(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(1S,6R,8R,9S,10R,15R,17R,18R)-17-(2-アミノ-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル)-8-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-3,9,12,18-テトラヒドロキシ-2,4,11,13-テトラオキサ-3λ5,12λ5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.06,10]オクタデカン-3,12-ジオン
(1R,6R,8R,9S,10R,15R,17R,18R)-17-(2-アミノ-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル)-8-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-3,9,12,18-テトラヒドロキシ-2,4,11,13,16-ペンタオキサ-3λ5,12λ5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.06,10]オクタデカン-3,12-ジオン
(1S,6R,8R,9R,10S,15R,17R,18R)-17-(2-アミノ-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル)-8-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-3,9,12,18-テトラヒドロキシ-2,4,7,11,13-ペンタオキサ-3λ5,12λ5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.06,10]オクタデカン-3,12-ジオン
(1S,6R,8R,9R,10R,15R,17R,18R)-17-(2-アミノ-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル)-8-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-9-フルオロ-3,12,18-トリヒドロキシ-2,4,7,11,13-ペンタオキサ-3λ5,12λ5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.06,10]オクタデカン-3,12-ジオンである、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本明細書で使用される場合、「本発明の化合物」には、式(I)の化合物及びそれらの塩のすべての溶媒和物、複合体、多形体、放射性同位元素標識誘導体、互変異性体、立体異性体及び光学異性体が含まれる。
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「有効量」とは、例えば、研究者又は臨床医によって探求されている組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を誘発する薬物又は医薬品の量を意味する。さらに、用語「治療有効量」とは、そのような量を投与されていない対応する対象と比較して、疾患、障害、若しくは副作用の治療、治癒、予防、若しくは寛解が向上され、又は疾患若しくは障害の進歩の速度が低減される任意の量を意味する。本用語はまた、その範囲内で、正常な生理機能を増強するのに有効な量が含まれる。
【0042】
用語「予防」とは、防止することが含まれ、疾患を治癒する又は治療するよりも予防するためである手段又は手順を意味する。予防することは、疾患を引き起こす薬剤に曝露され得る対象又は疾患の発生より先に疾患に罹患しやすくなった対象において発症しないように、疾患の少なくとも1種の臨床症状を引き起こす疾患を獲得する又は発症するリスクを低下させることを意味する。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される」とは、適切な医学的判断の範囲内で、妥当な利益/危険比に相応して、過度の毒性、刺激性又は他の問題若しくは合併症を伴わず、ヒト及び動物の組織と接触して用いるのに適した化合物、材料、組成物及び剤形を意味する。
【0044】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される賦形剤」には、すべての希釈剤、担体、結合剤、流動促進剤及び本発明の化合物が投与される医薬製剤の他の構成成分が含まれる。
【0045】
本発明の化合物は、固体又は液体の形態で存在することができる。固体の形態では、本発明の化合物は、完全に非晶質であるものから完全に結晶であるものまでの固体状態の連続体で存在することができる。用語「非晶質の」とは、材料が、分子レベルで長距離秩序を欠き、温度に応じて、固体又は液体の物性を示し得る状態を意味する。通常、そのような材料は、特有のX線回折パターンを示さず、固体の特性を示すが、液体としてより形式的に記載される。加熱後、固体から液体への特性の変化は、状態の変化、通常、二次(「ガラス転移」)を特徴とするものが起こる。用語「結晶の」とは、材料が、分子レベルで規則的に並べられた内部構造を有し、定義されたピークを有する特有のX線回折パターンを示す固相を意味する。そのような材料は、十分に加熱された場合、液体の特性も示すが、固体から液体への変化は、相転移、通常、一次(「融点」)を特徴とする。
【0046】
本発明の化合物は、1種を超える形態で結晶化する能力を有し得、これは多形体として知られる特徴であり、このような多形形態(「多形体」)は、本発明の範囲内であることが理解される。多形体は、一般に、温度若しくは圧力又はその両方の変化への応答として起こり得、結晶化プロセスの差異から生じることもある。多形体は、X線回折パターン、溶解性及び融点など、当技術分野で公知の様々な物理的特性によって識別することができる。
【0047】
式(I)の化合物は、溶媒和された及び溶媒和されていない形態で存在することができる。本明細書で使用される場合、用語「溶媒和物」とは、溶質(本発明において、式(I)の化合物又は塩)及び溶媒によって形成される可変の化学量論の複合体を意味する。本発明の目的のためのそのような溶媒は、溶質の生物学的活性に干渉することができない。当業者は、薬学的に許容される溶媒和物が、結晶化合物のために形成することができ、溶媒分子が、結晶化中に結晶格子に取り込まれることを十分に認識している。取り込まれた溶媒分子は、水分子でもよく、エタノール、イソプロパノール、DMSO、酢酸、エタノールアミン、及び酢酸エチル分子などの非水性でもよい。水分子で取り込まれた結晶格子は、通常、「水和物」と称される。水和物には、化学量論的な水和物並びに可変量の水を含有する組成物が含まれる。本発明には、すべてのこのような溶媒和物が含まれる。
【0048】
式(I)の化合物が、互変異性体を形成し得ることにも留意する。「互変異性体」は、ある特定の化合物構造の置換え可能な形態であり、水素原子及び電子の変位が変わる化合物を意味する。したがって、2つの構造は、π電子及び原子(通常、H)の運動によって平衡となり得る。例えば、エノール及びケトンは、酸又は塩基で処理することにより速やかに相互変換されるため、互変異性体である。本発明の化合物のすべての互変異性体及び互変異性体の混合物は、本発明の化合物の範囲内に含まれることが理解される。絶対的な明確さのために、式(I)の化合物において、R
1又はR
3がOHを表す場合、本化合物は、ケト互変異性体(=O)を形成する。
【0049】
本発明の一態様では、Y
1及びY
2の少なくとも1つはCH
2である。
【0050】
本発明の一態様では、Y
1はCHであり、Y
2はOである。
【0051】
本発明の一態様では、Y
1はOであり、Y
2はCHである。
【0052】
本発明の一態様では、Y
1及びY
2は両方ともCHである。
【0053】
本発明の一態様では、Y
1及びY
2は両方ともOであり、R
5及びR
6の少なくとも1つはFである。
【0054】
本発明の一態様では、R
3はNH
2であり、R
4はHである。
【0055】
本発明の一態様では、R
2はNH
2であり、R
1はOHである。
【0056】
本発明の一態様では、R
3はNH
2であり、R
4はHであり、R
2はNH
2であり、R
1はOHである。
【0057】
本発明の一態様では、R
3はNH
2であり、R
4はHであり、R
2はNH
2であり、R
1はOHであり、R
5はOHであり、R
6はOHである。
【0058】
各変数についての態様は、一般に各変数について別々に上記で列挙されており、本発明には、式(I)中のいくつかの又は各態様が、上記に列挙した態様のそれぞれから選択される化合物が含まれる。したがって、本発明は、各変数についての態様のすべての組み合わせを含むことを目的としている。
【0059】
本発明(prevent invention)の化合物の例には、以下が含まれる。
(1S,6R,8R,9S,10R,15R,17R,18R)-17-(2-アミノ-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル)-8-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-3,9,12,18-テトラヒドロキシ-2,4,11,13-テトラオキサ-3λ
5,12λ
5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.0
6,
10]オクタデカン-3,12-ジオン
(1R,6R,8R,9S,10R,15R,17R,18R)-17-(2-アミノ-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル)-8-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-3,9,12,18-テトラヒドロキシ-2,4,11,13,16-ペンタオキサ-3λ
5,12λ
