(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6461918
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】診断方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/50 20060101AFI20190121BHJP
【FI】
G01N33/50 H
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-513293(P2016-513293)
(86)(22)【出願日】2014年5月7日
(65)【公表番号】特表2016-519315(P2016-519315A)
(43)【公表日】2016年6月30日
(86)【国際出願番号】EP2014059388
(87)【国際公開番号】WO2014184077
(87)【国際公開日】20141120
【審査請求日】2017年3月7日
(31)【優先権主張番号】13167491.3
(32)【優先日】2013年5月13日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590003065
【氏名又は名称】ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】フエツシ,ミリアン
(72)【発明者】
【氏名】マーゲツツ,アレクサンダー・ジエームズ
(72)【発明者】
【氏名】ワイア,ステイーヴン・リー
【審査官】
海野 佳子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−191463(JP,A)
【文献】
特表2000−506900(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0233861(US,A1)
【文献】
米国特許第05327656(US,A)
【文献】
米国特許第04972718(US,A)
【文献】
特表平09−510118(JP,A)
【文献】
米国特許第05461925(US,A)
【文献】
特表2007−532925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48−33/98
A61Q 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪の繊維の物理的状態を評価するための方法であって、
先端部および末端部を有する単一の毛髪の繊維を平らな観察板に置くことであって、当該観察板は、第1の対になった対向するノッチおよび第2の対になった対向するノッチを有し、前記第1および第2の対になったノッチは、第1の対になった対向するノッチ間で描かれる第1の想像線と、第2の対になった対向するノッチ間で描かれる第2の想像線とが、観察板の焦点領域において交わるように位置し、ここで、前記交わる第1の想像線と第2の想像線によって形成される最小角が30〜90°であり、前記毛髪の繊維を、前記観察板上で、観察板の焦点領域において繊維そのものが交差するように、前記第1の対になったノッチの間および前記第2の対になったノッチの間に置く工程、および、
前記毛髪の繊維そのものが交差している部分において、色、幅、光沢、および/または透明度について、毛髪の繊維を比較する工程
を含む方法。
【請求項2】
前記毛髪の繊維は、末端部から前記繊維の長さの50%よりも短い「末端領域」の中で、かつ、前記末端部から前記毛髪の繊維の長さの50%よりも長い「先端領域」の中で交差する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法により前記毛髪の状態を決定することによって消費者に製品を推薦し、様々な製品から適切な製品を特定するための方法。
【請求項4】
円形の平らな観察板であって、第1の対になった対向するノッチおよび第2の対になった対向するノッチを有し、前記第1および第2の対になったノッチは、第1の対になった対向するノッチ間で描かれる第1の想像線と、第2の対になった対向するノッチ間で描かれる第2の想像線とが、観察板の焦点領域において交わるように位置し、ここで、前記交わる第1の想像線と第2の想像線によって形成される最小角が30〜90°である、前記円形の平らな観察板を含む、毛髪の繊維を保持するための装置。
【請求項5】
毛髪の繊維そのものが前記観察板の焦点領域において交差するように、毛髪の繊維の第1の部分が、前記第1の対になったノッチ間に第1の想像線に沿って置かれ、毛髪の繊維の第2の部分が、前記第2の対になったノッチ間に第2の想像線に沿って置かれている、請求項4に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪の繊維の物理的状態を評価するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪のダメージを測定する様々な方法が従来技術として開示されている。
【0003】
米国特許出願公開第2005/238793号明細書には、(a)長さ、末端部、および先端部を有する繊維基質を提供する工程と、(b)基質の水分含量を評価するための手段を提供する工程と、(c)前記繊維基質の長さに沿った第1位置で少なくとも1つの前記繊維基質の第1水分含量の測定値と、前記繊維基質の長さに沿った第2位置で前記繊維基質の第2水分含量の測定値とを得るために、前記基質の水分含量を評価するための手段を使用する工程と、(d)測定された水分含量の差を得るために、前記水分含量の測定値を互いに比較する工程と、(e)前記測定された水分含量の差を前記繊維基質の基質ダメージ値と関連付ける工程とを備える、繊維基質のダメージを評価する方法が開示されている。
【0004】
韓国特許公開第2008−0067433号明細書には、毛髪のイメージをデータに変換し、該データを健康な毛髪の参照データと比較することによって、客観性のある測定を行うことによりダメージを受けた毛髪を測定するシステムおよび方法が開示されている。ダメージを受けた毛髪を測定するシステムは、毛髪を拡大して撮影するユニット、ディスプレイユニット、算術演算ユニット、比較分析ユニット、および出力ユニットを含む。
