特許第6461877号(P6461877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6461877外壁パネル固定具及び外壁パネル固定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6461877
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】外壁パネル固定具及び外壁パネル固定方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20190121BHJP
【FI】
   E04F13/08 101P
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-190966(P2016-190966)
(22)【出願日】2016年9月29日
(65)【公開番号】特開2018-53565(P2018-53565A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2017年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000110789
【氏名又は名称】日本パワーファスニング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 大樹
(72)【発明者】
【氏名】廣畑 俊明
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 憲一
【審査官】 前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−287875(JP,A)
【文献】 特開平11−343691(JP,A)
【文献】 実開平05−042472(JP,U)
【文献】 実開昭48−100023(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08−13/30
E04B 2/56、2/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに隣接する一方の外壁パネルに他方の外壁パネルを固定する外壁パネル固定具であって、
前記一方の外壁パネルの側端面に設けられた第一フランジに当接し当該第一フランジに固定される第一固定プレート、及び前記第一固定プレートから前記他方の外壁パネル側に突出するとともにネジ孔が形成されたネジ孔プレートを有する第一固定部と、
前記他方の外壁パネルの側端面に設けられた第二フランジに当接し当該第二フランジに固定される第二固定プレート、及び前記第二固定プレートから前記一方の外壁パネル側に突出して前記ネジ孔プレートに重なり、前記ネジ孔に整合する挿入孔が形成された挿入孔プレートを有する第二固定部と、
前記挿入孔に挿通し、前記ネジ孔に螺合する連結ボルトと、を備え、
前記挿入孔は鉛直方向に長い長穴であることを特徴とする外壁パネル固定具。
【請求項2】
互いに隣接する2つの外壁パネルのうち、既に固定されている一方の外壁パネルに、請求項1に記載の外壁パネル固定具を用いて、他方の外壁パネルを固定する外壁パネル固定方法であって、
前記一方の外壁パネルの側端面に設けられている前記第一フランジに前記第一固定部の前記第一固定プレートを固定する工程と、
前記他方の外壁パネルの側端面に設けられている前記第二フランジに前記第二固定部の前記第二固定プレートを固定する工程と、
前記他方の外壁パネルを前記一方の外壁パネルに隣接するように配置し、前記ネジ孔プレートと前記挿入孔プレートとが互いに重なり合うとともに前記ネジ孔と前記挿入孔とを整合させる工程と、
前記一方の外壁パネルと前記他方の外壁パネルとの間に形成された縦目地から連結ボルトを挿入し、当該連結ボルトを前記挿入孔に挿通させて前記ネジ孔に螺合させて締結し、
前記第一固定部と前記第二固定部とを接合する工程と、