5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.0
6,
10]オクタデカン-3,12-ジオン
(1S,6R,8R,9R,10S,15R,17R,18R)-17-(2-アミノ-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル)-8-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-3,9,12,18-テトラヒドロキシ-2,4,7,11,13-ペンタオキサ-3λ
5,12λ
5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.0
6,
10]オクタデカン-3,12-ジオン
(1S,6R,8R,9R,10R,15R,17R,18R)-17-(2-アミノ-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル)-8-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-9-フルオロ-3,12,18-トリヒドロキシ-2,4,7,11,13-ペンタオキサ-3λ
5,12λ
5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.0
6,
10]オクタデカン-3,12-ジオン
【0060】
式(I)の化合物は、塩の形態となり得る。
【0061】
通常、本発明の塩は、薬学的に許容される塩である。用語「薬学的に許容される塩」の中に包含される塩は、本発明の化合物の非毒性塩を意味する。適当な塩に関する総説については、Bergeら、J.Pharm.Sci.1977年、66巻、1〜19頁を参照のこと。
【0062】
適当な薬学的に許容される塩は、酸付加塩を含むことができる。
【0063】
薬学的に許容される酸付加塩は、場合によっては、有機溶媒などの適当な溶媒中で、適当な無機酸又は有機酸(例えば、臭化水素酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸などのナフタレンスルホン酸など)と、式(I)の化合物を反応させることにより形成されて、例えば、結晶化及びろ過により通常単離される塩を得ることができる。式(I)の化合物の薬学的に許容される酸付加塩は、例えば、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩(例えば、2-ナフタレンスルホン酸塩)を含んでもよく、これらであってもよい。
【0064】
他の薬学的に許容されない塩、例えば、トリフルオロ酢酸塩は、例えば、本発明の化合物の単離において用いることができ、本発明の範囲内に含まれる。
【0065】
本発明には、その範囲内で式(I)の化合物のすべてのあり得る化学量論的な及び不定比性の形態が含まれる。
【0066】
療法に用いる場合、本発明の化合物は、粗化学物質として投与することができる可能性があり、医薬組成物としての有効成分としての本発明の化合物を示す可能性がある。このような組成物は、医薬分野において周知の方式で調製することができ、少なくとも1種の活性化合物を含む。したがって、本発明は、本発明の化合物及び1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物をさらに提供する。賦形剤(複数可)は、本組成物の他の成分に適合する及びそのレシピエントに有害でないという意味で許容されなければならない。本発明の他の態様によれば、薬剤を含む医薬組成物又はそれらの薬学的に許容される塩の、1種以上の薬学的に許容される賦形剤による調製のための方法も提供される。医薬組成物は、本明細書に記載した任意の状態の治療及び/又は予防において用いられ得る。
【0067】
一般に、本発明の化合物は、薬学的に有効な量で投与される。実際に投与される化合物の量は、治療しようとする条件、選ばれた投与経路、投与される実際の化合物、個々の患者の年齢、体重及び応答、患者の症状の重症度などを含めた、関連する環境を考慮して、通常、医師によって決定される。
【0068】
医薬組成物は、単位投与量当たりの所定の量の有効成分を含有する単位投与量の形態で示すことができる。用語「単位剤形」とは、ヒト対象及び他の哺乳動物に対する単位用量として適した物理的に分離した単位を意味し、それぞれの単位は、適当な医薬品賦形剤、ビヒクル又は担体と関連して、所望の治療効果をもたらすよう算出された活性物質の所定の量を含む。典型的な単位剤形には、液体組成物の充てん済みの、前処理したアンプル若しくはシリンジ又は固体組成物の場合では、丸剤、錠剤、カプセル剤などが含まれる。
【0069】
好ましい単位剤形(unit dosage)組成物は、有効成分の1日量若しくは副用量(sub-dose)、又は適切なその画分を含有するものである。したがって、そのような単位投与量は、1回又は1日1回を超えて投与することができる。そのような医薬組成物は、薬学分野において周知の方法のいずれかによって調製することができる。
【0070】
医薬組成物は、任意の適切な経路、例えば、(口腔若しくは舌下を含めた)経口経路、直腸経路、吸入経路、鼻腔内経路、(口腔、舌下若しくは経皮を含めた)局所経路、経膣経路又は(皮下、筋肉内、静脈内若しくは皮内を含めた)非経口経路によって投与されるように適合することができる。そのような組成物は、薬学分野で公知の任意の方法により、例えば、担体(複数可)又は賦形剤(複数可)と有効成分を会合させることにより調製することができる。
【0071】
経口投与のために適合された医薬組成物は、カプセル剤若しくは錠剤;散剤若しくは顆粒剤;水性若しくは非水性液体の溶液若しくは懸濁液;食用の発泡体若しくはホイップ;又は水中油型液状乳剤若しくは油中水型液状乳剤などの個別単位として存在することができる。
【0072】
例えば、錠剤又はカプセル剤の形態の経口投与の場合、活性を有する薬物構成成分は、エタノール、グリセロール、水などの経口の、非毒性の薬学的に許容される不活性な賦形剤と合わせることができる。散剤は、適当な微粒子サイズまで化合物を縮小し、例えば、デンプン又はマンニトールのような食用炭水化物などの同様に調製された医薬品賦形剤と混合することにより調製される。香料、保存剤、分散化剤及び着色剤もまた存在することができる。
【0073】
カプセル剤は、前述した通り、粉末混合物を調製し、成形されたゼラチンシースに充てんすることにより作製される。コロイドケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム又は固形ポリエチレングリコールなどの、流動促進剤及び滑沢剤を含めた賦形剤は、充てん操作前に粉末混合物に加えることができる。寒天-寒天、炭酸カルシウム又は炭酸ナトリウムなどの崩壊剤又は可溶化剤はまた、カプセル剤が経口摂取される場合、医薬品の利用可能性を改善するために加えることもできる。
【0074】
さらに、望まれる場合又は必要な場合、適当な結合剤、流動促進剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤(flavour)、崩壊剤及び着色剤を含めた賦形剤はまた、混合物に取り込むことができる。適当な結合剤には、デンプン、ゼラチン、ブドウ糖又はβ-ラクトースなどの天然の糖類、トウモロコシ甘味剤、アラビア、トラガントなどの天然及び合成ゴム又はアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ろうなどが含まれる。これらの剤形に用いられる滑沢剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。崩壊剤には、それだけには限らないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが含まれる。錠剤は、例えば、粉末混合物を調製し、造粒又はスラッギングし(slugging)、滑沢剤及び崩壊剤を加え、且つ錠剤に圧縮することにより配合される。粉末混合物は、適当に粉砕した化合物を、前述した希釈剤又は基剤と混合し、場合によっては、カルボキシメチルセルロース、アルギネート(aliginate)、ゼラチン又はポリビニルピロリドンなどの結合剤、パラフィンなどの溶液遅延剤、四級塩などの吸収促進剤(resorption accelerator)及び/又はベントナイト、カオリン若しくはリン酸二カルシウムなどの吸収剤と混合することにより調製される。粉末混合物は、シロップ、デンプンペースト、アカジア粘液(acadia mucilage)又はセルロース系材料若しくはポリマー材料の溶液などの結合剤で湿潤させ、且つふるいを通して押し出されることにより造粒することができる。造粒するための別の方法として、粉末混合物は、錠剤機に通し、その結果、顆粒状に砕いたスラッグを不完全に形成させることができる。顆粒剤は、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク又は鉱油を加えることによりタブレット形成ダイに固着するのを防ぐために潤滑させることができる。次いで、潤滑させた混合物を錠剤に圧縮する。本発明の化合物はまた、自由流動性のある不活性担体と合わせ、造粒する又はスラッギングするステップを経ずに直接錠剤に圧縮することができる。シェラックの封鎖塗、糖又はポリマー材料のコーティング及びろうのつや出しコーティングからなる清澄な又は不透明な保護コーティングを提供することができる。色素は、異なる単位剤形を識別するためにこれらのコーティングに加えることができる。
【0075】
溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシル剤などの経口用流体は、所与の含量が、所定の量の化合物を含有するように、投与単位の形態で調製することができる。シロップは、適当に風味付けされた水溶液に化合物を溶解することにより調製することができ、エリキシル剤は、非毒性のアルコールビヒクルの使用により調製される。懸濁液は、非毒性のビヒクルに化合物を分散させることにより調製される。可溶化剤及び乳化剤、例えば、エトキシ化されたイソステアリルアルコール及びポリオキシエチレンソルビトールエーテルなど、保存剤、フレーバー添加物、例えばハッカ油又は天然甘味料又はサッカリン又は他の人工甘味料などもまた加えることができる。
