(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
<1.第1実施形態>
以下、添付図面を参照して、本願の開示する無線機および受信方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
<1.1.受信方法>
図1を用いて、第1実施形態に係る受信方法について説明する。
図1は、第1実施形態に係る受信方法を説明する図である。本実施形態に係る受信方法は、自動車、より好適には、たとえば電気自動車やハイブリッド車などの車両Cに搭載される無線機1で実行される。
【0011】
まず、
図1(a)を用いて無線機1の概要について説明する。
図1(a)は、無線機1の設置例を示す図である。
図1(a)に示すように、無線機1は、アンテナ装置10と受信装置20とを備える。アンテナ装置10は、たとえばAM放送など第1周波数帯域の放送波を含む第1主信号およびFM放送など第1周波数帯域とは異なる第2周波数帯域の放送波を含む第2主信号を受信する主アンテナ部110を備える。
【0012】
図1(a)では、たとえば主アンテナ部110が、第1主信号を受信する第1主アンテナ111と第2主信号を受信する第2主アンテナ112とを備える。なお、主アンテナ部110が、たとえば第1、第2周波数帯域を含む広帯域の信号を受信することができる広帯域アンテナ(図示せず)を備えるようにし、かかる広帯域アンテナで第1、第2主信号を受信するようにしてもよい。
【0013】
また、アンテナ装置10は、第2周波数帯域の放送波を含む第2副信号(単に副信号とも記載する)を受信する副アンテナ121を含む副アンテナ部120を備える。第1、第2主アンテナ111、112および副アンテナ121は、たとえば車両Cの車体など、第1、第2周波数帯域の放送波を受信しやすい位置に配置される。
【0014】
アンテナ装置10は、第1主信号に含まれるノイズ信号を受信するアンテナ部130を備える。アンテナ部130は、たとえば車両Cのインバータやモータ等ノイズ信号を発するノイズ源Nの近くに配置されるアンテナ131を備える。すなわち、アンテナ131は、いわゆるノイズピックアップアンテナである。
【0015】
また、アンテナ装置10は、主アンテナ部110と受信装置20とを接続する主信号ケーブル140を備える。
図1(a)に示す例では、主信号ケーブル140は、第1、第2主信号ケーブル141、142を備える。第1主信号ケーブル141は、第1主アンテナ111と受信装置20とを接続する。第2主信号ケーブル142は、第2主アンテナ112と受信装置20とを接続する。
【0016】
さらに、アンテナ装置10は、副アンテナ部120およびアンテナ部130と接続する副信号ケーブル150を備える。副信号ケーブル150は、副アンテナ121およびアンテナ131と受信装置20とを接続する。
【0017】
続いて、
図1(b)を用いて、本実施形態に係る受信方法について説明する。
図1(b)は、無線機1が実行する受信方法を説明する図である。
【0018】
図1に示す受信方法では、無線機1は第1、第2主アンテナ111、112を介して第1、第2主信号を受信する(ステップS1)。また、無線機1は、アンテナ装置10の副アンテナ121を介して副信号を受信し(ステップS2)、アンテナ131を介してノイズ信号を受信する(ステップS3)。
【0019】
無線機1のアンテナ装置10は、主信号ケーブル140を介して主アンテナ部110で受信した第1、第2主信号を受信装置20に伝送する(ステップS4)。なお、第1主信号は第1主信号ケーブル141を介して伝送され、第2主信号は第2主ケーブル142を介して伝送される。
【0020】
アンテナ装置10は、副信号ケーブル150を介して、アンテナ部130で受信したノイズ信号および副アンテナ部120で受信した副信号を重畳した重畳信号を受信装置20に伝送する(ステップS5)。
【0021】
続いて、無線機1の受信装置20は、副信号ケーブル150を介して受信した重畳信号からノイズ信号および副信号を分離する(ステップS6)。受信装置20は、主信号ケーブル140を介して受信した第1主信号からステップ6で分離したノイズ信号を低減し(ステップS7)、第1受信信号を生成する。
【0022】
また、受信装置20は、ステップ6で分離した副信号および主信号ケーブル140を介して受信した第2主信号に基づいて第2受信信号を生成する(ステップS8)。具体的には、たとえば受信装置20は、副信号に所定の係数を乗算した信号と第2主信号とを合成することで第2受信信号を生成する。
【0023】
このように、第1主信号に含まれるノイズ信号を、ノイズ源Nに近いアンテナ部130で受信し、受信したノイズ信号を第1主信号から低減することで、第1受信信号に含まれるノイズ成分をより確実に低減することができ、ノイズの低減精度を向上させることができる。
【0024】
また、副アンテナ部120が受信した副信号とアンテナ部130が受信したノイズ信号とを重畳して伝送することで、ノイズ信号を伝送するためのケーブルを増やすことなくノイズの低減精度を向上させることができる。さらに、ノイズ信号を伝送するケーブルと接続する端子を受信装置20に増設する必要がなく、受信装置20を大型化することなくノイズ低減精度を向上させることができる。
【0025】
このように、本実施形態に係る受信方法は、アンテナ装置10のケーブルや受信装置20の端子を増設することがなく、無線機1の大型化を抑制しつつノイズの低減精度を向上させることができる。以下、無線機1の構成について詳細に説明する。
【0026】
<1.2.無線機1>
図2は、本実施形態に係る無線機1の構成を示す図である。
図2に示すように、無線機1は、アンテナ装置10および受信装置20を備える。
【0027】
<1.2.1.アンテナ装置10>
アンテナ装置10は、主アンテナ部110と、副アンテナ部120と、アンテナ部130と、主信号ケーブル140と、副信号ケーブル150とを備える。
【0028】
主アンテナ部110は、第1、第2主アンテナ111、112と、第1、第2主増幅部113、114とを備える。第1主アンテナ111は、第1周波数帯域の放送波(たとえばAM放送波)を含む信号を第1主信号として受信する。第2主アンテナ112は、たとえば第1周波数帯域とは異なる第2周波数帯域の放送波(たとえばFM放送波)を含む信号を第2主信号として受信する。第1主増幅部113は第1主信号を増幅し、第2主増幅部114は、第2主信号を増幅する。
【0029】
主信号ケーブル140は、第1主信号ケーブル141と第2主信号ケーブル142とを備える。第1主信号ケーブル141は、第1主増幅部113と受信装置20とを接続する。第1主信号ケーブル141は、第1主増幅部113が増幅した第1主信号を受信装置20に伝送する。第2主信号ケーブル142は、第2主増幅部114と受信装置20とを接続する。第2主信号ケーブル142は、第2主増幅部114が増幅した第2主信号を受信装置20に伝送する。
