特許第6461958号(P6461958)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6461958
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】半導体性単層カーボンナノチューブ
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/172 20170101AFI20190121BHJP
   C01B 32/159 20170101ALI20190121BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20190121BHJP
   H01L 51/05 20060101ALI20190121BHJP
   H01L 51/30 20060101ALI20190121BHJP
   H01L 51/40 20060101ALI20190121BHJP
   B01D 15/00 20060101ALI20190121BHJP
   B01J 20/06 20060101ALI20190121BHJP
   B01J 20/08 20060101ALI20190121BHJP
   B01J 20/10 20060101ALI20190121BHJP
   B01J 20/14 20060101ALI20190121BHJP
   B01J 20/18 20060101ALI20190121BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
   C01B32/172
   C01B32/159
   H01L29/78 618B
   H01L29/28 100A
   H01L29/28 250E
   H01L29/28 310E
   B01D15/00 J
   B01J20/06 A
   B01J20/08 A
   B01J20/08 C
   B01J20/10 A
   B01J20/10 C
   B01J20/10 D
   B01J20/14
   B01J20/18 B
   B01J20/18 E
   B01J20/26 C
【請求項の数】29
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2016-535282(P2016-535282)
(86)(22)【出願日】2014年8月18日
(65)【公表番号】特表2016-536256(P2016-536256A)
(43)【公表日】2016年11月24日
(86)【国際出願番号】CA2014050788
(87)【国際公開番号】WO2015024115
(87)【国際公開日】20150226
【審査請求日】2017年7月12日
(31)【優先権主張番号】61/867,630
(32)【優先日】2013年8月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506175792
【氏名又は名称】ナショナル リサーチ カウンシル オブ カナダ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ディン,ジアンフ
(72)【発明者】
【氏名】メイレンファント,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】リ,ザオ
(72)【発明者】
【氏名】レフェブヴレ,ジャッキーズ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,フョン
(72)【発明者】
【氏名】シマード,ベノイット
【審査官】 小野 久子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−149505(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0104328(US,A1)
【文献】 NISH, Adrian, et al.,Highly selective dispersion of single-walled carbon nanotubes using aromatic polymers,NATURE TECHNOLOGY,2007年10月 1日,Vol.2,p.640-646
【文献】 GOMULYA, Widianta, et al.,Semiconducting Single-Walled Carbon Nanotubes on Demand by Polymer Wrapping,ADVANCED MATERIALS,2013年 4月25日,Vol.25,p.2948-2956
【文献】 BERTON, Nicolas, et al.,Copolymer-Controlled Diameter-Selective Dispersion of Semiconducting Single-Walled Carbon Nanotubes,CHEMISTRY OF MATERIALS,2011年,Vol.23,p.2237-2249
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B32/00−32/991
B01D 15/00
B01J 20/06
B01J 20/08
B01J 20/10
B01J 20/14
B01J 20/18
B01J 20/26
H01L 29/786
H01L 51/05
H01L 51/30
H01L 51/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属性単層カーボンナノチューブ(m−SWCNT)から半導体性単層カーボンナノチューブ(sc−SWCNT)を選択的に分離するプロセスであって、
sc−SWCNTとm−SWCNTとの混合物を、非極性溶媒中の共役ポリマーで抽出して、濃縮sc−SWCNT分散液を生成するステップと、
前記濃縮sc−SWCNT分散液を、非極性溶媒中の無機吸着媒体に曝露するステップであって、前記無機吸着媒体は、前記m−SWCNTに選択的に結合することにより、前記m−SWCNTから前記sc−SWCNTをさらに分離するステップと、
含むプロセス。
【請求項2】
前記sc−SWCNTとm−SWCNTとの混合物は、0.6nm乃至2.2nmの範囲の平均直径を有するSWCNTを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記sc−SWCNTとm−SWCNTとの混合物は、HiPco、CoMoCAT、CVD、アーク放電、レーザーアブレーション、プラズマもしくはその他のプロセスにより調製される、請求項1乃至2のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項4】
前記sc−SWCNTとm−SWCNTとの混合物は、前記共役ポリマーにより、0.5:1乃至10:0.1のポリマー:SWCNT質量比で抽出される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記共役ポリマーはポリフルオレンを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記共役ポリマーはポリチオフェンを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記共役ポリマーは9,9−ジアルキル置換ポリフルオレンを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記共役ポリマーは3−アルキル置換ポリチオフェンを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記共役ポリマーは9,9−ジC10−36−アルキル置換ポリフルオレンを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記共役ポリマーは9,9−ジC10−18−アルキル置換ポリフルオレンを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記共役ポリマーは、3−C10−18−アルキル置換ポリチオフェンを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記共役ポリマーは、9,9−ジC10−18−アルキル置換フルオレンと、1以上のコモノマーユニットとのコポリマーを含み
前記コモノマーは、チオフェン、ビチオフェン、フェニレン、ビピリジン、カルバゾール、アントラセン、ナフタレンもしくはベンゾチアジアゾールのうち1以上を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記共役ポリマーは、3−C10−18−アルキル置換チオフェンと、1以上のコモノマーユニットとのコポリマーを含み
前記コモノマーは、フルオレン、ビチオフェン、フェニレン、ビピリジン、カルバゾール、アントラセン、ナフタレンもしくはベンゾチアジアゾールのうち1以上を含む
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記共役ポリマーは、10,000Daより大きい数平均分子量を有する、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記共役ポリマーは、数平均分子量10,000Da乃至30,000Daを有する、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記無機吸着材料は前記非極性溶媒中で安定な無機酸化物を含む、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項17】
