(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6461911
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】燃焼が困難な燃料用ガス化反応装置を有するセメントクリンカーの製造プラント
(51)【国際特許分類】
C04B 7/43 20060101AFI20190121BHJP
F27D 17/00 20060101ALI20190121BHJP
C04B 7/44 20060101ALI20190121BHJP
F27D 13/00 20060101ALI20190121BHJP
F27B 7/34 20060101ALI20190121BHJP
F23G 5/027 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
C04B7/43
F27D17/00 101G
C04B7/44
F27D13/00 B
F27B7/34
F23G5/027 Z
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-506860(P2016-506860)
(86)(22)【出願日】2014年4月4日
(65)【公表番号】特表2016-522776(P2016-522776A)
(43)【公表日】2016年8月4日
(86)【国際出願番号】EP2014056822
(87)【国際公開番号】WO2014166838
(87)【国際公開日】20141016
【審査請求日】2017年3月24日
(31)【優先権主張番号】102013006236.5
(32)【優先日】2013年4月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598083142
【氏名又は名称】カーハーデー フンボルト ヴェダーク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100092277
【弁理士】
【氏名又は名称】越場 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100155446
【弁理士】
【氏名又は名称】越場 洋
(72)【発明者】
【氏名】シュールマン,ヘイコ
(72)【発明者】
【氏名】フェイス,マルク
【審査官】
浅野 昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−014524(JP,A)
【文献】
特開2004−026628(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/120109(WO,A1)
【文献】
国際公開第2008/138903(WO,A1)
【文献】
特表2008−506615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00−32/02
C04B 40/00−40/06
F23G 5/00−5/28
F23G 7/00−7/02
F23G 7/10−7/12
F23J 1/00−1/08
F27B 5/00−7/42
F27D 7/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料の流れる方向で見て、ローミール(rohmehl、生原料)(2)を予熱するための少なくとも一つの熱交換器(1.1)と、ローミール(2)を仮焼するための少なくとも一つの下流の仮焼炉(3)と、仮焼されたローミール(2)を焼結するための少なくとも一つのロータリーキルン(8)と、焼結されたセメントクリンカーを冷却するための少なくとも一つのクリンカークーラー(11)と、燃焼が困難な燃料(難燃料)の燃焼装置とを有し、難燃料は予測不可能な点火挙動を示し、一般に点火が難しいか、強い加熱と初期熱分解、炭化、熱分解および/または燃焼の形での点火アシストを必要とする、セメントクリンカーを製造するプラントにおいて、
上記燃焼装置が逆U−形のグーズネック反応装置(5)であり、このグーズネック反応装置(5)はロータリーキルン(8)から仮焼炉(3)に流れる排気ガスの流路上で仮焼炉(3)より上流で仮焼炉(3)に結合されており、このグーズネック反応装置(5)のガス出口(5.1)はクリンカークーラー(11)からの三次空気ライン(4.1)より上方で仮焼炉(3)中に開口しており、
上記グーズネック反応装置(5)の高さは仮焼炉(3)の反転位置の高さ以下である、
ことを特徴とするプラント。
【請求項2】
グーズネック反応装置(5)の反転位置の区域に燃焼(burn-off)室としての渦室(swirl chamber)を有する請求項1に記載のプラント。