【0030】
なお、ここでは、第1、第2主信号をそれぞれ第1、第2主信号ケーブル141、142で伝送するとしたが、これに限られない。たとえば第1、第2主信号を重畳した主重畳信号を1つの主信号ケーブル140で受信装置20に伝送するようにしてもよい。この場合、たとえば重畳した主重畳信号を図示しない増幅部で増幅する。これにより、増幅部の個数およびケーブルの本数を削減することができる。
【0031】
あるいは、たとえば主アンテナ部110が図示しない広帯域アンテナを用いて第1、第2主信号を受信するようにしてもよい。この場合、図示しない1つの増幅部を用いて広帯域アンテナが受信した信号を増幅するようにする。また、主信号ケーブル140をたとえば1本のケーブルとして広帯域アンテナが受信した信号を受信装置20に伝送する。これにより、増幅部の個数およびケーブルの本数を削減することができる。
【0032】
副アンテナ部120は、第2周波数帯域の放送波を含む信号を第2副信号として受信する副アンテナ121と、副増幅部122とを備える。アンテナ部130は、第1主信号に含まれるノイズ信号を受信するアンテナ131を備える。副増幅部122には、たとえば第2副信号およびノイズ信号が入力される。副増幅部122は、第2副信号とノイズ信号とを重畳した信号を増幅し、重畳信号を生成する。
【0033】
このように、副増幅部122が副信号とノイズ信号とを増幅し、重畳信号を生成することで、第2副信号とノイズ信号とを別々に増幅する場合に比べて増幅部の個数を削減することができる。なお、副信号やノイズ信号が十分強力な場合、あるいは副アンテナ部120と受信装置20の距離が近い場合などは、増幅は必須ではなく、合波器のような受動素子を用いて副信号とノイズ信号を重畳してもよい。
【0034】
副信号ケーブル150は、副増幅部122と受信装置20とを接続する。副信号ケーブル150は、副増幅部122が生成した重畳信号を受信装置20に伝送する。
【0035】
ここで、各アンテナおよび増幅部の配置例について説明する。第1、第2主アンテナ111、112および副アンテナ121は、たとえば車両Cの車体の外側など、第1、第2周波数帯域の放送波を受信しやすい場所に配置される。またアンテナ131は、たとえばモータやインバータの近くなど、主アンテナ部110の第1、第2主アンテナ111、112よりノイズ信号を発するノイズ源Nに近い場所に配置される。
【0036】
これにより、アンテナ部130は、主にノイズ信号を受信するようになり、かかるアンテナ部130が受信したノイズ信号を用いてノイズ低減処理を行うことで、ノイズの低減精度をより向上させることができる。
【0037】
また第1、第2主増幅部113、114および副増幅部122は、車両Cの車内であって、たとえば受信装置20と第1、第2主アンテナ111、112および副アンテナ121との間に設けられる。
【0038】
これにより、第1、第2主アンテナ111、112および副アンテナ121と第1、第2主増幅部113、114および副増幅部122との間で減衰した信号を増幅して受信装置20に伝送することができる。また、主信号ケーブル140および副信号ケーブル150を伝送する間に減衰する量を考慮して信号を増幅することで、主アンテナ部110および副アンテナ部120と、受信装置20との間が離れていても受信した第1、第2主信号および重畳信号をより確実に伝送することができる。
【0039】
<1.2.2.受信装置20>
受信装置20は、主端子210と、副端子220と、第1入力部230と、第2入力部240と、分離部250と、第1復調部260と、第2復調部270とを備える。
【0040】
主端子210は、第1主端子211と、第2主端子212とを備える。第1主端子211は、第1主信号ケーブル141と接続する。第2主端子212は、第2主ケーブル142と接続する。たとえば第1、第2主信号が1つの主信号ケーブル140を介して伝送される場合、1つの主端子210がかかる主信号ケーブル140と接続するようにしてもよい。また、副端子220は、副信号ケーブル150と接続する。
【0041】
続いて、第1入力部230は、たとえばA/D変換部231を備え、第1主端子211を介して受信した第1主信号に対してA/D変換処理等を施し、第1主RF信号を生成する。なお、第1入力部230が、たとえば図示しない増幅部やフィルタを備え、A/D変換処理に加えて増幅処理やフィルタリング処理を行うことで、第1主RF信号を生成するようにしてもよい。
【0042】
第2入力部240は、たとえばA/D変換部241を備え、第2主端子212を介して受信した第2主信号に対してA/D変換処理等を施し、第2主RF信号を生成する。なお、第2入力部240が、たとえば図示しない増幅部やフィルタを備え、A/D変換処理に加えて増幅処理やフィルタリング処理を行うことで、第2主RF信号を生成するようにしてもよい。
【0043】
分離部250は、副端子220を介して受信した重畳信号から副信号およびノイズ信号を分離する。分離部250は、バンドパスフィルタ251、253およびA/D変換部252、254を備える。
【0044】
バンドパスフィルタ251は、副端子220を介して受信した重畳信号のうち、第1周波数帯域の信号を通過させるフィルタである。重畳信号には第2周波数帯域の副信号と第1周波数帯域のノイズ信号とが重畳されている。したがって、バンドパスフィルタ251は、重畳信号のうち第1周波数帯域の信号を通過させることで、重畳信号から第1周波数帯域のノイズ信号を抽出する抽出部として動作する。バンドパスフィルタ251は、抽出したノイズ信号(以下、抽出ノイズ信号と記載する)をA/D変換部252に出力する。
【0045】
A/D変換部252は、抽出ノイズ信号に対してA/D変換処理を施し、RFノイズ信号を生成する。A/D変換部252は、生成したRFノイズ信号を第1復調部260に出力する。なお、分離部250が、たとえば図示しない増幅部やフィルタを備え、A/D変換処理に加えて増幅処理やフィルタリング処理を行うことで、RFノイズ信号を生成するようにしてもよい。
【0046】
バンドパスフィルタ253は、副端子220を介して受信した重畳信号のうち、第2周波数帯域の信号を通過させるフィルタである。バンドパスフィルタ253は、重畳信号のうち第2周波数帯域の信号を通過させることで、重畳信号から第2周波数帯域の副信号を抽出する抽出部として動作する。バンドパスフィルタ253は、抽出した副信号をA/D変換部254に出力する。
【0047】