前記無機吸着材料はシリカ、アルミナ、チタニア、ゼオライト、珪藻土もしくはそれらの混合物を含む、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項18】
前記無機吸着材料はシリカを含む、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
sc−SWCNTを超えて、m−SWCNTに向かう相互作用の特異性をアシストするため、前記無機吸着材料は官能化される、請求項1乃至18のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項20】
前記無機吸着材料は、シアノ、アミノ、ヒドロキシル、メルカプト、ハロ、アルキルもしくは芳香族基又はそれらの混合物で官能化される、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
反応性小分子、例えばシリコンカップリング剤、例えばCPTES及びAPTES、又はポリマー、例えばPLLを使用して、官能基は吸着剤に導入された、請求項20に記載のプロセス。
【請求項22】
前記濃縮sc−SWCNT分散液は、前記無機吸着媒体に、10:1乃至1000:1の無機吸着媒体とSWCNTとの質量比で曝露される、請求項1乃至21のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項23】
前記濃縮sc−SWCNT分散液は、前記無機吸着媒体に、50:1乃至500:1の無機吸着媒体とSWCNTとの質量比で曝露される、請求項1乃至21のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項24】
前記非極性溶媒は芳香族有機溶媒を含む、請求項1乃至23のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項25】
前記非極性溶媒はトルエン、ベンゼン、エチルベンゼン、キシレン、1−メチルナフタレンもしくはそれらの混合物を含む、請求項1乃至23のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項26】
前記非極性溶媒はトルエンを含む、請求項1乃至23のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項27】
前記抽出は溶媒内で行われ、前記抽出のための前記溶媒は、前記非極性溶媒と同一である、請求項1乃至23のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項28】
前記sc−SWCNTとm−SWCNTとの混合物は、前記抽出溶媒内に、0.1mg/mL乃至10.0mg/mLの濃度で分散される、請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
前記無機吸着媒体により、前記m−SWCNTから分離された前記sc−SWCNTは、遠心分離もしくは濾過により回収される、請求項1乃至28のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本願は、2013年8月20日出願された米国特許仮出願USSN61/867,630の利益を主張する。当該仮出願の全内容は、参照により本書に含まれる。
【0002】
本願は、カーボンナノチューブに関わる。
【背景技術】
【0003】
カーボンナノチューブの重要なクラスは、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)である。これらSWCNTは、一般的には平均直径を中心としたキラリティの分布を有する、金属性及び半導体性の両方のナノチューブを含有するアンサンブルサンプルとして生成される。キラリティの分布、直径範囲、半導体/金属(SC/m)の含有量及び平均長さが変化するであろうSWCNTを製造するのに、いくつかの方法を使用できる。例えば、HiPco法及びCoMoCat法によるSWCNTは、その直径が比較的小さい(0.6から1.3 nm)のに対して、アーク放電、レーザー(レーザーアブレーション)及びプラズマによるSWCNTは、その直径が比較的大きい(1.0乃至2.2nm)。95%という高いSC−SWCNT含有量は、例えばCoMoCatのような技術を用いて製造することができるが、ほとんどの調製されたままの状態の(as-prepared)SWCNTサンプルは、70%未満のsc含有量を有する。多くの用途、例えば薄膜トランジスタ(TFT)のため、99%より高いsc含有量が必要とされ、従って商業的に実現可能なプロセスを可能にするスケーラブルな方法を、開発する必要がある。
【0004】
いくつかの方法が、吸光分光法によって評価されるように99%以上のsc−純度で、半導体性SWCNTの有効濃縮及び分離を実証するために使用されてきた。これらの方法の中には、密度勾配超遠心分離法(DGU)、ゲルクロマトグラフィー(GC)、誘電泳動、及び共役ポリマーによる選択的抽出がある。これらのリストされているオプションの中で、クロマトグラフィー及び共役ポリマーによる抽出は、sc−SWCNTのスケーラブル濃縮へのより明確な道筋を提供するかもしれない。また、遠心分離ステップに続いて分散を一般に伴う、共役ポリマーによる選択的抽出の単純さは、99%より大きい半導体含有量でsc−SWCNTの単離するための費用効果的な方法として、その他のものから区別される。
【0005】
共役ポリマーは、選択的に半導体SWCNTを分散し、及び薄膜トランジスタの作製に関連する濃縮半導体性SWCNT画分に至ることができるという第1の開示は、特許文献(Malenfant 2007)に記載される。その後、特定の半導体性SWCNTのキラリティに向かってポリフルオレン誘導体を用いて達成することができるという卓越した選択性が実証された。より最近では、ポリ(3−ドデシルチオフェン)(P3DDT)を使用するHiPcoによるsc−SWCNTの、及びPFDDを使用するアークプラズマジェット管によるsc−SWCNTの効果的な濃縮が、10cm/Vsより大きい移動度でTFTを提供することが実証された。まとめると、これらの結果は、とりわけ、sc−SWCNTの濃縮及びTFTデバイスの製造における共役ポリマーの可能性を明らかに示していた。
【0006】
現在までに、フェニレンビニレン、カルバゾール、チオフェン及びフルオレンの多くのホモポリマーおよびコポリマーが、濃縮のために研究されてきた。例えば、P3DDTは、HiPCO法ナノチューブの分離において有望な結果を示したが、ただしP3DDTは、より大きな直径のSWCNTの分離には適していない。接触抵抗を最小化し、且つ薄膜トランジスタの大きな電子移動度を取得しようとするとき、より大きな直径のSWCNTはより望ましい。同様に、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)(PFO)は、大きなキラル角度で(20°≦θ≦30°)、大直径SWCNTではなく、小直径sc−SWCNTの分散において、高選択性を有することが観察された。ナノチューブ壁の低曲率に関連したナノチューブ間の強力な相互作用のせいで、大直径SWCNTを分散及び濃縮することは困難であると考えられる。結果として、コモノマーユニットは、特定のチューブキラリティ/直径をターゲットとするため、ポリフルオレン主鎖に同ン有された。これらコモノマーユニットは、フェニレン−1,4−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、アントラセン−9,10−ジイル、アントラセン−1,5−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、2,2−ビチオフェン−5,5’−ジイル、及びベンゾ−2,1,3−チアジアゾール−4,7−ジイルを包含する。
【0007】
さらに、ポリマーの側鎖アルキル鎖の長さは、濃縮効率に大きな影響を与える。12−炭素長の側鎖を有するポリマーは、より大きな直径を有するsc−SWCNTに対して改善された選択性を示した。最近、長いアルキル側鎖を有するフルオレンホモポリマーを使用する、大直径SWCNTの濃縮についての仕事が行われ、14.3cm/Vsのデバイス性能及び10を超えるオン/オフ比を達成した。
【0008】
現在の濃縮方法は、問題の組み合わせ、例えば拡張性の欠如(DGU)、法外な費用(クロマトグラフィー)、収量/有効性及びデバイス性能(選択的ポリマー抽出)などによって制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
m−SWCNTからsc−SWCNTを高収率かつ高純度で分離するための商業的に実現可能なプロセスに対する必要性が依然として存在する。
【0010】
概要
金属性単層カーボンナノチューブ(m−SWCNT)から半導体性単層カーボンナノチューブ(sc−SWCNT)を分離するための2つのステップからなるハイブリッドプロセスが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、金属性単層カーボンナノチューブ(m−SWCNT)から半導体性単層カーボンナノチューブ(sc−SWCNT)を選択的に分離するプロセスであって、
sc−SWCNTとm−SWCNTとの混合物を、共役ポリマーで抽出して、濃縮sc−SWCNT分散液を生成するステップと、
前記濃縮sc−SWCNT分散液を、非極性溶媒中の無機吸着媒体に曝露するステップであって、前記無機吸着媒体は、前記m−SWCNTに選択的に結合することにより、m−SWCNTからsc−SWCNTをさらに分離するステップと
を有するプロセスが提供される。
【0012】
