特許第6461962号(P6461962)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6461962
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】硬化性オルガノポリシロキサン組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/06 20060101AFI20190121BHJP
   C08K 5/5415 20060101ALI20190121BHJP
   C04B 26/32 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
   C08L83/06
   C08K5/5415
   C04B26/32
【請求項の数】10
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-537199(P2016-537199)
(86)(22)【出願日】2014年8月5日
(65)【公表番号】特表2016-532758(P2016-532758A)
(43)【公表日】2016年10月20日
(86)【国際出願番号】EP2014066835
(87)【国際公開番号】WO2015028267
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2016年4月14日
(31)【優先権主張番号】102013217220.6
(32)【優先日】2013年8月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(72)【発明者】
【氏名】デトレフ、オステンドルフ
(72)【発明者】
【氏名】ウーベ、シャイム
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル、シルトバッハ
【審査官】 安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/110389(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/06
C08K 5/5415
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A1)下式の単位からなる少なくとも1つのオルガノポリシロキサン樹脂を含んでなる樹脂成分:
(OH)(RO)SiO(4−a−b−c)/2 (I)
(式中、
Rは同一でも異なっていてもよく、所望によりハロゲン原子またはSi−結合ハロゲン原子により置換されていてもよい、一価のSiC−結合炭化水素基を示し、
は同一でも異なっていてもよく、所望により置換されていてもよい、一価の炭化水素基を示し、
aは0、1、2、または3であり、
bは0、1、2、または3であり、
cは0、1、2、または3であり、
ただし、式(I)中、a+b+c≦3であり、
前記樹脂成分(A1)中、式(I)の全単位の少なくとも2%においてb≧1であり、
前記樹脂成分(A1)中、式(I)の全単位の10%未満においてc≧1であり、
前記樹脂成分(A1)中、式(I)の単位の最大50%においてa=2であり、
前記樹脂成分(A1)は、500g/モル〜11,000g/モルの平均分子量Mw(重量平均)、および500g/モル〜5,000g/モルの平均分子量Mn(数平均)を有し、前記樹脂成分(A1)の多分散度(Mw/Mn)は、1〜5である。)
(A2)下式の単位からなる少なくとも1つの有機ケイ素化合物からなる有機ケイ素成分:
(OH)(RO)SiO(4−d−e−f)/2 (II)
(式中、
は同一でも異なっていてもよく、所望によりハロゲン原子またはSi−結合ハロゲン原子により置換されていてもよい、一価のSiC−結合炭化水素基を示し、
は同一でも異なっていてもよく、所望により置換されていてもよい、一価の炭化水素基を示し、
dは0、1、または2であり、
eは0、1、2、または3であり、
fは0、1、2、または3であり、
ただし、式(II)中、d+e+f≦4であり、
前記有機ケイ素成分(A2)中、式(II)の全単位の少なくとも10%においてf≧1であり、
前記有機ケイ素成分(A2)中、式(II)の全単位の2%未満においてe≧1であり、
前記有機ケイ素成分(A2)中、式(II)の単位の最大50%において、d+e+f≦3、d=2である。)、ならびに
(B)少なくとも1つの充填剤
を含んでなる、硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
成分(A1)は、下式
RSiO3/2 (III)および、
RSi(OH)O2/2 (IV)
の単位、ならびに所望により、下式
RSi(OR)O2/2 (V)
RSi(OR/2 (VI)
SiO2/2 (VII)および、
Si(OH)O1/2 (VIII)の単位からなる群より選択される単位からなる、少なくとも1つのオルガノポリシロキサン樹脂からなる樹脂成分(A1−1)であり、
式中、RおよびRは、上述の意味の内の1つを有するが、ただし、
前記樹脂成分(A1−1)において、式(IV)および(VIII)の単位の合計は、式(III)〜(VIII)の全単位の総数に基づいて、樹脂成分(A1−1)中少なくとも2%であり、
前記樹脂成分(A1−1)において、式(V)および(VI)の単位の合計は、式(III)〜(VIII)の全単位の総数に基づいて、樹脂成分(A1−1)中10%未満であり、
前記樹脂成分(A1−1)において、式(VII)および(VIII)の単位の合計は、式(III)〜(VIII)の全単位の総数に基づいて、最大50%であり、
前記樹脂成分(A1−1)は、500g/モル〜11,000g/モルの平均分子量Mw、および500g/モル〜5,000g/モルの平均分子量Mnを有し、
前記樹脂成分(A1−1)の多分散度(Mw/Mn)は、1〜5である、
請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
成分(A1)が、成分(A2)に対して、99:1〜50:50の重量比で用いられる、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
100重量部の組成物に基づいて、1〜30重量部の総量で、成分(A1)および(A2)を含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
100重量部の組成物に基づいて、70〜99重量部の総量で、充填(B)を含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
所望の順序でそれぞれの成分を混合することによる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物の製造方法。
【請求項7】
成分の混合を、用いられる有機ケイ素成分(A2)の沸点の少なくとも20K低い温度で行う、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜5の一項以上に記載の組成物を架橋することにより製造される、成形体。
【請求項9】
人工石である、請求項8に記載の成形体。
【請求項10】
請求項1〜5の一項以上に記載の組成物、または請求項6もしくは7に記載の方法により製造された組成物を、成形し、架橋させる、人工石の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に人工石の製造における、硬化性オルガノポリシロキサン組成物、その製造方法、およびその使用に関する。
【0002】
5〜80重量%の適切な触媒と架橋可能な有機ポリマー樹脂、20〜95重量%の充填剤、例えば、二酸化ケイ素を含んでなる物質(石英、石英岩、花崗岩、斑岩、砂、ケイ酸塩、粘土など)、炭酸カルシウムを含んでなる物質(大理石、石灰岩、白雲石など)、硫酸カルシウムまたは硫酸バリウムを含んでなる物質、酸化アルミニウム、アルミニウム三水和物、酸化マグネシウム、マグネシウム三水和物、酸化亜鉛、および炭化ケイ素からなる人工石が、長い間知られてきた。この点について、例えば米国特許第4,643,921号明細書(明細書中に引用される文献を含む)が参照され、該明細書は本発明の開示の一部とされる。
【0003】
例えば、「Bretonstone(登録商標)」または「Silestone(登録商標)」技術において、それらの技術により使用されるポリマー樹脂基材は、スチレンもしくはメチルメタクリレートまたはそれらの混合物などの反応性溶媒と組み合わせたラジカル架橋性ポリエステル樹脂である。この関連において、例えば米国特許出願公開第2008/0296795号明細書(明細書中に引用される文献を含む)が参照され、該明細書は本発明の開示の一部とされる。
【0004】
更に、ポリエステル樹脂の代わりに、例えば、米国特許出願公開第2011/0207849号明細書に記載のようにメタクリレート樹脂を含んでなる人工石も存在し、該特許明細書中では、当該公報中の従来技術として記載されているポリエステル樹脂またはメタクリレート樹脂系の有機ポリマー樹脂結合剤についても、同様に本発明の開示の一部とされる。
【0005】
更に、例えば、米国特許出願公開第2009/0253829号明細書において、樹脂基材として、環状アルキル置換カルボン酸無水物の存在下における天然源由来のエポキシ化リグリセリドやメラミン樹脂が記載されているが、しかしながら、これもまた、人工石中のポリマー樹脂基材として使用されている(米国特許第3,670,060号明細書)。
【0006】
従来知られている全ての解決策の不利な点は、結合剤が、紫外線放射および風化に対して、限られた耐性のみを有していることである。これは、特に、濃い色合いの場合、人工石の色は顕著に明るくなり、更に、光沢が失われるため、この問題が顕在化する。更に、ポリマーマトリクスは、熱に対して安定ではない、つまり、ポリマーは解重合し、顕著に変色する。更に、硬化した有機ポリマーマトリクスは、高い充填材量にもかかわらず、可燃性であり、煤を非常に多く含んだ炎を伴って燃焼することがある。
【0007】