【0076】
適切な場合、経口投与のための投与単位組成物は、マイクロカプセル化することができる。本組成物はまた、例えば、ポリマー、ろうなどに粒子材料をコーティングする又は包埋することなどによるように、放出を延長する又は持続させるために調製することができる。
【0077】
本発明の化合物はまた、小型単層小胞、大型単層小胞及び多層小胞などのリポソーム送達系の形態で投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン又はホスファチジルコリンなどの様々なリン脂質から形成することができる。
【0078】
経皮投与のために適合された医薬組成物は、延長期間の間レシピエントの表皮に本質的に接触したままであることを目的とした別々のパッチとして存在することができる。
【0079】
局所投与のために適合された医薬組成物は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁液、ローション、散剤、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾル又は油として配合することができる。
【0080】
眼又は他の外部組織、例えば、口及び皮膚の治療の場合、本組成物は、局所軟膏剤又はクリーム剤として好ましくは適用される。軟膏剤に配合される場合、有効成分は、パラフィン系又は水溶性の軟膏基剤と共に使用することができる。或いは、有効成分は、クリーム剤中で水中油型クリーム基剤又は油中水型基剤と共に配合することができる。
【0081】
眼への局所投与のために適合された医薬組成物には、点眼薬が含まれ、有効成分は、適当な担体、特に水性溶媒に溶解される又は懸濁させる。
【0082】
口中の局所投与のために適合された医薬組成物には、口中錠、トローチ及び洗口剤が含まれる。
【0083】
直腸投与のために適合された医薬組成物は、坐剤として又は浣腸剤として提示され得る。
【0084】
経鼻又は吸入投与のための剤形は、エアロゾル、溶液、懸濁液、ドロップ、ゲル又は乾燥粉末として好都合には配合することができる。
【0085】
鼻腔内投与のための組成物には、ドロップによって又は加圧されたポンプによって鼻に投与される水性組成物が含まれる。適当な組成物は、こうした目的のために希釈剤又は担体として水を含有する。肺又は鼻への投与のための組成物は、1種以上の賦形剤、例えば、1種以上の懸濁化剤、1種以上の保存剤、1種以上の界面活性剤、1種以上の張度調整剤、1種以上の共溶媒を含有することができ、組成物のpHを調整する構成成分、例えば、緩衝系を含むことができる。さらに、組成物は、酸化防止剤、例えば、二亜硫酸ナトリウム、及び味覚マスキング剤(taste-masking agent)などの他の賦形剤を含有することができる。組成物はまた、噴霧により鼻又は気道の他の領域に投与することもできる。
【0086】
鼻腔内用組成物によって、式(I)の化合物(複数可)又は(a)それらの薬学的に許容される塩が、鼻腔(標的組織)のすべての部位に送達することが可能となり得、さらに、式(I)の化合物(複数可)又は(a)それらの薬学的に許容される塩が、より長期間標的組織と接触したままでいることが可能となり得る。鼻腔内用組成物のための適当な投与レジメンによって、患者が鼻を通してゆっくりと吸入し、その後、鼻腔がすっきりする。吸入中、本組成物は、片方の外鼻孔を手動で押さえながら、もう片方の外鼻孔に投与される。次いで、この手順を、もう片方の外鼻孔で繰り返す。通常、外鼻孔毎に1回又は2回スプレーを、上記手順によって1日1、2又は3回投与し、理想的には、1日1回である。特に対象となるのは、1日1回投与に適した鼻腔内用組成物である。
【0087】
含まれる場合、懸濁化剤(複数可)は、組成物の全重量に対して、0.1から5%(w/w)までの量、例えば、1.5%から2.4%(w/w)までの量で通常存在する。薬学的に許容される懸濁化剤の例としては、それだけには限らないが、Avicel(登録商標)(結晶セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウム)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ビーガム(veegum)、トラガント、ベントナイト、メチルセルロース、キサンタンガム、カーボポール及びポリエチレングリコールが含まれる。
【0088】
肺又は鼻への投与のための組成物は、1種以上の賦形剤を含むことができ、1種以上の保存剤が含まれることにより微生物又は真菌汚染及び増殖から保護することができる。薬学的に許容される抗生物質薬又は保存剤の例としては、それだけには限らないが、第四級アンモニウム化合物(例えば、塩化ベンザルコニウム、ベンゼトニウム塩化物、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、ラウラルコニウムクロリド及びミリスチルピコリニウムクロリド(myristyl picolinium chloride))、水銀剤(例えば、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀及びチメロサール)、アルコール剤(例えば、クロロブタノール、フェニルエチルアルコール及びベンジルアルコール)、抗菌エステル(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸のエステル)、エデト酸二ナトリウム(EDTA)などのキレート化剤並びにクロルヘキシジン、クロロクレゾール、ソルビン酸及びそれらの塩(ソルビン酸カリウムなど)及びポリミキシンなどの他の抗生物質薬が含まれる。薬学的に許容される抗菌剤又は保存剤の例としては、それだけには限らないが、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、プロピオン酸ナトリウム、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン及びブチルパラベンが含まれる。含まれる場合、保存剤(複数可)は、組成物の全重量に対して、0.001から1%(w/w)までの量、例えば、0.015%から0.5%(w/w)までの量で存在することができる。
【0089】
組成物(例えば、少なくとも1種の化合物が懸濁液の形態である)は、組成物の水相中の医薬品粒子の溶解を容易にするように機能する1種以上の界面活性剤を含むことができる。例えば、用いられる界面活性剤の量は、混合中に起泡を引き起こさない量である。薬学的に許容される界面活性剤の例としては、脂肪アルコール、エステル及びエーテル、例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、マクロゴールエーテル、及びポロキサマーが含まれる。界面活性剤は、組成物の全重量に対して、約0.01から10%(w/w)の間の量、例えば、0.01から0.75%(w/w)、例えば、約0.5%(w/w)の量で存在することができる。
【0090】
1種以上の張度調整剤(複数可)は、体液、例えば、鼻腔の液体との張度に達し、その結果、刺激性のレベルを低下させるために含むことができる。薬学的に許容される張度調整剤の例には、それだけには限らないが、塩化ナトリウム、デキストロース、キシリトール、塩化カルシウム、ブドウ糖、グリセリン及びソルビトールが含まれる。張度調整剤は、存在する場合には、組成物の全重量に対して、0.1から10%(w/w)までの量、例えば、4.5から5.5%(w/w)までの量、例えば、約5.0%(w/w)の量で含むことができる。
【0091】
本発明の組成物は、適当な緩衝剤、例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸、トロメタモール、リン酸二ナトリウム(例えば、十二水和物、七水和物、二水和物及び無水の形態)、又はリン酸ナトリウムなどのリン酸塩など並びにそれらの混合物を加えることにより緩衝することができる。
【0092】
存在する場合には、緩衝剤は、組成物の全重量に対して0.1から5%(w/w)までの量、例えば、1から3%(w/w)までの量で含むことができる。
【0093】
味覚マスキング剤の例としては、スクラロース、スクロース、サッカリン又はその塩、果糖、デキストロース、グリセロール、コーンシロップ、アスパルテーム、アセスルファーム-K、キシリトール、ソルビトール、エリトリトール、グリチルリジン酸アンモニウム、タウマチン、ネオテーム、マンニトール、メントール、ユーカリ油、カンフル、天然香料、人工香料、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0094】
1種以上の共溶媒(複数可)は、医薬品化合物(複数可)及び/又は他の賦形剤の溶解性を助けるために含むことができる。薬学的に許容される共溶媒の例としては、それだけには限らないが、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、エタノール、ポリエチレングリコール(例えば、PEG300又はPEG400)、及びメタノールが含まれる。一実施形態では、共溶媒は、プロピレングリコールである。
【0095】
存在する場合には、共溶媒(複数可)は、組成物の全重量に対して0.05から30%(w/w)までの量、1から25%(w/w)までの量など、例えば、1から10%(w/w)までの量で含むことができる。
【0096】
吸入投与のための組成物には、加圧されたポンプ又は吸入器、例えば、リザーバー式乾燥粉末吸入器(reservoir dry powder inhaler)、単回投与乾燥粉末吸入器、予め定量された(pre-metered)多回投与乾燥粉末吸入器、鼻吸入器又は加圧式エアロゾル吸入器、ネブライザー又は注入器によって気道に投与される水性、有機又は水性/有機混合物、乾燥粉末又は結晶組成物が含まれる。適当な組成物は、こうした目的のために希釈剤又は担体として水を含有し、緩衝剤、張度変更剤(tonicity modifying agent)などの従来の賦形剤と共に提供することができる。水性組成物はまた、噴霧によって鼻及び気道の他の領域に投与することもできる。そのような組成物は、適当な液化噴射剤を用いて定量吸入器などの加圧パックから送達される水溶液又は懸濁液又はエアロゾルでもよい。