sc−SWCNTとm−SWCNTとの混合物は、CNT調製物のいずれかの便利な供給源由来かも知れない。このような出発物質は、HiPco、CoMoCAT、CVD、アーク放電、レーザーアブレーション又はプラズマプロセスから調製した粗製(raw)(約0.6乃至2.2nmの平均直径)のSWCNTを好ましくは有する。sc−SWCNTとm−SWCNTとの混合物中のSWCNTの量に関連して、抽出に使用される共役ポリマーの量(即ち、ポリマー:SWCNTの質量比)は、好ましくは約0.5:1以上、例えば0.5:1乃至10:1である。
【0013】
共役ポリマーは、出発混合物からsc−SWCNTを選択的に分画することになるいずれの好適なポリマーを有してよい。ポリマーは、ホモポリマーもしくはコポリマーであってよい。ポリマーのいくつかの例としては、ポリフルオレン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、および1つ以上のコモノマーユニットとのそれらのコポリマー(例えばビチオフェン、フェニレン、ビピリジン、アントラセン、ナフタレン及びベンゾチアジアゾール)、又はこれらの組み合わせを包含する。共役ポリマーは、好ましくは、ポリフルオレン誘導体、例えば9,9−ジアルキル置換フルオレン、又は9,9−ジC10−36アルキル置換ポリフルオレン、または9,9−ジC10−18アルキル置換ポリフルオレンを有する。アルキル置換基は、直鎖状または分枝状であってもよい。共役ポリマーは、数平均分子量(Mn)好ましくは約10,000Daより大、例えば約10,000Da乃至約30,000Da、好ましくは約10,000Da乃至約30,000Daを有する。共役ポリマーとナノチューブとの間のπ−π相互作用と、ナノチューブ上の共役ポリマーのラッピング/コーティングとの組み合わせは、ナノチューブの電子特性及びキラリティに基づく高選択性を与える。さらに、選択ポリマーラッピング/コーティングは、m−ナノチューブ/sc−ナノチューブ間の良好な分離をもたらすため、個々のSWCNTの分散を可能にする。この特徴は、多くの電子デバイス用途のために必要とされる高純度への道筋を提供する。加えて、ポリマー側鎖の組成及びアーキテクチャは、選択性を最適化するために、可溶化とナノチューブとの相互作用とのバランスをとるように調節され得るまた、ポリマー主鎖の分子設計は、共役ポリマーに、ナノチューブとのユニークな相互作用だけでなく、いくつかの他の所望の特性を与えることになる。
【0014】
選択性を高めるためには、共役ポリマーによる抽出ステップは、非極性溶媒中で好ましくは達成され、且つ、好ましくは、その中において濃縮sc−SWCNT分散液が無機吸着媒体に曝露されるのと同一の溶媒である。sc−SWCNTとm−SWCNTとの混合物は、共役ポリマーの存在下で溶媒中に分散されてよい。sc−SWCNTとm−SWCNTとの混合物は、好ましくは溶媒中に、ポリマー/SWCNT比率0.5:1乃至10:1で、濃度約0.1mg/mL乃至約10.0mg/mL、好ましくは約0.4mg/mL乃至約2.0mg/mLで分散される。ポリマー/SWCNT比率は、抽出収率及びsc−純度に有意に影響を与える。分散液の形成は、当技術分野で公知の技術、例えば超音波処理、機械的撹拌などによってアシストされてよい。SWCNTからの、十分に分散したSWCNTのその後の分離は、分散液内でポリマーでコートされたSWCNTを収集する一方で、未分散、コーティングされていないSWCNTは除去される。その後の分離は、何れの好適な方法、例えば遠心分離、ろ過など、又はそれらのいずれの組合せにより達成され得る。遠心分離が好ましい。このような遠心分離は、典型的には沈殿物及び上澄をもたらす。沈殿物は、遠心チューブの底部に引力により引き寄せられたのであり、上澄は、最上部における液体である。出発混合物と比較して、沈殿物はm−SWCNT内で濃縮され、上澄はsc−SWCNT内で濃縮される。より多くの抽出プロセスが、沈殿物に適用され得、得られる組み合わせ分散液は、sc−SWCNTのより高い収率を与える。
【0015】
ポリマー被覆されたSWCNTを含有し、sc−SWCNTが濃縮された分散液は、無機吸着媒体に直接曝露されてよく、又はさらなる処理ステップが、濃縮sc−SWCNT分散液を無機吸着媒体と接触させるステップの前に行われてよい。さらなる処理ステップは、例えば
濾過により分散液からポリマー被覆されたSWCNTを単離するステップ、及び
濃縮sc−SWCNT分散液を形成するため、ポリマー被覆されたsc−SWCNTを洗浄し、それから再分散するステップ
であり得る。濃縮sc−SWCNTの濾過及び洗浄は、SWCNTに付着していない過剰のポリマーを除去できる。従って、ポリマー:SWCNTの化学量量を調整可能にする。これは、同様に、後続の吸着精製及びデバイス性能の有効性に影響を与える重要なパラメータである。
【0016】
一旦調製されると、濃縮sc−SWCNT分散液は、非極性溶媒中の、好ましくはポリマー抽出のための溶媒と同一の非極性溶媒中の無機吸着媒体に曝露される。m−SWCNTからsc−SWCNTをさらに分離するため、無機吸着媒体は、m−SWCNTを選択的に結合する。濃縮sc−SWCNT分散液内の無機吸着媒体及びSWCNTは、好ましくは無機吸着媒体とSWCNTとの質量比約10:1乃至1000:1、又はより好ましくは約50:1乃至500:1で存在する。無機吸着媒体は、好ましくは無機酸化物、例えば(多孔質もしくは非多孔質)シリカ、アルミナ、チタニア、ゼオライト、珪藻土(例えばCelite(商標))、又はこれらの混合物を有する。sc−SWCNTを超えて、m−SWCNTに向かう相互作用の特異性をアシストするため、無機吸着媒体は官能化されてよい。いくつかの好適な官能基は、例えば、シアノ、アミノ、ヒドロキシル、メルカプト、ハロ(F、ClもしくはBr)、アルキル及び芳香族基を包含する。無機吸着媒体は、非極性溶媒中で安定であるべきである。非極性溶媒は好ましくは有機溶媒、より好ましくは芳香族有機溶媒を有する。非極性溶媒のいくつかの例としては、例えば、トルエン、ベンゼン、エチルベンゼン、キシレン、1-メチルナフタレン及びそれらの混合物が挙げられる。トルエンが好ましい。混合後、振盪又は超音波処理、攪拌を使用することにより、5分乃至50時間、好ましくは10乃至60分の間、混合物を相互作用させた。浴槽超音波処理が好ましい。
【0017】
無機吸着媒体に濃縮SC−SWCNT分散液を曝露させるステップの後、sc−SWCNTは、いずれの好適に方法、例えば、遠心分離、ろ過など、又はそれらのいずれの組合せにより回収されてよい。遠心分離が好ましい。m−SWCNT内で濃縮された吸着剤は、簡単に遠心分離プロセスの沈殿物内で簡単に回収される固体である一方、sc−SWCNTは上澄中に分散されたままである。sc−SWCNTのさらなる処理および単離は、遊離ポリマーを除去するための濾過および洗浄することにより達成することができる。回収されたsc−SWCNTは、共役ポリマーラッピング/コーティングを有し、且つ光起電力デバイス(PVDs)、薄膜トランジスタ(TFT)、印刷可能な電子機器及びセンサを包含する様々な用途で使用することができる。
【0018】
本ハイブリッド濃縮プロセスは、2つのステップを有する。第1のステップは、共役ポリマーを使用する半導体性SWCNTの選択的分散及び抽出に基づく。その後の第2のステップは、主として金属性のSWCNTを選択的に結合するため、第1のステップの生成物が無機吸着媒体に曝露される吸着プロセスに基づく。それにより、溶液内に分散されたままのものは、半導体性SWCNTでさらに濃縮される。プロセスは、例えば約0.6乃至2.2nmの範囲の平均直径を有する半導電性単層カーボンナノチューブ(sc−SWCNT)濃縮のために容易に拡張可能である。また、単独の抽出方法と比較して、このハイブリッド濃縮プロセスの他の利点がある。例えば、sc−SWCNT純度は、単一もしくは多重ポリマー抽出では達成できない高レベルにまで促進される。それにより、より優れたデバイスをもたらす。また、高sc−SWCNTの純度(例えば99%を超える)と高収量(約20%以上まで)の両方を一緒に得ることができる。低ポリマー/SWCNT比率、例えば1:1を使用するとき、抽出プロセス由来の高sc−SWCNT純度だけが達成可能である。この比率において、低収率が常に得られる。抽出プロセスにおいて純度と収率との間にトレードオフがある。しかしながら、本発明のハイブリッド法を使用することにより、高ポリマー/SWCNT比率、例えば4:1を使用することによる抽出ステップにおいて、高収率で生成物を得られる。そして純度は、50%以上の収率で吸着ステップにおいて促進され得る。このプロセスは、高レベルにおける組み合わせ収率(例えば>13.2×0.5=6.6%)を維持する一方、高sc−SWCNT純度に0.40より大きいφ値を提供する。ポリマー抽出による同様の収率を得るため、わずか約0.37のφ値が得られる。ここでφは、以下に定義される通りである。
【0019】
本書に開示されるハイブリッドプロセスは、先行技術プロセスよりも改善された半導体純度と、比較的高い収率との組合せを提供する。抽出ステップは、いくらかの重度を犠牲にして収率を改善するために最適化されてよいのに対し、後続の吸着ステップは、過度に収率を犠牲にすることなく純度を改善するために最適化されてよい。改善された半導体純度は、選択的ポリマー抽出だけにより製造したデバイスと比べてより優れた、高移動度と電流オン/オフ比とを有するトランジスタの製造を可能にする。従って、sc−SWCNTを精製するための低コストで、高収率なプロセスが提供された。それにより、sc−SWCNTに基づく、これまで未知の薄膜トランジスタ(TFT)デバイス性能がもたらされる。
【0020】
以下の詳細な説明の過程で、さらなる特徴が説明され、又は明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
明確な理解のために、添付図面で参照して、好ましい実施形態が、実施例により詳細に説明される。添付図面中、