を有することを特徴とする外壁パネル固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに隣接する一方の外壁パネルに他方の外壁パネルを固定する外壁パネル固定具、及び当該外壁パネル固定具を用いた外壁パネル固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、外壁パネルを施工する場合に、外壁パネルの裏面側からボルトなどで外壁パネルを固定する工法が用いられている。しかし、例えば、外壁パネルの裏面が閉塞されている場合のように外壁パネルの裏面側から直接作業することができない場合には、上述のような工法で外壁パネルを固定することができない。
【0003】
そこで、例えば特許文献1には、一部の出隅コーナー部分を残して先に取り付けた外壁パネルに、受け金具を前記出隅コーナー部分に臨むようにして取り付けるとともに、最後に取り付ける出隅コーナーパネルを外方から押し込んでその内面側下端を受け金具に係合させるようにした外壁パネルの取付構造が開示されている。
【0004】
この構成は、出隅コーナーパネルを外方から押し込んで、その内面側下端を受け金具に係合させるようになっているので、最後に取り付ける出隅コーナーパネルの内面側が閉塞されてしまう状況にあっても、最後に取り付ける出隅コーナーパネルの下端をその内面側においてボルトの締め付け作業を伴わずに簡単に支持することができるものである。
【0005】
また、特許文献2には、垂直柱の外周に外壁パネルを取り付けてピロティ柱を形成する構造であって、垂直柱に固定した受け金具に、出隅用の外壁パネルの裏面側に固定した取付金具本体を外壁パネル間の縦目地の奥でボルト固定する外壁パネル取付構造が開示されている。このように構成することで縦目地からボルト及びレンチなどの工具を挿入して締め付けることで外壁パネルを固定することができ、内面側が閉塞された状態であっても、縦目地からの操作のみで外壁パネルを固定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−343691号公報
【特許文献2】特開2012−92585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の外壁パネルの取付構造は、出隅コーナーパネルを外方から押し込んで、その内面側下端を受け金具に係合させているだけであるので、十分な固定とはなっておらず、別途梁などの躯体に取り付ける必要がある。また、特許文献2の外壁パネル取付構造は、垂直柱に予め受け金具を取り付けておく構成であるので、垂直柱が設けられていない箇所には設置することができず、また、垂直柱の形状に応じて様々な形状の受け金具が必要となるため、汎用性に欠ける問題もある。
【0008】
そこで、本発明は、外壁パネルの裏面側から施工することができない場合でも簡単且つ確実に外壁パネルを取り付けることができ、垂直柱などの他の要素と無関係に固定することができる外壁パネル固定具及び外壁パネル固定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の外壁パネル固定具は、互いに隣接する一方の外壁パネルに他方の外壁パネルを固定する外壁パネル固定具であって、前記一方の外壁パネルの側端面に設けられた第一フランジに当接し当該第一フランジに固定される第一固定プレート、及び前記第一固定プレートから前記他方の外壁パネル側に突出するとともにネジ孔が形成されたネジ孔プレートを有する第一固定部と、前記他方の外壁パネルの側端面に設けられた第二フランジに当接し当該第二フランジに固定される第二固定プレート、及び前記第二固定プレートから前記一方の外壁パネル側に突出して前記ネジ孔プレートに重なり、前記ネジ孔に整合する挿入孔が形成された挿入孔プレートを有する第二固定部と、前記挿入孔に挿通し、前記ネジ孔に螺合する連結ボルトと、を備え、前記挿入孔は鉛直方向に長い長穴であることを特徴としている。
【0011】