オルガノシロキサンを基剤とする充填型組成物もまた同様に、文献中に記載されている。例えば、旧東独国特許出願公開(DD−A)第103 252号明細書は、直鎖オルガノポリシロキサン系の成形組成物の製造方法を請求している。独国特許出願公開第2 504 357号明細書は、シリコーン樹脂成形用組成物を記載しており、その架橋性樹脂基剤は、少なくとも1.0重量%のSi結合OH基、およびOHまたはトリオルガノシリル末端基を有する直鎖ジオルガノポリシロキサンから構成される。米国特許第3,108,985号明細書は、フェニルアルキルシロキサンが樹脂基材として特許請求されている。これらの場合はいずれも、硬化温度が高いにもかかわらず、比較的硬度が低い試験片しか達成できないことが不利な点である。更に、有害な鉛化合物が触媒として使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,643,921号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0296795号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2011/0207849号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2009/0253829号明細書
【特許文献5】米国特許第3,670,060号明細書
【特許文献6】旧東独国特許出願公開(DD−A)第103 252号明細書
【特許文献7】独国特許出願公開第2 504 357号明細書
【特許文献8】米国特許第3,108,985号明細書
【発明の概要】
【発明の具体的説明】
【0009】
本発明は、以下の(A1)、(A2)および(B):
(A1)下式の単位からなる少なくとも1つのオルガノポリシロキサン樹脂からなる樹脂成分:
(OH)(RO)SiO(4−a−b−c)/2 (I)
(式中、
Rは同一でも異なっていてもよく、所望によりハロゲン原子またはSi−結合ハロゲン原子により置換されていてもよい、一価のSiC−結合炭化水素基を示し、
は同一でも異なっていてもよく、所望により置換されていてもよい、一価の炭化水素基を示し、
aは0、1、2、または3であり、
bは0、1、2、または3であり、
cは0、1、2、または3であり、
ただし、式(I)中、a+b+c≦3であり、
樹脂成分(A1)中、式(I)の全単位の少なくとも2%においてb≧1であり、
樹脂成分(A1)中、式(I)の全単位の10%未満においてc≧1であり、
樹脂成分(A1)中、式(I)の単位の最大50%においてa=2であり、
該樹脂成分(A1)は、500g/モル〜11,000g/モルの平均分子量Mw(重量平均)、500g/モル〜5,000g/モルの平均分子量Mn(数平均)を有し、該樹脂成分(A1)の多分散度(Mw/Mn)は、1〜5である。)
(A2)下式の単位からなる少なくとも1つの有機ケイ素化合物からなる有機ケイ素成分:
(OH)(RO)SiO(4−d−e−f)/2 (II)
(式中、
は同一でも異なっていてもよく、所望によりハロゲン原子またはSi結合ハロゲン原子により置換されていてもよい、一価のSiC−結合炭化水素基を示し、
は同一でも異なっていてもよく、所望により置換されていてもよい、一価の炭化水素基を示し、
dは0、1、または2であり、
eは0、1、2、または3であり、
fは0、1、2、または3であり、
ただし、式(II)中、d+e+f≦4であり、
有機ケイ素成分(A2)中、式(II)の全単位の少なくとも10%においてf≧1であり、
有機ケイ素成分(A2)中、式(II)の全単位の2%未満においてe≧1であり、
有機ケイ素成分(A2)中、式(II)の単位の最大50%において、d+e+f≦3、d=2である。)、および
(B)少なくとも1つの充填剤:、
を含んでなる硬化性組成物を提供する。
【0010】
本発明において、重量平均Mwおよび数平均Mnは、DIN55672−1に従い、ポリスチレン標準および屈折率検出器(RI検出器)を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)またはサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定する。特に断りの無い限り、THFをフェニル含有成分のための溶離液として用い、トルエンを非−フェニル含有成分のための溶離液として用い、分析は45℃のカラム温度で行う。多分散度は、比率Mw/Mnである。
【0011】
本発明により使用される樹脂成分(A1)は、好ましくは500〜9,000g/モル、特に好ましくは1,000〜9,000g/モル、特には1,500〜7,000g/モルの重量平均Mwを有する。
【0012】
本発明により使用される樹脂成分(A1)は、好ましくは500〜3,500g/モル、特に好ましくは1,000〜3,500g/モル、特には1,000〜2,500g/モルの数平均Mnを有する。
【0013】
本発明により使用される樹脂成分(A1)は、好ましくは1〜4、特に好ましくは1.2〜3.6の多分散度Mw/Mnを有する。
【0014】
好ましくは、本発明により使用される樹脂成分(A1)中の式(I)の全単位の2〜5%において、b≧1である。
【0015】
樹脂成分(A1)において、好ましくは、式(I)の全単位の8%以下、特に好ましくは6%以下において、c≧1である。
【0016】
本発明により使用される成分(A1)において、好ましくは式(I)の単位の30%以下、特に好ましくは10%以下、特には4%以下において、a=2である。
【0017】
本発明により使用される樹脂成分(A1)は、式(I)の単位からなる一種のみのシロキサン、および式(I)の単位からなる異なる種類のシロキサンの混合物を含んでいてよく、該混合物が好ましい。式(I)の単位は、シロキサン分子中にランダムに分散していることが好ましい。
【0018】
一価のSiC−結合炭化水素基Rの例は、アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基;ヘキシル基、例えば、n−ヘキシル基;ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基;オクチル基、例えばn−オクチル基およびイソオクチル基、例えば2,4,4−トリメチルペンチル基;ノニル基、例えばn−ノニル基;デシル基、例えばn−デシル基;ドデシル基、例えばn−ドデシル基;オクタデシル基、例えばn−オクタデシル基;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびメチルシクロヘキシル基;アルケニル基、例えばビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、n−5−ヘキセニル基、4−ビニルシクロヘキシル基および3−ノルボルネニル基;アリール基、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、およびフェナントリル基;アルカリール基、例えばo−トリル基、m−トリル基、p−トリル基;キシリル基およびエチルフェニル基;ならびにアラルキル基、例えばベンジル基、α−フェニルエチル基およびβ−フェニルエチル基である。
【0019】
調製の結果として、特定の基Rの割合は、ハロゲン原子、特に塩素原子の意味を有するが、これは好ましくない。
【0020】
基Rは、好ましくは、1〜18個の炭素原子を有する一価のSiC−結合炭化水素基であり、特に好ましくは、メチル、エチル、ビニルまたはフェニル基である。
【0021】
基Rの例は、Rについて記載した基である。
【0022】
基Rは、好ましくは1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、特に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基またはイソブチル基であり、特にメチル基またはエチル基である。
【0023】
本発明により使用される成分(A1)は、好ましくは、下式
RSiO3/2 (III)および
RSi(OH)O2/2 (IV)
の単位、ならびに所望により、下式
RSi(OR)O2/2 (V)
RSi(OR1/2 (VI)
SiO2/2 (VII)および
Si(OH)O1/2 (VIII)
の単位からなる群より選択される単位からなる、少なくとも1つのオルガノポリシロキサン樹脂からなる樹脂成分(A1−1)であり、
式中、RおよびRは、上述の意味の内の1つを有するが、ただし、
樹脂成分(A1−1)において、式(IV)および(VIII)の単位の合計は、式(III)〜(VIII)の全単位の総数に基づいて、樹脂成分(A1−1)中少なくとも2%であり、式(V)および(VI)の単位の合計は、式(III)〜(VIII)の全単位の総数に基づいて、樹脂成分(A1−1)中10%以下であり、式(VII)および(VIII)の単位の合計は、式(III)〜(VIII)の全単位の総数に基づいて、最大50%であり、樹脂成分(A1−1)は、500g/モル〜11,000g/モルの平均分子量Mw、および500g/モル〜5,000g/モルの平均分子量Mnを有し、樹脂成分(A1−1)の多分散度(Mw/Mn)は、1〜5である。
【0024】
好ましい樹脂成分(A1−1)の例は、
Mw=6,600g/モル、Mn=2,000g/モル、およびMw/Mn=3.3を有する、(MeSiO3/20.88(MeSi(OH)O2/20.05(MeSi(OEt)O2/20.06(MeSiO2/20.01
Mw=10,000g/モル、Mn=2,300g/モル、およびMw/Mn=4.3を有する、(MeSiO3/20.86(MeSi(OH)O2/20.02(MeSi(OEt)O2/20.10(MeSiO2/20.02
Mw=4,500g/モル、Mn=1,900g/モル、およびMw/Mn=2.4を有する、(MeSiO3/20.71(MeSi(OH)O2/20.03(MeSi(OEt)O2/20.05(MeSiO2/20.21
Mw=9,000g/モル、Mn=2,300g/モル、およびMw/Mn=3.9を有する、(MeSiO3/20.88(MeSi(OH)O2/20.05(MeSi(OMe)O2/20.06(MeSiO2/20.01
Mw=3,250g/モル、Mn=1,300g/モル、およびMw/Mn=2.5を有する、(MeSiO3/20.33(MeSi(OH)O2/20.05(MeSi(OEt)O2/20.01(MeSiO2/20.06(PhSiO3/20.24(PhSi(OH)O2/20.28(PhSi(OEt)O2/20.03
Mw=4,700g/モル、Mn=1,800g/モル、およびMw/Mn=2.6を有する、(MeSiO3/20.34(MeSi(OH)O2/20.03(MeSi(OEt)O2/20.02(PhSiO3/20.45(PhSi(OH)O2/20.13(PhSi(OEt)O2/20.03