図1】トルエン中の濃度0.5mg/mL、及びポリマー:SWCNT比率0.8における、PFD、PFDD、PFTD及びPFODによるレーザーSWCNTの抽出からの、SWCNTプロダクトの吸収スペクトル、収率(η)及びφ比率を示す図である。
図2】トルエン中のチューブ濃度0.4mg/mL、及びポリマー:SWCNT比率0.25:1、0.5:1、1.0:1、2.0:1、4.0:1及び8.0:1における、PFDDによるレーザーSWCNTから抽出されたSWCNTサンプルの吸収スペクトル、収率(η)及びφ比率を示す図である。
図3】レーザーSWCNTの多重抽出における各抽出、そこからの原料及び8回目の抽出の残渣に関する吸収スペクトル、収率(η)及びφ比率を示す図である。SWCNT濃度及びポリマー:SWCNT比率は、最初の3回の抽出(*でマークした)の場合、1.0mg/mL及び0.8:1であり、続く5回の抽出の場合、0.33mg/mL及び0.4:1であった。
図4】トルエン中の濃縮sc−SWCNTの吸収スペクトルを示す図である。遠心分離前のこのプロセスからの粗製(raw)SWCNT分散液及び濾過からのろ液の吸収スペクトルもまた、比較のために集められた。粗製分散液及びろ液の溶液は、元の20倍に希釈された。
図5】PFDD及びPFDD濃縮レーザーsc−SWCNTの吸収スペクトルを示す図である。380nmにおけるPFDDピーク(dA380)及び936nmにおけるS22ピーク(A936)の算出が示される。
図6】本発明におけるPFDD抽出したサンプルの吸収スペクトルと、Blackburnのサンプル(Mistry−2013)及びIsoNanotubes(Naumov−2011)のスペクトルとの比較を示す図である。合理的な比較のために、スペクトルはS22バンドに基づいて正規化した。Blackburnのサンプル及びIsoNanotubesの曲線は、Mistry−2013の図S8から再プロットされている。
図7】SWCNTピーク比(φ=ACNT/(ACNT+A))の定義を示す概略図である。ACNTは、サンプル内のm−SWCNT及びsc−SWCNTの量に対応する直線のベースラインに囲まれたM11およびS22バンドの包囲する(enveloping)領域(グレーに塗られた陰影部分)である。Aは、主としてアモルファス炭素不純物に起因する同一領域の直線のベースラインによってカバーされた領域(ストライプ領域)であった。
図8】トルエン中のPFDDにより濃縮されたsc−SWCNTのフォトルミネセンス励起(PLE)のマッピングを示す図である。最高8もしくは9個のキラリティは、最も豊富にある(10,9)化学種でスペクトルを支配するように見える(1570nmにおける発光、910nmにおける励起)。
図9】S22波長対S11波長のキラリティマップを示す図である。2つの陰影部分は、それぞれ直径分布1.25乃至1.35nm(内側の陰影部分)、及び1.25乃至1.40nm(外側の陰影部分)を有するキラリティを表す。
図10】吸収スペクトル及びsc−SWCNT濃縮材料の図8におけるPLEマップから抽出したデータを示す図である。積分励起プロットは、励起曲線を表し、及び積分発光プロットは、PLEマップから抽出された発光曲線を表す。
図11】4つの異なる無機吸着性媒体、即ちむき出しのSiO(SiO2-bare);SiO−PLL;SiO−CPTES;及びSiO−APTESで処理する前と後の、濃縮されたsc−SWCNT分散液の吸収スペクトルを示す図である。
図12】異なる量のSiO−CPTESを使用する濃縮sc−SWCNT分散液のSiO−CPTES処理からの上澄の吸収スペクトルを示す図である(10mLのsc−SWCNT分散液に対して10mg、20mg及び40mg)。
図13】ピーク比0.365及び0.391における異なる純度を有する2つの元の濃縮sc−SWCNT分散液のUVスペクトル、及び2つの元の分散液からのシリカ−CPTES吸着のプロダクトのUVスペクトルを示す図である。サンプルa40からのシリカ粒子上に吸着された材料のUVスペクトルもまたは、比較のために表示された。
図14A】2つの元の濃縮sc−SWCNT分散液、及び上澄(sup)からのそれらの吸着精製プロダクト、及びシリカ−CPTES吸着処理の沈殿物(ppt)内のシリカ粒子上に吸着された材料の場合の、ピーク比0.365及び0.391における異なる純度を有するポリマー抽出(orig)(サンプルa05の場合、図14A及び図14B、及びサンプルa40の場合、図14C及び図14D)による、785nmで励起したラマンスペクトルのRBMバンド(図14B及び図14)、及び633nmにおけるGバンド(図14B及び図14D)を示す図である。
図14B】2つの元の濃縮sc−SWCNT分散液、及び上澄(sup)からのそれらの吸着精製プロダクト、及びシリカ−CPTES吸着処理の沈殿物(ppt)内のシリカ粒子上に吸着された材料の場合の、ピーク比0.365及び0.391における異なる純度を有するポリマー抽出(orig)(サンプルa05の場合、図14A及び図14B、及びサンプルa40の場合、図14C及び図14D)による、785nmで励起したラマンスペクトルのRBMバンド(図14B及び図14)、及び633nmにおけるGバンド(図14B及び図14D)を示す図である。
図14C】2つの元の濃縮sc−SWCNT分散液、及び上澄(sup)からのそれらの吸着精製プロダクト、及びシリカ−CPTES吸着処理の沈殿物(ppt)内のシリカ粒子上に吸着された材料の場合の、ピーク比0.365及び0.391における異なる純度を有するポリマー抽出(orig)(サンプルa05の場合、図14A及び図14B、及びサンプルa40の場合、図14C及び図14D)による、785nmで励起したラマンスペクトルのRBMバンド(図14B及び図14)、及び633nmにおけるGバンド(図14B及び図14D)を示す図である。
図14D】2つの元の濃縮sc−SWCNT分散液、及び上澄(sup)からのそれらの吸着精製プロダクト、及びシリカ−CPTES吸着処理の沈殿物(ppt)内のシリカ粒子上に吸着された材料の場合の、ピーク比0.365及び0.391における異なる純度を有するポリマー抽出(orig)(サンプルa05の場合、図14A及び図14B、及びサンプルa40の場合、図14C及び図14D)による、785nmで励起したラマンスペクトルのRBMバンド(図14B及び図14)、及び633nmにおけるGバンド(図14B及び図14D)を示す図である。
図15】TFTデバイス構造(右上)、及び当該デバイスのSEM画像(左上)、及びチャネル長さ25μmと幅100μmを有する本プロセスにより製造したsc−SWCNTで構築した典型的FETデバイス(5nmTi/100nmPtを有するトップコンタクトソース/ドレイン電極)の出力曲線(A)及び伝達曲線(B)示す図である。伝達曲線は、0.2Vのソース−ドレイン電圧で採取された。
【発明を実施するための形態】
【0022】
詳細な説明
ホーンソニケーションの助けを借りて、十分に長いアルキル側鎖(C10乃至C18)を有するフルオレンポリマーを使用して、粗製レーザーSWCNTは、トルエン中に分散された。分散された溶液を、非常に緩やかなRCF(約8000gの相対遠心力)で遠心分離して、半導体性SWCNT(sc−SWCNT)濃縮分散液を得た。それから分散液を、約20分間の撹拌もしくは浴槽音波処理と共に、少量の吸収剤(absorbent)、例えばシリカ粒子に曝露した。吸収剤を除去するため、混合物を、約8000gのRCFで再び遠心分離した。濃縮ナノチューブを収集するため、上澄は、0.2μm Teflon(商標)膜を介して濾過された。純度のための吸着ステップの有効性は、UVラマン分光法を用いて検討し、その結果、上澄からのプロダクトは、sc−純度を著しく促進した一方、吸収剤上の材料は、金属性濃縮ナノチューブを含有する。純度を促進するための吸着ステップの有効性は、0.391のφ値で強化された約99%の純粋なPFDD(ポリ(9,9−ジC12アルキルフルオレン))濃縮sc−SWCNT分散液を処理することにより、さらに評価された。吸着処理は、この値を0.408へと促進した。吸着処理前及び後の両方のサンプルを、薄膜トランジスタ(TFT)デバイス試験により比較した。純度促進サンプルから調製したTFTデバイスは、25μmのチャネル長さ及び100μmのチャネル幅を有する1デバイス当たり、7.2×10のオン/オフ電流比及び61cm/Vsの移動度を示した。また、チップ上の全デバイス25個のテストでは、全デバイスは、10を超えるオン/オフ比及び25cm/Vsを超える移動度という良好なトランジスタ性能を有していたのに対し、吸着処理前のサンプルからの25個のうちわずか12個のデバイスは、10乃至30cm/Vsの移動度及び約10のオン/オフ比という通常のTFT特性を示した。この結果は、吸着処理により純度が大幅に改善されることを示している。さらなる詳細は、以下の実施例において提供される。一方、同一の吸着プロセスはまた、0.365のφ値を有する低純度の濃縮分散液に適用された。UV及びラマンスペクトルは、吸着精製サンプルは、0.407のφ値を有する純粋な出発物質からのものと同じ純度、及び同様のデバイス性能を有することを示した。一方、処理前のサンプルからの最善のデバイスは、28cm/Vsの移動度と約3のオン/オフ比を有していただけであった。
【0023】
材料及び方法:
特徴化:
吸収スペクトルは、300〜2100nmとの波長範囲で紫外可視近赤外分光光度計(Cary 5000,Varian)上、波長範囲300乃至2100nmで収集された。基準チャネル内に置かれた純粋溶媒キュベットと共に、ダブルビームモードを使用した。514nm(2.41eV),633nm(1.96eV),及び785nm(1.58eV)レーザー励起源及び50×倍率対物レンズを使用するInViaラマンマイクロスコープ(Renishaw)により、ラマンスペクトルが取得された。4cm−1の分解能で100乃至3000cm−1領域において、スペクトルは記録された。720乃至1050nmのチューニング範囲を有する波長可変励起として使用されるチタン−サファイアレーザーを備えた自家製のシステムにおいて、PLEマッピングが行われた。