本発明の外壁パネル固定方法は、互いに隣接する2つの外壁パネルのうち、既に固定されている一方の外壁パネルに、請求項1に記載の外壁パネル固定具を用いて、他方の外壁パネルを固定する外壁パネル固定方法であって、前記一方の外壁パネルの側端面に設けられている前記第一フランジに前記第一固定部の前記第一固定プレートを固定する工程と、前記他方の外壁パネルの側端面に設けられている前記第二フランジに前記第二固定部の前記第二固定プレートを固定する工程と、前記他方の外壁パネルを前記一方の外壁パネルに隣接するように配置し、前記ネジ孔プレートと前記挿入孔プレートとが互いに重なり合うとともに前記ネジ孔と前記挿入孔とを整合させる工程と、前記一方の外壁パネルと前記他方の外壁パネルとの間に形成された縦目地から連結ボルトを挿入し、当該連結ボルトを前記挿入孔に挿通させて前記ネジ孔に螺合させて締結し、前記第一固定部と前記第二固定部とを接合する工程と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の外壁パネル固定具によると、一方の外壁パネルに他方の外壁パネルを固定する外壁パネル固定具であって、一方の外壁パネルに固定される第一固定部と、他方の外壁パネルに固定される第二固定部と、が連結ボルトによって連結されることで、一方の外壁パネルに他方の外壁パネルが固定されるので、外壁パネルの裏面側に垂直柱などの固定された材がない場合でも、隣接する外壁パネルに固定することができる。また、一方の外壁パネルの側端部から他方の外壁パネルに向かって突出するねじ孔プレートと、他方の外壁パネルの側端部から一方の外壁パネルに向かって突出する挿入孔プレートとが重なって、ねじ孔及び挿入孔が整合するので、一方の外壁パネルの側端部と他方の外壁パネルの側端部との間の縦目地の奥にねじ孔及び挿入孔が露出するので、ボルト及びボルトを回転させるレンチなどの工具とを縦目地から挿入して作業することができ、外壁パネルの裏側が閉塞された状態であっても縦目地からの操作のみで外壁パネルを固定することができる。
【0013】
壁パネル固定具によると、挿入孔が鉛直方向に長い長穴であるので、連結ボルトを挿入孔に挿入し、ネジ孔に螺着させた状態で、他方の外壁パネルの位置調整することができる。
【0014】
壁パネル固定方法によると、まず、一方の外壁パネルの側端面に設けられている第一フランジに第一固定部の第一固定プレートを固定し、他方の外壁パネルの側端面に設けられている第二フランジに第二固定部の第二固定プレートを固定しておき、その後、他方の外壁パネルを一方の外壁パネルに隣接するように配置し、ネジ孔プレートと挿入孔プレートとが互いに重なり合うとともにネジ孔と挿入孔とを整合させて、一方の外壁パネルと他方の外壁パネルとの間に形成された縦目地から連結ボルトを挿入し、当該連結ボルトを挿入孔に挿通させてネジ孔に螺合させて締結して、第一固定部と前記第二固定部とを接合することにより一方の外壁パネルに他方の外壁パネルを固定するので、外壁パネルの裏面側が閉塞されている場合でも縦目地からの作業のみで外壁パネルを固定することができる。また、一方の外壁パネルに他方の外壁パネルを固定する構成であるので、垂直柱などの固定された材がない場合でも外壁パネルを簡単に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】外壁パネル固定具の外観構成を示す斜視図。
図2】外壁パネル固定具を用いて外壁パネルを固定した状態を示す図。
図3】外壁パネル固定方法において、一方の外壁パネルの第一フランジに第一固定部を固定し、他方の外壁パネルの第二フランジに第二固定部を固定する前の状態を示す図。
図4】外壁パネル固定方法において、一方の外壁パネルの第一フランジに第一固定部を固定し、他方の外壁パネルの第二フランジに第二固定部を固定した状態を示す図。
図5】外壁パネル固定方法において、他方の外壁パネルを一方の外壁パネルに隣接するように配置し、ネジ孔プレートと挿入孔プレートとが互いに重なり合うように配置した状態を示す図。
図6】縦目地から連結ボルト及び工具を挿入して連結ボルトを挿入孔に挿入させてネジ孔に螺合させて締結し、第一固定部と第二固定部とを接合した状態を示す図。
図7】変形例の外壁パネル固定具及び外壁パネル固定構造を説明する分解図。