Mw=2,400g/モル、Mn=1,200g/モル、およびMw/Mn=2.0を有する、(MeSiO3/20.27(MeSi(OH)O2/20.03(PhSiO3/20.34(PhSi(OH)O2/20.14PhSi(OEt)O2/20.02(PhMeSiO2/20.17(PhMeSi(OH)O1/20.03
Mw=2,900g/モル、Mn=1,500g/モル、およびMw/Mn=1.9を有する、(PhSiO3/20.45(PhSi(OH)O2/20.44PhSi(OEt)O2/20.09(PhSi(OH)1/20.02
Mw=1,800g/モル、Mn=1,250g/モル、およびMw/Mn=1.4を有する、(PhSiO3/20.48(PhSi(OH)O2/20.17(PhSi(OEt)O2/20.02(CH(CHSiO3/20.25(CH(CHSi(OH)O2/20.08
Mw=1,700g/モル、Mn=1,200g/モル、およびMw/Mn=1.4を有する、(MeSiO3/20.32(MeSi(OH)O2/20.06(MeSi(OEt)O2/20.01(MeSiO2/20.06(PhSiO3/20.23(PhSi(OH)O2/20.29(PhSi(OEt)O2/20.03
Mw=2,800g/モル、Mn=1,200g/モル、およびMw/Mn=2.3を有する、(PhSiO3/20.50(PhSi(OH)O2/20.15(PhSi(OEt)O2/20.02(CH(CHSiO3/20.26(CH(CHSi(OH)O2/20.07
Mw=6,500g/モル、Mn=1,900g/モル、およびMw/Mn=3.4を有する、(MeSiO3/20.81(MeSi(OH)O2/20.04(MeSi(OEt)O2/20.05(MeSiO2/20.10
Mw=6,700g/モル、Mn=2,100g/モル、およびMw/Mn=3.2を有する、(MeSiO3/20.88(MeSi(OH)O2/20.05(MeSi(OMe)O2/20.06(MeSiO2/20.01
であり、式中Meはメチル基を指し、Etはエチル基を指し、Phはフェニル基を指す。
【0025】
更に好ましくは、本発明により使用される成分(A1)は、下式
SiO4/2 (XVII)
SiO1/2 (XVIII)および、
Si(OH)O3/2 (XIX)
の単位からなる少なくとも1つのオルガノポリシロキサン樹脂、ならびに所望により下式
Si(OR)O3/2 (XX)
Si(OR2/2 (XXI)
Si(OR1/2 (XXII)
Si(OH)2/2 (XXIII)および、
Si(OH)1/2 (XXIV)
の単位からなる群より選択される単位からなる樹脂成分(A1−2)であり、
式中、
RおよびRは、上述の意味の内の1つを有するが、ただし、
樹脂成分(A1−2)において、式(XIX)、(XXIII)および(XXIV)の単位の合計は、式(XVII)〜(XXIV)の全単位の総数に基づいて、樹脂成分(A1−2)中少なくとも2%であり、式(XX)、(XXI)および(XXII)の単位の合計は、式(XVII)〜(XXIV)の全単位の総数に基づいて10%以下であり、
樹脂成分(A1−2)は、500g/モル〜11,000g/モルの平均分子量Mw、および500g/モル〜5,000g/モルの平均分子量Mnを有し、樹脂成分(A1−2)の多分散度(Mw/Mn)は1〜5である。
【0026】
好ましいオルガノポリシロキサン樹脂(A1−2)の例は、
Mw=7,400g/モル、Mn=3,100g/モル、およびMw/Mn=2.4を有する、(SiO4/20.50(MeSiO1/20.39(Si(OEt)O3/20.06(Si(OEt)2/20.02(Si(OEt)1/20.01(Si(OH)O3/20.02
Mw=1,400g/モル、Mn=900g/モル、およびMw/Mn=1.6を有する、(SiO4/20.45(MeSiO1/20.43(Si(OEt)O3/20.07(Si(OEt)2/20.02(Si(OEt)1/20.01(Si(OH)O3/20.02
Mw=5,300g/モル、Mn=2,600g/モル、およびMw/Mn=2.0を有する、(SiO4/20.45(MeSiO1/20.36(ViMeSiO1/20.06(Si(OEt)O3/20.06(Si(OEt)2/20.02(Si(OEt)1/20.01(Si(OH)O3/20.04;ならびに
Mw=2,600g/モル、Mn=1,600g/モル、およびMw/Mn=1.6を有する、(SiO4/20.38(MeSiO1/20.42(ViMeSiO1/20.06(Si(OEt)O3/20.07(Si(OEt)2/20.02(Si(OEt)1/20.01(Si(OH)O3/20.04
であり、式中、Meはメチル基を指し、Viはビニル基を指し、Etはエチル基を指す。
【0027】
本発明により使用される成分(A1)は、特に好ましくは樹脂成分(A1−1)である。
【0028】
樹脂成分(A1)は、23℃、1,013hPaで、固体および液体の両方であってよく、好ましくは固体である。
【0029】
本発明により使用される樹脂成分(A1)の化合物は、既に公知であり、任意の従来公知の所望の方法、例えば、対応するクロロシラン、アルコキシシランまたは部分的にアルコキシル化されたクロロシランの混合物の加水分解および縮合などにより、調製することが可能である。
【0030】
成分(A1)は、トルエン中に溶解させた、対応するクロロシラン、好ましくはメチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシランおよび/またはテトラクロロシランを、Si−Cl結合の数に基づき化学量論的に不足のアルコールと反応させることによりHClを少なくとも部分的に脱離させ、次いでSi−Cl結合およびSi−アルコキシ結合の数に基づき化学量論的に過剰の水と反応させた後、水相および有機相を分離し、有機相からトルエンおよびアルコールを分離することにより調製することができる。
【0031】
本発明により使用される有機ケイ素成分(A2)は、式(II)の単位からなる少なくとも一種の有機ケイ素化合物、および式(II)の単位からなる異なる種類の有機ケイ素化合物の混合物を含んでいてもよい。成分(A2)がシロキサンを含む場合は、式(II)の単位は、好ましくは、シロキサン分子中にランダムに分散している。
【0032】
本発明により使用される有機ケイ素成分(A2)は、式中d+e+f=4である式(II)の化合物であるシラン(A2−1)、および式中d+e+f≦3である式(II)の単位を含んでなる化合物であるシロキサン(A2−2)の両方であってよい。
【0033】
本発明により使用される有機ケイ素成分(A2−2)は、好ましくは500〜5,000g/モル、より好ましくは500〜4,000g/モル、特に好ましくは700〜4,000g/モル、特には700〜3,000g/モルの重量平均Mwを有する。
【0034】
本発明により使用される有機ケイ素成分(A2−2)は、好ましくは200〜3,000g/モル、より好ましくは200〜2,000g/モル、特に好ましくは200〜1,500g/モル、特には500〜1,500g/モルの数平均Mnを有する。
【0035】
本発明により使用される有機ケイ素成分(A2−2)は、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4、特に好ましくは1.2〜3.6の多分散度を有する。有機ケイ素成分(A2)中、式(II)の全単位の、好ましくは少なくとも25%、特に好ましくは少なくとも40%、特には少なくとも50%において、f≧1である。
【0036】
有機ケイ素成分(A2)中、式(II)の全単位の、好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下、特には0.1%以下において、e≧1である。
【0037】
有機ケイ素成分(A2)中、式(II)の単位の、好ましくは最大10%、特に好ましくは最大3%において、d+e+f≦3、d=2である。
【0038】
所望により置換されていてもよい、一価のSi−C結合炭化水素基Rは、Rについて記載した基、ならびにn−ノナコシル基、およびn−トリアコンチル基である。
【0039】
調製の結果として、基Rの特定の割合はまた、ハロゲン原子、特に塩素原子の意味を有するが、これは好ましくない。
【0040】
基Rは、好ましくは、1〜18個の炭素原子を有する一価のSi−Cl結合炭化水素基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、n−オクチル基またはフェニル基である。
【0041】
有機ケイ素成分(A2−1)において、Rは、特に好ましくは、2,4,4−トリメチルペンチル基、n−オクチル基またはフェニル基の意味を有する。
【0042】
有機ケイ素成分(A2−2)において、Rは、特に好ましくは、メチル基、エチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、またはフェニル基の意味を有する。
【0043】
基Rの例は、Rについて記載した基である。
【0044】
基Rは、好ましくは、1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基またはイソブチル基であり、特にはメチル基およびエチル基である。
【0045】
本発明により使用されるシロキサン(A2−2)は、好ましくは、下式
Si(OR)O2/2 (XII)
および、
Si(OR1/2 (XIII)
の単位、ならびに、所望により、下式
SiO3/2 (X)
Si(OH)O2/2 (XI)
SiO2/2 (XIV)
Si(OH)O1/2 (XV)および、
Si(OR)O1/2 (XVI)
の単位からなる群より選択される単位からなるものであり、
式中、
およびRは、上述の意味の内の1つを有するが、ただし、
有機ケイ素成分(A2−2)中、式(XII)、(XIII)および(XVI)の単位の合計は、式(X)〜(XVI)の全単位の総数に基づき、少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、特に好ましくは少なくとも40%、特には少なくとも50%であり、
有機ケイ素成分(A2−2)中、式(XI)および(XV)の単位の合計は、式(X)〜(XVI)の全単位の総数に基づき、2%以下、好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下、特には0.1%以下であり、
有機ケイ素成分(A2−2)中、式(X)〜(XVI)の全単位の総数における式(XIV)、(XV)および(XVI)の単位の合計は、最大50%であり、好ましくは最大35%、特に好ましくは最大10%、特には最大4%である。
【0046】
