(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記筐体歯と、前記第1のロータ歯及び前記第2のロータ歯とが、前記ロータ筐体に対して回転する円形の一方向に配向されている、請求項1に記載のシャント弁組立体。
前記磁気ロータが、第1のロータ端部と、第2のロータ端部とを備え、前記第1のロータ歯が前記第1のロータ端部から延在し、前記第2のロータ歯が前記第2のロータ端部から延在する、請求項1に記載のシャント弁組立体。
前記ばねに係合し、前記ロータに結合されているカムを更に備え、前記ロータの前記回転によって前記カムが回転し、前記弁要素に対する前記ばねの張力を調節する、請求項1に記載のシャント弁組立体。
前記片持ちばねが、片持ちアームと、前記ばねの取付けの固定点から互いに略平行に延在する第2のアームとを備え、前記片持ちアームが、前記弁要素に対して着座する自由端部を含む、請求項12に記載のシャント弁組立体。
前記出口に結合されている逆止弁を更に備え、前記逆止弁が、前記弁組立体の前記選択された圧力設定よりも低い停止圧力設定を含む、請求項1に記載のシャント弁組立体。
前記ばねに係合し、前記ロータに結合されているカムであって、前記ロータの前記回転によって前記カムが回転し、前記ばねの張力を前記弁要素に対して調節するカムを更に備え、前記ばねが、
支点と、
前記支点に取り付けられ、前記カムに係合するように構成されている第1のアームと、
前記支点から延在し、前記弁要素に対して着座するように構成されている自由端部を備える片持ちアームとを備える片持ちばねであって、
前記支点、前記第1のアーム、及び前記片持ちアームが、梃子の効果を提供するように構成されて、前記カムによって前記第1のアームに加えられる第1の圧力が、前記片持ちばねによって、前記弁要素に対して加えられる第2の圧力に変換され、前記第2の圧力が前記第1の圧力よりも小さい、請求項1に記載のシャント弁組立体。
前記制御装置が、前記シャント弁組立体の前記選択された圧力設定を選択するユーザからの入力を受信するように構成されているユーザインターフェースを備える、請求項25に記載のシステム。
前記弁組立体が、前記ハウジング上又は前記ハウジング内の固定された位置に配置されている基準マーカを更に備え、前記基準マーカが、既知の配向の磁気基準を提供するように構成されており、
前記トランスミッタヘッドが、前記基準マーカの位置を測定するように構成されている第2の磁気センサを更に備え、
前記制御装置が、前記第2の磁気センサと通信し、前記基準マーカの前記位置に対する前記磁気ロータの前記位置を決定するように構成されている基準検出器を更に備える、請求項27に記載のシステム。
前記トランスミッタヘッドが、前記選択された圧力設定にしたがって前記磁場の前記パルスの数を調節するように、前記制御装置によってプログラムされるように、前記制御装置が自動化されている、請求項29に記載のシステム。
前記筐体歯と、前記第1のロータ歯及び前記第2のロータ歯とが、前記磁気ロータが前記ロータ筐体に対して回転する円形の一方向に配向されている、請求項25に記載のシステム。
前記シャント弁組立体が前記ばねに係合し、前記ロータに結合されているカムを更に備え、前記ロータの前記回転によって前記カムが回転し、前記弁要素に対する前記ばねの張力を調節する、請求項25に記載のシステム。
前記片持ちばねが、片持ちアームと、前記ばねの取付けの固定点から互いに略平行に延在する第2のアームとを備え、前記片持ちアームが、前記弁要素に対して着座する自由端部を含む、請求項37に記載のシステム。
前記片持ちばねが、2つの平行なアームによって隣接されている中央の片持ちアームを備え、前記中央の片持ちアームが、前記弁要素に対して着座する自由端部を含み、前記2つの平行なアームが前記ロータ筐体の下側に固定されている、請求項25に記載のシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
態様及び実施形態は、有限増分で弁の圧力設定を増加又は減少させるように構成されている磁気ロータを備える、外部からプログラム可能な弁組立体を対象とする。弁組立体は、対象患者の臓器又は体腔から流体を排出するために、患者の中に移植するように適合され得る。これらの実施形態では、弁組立体は、カテーテルの一方の端部に流体連通するように適合されている入口を含む。カテーテルの第2の端部が、臓器又は体腔の中に挿入されて、流体を排出する。弁組立体は、排液カテーテルの端部に流体連通するように適合されている出口を含む。排液カテーテルの他方の端部は、血管又は腹腔などの適切な体腔の中に、又はバッグなどの身体の外部の排液貯蔵器の中に挿入され得る。本発明の弁組立体を使用して排出され得る臓器及び体腔の例は、限定しないが、目、脳室、腹腔、心膜、子宮(妊娠中)及び胸腔を含む。特に、弁組立体は、水頭症を患う対象患者の中に移植するように適合され得る。この実施形態では、入口が、脳内カテーテルの第1の端部に流体連通するように適合され、出口が、排液カテーテルの第1の端部に流体連通するように適合されている。対象患者の中に移植される場合、脳内カテーテルの第2の端部は、患者の脳室の中に挿入され、排液カテーテルの第2の端部は、頸静脈又は腹腔などの対象患者の適切な身体貯蔵器の中に挿入される。したがって、対象患者の中に移植される場合、この装置は、対象患者の脳室と対象患者の身体貯蔵器との間に流体連通を提供して、脳室内圧力が弁組立体の開口圧力を超える場合、脳脊髄液が、脳室から弁筐体を通って身体の貯蔵器まで流れることを可能にする。対象患者は、増加する頭蓋内圧力を伴う水頭症を患う可能性があり、又は正常圧力の水頭症を患う可能性がある。脳室からCSFを除去することによって、脳室内圧力を減少させる。
【0008】
追加の態様及び実施形態は、移植された弁組立体の圧力設定を決定する方法、及び対象患者の体内への移植に続いて、弁組立体の圧力設定を調節する方法を対象とする。以下により詳細に考察するように、特定の実施形態によって、弁の圧力設定の調節は、弁組立体内での磁気ロータの移動によって達成されることが可能であり、弁要素に対して付勢力を提供するばねの張力の変化をもたらす。磁気ロータは、加えられる外部磁場に応答して、ロータ筐体内で左右の運動又は上下の運動で移動され得る。
【0009】
特定の態様は、必要な場合に患者の脳室の寸法を減少させる方法であって、弁組立体を患者の中に外科的に移植するステップと、弁の移植前に、弁の開口圧力を脳室圧力よりも小さい圧力に設定するステップとを含む方法を更に含む。別法として、移植された弁組立体の開口圧力は、脳室圧力よりも高い圧力に設定されることができて、必要がある場合、脳室の寸法は患者の中で増加することができる。
【0010】
一実施形態によれば、シャント弁組立体が、ハウジングの外部が生理的に適合する材料から形成されている、ハウジングと、ハウジング内に配置され、複数のロータ歯を含むロータ筐体と、ロータ筐体とハウジングの外部との間に配置されており、弁座の中のロータ筐体端部で終端する入口と、ばねと、ばねによって弁座に付勢される弁要素であって、弁要素及び弁座が一体に穴を形成する弁要素と、ハウジング内に配置され、外部磁場に応答してロータ筐体の歯に交互に係合し、それによって磁気ロータをロータ筐体に対して回転させ、シャント弁組立体の選択された圧力設定を生成するように構成されている第1のロータ歯及び第2のロータ歯を含む磁気ロータと、ロータ筐体とハウジングの外部との間に配置されている出口とを備え、シャント弁組立体が、入口内の流体の圧力がシャント弁組立体の選択された圧力設定を超える場合、穴が開いて、穴を通って出口の中に流体を排出するように構成されている。
【0011】
一例では、流体は脳脊髄液である。ロータ筐体が略円形の内側面を含み、筐体歯が内側面の周囲の周りに配置され得る。一実施形態では、筐体歯と、第1のロータ歯及び第2のロータ歯とが、磁気ロータがロータ筐体に対して回転する円形の一方向に配向されている。磁気ロータが、第1のロータ端部と、第2のロータ端部とを備えることができ、第1のロータ歯が第1のロータ端部から延在し、第2のロータ歯が第2のロータ端部から延在する。一実施形態では、第2のロータ歯が、第1のロータ歯から180°に配置されている。一実施形態では、磁気ロータがロータ筐体に対して回転中に、磁気ロータが、ロータ筐体内で左右に移動される。一実施形態では、磁気ロータがロータ筐体に対して回転中に、磁気ロータが、ロータ筐体に対して上下に移動される。
【0012】
シャント弁組立体は、ばねに係合し、ロータに結合されているカムを更に備え、ロータの回転によってカムが回転し、弁要素に対するばねの張力を調節するカムを更に備えることができる。一実施形態では、カムはディスクカムである。別の例では、カムが傾斜面を含み、ばねが傾斜面に対して着座する。一例では、ばねは巻きばねである。別の例では、ばねは片持ちばねである。一実施形態では、片持ちばねが、固定端部及び自由端部を含む楕円形リングであって、楕円形リングの自由端部がカムに着座する、楕円形リングと、楕円形リングの固定端部から楕円形リングの内部の中に延在する片持ちアームであって、片持ちアームの自由端部が弁要素に対して着座する、片持ちアームとを備える。別の例では、片持ちばねが、片持ちアームと、ばねの取付けの固定点から互いに略平行に延在する第2のアームとを備え、片持ちアームが、弁要素に対して着座する自由端部を含む。別の例では、片持ちばねが、弁要素に対して着座する片持ちアームと、カムに対して着座する第2のアームとを備える。別の例では、片持ちばねはV字形ばねである。一実施形態では、カムは磁気ロータの上方に配置される。一実施形態では、カムは磁気ロータの下方に配置される。一例では、ばねは湾曲ばねである。
【0013】
シャント弁組立体の一例では、弁要素は球形弁要素である。シャント弁組立体が、入口と出口との間に結合されているポンプ室を更に備える。シャント弁組立体が、入口に結合されている予室を更に備える。一例では、シャント弁組立体が、出口に結合されている逆止弁を更に備え、その逆止弁は、弁組立体の選択された圧力設定よりも低い停止圧力設定を含む。別の例では、シャント弁組立体が、ばねに係合し、ロータに結合されているカムであって、ロータの回転によってカムが回転し、ばねの張力を弁要素に対して調節するカムを更に備え、ばねが、支点と、支点に取り付けられ、カムに係合するように構成されている第1のアームと、支点から延在し、弁要素に対して着座するように構成されている自由端部を備える片持ちアームとを備える片持ちばねであり、支点、第1のアーム、及び片持ちアームが、梃子の効果を提供するように構成されて、カムによって第1のアームに加えられる第1の圧力が、片持ちばねによって、弁要素に対して加えられる第2の圧力に変換され、第2の圧力が第1の圧力よりも小さい。
【0014】
別の実施形態によれば、システムが、ハウジングの外部が生理的に適合する材料から形成されている、ハウジングと、ハウジング内に配置され、ロータ筐体の内側面の周りに配置される複数の筐体歯を含むロータ筐体と、ロータ筐体とハウジングの外部との間に配置されており、弁座の中のロータ筐体端部で終端する入口と、片持ちばねと、片持ちばねによって弁座に付勢される弁要素であって、弁要素及び弁座が一体に穴を形成する弁要素と、ハウジング内に配置され、外部磁場のパルスに応答して、筐体歯に交互に係合し、それによって磁気ロータをロータ筐体に対して回転させ、シャント弁組立体の選択された圧力設定を生成するように構成されている第1のロータ歯及び第2のロータ歯を含む磁気ロータと、ロータ筐体とハウジングの外部との間に配置されている出口とを備える外部からプログラム可能な移植可能なシャント弁組立体を備え、シャント弁組立体は、入口内の流体の圧力が、シャント弁組立体の選択された圧力設定を超える場合、穴が開いて、穴を通って出口の中に流体を排出するように構成されている。システムは、磁気ロータのロータ筐体に対する回転を誘導する外部磁場のパルスを生成するように構成されている少なくとも1つの磁気コイルを備える移植できないトランスミッタヘッドと、トランスミッタヘッドに結合されており、トランスミッタヘッドに信号を提供して、トランスミッタヘッドを制御して、シャント弁組立体の圧力設定を選択された圧力設定に設定するように、外部磁場のパルスを生成するように構成されている制御装置とを更に備える。
【0015】