【0097】
鼻(例えば、鼻炎の治療のための)又は肺に局所的に投与するための組成物は、加圧されたポンプによって鼻腔に送達される加圧されるエアロゾル組成物及び水性組成物が含まれる。加圧されない及び鼻腔に局所的に投与するのに適した組成物が、特に対象となる。適当な組成物は、こうした目的のために希釈剤又は担体として水を含有する。肺又は鼻への投与のための水性組成物は、緩衝剤、張度変更剤などの従来の賦形剤と共に提供することができる。水性組成物はまた、噴霧によって鼻に投与することもできる。
【0098】
流体用ディスペンサーを、通常用いて、鼻腔に流体組成物を送達することができる。流体組成物は、水性でも非水性でもよいが、通常、水性である。そのような流体用ディスペンサーは、分配用ノズル又は分配用開口部を有することができ、それらを通して、定量の流体組成物は、流体用ディスペンサーのポンプ機構への、使用者によって加えられた力を適用した後、分配される。そのような流体用ディスペンサーは、一般に、多回定量の流体組成物のリザーバーと共に提供され、これらの投与量は、ポンプが逐次的に作動した後分配可能である。分配用ノズル又は開口部は、鼻腔に流体組成物を分配するスプレーのために使用者の外鼻孔に挿入するために構成することができる。前述のタイプの流体用ディスペンサーは、国際特許出願公開番号WO2005/044354(Glaxo Group Limited)に記載され、例示されている。ディスペンサーは、流体組成物を含有するための容器に取り付けられた圧縮ポンプを有する流体放出デバイスを格納するハウジングを有する。ハウジングは、少なくとも指1本で操作可能なサイドレバーを有し、このサイドレバーは、カムによってハウジング中で上方に容器を移動させて、ハウジングの鼻用ノズルを通してポンプの軸の外側に定量の組成物をポンプによって圧縮し汲み上げるために、ハウジングに対して内側に動かせる。一実施形態では、流体用ディスペンサーは、WO2005/044354の
図30〜40に例示した一般的なタイプである。
【0099】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する水性組成物はまた、国際特許出願公開番号WO2007/138084(Glaxo Group Limited)に開示される通り、例えば、その
図22〜46に関して開示される通り、又は英国特許出願番号GB0723418.0(Glaxo Group Limited)に開示される通り、例えば、その
図7〜32に関して開示される通り、ポンプによって送達することもできる。ポンプは、GB0723418.0の
図1〜6に開示される通り、アクチュエーターにより作動させることができる。
【0100】
吸入による肺への局所送達のための乾燥粉末組成物は、例えば、吸入器又は注入器において用いるための、例えば、ゼラチンのカプセル及びカートリッジ、又は例えば、積層アルミニウム箔のブリスター中で存在することができる。粉末ブレンド組成物は、一般に、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩及び単糖類、二糖類、又は多糖類(例えば、乳糖又はデンプン)などの適当な粉末基剤(担体/希釈剤/賦形剤物質)の吸入用の混合粉体を含有する。乾燥粉末組成物はまた、薬物及び担体に加えて、さらなる賦形剤(例えば、糖エステルなどの三元薬剤(ternary agent)、例えば、セロビオースオクタアセテート、ステアリン酸カルシウム、又はステアリン酸マグネシウムを含むこともできる。
【0101】
一実施形態では、吸入投与に適した組成物は、適当な吸入デバイスの内側に取り付けられた医薬品パック(複数可)において提供される複数の密封された投与容器に取り込むことができる。これらの容器は、1個ずつ破断可能であっても、可剥性であっても、又は別の場合では、開放可能であってもよく、乾燥粉末組成物の投与量は、当技術分野で公知の通り、吸入デバイスのマウスピースにおける吸入により投与される。医薬品パックは、多くの異なる形態をとることができ、例えば、円板状でも細長い細片でもよい。代表的な吸入デバイスは、GlaxoSmithKline社によって販売されているDISKHALER(商標)及びDISKUS(商標)デバイスである。
【0102】
乾燥粉末吸入可能組成物はまた、吸入デバイスにおいてバルクリザーバーとして提供することもでき、その場合、このデバイスは、リザーバーから吸入チャネルまで組成物の用量を計量するための定量機構を備え、この定量は、患者がデバイスのマウスピースで吸入することにより吸入することができる。このタイプの模範的な市販されたデバイスは、TURBUHALER(商標)(AstraZeneca社)、TWISTHALER(商標)(Schering社)及びCLICKHALER(商標)(Innovata社)である。
【0103】
乾燥粉末吸入可能組成物のためのさらなる送達方法は、定量の組成物がカプセル剤(カプセル当たり1回投与)で提供される方法であり、その場合、通常、必要に応じて患者によって吸入デバイスに添加される。患者が本デバイスのマウスピースから吸入する場合、その用量を、患者の肺に運ぶことができるように、本デバイスは、カプセル剤を破断する、貫通する、又は別の方法で開放するための手段を有する。そのようなデバイスの市販されている例として、ROTAHALER(商標)(GlaxoSmithKline社)及びHANDIHALER(商標)(Boehringer Ingelheim社)を挙げることができる。
【0104】
吸入に適した加圧されるエアロゾル組成物は、懸濁液でも溶液でもよく、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩及び適当な噴射剤、例えば、フッ化炭素若しくは水素含有クロロフルオロカーボン又はそれらの混合物、特にヒドロフルオロアルカン、特に1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパン又はその混合物などを含有することができる。エアロゾル組成物は、例えば、WO94/21229及びWO98/34596(Minnesota Mining and Manufacturing Company)に記載されている通り、例えば、オレイン酸、レシチン若しくはオリゴ乳酸又はその誘導体などの界面活性剤並びに共溶媒、例えば、エタノールなどの当技術分野で周知の追加の組成物賦形剤を場合によっては含有することができる。加圧された組成物は、一般に、バルブ(例えば、定量バルブ)で閉鎖された及びマウスピースを備えたアクチュエーターに適合されたキャニスター(例えば、アルミニウム製キャニスター)に保持される。
【0105】
経膣投与に適合された医薬組成物は、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル、ペースト、発泡体又はスプレー配合物として提示され得る。
【0106】
非経口(parental)投与に適合された医薬組成物には、抗酸化剤、緩衝液、静菌薬及び組成物を所期のレシピエントの血液と等張にする溶質を含有することができる水性及び非水性の無菌注射溶液、並びに懸濁化剤及び増粘剤を含むことができる水性及び非水性の無菌懸濁液が含まれる。これらの組成物は、単回投与又は多回投与容器、例えば、密封されたアンプル及びバイアルの形態で提示することができ、使用直前に無菌の液体担体、例えば、注射用の水の添加のみを要する冷凍乾燥した(凍結乾燥した)状態で保存することができる。用時溶解注射溶液及び懸濁液は、無菌の散剤、顆粒剤及び錠剤から調製することができる。
【0107】
特に上記の成分に加えて、本組成物は、問題となる配合物のタイプを考慮している当技術分野で慣習的な他の薬剤を含むことができ、例えば、経口投与に適したものは、香料を含むことができることを理解するべきである。
【0108】
アンチセンス又はRNA干渉分子は、それを必要とする哺乳動物に投与することができる。或いは、それを含む構成物を投与してもよい。そのような分子及び構成物は、目的とするタンパク質、例えば、ヒストン脱メチル化酵素及びそれ自体の発現に干渉し、ヒストン脱メチル化を修飾するために用いることができる。通常、送達は、当技術分野で公知の手段によるものである。
【0109】
アンチセンス又はRNA干渉分子は、in vitroで細胞に又はin vivoで、例えば、哺乳動物の腫瘍に送達することができる。送達のノードは、それだけには限らないが、静脈内、筋肉内、腹腔内(intraperitoncal)、動脈内、手術中の局所送達、内視鏡的、皮下、及び経口を含めて用いることができる。ベクターは、任意の特定の適用のための望ましい特性について選択することができる。ベクターは、ウイルスでもプラスミドでもよい。アデノウイルスベクターは、この点において有用である。組織-特異的、細胞-型特異的、又はそれ以外の調節可能なプロモーターは、抑制性ポリヌクレオチド分子の転写を制御するために用いることができる。リポソーム又はナノスフェアなどの非ウイルス性担体を用いることもできる。
【0110】
式(I)の化合物及びそれらの薬学的に許容される塩はまた、アジュバントとしてワクチンと共に配合して、これらの活性をモジュレーションすることもできる。そのような組成物は、抗体(複数可)又は抗体フラグメント(複数可)又はタンパク質、DNA、生きた若しくは死滅した細菌及び/若しくはウイルス若しくはウイルス-様粒子を含むが、それだけに限らない抗原性構成成分を、アルミニウム塩、油性及び水性乳剤、熱ショックタンパク質、リピドA製剤及び誘導体、糖脂質、CpG DNAなどの他のTLRアゴニスト若しくは類似の作用薬、GM-CSF若しくはIL-12などのサイトカイン又は類似の媒介物を含むが、それだけに限らないアジュバント活性を有する1種以上の構成成分と共に含有することができる。
【0111】
薬剤の治療有効量は、例えば、対象の年齢及び体重、治療を要する正確な状態及びその重症度、配合物の性質、並びに投与経路を含めた、多くの因子に依存し、最終的に、担当医師又は獣医師の判断となる。特に、治療しようとする対象は、哺乳動物であり、特にヒトである。
【0112】