本発明により使用されるシロキサン(A2−2)の例は、
Mw=2,400g/モル、Mn=900g/モル、およびMw/Mn=2.7を有する、(MeSiO3/20.37(MeSi(OEt)O2/20.46(MeSi(OEt)1/20.17
Mw=2,800g/モル、Mn=1,000g/モル、およびMw/Mn=2.8を有する、(MeSiO3/20.37(MeSi(OH)O2/20.01(MeSi(OEt)O2/20.46(MeSi(OEt)1/20.15(MeSiO2/20.01
Mw=2,300g/モル、Mn=600g/モル、およびMw/Mn=3.8を有する、(MeSiO3/20.29(MeSi(OH)O2/20.01(MeSi(OMe)O2/20.47(MeSi(OMe)1/20.23
Mw=3,300g/モル、Mn=900g/モル、およびMw/Mn=3.7を有する、(MeSiO3/20.32(MeSi(OMe)O2/20.48(MeSi(OMe)1/20.20
Mw=1,000g/モル、Mn=700g/モル、およびMw/Mn=1.4を有する、(PhSiO3/20.23(PhSi(OMe)O2/20.51(PhSi(OMe)1/20.26
Mw=1,800g/モル、Mn=900g/モル、およびMw/Mn=2.0を有する、(MeSiO3/20.10(MeSi(OMe)O2/20.17(MeSi(OMe)1/20.03(PhSiO3/20.15(PhSi(OMe)O2/20.31(PhSi(OMe)1/20.20(MeSiO2/20.04
Mw=1,400g/モル、Mn=800g/モル、およびMw/Mn=1.8を有する、(MeSiO3/20.10(MeSi(OMe)O2/20.15(MeSi(OMe)1/20.03(MeSi(O(CHCH)O2/20.03(PhSiO3/20.15(PhSi(OMe)O2/20.24(PhSi(OMe)1/20.15(PhSi(O(CHCH)O2/20.06(PhSi(OMe)(O(CHCH)O1/20.04(PhSi(O(CHCH1/20.01(MeSiO2/20.04
Mw=4,500g/モル、Mn=1,900g/モル、およびMw/Mn=2.4を有する、(MeSiO3/20.31(MeSi(OEt)O2/20.34(MeSi(OEt)1/20.10(MeSiO2/20.22(MeSi(OEt)O1/20.01(MeSi(OH)O1/20.02
Mw=3,000g/モル、Mn=1,500g/モル、およびMw/Mn=2.0を有する、(i−OctSi(OMe)(OH)O1/20.01(i−OctSi(OMe)O2/20.10(i−OctSi(OMe)1/20.16(MeSiO3/20.26(MeSi(OMe)O2/20.36(MeSi(OMe)1/20.11
Mw=1,000g/モル、Mn=800g/モル、およびMw/Mn=1.2を有する、(Si(OEt)2/20.42(Si(OEt)O3/20.19(Si(OEt)1/20.39
Mw=1,400g/モル、Mn=900g/モル、およびMw/Mn=1.6を有する、(Si(OEt)2/20.48(Si(OEt)O3/20.35(Si(OEt)1/20.09(SiO4/20.08
Mw=1,400g/モル、Mn=600g/モル、およびMw/Mn=2.3を有する、(i−OctSi(OMe)O2/20.09(i−OctSiO3/20.06(i−OctSi(OMe)1/20.08(MeSiO3/20.23(MeSi(OMe)O2/20.35(MeSi(OMe)1/20.19
Mw=1,500g/モル、Mn=700g/モル、およびMw/Mn=2.1を有する、(i−OctSi(OMe)O2/20.11(i−OctSiO3/20.05(i−OctSi(OMe)1/20.08(MeSiO3/20.22(MeSi(OMe)O2/20.33(MeSi(OMe)1/20.20(i−OctSi(OH)O2/20.01
であり、式中、Meはメチル基を指し、Etはエチル基を指し、i−Octは2,4,4−トリメチルペンチル基を指し、Phはフェニル基を指す。
【0047】
更に好ましい実施態様において、本発明により使用される成分(A2)は、式(II)のシラン(A2−1)、特に式中、dが1であり、eが0であり、fが3であるシランとすることができる。
【0048】
シラン(A2−1)の例は、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、(2,4,4−トリメチルペンチル)トリメトキシシラン、(2,4,4−トリメチルペンチル)トリエトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−ノナコシルトリエトキシシラン、n−ノナコシルトリメトキシシラン、n−トリアコンチルトリメトキシシラン、n−トリアコンチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジエトキシシラン、(2,4,4−トリメチルペンチル)−メチル−ジメトキシシラン、(2,4,4−トリメチルペンチル)メチルジエトキシシラン、n−オクチルメチルジメトキシシラン、n−オクチルメチルジエトキシシラン、(シクロヘキシル)メチル−ジメトキシシランまたは(シクロヘキシル)メチル−ジエトキシシランである。
【0049】
本発明により使用されるケイ素化合物(A2)は、23℃、1,013hPaで固体および液体の両方であってよく、この場合有機ケイ素成分(A2)は、好ましくは液体である。
【0050】
25℃での有機ケイ素成分(A2)の粘度は、好ましくは600mPa・s、(A2−1)の場合には、特に好ましくは1〜50mPa・sであり、(A2−2)の場合には、特に好ましくは5〜500mPa・sである。
【0051】
本発明の文脈において、絶対粘度は、DIN53019に従って測定される。
【0052】
本発明により使用される有機ケイ素成分(A2−1)の沸点は、それぞれの場合において1,013hPaの圧力で、好ましくは100〜370℃、特に好ましくは100〜250℃の範囲である。
【0053】
本発明により使用されるケイ素化合物(A2)は、既に知られており、従来知られている任意の所望の方法により調製することができる。そのような方法は、加水分解、アルコール分解、縮合、および平衡化などの反応から選択される方法、ならびにそれらの適切な組合せ、例えば、クロロシランをアルコール分解し、その後所望により加水分解し、その後縮合するなどを含む。抽出物としてのクロロシランの形態での所望のケイ素構造単位は、好ましくは、合成のための出発物質として使用される。メタノールまたはエタノールが、好ましくは、アルコール分解で使用される。
【0054】
シラン(A2−1)は、好ましくは、オルガニルトリクロロシラン、ジオルガニルジクロロシランまたはテトラクロロシランのアルコール分解により調製することができるケイ素化合物である。
【0055】
シロキサン(A2−2)は、好ましくは、所望によりジオルガニルジクロロシランとの混合物としてのオルガニルトリクロロシランの反応により、ならびに/または、テトラクロロシランと、元から存在するSi−Cl結合に基づき化学量論的に過剰の対応するアルコール(アルコール分解)および化学量論的に不足の水(加水分解、縮合)との反応により、調製することができるケイ素化合物である。
【0056】
シロキサン(A2−2)は、特に好ましくは、アルコール分解、加水分解、ならびに、所望により、ジメチル−、ジエチル−、エチルメチル−、ジビニル−、メチルビニル−、エチルビニル−、フェニルビニル−、ジ−(n−オクチル)−、メチル−(n−オクチル)−、エチル−(n−オクチル)−、フェニル−(n−オクチル)−、ビニル−(o−オクチル)−、ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)−、メチル−(2,4,4,−トリメチルペンチル)−、エチル−(2,4,4−トリメチルペンチル)−、フェニル−(2,4,4−トリメチルペンチル)−、ビニル−(2,4,4−トリメチルペンチル)−、ジ−(シクロヘキシル)−、メチル−(シクロヘキシル)−、エチル−(シクロヘキシル)−、フェニル−(シクロ−ヘキシル)−、ビニル−(シクロヘキシル)−、ジフェニル−ジクロロシランと、メチル−、エチル−、ビニル−、n−オクチル−、2,4,4−トリメチルペンチル−、シクロヘキシル−またはフェニル−トリクロロシランとの縮合、および/またはテトラクロロシランの縮合により、調製することができるケイ素化合物である。
【0057】
(A2−2)は、特に、メチル−、エチル−もしくはフェニル−トリクロロシランおよび/またはジクロロシランおよび/またはテトラクロロシランのアルコール分解、加水分解、および縮合により調製することができるケイ素化合物である。
【0058】
本発明による組成物中、成分(A1)は、成分(A2)に対して、好ましくは99:1〜50:50、特に好ましくは95:5〜60:40、特には90:10〜70:30の割合で用いられる。成分(A1)および(A2)からなるプリミックスは、80℃で、好ましくは1〜3,000mPa・s、特に好ましくは10〜1,000mPa・sの絶対粘度を有する。
【0059】
本発明による組成物は、それぞれの場合において、組成物の100重量部に基づき、好ましくは総量で1〜30重量部、特に好ましくは2〜15重量部、特には5〜10重量部で、成分(A1)および(A2)を含んでなる。
【0060】
本発明による組成物中で用いられる充填材(B)は、従来知られている任意の所望の充填材とすることができる。
【0061】
充填材(B)の例は、非補強充填材、即ち、好ましくは最大50m/gのBET表面積を有する充填材、例えば、石英粉末、石英顆粒、溶融石英粉末、石英ガラス粉末、ガラス粉末、珪藻土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、タルカン、カオリン、ゼオライト、金属酸化物粉末、例えば、アルミニウム、チタン、鉄、もしくは亜鉛酸化物、またはそれらの混合酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、大理石粉末、石膏、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ポリアクリロニトリル粉末などのプラスチック粉末;強化充填材、即ち、50m/g以上のBET表面積を有する充填材、例えば、焼成シリカ、沈降シリカ、沈降炭酸石灰、ファーネスブラックおよびアセチレンブラックなどのカーボンブラック、ならびに、大きなBET表面積を有するケイ素−アルミニウム混合酸化物;三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、セラミックスマイクロビーズなどの中空ビーズ状の充填材、例えば、D−Neussの3MドイツGmbH社のZeeospheres(登録商標)の商品名で入手可能な充填材;繊維充填材、例えば、ウォラストナイト、モンモリロナイト、ベントナイト、ならびに切断された、および/または粉末状のガラス繊維(短ガラス繊維)、鉱物綿またはプラスチック材である。上記の充填材は、例えば、有機ケイ素または有機シロキサンまたはステアリン酸を用いて処理することにより、疎水性にすることができる。