A/D変換部254は、副信号に対してA/D変換処理を施し、副RF信号を生成する。A/D変換部254は、生成した副RF信号を第2復調部270に出力する。なお、分離部250が、たとえば図示しない増幅部やフィルタを備え、A/D変換処理に加えて増幅処理やフィルタリング処理を行うことで、副RF信号を生成するようにしてもよい。
【0048】
第1復調部260は、第1主信号およびノイズ信号に基づいて第1受信信号を生成し、生成した第1受信信号を復調して第1復調信号を生成する。第1復調信号は、たとえば音声信号であり図示しないスピーカから出力される。第1復調部260は、ノイズ低減部280と、検波部290とを備える。
【0049】
ノイズ低減部280は、主端子210を介して受信した第1主信号から、分離部250が分離したノイズ信号を除去することで、第1主信号に含まれるノイズを低減する。具体的にノイズ低減部280は、A/D変換部252が生成したRFノイズ信号に対してたとえば係数Wを乗算して演算信号を生成し、第1入力部230が生成した第1主RF信号からかかる演算信号を減算することで、第1受信信号を生成する。ノイズ低減部280は、演算部281と、減算部282と、設定部283とを備える。
【0050】
演算部281は、A/D変換部252から入力されたRFノイズ信号に基づいて、係数Wに応じた演算を行うことで演算信号を生成する。たとえば演算部281は、係数Wに応じてRFノイズ信号の振幅を増幅または減衰させる演算を行うことで、係数Wに応じた振幅の演算信号を生成する。また、演算部281は、係数Wに応じてRFノイズ信号の位相を移相させる演算を行うことで、係数Wに応じた位相の演算信号を生成する。具体的には、演算部281は、たとえば係数WをRFノイズ信号に乗算することで、係数Wに応じた振幅または位相を有する演算信号を生成する。
【0051】
このように、演算部281は、係数Wに応じてRFノイズ信号の振幅および位相の少なくとも一方を変換し、演算信号を生成する変換部として動作する。なお、係数Wは、演算信号の振幅および位相が第1主RF信号に含まれるノイズ信号の振幅および位相に近くなるように、設定部283によって設定または更新される係数Wである。
【0052】
減算部282は、第1入力部230が生成した第1主RF信号から演算信号を減算して第1受信信号を生成する。なお、演算信号の位相が第1主RF信号に含まれるノイズ信号の位相と逆相になるように演算部281で処理が行われる場合、減算部282の変わりに加算部を用いて第1入力部230が生成した第1主RF信号から演算信号を低減するようにしてもよい。減算部282は、生成した第1受信信号を設定部283および検波部290に出力する。
【0053】
設定部283は、演算信号の振幅および位相が第1主RF信号に含まれるノイズ信号の振幅および位相になるように、演算部281の係数Wを設定する。設定部283は、たとえば主アンテナ部110が第1周波数帯域の放送波(たとえばAM放送波)を受信していない場合に、第1受信信号の振幅が「0」に近づくように係数Wを更新する。具体的には、設定部283は、第1主信号の信号強度が所定値未満の場合、第1受信信号の振幅がより小さくなるように係数Wを更新する。
【0054】
一方、たとえば主アンテナ部110がAM放送波を受信している場合に、設定部283は、直前に更新した係数Wの値を維持するように演算部281の係数Wを設定する。具体的には、設定部283は、第1主信号の信号強度が所定値以上の場合、係数Wの更新を行わない。
【0055】
主アンテナ部110がAM放送波を受信していない場合、第1主信号にはノイズ源Nからのノイズ信号が多く含まれていると考えられる。そこで、主アンテナ部110がAM放送波を受信していない、すなわち第1主信号の信号強度が所定値未満の場合に係数Wを更新することで、第1主信号からノイズ信号をより確実に低減できる係数Wを演算部281に設定することができる。
【0056】
また、設定部283は、RFノイズ信号の振幅および位相の少なくとも一方を変換するように係数Wを更新する。これは、ノイズ信号を受信するアンテナ131が第1主信号を受信する第1主アンテナ111よりノイズ源Nの近くに配置されるためである。
【0057】
アンテナ131がノイズ源Nの近くに配置されるため、アンテナ131は第1主アンテナ111より信号強度が大きいノイズ信号を受信する。そこで、アンテナ131で受信したノイズ信号の信号強度を、第1主アンテナ111で受信するノイズ信号の信号強度に合わせるように係数Wを更新することで、第1主信号(第1主RF信号)に含まれるノイズ信号をより精度よく低減することができる。
【0058】
また、アンテナ131は、第1主アンテナ111から所定距離離れた場所に配置される。したがって、第1主アンテナ111が受信するノイズ信号の位相は、たとえばかかる所定距離に応じて、アンテナ131が受信するノイズ信号の位相とずれてしまう。そこで、アンテナ131で受信したノイズ信号の位相を、第1主アンテナ111で受信するノイズ信号の位相に合わせるように、設定部283が係数Wを更新することで、第1主信号(第1主RF信号)に含まれるノイズ信号をより精度よく低減することができる。なお、第1主RF信号の位相とRFノイズ信号の位相とが逆相になるように係数Wを更新してもよい。
【0059】
このように、設定部283が第1受信信号に基づいて係数Wを設定することで、第1主信号に含まれるノイズをより精度よく低減することができる。
【0060】
検波部290は、たとえば第1受信信号の法絡線を検波することで、振幅変調された第1受信信号を復調し、第1復調信号を生成する。第1復調信号は、たとえば図示しない後段の処理部で増幅処理やフィルタリング処理等が施され第1音声信号に変換され、図示しないスピーカから出力される。
【0061】
第2復調部270は、第2入力部240から第2主RF信号が入力され、分離部250から副RF信号が入力されると、かかる第2主RF信号および副RF信号に対して合成処理等を施し、第2受信信号を生成する。また、第2復調部270は、生成した第2受信信号に対して復調処理等を施し、第2復調信号を生成する。第2復調信号は、たとえば図示しない後段の処理部で増幅処理やフィルタリング処理等が施され第2音声信号に変換され、図示しないスピーカから出力される。
【0062】
<1.3.受信処理>
次に、本実施形態に係る無線機1が実行する受信処理手順について
図3を用いて説明する。
図3は、本実施形態に係る無線機1が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、かかる受信処理は、たとえば無線機1の電源がON状態である場合に繰り返し実行されるものとする。
【0063】
無線機1のアンテナ装置10は、主アンテナ部110を介して第1、第2主信号を、副アンテナ部120を介して副信号を受信するとともに、アンテナ部130を介してノイズ信号を受信する(ステップS101)。
【0064】