一例では、制御装置が、シャント弁組立体の選択された圧力設定を選択するユーザからの入力を受信するように構成されているユーザインターフェースを備える。別の例では、トランスミッタヘッドが、シャント弁組立体の内部の磁気ロータの位置を検出するように構成されている第1の磁気センサを更に備え、制御装置が、第1の磁気センサと通信しており、磁気ロータの位置に基づいてシャント弁組立体の圧力設定を決定するように構成されているロータ位置検出器を更に備える。別の例では、弁組立体が、ハウジング上又はハウジング内の固定された位置に配置されている基準マーカを更に備え、基準マーカが、既知の配向の磁気基準を提供するように構成されており、トランスミッタヘッドが、基準マーカの位置を測定するように構成されている第2の磁気センサを更に備え、制御装置が、第2の磁気センサと通信し、基準マーカの位置に対する磁気ロータの位置を決定するように構成されている基準検出器を更に備える。第1の磁気センサ及び第2の磁気センサが、例えば、ホールセンサであることができる。
【0016】
一例では、トランスミッタヘッドが、選択された圧力設定にしたがって磁場のパルスの数を調節するために、制御装置によってプログラムされるように、制御装置が自動化されている。
【0017】
一例では、システムが、外部からプログラム可能なシャント弁組立体に直列に結合されている移植可能な重力起動型弁を更に備える。
【0018】
一例では、少なくとも1つの磁気コイルが、トランスミッタヘッド内部に互いから離隔配置されている複数の磁気コイルを備え、制御装置が、各複数の磁気コイルに結合され、外部磁場のパルスを生成するために、1つ又は複数の複数の磁気コイルを選択的に起動するようにトランスミッタヘッドを制御するように構成されている。
【0019】
一例では、流体は脳脊髄液である。
【0020】
一例では、ロータ筐体が略円形の内側面を含み、筐体歯が内側面の周囲の周りに配置されている。筐体歯と、第1のロータ歯及び第2のロータ歯とが、磁気ロータがロータ筐体に対して回転する円形の一方向に配向され得る。
【0021】
一例では、磁気ロータがロータ筐体に対して回転中に、磁気ロータが、ロータ筐体内で左右に移動される。別の例では、磁気ロータがロータ筐体に対して回転中に、磁気ロータが、ロータ筐体に対して上下に移動される。
【0022】
システムのシャント弁組立体は、ばねに係合するとともに、ロータに結合されているカムを更に備えて、ロータの回転によってカムが回転し、弁要素に対するばねの張力を調節するようにする。一例では、片持ちばねが、固定端部及び自由端部を含む楕円形リングであって、楕円形リングの自由端部がカムに着座する、楕円形リングと、楕円形リングの固定端部から楕円形リングの内部の中に延在する片持ちアームであって、片持ちアームの自由端部が弁要素に対して着座する、片持ちアームとを備える。別の例では、片持ちばねが、片持ちアームと、ばねの取付けの固定点から互いに略平行に延在する第2のアームとを備え、片持ちアームが、弁要素に対して着座する自由端部を含む。別の例では、片持ちばねが、支点と、支点に取り付けられ、カムに係合するように構成されている第1のアームと、支点から延在し、弁要素に対して着座するように構成されている自由端部を備える片持ちアームとを備え、支点、第1のアーム、及び片持ちアームが、梃子の効果を提供するように構成されて、カムによって第1のアームに加えられる第1の圧力が、片持ちばねによって、弁要素に対して加えられる第2の圧力に変換され、第2の圧力が第1の圧力よりも小さい。別の例では、片持ちばねが、ロータ筐体の下側に対して着座するリングと、リングの外周の取付け部分から互いに略平行に延在し、ロータ筐体の下側に固定されている第1の固定端部及び第2の固定端部の中にそれぞれ終端する第1のアーム及び第2のアームと、リングの外周から延在し、弁要素に対して着座する自由端部の中に終端する片持ちアームであって、第1のアームと第2のアームとの間に配置されている片持ちアームとを備える。別の例では、片持ちばねが、2つの平行なアームによって隣接されている中央の片持ちアームを備え、中央の片持ちアームが、弁要素に対して着座する自由端部を含み、2つの平行なアームがロータ筐体の下側に固定されている。
【0023】
別の例実施形態は、流体を受けるように構成されている入口と、流体を排出するように構成されている出口と、入口と出口との間に配置され、入口から出口まで弁を通る流体の流量を制御するように構成されている弁とを備える、磁気によってプログラム可能なシャント弁組立体を対象とする。弁が、入口に結合されている弁座と、弁座の中に着座する弁要素であって、弁要素及び弁座が一体に穴を形成し、穴を通って流体が流れ、流体の流量が穴の寸法によって制御される弁要素と、弁要素を弁座に対して付勢し、それによって穴の寸法を制御するように構成されているばねであって、ばねが、ばねの取付けの固定点から互いに略平行に延在する第1のアームと第2のアームとを備え、第1のアームが弁要素に対して着座する自由端部を含む、ばねと、ロータ筐体の内側面の周りに配置されている複数のロータ歯を含むロータ筐体と、ロータ筐体内に配置され、第1のロータ歯と、第1のロータ歯の概ね反対側に配置されている第2のロータ歯とを備える磁気ロータであって、筐体歯が、外部磁場の交互に変化するパルスに応答して、第1のロータ歯と第2のロータ歯に交互に係合して、それによって磁気ロータをロータ筐体に対して回転させるように構成されている、磁気ロータと、磁気ロータに結合され、磁気ロータと共に回転するように構成されているカムであって、カムが、ばねの第2のアームに係合するように配置されて、磁気ロータの回転がばねの張力を変化させ、それによって、穴の寸法を制御し、弁の圧力設定を決定する、カムとを備える。
【0024】
一態様によれば、シャント弁組立体の圧力設定を決定する方法であって、シャント弁組立体が、必要な場合に患者の体内に移植される方法が提供され、この方法は、患者の外部、及び移植されたシャント弁組立体の近傍にコンパスを配置するステップであって、コンパスの針が磁気ロータに位置合わせされ、それによって、磁気ロータの配置及びシャント弁組立体の圧力設定を示すステップを含む。
【0025】
別の態様によれば、必要な場合に患者の体内に移植されるシャント弁組立体の圧力設定を決定する方法が、患者の外部かつ移植されたシャント弁組立体の近傍にホールセンサを配置するステップであって、ホールセンサが、磁気ロータの回転角度を識別し、それによって、シャント弁組立体の圧力設定を決定するステップを含む。
【0026】
別の態様によれば、必要な場合に患者の体内に移植されるシャント弁組立体の作動圧力を調節する方法が、移植されたシャント弁組立体の近傍及び患者の外部に外部磁場を加えるステップを含む。
【0027】
一実施形態によれば、必要な場合に患者の脳室の寸法を減少させる方法が、シャント弁組立体を患者の中に移植するステップと、弁の移植前に、弁組立体の選択された圧力を患者の脳室圧力よりも小さい圧力に設定するステップとを含む。
別の実施形態によれば、水頭症を患う患者を治療する方法が、シャント弁組立体を患者の中に移植するステップと、弁の移植前に、弁組立体の選択された圧力を患者の脳室圧力よりも小さい圧力に設定するステップとを含む。
【0028】
別の実施形態では、必要な場合に患者の脳室の寸法を増加させる方法が、シャント弁組立体を患者の中に移植するステップと、シャント弁組立体の選択された圧力を患者の脳室圧力よりも大きい圧力に設定するステップとを含む。
別の実施形態は、ばねによって弁座に対して付勢される弁要素と、ばねに結合され、ばねの中で張力を調節することによって弁組立体の圧力設定を変更するように構成されているカムとを含む弁組立体の中で使用するように構成されている片持ちばねを対象とする。片持ちばねが、支点と、支点に取り付けられ、カムに係合するように構成されている第1のアームと、支点から延在し、弁要素に対して着座するように構成されている自由端部を含む片持ちアームとを備え、支点、第1のアーム、及び片持ちアームが、梃子の効果を提供するように構成されて、カムによって第1のアームに加えられる第1の圧力が、片持ちばねによって、弁要素に対して加えられる第2の圧力に変換され、第2の圧力が第1の圧力よりも小さい。
【0029】
片持ちばねの一例では、第1のアーム及び片持ちアームが、支点から互いに略平行に延在する。片持ちアームは、第1のアームよりも長い可能性がある。一例では、第1のアームが、支点に取り付けられる固定端部を含む楕円形リングと、カムに対して着座するように構成されている自由端部とを備え、片持ちアームが、楕円形リングの固定端部から楕円形リングの内部の中に延在する。一例では、第2の圧力が、0から200mmH
2Oの範囲内である。
【0030】
別の実施形態によれば、片持ちばねが、支点と、支点から延在し、支点及び自由端部に取り付けられている固定端部を含む第1のアームと、支点から延在し、支点に取り付けられている第1の端部を含む片持ちアームとを備え、支点、第1のアーム、及び片持ちアームが、梃子の効果を提供するように構成されて、第1のアームの自由端部に加えられる第1の圧力が、片持ちばねによって、片持ちアームの自由端部が着座する対象物に対して片持ちアームの自由端部によって加えられる第2の圧力に変換され、第2の圧力が第1の圧力よりも小さい。
【0031】
片持ちばねの一例では、第1のアーム及び片持ちアームが、支点から互いに略平行に延在する。片持ちアームは、第1のアームよりも長い可能性がある。一例では、第1のアームが、支点に取り付けられる固定端部を含む楕円形リングを備え、片持ちアームが、楕円形リングの固定端部から楕円形リングの内部の中に延在する。別の例では、片持ちばねが、支点に取り付けられるとともに、楕円形リングを概ね取り囲んで配置される外側リングを更に備える。別の例では、片持ちばねがV字形を含むように、第1のアーム及び片持ちアームが、支点から延在して配置される。一例では、第2の圧力が、0から200mmH
2Oの範囲内である。
【0032】
別の実施形態によれば、片持ちばねが、ばねと、リングの外周の取付け部から互いに略平行に延在し、第1の固定端部及び第2の固定端部の中にそれぞれ終端する第1のアーム及び第2のアームと、リングの外周から延在し、自由端部の中に終端する片持ちアームとを備え、片持ちばねが、取付け部の略反対側に配置されているリングの自由部分に対して加えられる第1の圧力が、片持ちアームの自由端部によって、片持ちアームの自由端部が着座する対象物に対して加えられる第2の圧力に、片持ちアームのばねにより変換され、第2の圧力が第1の圧力よりも小さい。
【0033】
別の態様は、ハウジングと、ハウジング内に配置され、ロータ筐体の内側面の周りに配置されている複数の筐体歯を含むロータ筐体と、ハウジング内に配置され、外部磁場に応答して、ロータ筐体の歯に交互に係合し、それによって磁気ロータをロータ筐体に対して回転させるように構成されている第1のロータ歯及び第2のロータ歯を含む磁気ロータであって、外部磁場の各パルスが、磁気ロータのロータ筐体に対する回転の所定の増分を生成する、磁気ロータとを備える、磁気によってプログラム可能な位置制御装置を備える位置制御システムを対象とする。位置制御システムは、磁気によってプログラム可能な位置制御装置のハウジングの外部のトランスミッタであって、磁気ロータのロータ筐体に対する回転を誘導するために、外部磁場のパルスを生成するように構成されている少なくとも1つの磁気コイルを含むトランスミッタと、トランスミッタに結合されており、トランスミッタを制御して、外部磁場の選択された数のパルスを生成して、磁気ロータの選択された回転量を誘導するように構成されている制御装置とを更に備える。
【0034】
これらの例示的態様及び実施形態のやはり別の態様、実施形態及び利点が、以下に詳細に考察される。本明細書で開示される実施形態は、本明細書で開示される少なくとも1つの原理に一致する任意の様式で他の実施形態と組み合わせることができ、「ある実施形態」、「いくつかの実施形態」、「代替実施形態」、「変形実施形態」、「一実施形態」などへの参照は、必ずしも互いに限定的ではなく、説明される特定の形態、構造又は特徴が少なくとも1つの実施形態の中に含まれ得ることを示すように意図される。本明細書でそのような用語の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態に言及するのではない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