【0062】
用いられる充填材(B)は好ましくは無機充填材であり、特に好ましくは無機ケイ素含有充填材であり、特には、石英、クリストバライト、タルカンなどの天然供給源由来の無機ケイ素含有充填材、ならびにモンモリロナイトおよびウォラストナイトなどの天然供給源由来の繊維状ケイ素含有充填材、または、例えば、酸水素炎中でのテトラクロロシランの火炎加水分解法により得られる焼成シリカ(ヒュームドシリカ)、もしくは、焼成シリカの熱的後処理により得られる非晶質石英(融解石英)などの合成ケイ素含有生成物、または無機繊維状合成ケイ素含有充填材、例えば切断したもしくは粉末状の短ガラス繊維である。
【0063】
充填材(B)として、特に最も好ましくは、石英、クリストバライト、切断したまたは粉末状の短ガラス繊維、モンモリロナイト、ウォラストナイトまたはタルクであり、所望により表面処理を行ってもよい。
【0064】
充填材(B)を、それぞれ単独で、またはお互いに任意の混合物として使用することができる。成分(B)として、細粒化した充填材および粗粒化した充填材の混合物を用いることが好ましい。
【0065】
本発明により用いられる細粒化充填材(B)は、0.1〜200μm、特に好ましくは0.3〜100μmの粒径を有する。繊維状充填材の場合、これは繊維の最長限度に相当する。
【0066】
本発明により用いられる粗粒化充填材(B)は、好ましくは0.2〜5mm、特に好ましくは0.2〜3mmの粒径を有する。粗粒化充填材(B)として特に石英を用いる。
【0067】
細粒化充填材および粗粒化充填材の混合物を成分(B)として用いる場合、細粒化充填材対粗粒化充填材の重量比は、好ましくは5:1〜1:5、特に好ましくは3:1〜1:3である。
【0068】
500μmより大きい粒子の粒径分布は、好ましくはDIN ISO 3310−1の要件に準拠する分析篩を用いたALPINE製のe200LSエアジェットシーブを用いて分析される。約0.02〜500μmの範囲の粒径分布分析は、好ましくはCilas製のCILAS 1064 粒径分析器を用いて行いて分析される。
【0069】
本発明による組成物は、それぞれの場合において組成物の100重量部に基づき、好ましくは70〜99重要部、特に好ましくは75〜95重量部、特には85〜95部の総量で、充填材(B)を含んでなる。
【0070】
成分(A1)、(A2)および(B)に加えて、本発明による組成物は、更に、成分(A1)、(A2)および(B)とは異なる物質、例えば、触媒(C)、更なる構成成分(D)、水(E)および添加剤(F)を含んでいてもよい。
【0071】
所望により使用される触媒(C)の例は、従来知られている任意の縮合触媒、例えば、
金属化合物、例えば、アルミニウム(III)ネオデカノエート、アルミニウム(III)ステアレート、アルミニウム(III)エトキシド、アルミニウム(III)オクトエート、アルミニウム(III)エチルヘキサノエート、アルミニウム(III)プロポキシド、アルミニウム(III)ブトキシド、アルミニウム(III)アセチルアセトネート、アルミニウム(III)(9−オクタデセニルアセトアセテート)ジイソプロポキシド、亜鉛(II)ステアレート、亜鉛(II)オクトエート、亜鉛(II)(2−エチルヘキサノエート)、亜鉛(II)(アセチルアセトネート)、亜鉛(II)ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)、ストロンチウム(II)(2−エチルヘキサノエート)、チタン(IV)ビス(エチルアセトアセテート)−ビス(イソ−ブタノレート)、チタン(IV)(n−ブトキシド)、チタン(IV)(tert−ブトキシド)、ジルコニウム(IV)アセチルアセトネート、ジルコニウム(IV)(2−エチル−ヘキサノエート)、ジルコニウム(IV)ラクテート、リチウム(I)オクタノエート、ビスマス(III)(2−エチルヘキサノエート)、ビスマス(III)ネオデカノエート、ジオクチルスズ(IV)ラウレート、ジブチルスズ(IV)ラウレート、ジメチルスズ(IV)ラウレート、ジオクチルスズ(IV)オキシド、ジブチルスズ(IV)オキシド、ジメチルスズ(IV)オキシド、ジオクチルスズ(IV)アセテート、ジブチルスズ(IV)アセテート、ジオクチルスズ(IV)アセテートとテトラエトキシシランとの反応により得られる化合物、ジブチルスズ(IV)アセテートとテトラエトキシシランとの反応により得られる化合物、スズ(II)オクトエート、鉛(II)アセテート、鉛(II)オクトエート、鉛(II)オキシド、鉛(II)スルフィド、鉛(II)カーボネート、ニッケル(II)アセチルアセトネート、ニッケル(II)アセテート、ニッケル(II)オクトエート、ニッケル(II)カーボネート、コバルト(II)オクトエート、コバルト(II)カーボネート、マンガン(II)オクトエート、マンガン(II)カーボネート、マンガン(IV)オキシド;
、例えば、カルボン酸、ジカルボン酸、オルガノリン酸ならびにそのモノ−エステルおよびジ−エステル、リン酸およびそのモノエステル、ならびにジオルガノリン酸、ホウ酸、フッ化ホウ素(III)、アンモニウム塩およびカルボン酸無水物;
塩基、例えば、アルカリヒドロキシドおよびアルカリ土類ヒドロキシド、アルカリアルコレートおよびアルカリ土類アルコレート、ブチルリチウム、ならびにカリウムシリコネート;
ケイ素不含有、窒素含有化合物、例えば、1−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、1−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、1−オクチルアミン、1,1,3,3−テトラメチルブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、2−メチル−2−ヘプチルアミンなどの一級アミン;ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジンなどの二級アミン;トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、1,4−ジ−アザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)などの四級アミン;アセトアミジン、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,8−ジ−アザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)などのアミジン;グアニジン、N−メチルグアニジン、N,N‘−ジメチルグアニジン、N,N,N’,N‘−テトラメチルグアニジン、N,N,N’,N‘−テトラメチル−N’’−(1,1−ジメチルエチル)−グアニジン、N−メチル−N’−ニトログアニジン、1,8−ビス−(テトラメチルグアジノ)ナフタレン(TMGN)、グアニルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)および7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ(4.4.0)デカ−5−エン;
アミノシラン、例えば、N−シクロヘキシルアミノメチルメチル−ジエトキシ−シラン、N−シクロヘキシルアミノメチルメチル−ジメトキシシラン、N−シクロ−ヘキシルアミノメチル−トリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチル−トリメトキシシラン、N−フェニルアミノメチル−トリエトキシシラン、N−フェニルアミノメチル−トリ−メトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノ−プロピル−トリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリ−エトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−メチルトリ−メトキシ−シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−メチルトリメトキシ−シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−メチルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシル−3−アミノプロピル−トリエトキシシラン、N−シクロヘキシル−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、N−シクロヘキシル−3−アミノプロピル−メチルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシル−3−アミノプロピル−メチルトリ−メトキシシラン、3−アミノプロピル−トリエトキシシラン、3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、3−アミノプロピル−メチルトリエトキシシラン、および3−アミノプロピル−メチルトリメトキシシランである。
【0072】