アンテナ装置10は、主信号ケーブル140を介して第1、第2主信号を伝送し、副信号ケーブル150を介して副信号とノイズ信号とを重畳した重畳信号を伝送する(ステップS102)。
【0065】
無線機1の受信装置20は、重畳信号から副信号とノイズ信号とを分離する(ステップS103)。受信装置20は、第1主信号の受信強度が所定閾値Th未満か否かを判定する(ステップS104)。第1主信号の受信強度が所定閾値Th以上である場合(ステップS104;No)、受信装置20は、ステップS106に進む。
【0066】
一方、第1主信号の受信強度が所定閾値Th未満である場合(ステップS104;Yes)、受信装置20は、演算部281の係数Wを更新する(ステップS105)。受信装置20は、ステップS105で更新した係数Wを用いて振幅および位相の少なくとも一方を変換したノイズ信号を、第1主信号から除去することで第1主信号のノイズを低減する(ステップS106)。
【0067】
受信装置20は、第1受信信号を復調し、第2主信号および副信号に基づいて生成した第2受信信号を復調する(ステップS107)。
【0068】
以上のように、本実施形態に係る無線機1によれば、第1主信号に含まれるノイズ信号をアンテナ部130で受信することで、第1受信信号に含まれるノイズ成分をより高精度に低減することができ、ノイズの低減精度を向上させることができる。また、副アンテナ部120が受信した副信号とアンテナ部130が受信したノイズ信号とを重畳して伝送することで、アンテナ装置10のケーブルや受信装置20の端子を増設することなく、すなわち無線機1の大型化を抑制しつつ、ノイズの低減精度を向上させることができる。
【0069】
<1.4.変形例>
上述した実施形態では、第2周波数帯域としてFM放送を例にあげて説明したが、これに限られない。第2周波数帯域が第1周波数帯域(たとえばAM放送)と異なる周波数帯域であればよく、たとえばDAB(Digital Audio Broadcast)放送やDTV(Digital Television)放送を行う周波数帯域を第2周波数帯域としてもよい。この場合、DAB放送やDTV放送の放送波を伝送するケーブルを用いて、かかる放送波とノイズ信号とを重畳した重畳信号を伝送することができる。
【0070】
また、上述した実施形態では、周波数帯域が異なる副信号とノイズ信号とを周波数領域において重畳する場合について説明したが、これに限られない。たとえば副信号とノイズ信号とを時間領域で重畳するようにしてもよい。具体的には、副信号とノイズ信号とをたとえば交互に副信号ケーブル150を介して伝送する。このように、副信号とノイズ信号とを時分割多重した重畳信号を伝送するようにしてもよい。
【0071】
上述した実施形態では、受信装置20がA/D変換処理を行う場合について説明したが、これに限られない。たとえばアンテナ装置10が、副信号およびノイズ信号にA/D変換処理を施し、デジタル信号に変換した副信号およびノイズ信号を重畳して伝送するようにしてもよい。
【0072】
上述した実施形態では、アンテナ部130のアンテナ131をノイズ源N近くに配置することで、アンテナ131がノイズ信号を受信する場合について説明したが、副アンテナ部120が、第2副信号に加えてノイズ源Nからのノイズ信号も受信できる位置に設置されているときは、副アンテナ部120でノイズ信号を含む第2副信号を受信するようにしてもよい。この場合、ノイズピックアップアンテナであるアンテナ131や、副信号とノイズ信号を重畳させるための副増幅部122(または合波器)は不要になり、無線機1の大型化をより好適に抑制できる。
【0073】
<2.第2実施形態>
上述した第1実施形態では、アンテナ部130のアンテナ131をノイズ源N近くに配置することで、アンテナ131がノイズ信号を受信する場合について説明したが、これに限られない。アンテナ131をノイズ信号に加え、第1副信号も受信できる位置に設置し、アンテナ131がノイズ信号および第1副信号を受信するようにしてもよい。以下、かかる場合について第2実施形態として説明する。
【0074】
<2.1.受信方法>
図4を用いて第2実施形態に係る受信方法を説明する。
図4は、本実施形態に係る受信方法を説明する図である。本実施形態に係る受信方法は、自動車、より好適には、たとえば電気自動車やハイブリッド車などの車両Cに搭載される無線機2で実行される。
【0075】
第2実施形態に係る無線機2は、アンテナ装置30と受信装置40とを備える。なお、無線機2で実行される受信方法のうち
図1に示す受信方法と同じものには同一方法の説明は省略する。
【0076】
図4(a)は、本実施形態に係る無線機2を示す図である。
図4(a)に示すように、無線機2のアンテナ部330は、車両Cの車体など、第1周波数帯域の放送波を含む第1副信号を受信しやすい位置に配置されるアンテナ331を備える。
【0077】
なお、ノイズ信号のノイズ源Nは、たとえばインバータやモータ等の車両C内に搭載される電子回路等に限られず、車外の電子機器等であってもよい。また、副信号ケーブル150は、副アンテナ部120およびアンテナ部330と受信装置20とを接続する。
【0078】
図4(b)は、本実施形態に係る受信方法を説明する図である。なお、
図1(b)と同じ処理には同一符号を付し説明を省略する。
【0079】
本実施形態に係る受信方法では、アンテナ装置30のアンテナ部330を介して第1副信号とノイズ信号とが重畳された重畳信号を受信する(ステップS20)。また、アンテナ装置30は、副信号ケーブル150を介して、アンテナ部330で受信した重畳信号および副アンテナ部120で受信した第2副信号を重畳した副重畳信号を受信装置40に伝送する(ステップS21)。
【0080】
本実施形態に係る受信方法では、受信装置40が、副信号ケーブル150と接続する副端子220を介して受信した副重畳信号から重畳信号および第2副信号を分離する(ステップS22)。受信装置40は、第1主信号と重畳信号に含まれる第1副信号とを合成した合成信号を生成し(ステップS23)、第1主信号から重畳信号に含まれるノイズ信号を低減した低減信号を生成する(ステップS24)。
【0081】
受信装置40は、生成した合成信号および低減信号に基づいて第1受信信号を生成する(ステップS25)。たとえば、受信装置40は、信号対雑音比に基づき、合成信号および低減信号の一方を第1受信信号とする。たとえば、第1主信号に含まれるノイズ信号が小さい場合は合成信号を第1受信信号とし、第1主信号に含まれるノイズ信号が大きい場合は低減信号を第1受信信号とする。
【0082】
このように、本実施形態に係る受信方法では、ノイズ信号および第1周波数帯域の放送波を含む第1副信号をアンテナ部330で受信する場合であっても、無線機2を大型化することなく第1主信号に含まれるノイズをより高精度に低減することができる。以下、無線機2の構成について詳細に説明する。