少なくとも1つの実施形態の様々な態様が、添付の図面を参照して以下に考察されるが、同じ参照符号は、様々な図面を通して同じ部品を示す。分かりやすくする目的で、すべての図面の中ですべての構成要素が符号を付されとは限らない可能性がある。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、その代わり、本発明の原理を説明することに重点が置かれている。図面は、様々な態様及び実施形態の説明及びより深い理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれ、本明細書の部分を構成するが、本発明の限定を定義すると意図されるのではない。
【
図1】
図1は、本発明の態様による弁組立体の一例の横断面図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明の態様による磁気ロータを含む弁の一例の上面図である。
【
図3B】
図3Bは、
図3Aの磁気ロータを含む弁の上面図であり、本発明の態様による、ボール弁要素に対して付勢されているばねを更に示す図である。
【
図5】
図5A〜
図5Gは、本発明の態様による、磁気ロータが左右に移動される場合、ロータ筐体内の磁気ロータの移動を示す図である。
【
図6】
図6A〜
図6Cは、本発明の態様による、磁場の変化に応答してロータ筐体内で左右に移動される磁気ロータの一例を示す図である。
【
図7A】
図7Aは、本発明の態様による、磁気ロータを含む弁組立体一例を表示する三次元のレンダリングの図である。
【
図8】
図8Aは、本発明の態様による、弁要素に対して付勢されている巻きばねを含む弁組立体の別の構成の横断面図であり、
図8Bは、
図8Aの構成の上面図であり、
図8Cは、
図8Aの構成の底面図である。
【
図9】
図9Aは、本発明の態様による、磁気ロータ及び巻きばねを含む弁組立体の構成の別の例の横断面図であり、
図9Bは、
図9Aの構成の上面図であり、
図9Cは、
図9Aの構成の底面図である。
【
図10】
図10A及び
図10Bは、本発明の態様による、片持ちばね、ディスクカム及び磁気ロータを含む弁組立体の別の構成の三次元の図である。
【
図11】
図11A及び
図11Bは、本発明の態様による、片持ちばね、カム及び磁気ロータを含む弁組立体の別の構成の三次元の図である。
【
図12】
図12Aは、本発明の態様による、磁気ロータ、及び2つの外側アームを含む片持ちばねを備え、ばねが弁要素に対して付勢されている、弁組立体の構成の別の例の横断面図であり、
図12Bは、
図12Aの構成の上面図であり、
図12Cは、
図12Aの構成の底面図である。
【
図14B】
図14Bは、本発明の態様による、
図14Aの弁組立体の別の例の平面図であり、入口及び出口が弁ハウジングの中に組み込まれている図である。
【
図15C】
図15Cは、本発明の態様による、弁構成要素のための密封型容器を形成する弁本体を示す、
図14Aの弁組立体の三次元の図である。
【
図17】
図17は、本発明の態様による、カムの回転に応答して、
図14A及び
図14Bの弁組立体のカムによって加えられる増加する圧力を示す図である。
【
図19】
図19は、
図14Aの弁構成の一例としての、カム回転の関数として、カムによってばねに対して働く圧力のグラフである。
【
図20】
図20は、本発明の態様による、「シーソー」運動で上下に移動する磁気ロータを含む弁組立体の一例の横断面図である。
【
図21】
図21は、本発明の態様による、「シーソー」運動で移動する磁気ロータを含む弁組立体の別の例の三次元の図である。
【
図22】
図22A及び
図22Bは、本発明の態様による、弁の近傍にある磁化したコイル及びコイルの磁気極性の変化に応答して上下に移動するロータを示す、
図21の弁組立体の部分の側面図である。
【
図23】
図23A及び
図23Bは、本発明の態様による、交互に上下に移動するロータ及び付勢ばねの構成の一例を示す、
図21の弁組立体の部分の側面図である。
【
図25】
図25は、本発明の態様による、ロータが上下に移動する場合、ロータ筐体内でのロータの二次的増分運動、及びロータ歯と筐体歯との間の相互作用を示す、上下に移動されるロータの一例の三次元の図である。
【
図26】
図26は、本発明の態様による、ロータが上下に移動する場合、筐体歯に対するロータ歯の二次的増分運動の拡大図を概略的に示す図である。
【
図27】
図27A〜
図27Eは、本発明の態様による、ロータの移動中にロータ歯の「正面」と筐体歯との間の相互作用を示す図である。
【
図29A】
図29Aは、本発明の態様による、上下に移動する磁気ロータの一例の三次元の図である。
【
図29B】
図29Bは、本発明の態様による、上下に移動する磁気ロータの一例の三次元の図である。
【
図33】
図33Aは、本発明の態様による、弁ハウジング内で上下する磁気ロータを含む弁組立体の一例の横断面図であり、
図33Bは、
図33Aの弁組立体の上面図である。
【
図34】
図34Aは、本発明の態様による、上下する磁気ロータ、予室、ポンプ室、及び逆止弁を含む弁を備える弁組立体の一例の側面図であり、
図34Bは、
図34Aの弁組立体の上面図である。
【
図35】
図35Aは、本発明の態様による、上下に移動する磁気ロータ及び予室を含む弁を備える弁組立体の一例の側面図であり、
図35Bは、
図35Aの弁組立体の上面図であり、
図35Cは、本発明の態様による、
図35A及び
図35Bの弁組立体の側面図であり、予室内のカテーテル結合機構を更に示す図である。
【
図36】
図36Aは、本発明の態様による、弁ハウジング内で左右に移動する磁気ロータを含む弁組立体の一例の横断面図であり、
図36Bは、
図36Aの弁組立体の上面図である。
【
図37】
図37Aは、本発明の態様による、左右に移動する磁気ロータ、予室、ポンプ室及び逆止弁を含む弁を備える弁組立体の一例の側面図であり、
図37Bは、
図37Aの弁組立体の上面図である。
【
図38】
図38Aは、本発明の態様による、左右に移動する磁気ロータ、及び予室を含む弁を備える弁組立体の一例の側面図であり、予室内のカテーテル結合機構を更に示す図であり、
図38Bは、
図38Aの弁組立体の上面図である。
【
図39】
図39は、本発明の態様による、磁気によってプログラム可能な弁と連続して結合されている移植された重力起動型弁の例の概略図である。
【
図40】
図40Aは、本発明の態様による、左右に移動する磁気ロータを含むプログラム可能な弁に直列に結合されている重力起動型弁を備える弁組立体の一例の側面図であり、
図40Bは、
図40Aの弁組立体の上面図である。
【
図41】
図41Aは、本発明の態様による、上下に移動する磁気ロータを含むプログラム可能な弁に連続して結合されている重力起動型弁を備える弁組立体の一例の側面図であり、
図41Bは、
図41Aの弁組立体の上面図である。
【
図42】
図42は、本発明の態様による、重力起動型弁の一例の図である。
【
図43】
図43は、本発明の態様による、移植された弁及び外部の弁プログラマの図である。
【
図44】
図44Aは、本発明の態様による、
図43の弁プログラマのトランスミッタヘッド内部に含まれる磁気コイルの一例の図であり、
図44Bは、本発明の態様による、
図43の弁プログラマのトランスミッタヘッド内部に含まれる磁気コイルの一例の図であり、
図44Cは、本発明の態様による、
図43の弁プログラマのトランスミッタヘッド内部に含まれる磁気コイルの一例の図である。
【
図45】
図45Aは、本発明の態様による、
図44Aに示される、磁場の変化に応答してロータ筐体内で左右に移動する磁気ロータの一例を示す図であり、
図45Bは、本発明の態様による、
図44Bに示される、磁場の変化に応答してロータ筐体内で左右に移動する磁気ロータの一例を示す図であり、
図45Cは、本発明の態様による、
図44Cに示される、磁場の変化に応答してロータ筐体内で左右に移動する磁気ロータの一例を示す図である。
【
図46】
図46は、本発明の態様による、本明細書に開示される任意の弁組立体を調節し、若しくは作動するために使用可能であるプログラム可能な制御システムの一例の概略図である。
【
図47】
図47は、本発明の態様による、本明細書に開示される任意の弁組立体を調節し、若しくは作動するために使用可能であるプログラム可能なシステムの別の例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
態様及び実施形態は、有限増分で弁の圧力設定を増加又は減少させるように構成されている磁気ロータを組み込む弁組立体を対象とする。以下に詳細に考察するように、磁気ロータを弁組立体の筐体内部で位置を変えることによって、弁要素の開口圧力が調節されること可能であり、それによって、弁組立体を通る流体の流れを増加又は減少させることができる。弁組立体の特定の実施形態は、水頭症を患う対象患者の中に移植するように適合され、CSFを排出するために使用され得る。
【0037】
図1及び
図2Aから
図2Cを参照すると、例えばCSF弁などの移植可能な弁の特定の構成が、ばね109によって弁座103に対して付勢されている弁要素101を含む。流体(例えばCSF)の圧力が、弁要素101を弁座103から上昇させやすい方向に、弁要素101及びばね109を押す。ばね109は、例えば、引張りばね、圧縮ばね、巻きばね又はコイルばね、トーションばね、板ばね、リーフばね又は片持ちばねを備えることができる。ばね109の特定の実施形態が、以下に更に詳細に考察される。弁要素101は、球形、円錐形、円柱又は他の適切な形状であることができる。
図1及び
図2Aから
図2Cに図示される例では、弁要素101は、球形ボールである。球形ボール及び/又は弁座は、例えば合成ルビー又はサファイアを含む任意の適切な材料から作製され得る。弁座103は、球形弁要素のための円錐台形面など、相補的表面を提供し、弁の閉じた位置では、弁要素101が弁座103内部に着座することによって、流体密封をもたらす。圧力設定、例えば、そのような弁の開口圧力は、弁座103に対する弁要素101の付勢力を変更することによって調節される。
【0038】
弁組立体は、入口105及び出口107を含む。入口105は、近位の(又は流入)カテーテルに結合されることができ、出口107は、遠位のカテーテルに結合され得る。CSF液を分流する弁組立体の場合、近位カテーテルは、脳室カテーテルと呼ぶことができ、遠位カテーテルは、排出するために流体を身体の遠隔位置(心臓の右心房又は腹腔など)に導く。弁要素101及び弁座103の表面は、一体に穴を画定し、穴の寸法及び直径は、弁組立体を通るCSF流の速度及び量を決定する。好ましくは、弁要素が弁座に着座する場合に、穴が実質的に閉鎖されるように、弁要素101は弁座103よりも大きい直径を有する。弁要素101は、穴の入口側に配置され、穴の円形周囲に対して付勢され、入口室内のCSF圧力が予め選択された吹き出し圧力を超えるまで、穴を閉鎖された状態に保つ。「吹き出し圧力」という用語は、弁の開口圧力を指し、一般的に作動圧力よりもわずかに大きい圧力である。「作動圧力」という用語は、「動作圧力」とも呼ぶことができ、流体が弁を通って流れる間の弁の圧力である。閉鎖圧力は、弁を通る流体流が停止する弁の圧力である。当業者なら理解するように、本開示の利点を与えられるならば、閉鎖圧力は作動圧力よりも小さい。
【0039】
一実施形態によれば、ばね109を弁要素101に対して付勢することは、弁の作動圧力を有限増分で増加又は減少させる磁気ロータを使用して達成される。
図3A及び
図3Bは、特定の実施形態による磁気ロータ300の一例を図示する。
図3Aでは、ばね109を示さずに磁気ロータ300が図示されており、
図3Bでは、ばね109と共に磁気ロータ300が図示されている。本明細書で使用される場合、「磁気ロータ」という用語は、少なくとも1つの磁石を備えるロータを指す。一実施形態では、ロータの一方の端部が外部磁場のS極に引き付けられ、N極によって反発され、ロータの他方の端部が外部磁場のN極に引き付けられ、S極によって反発されるような様式で、1つ又は複数磁石が配向される。例えば、ロータの対向する端部に向くN極及びS極を含む単一の磁石の使用によって、又は外部磁場に向かって反対の極に向くように構成されている、ロータの対向する端部に配置される2つの磁石の使用によって、このことが実施され得るということを当業者なら、本開示の利点を与えられるならば、理解するであろう。