【請求項3】
仮焼炉(3)がロータリーキルン(8)に直接接続されていない請求項1または2に記載のプラント。
【請求項4】
下記(1)〜(5):
(1)予熱器段階(1.1)でローミール(2)を予熱し、
(2)仮焼炉(3)中でローミール(2)を仮焼し、
(3)仮焼されたローミール(2)をロータリーキルン(8)中で焼結し、
(4)焼結されたローミール(2)をクリンカークーラー(11)で冷却し、クリンカークーラー(11)で加熱された熱い冷却用空気の一部を三次空気(4)の形で案内して仮焼炉(3)中で熱を回収し、
(5)燃焼が難しい燃料を反応装置(5)中で燃焼する、
の工程を有するセメントの製造方法であって、
上記反応装置(5)が逆U−形のグーズネック反応装置であり、このグーズネック反応装置(5)はロータリーキルン(8)から仮焼炉(3)に流れる排気ガスの流路上で仮焼炉(3)より上流で仮焼炉(3)に結合されており、
このグーズネック反応装置(5)の燃焼ガスはクリンカークーラー(11)からの三次空気ライン(4.1)より上方で仮焼炉(3)に供給され、
グーズネック反応装置(5)の高さを仮焼炉(3)の反転位置の高さより低くする、
ことを特徴とする製造方法。
【請求項5】
グーズネック反応装置(5)に化学量論量以下の空気酸素を供給する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
燃焼が難しい燃料の流れを10%〜100%の割合でグーズネック反応装置(5)および/または仮焼炉(3)に供給する請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
ローミール(2)はグーズネック反応装置(5)へ供給し、グーズネック反応装置(5)へ供給するローミール(2)の比率を10%〜100%にする請求項4〜6のいずれか一項に記載方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメントクリンカーの製造プラントと、それを用いたセメント製造方法とに関するものである。本発明の製造プラントは、材料の流れる方向に見て、ローミール(raw meal、rohmehl、生
原料)を予熱するための少なくとも一つの熱交換機と、ローミールを仮焼するための下流の仮焼炉と、仮焼したローミールを焼結するための少なくとも一つのロータリーキルンと、焼結されたセメントクリンカーを冷却するための少なくとも一つのクリンカー冷却機と、燃焼が困難な燃料(難燃料)の燃焼装置とを有する。この難燃料は予測できない点火挙動を示し、一般に点火し難く、または、強い加熱、更には初期熱分解、炭化、熱分解および/または燃焼の形の点火をアシストする必要がある。
【背景技術】
【0002】
セメントクリンカーを製造する際には、石灰岩と珪酸塩岩との混合物を粉砕し、熱処理して二酸化炭素(CO
2)が放出させ、生石灰(CaO)に変える。さらなる段階でローミールからCO
2を放出して脱酸処理し、この点まで未変化であった石灰岩と珪酸塩岩とを熱で焼結して各種のカルシウムシリケート相(calciumsilikatphasen)を形成する。
【0003】
ローミールの脱酸および焼結は吸熱プロセスであり、その反応にはエネルギーが必要である。この熱エネルギーは各種の燃料を燃焼させて供給する。セメントクリンカーを生産するためのプラントでは珪酸カルシウムを形成するために高温を発生、焼結するバーナーで高温を発生するために高いカロリー価を有する高品質な燃料から熱エネルギが例えばロータリーキルンで供給される。高温を発生することが重要でなく、還元状態を発生することの方がより重要である場合には、カロリー価の低い燃料、例えば乾燥家庭ゴミ、動物の死体、細断した自動車タイヤ、溶剤廃棄物や古紙を燃焼して使うこともできる。大量に入手し得るが、着火が難しい他の燃料としては石油コークス(petcoke)、無煙炭、高灰分石炭があり、代替燃料には産業廃棄物、公共廃棄物がある。セメント製造での変動コストの中のコストの大部分は燃料価格である。利用可能な燃料は燃焼性、カロリー価、湿分、引火点および燃焼では破壊できない金属、その他の有害物質に関して種々の品質を有している。
【0004】
いわゆる燃焼が難しい燃料(難燃料)は予測し得ない点火挙動を示し、一般には点火が難しく、強く加熱したり、最初に熱分解の形で点火をアシストする必要がある。こうした難燃料を使用する時には、バーナーを使用して循環、加熱し、この目的のために別に用意した炭化炉で炭化および/またはゆっくり熱分解、燃焼をさせる遷移/移行段階が必要になる。
【0005】
この種の難燃料、一般には粗大な塊状の廃物物をロータリーキルンで炭化する場合、均一条件で熱処理するのは困難であり、温度スパイクが生じるのを避けることができない。温度スパイクが生じるとロータリーキルン中に望ましくない固体の燃焼沈澱物ができる。