図8】変形例の外壁パネル固定具及び外壁パネル固定構造の一方の外壁パネルに他方の外壁パネルを固定した状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る外壁パネル固定具1及び外壁パネル固定方法の最良の実施形態について、各図を参照しつつ説明する。本実施形態の外壁パネル固定具1は、図1及び図2に示すように、例えばピロティ柱3の外周に設けられる外壁パネル2a,2bを固定する外壁パネル固定具1である。本発明の外壁パネル固定具1は、外壁パネル2a,2bの裏面側が閉塞される場所において外壁パネル2a,2bを固定する外壁パネル固定具1として好適であるが、外壁パネル固定具1は、ピロティ柱3の外周に設けられるものに限定されるものではなく、建物の一般的な外壁部や出隅部、袖壁部、ピロティ壁などの外壁パネル2a,2bを固定する外壁パネル固定具1として利用することができる。
【0017】
外壁パネル2a,2bは、図2に示すように、水平方向の断面を上から見た場合に直角に折れ曲がるパネル本体21と、パネル本体21の裏面側の側端面に設けられるフランジ22とから構成されている。パネル本体21は、窯業系、樹脂系、木質系、金属系などのどのような材料で形成されたものであっても良く、本実施形態においてはピロティ柱3の外表面の4分の1を覆う。フランジ22は、たとえば平板状の鋼材を折り曲げて形成した長手鋼材であって、パネル本体21の裏面に図示しないビス等で固定される固定部23と、固定部23から折れ曲がってパネル本体21の側端面と面一に、当該パネル本体21から柱奥方向に延びる鍔部24と、鍔部24から更に折り曲げられる折端部25とを有しており、鍔部24には、連結ボルト4を挿入する固定孔が形成されている。以下、本実施形態においては、互いに隣接する外壁パネル2a,2bのうち、既に固定されている外壁パネルを一方の外壁パネル2aといい、当該一方の外壁パネル2aに本実施形態の外壁パネル固定具1を用いて固定する外壁パネルを他方の外壁パネル2bという。また、一方の外壁パネル2aのフランジ22を第一フランジ22aといい、他方の外壁パネル2bのフランジ22を第二フランジ22bという。なお、一方の外壁パネル2aと他方の外壁パネル2b、及び第一フランジ22aと第二フランジ22bは同様の構成である。
【0018】
また、本実施形態においては、ピロティ柱3の外周に固定される4つの外壁パネル2a,2bの内、2つの外壁パネルが固定された状態で、3つ目の外壁パネルとして他方の外壁パネル2bを固定する構成を説明している。例えば4つ目の外壁パネルは例えば図示しない梁から垂下させる等のように他の固定方法によって固定されていてもよく、または、4つ目の外壁パネルも本実施形態の外壁パネル固定具1によって固定するものであっても良い。
【0019】
外壁パネル固定具1は、図1に示すように、一方の外壁パネル2aの側端面に設けられた第一フランジ22aに固定される第一固定部5と、他方の外壁パネル2bの側端面に設けられた第二フランジ22bに固定される第二固定部6と第一固定部5及び第二固定部6を連結する連結ボルト4とを備えている。
【0020】
第一固定部5は、矩形の平板の両側端をそれぞれ逆方向に曲げて形成したものであって、平板状の第一固定プレート51と、第一固定プレート51の一端から一方向に折り曲げられて形成されたネジ孔プレート52と、第一固定プレート51の他端から他方向に折り曲げられて形成された第一位置決め部53と、を有している。第一固定プレート51は中央に第一貫通孔54が形成されており、この第一貫通孔54に第一の固定用ボルト55を挿入している。図2に示すように、第一の固定用ボルト55を第一貫通孔54と第一フランジ22aに設けられた固定孔26とに挿通した状態で第一の固定用ナット56を締結して固定し、第一固定部5を第一フランジ22aに固定する。第一の固定用ボルト55は低頭ボルトが好ましい。
【0021】
ネジ孔プレート52には略中央に連結ボルト4が螺合することができるネジ孔57が設けられている。また、第一位置決め部53は、第一固定プレート51のネジ孔プレート52と逆側の端部を当該ネジ孔プレート52とは逆方向に折り曲げた平板状であり、第一位置決め部53を第一フランジ22aの折端部25に当接させ、第一固定プレート51を鍔部24に当接させると、第一貫通孔54と固定孔26とが整合するように配置されている。