【0040】
図1、
図2A、
図2B、
図2C、
図3A、
図3B及び
図3Cを参照すると、一実施形態では、磁気ロータ300は細長く、第1のロータ端部及び第2のロータ端部を有し、第1のロータ端部から延在する第1のロータ歯301、及び第2のロータ端部から延在する第2のロータ歯303を備える。一例では、第2のロータ歯303は、ロータの回転軸線を中心として測定すると、第1のロータ歯301から約180°に配置されている。しかし、別の例では、以下に更に考察するように、他の構成が実施され得る。磁気ロータ300は、ロータ筐体305の中に収容されている。
図1、
図2A、
図2B、
図2C、
図3A、及び
図3Bに図示される例では、ロータは、それぞれロータ歯301、303に結合されている第1の磁石端部307及び第2の磁石端部309を含む。一例では、ロータ筐体305は、ロータ筐体内に配置されるとともに、以下に詳細に考察されるように第1のロータ歯301、第2のロータ歯303に交互に係合するように適合されている多数の筐体歯311を含む。例示的な例では、ロータ筐体305は円形であり、筐体歯311は、ロータ筐体の周囲の周りに配置されている。しかし、別の例では、ロータ筐体305は他の形状を有することができる。
【0041】
特定の実施形態では、筐体歯311の突出部は径方向内側にあり、ロータの回転軸線に向いており、ロータ歯301、303は、径方向外側に、又はロータの軸線から離れて突出している。別の実施形態では、筐体歯311の突出部は、例えばクラウンギヤの歯の中のように、ロータ300の回転軸線に平行であり、ロータ歯301、303の突出部は、ロータ軸線に沿っている、又はロータ軸線に位置合わせされている。
【0042】
磁気ロータ300の一例の斜視図が、
図4に図示されている。
【0043】
一実施形態によれば、外部磁場からの磁気パルスが、ロータ筐体305内部のロータの運動を制御するために使用される。外部磁場は、例えば、以下により詳細に考察するように、弁組立体の近傍に配置される磁気コイルによって生成され得る。一実施形態では、筐体歯311が、例えば
図4に示すようにロータ筐体305の内部に略円形配置に配置されるので、例えば、ロータガイド115がロータ300をロータ筐体305内で回転させる。ロータ300は、ばね109に係合するカム又は他の装置に結合されることができて、ロータ筐体内でのロータの回転が、ばね109の弁要素101に対して付勢する張力を変化させる力を生み出す。このようにして、弁要素101及び弁座103の相対的な配置によって形成される穴の寸法が、調節可能であり、それによって、弁を通る流体の流量を制御することができる。
【0044】
図5Aから
図5Gを参照すると、ロータ300が1つの方向に移動されるので、先行歯(図示の例の中の第1のロータ歯301)の前縁が、対向する筐体歯311の傾斜した面に係合する。ロータ300の連続的な移動力が、先行歯301の前縁を対向する筐体歯311の傾斜した面の中に付勢する。ロータ300の外側径方向の力が、対向する筐体歯311の傾斜した面(例えば、傾斜した平面)によって径方向及び周方向の成分に変換される。力の周方向の成分は、ロータ300とロータ筐体305との間の回転移動を起こす傾向がある。この回転移動は、先行ロータ歯301が、例えば隣接する筐体歯311間に形成されるノッチで、最大の大きさに到達するまで継続する。
図5Aから
図5Dは、ロータ300の移動のこの進行の一例を図示する。
図5Eから
図5Gに示すように、対向するロータ歯303が先行歯になる次のサイクルの間で(例えば、その次の磁気パルスに応答して)同様の結果が発生する。
【0045】
ロータ歯301、303及び筐体歯311の形状は、例えば、ラチェッティング動作をもたらすように制御されることができて、ロータ300のロータ筐体305に対する相対的回転が、N周期及びS周期のそれぞれについて常に同じ方向であるようにする。歯の形状の例には、限定しないが、三角形、鋸歯形状及び台形が含まれる。一例では、ロータ歯301及び303、ならびに筐体歯311は、ロータ筐体305内のロータ300の移動を時計回り又は逆時計回りのいずれかの一方向に配向することができる。
【0046】
ロータ歯301及び303、ならびに筐体歯311の配向、及びロータ歯と筐体歯との間の相互作用に依存して、ロータ300の端部は、上記に考察し、
図5Aから
図5Gに図示するように、左右に、すなわちロータ筐体305の中で径方向に移動されることができるが、又は上下に、すなわち軸方向に「シーソー」運動で移動されることができる。
図3A、
図3B及び
図4は、左右に移動される磁気ロータ300の一例を図示する。上下に移動される磁気ロータの例は、以下に更に考察する。左右に移動される磁気ロータ300は、それぞれがロータの異なる端部の方へ向く、2つの対向して分極された端部を含む単一の磁石を含むことができる。上下に移動される磁気ロータは、好適には2つの磁石を含むことができ、以下に更に考察するようにロータの2つの端部のそれぞれに1つの磁石が配置されている。そのような例では、一方の磁石がロータから離れて配向されているN極を有し、したがって、外部磁場のS極に引き付けられる。例他方の磁石がロータから離れて配向されているS極を有し、したがって、外部磁場のN極に引き付けられる。
【0047】
磁気インパルスによって誘発されるロータの左右又は上下の運動は、ロータ歯301及び303が筐体歯311と交互に係合することをもたらし、上記に考察するようにロータの角度の移動をもたらす。例えば、
図6Aから
図6Cは、変化する磁場に応答して、一度に半分の筐体歯ずつ(ロータ歯301及び303の筐体歯311に対する点線で示す運動によって示されるように)、ロータ筐体305の内で左右に移動される磁気ロータ300の一例を図示する。
図6Aから
図6Cを参照すると、加えられる磁場が、磁気ロータ300の近傍でS極(601によって概略的に示されている)を有する場合、ロータのS極は反発され、ロータのN極は引き付けられる。その結果、ロータ300は、ロータ筐体305の一方の側部から他方の側部へ移動される。同様に、加えられる磁場が、N極(603によって概略的に示されている)を有する場合、ロータのN極は反発され、ロータのS極は引き付けられる。その結果、ロータ300は、反対方向に移動される。ロータ300は、加えられる磁場の極性の各変化に応答して、各ロータ筐体305の一方の側部からロータ筐体の他方の側部に移動する。ロータ300が移動される場合、ロータ300は、ロータ筐体305の内側面上に配置される筐体歯311によって誘導される。
【0048】
図4から
図6Cに図示される磁気ロータ300の例として、ロータ300が、磁気パルス毎に半分の筐体歯の増分で時計回り方向にだけ回転するように、筐体歯311及びロータ歯301、303は構成されている。対向する極性の1対のパルス(例えば、Sに続いてN、又はその逆)によって、ロータ300が1つの筐体歯311だけ回転することになる。本開示の利点を得る当業者なら理解するように、別法として、ロータ300が反時計回り方向にだけ回転するように、ロータ歯301、303及び筐体歯311は構成され得る。加えて、各磁気インパルスに応答するロータ300の回転の増分(例えば、回転角度数)は、筐体歯311の数を変化させることによって変更され得る。少なくともいくつかの実施形態では、そのサイクル中のロータ300の位置に関係なく、少なくとも1つのロータ歯301、303が常に少なくとも1つの筐体歯311に係合する。したがって、各サイクルについて2つ以上の歯によって回転することはないであろう。そのような安全な特徴によって、そうでない場合に不測の磁場の存在で経験されるような過度な回転を防止する。
【0049】
上記に考察するように、特定の実施形態にしたがって磁気ロータによって作動される弁組立体は、弁要素101を弁座103に付勢するためのばね109を含む。流体は入口105に入り、弁座103に着座する弁要素101を押す。弁座103及び弁要素101は、例えば、合成ルビー又はサファイアから作製され得る。ロータ筐体内のロータの回転が、ばね109を制御して、弁座103に対して弁要素101を付勢するように調節し、それによって穴の寸法を調節し、弁を通る流体の流れを制御するように、弁組立体は構成される。一実施形態では、弁組立体は、ばね109に係合するカム111を更に含む。カム111は、磁気ロータ300に結合されることができ、ばね109に接触して、ロータ300の移動がカム111を運動させ、その運動が、今度は弁要素101に対するばね109の張力を調節する。特に、ロータ300は、ロータが回転するにつれて回転するロータガイド115を含むことができ、カム111を円運動させ、ばね109の張力を変化させる。一例では、ロータ300の時計回り方向の回転によって、カム111もやはり時計回り方向に回転する。
【0050】
いくつかの実施形態では、カム111は、ばね109の垂直な移動を間接的又は直接的に生み出す。カム111は、例えば、ばね109に接触するらせん状に傾斜した面113を有することができる。特定の例では、カム111は、最も低い位置から次第に傾斜する傾斜した面113を含む円形の形状である。本開示の利点を与えられる当業者なら理解するように、傾斜した面113を含むカム111は、次第に傾斜し、又は不連続に段階的に傾斜する面を含むカムを含むことができる。ロータ300が回転するにつれて、傾斜した面113を含むカムもまた回転し、カム111のばね109に対する傾斜のレベルを変化させることによって、ばね109の張力を変化させる。そのような傾斜した面113を含むカム111は、ばね109の垂直移動を生成するものとして説明され得る。
【0051】
水頭症の治療など、弁組立体の特定の応用について、例えば、弁の圧力の範囲は、約0〜200mmH
2O又は0〜400mmH
2Oであることができるが、それらは非常に低い圧力範囲である。更に、範囲内の小さい圧力変化を生成することが望ましい可能性がある。しかし、カム111が、例えば2〜3マイクロメートル程度の非常に微細な運動を可能とする弁組立体を作製することは実用的ではない(製造上の制約などに起因して)。したがって、低圧力範囲及び圧力の小さい増分変化に適応するために、非常に柔らかいばね109が必要となる可能性がある。従来から、十分に柔らかいばねを得るために、そのばねは非常に長くなる。しかし、移植可能なハウジングの内部に非常に長い、柔らかいばねを収容することは、難題をもたらす可能性がある。したがって、態様及び実施形態は、梃子又は「ギヤ低減」効果を生成するばね構成を対象としており、カム111の適正な(すなわち、標準的製造能力の範囲内)運動が、低圧力設定の非常に小さい調節に変換されることが可能になる。特に、特定の実施形態は、片持ちばね構成を含み、ばね109はカム111と直接的又は間接的に接触する要素(又はアーム)、及び弁要素101に対して付勢される別の要素(又はアーム、片持ちアームとも呼ばれる)を含む。カム111の回転が、カムと接触するばね要素に対して圧力をもたらし、その圧力がばね構造を通って拡散され、低減されて、片持ちアームによって弁要素101に対して加えられる、結果として生じる圧力が、所望の範囲内(例えば、上記に言及するように、0〜200mmH
2O)になる。
【0052】
図3B、
図7A及び
図7Bを参照すると、片持ちばね109の一例が図示されている。
図7Aは、
図3A及び
図3Bに示されるばね109及びカム111の構成の三次元図である。
図7Bは、
図7Aの構成の分解図である。この例では、片持ちアーム109aが、弁要素101に対して付勢されている自由端部を有する。片持ちアーム109aは、固定端部109c及び自由端部109dを含む楕円形リング109bから延在する(又は楕円形リング109bに付着され、例えば溶接される)。一例では、自由端部109dは固定端部109cから約180°にあり、自由端部109dはカム111に対して着座する。楕円形リング109bの固定端部109cは、今度は、ロータ筐体305の周辺の頂部に着座する外側リング109eに固定される。この例では、カム111は、ばね109の垂直な移動を生成する傾斜した面113を有する。一実施形態では、ばね109の自由端部109dが、その最も低いレベルの傾斜又は最も低い位置でカム111に対して着座している場合、弁の圧力設定は最高になるであろう。逆に、ばね109の自由端部109dが、カムの最も高い位置(片持ちアーム109aを上方に、又は言い換えれば、弁座103の反対方向に押す傾向がある)でカム111に対して着座している場合、弁の圧力設定は最低になるであろう。