【0006】
特許文献1(欧州特許第EP 0764614 A1号公報)で公知のセメントクリンカー生産ラインでは、仮焼炉に隣接して別のシャフトガス化装置(gasifier)を設け、それを第2の反応装置として運転し、この第2の反応装置で粗大廃棄物、塊状廃棄物、特に古タイヤをガス化させる。この場合、シャフトガス化装置へは上部から古タイヤを供給し、クリンカークーラーから来る三次空気の一部をガス化剤として供給する。シャフトガス化装置で生じた製品ガスは燃焼ガスとして仮焼炉に送られ、シャフトガス化装置でガス化された古タイヤの残留物は機械的吹込み装置によってロータリーキルン取入れシャフト中に移送される。このシャフトガス化装置のガス化方法は大きな変動に曝される。すなわち、シャフトガス化装置中に重ねて積まれた古タイヤは熱処理中、再配置されない。廃棄物、特に古タイヤを熱処理するためのこのシャフトガス化装置にはローミールは投入されない。
【0007】
特許文献2(国際公開第WO 200109548号公報)で公知のセメントクリンカー生産ラインでは仮焼炉に隣接して別の反応装置が配置される。この反応装置にも上方から廃棄物が供給され、反応装置中ではクリンカークーラーから三次空気を使用して燃焼が行われる。この反応装置にはその上方からセメントのローミールの一部の流れも供給される。廃物物とローミールの一部の流れは反応装置の床より上に配置された回転ディスク上に供給されて、燃焼反応装置中に入り、熱処理された固体は回転ディスクの回転によって回転移送され、仮焼炉またはロータリーキルンに送られる。仮焼炉には燃焼排気ガスも供給される。しかし、廃物物、特に粗大な塊状廃物物では公知の燃焼反応装置と同じような混合は起こらないので、均一な燃焼条件、従って、均一なローミールの予備仮焼を行うことはできない。
【0008】
特許文献3(ドイツ特許第A 3320670号公報)、特許文献4(ドイツ特許第A 341144号公報)および文献5(ドイツ特許第A 35204470号公報)にもカロリー価の高い廃棄物を使用してローミールからセメントを製造するプラントが記載されており、廃棄物は第2のロータリーキルンで炭化または燃焼され、ローミールの加熱処理で炭化ガス/排気ガスが利用される。しかし、この炭化炉/燃焼炉へセメントのローミールは供給されない。
【0009】
特許文献6(国際公開第WO 2010032149号公報)にはセメントのローミール、石灰岩、その他の鉱物原料等の原料を燃焼するための方法が記載されている。この特許に記載の方法ではローミールおよび第2燃料を別々のロータリーキルンに供給する。
【0010】
特許文献7(欧州特許第EP 1926959A1号公報)にはセメントクリンカー原料からセメントを製造する装置および方法が記載されている。この特許ではダストの燃焼に空気を用い、この目的のために別に配置されたロータリーキルンでダストバーナー反応装置中で熱処理する。この場合、ダストバーナー反応装置には三次空気の一部と処理すべきダストとが供給される。三次空気は処理すべきダストと同じ方向に流れる。ダストバーナー反応装置としてのロータリーキルンの上方にカルシウムシリケート相を焼結するためにセメントクリンカーが配置される。
【0011】
特許文献8(欧州特許第EP1334954 B1号公報)には燃焼が難しい廃物物を炭化または燃焼するのに使われる炭化炉を有するセメント製造プラントが記載されている。この炭化炉はロータリーキルンの形をしており、このロータリーキルンは珪酸カルシウム相、セメントクリンカーを焼結するためのロータリーキルンと平行して配置される。この特許によると仮焼炉の区域にロータリーキルンの上方に難燃料を炭化および/または燃焼させるためのロータリーキルンを配置することがプラントの特に有利な配置であるとされている。
【0012】
特許文献9(ドイツ特許出願第DE 102012016361.4号にはロータリーキルンとして具体化された炭化炉を、ローミールを焼結するためのロータリーキルンの上方に配置せずに、ロータリーキルンとほぼ同じ高さに配置したものが開示されている。この炭化炉は焼結用ロータリーキルンの延長として配置される。この炭化炉から出た熱分解ガスはロータリーキルンの排気ガスおよびローミールを仮焼するための炭化炉の共通垂直ダクトとして仮焼炉で使われる。
【0013】
しかし、上記の炭化炉はその基礎構造に高い強度を必要とし、可動部材に極めて大きなプラント投資を必要とするという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】欧州特許第EP 0764614 A1号公報
【特許文献2】国際公開第WO 200109548号公報
【特許文献3】ドイツ特許第A 3320670号公報
【特許文献4】ドイツ特許第A 341144号公