【0083】
<2.2.無線機2>
図5は、本実施形態に係る無線機2の構成を示す図である。
図5に示すように、無線機2は、アンテナ装置30および受信装置40を備える。
【0084】
<2.2.1.アンテナ装置30>
アンテナ装置30は、アンテナ131の代わりにアンテナ331を備える点で
図2に示すアンテナ装置10と異なる。アンテナ331は、第1主信号に含まれるノイズ信号および第1周波数帯域の放送波(AM放送波)を含む第1副信号を受信する。そのため、アンテナ331に接続される副増幅部122は、ノイズ信号および第1副信号を重畳した重畳信号と、第2副信号とを重畳した信号を増幅し、副重畳信号を生成する。
【0085】
アンテナ331は、第1、第2主アンテナ111、112および副アンテナ121と同様にたとえば車両Cの車体の外側など、第1周波数帯域の放送波を受信しやすい場所に配置される。なお、アンテナ331は、第1主アンテナ111と物理的に離して配置されることが望ましい。
【0086】
なお、ここでは、副アンテナ121とは別にアンテナ331を設ける場合について説明したが、これに限られない。たとえば広帯域アンテナを用いて第1、第2副信号を受信するようにしてもよい。これにより、アンテナの本数を削減することができる。
【0087】
<2.2.2.受信装置40>
受信装置40は、ノイズ低減部280の代わりにノイズ低減部400および設定部430を備える点で
図2に示す受信装置20と異なる。なお、副重畳信号は重畳信号と第2副信号とが重畳された信号であるため、分離部250は副重畳信号から重畳信号と第2副信号とを分離する。また、分離部250は、分離した重畳信号にAD変換処理等を施し重畳RF信号を生成する。
【0088】
図6を用いて、ノイズ低減部400および設定部430を説明する。
図6は、本実施形態に係るノイズ低減部400および設定部430の構成を示す図である。ノイズ低減部400には主信号ケーブル140を介して伝送された第1主信号(具体的には第1主RF信号)および分離部250が分離した重畳信号(具体的には重畳RF信号)が入力される。ノイズ低減部400は、第1主RF信号および重畳RF信号を合成した合成信号、および、第1主RF信号から重畳RF信号を低減した低減信号に基づいて第1受信信号(受信信号)を生成する。
【0089】
ノイズ低減部400は、演算部410と、生成部420とを備える。演算部410は、分離部250が分離した重畳信号に基づいて係数に応じた演算信号を生成する。演算部410は、第1演算部411と、第2演算部412とを備える。
【0090】
第1演算部411は、分離部250が分離した重畳RF信号に基づいて第1係数W1に応じた第1演算信号を生成する。たとえば第1係数W1を重畳RF信号に乗算することで、第1係数W1に応じた振幅または位相を有する第1演算信号を生成する。第1演算部411は、生成した第1演算信号を生成部420に出力する。
【0091】
第2演算部412は、分離部250が分離した重畳RF信号に基づいて第2係数W2に応じた第2演算信号を生成する。たとえば第2係数W2を重畳RF信号に乗算することで、第2係数W2に応じた振幅または位相を有する第2演算信号を生成する。第2演算部412は、生成した第2演算信号を生成部420に出力する。なお、第1、第2演算信号をまとめて演算信号とも記載する。
【0092】
生成部420は、演算部410が生成した演算信号と第1主RF信号とに基づいて第1受信信号を生成する。生成部420は、合成部421と低減部422と選択部423とを備える。
【0093】
合成部421は、第1入力部230が生成した第1主RF信号と第1演算部411が生成した第1演算信号とを合成して合成信号を生成する。たとえば合成部421は、加算器であり、第1主RF信号と第1演算信号とを加算して合成信号を生成する。これにより、合成部421は、第1主信号と第1副信号とを合成した信号を生成する。合成部421は生成した合成信号を選択部423に出力する。
【0094】
低減部422は、第1入力部230が生成した第1主RF信号から第2演算部412が生成した第2演算信号を低減して低減信号を生成する。たとえば低減部422は、減算器であり、第1主RF信号から第2演算信号を減算して低減信号を生成する。これにより、低減部422は、第1主信号からノイズ成分を低減した信号を生成する。
【0095】
なお、第2演算信号の位相が第1主RF信号の位相と逆相になるように第2演算部412で演算が行われる場合、低減部422を減算器の代わりに加算器として、第1入力部230が生成した第1主RF信号に第2演算信号を加算するようにしてもよい。低減部422は、生成した低減信号を選択部423に出力する。
【0096】
選択部423は、合成部421が生成した合成信号および低減部422が生成した低減信号の一方を第1受信信号として選択する。たとえば、受信装置40は、信号対雑音比に基づいて合成信号および低減信号の一方を第1受信信号とする。選択部423は、第1受信信号を検波部290に出力する。これにより、選択部423は、合成信号と低減信号のうち、ノイズをより低減した信号を第1受信信号として選択することができる。
【0097】
設定部430は、第1主信号および重畳信号に基づいて演算部410による演算に用いる係数を設定する。設定部430は、重畳信号から第1副信号とノイズ信号とを分離し、分離した第1副信号およびノイズ信号に基づいて演算部410による演算に用いる係数を設定する。換言すると、設定部430は、重畳信号から第1副信号とノイズ信号とを分離する分離部である。
【0098】
設定部430は、第1バンドパスフィルタ441、442と第3演算部443と第1合成部444と第1設定部445とを備える。また、設定部430は、第2バンドパスフィルタ451、452と第4演算部453と第1低減部454と第2設定部455とを備える。また、設定部430は、係数設定部460を備える。
【0099】
第1バンドパスフィルタ441は、第1主信号から第1周波数帯域の放送波を含む放送波主成分を抽出する第1抽出部である。第1バンドパスフィルタ441は、第1主RF信号からたとえば第1周波数帯域のうち放送波が含まれる帯域を第1通過帯域Wf1とし、かかる第1通過帯域Wf1を通過する放送波主成分を抽出する。
【0100】
第1バンドパスフィルタ442は、重畳信号から第1周波数帯域の放送波を含む放送波副成分を抽出する第2抽出部である。第1バンドパスフィルタ442は、たとえば第1通過帯域Wf1を通過帯域として重畳RF信号から放送波副成分を抽出する。なお、放送波主成分および放送波副成分は、ノイズ信号より放送波の信号強度が大きい、すなわち主に第1副信号を含む信号成分である。また、第1通過帯域Wf1については
図7を用いて後述する。
