完了しないで下りリンク信号の送信停止を終了したときに、ターゲットセル20Aからの干渉が小さい高い通信品質で端末30がソースセル10Aでの通信を継続することができる。
【0107】
また、本実施形態において、ソースセル基地局10は、ハンドオーバを開始する基準となる受信電力差(S2−S1)又はその受信電力差の継続時間であるTTT(Time−To−Trigger)が通常のハンドオーバ閾値(A3offset)に到達するよりも早期に端末30がターゲットセル基地局20及びソースセル基地局10からの受信電力のフィードバックを行うように端末30に指示してもよい。この場合、ソースセル基地局10は、上記ターゲットセル基地局20(又は、それを含む複数の周辺基地局)からの下りリンク信号の送信停止によってソースセル20Aへの干渉が小さくなった状態におけるターゲットセル基地局20及びソースセル基地局10からの受信電力の情報を速やかに取得できる。
【0108】
また、本実施形態において、ソースセル基地局10は、端末30からフィードバックされるソースセル基地局10からの受信品質Q1が所定の閾値よりも低下する場合又はその閾値以下になる場合には、ハンドオーバを開始する基準となる受信電力差(S2−S1)又はその受信電力差の継続時間であるTTTが通常のハンドオーバ閾値(A3offset)に到達するよりも早期に端末30のハンドオーバの開始を決定してもよい。この場合、ハンドオーバ失敗やピンポン・ハンドオーバ現象を防止しつつ、ソースセル基地局10からターゲットセル基地局20へのハンドオーバを早期に実施することができる。
【0109】
また、本実施形態において、ソースセル基地局10は、前記ハンドオーバを開始する基準となる受信電力差(S2−S1)又はその受信電力差の継続時間であるTTTが通常のハンドオーバ閾値(A3offset)に到達するよりも早期に端末30がターゲットセル基地局20及びソースセル基地局10からの受信電力のフィードバックを行うように端末30に要求し、端末30からフィードバックされるソースセル基地局10からの受信品質Q1が所定の閾値よりも低下する場合又はその閾値以下になる場合には、端末30のハンドオーバを開始する基準となる受信電力差(S2−S1)又はTTTが通常のハンドオーバ閾値(A3offset)に到達するよりも早期に移動局のハンドオーバの開始を決定してもよい。
【0110】
なお、本明細書で説明された処理工程並びに移動通信システム、基地局及びユーザ端末装置(移動局)の構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
【0111】
ハードウェア実装については、実体(例えば、各種無線通信装置、Node B、端末、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0112】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、上記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、FLASHメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0113】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。