【特許文献5】ドイツ特許第A 35204470号公報
【特許文献6】国際公開第WO 2010032149号公報
【特許文献7】欧州特許第EP 1926959A1号公報
【特許文献8】欧州特許第EP 1334954B1号公報
【特許文献9】ドイツ特許出願第DE 102012016361.4号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解消した難燃料の燃焼装置を有するセメント製造プラントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の上記目的は、燃焼装置
を逆U−形のグーズネック反応装置とすることで達成される。この反応装置はロータリーキルンの排気ガスの流路上で仮焼炉から上流に結合され、そのガス出口はクーラーからの三次空気ライン上で仮焼炉に開口している。
本発明の上記以外の有利な実施例は従属クレームに記載されている。本発明の方法は請求項5に記載され、さらにその従属項6〜8に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】グーズネック反応装置として設計された反応装置を有する本発明のセメントクリンカー製造プラントの図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明ではロータリーキルンと仮焼炉との間に配置したポット反応装置またはグーズネック反応装置で難燃料を炭化、熱分解および/または燃焼する。本発明の目標(ゴール)は、難燃料の実際の燃焼を仮焼炉の外で実行し、さらに燃焼可能な反応装置の排気ガスを仮焼炉へ送って三次空気を用いた燃焼時にこの燃焼可能な排気ガスを熱供給元として使用できるようにすることにある。塊状の燃料は仮焼炉中で下方へ落ちず、脱酸処理の邪魔をするが、本発明では仮焼炉でローミールの仮焼すなわち脱酸が行われ、クリーンなガス燃焼が起る。本発明の一実施例では、燃料が未燃焼で仮焼炉へ達し、そこでさらに燃焼した場合でも、ロータリーキルン中に粗い断片を緊急時に移すために、仮焼炉の底部の下側位置に仮焼炉取入れ室への緊急排出(emptying)手段が設けられる。代替燃料の使用量を増やすと難燃料のための燃焼点では十分な仮焼作業を成し遂げることができないため、難燃料の炭化、熱分解または燃焼を実際の仮焼炉から分離する。
【0019】
上記の炭化、熱分解および/または燃焼時には化学量論量以下の空気酸素を供給することが重要である。この場合、一酸化炭素(CO)の形成が最重要ではなく、さらに燃焼が可能なガスを形成して、点火が難しい燃料をガスの状態または脱気された固体の状態で仮焼炉へ届けることが重要である。この場合、熱分解ガスはスス(煤)を含むことができ、一酸化炭素だけではなく高級炭素化合物を含むことができる。反応装置には燃焼可能な排気ガスまたは熱的に予備処理された固形燃料を供給し、仮焼炉に供給される三次空気を用いて脱酸されるローミールの存在下で、塊状燃料の残さが無い状態で仮焼炉で燃焼することが重要である。本発明の一実施例では、炭化、熱分解または燃焼を種々の形で具体化でき、プラント内の熱の発生を制御できるようにするために、グーズネック反応装置および/または仮焼炉には燃焼が難しい燃料を10%〜100%の比率で流す。従って、反応装置は10%の最小量の燃料で運転し、反応装置では燃焼が難しい燃料の少量のみを炭素化、熱分解または燃焼させるだけにすることができるが、反応装置と仮焼炉の間で10%〜100%の間の比率で難燃料を分配して反応装置で燃焼させることができる。
【0020】
本発明の一実施例では、予熱されたローミールを10%〜100%の比率でグーズネック反応装置および/または仮焼炉に流すことができる。難燃料の特性に従って、反応装置で既に使用した熱を仮焼炉で使用し、ローミールを反応装置に供給して炭化、熱分解または燃焼時の温度を制御するのが有利である。それによって温度が過度に高くならず、炭化、熱分解および/または燃焼のプロセスが過度に加速されないようにすることができる。本発明の目標は反応装置からの排気ガスを仮焼炉で燃焼することであり、それに加えて、点火の難しい燃料を反応装置中では完全には反応させないことである。
【0021】
反応装置中での燃料の上記炭化、熱分解または燃焼(バーンオフ)の速度に従ってグーズネック反応装置として設計される反応装置のほぼ反転位置に渦室(swirl chamber)を設けるのが有利である。この渦室は点火が困難な燃料を強力に混合して、ロータリキルンからのホットな排気空気で燃焼できるにようにし、塊状燃料の反応装置中での滞留時間を長く保証し、炭化、熱分解および/または燃焼を完了させ、さらに、燃焼可能な排気ガスを形成することができる。
【0022】