所望により用いられてもよい触媒(C)は、好ましくはビスマス(III)(2−エチルヘキサノエート)、ビスマス(III)ネオデカノエート、ジオクチルスズ(IV)ラウレート、ジブチルスズ(IV)ラウレート、ジメチルスズ(IV)ラウレート、ジオクチルスズ(IV)アセテート、ジブチルスズ(IV)アセテート、ジメチルスズ(IV)アセテート、スズ(II)オクトエート、亜鉛(II)アセチルアセトネート、ジルコニウム(IV)(2−エチルヘキサノエート)、アルミニウム(III)tert−ブトキシド、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、リチウムメタノレート、ナトリウムメタノレート、カリウムメタノレート、マグネシウムメタノレート、カルシウムメタノレート、リチウムエタノレート、ナトリウムエタノレート、カリウムエタノレート、マグネシウムエタノレート、カルシウムエタノレート、カリウムメチルシリコネート、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ−[4.4.0]デカ−5−エン、N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリエトキシシラン、3−アミノプロピル−トリエトキシシラン、3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−メチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−メチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピル−メチルトリエトキシシランおよび3−アミノプロピル−メチルトリメトキシシランである。
【0073】
所望により用いられてもよい触媒(C)は、特に好ましくはビスマス(III)(2−エチルヘキサノエート)、ビスマス−(III)ネオデカノエート、スズ(II)オクトエート、亜鉛(II)アセチルアセトネート、カリウムメチルシリコネート、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、およびN,N,N’,N’−テトラメチルグアニジンである。
【0074】
本発明による組成物が触媒(C)を含む場合、その含有量は、それぞれの場合において成分(A1)および(A2)の100重量部の総量に基づき、好ましくは0.0001〜10重量部、特に好ましくは0.0001〜5重量部、特には0.0001〜2重量部である。本発明による組成物は、好ましくは触媒(C)を含んでなる。
【0075】
所望により用いられてもよい触媒(C)は、特に最も好ましくは、成分(A1)および(A2)の100重量部の総量に基づき、0.0001〜1重量部の量での、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジンである。
【0076】
所望により用いられてもよい更なる構成要素(D)の例は、例えば、メタクリルシラン、グリシドキシシラン、およびメルカプトシランなどの官能性シラン;オルトケイ酸ナトリウム、ジナトリウムジシリケート、ジナトリウムトリシリケート、カリウムシリケート、カルシウムシリケートおよびマグネシウムシリケートなどのシリケートである。
【0077】
本発明による組成物が更に構成成分(D)を含んでなる場合、その含有量は、それぞれの場合において、成分(A1)および(A2)の100重量部の総量に基づき、好ましくは1〜15重量部であり、特に好ましくは1〜10重量部である。本発明による組成物は、好ましくは、成分(D)を含まない。
【0078】
所望により用いられてもよい水(E)の例は、任意の種類の水、例えば、雨水;脱鉱物水;塩中の結晶化結合形態での水、例えば、硫酸ナトリウム十水和物、硫酸アルミニウム八水和物、硫酸カルシウム二水和物、メタケイ酸ジナトリウム九水和物、メタケイ酸ジナトリウム五水和物;0.3〜1.5nm、好ましくは0.3〜1.0nmの孔径を有するゼオライトに吸着された水;n=6グルコース分子であるα−シクロデキストリンに結合した水(ボイドの直径/高さ:0.47〜0.53/0.79nm)、n=7グルコース分子であるβ−シクロデキストリン(ボイドの直径/高さ:0.60〜0.65/0.79nm)、またはn=8グルコース分子であるγ−シクロデキストリン(ボイドの直径/高さ:0.75〜0.83/0.79nm)である。
【0079】
本発明による組成物が、水の結晶化形態で、非結合形態または結合形態で水(E)を含んでなる場合、その含有量は、それぞれの場合において、成分(A1)および(A2)の100重量部の総量に基づき、好ましくは、0.1〜5重量部、特に好ましくは0.1〜2重量部、特には0.1〜1重量部である。
【0080】
本発明による組成物が、ゼオライトまたはシクロデキストリン中に結合形態で水(E)を含んでなる場合、その含有量は、それぞれの場合において、成分(A1)および(A2)の100重量部の総量に基づき、好ましくは1〜10重量部、特に好ましくは1〜5重量部である。本発明による組成物は、好ましくは成分(E)を含まない。
【0081】
本発明による所望により用いられてもよい添加剤(F)の例は、色素、好ましくは無機色素、例えば、酸化鉄(黄、黒、赤)、酸化クロム(III)、および二酸化チタン、カーボンブラック;染料、例えば、フタロシアニン、アゾ化合物;所望により、例えば、FeTiO、Fe、TiOまたは液晶色素などでコーティングされていてもよい金、銀、銅、アルミニウム、ケイ素、雲母の板状晶などの金属効果を作るための効果色素である。色素は、粉末形態、または適切な液体、特に好ましくは液体成分(A2)中に分散された形態で用いることができる。色素は、更に、表面コーティングとして粗粒化充填材(B)へ塗布されて用いることもできる。
【0082】
本発明による組成物が添加剤(F)を含んでなる場合、その含有量は、それぞれの場合において、成分(A1)および(A2)の100重量部の総量に基づき、好ましくは1〜20重量部、特に好ましくは1〜15重量部、特には1〜10重量部である。本発明による組成物は、好ましくは成分(F)を含んでなる。
【0083】
本発明による組成物は、好ましくは、
(A1)式(I)の単位からなる少なくとも1つのオルガノポリシロキサン樹脂からなる樹脂成分、
(A2)式(II)の単位からなる少なくとも1つの有機ケイ素化合物からなる有機ケイ素成分、
(B)少なくとも1つの充填材、
(C)少なくとも1つの触媒、
所望により、
(D)更なる構成要素、
所望により
(E)水、および
所望により
(F)添加剤
を含んでなる、組成物である。
【0084】
本発明による組成物は、特に好ましくは、
(A1)少なくとも1つのオルガノポリシロキサン樹脂(A1−1)からなる樹脂成分、
(A2)式(II)の単位からなる少なくとも1つのオ有機ケイ素化合物からなる有機ケイ素成分、
(B)少なくとも1つの充填材、
(C)少なくとも1つの触媒、
所望により
(D)更なる構成要素、
所望により
(E)水、ならびに
所望により
(F)添加剤
を含む組成物である。
【0085】
成分(A1)、(A2)、(B)、ならびに所望による成分(C)、(D)、(E)および(F)以外に、本発明による組成物は、好ましくは、いかなる追加の構成要素も含まない。
【0086】
本発明により用いられる成分は、それぞれの場合において、一種類のそのような成分、および少なくとも二種類の各成分の混合物とすることができる。
【0087】
本発明は、更に、任意の所望の順番で個々の成分を混合することによる本発明の組成物の製造方法を提供する。
【0088】
本発明による一実施態様において、プレミックスを成分(A1)および(A2)から調製し、成分(B)を計量して加え、その後、所望により用いられてよい成分(C)〜(F)を加える。
【0089】
本発明による方法の更なる実施態様において、成分(B)をミキサーにいれ、成分(A1)および(A2)のプレミックスを計量して加え、その後、所望により用いられてよい成分(C)〜(F)を加える。
【0090】
本発明による方法の更なる実施態様において、成分(B)を成分(A2)と予め混合し、その後成分(A1)を加え、その後、所望により用いられてよい成分(C)〜(F)も加える。
【0091】
本発明による方法の更なる実施態様において、成分(B)を成分(A1)と予め混合し、その後成分(A2)を加え、その後、所望により用いられてよい成分(C)〜(F)も加える。
【0092】
混合は、室温および周囲大気の圧力、すなわち900〜1,100hPaで行うことができる。所望の場合、しかしながら、混合はまた、より高い温度、例えば、30〜150℃の範囲の温度で行うことができる。揮発成分および/または空気を除去するために、混合はまた、一時的にまたは恒常的に、例えば30〜500hPaの絶対圧力などの減圧下で行うことも可能である。
【0093】
本発明による方法において、成分の混合を、特に、用いられるオルガノシロキサン成分(A2)の沸点以下である少なくとも20Kの温度で行う。
【0094】
本発明による方法を、連続的に、バッチ式で、または半連続的に行うことができる。
【0095】
好ましい実施態様において、本発明による組成物は室温で非常に高い粘性を有するが、しかしながら、相応して高い機械圧力下で流れるように作られてもよい、パテ状粘度の混練可能な混合物である。
【0096】
更に好ましい実施態様において、本発明による組成物は、湿潤砂の粘稠性を有する。それらは、例えば、コンベアベルトにより運搬可能であり、更なる処理まで保存するために十分に安定である。
【0097】
本発明による組成物は、周囲温度または所望により高温で、機械的圧力により任意の所望の形態へ加工することもできる。
【0098】
本発明による組成物は、アルコールおよび所望により水の開裂による縮合反応により、周囲温度、通常は室温で、または室温より高い温度で、架橋する。
【0099】
架橋は、温度を上げることにより促進することができ、したがって、成形および架橋を共通の工程で実施することができる。
【0100】
本発明による組成物を、架橋可能なシリコーン組成物が用いられてきた全ての目的について用いることができる。本発明による混合物の処理は、公知の方法により行われる。
【0101】
本発明は、更に、本発明による組成物を架橋することにより製造される成形体を提供する。
【0102】
成形体は、例えば、古くからそれ自体知られている射出成形法により、本発明による混合物から製造することができる。そのためにも、混合物を機械的圧力により、対応する金型キャビティーに注入する。金型は、一般的に2つの部分に分かれており、射出成形操作の間、液圧プレスにより閉じられる。金型を所望の温度まで予熱し、それによって、一方では組成物の流動が促進され、他方では硬化が加速される。射出成形操作の終わりに、成形体が損傷されることなく取り出される硬度に到達するまで、金型を閉じたままにしておく。試験片用の金型キャビティーは、例えば、DIN EN ISO 10724−1:2002−4に記載されている。
【0103】
本発明による成形体は、好ましくは人工石である。
【0104】