図7Aでは、楕円形リング109cの自由端部109dが、傾斜の最も高いレベル近傍の位置のカム111上に着座しているように示されている。
図7Aから分かるように、この位置では、ばね109の片持ちアーム109aが、弁座103から離れて押されている。上記に考察するように、この構成では、カム111によってばね109の自由端部109dに対して働く圧力は、楕円形リング109b及び片持ちばねの支点(この場合、固定端部109c)を通って片持ちばねアーム109aまで伝達されて、片持ちアーム109aの自由端部によって、弁要素101に対して加えられる圧力は、カム111に接触するばねのリーフが直接弁要素に接触するとした場合に加えられる圧力と比較して、非常に低減されるようにする。
【0053】
いくつかの実施形態では、カム111は、ばね109の水平な移動を間接的又は直接的に生み出す。例えば、カム111は、カムが回転するにつれてばねの張力を変化させることによって、ばね109の水平の移動、例えば径方向の移動を生成するディスクカムであることができる。ばね109の水平の(例えば、径方向の)移動を生成するように構成されているカムを含む弁組立体の一例が、
図8Aに図示されている。
図8Bは、
図8Aの構成の上面図であり、
図8Cは、
図8Aの構成の底面図である。この実施形態では、カム111はディスクカム801であり、ばね109は巻きばね803である。ディスクカム801は、巻きばね803と接触する伴板805の水平方向(例えば、径方向)の移動をもたらすことができる。本明細書で使用される場合、「伴板」という用語は、カム及びばねの両方に物理的に接触し、カムが回転するにつれて移動される要素を指す。
【0054】
図8Aから
図8Cを参照すると、流体は弁の側部で入口105に入り、破線によって示されているロータの中心回転軸線807に垂直な方向に弁要素101を押す。流体流の方向は、図面の右側から左側の矢印によって示されている。第1の磁石端部307、第2の磁石端部309、ロータ歯301及び303、ならびに筐体歯311を含むロータ300が、図示されている。ロータ300の回転は、ディスクカム801も回転させる。ディスクカム801は伴板805に接触し、伴板805は巻きばね803に接触する。したがって、ディスクカム801の回転が、伴板805の水平方向(例えば、径方向)の移動をもたらし、その移動によって、伴板805に接触している巻きばね803の張力を増加又は減少させる。カム801が回転するにつれて、カム801の中心と伴板805の接触点との間の距離が次第に増加又は減少し、それによって巻きばね803の張力が変化するように、ディスクカム801は成形されている。巻きばね803の張力が最も大きい場合、弁の圧力設定は最高となる。巻きばね803の張力が最も小さい場合、弁の圧力設定は最低となる。
図8Aから
図8Cに示すように、ディスクカム801の中心と伴板805に接触するディスクカムの外側周囲との間の距離が最大である場合、巻きばね803の張力は最大であり、弁要素101を弁座103に押す。上記に考察する片持ち配置と同様に、巻きばね構成では、カム801からの圧力が、巻きばね803の本体を通って、弁要素101が着座するばねの端部に移動され、減少される。
【0055】
別の実施形態では、ディスクカム801は、巻きばね803に直接物理的に接触することができる。ディスクカム801は、ディスクカム801が回転するにつれて、巻きばね803の水平方向の移動を生成するように構成され得る。
【0056】
図9Aから
図9Cは、左右に移動する磁気ロータを含む弁組立体の別の構成を図示する。この例では、ばねが巻きばね803である。
図9Aは、弁組立体の横断面図である。
図9Bは
図9Aの弁組立体の上面図であり、
図9Cは
図9Aの弁組立体の底面図である。流体は、弁の側部で入口105に入る。この構成では、巻きばね803を短くすること、又は長くすることによって、弁の圧力設定に変化をもたらす。例えば、巻きばね803が時計回り方向に回転するにつれて、ばねは長くなり、したがって、弁要素101に対するばねの圧力を減少させ、弁の圧力設定を減少させる。逆に、巻きばね803が反時計回り方向に回転するにつれて、ばねは短くなり、したがって、弁要素101に対するばねの圧力を増加させ、弁の圧力設定を増加させる。別法として、時計回り方向の回転が弁の圧力設定を増加させ、反時計回り方向の回転が弁の圧力設定を減少させるように、巻きばね803が構成され得ることを本開示の利点が与えられる当業者なら理解するであろう。
【0057】
別の例では、ディスクカム801は、例えばV字形ばねなど、2つのアームを備える片持ちばね109の水平方向(例えば径方向)の移動をもたらすように構成され得る。
図10A及び
図10Bは、左右に移動される磁気ロータ300及びディスクカム801を含む弁構成のそのような一例を図示し、ばね109はV字形ばね1001である。V字形ばね1001の一方のアームは、ディスクカム801に物理的に接触し(ディスクカム801に対して着座する)、他方のアームは弁要素101に対して付勢される。カムが回転するにつれて、カム801の中心とV字形ばね1001に接触する点との間の距離が次第に増加又は減少し、それによってばねの張力の変化をもたらすように、ディスクカム801が成形されているという点で、ディスクカム801は
図8Aから
図8Cのカムと同様であることができる。したがって、ロータ300の回転がカム801を回転させ、それによってV字形ばね1001の中の張力を増加又は減少させる。ばね1001の張力が、最も大きい場合、弁の圧力設定もやはり最高となる。上記に考察する配置に類似して、V字形ばね構成によって、カム801からの圧力が、ばねの支点(V字の先端)を通って、カムに接触するアームから弁要素に接触するアームに移動される。2つのアームの相対的な長さ及び支点の位置を選択することによって、弁要素101に対して加えられる圧力の範囲が、上記に考察するように、所望の範囲内に制御され得る。
【0058】
図11A及び
図11Bは、
図10A及び
図10Bに示す構成に類似する別の弁構成を図示する。この例では、ばね109は、上記に考察する片持ち効果を提供する2つのアームを有する湾曲ばね1101を含む。ばね1101の一方のアームはディスクカム801に着座し、ばねの他方のアームは弁要素101に着座する。この実施形態では、上記に考察する実施形態と類似して、ロータ300の回転が、ディスクカム801を回転させ、それがばね1101の張力を変化させ、したがって、弁の圧力設定を調節する。
【0059】
図12Aから
図12Cは、特定の実施形態による磁気ロータ300を含む弁組立体の別の構成を図示する。この例では、流体がハウジングの側部の入口105に入り、入口の筐体端部は、ロータの中心回転軸線807(破線によって示される)に平行である。カム111は、ロータ300の下方に配置され、前述のようにロータの回転によってカムもまた回転する。カム111の回転が、再びばね109の張力を増加又は減少させる。
図12Aから
図12Cに示す例では、ばね109は片持ちばねであり、リングの外側から延在する3つのアームを含むリング109fを備える。リング109fは、ロータ筐体305の下側に対して着座する。リング109fの外側から延在する中央アーム109gは、片持ちアームであり、その自由端部が弁要素101に着座している。リング109fから延在する他方のアーム109iは、ロータ筐体305の下側に固定されているが、枢動することができる。
図12Aから
図12Cに示すように、カム111がその最も高い位置にある場合、ばね109の中の張力は最も大きくなり、片持ちアーム109gを弁座103に対する方向に押しやすくなり、したがって弁の圧力設定を増加させる。
【0060】
図13Aから
図13Cは、
図12Aから
図12Cの構成に類似している弁構成を示し、カム111は、傾斜した面113を有し、ばね109は、2つの平行なアーム109kに隣接する中央アーム109jを含む。中央アーム109jは、弁要素101に着座する自由端部を含む片持ちアームであり、2つの平行なアーム109kがロータ筐体305の下側に固定されている。
図12Aから
図12C及び
図13Aから
図13Cに示すばねについて、カム111の配置とばね109の張力との間の関係は、枢動点1301、ばね109とカム111との間の接触点、及び片持ちアーム109gと弁要素101との間の接触点の位置に依存している。これらの関係に依存して、カム111がその最も高い位置にある場合、片持ちアーム109gが弁要素101の方へ押される可能性があり、又は別法として、片持ちアーム109gは弁要素101から離れて押される可能性がある。
図13Aから
図13Cに示す構成では、カム111が、ばね109に対してその最も高い位置にある場合(又は傾斜の最も高いレベル)、ばね109の張力は最も大きくなり、片持ちアーム109gを弁要素101に向かう方向へ押しやすくなる。しかし、片持ちアーム109gの枢動点1301が弁要素101により近づくとすれば、カム111が傾斜の最も高いレベルにある場合、ばね109は弁要素101から離れる方向に押されることになろう。
【0061】
図14A、
図14B及び
図15Aから
図15Dを参照すると、特定の実施形態による磁気ロータを含む移植可能な弁組立体の別の例が図示されている。この例では、磁気ロータ300は、再びカム111に結合されている。付勢ばね109が、支点1401(又はばねの固定取り付け点)で固定端部、及び弁要素101に着座する自由端部を有する片持ちアーム109aを含む。ロータガイド115が、回転軸線807を中心とするロータ300の回転を導く。弁組立体は、弁の構成要素を収容する弁本体1405(ハウジングとも呼ばれる)を含む。弁本体1405は、底部キャップ1407、及び底部キャップに対合する頂部キャップ1409を含むことができて、人体の中に移植するために適切である密閉容器を形成することができる。弁本体1405は、任意の生理的に適合可能な材料から作製され得る。生理的に適合可能な材料の限定しない例には、ポリエーテルスルホン、及びシリコーンが含まれる。
【0062】
弁組立体が製造される後に、典型的には較正装置が、圧力設定を調節する必要がある。例えば、特定の実施形態では、ばね109が、各ステップに関して線形であるように製造されることが可能であり、すなわちカム111の回転の各ステップと共に、ばね109が引張されて、その結果、弁の圧力がXの量だけ上昇し、これが回転の各追加のステップに当てはまる。したがって、装置を較正して、カム111を所与の位置に設定し、ばね109をその位置に対して適切な圧力に予め引張する必要がある可能性がある。その後、前述のように、機構は線形であることができる。その後、弁が組み立てられる後、及び較正中に、弁組立体を通る窒素(又は何らかの他の流体)の流れが存在する可能性がある。
図14Aを参照すると、一実施形態では、入口105がゆっくりとねじで締められることができ、所望の設定に到達するまで、弁要素101に対するばね109の付勢を強めることができる。この位置で、入口ねじを固定するためにロックナット1403が使用されて、入口ねじが移動することを防止することができる。
図14Bを参照すると、別の実施形態では、弁要素101及び弁座103は、ハウジング1405の中にプレス嵌めされることが可能であり、一旦最初の圧力設定に到達すると、摩擦によって定位置に保持され得る。この構成の一例では、弁要素101は、ルビーボールを含み、弁座103もまたルビーから作製され得る。ハウジング1405は、ポリエーテルスルホンから作製され得る。
図14Bの構成は、
図14Aの構成よりも少ない構成要素を含み、構築するのがより容易である可能性があるので、少なくとも特定の応用では望ましい可能性がある。
【0063】
図16は、
図14A及び
図14Bの弁組立体の中央部分の拡大図であり、ロータ300に結合されているカム111、及び弁要素101に対して付勢されているばね109を示す。