薬剤は、1日量で投与することができる。この量は、1日当たり単回投与で投与してもよく、より通常には、1日の総投与量が同様であるように、1日当たりの副用量の回数(2回、3回、4回、5回又は6回など)で投与してもよい。
【0113】
適当には、本発明に従って投与される本発明の化合物の量は、(遊離又は無塩化合物として算出された)1日当たり0.01mgから1gまで選択された量である。
【0114】
式(I)の化合物及びそれらの薬学的に許容される塩は、単独で又は他の治療薬と併用して使用することができる。式(I)の化合物及びそれらの薬学的に許容される塩及び他の薬学的に有効な薬剤(複数可)は一緒に投与しても別々に投与してもよく、別々に投与する場合、投与は、別個の又は組み合わせた医薬組成物において、都合がよい任意の経路によって任意の順序で同時に又は順次行うことができる。
【0115】
式(I)の化合物(複数可)又はそれらの薬学的に許容される塩及び他の薬学的に有効な薬剤(複数可)の量並びに投与の相対的なタイミングは、所望の組み合わせた治療効果を達成するために選択される。本発明の化合物及びさらなる治療薬(複数可)は、両方の化合物を含めた単位医薬組成物で同時に投与することにより、組み合わせて使用することができる。或いは、この組み合わせは、別個の医薬組成物で別々に投与することができ、それぞれは、逐次的な方式で化合物の1つが含まれ、例えば、本発明の化合物は、1番目に投与され、他は2番目に投与され、逆の場合も同様である。そのような逐次投与は、時間が近接しても(例えば、同時に)、時間を置いてもよい。さらに、化合物が同じ剤形で投与されても問題ない、例えば、一方の化合物は、局所に投与することができ、他方の化合物は、経口投与することができる。適当には、両方の化合物は、経口投与される。
【0116】
組み合わせは、組み合わせキットとして提示されることができる。本明細書で使用される場合、用語「組み合わせキット」又は「部品のキット」とは、医薬組成物又は本発明による組み合わせを投与するために用いられる組成物を意味する。両方の化合物が同時に投与される場合、組み合わせキットは、錠剤などの単一の医薬組成物中に又は別個の医薬組成物中に、両方の化合物を含有することができる。化合物が同時に投与されない場合、組み合わせキットは、単一の包装の別個の医薬組成物又は別々の包装の別個の医薬組成物中に化合物をそれぞれ含有する。
【0117】
組み合わせキットはまた、用法・用量などの指示によって提供することもできる。そのような用法・用量は、例えば、製剤ラベルによって医師に示される種類のものとなり得、又は患者への指示など、医師によって示される種類のものとなり得る。
【0118】
組み合わせが、一方が1番目に投与され、他方が2番目に投与される、又は逆の場合も同様である逐次的な方式で別々に投与される場合、そのような逐次投与は、時間が近接してもよく、時間を置いてもよい。例えば、第1の薬剤の投与の数分から数十分後の他の薬剤の投与、及び第1の薬剤の投与の数時間から数日後の他の薬剤の投与が含まれ、時間の経過は制限されず、例えば、一方の薬剤は、1日1回投与することができ、他の薬剤は、1日2若しくは3回投与することができる、又は一方の薬剤は、1週間に1回投与することができ、他の薬剤は、1日1回投与することができるなどである。
【0119】
適切な場合、他の治療成分(複数可)が、塩の形態で、例えば、アルカリ金属若しくはアミン塩として又は酸付加塩、若しくはプロドラッグとして、又はエステル、例えば、低級アルキルエステルとして、又は溶媒和物、例えば、水和物として用いて、治療成分の活性及び/又は安定性及び/又は物理的特性、例えば、溶解性などを最適化することができることが当業者に明らかである。適切な場合、治療成分が、光学的に純粋な形態で用いることができることも明らかである。
【0120】
同じ組成物において合わせる場合、2つの化合物が、互いに及び組成物の他の構成成分に安定性があり、適合性がなくてはならず、投与のために配合することができることが理解される。別々に配合される場合、これらは、好都合には、当技術分野でそのような化合物について公知のそのような方式で、任意の都合がよい組成物において提供することができる。
【0121】
式(I)の化合物が、同じ疾患、状態又は障害に対して活性がある第2の治療薬と組み合わせて用いられる場合、各化合物の用量は、化合物が単独で用いられる場合と異なり得る。適切な用量は、当業者によって容易に理解される。
【0122】
一実施形態では、本発明の方法及び使用における哺乳動物は、ヒトである。
【0123】
本発明の化合物は、STINGのモジュレーションが有益である疾患及び状態の治療に有用である。これには、炎症、アレルギー性疾患、自己免疫疾患、感染症及び癌が含まれる。
【0124】
免疫応答のモジュレーターとして、式(I)の化合物及びそれらの薬学的に許容される塩はまた、STINGのモジュレーションが有益である疾患及び状態の治療において、独立型として、又はアジュバントとしての組み合わせにおいて有用となり得る。
【0125】
一態様では、疾患又は状態は、炎症、アレルギー及び自己免疫障害である。
【0126】
関連した自己免疫疾患には、それだけには限らないが、全身性エリテマトーデス、乾癬、インシュリン依存性糖尿病(IDDM)、皮膚筋炎及びシェーグレン症候群(SS)が含まれる。
【0127】
炎症は、外傷への血管、細胞及び神経の応答の群を表す。炎症は、組織への単球、好中球及び顆粒球などの炎症細胞の移動と特徴付けることができる。これは、組織における内皮のバリアー機能の低下及び浮腫を通常伴う。炎症は、急性又は慢性として分類することができる。急性炎症は、有害な刺激への身体の最初の応答であり、傷害された組織中への血液からの血漿及び白血球の移動を増加させることにより達成される。生化学的イベントのカスケードは、傷害された組織内の局所血管系、免疫系、及び様々な細胞に関与する炎症反応を伝播し、成熟させる。慢性炎症として公知の炎症の延長によって、炎症の部位で存在する細胞のタイプへの移行を進行させ、炎症プロセスにより組織を同時に破壊し、治癒することを特徴とする。
【0128】
感染への免疫応答の一部として又は外傷への急性応答として生じる場合、炎症は、有益となり得、通常、自己制限する。しかしながら、炎症は、様々な条件下で有害となり得る。これには、病原体に応答して過剰な炎症の生成が含まれ、これによって、重大な臓器損傷及び死(例えば、敗血症の場合)に至る恐れがある。さらに、慢性炎症は、一般に、有害であり、組織への重度及び不可逆性の損傷を引き起こす多数の慢性疾患の根源となる。そのような場合において、外来性の実体への慢性応答はまた、自己組織への巻き添え損傷をもたらすが、免疫応答はしばしば、自己-組織(自己免疫)に向けられる。
【0129】
したがって、炎症療法の目的は、この炎症を軽減すること、存在する場合自己免疫を抑制すること並びに生理的過程又は過程に対する治癒及び組織修復を可能にすることである。
【0130】
これらの薬剤は、以下に例示される通り、筋骨格の炎症、血管の炎症、神経の炎症、消化器系の炎症、眼の炎症、生殖系の炎症、及び他の炎症を含めて、身体の任意の組織及び臓器の炎症を治療するために用いることができる。
【0131】
筋骨格の炎症は、筋骨格系の任意の炎症状態、特に、手、手首、肘、肩、顎、脊椎、首、臀部、膝(knew)、足首、及び足の関節を含めた、骨格関節に影響を及ぼす状態、並びに腱などの筋肉を骨に結合する組織に影響を及ぼす状態を意味する。本発明の化合物で治療することができる筋骨格の炎症の例には、(例えば、変形性関節症、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、急性及び慢性感染性関節炎、痛風及び偽痛風を伴う関節炎、並びに若年性特発性関節炎を含めた)関節炎、腱炎、滑膜炎、腱滑膜炎、滑液包炎、結合織炎(線維筋痛症)、上顆炎、筋炎、並びに(例えば、パジェット病、恥骨骨炎、及び嚢胞性線維性骨炎を含めた)骨炎が含まれる。
【0132】
眼の炎症は、眼瞼を含めて、眼の任意の構造の炎症を意味する。本発明の化合物で治療することができる眼の炎症の例には、眼瞼炎、眼瞼皮膚弛緩症、結膜炎、涙腺炎、角膜炎、乾性角結膜炎(ドライアイ)、強膜炎、睫毛乱生症及びぶどう膜炎が含まれる。
【0133】
本発明の化合物で治療することができる神経系の炎症の例には、脳炎、ギラン・バレー症候群、髄膜炎、神経性筋強直症、ナルコレプシー、多発性硬化症、脊髄炎及び統合失調症が含まれる。
【0134】
本発明の化合物で治療することができる脈管構造又はリンパ系の炎症の例には、関節硬化症、関節炎、静脈炎、血管炎及びリンパ管炎が含まれる。
【0135】
本発明の化合物で治療することができる消化器系の炎症状態の例には、胆管炎、胆嚢炎、腸炎、全腸炎、胃炎、胃腸炎、(クローン病及び潰瘍性大腸炎を含めた)炎症性腸疾患、回腸炎並びに直腸炎が含まれる。
【0136】
本発明の化合物で治療することができる生殖系の炎症状態の例には、子宮頚管炎、絨毛膜羊膜炎、子宮内膜炎、精巣上体炎、臍炎、卵巣炎、精巣炎、卵管炎、卵管卵巣膿瘍、尿道炎、膣炎、外陰炎及び外陰部痛が含まれる。
【0137】
これらの薬剤は、炎症性構成成分を有する自己免疫状態を治療するために用いることができる。そのような状態には、急性播種性全身性脱毛症(acute disseminated alopecia universalise)、ベーチェット病、シャガス病、慢性疲労症候群、自律神経障害、脳脊髄炎、強直性脊椎炎、再生不良性貧血、化膿性汗腺炎、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎、セリアック病、クローン病、1型糖尿病、巨細胞性動脈炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本病、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、川崎病、エリテマトーデス、顕微鏡的大腸炎、顕微鏡的多発動脈炎、混合性結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症、眼球クローヌス・ミオクローヌス症候群(opsocionus myoclonus syndrome)、視神経炎、オード甲状腺炎(ord's thyroiditis)、天疱瘡、結節性多発動脈炎、多発性筋痛、関節リウマチ、ライター症候群、シェーグレン症候群、側頭動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、温式自己免疫性溶血性貧血、間質性膀胱炎、ライム病、モルヘア、乾癬、サルコイドーシス、強皮症、潰瘍性大腸炎及び白斑が含まれる。