【0022】
第二固定部6は、図1に示すように、矩形の平板の両側端をそれぞれ逆方向に曲げて形成したものであって、第一固定部5よりも高さ方向の長さが長く形成されている。第二固定部6は、平板状の第二固定プレート61と、第二固定プレート61の一端から一方向に折り曲げられて形成された挿入孔プレート62と、第二固定プレート61の他端から他方向に折り曲げられて形成された第二位置決め部63と、を有している。第二固定プレート61は中央に第二貫通孔64が形成されており、この第二貫通孔64に第二の固定用ボルト65を挿入している。図2に示すように、第二の固定用ボルト65を第二貫通孔64と第二フランジ22bに設けられた固定孔26とに挿通した状態で第二の固定用ナット66を締結して固定し、第二固定部6を第二フランジ22bに固定する。第二の固定用ボルト65も第一の固定用ボルト55と同様に低頭ボルトが好ましい。第一の固定用ボルト55及び第二の固定用ボルト65がそれぞれ低頭ボルトであることで、図2に示しているように、ボルト頭同士が干渉することなく、一方の外壁パネル2aに他方の外壁パネル2bを固定することができる。第二固定プレート61はさらに挿入孔プレート62に近い端部近傍に鉛直方向に長い溝孔68が形成されている。この溝孔68は、図2に示すように、挿入孔プレート62とネジ孔プレート52とが重なるように配置されるときに、ネジ孔プレート52の先端が溝孔68に入り込むことでネジ孔プレート52と第二固定プレート61とが干渉することが無い。
【0023】
挿入孔プレート62には略中央に連結ボルト4が挿入可能な挿入孔67が設けられている。挿入孔67は、連結ボルト4を挿入可能な幅を有し鉛直方向が長い長穴である。また、第二位置決め部63は、第二固定プレート61の挿入孔プレート62と逆側の端部を当該挿入孔プレート62とは逆方向に折り曲げた平板状であり、第二位置決め部63を第二フランジ22bの折端部25に当接させ、第二固定プレート61を鍔部24に当接させると、第二貫通孔64と固定孔26とが整合するように配置されている。また、連結ボルト4は、ネジ孔57に螺着する5mm径のボルトであり、頭部に六角穴が設けられている。
【0024】
挿入孔プレート62の挿入孔67に連結ボルト4を挿入し、ネジ孔プレート52のネジ孔57に連結ボルト4を螺着させて締結することで、第一固定部5と第二固定部6とが接合し、第一固定部5が固定されている一方の外壁パネル2aに、第二固定部6が固定されている他方の外壁パネル2bが固定される。
【0025】
以下、上述の外壁パネル固定具1を用いた外壁パネル固定方法について説明する。本実施形態の外壁パネル固定方法は、互いに隣接する2つの外壁パネル2a,2bのうち、既に固定されている一方の外壁パネル2aに、上述の外壁パネル固定具1を用いて、他方の外壁パネル2bを固定する外壁パネル固定方法である。一方の外壁パネル2aは、例えば逆側に隣接している外壁パネルに固定されていてもよいし、又は垂直柱や図示しない梁などの他の部材に固定されるものであっても良い。
【0026】
外壁パネル固定方法は、まず、図3及び図4に示すように、一方の外壁パネル2aの側端面に設けられている第一フランジ22aに第一固定部5の第一固定プレート51を固定し、他方の外壁パネル2bの側端面に設けられている第二フランジ22bに第二固定部6の第二固定プレート61を固定する。
【0027】
具体的には、まず、第一位置決め部53を、第一フランジ22aの折端部25に当接させ、第一固定プレート51を鍔部24に当接させて、第一貫通孔54と固定孔26とが整合するように配置する。そして、第一固定プレート51の中央に設けられた第一貫通孔54と、第一フランジ22aに設けられた固定孔26とに第一の固定用ボルト55を挿通し、当該第一の固定用ボルト55に第一の固定用ナット56を締結して固定し、第一固定部5を第一フランジ22aに固定する。次に、第二位置決め部63を、第二フランジ22bの折端部25に当接させ、第二固定プレート61を鍔部24に当接させて、第二貫通孔64と固定孔26とが整合するように配置する。そして、第二固定プレート61の中央に設けられた第二貫通孔64と、第二フランジ22bに設けられた固定孔26とに第二の固定用ボルト65を挿通し、当該第二の固定用ボルト65に第二の固定用ナット66を締結して固定し、第二固定部6を第二フランジ22bに固定する。