【0101】
第3演算部443は、第1バンドパスフィルタ442が抽出した放送波副成分に基づいて第1係数W1に応じた第3演算信号を生成する。第3演算部443は、たとえば第1係数W1を放送波副成分に乗算することで、第1係数W1に応じた振幅または位相を有する第3演算信号を生成する。
【0102】
第1合成部444は、第1バンドパスフィルタ441が抽出した放送波主成分と第3演算部443が生成した第3演算信号とを合成して第1合成信号を生成する。たとえば第1合成部444は、加算器であり、放送波主成分と第3演算信号とを加算して第1合成信号を生成する。
【0103】
第1設定部445は、第1合成部444が合成した第1合成信号に基づいて第3演算部443の第1係数W1を設定する。第1設定部445は、たとえば第1合成信号の振幅が最大となるように第1係数W1を設定する。具体的には、第1設定部445は、たとえば第3演算部443の第1係数W1に差分dW1を加算することで、第1係数W1を更新する。なお、差分dW1は、正または負の数であるとする。
【0104】
第1設定部445は、第1係数W1の更新前後の第1合成信号の振幅を比較し、かかる振幅が増加するように第1係数W1を設定する。このように第1設定部445は、放送波主成分および放送波副成分に基づいた第1合成信号、すなわち第1周波数帯域の放送波の利得が大きくなるように第1係数W1を設定する。第1設定部445は、設定した第1係数W1を係数設定部460に出力する。あるいは、第1設定部445は、差分dW1を出力するようにしてもよい。
【0105】
第2バンドパスフィルタ451は、第1主信号からノイズ主成分を抽出する第3抽出部である。第2バンドパスフィルタ451は、第1主RF信号からたとえば第1周波数帯域のうちノイズ信号が含まれる帯域を第2通過帯域Wf2とする。第2通過帯域Wf2は、第1通過帯域Wf1とは異なる帯域である。第2バンドパスフィルタ451は、第2通過帯域Wf2を通過帯域として第1主RF信号からノイズ主成分を抽出する。
【0106】
第2バンドパスフィルタ452は、重畳信号からノイズ副成分を抽出する第4抽出部である。第2バンドパスフィルタ452は、たとえば帯域Wf2を通過帯域として第1副RF信号からノイズ副成分を抽出する。なお、ノイズ主成分およびノイズ副成分は、放送波よりノイズ信号の信号強度が大きい、すなわち主にノイズ信号を含む信号成分である。また、第2通過帯域Wf2については
図7を用いて後述する。
【0107】
第4演算部453は、第2バンドパスフィルタ452が抽出したノイズ副成分に基づいて第2係数W2に応じた第4演算信号を生成する。第4演算部453は、たとえば第2係数W2をノイズ副成分に乗算することで、第2係数W2に応じた振幅または位相を有する第4演算信号を生成する。
【0108】
第1低減部454は、第2バンドパスフィルタ451が抽出したノイズ主成分から第4演算部453が生成した第4演算信号を低減して第1低減信号を生成する。たとえば第1低減部454は、減算器であり、ノイズ主成分から第4演算信号を減算して第1低減信号を生成する。なお、第4演算信号の位相がノイズ主成分の位相と逆相になるように第4演算部453で演算が行われる場合、第1低減部454を減算器の代わりに加算器とし、ノイズ主成分に第4演算信号を加算するようにしてもよい。
【0109】
第2設定部455は、第1低減部454が生成した第1低減信号に基づいて第4演算部453の第2係数W2を設定する。第2設定部455は、たとえば第1低減信号の振幅が「0」に近づくように第2係数W2を設定する。具体的には、第2設定部455は、たとえば第4演算部453の第2係数W2に差分dW2を加算することで、第2係数W2を更新する。なお、差分dW2は、正または負の数であるとする。
【0110】
第2設定部455は、第2係数W2の更新前後の第1低減信号の振幅を比較し、かかる振幅が減少するように第2係数W2を設定する。このように第2設定部455は、ノイズ主成分およびノイズ副成分に基づいた第1低減信号、すなわち第1周波数帯域のノイズ信号の利得が小さくなるように第2係数W2を設定する。第2設定部455は、設定した第2係数W2を係数設定部460に出力する。あるいは、第2設定部455は、差分dW2を出力するようにしてもよい。
【0111】
係数設定部460は、第1、第2設定部445、455が更新した第1、第2係数W1、W2に基づいて演算部410の係数を設定する。具体的には、係数設定部460は、第1、第2演算部411、412の第1、第2係数W1、W2を第1、第2設定部445、455が更新した値に設定する。たとえば第1、第2設定部445、455が第1、第2係数W1、W2の差分dW1、dW2を出力する場合、係数設定部460は、かかる差分dW1、dW2をそれぞれ第1、第2演算部411、412の第1、第2係数W1、W2に加算する。
【0112】
ここで、
図7を用いて、第1、第2通過帯域Wf1、Wf2について説明する。
図7は、第1、第2バンドパスフィルタ441、442、451、452の通過帯域を説明する図である。
図7には、第1周波数帯域の放送波に含まれる所定チャネルの周波数分布を示している。
【0113】
たとえばAM放送などのラジオ放送では、所定の周波数帯域で複数チャネルの信号を送信している。かかる信号には、信号を搬送する搬送波と信号に音声データを重畳する変調波とが含まれている。以下、チャネルごとの搬送波および変調波をチャネル信号とも記載する。
【0114】
図7には、所定のチャネル信号の搬送波の周波数F(以下、搬送波周波数と記載する)と、かかるチャネル信号の変調波の周波数(以下、変調波周波数と記載する)を示している。
図7に示すように、変調波周波数は所定の周波数帯域幅を有し、搬送波周波数Fを中心とし上側帯域と下側帯域が対称となる周波数分布を有する。
【0115】
第1バンドパスフィルタ441、442の第1通過帯域Wf1は、搬送波周波数Fを含む帯域である。
図7に示すように、第1通過帯域Wf1は、搬送波周波数Fを含む狭い帯域である。したがって、第1バンドパスフィルタ441、442を通過した放送波主成分および放送波副成分は、主に搬送波周波数Fの信号成分であるといえる。
【0116】
このように、第1通過帯域Wf1は帯域幅が狭く、また搬送波周波数Fを含むため、放送波主成分および放送波副成分にはノイズ信号が含まれにくい。本実施形態では、上述したように、第1合成部444が放送波主成分および放送波副成分に基づいて第1係数W1に応じた第1合成信号を生成し、第1合成信号が大きくなるように第1設定部445が第1係数W1を更新する。これにより、第1設定部445は、第1主RF信号に含まれる放送波の利得を増加させる第1係数W1を設定することができる。
【0117】