【0138】
これらの薬剤は、炎症性構成成分を有する、T細胞によって媒介される過敏性疾患を治療するために用いることができる。そのような状態には、接触過敏症、(ツタウルシによるものを含めた)接触皮膚炎、じんま疹(uticaria)、皮膚アレルギー、呼吸器系アレルギー(枯草熱、アレルギー性鼻炎)及びグルテン過敏性腸症(セリアック病)が含まれる。
【0139】
これらの薬剤で治療することができる他の炎症状態には、例えば、虫垂炎、皮膚炎、皮膚筋炎、心内膜炎、結合織炎、歯肉炎、舌炎、肝炎、化膿性汗腺炎、虹彩炎、喉頭炎、乳腺炎、心筋炎、腎炎、耳炎、膵炎、耳下腺炎、心外膜炎、腹膜炎(peritonoitis)、咽頭炎、胸膜炎、間質性肺炎、前立腺炎(prostatistis)、腎盂腎炎、並びに口内炎、[腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓(例えば、島細胞)、骨髄、角膜、小腸、移植皮膚、皮膚同種移植片、及び心臓弁異種移植片などの臓器、血清病(sewrum sickness)、並びに移植片対宿主病を含めた]移植片拒絶、急性膵炎、慢性膵炎、急性呼吸促迫症候群、セクザリー症候群(Sexary's syndrome)、先天性副腎過形成(congenital adrenal hyperplasis)、非化膿性甲状腺炎、癌に伴う高カルシウム血症、天疱瘡、水疱性疱疹状皮膚炎(bullous dermatitis herpetiformis)、重症多形性紅斑、剥離性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、季節性又は通年性アレルギー性鼻炎、気管支喘息、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis)、薬物過敏症反応、アレルギー性結膜炎、角膜炎、眼部帯状疱疹、虹彩炎及び虹彩毛様体炎(oiridocyclitis)、脈絡網膜炎、視神経炎、症候性サルコイドーシス、電撃性又は播種性肺結核化学療法、成人の特発性血小板減少性紫斑病、成人の続発性血小板減少症、後天性(自己免疫性溶血性貧血、成人の白血病及びリンパ腫、小児期の急性白血病、限局性腸炎、自己免疫性血管炎、多発性硬化症、慢性閉塞性肺疾患、臓器移植拒絶、敗血症が含まれる。好ましい治療には、移植片拒絶、関節リウマチ、乾癬性関節炎、多発性硬化症、1型糖尿病、喘息、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、乾癬、慢性肺疾患、及び炎症が付随する感染状態(例えば、敗血症)の治療が含まれる。
【0140】
本発明のさらなる態様では、炎症、アレルギー及び自己免疫疾患の治療において用いるための式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が提供される。
【0141】
さらなる態様では、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の治療有効量を、それを必要とするヒトに投与するステップを含む、炎症、アレルギー及び自己免疫疾患を治療する方法が提供される。
【0142】
さらなる態様では、炎症、アレルギー及び自己免疫疾患の治療のための医薬品の製造における式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【0143】
一態様では、治療しようとする疾患は、喘息である。
【0144】
式(I)の化合物及びそれらの薬学的に許容される塩は、アレルギー性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患の予防又は治療に有用となり得る1種以上の他の薬剤、例えば、抗原免疫療法、抗ヒスタミン剤、ステロイド、NSAIDs、気管支拡張薬(例えば、β2アゴニスト、アドレナリン受容体刺激薬、抗コリン薬、テオフィリン)、メトトレキサート、ロイコトリエンモジュレーター及び類似の薬剤;抗IgE、抗-TNF、抗-IL-5、抗-IL-6、抗-IL-12、抗-IL-1及び類似の薬剤などのモノクローナル抗体療法;受容体療法、例えば、エタネルセプト(entanercept)及び類似の薬剤;抗原非特異的免疫療法(例えば、インターフェロン又は他のサイトカイン/ケモカイン、サイトカイン/ケモカイン受容体モジュレーター、サイトカインアゴニスト又はアンタゴニスト、TLRアゴニスト及び類似の薬剤)と組み合わせて用いることができる。
【0145】
さらなる態様では、アレルギー性疾患、炎症又は自己免疫疾患の治療に有用な式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩及び少なくとも1種のさらなる治療薬を含む組み合わせが提供される。
【0146】
さらなる態様では、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩及び療法に用いるための、アレルギー性疾患、炎症又は自己免疫疾患の治療に有用な少なくとも1種のさらなる治療薬を含む組み合わせが提供される。
【0147】
さらなる態様では、アレルギー性疾患、炎症又は自己免疫疾患の治療において用いるための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩及びアレルギー性疾患、炎症又は自己免疫疾患の治療に有用な少なくとも1種のさらなる治療薬を含む、組み合わせが提供される。
【0148】
さらなる態様では、アレルギー性疾患、炎症又は自己免疫疾患の治療のための医薬品の製造における、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩及びアレルギー性疾患、炎症又は自己免疫疾患の治療に有用な少なくとも1種のさらなる治療薬を含む、組み合わせの使用が提供される。
【0149】
さらなる態様では、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩及びアレルギー性疾患、炎症又は自己免疫疾患の治療に有用な少なくとも1種のさらなる治療薬を含む組み合わせの治療有効量を、それを必要とするヒトに投与するステップを含む、アレルギー性疾患、炎症又は自己免疫疾患を治療する方法が提供される。
【0150】
さらなる態様では、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩及びアレルギー性疾患、炎症又は自己免疫疾患の治療に有用な少なくとも1種のさらなる治療薬及び薬学的に許容される賦形剤の1種以上を含む、組み合わせを含む医薬組成物が提供される。
【0151】
一態様では、そのような組み合わせで治療しようとする疾患は、喘息である。
【0152】
一態様では、治療しようとする疾患又は状態は、癌である。
【0153】
式(I)の化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が潜在的に有益な抗腫瘍効果を有し得る癌疾患及び状態の例には、それだけには限らないが、肺、骨、膵臓、皮膚、頭部、首、子宮、卵巣、胃、結腸、乳房、食道、小腸、腸、内分泌系、甲状腺、副甲状腺、副腎、尿道、前立腺、陰茎、精巣、尿管、膀胱、腎臓若しくは肝臓の癌;直腸癌;肛門部の癌;ファロピウス管、子宮内膜、頚部、膣、外陰、腎盂、腎細胞の癌;軟部組織の肉腫;粘液腫;横紋筋腫;線維腫;脂肪腫;奇形腫;胆管癌;肝芽腫;血管肉腫;血管腫(hemagioma);肝細胞癌;線維肉腫;軟骨肉腫;骨髄腫;慢性又は急性白血病;リンパ球性リンパ腫;原発性CNSリンパ腫;CNSの新生物;脊椎軸腫瘍;有棘細胞癌;滑膜肉腫;悪性胸膜中皮腫;脳幹神経膠腫;下垂体腺腫;気管支腺腫;軟骨腫性過誤腫(chondromatous hanlartoma);内皮腫 (inesothelioma);ホジキン病又は前述の癌のうち1種以上の組み合わせが含まれる。
【0154】
本発明の化合物は、関節炎(関節リウマチ)及び再狭窄を含めた血管増殖型障害;肝硬変症及びアテローム性動脈硬化症を含めた線維性障害;糸球体腎炎、糖尿病性腎症、悪性腎硬化症、血栓性細小血管症症候群(thrombotic microangiopathy syndrome)、増殖性網膜症、臓器移植拒絶反応及び糸球体症を含むメサンギウム細胞増殖性障害;並びに乾癬、糖尿病、慢性創傷治癒、炎症及び神経変性疾患を含む代謝障害を含めた、新生脈管形成並びに/又は血管透過性に伴う障害の領域における細胞増殖を特徴とする、哺乳類を苦しめる1種以上の疾患の治療において有用となり得る。
【0155】
本発明のさらなる態様では、癌の治療において用いるための式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が提供される。
【0156】
さらなる態様では、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の治療有効量を、それを必要とするヒトに投与するステップを含む、癌を治療する方法が提供される。
【0157】
さらなる態様では、癌の治療のための医薬品の製造における式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【0158】
一実施形態では、本発明の化合物は、癌治療の他の治療方法で使用することができる。特に、抗悪性腫瘍療法において、他の化学療法薬、ホルモン剤、抗体薬との併用療法並びに上記のものを除く外科的治療及び/又は放射線治療が想定される。
【0159】
一実施形態では、さらなる抗癌療法は、外科的治療及び/又は放射線治療である。
【0160】
一実施形態では、さらなる抗癌療法は、少なくとも1種の追加の抗悪性腫瘍薬である。
【0161】
さらなる態様では、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩及び少なくとも1種の抗悪性腫瘍薬を含む組み合わせが提供される。