【0028】
なお、第一フランジ22aへの第一固定部5の固定及び第二フランジ22bへの第二固定部6の固定は、建築現場で行っても作業してもよく、又は、予め工場などで外壁パネル2a,2bを製造する際に組みつけておいても良い。
【0029】
図4に示すように、第一固定部5を第一フランジ22aに固定し、第二固定部6を第二フランジ22bに固定すると、次に、図5に示すように、他方の外壁パネル2bを一方の外壁パネル2aに隣接するように配置する。具体的には、第一フランジ22aに固定されている第一固定部5のネジ孔プレート52と、第二フランジ22bに固定されている第二固定部6の挿入孔プレート62とが互いに重なり合って、ネジ孔57と挿入孔67とが整合するように、他方のパネルを移動させる。前述の通り、第一の固定用ボルト55及び第二の固定用ボルト65がそれぞれ低頭ボルトであるので、互いが邪魔にならず適切な位置に他方の外壁パネル2bを配置することができる。
【0030】
そして、次に、図5に示すように、一方の外壁パネル2aと他方の外壁パネル2bとの間に形成された縦目地から連結ボルト4を挿入し、当該連結ボルト4を挿入孔67に挿通させてネジ孔57に螺合させてネジ孔プレート52に挿入孔プレート62を仮固定する。そして、鉛直方向に長い挿入孔67の範囲で連結ボルト4に対して挿入孔67を摺動させて、挿入孔プレート62が設けられている第二固定部6及び第二固定部6が固定されている他方の外壁パネル2bの位置を調整する。そして、図6に示すように、レンチなどの工具7で連結ボルト4を回転させて締結し、第一固定部5と第二固定部6とを接合することによって、一方の外壁パネル2aに他方の外壁パネル2bを固定する。
【0031】
このように本実施形態の外壁パネル固定具1及び外壁パネル固定方法によると、一方の外壁パネル2aに固定される第一固定部5と、他方の外壁パネル2bに固定される第二固定部6と、が連結ボルト4によって連結される構成であるので、外壁パネル2bの裏面側に垂直柱などの固定するための材がない場合でも、外壁パネル2bを固定することができ、また、一方の外壁パネル2aと他方の外壁パネル2bとの間の縦目地の奥にネジ孔57及び挿入孔67が露出するので、連結ボルト4及び連結ボルト4を回転させるレンチなどの工具7とを縦目地から挿入して作業することができ、外壁パネルの裏側が閉塞された状態であっても外壁パネルを固定することができる。
【0032】
次に、外壁パネル固定具1及び外壁パネル固定方法の変形例として、図7及び図8を参照しつつ、完全に閉塞されるピロティ壁の外壁パネル2bの固定に用いる外壁パネル固定具1及び外壁パネル固定方法について説明する。なお、上述の実施形態と同様の構成については、本変形例においては同一の符号を付して説明を省略する。この変形例のピロティ壁の外壁パネル2a,2bは、水平方向の断面を上から見た場合に2つの直角の折れ曲がりによって一方に向かって開口する溝形に形成され、裏面が互いに対向するように形成されたパネル本体21と、パネル本体21の開口端を閉じるように設けられるフランジ22とから構成されている。パネル本体21は、前述の実施形態と同様に窯業系、樹脂系、木質系、金属系などのどのような材料で形成されたものであっても良い。本実施形態においてはピロティ壁の外表面の2分の1を覆う。フランジ22は、たとえば溝形鋼であり、パネル本体21の開口端の内側の対向する両方の裏面に両側のフランジ部27が固定され、パネル本体21の開口端からウエブ部28が露出するように形成されている。ウエブ部28には、ボルトを挿入する固定孔26が形成されている。一方の外壁パネル2aは、例えば図示しない梁などに予め固定されており、他方の外壁パネル2bが外壁パネル固定具1を用いて一方の外壁パネル2aに固定される。また、一方の外壁パネル2aのフランジ22が第一フランジ22aであり、他方の外壁パネル2bのフランジ22が第二フランジ22bである。