人工石を製造する手順は、好ましくは以下の通りである。本発明による組成物を、最初に金型に導入し、気体混入を防ぐために、真空をその後適用する。好ましくは、本発明による組成物を、金型を介した振動状態にすることにより高密度化することができる。この後、機械的圧力を適用することにより組成物を更に高密度化する。この圧密過程、つまり所望により真空状態での振動を伴う高密度化は、理想的には数分、好ましくは2〜3分継続する。成形体が金型中で硬化する場合、金型をそれ以前の工程の内の1つと同じ温度まで加熱するか、またはその後、好ましくは30〜120分の期間、室温よりも高い温度、好ましくは50〜200℃、特に好ましくは80〜160℃、特に好ましくは80〜130℃に加熱する。成形体を、次に、金型から取り外す。あるいは、特に好ましいのは、まだ硬化していない成形体を、成型が完了した時、即ち、機械的圧縮の後に型から取り外し、別の装置で、その後の別の工程で、上述の温度で上述の期間、硬化する。次に、成形体を、有利には、更に周囲温度で少なくとも1時間、好ましくは10時間、特に好ましくは24〜48時間、保存する。そのようにして得られた成形体を次に、公知の方法、例えば、表面の摩擦、研磨および切断などの方法により更に加工することができる。本発明は、更に、人工石を製造する方法を提供し、該方法において本発明による組成物は、成型され架橋される。
【0105】
本発明による成形体は、好ましくは少なくとも50ショアD、特に好ましくは少なくとも60ショアD、特には少なくとも75ショアDの硬度を有する。
【0106】
本発明による成形体は、従来系の場合に、既に顕著な変化が視認されている、従来の有機樹脂系成形体と比較して、紫外線放射の作用下でもいかなる色変化(淡い色あいが黄変する、濃い色あいが淡くなる)も呈さない。
【0107】
本発明による組成物は、更に、人工石を製造するのに顕著に好適であるという利点を有する。
【0108】
本発明の組成物は、スチレンに溶解した従来技術従って使用されるポリエステル樹脂の場合と通常は同様に、加工の間に有害物質を環境に放出しないという利点を有する。
【0109】
本発明による成形体は、優れた熱耐性を有しているため、200℃までのより高い熱負荷条件下で、有機ポリエステルまたはアクリル樹脂を用いる現行の従来技術により製造された成形体の場合よりも変色が少ない、または変色しないという利点を有する。更に、機械的特性は、非常に高い温度で長時間熱的負荷かけた(例えば、700℃で1時間)後でさえ、概ね維持される。
【0110】
本発明による成形体は、紫外線および風化に対して安定であるという利点を有する。
【0111】
本発明による成形体は、高熱負荷下でも寸法的に安定なままであり、したがって、固体材料および/または液体材料の、加熱および/または燃焼による剥離のリスクが無い。
【0112】
以下の例において、全ての粘度データは、特に断りの無い限り、25℃の温度に関する。特に断りの無い限り、以下の例は、周囲大気圧(すなわち、約1,013hPa)および室温(すなわち、約23℃)で、または反応物を室温で更なる加熱や冷却なく組み合わせる際に確立される温度で、かつ約50%の相対湿度で行われる。更に、全ての部およびパーセントに関するデータは、特に断りの無い限り、重量に基づくものである。
【実施例】
【0113】
本発明において、物質は、好ましくは機器分析により得られるデータを示すことにより特徴付けられる。以下の測定は、公に利用可能な標準に従い実行されるか、または特別に開発した方法により測定されるかのいずれかである。与えられる教示の明確性を確実にするために、用いた方法を本明細書中に記載する。
【0114】
<粘度>
以下の例において、有機ケイ素化合物の絶対粘度を、DIN53019に従って測定する。その手順は好ましくは以下の通りである。特に断りの無い限り、粘度はAnton Paar社製の「Physica MCR 300」回転式レオメータにより25℃で測定する。1〜200mPa・sの粘度については、1.13mmの環状測定ギャップを有する同軸円筒測定システム(CC 27)を用い、200mPa・sよりも高い粘度については、コーン/プレート測定システム(測定コーンCP 50−1を有するSearle−システム)を用いる。剪断速度をポリマー粘度に合わせる(100s−1で1〜99mPa・s;200s−1で100〜999mPa・s;120s−1で1,000〜2,999mPa・s;80s−1で3,000〜4,999mPa・s;62s−1で5,000〜9,999mPa・s;50s−1で10,000〜12,499mPa・s;38.5s−1で12,500〜15,999mPa・s;33s−1で16,000〜19,999mPa・s;25s−1で20,000〜24,999mPa・s;20s−1で25,000〜29,999mPa・s;17s−1で30,000〜39,999mPa・s;10s−1で40,000〜59,999mPa・s;5s−1で60,000〜149,999mPa・s;3.3s−1で150,000〜199,999mPa・s;2.5s−1で200,000〜299,999mPa・s;1.5s−1で300,000〜1000,000mPa・s。
【0115】
測定システムを測定温度へ調整した後、ならし運転段階、予備剪断段階、および粘度測定段階からなる三段階測定プログラムを適用する。ならし運転段階は、一分以内に剪断速度を上述の剪断速度(予想される粘度に応じ、かつ測定が実施される速度)まで段階的に上昇させることにより実施する。当該剪断速度に到達するとすぐに、予備剪断を一定の剪断速度で30秒間行い、その後、粘度を測定するために、25回の測定を、それぞれ4.8秒間行い、そこから平均値を決定する。平均値は絶対粘度に相当し、mPa・s単位で求められる。
【0116】
<分子量分布の測定の説明>
方法:DIN 55672−1に準拠するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)
流速:1.00mL/分
注入システム:Agilent1200オートサンプラー(Agilent Technologies社)
注入量:100μL
溶離液:フェニル基を含んでなる生成物の場合、250ppmの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)で安定化したテトラヒドロフラン>99.5%を用い、フェニル基を含まない物質の場合には、トルエン>99.9%(p.A.)を用いた。全ての化学物質は、例えば、Merck KGaA、DE−Darmstadtから市販されている。
【0117】
カラム:固定相:Agilent Technologies社のポリスチレン−ジビニルベンゼン
50mmの長さを有するプレカラム、および各300mm長の3つの分離カラムからなる4つのカラムを直列に接続した。全てのカラムの内径は7.8mmであった。使用したゲルの粒径は5μmであった。プレカラムの細孔径は、500Åであり、3つの分離カラムの細孔径は、順に、10,000Å、500Å、および100Åであった。
カラム温度:オーブン温度45℃。濃度は、RI検出器(基準となる偏差を測定、型:Agilent 1200;セル容積:8μL;温度45℃)を用いて測定した。
【0118】
当該システムは、同様に、Agilent社から市販されている標準ポリスチレンにより較正した(濃度:0.4g/L(EasiCal、使用できる状態のポリスチレン較正剤、注入量:100μL)。溶離液としてのトルエンの内部標準として、テトラヒドロフランをマーカー物質として用い、溶離液としてのテトラヒドロフランの内部標準としてトルエンをマーカー物質として用いた。
較正曲線の適合:三次多項式PSS。
試料調製:約15〜50mgの試料を計量して、各溶離液に溶解させた(c=約3〜10mg/mL)。試料の量は、明瞭なRI信号が得られるような量であった。全ての試料を完全に溶離液に溶解することができた。
評価:測定したモル重量は、それぞれの場合において、100の位で四捨五入した。
【0119】
<曲げ強さ>
本発明において、曲げ強さを、60cmの支持距離で、2mm/分の試験速度を用いて、ISO 178:2011−4方法Aに従い測定した。
【0120】
好ましくは、手順は以下の通りであった。長さ×幅×厚さ=80mm×10mm×4mmの寸法の試験片を用いた。測定は、それぞれ、5つの試験片について行った。試験片は、DIN EN ISO 10724−1:2002−4による交換可能な金型キャビティーを有するツールを用いて射出成形により製造し、例に記載の条件(温度、時間)下で硬化させた。試験中、試験片は常に、射出成形金型内に配置されるのと同じようにして(つまり底面が下になるようにして)機械に挿入した。測定前に、試験片を、例に記載の時間、23℃、相対湿度50%で保存した曲げ強度の値(MPa)は、個々の測定値の平均値であり、DIN 1333:1992−02 セクション4.5に従い、0.1MPa単位で四捨五入した。
【0121】
<ショアD硬度>
硬度の測定値は、DIN EN ISO 868:2003−10に従い測定した。好ましくは、手順は以下の通りであった。DIN EN ISO 10724−1:2002−4フォーム2により、交換可能な金型キャビティープレートを有するツールを用いて射出成型法により製造し、例に記載の条件(温度、時間)下で硬化させた、長さ×幅×厚さ=40mm×40mm×6mmの寸法のシート状試験片について、デュロメータ(ショアD硬度)を用いて行った。測定前、試験片を、例に記載の時間、23℃、相対湿度50%で事前に保存した。
【0122】
<紫外線耐性>
上述のシート状試験片を用いて、Atlas Material Testing Technology社のSUNTEST CPS+により、紫外線耐性試験を行った。CIE 発行番号85(DIN EN ISO 11431:2003−1を参照)の規定により、光学フィルターシステム(Atlas Material Testing Technology社の紫外線特殊ガラスで被覆された石英ガラス)を有する人工光源(キセノンランプ)を、日光の視認成分および紫外線成分をシミュレーションするために用いた。放射のスペクトル分布は、ISO4892−2(方法A)に記載された要件に対応する。290nm〜800nmの範囲の波長において、試験片の表面での照射強度は、550±75W/mである。試験片の変色は、長さ×幅×厚さ=40mm×40mm×6mmの寸法のシート状試験片を用いて測定し、試験片は上述の方法により作製した。試験片を予め23℃、50%の相対湿度で例に示した時間、保存した。試験片を次に、例で言及した保存周期の後に、視覚的に評価した(「++」=変色なし、「+」=僅かな変色、「0」=中度の変色、「−」=明白な変色、「−−」=非常に明白な変色)。
【0123】
<熱耐性>