【0024】
収率およびSWCNTの濃度測定のため、吸収分光法を使用した。収率は、TGA分析から計算され原料(raw material)中に存在するSWCNTの合計質量に対する、濃縮分散液内のsc−SWCNTの質量百分率として表される。主に、収率値は、出発原料の重量と、濃縮の最終生成物におけるsc−SWCNTの重量とを比較することによって得られる。最終生成物は、ポリマーラップされた/被覆されたSWCNTでなければ、及び従ってそれはポリマーとSWCNTとの混合物である。最終生成物中のポリマー含有量は、sc−SWCNT含有量を評価するために検出されなければならない。分光法によるアプローチは、当該技術分野で公知であり(Naumov−2011)、最終製品中のポリマー及びsc−SWCNTの量の両方を同時に決定するためのより便利な方法であると思われる。従って、濃縮された分散液のポリマー及びSWCNT濃度(mg/mL)は、それらの吸収スペクトルから算出され、及びそれから濃縮の収率を推定することができる。濃縮された生成物の吸収スペクトル、例えば図1に示されるものから、ポリマー(この場合はPFDD)は、380nmにおける単一ピークを有しているだけであり、且つsc−SWCNTは、S11の場合1400乃至1900nm、S22の場合700乃至1100nm、及びS33の場合450乃至550nmの領域内に3つの吸収バンドを示すことが明らかである。これら全てのバンド及びPFDDピークは、十分に分離されている。これは、透過係数(ε、mL/mg・cm)によりピーク吸収(A)と、ポリマーとsc−SWCNTとの濃度(c、mg/mL)とを相互に関係させるため、ランベルト・ベールの法則(A=εlc)の使用を可能にする。lは、光路長さ(cm)であり、且つ本発明には1cmである。380nmにおけるポリマー(ε380)及び936nmにおけるsc−SWCNT(ε936)の透過係数は、純粋ポリマー及び99%を超えるsc−純度を有し、以下の考察において示される、高度に精製したsc−SWCNTサンプル(図4におけるサンプル0.5)から決定された。従って、0.89mgのPFDDを、10mLのトルエンに溶解し、(ファクター5、6、8、10、12及び16を掛けた)希釈溶液の吸収スペクトルが収取すされ、380nmにおける吸光度と挿入された濃度とのプロットで表示された。このプロットの線形ベストフィットラインは、59.8mL/mg・cmのポリマー(ε380)の透過係数を与える。1.65mgのsc濃縮SWCNTサンプルについての同様の作業は、22.8mL/mg・cmの濃縮ナノチューブサンプルの見かけ透過係数をもたらした。この値は、ポリマーとナノチューブの混合物であることに起因する見かけ透過係数である。従って、ポリマーの影響は、この値から排除されなければならない。これは、380nmにおける吸光度の同様の分析によって行った。380nmにおけるPFFD吸収ピークは、バックグラウンドシグナルと重なっているため、PFDDの場合の380nmにおける吸光度(dA380)は、図5に示されたように測定される。dA380と、このサンプルの濃度とのプロットは、31.6mL/mg・cmの380nmにおける見かけ透過係数を与える。この値と、純粋PFDDのε380(59.8mL/mg・cm)との比較は、このサンプルのPFDD含有量52.8%をもたらす。従って、濃縮レーザーSWCNTの透過係数は、22.8/(1−0.528)=48.3mL/mg・cmと同等でなければならない。この値は、従来技術において報告された精製レーザーSWCNTの場合の41.1mL/mg・cmの透過係数よりも僅かに高いことに留意すべきである。ここで、アモルファスカーボンが除去され、残されたm−及びsc−SWCNTは粗製レーザーSWCNTと比較された。この差は、従来技術のサンプル中に存在するm−SWCNTの不純物によるものである。
【0025】
半導体(sc−)純度評価のため、吸収スペクトルにおけるSWCNTピーク比φを使用した。図1に見られるように、粗製レーザーSWCNTは、sc−ナノチューブの場合(1400乃至1900nmにおけるS11、750乃至1150nmにおけるS22、420乃至580nmにおけるS33)と、m−チューブの場合(600乃至750nmにおけるM11)とで異なる波長領域において吸収ピークを有する。この特徴は、大直径SWCNT、例えばレーザー、アーク放電及びプラズマSWCNTにとって共通である。この特性に基づき、Nanointegris社は、彼らのアーク放電sc−SWCNTの純度を推定した。DGUテクニックにより製造された彼らのプロダクト(IsoNanotubes)のsc純度の99%は、S22及びM11ピークエンベロープの積分面積を比較することにより算出された。しかしながら、この方法は、99%より高い純度を有するプロダクトには適していない。図4に示されるように、純度がある一定のレベルを超えて増加する場合、646nm及び696nmにおけるM11ピークは、もはや現れない一方で、この領域におけるバックグラウンド強度は、不純物がさらに除去されるにつれて減少し続ける。この状況下で、Blackburnは、彼の最近の論文の一つにおいて(Mistry−2013)、彼らのサンプルのUVスペクトルと、Nanointegrisプロダクト、IsoNanotubes(Naumov−2013)のUVスペクトルとを比較し、且つ彼らの濃縮サンプルは、S22及びS33吸収バンドの間により深い谷間を有することを見出した。従って、彼らは、NanoIntegrisのIsoNanotubesよりも同等以上のsc−純度を達成したと結論付けた。同じ戦略を用いて、図4サンプル0.5に示される本研究で製造されたsc−SWCNTサンプルの吸収スペクトルは、Blackburnサンプル及びNanointergrisサンプルのスペクトルと、図6に示されるように比較された。合理的な比較のために、スペクトルはS22バンドに基づいて正規化した。図6は、本研究のsc−SWCNTサンプルは、より良く分離された(resolved)S22ピークと、この領域における僅かに深いバックグラウンド強度とを有し、より高い純度を示すことを実証している。
【0026】
しかしながら、この種の比較は、迅速な純度評価のために便利ではない。従って、計量法(metric)が、この目的のために吸収スペクトルから誘導された。図4に示されるように、濃縮は、M11の吸収バンドを除去しただけでなく、M11とS22の領域におけるバックグラウンド強度をも顕著に低下させた。吸収バックグラウンドに対する主要な寄与は、アモルファスカーボンの特色のない吸収であるため、M11及びS22ピークが包み込む(envelop)積分面積は、この領域内の総面積と比べて、サンプル中のSWCNT含有量と相関する必要がある。従って、図2の曲線8.0は、一例として取り上げられ、且つ図7において、吸光度対波数と波数との対比で再プロットされた。それにより、SWCNTのピーク比(φ=ACNT/(ACNT+A))が定義される。ここで、ACNTは、ナノチューブに起因する8400cm−1乃至16000cm−1の領域内の直線のベースラインに囲まれたM11およびS22バンドの包囲する(enveloping)領域(グレーに塗られた陰影部分)であった。Aは、主としてアモルファス炭素に起因する同一領域の直線のベースラインによってカバーされた領域(ストライプ領域)であった。S22領域のみをカバーする同様のモデルは、未処理の(pristine)SWCNTプロダクトのナノチューブ含量を評価するための従来技術(Itkis−2003)において提案されたが、ほとんど調整したままの状態のSWCNTサンプルのこの値が低いことが判明した。さらに、SWCNT含有量対アモルファス炭素含有量が増加するにつれて、SWCNT含有量は、純粋なSWCNTサンプルの場合の最大値0.325に近づいた。しかし、本研究は、SWCNTピーク比(φ)は、高度に半導体性の濃縮サンプルの場合のより高い値に達すること、及び従ってItkisモデルはもはや適切でないこと示した。この理由は、m−SWCNTの除去のせいでM11ピークの除去が、この領域により低いバックグラウンド強度をもたらし、及び従って小さいA値と高いφ比につながるからである。逆にこの特徴は、φを、濃縮サンプル内のm−SWCNT含有量に対して非常に敏感にする。その結果、φは、濃縮されたサンプルのsc純度を評価するために、本書において採用された。ナノチューブ含有量と非ナノチューブカーボン含有量との対比とは対照的に、大きな値は、高sc純度サンプルにおける半導体/金属含有量の変化をより反映している。図4サンプル0.5及び8400cm−1乃至16000cm−1(1190乃至625nm)の範囲内のBlackburnのサンプルの吸収曲線、及び8000cm−1乃至15200cm−1(1250乃至660nm)の範囲内のIsoNanotubesの積分は、これら3つのサンプルに対して0.403、0387、及び0.360のφ比を与える。この結果は、以下に考察されるように吸収スペクトルからの結果とよく一致する。
【実施例】
【0027】
実施例1:ポリフルオレン誘導体
この実施例では、好ましい共役ポリマーの詳細を提供する。
【0028】
乃至C18の長さと、9位に2つのアルキル基とを有するポリフルオレンは、従来技術の方法(例えばDing 2002)から改造された鈴木・宮浦カップリング反応によって調製した。基本的な特性データと共に得られたポリマーは、スキーム1及び表1に記載される。表1において、T1%及びTは、熱重量分析(TGA)及び示差走査熱量測定(DSC)曲線から測定された。
スキーム1 ポリフルオレンの構造:
【化1】
【0029】
表1 ポリフルオレンの特性データ
【表1】
【0030】
実施例2:ポリフルオレン誘導体による粗製SWCNTの濃縮
この実施例は、濃縮されたsc−SWCNT分散液を製造するために、共役ポリマーでsc−SWCNTとm−SWCNTとの混合物を抽出する詳細を提供する。
【0031】
典型的な濃縮は、レーザーアブレーションにより製造したSWCNT25mgを、20mgのポリフルオレンを有する50mLのトルエン内に分散することにより行われた。混合物を、40%のデューティ・サイクル及び50%の出力で動作された10mm先端部(tip)を備えたホーン超音波処理器(Branson Sonifier 250,最大電力200W)を使用して、30℃で30分間ホモジナイズした。その後、分散液を、相対遠心力(RCF)7600g(SS−34ローターにおいて8,000rpm)で30分間、遠心分離した。抽出されたSWCNTを収集するため、上澄みを、ポアサイズ0.2μmを有するTeflon(商標)膜を介して濾過した。遊離フルオレンを除去するため、収集されたSWCNTを、5mLトルエンで2回リンスし、それから、浴槽ソニケータを5乃至10分間使用して、5mLトルエン内に再分散した。多重抽出のため、沈殿物を再分散し、所望のSWCNT濃度及びポリマー:SWCNT比率を使用して、上記のプロセスを繰り返した。
【0032】
ポリマーの分子量、ポリマーの側鎖の長さ、ポリマー:SWCNT比率、及び多重抽出が行われるかどうかを包含する、多くのファクターが、濃縮プロセスに影響し得る。これらのファクターは評価され、且つ最適化された濃縮手順が発展した。
【0033】
分子量
異なる分子量を有する一連ポリフルオレンが、レーザーアブレーションにより製造された(レーザー)SWCNTを分散及び抽出するそれらの能力について試験された。8000Da未満の分子量を有するポリフルオレンは、レーザーSWCNTを分散する能力が低かった。この現象は、8以上の繰り返し単位を有するポリフルオレン系オリゴマーは小径SWCNTの良好な分散のために好ましいという観察と一致する。10,000Da超の分子量を有すると、sc−SWCNTを分散及び選択的に抽出する際に、明らかな違いはない。しかし、非常に高い分子量は、ポリマーでラップされたナノチューブの粘度を顕著に増加させるので、処理中の材料の取り扱いの実用的な制限につながる。従って、10,000乃至30,000Daの間の最適な数平均分子量(Mn)が野竿増しい。この分子量は、重合の供給内のジブロミドとビス(ボロン酸)モノマーの比率を単に調節することにより、容易に達成され得る。上記の表1は、SWCNTを濃縮するために使用されるポリマーの数平均分子量(M)及び多分散性指数(PDI)を示す。
【0034】
ポリマー側鎖の長さ
オクチル(PFO)、ヘキシル(PFH)、及び2−エチルヘキシル(PF2/6)を包含する短いアルキル鎖を有するフルオレンホモポリマーは、小直径を有するsc−SWCNT、例えばHiPco及びComoCatナノチューブを濃縮する高い可能性を示した。これらホモポリマーは、大直径SWCNTを効果的に分散させるのには有用ではない。ナノチューブの直径が約1.1nm以上であると、PFOの分散能力は低下する。従って、CからC18で変化する直鎖アルキル基を有する一連のフルオレンホモポリマーを、レーザーSWCNTを分散し、抽出するそれらの能力について試験した。PFO(C)、PFD(C10)、PFDD(C12)、PFTD(C14)、及びPFOD(C18)を調製し、トルエン中SWCNT濃度0.5mg/mL及びポリマー:SWCNT比率0.8におけるSWCNT抽出について試験した。試験は、PFOは、トルエン中の少量のナノチューブを抽出したこと示した。当該系例におけるその他の全ポリマーは、図1において比較された濃縮サンプルの吸収スペクトルにおいて見られるように、sc−SWCNTを分散し、抽出するのにより効果的であることが証明された。
【0035】
図1は、PFD、PFDD、PFTD及びPFODにより濃縮されたナノチューブは、それぞれ収率(η)5.3%,6.8%,5.4%及び6.4%,及びピーク比率(φ)0.416,0.403,0.410及び0.404で、類似の吸収スペクトルを与えることを示す。収率と純度との間にトレードオフがある。sc純度を犠牲にしてでも(下記参照)、高いポリマー:SWCNT比を使用することにより、増大した収率が容易に得られる。図1における吸収スペクトルは、完全に除去されたM11ピークを有するsc−SWCNTの場合、非常に高いsc濃度を確認する。さらに、φi比は、粗製レーザーSWCNTサンプルの場合の0.086から、抽出SWCNTの場合の約0.41まで増大した。これは、抽出サンプル内の増大したsc−SWCNT純度の指標である。炭素数10以上のアルキル側鎖を有するフルオレンホモポリマーは、大直径SWCNTを分散させる際、より効果的であり、且つsc−ナノチューブをラッピングする際、高選択性を提供する。評価されたポリマーは、濃縮のために非常に類似した収率及び純度を与えたが、側鎖が長いほど、より大きい溶解性能力を与える。それにより、バンドルの形成を減らすことにより、ナノチューブ分散液の安定性が向上する。しかしながら、長鎖アルキル側鎖を有するナノチューブ分散液は、濃縮プロセスにおける濾過ステップを一層困難にする高粘性を有する。これらすべての効果を考慮して、C12側鎖を有するPFDDが、さらに詳細な濃縮研究のために選択された。
【0036】
PFDD:SWCNT比率
一連のPFDD:SWCNT比0.25:1乃至8.0:1が、ナノチューブ濃縮について評価された。図2は、比率0.5:1は、700nm周辺に最も深い谷を与えることを示し、この抽出試験において最善の結果を意味する。この濃縮サンプルのSWCNTピーク比φは、0.403に達した。このピーク比率値は、sc−SWCNT含有量の99%以上を有すると思われる従来技術のサンプル場合のピーク比よりも高い。PFDD:SWCNT比率が増加すると、純度が次第に減少する。金属性ピークが徐々に646及び696nmに出現し、且つ700nm領域における吸収バックグラウンドが次第に強くなる。最低PFDD:SWCNT比率(0.25:1)における抽出は、最高純度を与えなかったことは興味深い。PFDD:SWCNT比0.5:1における値(0.403)よりも低い、僅か0.375のピーク比φを有していた。この現象は、この抽出の低い収率(0.7%)に関連しているかもれしれない。このポリマー:SWCNT比率において、分散液からは、ごく少量の固体生成物が抽出された。これは、多くの非チューブ不純物、例えばフラーレン及び小さい炭素粒子不純物を含有するはずである。これらは、通常は粗製SWCNTサンプル内に存在し、トルエンで高い溶解性を有し、ポリマー抽出の際、容易に上澄内に入り込む。
【0037】
このシリーズのサンプルのsc−SWCNT純度はまた、ラマン研究によって調査された。785nmで励起されたスペクトルのRBMは、0.5:1のポリマー:SWCNT比率を有するサンプルは、135cm−1及び175cm−1の金属性領域においてほぼフラットなベースラインを有することを示した。高いsc純度を意味していた。ポリマー:SWCNT比率が0.5:1から8.0:1に変化したので、162cm−1を中心とする広範囲の金属性バンドが徐々に現れ、且つピーク強度とφ値との良好な相関を示した。この結果は、吸収分光研究における観察を確認し、また、φは、sc−SWCNTサンプルの純度の迅速な評価のための良い指標でないことをも証明した。
【0038】
一方、図2に記載されているデータは、より高いポリマー:SWCNT比率と共に、収率が顕著に増加することを示している。比率が0.25:1から0.5:1に増加すると、収率は、0.7%から4.5%に急激に増加し、その後、比率がさらに8.0:1まで増加して増加すると、収率は20.4%に達した。従って、抽出中のポリマーの使用量の増加は、収率を促進する一方で、sc純度を犠牲にする。0.5:1乃至1.0:1のポリマー:SWCNT比率は、高純度及び単一抽出のための5乃至10%の妥当な収率を与える。
【0039】
多重抽出
上記のように、SWCNT濃度0.4mg/mL及びポリマー:SWCNT比率0.5:1乃至1.0:1における抽出は、高sc純度を与えた。但し、収率5乃至10%は、所望よりも低い。粗サンプルは、53%SWCNTを含有し、ナノチューブの約70%は半導体性であるいう事実を考慮するならば、単一の抽出サイクルは、原材料(source material)中に存在するsc−ナノチューブのほんの一部分をもたらすだけである。従って、合計収率を促進するための多重抽出プロセスが試みられた。図3は、8回の連続抽出を行った結果の(但し、当該連続抽出は、先の抽出の残りに対して適用された)吸収スペクトルを表す。各抽出について算出された収率及びφ比はまた、図3に記載されている。最初の3回の抽出は、SWCNT濃度1.0mg/mL及びポリマー:SWCNT比率0.8:1においてなされたこと、及び高属の5回の抽出は、SWCNT濃度0.33mg/mL及びポリマー:SWCNT比率0.4:1を使用して行われたことに留意すべきである。これは、抽出残渣における減少したsc−SWCNT含有量の影響を克服するために行われた。高選択性及び妥当な収率を保持するために、抽出残渣は、その後の抽出のために使用された。
【0040】