図16を参照して分かるように、この例では、ばね109は、片持ちアーム109a及び第2のアーム109Lを含み、両方が、ばねの固定点又は支点1401から延在している。カム111は、第2のアーム109Lに係合し、片持ちアーム109aの自由端部は、弁要素101に対して着座する。片持ちアーム109aは、第2のアーム109Lよりも長い可能性がある。ロータ300がロータ筐体305の中で回転するにつれて、カム111もまた回転し、ばねの第2のアーム109Lを押し、ばねの中の張力を変化させる。上記に考察するように、この片持ちばね構成は、カム111の回転運動に困難な、又は実用的でない制約を課さずに、非常に低い圧力を可能にするので、この片持ちばね構成は、弁組立体の特定の応用で所望される可能性がある。2つのアーム109a、109Lの相対的な長さ、及び各アームの幅を適切に選択することによって、上記に考察するように、等価の梃子又はギヤ減速機構が達成可能である。したがって、特定の応用に必要とされる低い圧力(例えば、0〜200mmH
2O)を提供する十分に柔らかいばねが、従来の長いばねではなく、短い、2つのアームによるばね109を使用して達成可能である。
【0064】
上記に考察するように、ロータ300及びしたがって、カム111が、上記に考察するように、筐体歯311の数及び構成によって定義されるステップで回転する。したがって、
図17に示すように、カム111が回転するにつれて、ばね109に対して働く圧力が、最小圧力1701の点(ばね109の最小張力に相当する)から最大圧力1703の点(ばね109の最大張力に相当する)まで有限増分で調節される。
図18Aは、カムによってばね109に最小圧力が働いており、弁の圧力設定が最も低い位置にあるカム111を図示している。
図18Bは、カムによってばね109に最大圧力が働いており、片持ちアーム109aを弁要素101に向かって移動させる位置にあるカム111を図示している。したがって、弁の圧力設定は、カム111のこの位置で最も高い。図示の例では、カム111によってばね109に働く圧力、したがって、ばねの中の張力は、矢印1801によって示されるカムの時計回り方向の回転と共に増加する。しかし、逆時計回りのロータの回転がばねの中の張力を増加させるように、別法としてロータ、カム及びばねが構成され得ることを、本開示の利点が与えられる当業者なら理解するであろう。
【0065】
本明細書に開示する弁組立体の実施形態の中でカムは、任意の構成で、ばね109に係合する(1又は複数の)面の中に、一定又は線形スロープ、区分的線形スロープ、非線形スロープ及びそのようなスロープの組合せを有することができる。カムが線形スロープを有する場合、カムの回転は、圧力設定を直線的様式で増加又は減少させる。カムが非線形スロープを有する場合、例えば、圧力は回転の終端に向かって一層増加することができる。このことによって、最初は例えば0〜200mmH
2Oの間の圧力の微細な増分を有し、その後圧力のより大きい増分を有することが可能になる。例えば、
図18A及び
図18Bに図示するカム111は、ばね109の第2のアーム109Lに係合する非線形スロープを含む面を備える。詳細には、カム111は、カムが回転するにつれて、ばね109上のカムによって働く圧力の増加の速度を変化させるカム突出部117を含む。
【0066】
図19は、カムの回転(したがって、ロータ300の回転)の関数として、カム111によってばね109上に働く圧力の変化を示すグラフである。
図19に図示する例は、
図14から
図18Bに示すロータ、カム及びばねの構成に相当する。
図19に図示する例について、ロータ筐体は13個の筐体歯311を含み、最小圧力の点(
図17の1701)から最大圧力の点(
図17の1703)まで移行するカムの回転(交互に変化する極性の25の磁気パルスによって生成される)の25のステップに相当する。
図19を参照して分かるように、カム111によってばね109上に働く圧力は、概ね直線的な様式で、カムの大部分の回転サイクルに亘って増加している。しかし、サイクルの終端に向かって(カムのステップ23から24)、圧力は更に劇的に増加し、
図19の中の「ピーク」1901によって示されている。このピーク1901は、カム111の形状によって、特に
図18A及び
図18Bに示すカム突出部117によってもたらされる。カム111によってばね109に対して加えられる圧力の増加比率のこの変化は、
図17にもまた見ることができるが、最大圧力1703の点に最も近い圧力の増分ステップが、先行する増分よりも大きいことが示されている。
【0067】
例えば、特定の応用では、子供の水頭症の治療において、使用後ある時期に、その患者が弁をやはり必要とするかどうかを決定することができることが所望される可能性がある。例えば、水頭症の原因に依存して、移植されたシャント弁組立体の使用の数年後に、患者はもはや弁を必要としない可能性がある。患者の中に弁がやはり必要であるかどうかを決定するための1つの方法は、弁要素に対するばねの圧力を著しく増加させ、それによって、弁をほとんど完全に閉じ、その後患者の状態を観察することである。したがって、圧力上昇ステップが、ばね及びカムの最大圧力位置よりも著しく大きい、又は最大圧力位置に近い前述の構成は、有利なことに、このテストの実施を可能にすることができる。弁の圧力設定が著しく上昇する後に、患者の容態が悪化する場合、圧力設定は、カム111を回転させることによって、再び容易に減少されることができる。したがって、この構成は、弁を完全に閉じる、又は取り除くことなく、弁に対して安全な準停止設定を提供することができる。
【0068】
上記に考察するように、弁組立体の入口105は、近位の(又は流入)カテーテルに結合されることができ、出口107は、遠位のカテーテルに結合され得る。CSF流体を分流する弁組立体の場合、脳室からのCSF流体は、脳室カテーテルに入り、弁組立体の入口105に入る。入口105の複数の可能な配向が存在する。入口105のそのような構成又は配向は、装置の頂部から弁機構の下側まで通って描かれるロータ300の中心軸線を参照して説明可能である(例えば、
図8Aから
図8Cの中の破線によって示されるように)。弁機構の「頂部」は、移植される場合、患者の頭皮に向かって上に向くように配向された装置の側である。流体は、脳室カテーテルを経てハウジングに入り、入口105を通って流れ、入口105は弁座103の筐体端部で終端する。上述のように、弁要素101及び弁座103は穴を形成し、その穴を通って流体が流れる。流体が、ロータ300の中心軸線に平行な方向に穴に入る(又は、言い換えれば、弁要素を押す)ように、入口105は配向されることが可能である。入口105のそのような構成は、例えば、
図2Aから
図2C例に示されており、
図2Aから
図2Cでは、入口105の部分がロータ300の中心軸線と同軸である。流体が、ロータ300の中心軸線に垂直な方向の穴に入る(又は、弁要素を押す)ように、入口105は配向されることもまた可能である。入口105のそのような構成は、
図8Aから
図8Cの例について示されており、
図8Aから
図8Cでは、入口105の筐体端部がロータ300の中心軸線に垂直である。カム111及びばね109の構成は、入口105の配向を参照して説明され得る。特定の態様では、流体がロータの中心軸線に平行な方向の穴に入るように、入口105が配向されている場合、カム111は、直接的又は間接的にばね109の垂直移動を生成する。追加の態様では、流体がロータの中心軸線に垂直な方向の穴に入るように、入口105が配向されている場合、カム111は、直接的又は間接的にばね109の水平移動を生成する。ばね109の水平又は垂直移動を生成する、ばね109及びカム111の構成の例が、上記に説明されている。ばね109の水平又は垂直移動を生成する、ばね109及びカム111の他の可能な構成を、本開示の利点を与えられる当業者なら理解するであろうが、その可能な構成は本明細書に包含される。
【0069】
前述の実施形態は、磁気パルスに応答して左右に移動する磁気ロータ300を説明してきた。上記に考察するように、他の実施形態では、ロータは、左右ではなく、上下に移動することが可能である。
図20は、「シーソー」運動で上下に移動する磁気ロータ350を含む弁構成の横断面図である。上記に考察する構成と同様に、流体は入口105に入り、弁座103に着座する弁要素101を押す。磁気ロータ350は、磁石351及び353、ロータ歯355及び357、ならびにロータガイド115を含む。ロータ歯355及び357は、ロータ筐体の筐体歯361に係合又は連結するように適合されている。この例では、ばね109及びカム111は、
図3Bを参照して前述するものと同様である。ロータ350の回転が、カム111をもまた時計回り方向に回転させる。
図3Bの構成の中のように、カム111は、傾斜面113を有する。カム111の回転が、傾斜面113上に着座するばね109の張力を変化させる。ばね109が傾斜の最も低いレベルで傾斜面113に着座している場合、弁の圧力設定は最も高くなるであろう。逆に、ばね109が、傾斜の最も高い位置レベル(片持ちアーム109aを上方に、又は言い換えれば、弁座103の反対方向に押す傾向がある)で傾斜面113に着座している場合、弁の圧力設定は最低になるであろう。
【0070】
図21は、上下に移動するロータ350及びロータ筐体359の例の三次元の図である。この例では、ばね109及びカム111は、
図7A及び
図7Bに示す構成に類似している。ロータ350は、ロータ筐体359内部の回転するディスク363に、ロータの中心軸線に沿って蝶番で連結されている。
図22A及び
図22B、
図23A及び
図23B、
図24A及び
図24Bは、
図21の磁気ロータ350及び弁組立体の構成の側面図である。
図22A及び
図22Bは、弁の近傍の磁気コイル2201を図示し、ロータ350の磁石351及び353と、磁気コイル2201によって生成される外部磁場との相互作用を示す。一態様によれば、上下に移動するロータ350の実施形態と組み合わせて使用される磁気コイル2201は、コイルの核又は芯として使用される中実の棒又はバー(すなわち、その周りにコイルが巻かれている)を含む。磁場が上方から加えられるように、コイル2201のこの中実の芯は、ロータ350の中央部分の頂部上に配置され得る。
図22Aは、磁石351のN極が外部磁場のS極に向かって引き付けられることを示す。
図22Bでは、外部磁場の極性が逆になり、ここでは磁石353のS極を引き付けている。したがって、これらの外部磁場の極性の循環が、ロータ350の上下の移動、又は「シーソー」運動を誘導する。外部磁場の各パルスが(例えば、コイル2201から)、一方のロータ歯355又は357を筐体歯361に係合させ(「下の位置」)、一方で他方のロータ端部上の歯は、筐体歯と係合されない(「上の」位置)。例えば、
図22A、
図23A及び
図24Aに示すように、ロータ350のN極近傍のロータ歯355が「下の」位置にあり、筐体歯361に係合する場合、ロータのS極近傍のロータ歯357は、「上の」位置にあり、筐体歯361に係合されず、逆もまた同様である。ロータ350が上下に移動される場合、ロータは、筐体359の内側外周上に配置される筐体歯361によって誘導される。したがって、ロータ350の各上下移動と共に(対向する極性の1対の磁気パルスに応答して)、ロータは、一度に1つの筐体歯361ずつ、ロータ筐体359の内部で増分的に回転する。左右に移動するロータを含む弁の場合は、各磁気パルスに応答したロータ350の回転の程度は、筐体歯361の数を変化させることによって変更され得る。
【0071】
図25、
図26、
図27Aから
図27E、及び
図28Aから
図28Eは、上下に移動するロータ350がロータ筐体359と共に回転するにつれて、ロータ歯355、357の二次的増分運動(A、B、C、D及びE)を示す。
図25は、ロータ歯351のこれらの運動を示す。位置A及びBは、ロータ歯355が筐体歯361間に係合する場合のロータ歯355の運動を示す。位置Cは、筐体歯361間に係合されているロータ歯355を示す。位置A、B及びCは、ロータ歯355を含むロータ端部の下方への枢動から生じることができる。ロータ歯が対向する筐体歯の傾斜した面に係合するにつれて、下方への軸方向への力の部分が、傾斜した平面によって周方向の力に変換されて、位置Bから位置Cへの回転をもたらす。位置D及びEは、ロータ歯355が筐体歯361間の次の位置に移動するにつれて、ロータ歯355の運動を示す。位置Cから位置Dまで、次いで位置Eまでの運動は、ロータの対向する端部の下方への枢動から生じ、反対側の筐体歯に対する対向する端部上のロータ歯の間で同様の動きが発生している。
【0072】
図26は、
図25に示す二次的増分運動AからEの拡大図を提供する。
【0073】
図27Aから
図27E、及び
図28Aから