【0162】
さらなる態様では、療法に用いるための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩及び少なくとも1種の抗悪性腫瘍薬を含む組み合わせが提供される。
【0163】
さらなる態様では、癌の治療において用いるための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩及び少なくとも1種の抗悪性腫瘍薬を含む組み合わせが提供される。
【0164】
さらなる態様では、癌の治療のための医薬品の製造における、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩及び少なくとも1種の抗悪性腫瘍薬を含む組み合わせの使用が提供される。
【0165】
さらなる態様では、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩及び少なくとも1種の抗悪性腫瘍薬を含む組み合わせの治療有効量を、それを必要とするヒトに投与するステップを含む、癌を治療する方法が提供される。
【0166】
さらなる態様では、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩並びに少なくとも1種のさらなる治療薬、特に、少なくとも1種の抗悪性腫瘍薬並びに薬学的に許容される担体、希釈剤及び賦形剤のうち1種以上を含む組み合わせを含む、医薬組成物が提供される。
【0167】
治療対象となる感受性の腫瘍に対して活性を有する任意の抗悪性腫瘍薬は、組み合わせで利用することができる。典型的な有用な抗悪性腫瘍薬には、それだけには限らないが、ジテルペノイド及びビンカアルカロイドなどの抗微小管薬;白金配位錯体;ナイトロジェンマスタード、オキシアザホスホリン、スルホン酸アルキル、ニトロソ尿素類、及びトリアゼンなどのアルキル化剤;アントラサイクリン、アクチノマイシン及びブレオマイシンなどの抗生物質薬;エピポドフィロトキシンなどのトポイソメラーゼII阻害薬;プリン及びピリミジン類似体などの代謝拮抗剤並びに葉酸代謝拮抗化合物;カンプトテシンなどのトポイソメラーゼI阻害薬;ホルモン及びホルモン類似体;シグナル伝達経路阻害薬;非受容体型チロシン血管新生抑制薬;免疫療法薬;アポトーシス促進薬;並びに細胞周期シグナル伝達阻害薬が含まれる。
【0168】
抗-微小管薬又は有糸分裂阻害薬:
抗-微小管薬又は有糸分裂阻害薬は、細胞周期のM期又は有糸分裂期中の腫瘍細胞の微小管に対して活性がある周期特異的な薬剤である。抗微小管薬の例には、それだけには限らないが、ジテルペノイド及びビンカアルカロイドが含まれる。
【0169】
天然資源に由来するジテルペノイドは、細胞周期のG
2/M期で作用する周期特異的な抗癌薬である。ジテルペノイドは、このタンパク質との結合により微小管のβ-チューブリンサブユニットを安定化させると考えられる。次いで、タンパク質の分解は、有糸分裂が停止され、その後細胞死によって阻害されるものと思われる。ジテルペノイドの例には、それだけには限らないが、パクリタキセル及びその類似体のドセタキセルが含まれる。
【0170】
パクリタキセル、(2R,3S)-N-ベンゾイル-3-フェニルイソセリンを有する5β,20-エポキシ-1,2α,4,7β,10β,13α-ヘキサ-ヒドロキシタキサ-11-エン-9-オン4,10-ジアセテート2-ベンゾエート13-エステルは、タイヘイヨウイチイ(Pacific yew)の木であるタキサス・ブレビフオリア(Taxus brevifolia)から単離された天然のジテルペン生成物であり、注射剤TAXOL(登録商標)として市販されている。これは、テルペンのタキサンファミリーのメンバーである。パクリタキセルは、米国の難治性卵巣癌の治療における臨床での使用(Markmanら、Yale Journal of Biology and Medicine、64巻:583頁、1991年;McGuireら、Ann.lntem、Med.、111巻:273頁,1989年)及び乳癌の治療(Holmesら、J.Nat.Cancer Inst.、83巻:1797頁,1991年)について認可されている。パクリタキセルは、皮膚における新生物(Einzigら、Proc.Am.Soc.Clin.Oncol.、20巻:46頁)並びに頭部及び首のがん(Forastireら、Sem.Oncol.、20巻:56頁、1990年)の治療のための潜在的な候補である。本化合物はまた、多発性嚢胞腎疾患(Wooら、Nature、368巻:750頁.1994年)、肺癌及びマラリアの治療の可能性をも示す。パクリタキセルで患者を治療すると、閾値濃度(50nM)を超える投薬期間に関連した(Kearns、C.M.ら、Seminars in Oncology、3巻(6号)p.16〜23、1995年)骨髄抑制(多細胞系譜、Ignoff、R.J.ら、Cancer Chemotherapy Pocket Guide、1998年)をもたらす。
【0171】
ドセタキセル、5β-20-エポキシ-1,2α,4,7β,10β,13α-ヘキサヒドロキシタキサ-11-エン-9-オン4-アセテート2-ベンゾエート三水和物を有する(2R,3S)-N-カルボキシ-3-フェニルイソセリン,N-tert-ブチルエステル,13-エステルは、TAXOTERE(登録商標)として注射剤として市販されている。ドセタキセルは、乳癌の治療の場合に適応される。ドセタキセルは、セイヨウイチイ(European Yew)の木の針葉から抽出された天然の前駆体、10-デアセチル-バッカチンIIIを用いて調製された、パクリタキセルの半合成の誘導体q.v.(任意量)である。
【0172】
ビンカアルカロイドは、ツルニチニチソウ植物に由来する周期特異的な抗悪性腫瘍薬である。ビンカアルカロイドは、チューブリンに特異的に結合することにより細胞周期のM期(有糸分裂)で作用する。その結果、結合されたチューブリン分子は、微小管に重合することができない。有糸分裂は、中期で停止し、その後細胞死すると考えられる。ビンカアルカロイドの例には、それだけには限らないが、ビンブラスチン、ビンクリスチン、及びビノレルビンが含まれる。
【0173】
ビンブラスチン、ビンカロイコブラスチン硫酸塩は、注射剤としてVELBAN(登録商標)として市販されている。これは、様々な固形腫瘍の二次治療として適応することが可能であるが、精巣癌並びにホジキン病、及びリンパ球性及び組織球性リンパ腫を含めた、様々なリンパ腫の治療において最初に適応される。骨髄抑制は、ビンブラスチンの用量を制限する副作用である。
【0174】
ビンクリスチン、22-オキソ-ビンカロイコブラスチン硫酸塩は、注射剤としてONCOVIN(登録商標)として市販されている。ビンクリスチンは、急性白血病の治療の場合に適応され、ホジキン及び非ホジキン悪性リンパ腫のための治療レジメンにおける使用でも見出される。脱毛症及び神経学的影響は、ビンクリスチンの最も一般的な副作用であり、程度は控えめながら、骨髄抑制及び胃腸粘膜炎の影響が生じる。
【0175】
ビノレルビン酒石酸塩(NAVELBINE(登録商標))の注射剤として市販されているビノレルビン、3',4'-ジデヒドロ-4'-デオキシ-C'-ノルビンカロイコブラスチン[R-(R*,R*)-2,3-ジヒドロキシブタン二酸(1:2)(塩)]は、半合成のビンカアルカロイドである。ビノレルビンは、様々な固形腫瘍、特に、非小細胞肺癌、進行乳癌及びホルモン不応性前立腺癌などの治療において、単剤として又はシスプラチンなどの、他の化学療法薬と組み合わせて適応される。骨髄抑制は、ビノレルビンの最も一般的な用量を制限する副作用である。
【0176】
白金配位錯体:
白金配位錯体は、非周期特異的な抗癌薬であり、DNAと相互作用的である。白金錯体は、腫瘍細胞に入り、アクア化され、腫瘍に有害な生物学的影響を引き起こすDNAとストランド内及びストランド間の架橋を形成する。白金配位錯体の例には、それだけには限らないが、オキサリプラチン、シスプラチン及びカルボプラチンが含まれる。
【0177】
シスプラチン、cis-ジアンミンジクロロ白金は、注射剤としてPLATINOL(登録商標)として市販されている。シスプラチンは、転移性精巣癌及び卵巣癌及び進行性膀胱癌の治療において最初に適応される。
【0178】
カルボプラチン、ジアンミン[1,1-シクロブタン-ジカルボキシレート(2-)-O,O']白金は、注射剤としてPARAPLATIN(登録商標)として市販されている。カルボプラチンは、進行性卵巣癌の一次及び二次治療において最初に適応される。
【0179】
アルキル化剤:
アルキル化剤は、非周期(non-phase)の癌に特異的な治療薬(anti-cancer specific agent)及び強力な求電子試薬である。通常、アルキル化剤は、リン酸、アミノ、スルフヒドリル、ヒドロキシル、カルボキシル、及びイミダゾール基などのDNA分子の求核部分によってDNAに、アルキル化により共有結合を形成する。そのようなアルキル化によって核酸機能を乱しせ、細胞死させる。アルキル化剤の例には、それだけには限らないが、シクロホスファミド、メルファラン、及びクロランブシルなどのナイトロジェンマスタード;ブスルファンなどのスルホン酸アルキル;カルムスチンなどのニトロソ尿素類;並びにダカルバジンなどのトリアゼンが含まれる。
【0180】
シクロホスファミド、2-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]テトラヒドロ-2H-1,3,2-オキシアザホスホリン2-オキシド一水和物は、注射剤又は錠剤としてCYTOXAN(登録商標)として市販されている。シクロホスファミドは、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、及び白血病の治療において、単剤として又は他の化学療法薬と組み合わせて適応される。
【0181】
メルファラン、4-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-L-フェニルアラニンは、注射剤又は錠剤としてALKERAN(登録商標)として市販されている。メルファランは、多発性骨髄腫及び切除不可能な卵巣上皮癌の姑息療法について適応される。骨髄抑制は、メルファランの最も一般的な用量を制限する副作用である。