【0033】
変形例の外壁パネル固定具1は、上述の実施形態の外壁パネル2a,2bと同様に一方の外壁パネル2aの側端面に設けられた第一フランジ22aに固定される第一固定部5と、他方の外壁パネル2bの側端面に設けられた第二フランジ22bに固定される第二固定部6と第一固定部5及び第二固定部6を連結する連結ボルト4とを備えている。
【0034】
第一固定部5は、平板状の第一固定プレート51と、第一固定プレート51の一端から一方向に折り曲げられて形成されたネジ孔プレート52と、を有しており、第一固定プレート51の中央に第一貫通孔54が形成され、第一の固定用ボルト55を挿入している。図7に示すように、第一の固定用ボルト55を第一貫通孔54と第一フランジ22aのウエブ部28に設けられた固定孔26とに挿通した状態で第一の固定用ナット56を締結して固定し、第一固定部5を第一フランジ22aに固定している。
【0035】
また、第二固定部6は、平板状の第二固定プレート61と、第二固定プレート61の一端から一方向に折り曲げられて形成された挿入孔プレート62と、を有している。第二固定プレート61の中央には第二貫通孔64が形成されており、第二の固定用ボルト65を挿入している。図7に示すように、第二の固定用ボルト65を第二貫通孔64と第二フランジ22bのウエブ部28に設けられた固定孔26とに挿通した状態で第二の固定用ナット66を締結して固定し、第二固定部6を第二フランジ22bに固定している。
【0036】
変形例の外壁パネル固定具1を用いて一方の外壁パネル2aに他方の外壁パネル2bを固定する際には、まず、一方の外壁パネル2aの側端面に設けられている第一フランジ22aに第一固定部5の第一固定プレート51を固定し、他方の外壁パネル2bの側端面に設けられている第二フランジ22bに第二固定部6の第二固定プレート61を固定する。すなわち、第一固定プレート51の中央に設けられた第一貫通孔54と、第一フランジ22aに設けられた固定孔26とに第一の固定用ボルト55を挿通し、当該第一の固定用ボルト55に第一の固定用ナット56を締結して固定するとともに、第二固定プレート61の中央に設けられた第二貫通孔64と、第二フランジ22bに設けられた固定孔26とに第二の固定用ボルト65を挿通し、当該第二の固定用ボルト65に第二の固定用ナット66を締結して固定する。
【0037】
そして、他方の外壁パネル2bを一方の外壁パネル2aに隣接するように配置し、一方の外壁パネル2aと他方の外壁パネル2bとの間に形成された縦目地から連結ボルト4を挿入して、当該連結ボルト4を挿入孔67に挿通させてネジ孔57に螺合させてネジ孔プレート52に挿入孔プレート62を仮固定して、挿入孔プレート62が設けられている第二固定部6及び第二固定部6が固定されている他方の外壁パネル2bの位置を調整し、レンチなどの工具7で連結ボルト4を回転させて締結し、第一固定部5と第二固定部6とを接合することによって、一方の外壁パネル2aに他方の外壁パネル2bを固定する。
【0038】
この変形例においても、垂直柱や梁などの固定するための材が無い場合でも外壁パネル2bを固定することができ、また、縦目地の奥にボルト及びボルトを回転させるレンチなどの工具7とを挿入して作業するので、外壁パネルの裏側が閉塞された状態であっても外壁パネル2bを固定することができる。
【0039】
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係る外壁パネル固定具1は、例えば住宅のピロティ柱3、ピロティ壁、外壁の出隅部、その他の外壁パネル2bを固定する際に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 外壁パネル固定具
2a 一方の外壁パネル
2b 他方の外壁パネル
4 連結ボルト
5 第一固定部
6 第二固定部
22 フランジ
22a 第一フランジ
22b 第二フランジ
51 第一固定プレート
52 ネジ孔プレート
61 第二固定プレート
62 挿入孔プレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8