【0005】
高倍率に拡大した中で毛髪を物理的に取り扱うか、または個々の繊維を可視化することによって、毛髪の繊維の物理的状態を測定するための方法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/238793号明細書
【特許文献2】韓国特許公開第2008−0067433号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術をよそに、我々は、毛髪の繊維の物理的状態を迅速に評価するための方法を改良する要求があることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、第1の態様では、本発明は、単一の毛髪の繊維を交差させ、同一の繊維の各部分の物理的特性を比較することによって、毛髪の繊維の物理的状態を評価するための方法を提供する。
【0009】
望ましくは、実質的に繊維が繊維そのものを交差する毛髪の繊維の部分間で比較が行われる。これにより、ユーザーは、毛髪の全般的な状態に関して迅速かつ正確に評価を行うことができる。
【0010】
望ましくは、最大幅を有する繊維の部分に基づいて、交差する部分について、10以内、さらに望ましくは5以内の毛髪の幅の比較が行われる。
【0011】
望ましくは、毛髪の繊維は、末端部から繊維の長さの50%よりも短い「末端領域」の中で、さらに望ましくは末端部から50mm以内の範囲で、かつ、末端部から毛髪の繊維の長さの50%よりも長い「先端領域」の中で、望ましくは毛髪の繊維の先端部から50mm以内の範囲で毛髪の繊維そのものを交差する。
【0012】
望ましくは、物理的特性は、色、幅、光沢、および透明度から選択される。
【0013】
これにより、評価人は、毛髪の繊維の物理的な品位がその長さに沿ってどのように減少したか評価できる。一般に、毛髪の繊維は、徐々に毛髪の繊維のキューティクルの外側コーティングを失い、毛髪の繊維の長さに沿って質が低下する。毛髪の繊維の質を低下させる速度は、遺伝的要因だけでなく繊維が受けてきたいかなる処置や環境条件にも依存する。例えば、多数の化学的処置を受けた毛髪の繊維は、いかなる処置も受けなかった毛髪の繊維よりもダメージを受ける。前記毛髪の繊維は、それほど処置がされていない毛髪の繊維よりも速く毛髪の繊維の物理的な品位を損なう。
【0014】
したがって、評価人は、質の低下が発生したことを測定しているのではなく、むしろ質の低下速度を測定している。この質の低下速度は、毛髪の健康状態の評価について、従来の評価よりも有益な測定である。
【0015】
望ましくは、評価人は、毛髪の繊維に対して作成された結論が別の毛髪の繊維に対して作成された結論と比較できるように、毛髪の繊維の末端または先端を予め決められた位置にセットする。
【0016】
さらに望ましくは、毛髪の繊維に対する結論は、同一の消費者の毛髪の繊維と比較してもよいが、異なる毎日の毛髪処置の型を取り入れた期間の後は、新しい型の影響を受けた評価を作成することができる。
【0017】
前記新しい型は、異なる毛髪処置の組成物を使用してもよい。
【0018】
これは、毛髪の状態について、多くの毛髪の繊維から同時に作成される全般的な評価よりも良好な測定であると考えられている。
【0019】
毛髪の繊維の一部分が交差する2つの角が作り出される。望ましくは、交差点における毛髪の繊維の部分間の垂直角の小さい方は、30〜90°である。
【0020】
望ましくは、本方法は、毛髪の繊維の物理的状態に関して結論に基づいて特定の製品を使用するための、消費者への推薦を包含する。
【0021】
第2の態様では、同一の毛髪の繊維の異なる部分間の直接的な比較を行うことができる、毛髪の繊維を保持するための装置が設けられている。
【0022】
望ましくは、前記装置は、第1および第2の対になった対向するノッチを有する比較板を備える。
【0023】
望ましくは、比較板は、各々の対になった対向するノッチ間で描かれる想像線が交わる焦点領域を備える。
【0024】
望ましくは、比較板は、ほぼ円形、ほぼ楕円形、ほぼ長方形、またはほぼ正方形である。最も望ましくは、比較板はほぼ円形である。
【0025】
望ましくは、比較板は、評価を容易にするためのイメージング装置と協働するための手段を備える。前記イメージング装置は顕微鏡であってもよい。
【0026】
望ましくは、本装置は取っ手を備える。望ましくは、取っ手は、実質的に比較板と同一の平面内に位置している。さらに望ましくは、取っ手は比較板から離れるように延びている。
【0027】
望ましくは、本装置は、繊維の予め決められた部分を比較できるように、十分な長さが使い果たされるまで毛髪の繊維を巻き付けることができる巻き付け部分を備える。望ましくは、取っ手は巻き付け部分を備える。
【0028】
望ましくは、各々の対になった対向するノッチ間に引かれる線が、30〜90°の最小角を有する。
【0029】
これから本発明の実施形態を以下の非限定的な図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図3】使用時の同一装置の焦点領域の近接平面図である。
【
図4】毛髪の繊維7が中心で交差した観察板3の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
詳細には、
図1は、取っ手2と平板3を有する装置1を示す。平板3は、同一の毛髪の繊維の2つの部分が交差し比較される焦点領域5を有する。
【0032】
板3は、毛髪の繊維を受け止めるための一対の対向するノッチ4A,4Bを有する。
【0033】
図2は、同一の装置ではあるが、対になった対向するノッチ4A,4Bによって毛髪の繊維7が保持された装置を示す。
【0034】
毛髪の繊維の遠位端は、取っ手2の上端部分6に巻き付けられている。
【0035】
図3は、同一の繊維の異なる部分間での比較を容易にするために交差させた同一の毛髪の繊維7A,7Bの2つの異なる部分が置かれた焦点領域5を示す。
【0036】
図4は、毛髪の繊維7が中心で交差した観察板3の平面図を示す。小さな垂直角8と大きな垂直角9である2つの角が、交差した毛髪によって作り出される。