図7に示すように、第2バンドパスフィルタ451、452の第2通過帯域Wf2は変調波周波数外の帯域である。具体的には、第2通過帯域Wf2は、放送波に含まれる複数のチャネル信号間の帯域である。したがって第2バンドパスフィルタ451、452を通過したノイズ主成分およびノイズ副成分には、主にノイズ信号が含まれる。
【0118】
本実施形態では、上述したように、第1低減部454がノイズ主成分およびノイズ副成分に基づいて第2係数W2に応じた第1低減信号を生成し、第1低減信号が小さくなるように第2設定部455が第2係数W2を更新する。これにより、第2設定部455は、第1主RF信号に含まれるノイズ信号の利得を低減させる第2係数W2を設定することができる。
【0119】
たとえば第1主RF信号および重畳RF信号に放送波より大きなノイズ信号が含まれている場合に、係数設定部460が第1主RF信号および第1副RF信号に含まれる放送波が大きくなるよう第1演算部411の第1係数W1を設定すると、合成信号に含まれるノイズ信号が放送波より大きくなる場合がある。
【0120】
また、たとえば第1主RF信号および重畳RF信号にノイズ信号より大きな放送波が含まれている場合に、係数設定部460が第1主RF信号に含まれるノイズ信号が小さくなるように第2演算部412の第2係数W2を設定すると、低減信号に含まれる放送波がより小さくなる場合がある。
【0121】
そこで、選択部423は、第1係数W1に応じた合成信号および第2係数W2に応じた低減信号の一方を、信号対雑音比に応じて第1受信信号に選択する。すなわち、たとえば第1主RF信号および重畳RF信号に放送波より大きなノイズ信号が含まれている場合、選択部423は低減信号を第1受信信号とする。また、たとえば第1主RF信号および重畳RF信号にノイズ信号より大きな放送波が含まれている場合、選択部423は合成信号を第1受信信号とする。
【0122】
これにより、選択部423は、合成信号および低減信号のうちノイズが小さい信号を第1受信信号として選択することができる。したがって、ノイズ低減部400は、第1受信信号に与えるノイズの影響をより低減することができ、ノイズをより高精度に低減することができる。
【0123】
なお、ここでは、第2バンドパスフィルタ451、452の第2通過帯域Wf2をチャネル間の帯域としたが、これに限られない。第2通過帯域Wf2は、チャネル信号が含まれにくい帯域であればよく、たとえば搬送波周波数Fは含まれないが変調波周波数が含まれる帯域であってもよい(
図7のWf3参照)。
【0124】
この場合、第2設定部455は、ノイズ主成分およびノイズ副成分に変調波が含まれない場合に第2係数W2の更新を行う。すなわち、ノイズ主成分およびノイズ副成分に主にノイズ信号が含まれている場合に第2係数W2の更新を行う。なお、ノイズ主成分およびノイズ副成分に変調波が含まれるか否かは、変調波の上側帯域および下側帯域を比較することで判定することができる。これは、変調波周波数の周波数分布が、搬送波周波数Fを中心として上側帯域および下側帯域で線対称となっているためである。
【0125】
なお、搬送波周波数Fは含まれないが変調波周波数が含まれる帯域は、所定の帯域幅を有する帯域Wf3であってもよく、また、変調波周波数および搬送波周波数Fを含む帯域からたとえばノッチフィルタ等で搬送波周波数Fを除去した帯域であってもよい。
【0126】
たとえば、放送波に含まれる複数のチャネルにおいて、各チャネルの周波数帯域の一部が重複している場合、変調波を含まないチャネル間の帯域が存在しない場合がある。係る場合であっても、変調波周波数の帯域を第2通過帯域とすることで、低減部422は、第1主信号に含まれるノイズ信号を低減した低減信号を生成することができる。
【0127】
<2.3.受信処理>
次に、本実施形態に係る無線機2が実行する受信処理手順について
図8を用いて説明する。
図8は、本実施形態に係る無線機2が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、かかる受信処理は、たとえば無線機2の電源がON状態である場合に繰り返し実行されるものとする。また、アンテナ装置30から第1、第2主信号および副重畳信号を受信し、かかる副重畳信号を分離するまでの処理は、重畳信号が副重畳信号に置き換わる点を除き、
図3に示す受信処理のステップS101〜S103と同じであるため説明を省略する。
【0128】
無線機2の受信装置40は、第1主信号および重畳信号に含まれる放送波(第1副信号)に基づいて第3演算部443の第1係数W1を更新する(ステップS201)。また、受信装置40は、第1主信号および重畳信号に含まれるノイズ信号に基づいて第4演算部453の第2係数W2を更新する(ステップS202)。
【0129】
受信装置40の係数設定部460は、ステップS201、S202で更新した第3、第4演算部443、453の第1、第2係数W1、W2に基づき、第1、第2演算部411、412の第1、第2係数W1、W2を設定する(ステップS203)。
【0130】
受信装置40の合成部421は、第1演算部411が第1係数W1に応じて算出した第1演算信号と第1主RF信号を合成することで合成信号を生成する(ステップS204)。低減部422は、第2演算部412が第2係数W2に応じて算出した第2演算信号を第1主RF信号から低減することで低減信号を生成する(ステップS205)。
【0131】
選択部423は、信号対雑音比に応じて合成信号および低減信号の一方を選択することで第1受信信号を生成する(ステップS206)。たとえば、選択部423は合成信号および低減信号のうちS/N比の高い方を選択して第1受信信号を生成する、第1受信信号を生成した後の処理は、
図3に示す受信処理と同じであるため説明を省略する。
【0132】
なお、ステップS201、S202は、その処理順序を入れ替えてもよく、また同時に処理を行ってもよい。また、ステップS204、S205は、その処理順序を入れ替えてもよく、また同時に処理を行ってもよい。
【0133】
以上のように、本実施形態に係る無線機2は、ノイズ信号と第1周波数帯域の放送波を含む第1副信号とをアンテナ部330で受信する場合であっても、第1主信号および第1副信号を合成した合成信号および第1主信号からノイズ信号を低減した低減信号の一方を第1受信信号とすることで、第1受信信号に含まれるノイズをより高精度に低減することができる。
【0134】
また、設定部430が、第1主信号および重畳信号の放送波成分およびノイズ成分に基づいて係数を設定することで、第1受信信号に含まれるノイズ信号をより確実に低減することができ、ノイズをより高精度に低減することができる。
【0135】