本発明のセメント製造プラントは、ロータリキルンの終点に設けたロータリキルン取入れ室と仮焼炉との間を中断することができ、また、本発明の一実施例では、ロータリキルン取入れ室から完全に分離することができる。この場合、ロータリキルンの排気ガス(すなわち、ロータリキルン中で一次空気によって燃焼された主燃料(プライマリー燃料)の燃焼(バーンオフ)ガスおよびクリンカ冷却機からロータリキルンに吸引される二次空気)の全てが反応装置を通って、上記のようにクリンカ冷却機から取り出した三次空気の流入点より上方で、仮焼炉中に流れる。本発明のこの実施例では、予熱器の最下部から第2番目のサイクロン熱交換器からのローミールの流れをリフトする(持上げる)空気の流れとして主として三次空気を仮焼炉中では使用する。この三次空気は反応装置からの燃焼(バーンオフ)ガスの噴射位置で燃焼(バーンオフ)ガスの燃焼用空気としても使われる。この場合、ガスがさらに膨張する結果、最下部のサイクロン予熱熱交換器段での仮焼中でローミールを随伴したガスの流れが増大する。この最下部のサイクロン予熱熱交換器段ではローミールがロータリキルンの供給ラインへ分岐される。
【0023】
バーンオフ(燃焼)ガスのリフティング(持上げ)作業が過度に強くなると、ガスが冷却され、所望の流れ強度に対して反応装置中での圧力降下が過度になる。それを防ぐために本発明の一実施例では、グーズネック反応装置として設計された反応装置の反転位置は仮焼炉の反転位置より下側に位置している。
以下、添付の図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0024】
[
図1]はセメントクリンカーを製造するための本発明のプラント(1)を示し、ローミール(2)は予熱器(1.1)に投入される。ローミール(2)は予熱器(1.1)の各サイクロン予熱段を通って上から下へ流れる。この流れは予熱器(1.1)を上昇してくる仮焼炉(3)から来る排気空気と逆の流れになる。仮焼炉(3)には燃料が添加され、熱が生じ、ローミール(2)を脱酸(deacidifies)する。すなわち、ローミール(2)に含まれる石灰(CaCO
3)から二酸化炭素(CO
2)を化学的に除く吸熱反応が起こり、焼かれた石灰は生石灰(CaO)として残る。予熱されたローミール(2)はサイクロン予熱器段(1.2)に到着した後、ライン(1.3)を通って仮焼炉(3)の底部へ送られ、クリンカ冷却器(11)から三次空気ライン(4.1)を通って来る三次空気(4)に随伴して運ばれる。ローミール(2)は一般にプラント(1)中を逆方向へ流れるがこの位置では廃棄ガスと一緒に流れる。
【0025】
ライン(1.3)からのローミール(2)とライン(4.1)からの三次空気(4)とが
仮焼炉3中を互いに上昇流となって流れる際には、
グーズネック反応装置からの排気ガス(図示したセメントクリンカーを製造するためのプラント(1)では、点火が難しい燃料(6)の炭化、熱分解および/または燃焼で生じる排気ガス)が流入する排気口(5.1)の所の流入点を通る。
グーズネック反応装置(5)からの排気ガスは仮焼炉(3)中で燃焼して多量の熱量を発生させ、仮焼炉(3)中では吸熱の脱酸反応が行われる。ここで示した仮焼炉(3)はその仮焼炉(3)の終わりに渦室(swirl chamber)(7)を有し、仮焼炉(3)からの排気ガスが熱交換器(1.1)中に流れる前に、燃焼ガス(バーンオフガス)(場合によってはさらに仮焼炉(3)中に噴射した燃料と一緒に)が完全燃焼される。
従って、熱交換器(1.1)中では材料の反応は不可能である。
【0026】
ローミール(2)は最下位のサイクロン熱交換器段(1.4)を流れる間に分離され、ライン(1.5)を通ってロータリキルン取入れ室(9)に導入される。ロータリキルン(8)中ではローミール(2)がさらに加熱され、焼結される。仮焼炉(3)で三次空気のライン(4.1)と反応装置(5)との間に分配されるガスの流れを分配するためにフラップ(弁)システム10が設けられている。このフラップ・システム1(10)を用いることで空気を三次空気のライン(4.1)と反応装置(5)との間で配分することができる。点火が難しい燃料(6)は燃焼点で反応装置(5)中に噴射される。点火が難しい燃料(6)は点火が難しいため、ロータリキルンの排気ガスの熱で燃焼、炭化、熱分解のみがゆっくりと行われるだけである。
【符号の説明】
【0027】
1 プラント
1.1 予熱装置
1.2 サイクロン熱交換器段
1.3 ライン
1.4 サイクロン熱交換器段
1.5 ライン
2 ローミール(raw meal,rohmehl、生食料)
3 仮焼炉
4 三次空気
4.1 三次空気ライン
5 反応装置
5.1 流入点/ガス出口
6 燃料
7 渦室
8 ロータリーキルン
9 ロータリーキルン取入れ室
10 フラップ・システム
11 クリンカークーラー