図28Eは、上下に移動するロータ350のロータ歯355及び357の両方の二次的増分運動を示す。
図27Aから
図27Eは、ロータ歯355の「正面側」の運動を示し、
図28Aから
図28Eは、ロータ歯357の「背面側」の運動を示す。
図27A、
図27E、及び
図28A、
図28Eに示すように、ロータ歯357の「背面側」が筐体歯361間に係合するとき、ロータ歯355の「正面側」は係合していない(又は言い換えれば、上の位置にある)。同様に、
図27C及び
図28Cに示すように、ロータ歯355が筐体歯361の間に係合するとき、ロータ歯357は上の位置にある。
【0074】
前述の左右に移動するロータ300用の入口105、カム111、ばね109及び弁組立体の他の構成要素の様々な構成もまた、上下に移動するロータ350を備える弁組立体と組み合わせて使用され得る。例えば、
図3Aから
図16、
図18A及び
図18Bのそれぞれに図示される例示的な構成の中で、左右に移動するロータ300は、上下に移動するロータ350と交換可能である。別の例では、上下に移動するロータ350を含む弁は、傾斜した面113、及び/又は巻きばね又は片持ちばねを備えるばね109を有するディスクカム801又はカム111を含むことができる。
【0075】
例えば、
図29A及び
図29Bは、
図3A、
図3B、
図7A及び
図7Bに類似する、片持ちばね109及びカム111を含む上下に移動されるロータ350の構成の側面図を示す。
図7A及び
図7Bに図示する構成の中のように、ロータが回転するにつれて、ロータがカム111をも回転させ、ばね109の張力を増加又は減少させる。
図7A及び
図7Bの構成と同様に、ばね109は、弁要素101に対して付勢される片持ちアームの自由端部を含む片持ちアーム109aを備える。片持ちアーム109aは、固定端部109c及び自由端部109dを含む楕円形リング109bから延在する(又は楕円形リング109bに付着され、例えば溶接される)。例示的な例では、楕円形リング109bの自由端部109dは固定端部109cから約180°にあり、自由端部109dはカム111に対して着座する。楕円形リング109bの固定端部109cは、今度は、ロータ筐体359の周辺で筐体歯361上方に着座する外側リング109eに固定される。ロータ350の時計回り方向の回転によって、カム111もやはり時計回り方向に回転される。カム111の回転が、カム上方に着座しているばね109の張力を変化させる。
【0077】
本開示の利点を与えられる当業者なら、弁組立体の様々な実施形態の長さ、寸法及び形状が、調節され得ることを理解するであろう。弁組立体の特定の実施形態は、以下に更に考察するように、流体をサンプリングするため、及び/又は医薬品又は染料を注入するための貯蔵器又は予室、電源オン/オフ装置、サイホン防止又は他の流れ補償装置、及び/又は追加のカテーテルを更に備えることができる。
【0078】
図33Aから
図36Bは、ハウジング1405内に配置されている前述の上下に移動するロータ350を含む弁組立体の例示的な構成を図示する。
図33Aは弁組立体の部分の側面図であり、
図33Bは相当する上面図である。流体はハウジング1405に入り(例えば、カテーテルを介して)、弁を通って出口107まで流れる(
図33Aの中の矢印によって示されるように)。
【0079】
図34A及び
図34Bを参照すると、特定の実施形態では、弁組立体は、入口105と出口107との間に配置されているポンプ室3401を備える。ポンプ室3401を押し下げることによって、弁を通って出口107の中に流体を吸い出す。
【0080】
特定の実施形態では、弁組立体は、
図35A及び
図35Bにも示すように、予室3403を備えることができる。予室3403はシステム内の室であり、磁気ロータ350を含む弁を通過する前に流体がその室を通過する。予室3403は、流体をサンプリングするために使用され得る。例えば、外科医は、予室3403の中に針を挿入し、流体の試料を抜き取ることができる。したがって、予室3403は、金属製針止め3405を更に備えることができる。
図34A及び
図34Bを再び参照すると、いくつかの実施形態によって、弁組立体は、ハウジング1405の出口側内部に逆止弁3407を備えることができる。弁を通過後、流体は、出口107に入り、逆止弁3407を通って流れる。逆止弁3407は、例えば、球形要素3409(例えば、ボール)及びばね3411を含むことができる。逆止弁は、CSFの圧力が弁の所定の圧力設定に上昇するまで、弁を閉じた状態に保つために、ばね3411の動作を利用して作動する。一般に、逆止弁3407は、低い圧力に設定可能であり、弁組立体を通る流体流を制御するために磁気ロータ350を含む弁の圧力設定を可能にする。
【0081】
特定の実施形態によれば、弁組立体は、ポンプ室3401、予室3403、逆止弁3407の組合せを含むことができ、更に逆サイホン装置を含んでもよい。他の実施形態では、これらの構成要素の1つ又は複数を省くことができる。例えば、弁組立体は、予室3403を含まずに、ポンプ室3401及び逆止弁3407を含むことができる。ポンプ室も更に、又は別法として省くことができる。そのような実施形態では、磁気ロータを備える弁を流体が通過する後、流体は出口107を通って逆止弁3407に流れる。別法として、弁組立体は、ポンプ室3401及び逆止弁3407を含み、及び/又は含まずに、予室3403を含むことができる。一実施形態によれば、弁組立体が予室3403を含み、
図35Cに示すように、脳室カテーテル(図示せず)が、予室3403内部で漏斗型コネクタ3503の底部の3501で取り付けられ得る。
【0082】
図36A及び
図36B、
図37A及び
図37B、ならびに
図38A及び
図38Bは、ハウジング1405内で左右に移動するロータ300を含む弁組立体の例示的な構成を示す。これらの構成は、上下に移動するロータ350が左右に移動するロータ300に交換されていることを除いて、
図33Aから
図35Cを参照して前述する構成と同じである。
【0083】
一実施形態によれば、弁組立体は、患者が水平位置から垂直位置に動く場合に発生するCSF静水圧内の変化に応答して、自動的に調節するように構成されている。本明細書に参照によって組み込まれている米国特許第3,889,687号明細書の中により詳細に考察されているように、逆止弁上に働く静水圧は、患者が略水平位置から略垂直位置に移動する場合に突然増加する。この圧力変化によって、弁が開く可能性がある。圧力の変化に応答して弁が開くことによって、患者が略垂直位置に動く場合にCSFの過剰排液をもたらす可能性がある。したがって、特定の実施形態では、弁組立体は、
図39に示すように、プログラム可能な弁3903に直列結合されている、重力起動型弁3901又は位置調圧を更に備えることができる。プログラム可能な弁3903は、前述のように磁気ロータ300又は350を含む。
図40A及び
図40Bは、左右に移動する磁気ロータ300の実施形態を含む、プログラム可能な弁3903に直列に結合されている重力起動型弁3901を含む弁組立体の一例を図示する。
図41A及び
図41Bは、上下に移動する磁気ロータ350の実施形態を含む、プログラム可能な弁3903に直列に結合されている重力起動型弁3901を含む弁組立体の一例を図示する。
【0084】
図39、
図40Aから
図40B、及び
図41Aから
図41Bを参照すると、重力起動型弁3901は、プログラム可能な弁3903の出口側上に配置可能であって、プログラム可能な弁から流出する流体が、重力起動型弁を通って流れる(弁組立体の圧力設定に依存して)ようにする。重力起動型弁3901は、閉鎖位置に調整され、患者が略垂直(
図39の位置A)である場合、より大きい圧力で開く。重力起動型弁は、患者が略水平(
図39の位置B)である場合、開いている。このように、プログラム可能な弁3903及び重力起動型弁3901を備える弁組立体は、患者が略水平である場合のための1つの動作圧力、及び患者が略垂直である場合のための第2の動作圧力という2つの動作圧力を有することができる。患者が略水平である場合の動作圧力は、患者が略垂直である場合の動作圧力よりも小さい。
【0085】
図42は、位置A(
図39に示すように、略垂直位置にある患者に相当する)から位置B(
図39に示すように、略水平位置にある患者に相当する)までの弁の移行を示す、重力起動型弁3901の一例の図である。一実施形態では、重力起動型弁3901は、筐体4201、ならびに筐体内部の弁座4203及び弁要素4205を含む。前述の磁気的にプログラム可能な弁3903と同様に、弁要素4205の直径は、弁座4203の直径よりも大きく、弁要素及び弁座が一体に穴を形成する。弁要素4205が弁座4203に着座する、又は押す場合、この穴は閉鎖されており、弁要素が着座していない場合、この穴は開く。弁要素及び弁座を含む、このタイプの弁機構は、文献の中で「コーンの中のボール」弁とも呼ばれる。特定の実施形態では、重力起動型弁3901は、筐体4201内部に配置される2つ以上のボール4207を更に含む。これらのボール4207は、弁座4203に向かって転がり、弁座4203に対して弁要素4205を押す(例えば、患者が略垂直位置にある場合)ことができる重しとして、又は弁要素4205から離れて転がることができ、弁要素がそれ自体で着座から外れ、CSFが流れるために穴を開けることを可能にする(例えば、患者が略水平位置にある場合)重しとして働くことができる。重力起動型弁の様々な例は、当分野で既知であり、例えば、米国特許第3,889,687号明細書に説明されている。
【0086】
上記に考察するように、弁組立体の実施形態が磁気ロータを備えるので、移植された弁の圧力設定は、移植された弁3601の近傍であるが、身体の外部の外部調節装置(本明細書では弁プログラマとも呼ばれる)を配置することによって調節可能である。調節装置内の磁気コイルの極性は、上記に考察するように、磁気ロータ300又は350の移動をもたらすように変更され得る。
図43は、移植された磁気によってプログラム可能な弁組立体3903の上方の位置の患者の頭の上方に配置され得るトランスミッタヘッド4303を含む調節装置4301を図示する。トランスミッタヘッド4303は、上記に考察するように、磁気コイル4313を含む。流体が脳室から、脳室カテーテル4305を通って、移植された弁を通り、遠位カテーテル4307の中に流れ、次いで、遠位カテーテル4307は身体の遠い位置(心臓の右心房又は腹腔など)に流体を排出する。弁プログラマ4301は、ロータ300又は350の移動に影響を与えるためにトランスミッタヘッド4303を通って磁気信号を送ることができる。制御装置4309が、トランスミッタヘッド1403を制御して、以下に更に考察するように、磁気パルスを生成するために使用されることができ、ケーブル4311を経てトランスミッタヘッドに結合され得る。
【0087】
図44Aから
図44Cは、トランスミッタヘッド4303内の磁気コイル4313、及びロータ筐体305内で左右に移動する磁気ロータ300の例を図示する。ロータ300の両端部は、反対の磁気極性である。上記に考察するように、上下に移動するロータ350が使用される実施形態では、磁気コイルは中実の芯を含む。対照的に、左右に移動する磁気ロータ300が使用される実施形態では、その代わりに磁気コイルは中空の芯(例えば、コイルが巻き付けられる中空のチューブ)を含み、可能な限り、ロータ300の横に磁場を有するために、中空の芯が周りに弁の概ね配置され得る。
【0088】
図44Aでは、コイル4313が、ロータ300に最も近接するコイルの部分がSに磁化されるように励磁されている。
図44Bでは、コイル4313の極性は、ロータ300に最も近接するコイルの部分がNに磁化されるようになっている。
図44Cでは、コイル4313の極性は、再びロータ300に最も近接するコイルの部分がSに磁化されるようになっている。
図44Aに示すように、コイル4313の低い方の周囲(弁に最も近接するコイルの部分)がSに磁化される場合、ロータ300のS極が反発され、ロータのN極が引き付けられる。したがって、ロータ300は、前述のように、ロータ筐体305の一方の側部から、コイル4313に向く方向に他方の側部へ移動される。同様に、
図44Bでは、コイル4313がNに磁化される場合、ロータ300のN極は反発され、ロータのS極は引き付けられる。その結果、ロータ300は、コイル4313に向かって移動される。