図3は、最初の3回の抽出の生成物は、完全に消失したM11ピークと共に高sc純度を有していたことを示す。0.38乃至0.40のピーク比φを示す。しかしながら、抽出数が増えると、646nm及び696nmにおける2つの金属性ピークが、次第に現れた。それと共に、ピーク比φは、第1の抽出の場合の0.40から最後の抽出の場合の0.28に減じた。これは、sc−SWCNT純度の緩やかな減少を意味する。最初の3回の抽出の収率はわずか8.5%の組合せであって比較的低い。但し、4回目の抽出の収率は7.4%と非常に高くなる。これは、より大量の溶媒の使用(3倍)に起因すると思われる。最後の3回の抽出の場合の収率は、大幅に低下した。これは、ごく少量のアクセス可能なsc−ナノチューブが、プロセスのこのステージで残されたことを意味する。全8回の抽出の組合せ収率は、24.8%であり、粗製(crude)材料中に期待されるsc含有量よりも少ない。これは、原料内のしっかりと保持されたSWCNTのバンドルに起因する可能性がある。非常にタイトなバンドル内のSWCNTは、ポリマーの抽出にアクセスできなくなる。アグレッシブなホーン超音波処理は、第1の抽出プロセスのための粗製サンプル分散のためだけに使用した一方で、穏やかな浴槽超音波処理は、1ミクロンを超えるSWCNTの平均長さを維持するのを助けるために、後続の抽出において使用されたことに留意すべきである。この超音波処理パワーは、タイトなバンドルを解離するのに十分な強度ではないかもしれない。この過程は、雑賀の抽出後の残渣の吸収スペクトル(res)と、原料の吸収スペクトル(raw)とを比較することにより検証された(図3参照)。それは、残渣は、S11及びS22ピークについて有意に減少した強度を有するが、M11ピーク強度は同じままであることを確かに示している。これは、多重抽出によりアクセス可能なナノチューブの殆どが抽出されたことを意味する。近アームチェアキラリティへの高選択性に起因して、ポリマーは、どうやら全てのナノチューブを抽出するとともに、それが親和性を有する全ナノチューブを抽出するらしいこと留意すべきである。
【0041】
最適化された濃縮手順
前述の評価に基づき、高純度及び妥当な収率の濃縮sc−SWCNT分散液を製造するために最適化された手順は、約0.4mg/mL乃至約1.0mg/mLの範囲の濃度、及び約0.5:1乃至約1.0:1の範囲のポリマー:SWCNT比率でトルエン中に分散された粗製SWCNTを抽出するため、ポリ(9,9−ジドデシルフルオレン)(PFDD)を、共役ポリマーとして使用するステップを有する。最適化されたプロセスは、3つのステップを有する。当該3つのステップは、超音波処理を使用するナノチューブ分散と、遠心分離を使用する分離と、濾過を使用する収集とを包含する。より具体的には、粗製SWCNT材料は、トルエン中のPFDDとPFDD:SWCNT重量比0.8:1及びSWCNT濃度0.5mg/mLにおいて混合された。ポリマーラッピングを促進するため、混合物は、30℃で30分間のホーン超音波処理によってホモジナイズされた。ホモジナイズされた分散液を、RCF7,600gで30分間遠心分離した。得られる上澄を濾過して、黒い固体を収集した。濃縮sc−SWCNTから遊離ポリマーを除去するため、前記黒い固体を、トルエンでリンスした。5乃至10分間の浴槽超音波処理により、この濃縮サンプルをトルエン中に再分散させ、その吸収スペクトルを収集し、図4に示した(Enriched)。比較のために、ろ液(Filtrate)及び遠心分離前のホモジナイズした粗製分散液(Crude)の吸収スペクトルもまた収集し、図4において比較した。これら2つの溶液は、吸収測定のために20倍に希釈された。ろ液のスペクトルにおいてSWCNTシグナルは見られない。これは、0.2μmTeflon(商標)を貫通する濾過は、分散された全ナノチューブを効率的に収集できたことを意味する。この結果は、SWCNTの長さを維持したことと一致する。一方、ろ液の380nmにおけるPFDD吸収バンドの強度は、粗製SWCNTの吸収バンドのわずか約63%である。これは、大量のPFDDが分散液中のSWCNTの上でラップされている(is wrapped)ことを意味する。濃縮サンプルから、十分に分離したS11及びS22及びS33ピークが見られる。約670nmにおける粗製サンプル内のM11ピークは、濃縮サンプルにおいて完全に除去されていること、及び約1700nm及び1300nmにおける複数の谷間は、粗製材料の場合の0.086から濃縮sc−SWCNTの場合の0.406に増加するピーク比φで、分離後にもっと深くなることもまた見える。これは、高sc純度を確認する。
【0042】
sc−SWCNTを濃縮した、粗製サンプルは、ラマン散乱によっても特徴化された。薄膜サンプルからの785nm励起を使用して、スペクトルを収集した。薄膜サンプルは、濃縮sc−SWCNT及び粗製サンプルの分散液をガラススライド上にキャストすることにより調製された。ラマンスペクトルのRMB領域における金属性ピークは、濃縮後に完全に除去される。これは、図4における紫外可視近赤外(UV-vis-NIR)分光吸収分光法と一致する。濃縮サンプルのGバンドが、粗製サンプルのGバンド(1594cm−1)よりもわずかに高く1600cm−1に現れた。この結果は、sc−SWCNTの選択的抽出が、PFDDによるsc−SWCNTを優先ラッピングに起因することを確認した。
【0043】
11(1400〜1900nm)、S22(700〜1100nm)及びS33(450〜550nm)波長範囲における狭い、且つ十分に定義されたピークが、吸収スペクトルにおいて観察され得る(図4)。これは、限られた数のキラリティがサンプル内に存在するという良い指標である。フォトルミネッセンス励起(PLE)マッピング(図8)は、この結果を確認する。約8個の十分に定義されたピークが、S11=1570nm及びS22=910nmにおいて1個のドミナントなピークを有するPLEにおいて同定され得る。このピークは、(10,9)キラリティに割り当てられ、その強度は、その他の可視ピークよりもおおよそ2倍は大きい。近アームチェアキラリティに向かってPFの観察された選択性は、当該技術で知られている。その他7個のキラリティの存在は、1.25乃至1.35nmの極めて狭い直径分布を意味する(図9)。PLEマッピング(図8)のPL発光及び励起スライスを積分し、得られる曲線を吸収スペクトルと重ね合わせた(図10)。発光スライスの合計については、溶液内のナノチューブ間において無視できる量のエネルギー移動が存在するという仮定の下で期待されるように、E11吸収との1対1対応が存在する。換言すると、吸収及び発光シグナルは、個別のナノチューブにより支配される。少しでも分散液中に存在するのであれば、バンドル化が弱いことを意味する。
【0044】
実施例3:無機吸着媒体によるポリフルオレン誘導体濃縮、大直径sc−SWCNTの純度促進
本実施例は、sc−SWCNTの純度をさらに高めるために、非極性溶媒中で、実施例1からの濃縮sc−SWCNT分散液を無機吸着媒体に曝露するステップの詳細を提供する。本実施例で使用される無機吸着性媒体は、非変性シリカゲル及び種々の官能基で変性されたシリカゲル、すなわち、3−シアノプロピルトリエトキシシラン(CPTES)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)、及び0.1%ポリ−L−リジンであった。シリカゲル(Macherey−Nagel社、60Åのポアサイズ)は、Rose Scientific Ltd.から購入した。3−シアノプロピルトリエトキシシラン(CPTES)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)、及び0.1%ポリ−L−リジン水溶液は、Sigma−Aldrichから入手し、受け取ったままの状態で使用した。
【0045】
シリカゲル及び表面変性シリカゲルの調製
4つの異なる表面を有するシリカゲルは、約0.75mL/gのポア容積を有する230乃至400メッシュのMacherey−Nagelシリカゲル60Åから調製した。これらは、SiO−CPTES、SiO−APTES、SiO−PLL、むき出しのSiO(SiO2-bare)である。SiO−CPTESは、シリカゲル(2.5g)を無水トルエン中の10mLの1%CPTES溶液に添加することにより調製された。混合物を5μLの濃HClと共に添加し、120分間振盪した。固体を濾過により収集し、トルエン(50mL)でリンスし、そして120℃オーブン中で30分間乾燥した。SiO−APTESは、1%APTES溶液を使用して、同様に調製した。SiO−PLLは、10gのシリカゲル及び3mLのPLL(0.1%)溶液を、10mLのHOに添加することにより製造した。5分間の振盪後、混合物を濾過し、50mLの水でリンスした。その固体を高真空下で乾燥させた。表面改質なしでむき出しの(bare)シリカゲル(SiO−bare)も、使用前に真空下で乾燥させることにより調製された。CPTESは、3−シアノプロピルトリエトキシシラン(CPTES)であり、且つPLLはポリ−L−リジンである。
【0046】
シリカゲルを使用する吸着試験
濃縮sc−SWCNT分散液を、実施例2に従ってPFDDにより、レーザーSWCNTの抽出により調製した。濃縮sc−SWCNTは、ピーク比φ0.309、ポリマー:SWCNT比率3.7:1、及び濃度約0.10mg/mLを有した。1.5mLの濃縮sc−SWCNT分散液及び1.5mLのトルエンを、0.025gの吸収剤と共に混合した。混合物を25分間超音波処理した後、遠心分離した。吸収スペクトル収集のため、上澄を採取した。異なる吸着剤により処理したサンプルのため、図11においてこれら吸収スペクトルを比較した。処理前及び処理後のサンプルの936nmにおけるピーク強度を比較することにより、この処理の収率は算出された。結果と実験条件は、表2に示される。結果は、全処理は、SiO−APTESを除き、0.400より大きいφ値を有する高純度を与えることを示す。SiO−APTESはわずかに低い純度を生成した。これは、アミン基の劣化に起因するに違いない。アミン基は、減少した選択性をひき起こす表面処理におけるHClの使用のせいで、塩形態に変換され得る。表面変性は、生成物の純度に対して有意な効果を有しないが、収率に対する効果を有する。むき出しのシリカゲルは、SWCNTを結合するため細孔の容量を有する。同一の条件下でシリカゲルが存在しない対照実験は、沈殿をもたらさず、ピーク比における変化をもたらさない。