変色に関しての熱耐性を、上述の方法により作製した曲げ強さ試験片を用いて試験した。試験片を、23℃、50%の相対湿度で例に記載の時間、予め保存した。試験片を、次に、例に記載の時間および記載の温度で、市販の空気循環型乾燥キャビネットで保存した。試験片の変色を、その後視覚的に評価した(「++」=変色なし、「+」=僅かな変色、「0」=中度の変色、「−」=明白な変色、「−−」=非常に明白な変色)。
【0124】
曲げ強さに関しての耐熱性を、上述の方法により作製した曲げ強さ試験片を用いて試験した。試験片を、例に記載の時間、23℃、50%の相対湿度で予め保存した。試験片を、次に、記載の時間および記載の温度で、市販の空気循環型乾燥キャビネットで保存した。曲げ強さを、その後、2時間で23℃へ冷却した試験片を用いて上述のように測定した。曲げ強さの示された値(MPa)は、個々の測定値の平均値に相当し、DIN:1333:1992−02 セクション4.5に従って、0.1MPa単位で四捨五入した。
【0125】
樹脂混合物1:
6,600g/モルの平均分子量Mw、2,000g/モルの平均分子量Mn、および3.3の多分散度を有する、平均式(MeSiO3/20.88(MeSi(OH)O2/20.05(MeSi(OEt)O2/20.06(MeSiO2/20.01を有する粉末状オルガノポリシロキサン樹脂(A1)100重量部と、1.8mPa・sの絶対粘度を有する(2,4,4−トリメチルペンチル)トリメトキシシラン25重量部とを、丸底フラスコに入れた。次に、混合物を攪拌しながら55℃まで加熱し、それにより、均一な混合物が形成された。次に、混合物の温度を95℃まで上げ、当該温度に到達したら100mbarの圧力をかけた。攪拌をそれらの条件下で更に2.5時間行った後、混合物を100mbarの圧力で23℃まで冷却すると真空破壊を起こした。そのようにして得られた樹脂混合物の絶対粘度は、25℃で35,000mPa・sであり、80℃で400mPa・sであった。
【0126】
樹脂混合物2:
6,600g/モルの平均分子量Mw、1,900g/モルの平均分子量Mn、および3.5の多分散度を有する、平均式(MeSiO3/20.84(MeSi(OH)O2/20.03(MeSi(OEt)O2/20.06(MeSiO2/20.06(Me(OH)SiO1/20.01を有する粉末状オルガノポリシロキサン樹脂(A1)100重量部と、1.8mPa・sの絶対粘度を有する(2,4,4−トリメチルペンチル)トリメトキシシラン25.5重量部とを、丸底フラスコに入れ、次に、混合物を攪拌しながら55℃まで加熱し、それにより、均一な混合物が形成された。混合物の温度を、その後95℃まで上げ、温度が到達すると、100mbarの圧力をかけた。攪拌をそれらの条件下で2.5時間行い、その後、真空が壊れる前に混合物を100mbarの圧力で23℃まで冷却した。そのようにして得られた樹脂混合物は、25℃で9,000mPa・sの絶対粘度、および80℃で300mPa・sの絶対粘度を有していた。
【0127】
樹脂混合物3:
6,600g/モルの平均分子量Mw、2,000g/モルの平均分子量Mn、および3.3の多分散度を有する、平均式(MeSiO3/20.88(MeSi(OH)O2/20.05(MeSi(OEt)O2/20.06(MeSiO2/20.01を有する粉末状オルガノポリシロキサン樹脂(A1)100重量部、ならびに1,550g/モルの平均分子量Mw、550g/モルの平均分子量Mn、および2.8の多分散度を有する、平均組成(MeSiO3/20.19(i−OctSiO3/20.05(MeSi(OMe)O2/20.30(i-OctSi(OMe)O2/20.08(MeSi(OMe)1/20.16(i−OctSi(OMe)1/20.07(MeSiO2/20.15を有するオルガノシロキサン成分65重量部を丸底フラスコに入れた。次に、混合物を攪拌しながら55℃まで加熱し、それにより、均一な混合物が形成された。混合物の温度を、その後95℃まで上げ、温度が到達すると、100mbarの圧力をかけた。攪拌をそれらの条件下で2.5時間行い、その後、真空が壊れる前に混合物を100mbarの圧力で23℃まで冷却した。そのようにして得られた樹脂混合物は、25℃で6,000mPa・sの絶対粘度、および80℃で200mPa・sの絶対粘度を有していた。
【0128】
実施例B1
100重量部の樹脂混合物1、および300重量部の石英粉末16900(Amberger Kaolinwerke、D−Hirschauから市販されている)をHauschild&Co.KG.社のSpeedmixer(商標)DAC150FVZで3,000rpmで30秒間混合した。次に、混合物を23℃の温度へ冷却されるまで放置した。次に、0.16重量部の1,1,3,3−テトラ−メチル−グアニジン(「TMG」;CAS番号80−70−6;Sigma−Aldrich(登録商標)、D−Steinheimから市販されている)を加えて混合物を再び2,000rpmで30秒間攪拌した。次に、混合物から試験片を作製した。試験片作製ために、Lauffer GmbH&CO KGから入手した型VSKOの油圧プレスを用いた。該プレスは、DIN EN ISO 10724−1:2002−04により交換可能な金型キャビティープレートを有するツールを備え、これにより、長さ×幅×厚さ=80mm×10mm×4mm(曲げ強さおよび熱耐性試験のため)、または長さ×幅×厚さ=40mm×40mm×6mm(硬度および紫外線耐性試験のため)の寸法を有する試験片を製造することが可能であった。金型を、140kNの閉鎖力で油圧で閉じた。金型は、長さ×幅=450mm×450mmの外側寸法を有していた。プレス型は、50mmの直径を有していた。試験片を作製するために、上述の混合物を100g導入し、5kNの圧力で、120℃の温度に予熱した個々の金型キャビティーに注入した。金型キャビティーを完全充填した後、圧力を25kNへ上げた。この時点で、油圧を切った。硬化中、圧力をゆっくりと下げ、全体のプレスおよび硬化操作の最終段階では14kNであった。120℃で30分間後、ツールを開き、試験片を取り出した。
【0129】
そのようにして得られた試験片を、それぞれの特性について試験した。結果を、表1〜6に記載する。
【0130】
実施例B2
石英粉末16900の代わりに石英粉末Millistil W12(Quarzwerke GmbH、D−Frenchenから市販されている)を用い、0.16重量部の1,1,3,3,−テトラメチルグアニジンの代わりに1.35重量部のジオクチルスズジラウレート(TIB Chemicals,D−Mannleimから商品名TIB KAT216で市販されている)を用いたことを以外は、実施例1に記載した手順を繰り返した。
【0131】
そのようにして得られた試験片を、それぞれの特性について試験した。結果を、表1〜6に記載する。
【0132】
実施例B3
0.16重量部の1,1,3,3−テトラメチル−グアニジンの代わりに、揮発油中の1.6重量部のジルコニウム(IV)2−エチルヘキサノエート90重量%溶液(CAS番号2233−42−3;ABCR、D−Karlsruheから市販されている)を用いたこと以外は、実施例1に記載の手順を繰り返した。
【0133】
そのようにして得られた試験片を、それぞれの特性について試験した。結果を、表1〜6に記載する。
【0134】
実施例B4
0.16重量部の1,1,3,3−テトラメチルグアニジンの代わりに、ネオデカン酸中の0.75重量部のビスマス(II)ネオデカノエートの70重量%溶液(CAS番号34364−26−6;ABCR、D−Karlsruheから市販されている)を用いた以外は、実施例1に記載の手順を繰り返した。
【0135】
そのようにして得られた試験片を、それぞれの特性について試験した。結果を、表1〜6に記載する。
【0136】
実施例B5
100重量部の樹脂混合物1および300重量部の石英粉末16900に加えて、3重量部のケイ酸ナトリウム粉末(CAS番号1344−09−8;SikalonAの商品名で、Wollner GmbH&CO.KG、D−Kudwigshafenから市販されている)および0.3重量部の市販の鉱質除去された水を混入した以外は、実施例1に記載の手順を繰り返した。
【0137】
そのようにして得られた試験片を、それぞれの特性について試験した。結果を、表1〜6に記載する。
【0138】
実施例B6
樹脂混合物1の代わりに樹脂混合物2を用い、300重量部の石英粉末16900の代わりに120重量部の短ガラス繊維(Glass Fiber MF 7904の商品名で、Lanxess GmbH社から市販されている)を混入した以外は、実施例1に記載の手順を繰り返した。
【0139】
そのようにして得られた試験片を、それぞれの特性について試験した。結果を、表1〜6に記載する。
【0140】
実施例B7
樹脂混合物1の代わりに樹脂混合物3を用い、0.16重量部の1,1,3,3−テトラメチルグアニジンの代わりに、0.4重量部の1,1,3,3−テトラメチル−グアニジンを用いた以外は、実施例1に記載の手順を繰り返した。
【0141】
そのようにして得られた試験片を、それぞれの特性について試験した。結果を、表1〜6に記載する。
【0142】
比較例VI
62〜65重量%の固体含有量を有する、不飽和ポリエステルのスチレン溶液(Palatal P4−01という商品名でBufa GmbH&CO.KG、D−oldenburgから市販されている)100重量部、およびコバルト(II)2−エチルヘキサノエート65重量%の揮発油溶液(CAS番号136−52−7;ABCR、D−Kudwigshafenから市販されている)0.05重量部を、Speedmixer(商標)DAC 150 FVZにより3,000rpmで15秒間混合した。次いで、2−ブタンノン過酸化物32重量%溶液(CAS番号1338−23−4;Luperox(登録商標)DHD−9という商品名でSigma−Aldrich、D−Steinheimから市販されている)1重量部を加えて、Speedmixer(商標)により2,000rpmで30秒間混合した。混合物に300重量部の石英粉末16900を補充し、更にSpeedmixer(商標)により2,000rpmで30秒間混合した。50℃に予熱しておいた金型キャビティーに混合物を注入した後、120℃で30分間の代わりに、50℃で30分間焼き戻しを行った。30分後、圧力ツールの温度を80℃まで上げ、温度が到達すると、金型本体を更に30分間焼き戻した。ツールをその後開き、試験片を取り出した。
【0143】
そのようにして得られた試験片を、それぞれの特性について試験した。結果を、表1〜6に記載する。
【0144】
【表1】
【0145】
【表2】
【0146】
【表3】
【0147】
【表4】
【0148】
【表5】
【0149】
【表6】