図44Cに示すように、コイル4313の低い方の周辺又は周囲がSに磁化される場合、ロータ300のN極はコイルに向かって引き付けられ、ロータ筐体305の一方の側部からコイルに向かって他方の側部へ移動される。したがって、反対の極性の磁気パルスを生成するように、トランスミッタヘッド4303内の磁気コイル4313を制御することによって、上記に考察するように、ロータ300はロータ筐体305内で回転され、移植された弁3903の圧力設定を調節することができる。
【0089】
図45Aから
図45Cは、ロータ300及びロータ筐体305の拡大された上面図を示し、
図44Aから
図44Cに示すコイル4313の変化する極性に応答するロータの動きを示している。ロータ300は、弁に最も近接するコイル4313の部分の極性の各変化に応答して、ロータ筐体305の一方の側部からロータ筐体の他方の側部に移動する。ロータ300が移動する場合、ロータ300は、ロータ筐体305の内側面上に配置される筐体歯311によって誘導される。加えて、各磁気インパルスに応答するロータ300の回転の程度は、筐体歯311の数を変化させることによって変更され得る。
【0090】
同様に、トランスミッタヘッド4303内の磁気コイル4313は、制御装置4309を経て制御されて、上記に考察するように、上下に移動するロータ350を含む移植された弁3903を作動させる磁気パルスを生成することができる。この場合、磁気コイル4313は、上記に考察するように、中実の芯を有する磁気コイル2201の実施形態を含むことができる。
【0091】
図46は、移植可能な弁組立体3903、ならびにトランスミッタヘッド4303及び制御装置4309を含む外部プログラミング装置を備えるシステム4600の一例のブロック図である。弁組立体3903は、本明細書に考察する任意の構成、ならびに、本開示の利点を与えられる当業者によって理解されるような他の構成を有することができる。制御装置4309は、例えば外科医などのユーザが、弁組立体3903の圧力設定を選択することができるように構成されている。トランスミッタヘッド4303は、ハウジング4601、及び磁気コイル4313など、磁気インパルスを加える要素を備える。前述のように、磁気インパルスによって、ロータ300又は350はそれぞれロータ筐体305内、又は359内で回転する。
【0092】
一実施形態によれば、制御装置4309は、コイル4313と通信するコイル駆動回路4603、及びトランスミッタヘッド4303の中に配置される(1又は複数の)第1の磁気センサ4607と通信するロータ位置検出器4605を含む。制御装置4309は、トランスミッタヘッド4303の中の(1又は複数の)第2の磁気センサ4611と通信する基準検出器4609を更に含むことができる。第1の磁気センサ4607は、1つ又は複数のホールセンサを含むことができる。コントローラ4613が、所定の電流、期間、サイクルなどでコイル4313を駆動するようにコイル駆動回路4603に指示を提供するために使用され得る。コントローラ4613は、更に、1つ又は複数のロータ位置検出器4605及び基準検出器4609から入力を受信することができる。
【0093】
コントローラ4613は、例えば、ハードディスクドライブ、光ディスク読み取り機によって読み取り可能な光ディスク、フラッシュメモリ装置など、例えば、コンピュータ読み取り可能な媒体又は装置に記憶されているコンピュータ命令によって、予めプログタムされ得る。少なくともいくつかの実施形態では、制御装置4309は、1つ又は複数のユーザインターフェース4617又は通信インターフェース4619を含む。制御装置4303は、ユーザが、プログラム可能なコントローラによって弁組立体3903を調節すること、及び弁組立体の設定を決定することを可能にするように作動され得る。いくつかの実施形態では、通信インターフェース4619は、弁組立体3903を同様に制御する、又は別の方法で作動するためのネットワークコンピュータのアプリケーションサーバなど、別の装置に制御装置4303を接続するために使用され得る。
【0094】
ホールセンサ又は他の磁気センサ4607をトランスミッタヘッド4303の中に組み込むことによって、移植された弁3903の圧力設定が検出され、制御装置4309に通信されることを可能にする。一実施形態では、第1の磁気センサ4607は、弁組立体3903内部のロータ300又は350の位置を検出し、検出された位置を圧力設定読取り値に変換する。回転位置と圧力設定との間のそのような相互関係は、較正プロセスにしたがって、各弁について決定され得る。相互関係は、回転位置が圧力設定に変換され得る、及びその逆も同様であるルックアップ能力を提供することができる。そのような圧力調節の分析は、本明細書で採用される技術にしたがって実施され得る。例えば、いくつかの筐体歯311又は361、例えば、4°のステップサイズを提供する90個の筐体歯が、所定の段階的回転を提供するように選択され得る。別法として、又は追加的に、カムの形状と組み合わせて、ばねの種類及び/又はばね定数の選択は、回転ステップ毎の圧力変化を制御するために使用され得る。特定の実施形態では、第1の磁気センサ4607が自動化されることが可能であって、トランスミッタヘッド4303が、外科医によって選択された圧力に応答して、パルスの数を自動的に調節するようにする。
【0095】
上記に考察するように、従来の磁気によって調節可能な弁の1つの制限事項は、圧力設定を検証するには、移植された装置上にX線不透過性マーカを検出するX線の使用を必要とする可能性があるということである。特定の実施形態によれば、磁気ロータの最初の配向は、ハウジング及び/又は筐体などの基準に関して決定され得る。移植された弁3903の圧力設定は、移植された弁の近傍の患者の頭の上方にコンパスを配置することによって確認され得る。コンパスの針は、ロータ300又は350の方向にそれ自体が位置合わせして、ロータの位置を示す。次いで外科医は、ハウジング1405に対するロータ300又は350の位置を考慮することによって、弁3902の圧力設定を決定することができる。
【0096】
別の実施形態によれば、移植可能な弁組立体3903は、ハウジング1405上の固定位置又はハウジング1405内に磁気マーカ又は基準4615を更に備える。基準マーカは、既知の配向の磁気基準を提供する。トランスミッタヘッド4303内部の第2の磁気センサ4611は、弁組立体3903内部の基準マーカ4615を検出するために使用され得る。第2の磁気センサ4611は、1つ又は複数のホールセンサを含むことができる。第2の磁気センサ4611は、基準マーカ4615の位置を測定するため、又は例えば、12時の位置など、マーカに対するトランスミッタヘッド4303の配向を調節するために使用され得る。そのような基準を確立した後、磁気ロータ300又は350の位置が基準マーカ4615の位置に対して決定されることが可能になり、それによって、磁気ロータの絶対的な配向、したがって弁の圧力設定を決定することができる。例えば、弁要素のおおよその開口圧力が各ロータ位置について既知であるように、弁組立体は較正され得る。したがって、磁気ロータ300又は350の位置が、正確に決定されることが可能になり、それによって、弁の開口圧力閾値の正確な設定もまた決定されることが可能になる。少なくともいくつかの実施形態では、ロータは、1つの完全な回転を越えて少なくとも1つの方向に自由に回転し、圧力設定は各回転について繰り返す。このようにして、ロータの位置が一意的に吹き出し圧力を識別することができる。
【0097】
追加の態様及び実施形態は、移植可能な弁組立体3903の作動圧力を調節するための方法を包含し、移植された弁の近傍であるが、しかし身体の外部に調節装置を配置するステップを含む。上記に考察するように、調節装置は、患者の頭の上又は近傍に配置されるトランスミッタヘッド4303を含む。制御装置4309は、移植された弁3903に最も近接する磁気コイル4313の部分の極性を制御するために使用されることが可能であり、例えば、N極からS極へ、又はS極からN極へ極性を変化させる。左右に移動する磁気ロータ300の場合、調節装置のトランスミッタヘッド4303内部のコイル4313の極性を変化させることによって、ロータが、上記に考察するように左右に移動する。上下に移動する磁気ロータ350の場合、調節装置のトランスミッタヘッド4303内部のコイル2201の極性を変化させることによって、ロータが、上記に考察するように上下に移動する。
【0098】
図47を参照すると、上記に考察する任意の移植可能な弁組立体を制御するための外部プログラミング装置の別の構成のブロック図が図示されている。この例では、トランスミッタヘッド(
図47に図示せず)は、コントローラ4613と通信する(直接に、又は上記に考察するようにコイル駆動回路4603を経て)磁気コイル4313の配列を含む。複数の磁気コイル4313が、
図47に概略的に図示するように互いから離隔配置されることができて、コイルを収容するトランスミッタヘッドが移植された弁組立体の近傍に配置される場合、コイルは弁組立体を取り囲む様々な位置に配置される。コントローラ4613は、各複数の磁気コイル4313にそれぞれ接続される複数のポート(
図47の中で(1)〜(6)と表示されている)を含むことができる。コントローラ4613は、ユーザによってプログラムされ、又は制御されることができて、1つ又は複数の磁気コイル4313を選択的に起動して、弁組立体3903の中の磁気ロータ300又は350を起動することができる。例えば、コントローラ4613は、磁気ロータ300/350の配向(上記に考察する基準マーカ4615を使用して決定され得る)、弁の現在の圧力設定(上記に考察するように決定され得る)及び所望の弁の新しい圧力設定などの要因に基づいて、1つ又は複数の磁気コイル4313を選択的に起動することができる。
【0099】
弁組立体3903の実施形態は、十分に説明される外科的処置を使用して患者の中に移植され得る。弁の圧力設定は、外科的移植の前に、所望の圧力設定に調節され得る。一態様では、作動圧力は、手術後に圧力変化が生じないように、患者のCSF圧力に概ね等しく設定され得る。患者が外科手術から回復する後に、圧力設定は所望に応じて調節され得る。例えば、NPHを患っている患者の場合、脳室寸法に低減を開始するために、圧力設定を減少させることができる。圧力設定の追加の調節は、追加的に行うことができる。例えば、脳室寸法が一旦十分に低減されれば、弁の圧力設定を増加させることができる。理解されるように、移植された弁3903を使用することによって、患者を治療する期間に亘って必要であれば、外部から調節されることが可能になる。
【0100】
特定の実施形態では、水頭症を治療する方法が、患者の脳の脳室腔内部に脳室カテーテル4305、及び流体が排出される患者の身体の中の離れた位置に設置される遠位のカテーテル4307を有する弁組立体3903を移植するステップを含む。CSFが排出する身体の遠位の位置には、例えば、心臓の右心房及び腹腔が含まれる。
【0101】
水頭症に加えて、過剰な流体の蓄積に付随し、流体を身体の他の部分に排出することによって治療され得る複数の他の症状が存在する。そのような症状には、例えば、慢性心膜液、慢性肺液、肺水腫、腹水及び目の緑内障が含まれる。弁組立体3903は、これらの症状を治療する際に使用され得ると考えられる。
【0102】
本明細書に記載する弁の圧力設定は、筐体歯311又は361の数に依存して、多くの離散的ステップ又は増分に調節可能である。圧力設定が各増分と共に変化される量は、筐体歯331/361の数、及び弁の最大圧力設定に依存することができる。本明細書に記載する弁の実施形態は、例えば10mmH
2Oという低圧から、例えば400mmH
2Oという高圧までの圧力に変化することができる。ほとんどの従来の弁は、200mmH
2Oの高さと同じ圧力だけを有する。特定の態様では、弁は、約10mmH
2Oから約50mmH
2Oの増分に調節され得る。
【0103】
少なくとも1つの実施形態の複数の態様を上記に説明したが、様々な変形態、修正及び改良が、当業者に容易に思い当たることを理解されたい。そのような変形、修正及び改良は、本発明の部分であると意図され、本発明の範囲内にあると意図される。したがって、前述の説明及び図面は、例としてのみであって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の適切な解釈から決定されるべきである。