上記第1、第2実施形態にかかる受信機(受信装置)20、40は、主端子210と、副端子220と、分離部250、(設定部)430と、ノイズ低減部280、400と、を備える。主端子210には放送波を含む主信号が入力される。副端子220には、放送波を含む副信号と、ノイズ信号が重畳した重畳信号が入力される。分離部250は、副端子220から入力された重畳信号からノイズ信号と副信号とを分離する。ノイズ低減部280、400は、分離部250が分離したノイズ信号を用いて、主信号に含まれるノイズ成分を低減する。
【0136】
これにより、受信機(受信装置)20、40のノイズの低減精度を向上させることができる。
【0137】
上記第1実施形態にかかる受信機(受信装置)20の主端子210には第1周波数帯の放送波を含む第1主信号と第2周波数帯の放送波を含む第2主信号が入力される。副端子220には第2周波数帯の放送波を含む第2副信号と、ノイズ信号が重畳した重畳信号が入力される。分離部250は、副端子220から入力された重畳信号からノイズ信号と第2副信号とを分離する。ノイズ低減部280は、分離部250が分離したノイズ信号を用いて、第1主信号に含まれるノイズ成分を低減する。
【0138】
これにより、第1周波数帯の放送波を含む第1主信号に含まれるノイズ成分を低減することができ、受信機(受信装置)20のノイズの低減精度を向上させることができる。
【0139】
上記第2実施形態にかかる受信機(受信装置)40の主端子210には第1周波数帯の放送波を含む第1主信号が入力される。副端子220には第1周波数帯の放送波を含む第1副信号とノイズ信号とが重畳した重畳信号が入力される。分離部(設定部)430は、副端子220から入力された重畳信号からノイズ信号と第1副信号とを分離する。ノイズ低減部400は、分離部(設定部)430が分離したノイズ信号を用いて、第1主信号に含まれるノイズ成分を低減する。
【0140】
これにより、第1周波数帯の放送波を含む第1主信号に含まれるノイズ成分を低減することができ、受信機(受信装置)40のノイズの低減精度を向上させることができる。
【0141】
上記第2実施形態にかかる受信機(受信装置)40のノイズ低減部400は、第1主信号と、第1副信号を合成した合成信号と、ノイズ信号を用いて第1主信号に含まれるノイズ成分を低減した低減信号と、に基づいてノイズ信号を低減した受信信号を生成する。
【0142】
これにより、ノイズ信号および第1周波数帯域の放送波を含む第1副信号が副端子220に入力される場合であっても、第1主信号および第1副信号を合成した合成信号および第1主信号から第1副信号に含まれるノイズ信号を低減した低減信号に基づいて第1受信信号を生成することで、第1主信号に含まれるノイズをより高精度に低減することができる。
【0143】
上記第2実施形態にかかる受信機(受信装置)40のノイズ低減部は、合成信号と低減信号それぞれの信号対雑音比を比較し、合成信号と低減信号のうち信号対雑音比が高い方を選択して受信信号とする。
【0144】
これにより、合成信号と低減信号のうち、ノイズをより低減した信号を受信信号とすることができ、第1主信号に含まれるノイズをより高精度に低減することができる。
【0145】
上記第2実施形態にかかる受信機(受信装置)40のノイズ低減部400は、第1演算部411と、第2演算部412と、生成部420と、を備える。第1演算部411は、分離部250が分離した第1副信号に基づいて第1係数W1に応じた第1演算信号を生成する。第2演算部412は、分離部250が分離した第1副信号に基づいて第2係数W2に応じた第2演算信号を生成する。生成部420は、第1演算信号と第1主信号とを合成して合成信号を生成し、第1主信号から第2演算信号を低減して低減信号を生成する。分離部(設定部)430は、第1設定部445と、第2設定部455と、を備える。第1設定部445は、第1主信号および第1副信号の放送波を含む成分に基づいて第1係数W1を設定する。第2設定部455は、第1主信号および第1副信号のノイズ信号を含む成分に基づいて第2係数W2を設定する。
【0146】
これにより、ノイズ信号および第1周波数帯域の放送波を含む第1副信号をアンテナ部330で受信する場合であっても、第1主信号および第1副信号を合成した合成信号および第1主信号からノイズ信号を低減した低減信号の一方を第1受信信号とすることで、第1主信号に含まれるノイズをより高精度に低減することができる。
【0147】
上記第1、第2実施形態にかかる受信方法は、主端子210を介して放送波を含む主信号を受信する工程と、副端子220を介して放送波を含む副信号と、ノイズ信号が重畳した重畳信号を受信する工程と、副端子220から入力された重畳信号からノイズ信号と副信号とを分離する工程と、ノイズ信号を用いて、主信号に含まれるノイズ成分を低減する工程とを含む。
【0148】
これにより、ノイズの低減精度を向上させることができる。
【0149】
上記第1、第2実施形態にかかる無線機1、2は、主アンテナ部110と、副アンテナ部120と、アンテナ部130、330と、副信号ケーブル150と、分離部250と、ノイズ低減部280、400と、を備える。主アンテナ部110は、放送波を含む副信号を受信する。副アンテナ部120は、放送波を含む副信号(第2副信号)を受信する。アンテナ部130、330は、ノイズ信号を受信する。副信号ケーブル150は、アンテナ部130、330が受信したノイズ信号および副アンテナ部120が受信した副信号を重畳した重畳信号を伝送する。分離部250は、副信号ケーブル150を介して伝送された重畳信号からノイズ信号と副信号とを分離する。ノイズ低減部280、400は、第1主信号から分離部250が分離したノイズ信号を用いて、主信号に含まれるノイズ成分を低減する。
【0150】
これにより、アンテナ装置10、30のケーブルや受信装置20、40の端子を増設することなく、すなわち無線機1、2の大型化を抑制しつつノイズの低減精度を向上させることができる。
【0151】
上記第1、第2実施形態にかかる無線機1、2は、アンテナ部130、330で受信したノイズ信号と副アンテナ部120で受信した副信号(第2副信号)とを重畳し、重畳信号を生成する重畳部(副増幅部)122をさらに備える。
【0152】
これにより、副信号とノイズ信号とを別々に重畳する場合に比べて重畳部(増幅部)の個数を削減することができ、無線機1、2の大型化を抑制しつつノイズの低減精度を向上させることができる。
【0153】
上記第1実施形態にかかる無線機1のアンテナ部130は、主アンテナ部110よりノイズ信号を発するノイズ源Nの近くに配置される。
【0154】
これにより、アンテナ部130は、主にノイズ信号を受信するようになり、かかるアンテナ部130が受信したノイズ信号を用いてノイズ低減処理を行うことで、ノイズの低減精度をより向上させることができる。
【0155】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。