【0047】
表2−シリカゲルを使用する純度促進試験の実験条件及び結果
【表2】
【0048】
吸着剤用量の効果
この試験は、PFDD濃縮sc−SWCNT分散液(φ=0.352;ポリマー:SWCNT=35:1;約0.0059mg/mLの濃度)に対してなされた。トルエン中10mLのsc−SWCNT分散液を、80mg、40mg、20mgもしくは10mgのSiO−CPTESに添加し、25分間超音波処理した。次いで、混合物を、いずれの固体粒子を除去するために遠心分離し、上澄をUV分光法によって分析した。UVスペクトルは図12に示され、結果は、実験条件と共に表3に要約される。本試験において、各元の状態の(original)サンプルにおけるSWCNT含有量は、0.059mgであり、表面変性シリカゲルの含有量は、80mg、40mg、20mg及び10mgであり、それぞれシリカゲル:SWCNT比率1400:1、700:1、350:1及び170:1に対応する。結果は、80mgの変性シリカゲルを使用した場合、殆どすべてのナノチューブは吸収されので、純度を測定するには低すぎる濃度になり、一方40mg及び20mgを使用した場合、吸着は、妥当な収率(40%)及び優れた純度(約0.410のφ)を与えることを表す。変性シリカゲルの含有量を10mgまでさらに減らすと、収率を増加させたが、純度をわずかに低減させた。この結果は、約350:1のSiO−CPTES:SWCNT比率は、収量を維持しながら、純度促進のためには良いことを意味する。他方、最後の段落に示されるように、むき出しのシリカゲルは、SWCNT結合において高容量を有する。この吸着試験のために使用される場合、最適SiO/SWCNT比率は、80:1であることが分かった。この比率は、収率84%及びφ値0.406を与える。
【0049】
表3−吸着剤用量試験の実験条件及び結果
【表3】
【0050】
大規模精製
蒸気結果を、大規模試験を使用して検証した。異なるsc純度を有する以下の2つのPFDD濃縮sc−SWCNT分散液を、90mLスケールで試験した。
1. サンプル−a40:φ=0.365; ポリマー:SWCNT=130:1; SWCNT濃度 約0.012mg/mL
2. サンプル−a05:φ=0.391; ポリマー:SWCNT=30:1; SWCNT濃度 約0.008mg/mL
【0051】
これら2つの分散液は、上記試験のために使用される分散液よりも高sc純度を有するので、わずかに低いSiO−CPTES:SWCNT比率(約150:1)を使用した。従って、0.18gのSiO−CPTESを90mLのサンプル−a40に添加し、0.09gのSiO−CPTESを90mLのサンプル−a05に添加した。両サンプルは、25分間浴槽超音波処理し、それから上澄(sup)及び沈殿物(ppt)を分離するため、7600gで10分間遠心分離した。上澄みのUVを直接測定し、ラマンスペクトルをフィルムから収集した。フィルムは、溶液の液滴をガラススライド上にキャストすることにより調製された。上澄(ppt)のラマンスペクトルは、SWCNTを吸着したSiOパウダーから直接収集された一方、pptのUVスペクトルは、単離SWCNTから収集された。単離SWCNTは、吸収剤から単離された。これを達成するため、沈殿物は、5mLの48%HF水溶液に添加された。そうすると、SWCNTは5分以内で溶液内に浮遊し、且つ浮遊する黒い固体は、収集され、水、次いでアセトン、次いでトルエンでリンスされた。得られたSWCNTを、UV測定のための0.1mg/mL PFDD溶液内に分散させた。出発物質(orig)及び上澄(sup)からの生成物及び沈殿物(ppt)からの生成物のUVスペクトルを、図13において、表4に要約された関連結果と比較した。この吸着プロセスは、ことなるsc純度を有する2つの(both)出発物質から高度に純粋な生成物を70%超の収率で生成することがわかる。ハイブリッドプロセスの組合せ収率は、a40の場合7.8%であり、a05の場合3.2%である。この結果は、この追加の吸着プロセスが、PFDD濃縮sc−SWCNTのsc純度を、最低限の収量損失で効果的に促進することを証明する。他方、抽出プロセスのため比較的高いポリマー/SWCNT比率を使用する良い戦略として、それが類似のsc純度を有するハイブリッドプロセスからの高収率の最終生成物で終わることを実証する。図13は、吸着剤表面から単離されたSWCNTサンプルは、650nm周辺において強い金属性ピーク、及び非常に高いバックグラウンド強度を有することをも示す。これは、元の状態の(original)サンプルよりもはるかに低いsc純度を意味する。これは、m−SWCNT及びその他の不純物を選択的に吸着するシリカゲルの強い能力を実証する。
【0052】
表4−元の状態の(original)分散液及びシリカ吸着による大規模純度促進の生成物の特性データ
【表4】
* 組み合わせた収率の計算のための抽出ステップの収率
** カッコ内のデータは、沈殿物由来である。
【0053】
この結果を検証するため、元の状態の(original、orig)濃縮sc−SWCNT分散液、上澄み(sup)のからの生成物及び沈殿物(ppt)からの生成物のラマンスペクトル(図14)が、785nmのRBM領域及び633nmのGバンド領域において収集された。陰影部分は、金属性領域を表す。ラマンスペクトルは、m−SWCNTからの散乱は、上澄内で完全に除去された一方、m−SWCNTは、沈殿物内で高度に濃縮されていることを表す。これは、シリカゲルが、m−SWCNTを有意に吸着し得ることを確認する。
【0054】
以下の結論に達し得る。m−SWCNTに起因するRBM領域内のピークは、完全に除去されたことは、シリカゲル吸着は、純粋な(φ=0.391)及び純粋でない(φ=0.365)サンプル2種(both)からm−SWCNTを効率的に除去することを意味する。PFDD濃縮からの純粋な方のサンプルの場合でさえ、m−SWCNTに起因するRBM領域内のピークは、シリカゲル上に吸着された沈殿物材料内で依然として見られた。これは、このプロセスは、高度に純粋なsc−SWCNTからm−SWCNTを除去可能であることを意味する。有意なm−SWCNT濃縮が、シリカゲル上の材料において見られ、吸着プロセスのm−SWCNTに対する大きな選択性を意示す。φ値、785nmスペクトルのRBM領域におけるピーク及び633nmスペクトルのGバンド領域におけるピークの強度は、良い相関を表す。
【0055】
実施例4:ハイブリッド2ステッププロセスにより製造されたレーザーsc−SWCNTに基づく、薄膜トランジスタ(TFT)
実施例3のSiO処理サンプルの高sc純度を、TFTデバイス試験によりさらに検証した。TFTデバイスは、厚さ100nmの熱酸化物層を有するシリコンウエハ上で製造された。チップを、最初にピラニア溶液により80℃で30分間浄化し、それから0.1%ポリ−L−リジン(PLL)溶液内に5分間浸漬した。蒸留水及びイソプロパノール完全にリンスした後、チップを、Nを使用して吹き付け乾燥し、それから本プロセスにより製造された濃縮SWCNTのトルエン溶液内に10分間浸漬した(SWCNTの濃度は、20乃至30μg/mLの範囲内であり、PFDD/SWCNTの重量比は、約4:1乃至7:1である)、次いで5mLのトルエンでリンスした。被覆されたチップを、200℃で1時間アニール処理した。その後、電子ビーム蒸発装置を使用するシャドウマスクを介して、トップ接点(5nm Ti次いで100nm Pt)が沈殿された。アクティブチャネル幅は、100μmであり、長さは100μm、75μm、50μmもしくは25μmである。プローブステーションにおいて、I−V曲線が収集され、且つ移動度は、平行プレートモデルに基づく線形レジームにおけるIsd−V伝達曲線から算出された(Bisri 2012)。
【0056】
濃縮sc−SWCNTサンプル(a05−Sol)から調製されるTFTデバイスは、25μmのチャネル長さ及び100μmのチャネル幅を有する1デバイス当たり、7.2×10のオン/オフ電流比及び61cm/Vsの移動度を示した。代表的出力曲線(A)及び伝達曲線(B)は、図15に見られる。さらに、1チップに対する全25個のデバイスの試験は、全デバイスは、10を超えるオン/オフ比と25cm/Vsを超える移動度という良好なトランジスタ性能を示した一方で、吸着処理前の同一サンプル(a05-orig)からの25個中わずか12個のデバイスは、10乃至30cm/Vsの移動度及び約10のオン/オフ比という通常のTFT特性を示した。ただし、UV測定は、この処理の前及び後に小さなφ値変化を示しただけである(0.381と0.408との対比)。同様のデバイス性能が、低sc純度から精製その他のサンプルからも得られた(a40-sup)。この処理前のサンプルからは(0.365のφを有するa40-org)、最善のデバイスから28cm/Vsの移動度及び約3のオン/オフ比が得られただけである。この結果は、ハイブリッド精製sc−SWCNTの高品質を再度確認した。
【0057】
表5:シリカ吸着処理の前及び後、0.365及び0.391のφを有する2種のPFDD濃縮サンプル(a40及びa05)TFTデバイス性能
【表5】
【0058】
参考文献:これらの各々の全体の内容は、参照することにより本書に含まれる。
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【0059】
新規特徴は、記載を検討した当業者には明らかであろう。特許請求の範囲は実施例により限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体の文言と一致した最も広い解釈が与えられるべきであることが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図15