【0182】
クロランブシル、4-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]ベンゼンブタン酸は、LEUKERAN(登録商標)錠剤として市販されている。クロランブシルは、慢性リンパ性白血病、並びにリンパ肉腫、巨大濾胞性リンパ腫(giant follicular lymphoma)、及びホジキン病などの悪性リンパ腫の姑息療法について適応される。
【0183】
ブスルファン、1,4-ブタンジオールジメタンスルホン酸塩は、MYLERAN(登録商標)錠剤として市販されている。ブスルファンは、慢性骨髄性白血病の姑息療法について適応される。
【0184】
カルムスチン、1,3-[ビス(2-クロロエチル)-1-ニトロソ尿素は、凍結乾燥した材料の単一のバイアルとしてBiCNU(登録商標)として市販されている。カルムスチンは、単剤として又は脳腫瘍、多発性骨髄腫、ホジキン病、及び非ホジキンリンパ腫のための他の薬剤と組み合わせて姑息療法について適応される。
【0185】
ダカルバジン、5-(3,3-ジメチル-1-トリアゼノ)-イミダゾール-4-カルボキサミドは、物質の単一のバイアルとしてDTIC-Dome(登録商標)として市販されている。ダカルバジンは、転移性悪性黒色腫の治療に適応される、及びホジキン病の二次治療のために他の薬剤と組み合わせて適応される。
【0186】
抗生物質抗悪性腫瘍薬:
抗生物質抗悪性腫瘍薬は、非周期特異的な薬剤であり、DNAと結合する又はインターカレートする。通常、そのような作用は、安定性があるDNA複合体又は鎖切断をもたらし、これにより核酸の通常の機能を乱し、細胞死させる。抗生物質抗悪性腫瘍薬の例には、それだけには限らないが、ダクチノマイシンなどのアクチノマイシン、ダウノルビシン及びドキソルビシンなどのアントロサイクリン(anthrocyclin);並びにブレオマイシンが含まれる。
【0187】
アクチノマイシンDとしてもまた公知のダクチノマイシンは、注射可能な形態でCOSMEGEN(登録商標)として市販されている。ダクチノマイシンは、ウィルムス腫瘍及び横紋筋肉腫の治療に適応される。
【0188】
ダウノルビシン、(8S-シス-)-8-アセチル-10-[(3-アミノ-2,3,6-トリデオキシ-α-L-リキソ-ヘキソピラノシル)オキシ]-7,8,9,10-テトラヒドロ-6,8,11-トリヒドロキシ-1-メトキシ-5,12ナフタセンジオン塩酸塩は、リポソームの注射可能な形態としてDAUNOXOME(登録商標)として、又は注射用としてCERUBIDINE(登録商標)として市販されている。ダウノルビシンは、急性非リンパ性白血病及び進行性HIV関連カポジ肉腫の治療における寛解導入に適応される。
【0189】
ドキソルビシン、(8S、10S)-10-[(3-アミノ-2,3,6-トリデオキシ-α-L-リキソ-ヘキソピラノシル)オキシ]-8-グリコロイル,7,8,9,10-テトラヒドロ-6,8,11-トリヒドロキシ-1-メトキシ-5,12ナフタセンジオン塩酸塩は、注射可能な形態としてRUBEX(登録商標)又はアドリアマイシンRDF(登録商標)として市販されている。ドキソルビシンは、急性リンパ芽球性白血病及び急性骨髄芽球性白血病の治療に最初に適応されるが、一部の固形腫瘍及びリンパ腫の治療における有用な構成成分でもある。
【0190】
ブレオマイシン、ストレプトマイセス・ベルティシルス(Streptomyces verticillus)株から単離された細胞毒性グリコペプチド系抗生物質の混合物は、BLENOXANE(登録商標)として市販されている。ブレオマイシンは、単剤として又は他の薬剤と組み合わせて、有棘細胞癌、リンパ腫、及び精巣癌の姑息療法として適応される。
【0191】
トポイソメラーゼII阻害薬:
トポイソメラーゼII阻害薬には、それだけには限らないが、エピポドフィロトキシンが含まれる。
【0192】
エピポドフィロトキシンは、マンドレーク植物に由来する周期特異的な抗悪性腫瘍薬である。エピポドフィロトキシンは、通常、トポイソメラーゼII及びDNA鎖切断を引き起こすDNAと三元複合体を形成することにより細胞周期のS期及びG
2期の細胞に影響を与える。これらの鎖切断が蓄積され、その後細胞死する。エピポドフィロトキシンの例としては、それだけには限らないが、エトポシド及びテニポシドが含まれる。
【0193】
エトポシド、4'-デメチル-エピポドフィロトキシン9[4,6-0-(R)-エチリデン-β-D-グルコピラノシド]は、注射剤又はカプセル剤としてVePESID(登録商標)として市販されており、VP-16として一般に公知である。エトポシドは、精巣及び非小細胞肺癌の治療において単剤として又は他の化学療法薬と組み合わせて適応される。
【0194】
テニポシド、4'-デメチル-エピポドフィロトキシン9[4,6-0-(R )-テニリデン-β-D-グルコピラノシド]は、注射剤としてVUMON(登録商標)として市販されており、VM-26として一般に公知である。テニポシドは、小児における急性白血病の治療において単剤として又は他の化学療法薬と組み合わせて適応される。
【0195】
抗代謝悪性腫瘍薬:
抗代謝悪性腫瘍薬は、DNA合成を抑制することにより又はプリン若しくはピリミジン塩基合成を抑制し、それによって、DNA合成を制限することにより細胞周期のS期(DNA合成)で作用する周期特異的な抗悪性腫瘍薬である。その結果、S期は、進行せず、その後細胞死する。抗代謝抗悪性腫瘍薬の例には、それだけには限らないが、フルオロウラシル、メトトレキサート、シタラビン、メルカプトプリン(mecaptopurine)、チオグアニン、及びゲムシタビンが含まれる。
【0196】
5-フルオロウラシル、5-フルオロ-2,4-(1H,3H)ピリミジンジオンは、フルオロウラシルとして市販されている。5-フルオロウラシルを投与すると、チミジル酸合成が抑制され、RNA及びDNAの両方に取り込まれる。この結果が、通常、細胞死である。5-フルオロウラシルは、乳房、結腸、直腸、胃及び膵臓の癌の治療において単剤として又は他の化学療法薬と組み合わせて適応される。他のフルオロピリミジン類似体には、5-フルオロデオキシウリジン(フロクスウリジン)及び5-フルオロデオキシウリジン一リン酸が含まれる。
【0197】
シタラビン、4-アミノ-1-β-D-アラビノフラノシル-2(1H)-ピリミジノンは、CYTOSAR-U(登録商標)として市販されており、Ara-Cとして一般に公知である。シタラビンは、成長しているDNA鎖へのシタラビンの最終的な取り込みによってDNA鎖の伸長を抑制することにより、S期で細胞分裂期に対する特異性を示すことが考えられる。シタラビンは、急性白血病の治療において単剤として又は他の化学療法薬と組み合わせて適応される。他のシチジン類似体には、5-アザシチジン及び2',2'-ジフルオロデオキシシチジン(ゲムシタビン)が含まれる。
【0198】
メルカプトプリン、1,7-ジヒドロ-6H-プリン-6-チオン一水和物は、PURINETHOL(登録商標)として市販されている。メルカプトプリンは、まだ特定されていない機構によりDNA合成を抑制することにより、S期での細胞分裂期に対する特異性を示す。メルカプトプリンは、急性白血病の治療において単剤として又は他の化学療法薬と組み合わせて適応される。有用なメルカプトプリン類似体は、アザチオプリンである。
【0199】
チオグアニン、2-アミノ-1,7-ジヒドロ-6H-プリン-6-チオンは、TABLOID(登録商標)として市販されている。チオグアニンは、まだ特定されていない機構によりDNA合成を抑制することにより、S期での細胞分裂期に対する特異性を示す。チオグアニンは、急性白血病の治療において単剤として又は他の化学療法薬と組み合わせて適応される。他のプリン類似体には、ペントスタチン、エリトロヒドロキシノニルアデニン、リン酸フルダラビン、及びクラドリビンが含まれる。
【0200】
ゲムシタビン、2'-デオキシ-2',2'-ジフルオロシチジン一塩酸塩(β-異性体)は、GEMZAR(登録商標)として市販されている。ゲムシタビンは、S期での細胞分裂期に対する特異性及びG1/S期の境界によって細胞の進行を遮断することにより示される。ゲムシタビンは、局所進行性非小細胞肺癌の治療においてシスプラチンと組み合わせて及び局所進行性膵癌の治療において単独で適応される。
【0201】
メトトレキサート、N-[4[[(2,4-ジアミノ-6-プテリジニル)メチル]メチルアミノ]ベンゾイル]-L-グルタミン酸は、メトトレキサートナトリウムとして市販されている。メトトレキサートは、プリンヌクレオチド及びチミジル酸の合成のために必要とされるジヒドロ葉酸還元酵素の阻害によってDNA合成、修復及び/又は複製を抑制することにより、S期での特異的な細胞分裂期の影響を示す。メトトレキサートは、絨毛癌、髄膜白血病、非ホジキンリンパ腫、並びに乳房、頭部、首、卵巣及び膀胱の癌の治療において単剤として又は他の化学療法薬と組み合わせて適応される。
【0202】
トポイソメラーゼI阻害薬:
カンプトテシン及びカンプトテシン誘導体を含めたカンプトテシンは、利用可能である又はトポイソメラーゼI阻害薬として開発中である。カンプトテシン細胞毒性活性は、そのトポイソメラーゼI阻害活性に関連すると考えられている。カンプトテシンの例には、それだけには限らないが、イリノテカン、トポテカン、及び後述の7-(4-メチルピペラジノ-メチレン)-10,11-エチレンジオキシ-20-カンプトテシンの様々な光学的な形態が含まれる。
【0203】
イリノテカンHCl、(4S)-4,11-ジエチル-4-ヒドロキシ-9-[(4-ピペリジノピペリジノ)カルボニルオキシ]-1H-ピラノ[3',4',6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-3,14(4H,12H)-ジオン塩酸塩は、注射剤CAMPTOSAR(登録商標)として市販されている。イリノテカンは、その活性代謝物SN-38と共に、トポイソメラーゼI-DNA複合体に結合するカンプトテシンの誘導体である。細胞毒性が、トポイソメラーゼI:DNA:イリノテカン又はSN-38三元複合体の複製酵素との相互作用によって引き起こされる非回復性の二本鎖切断の結果として生じると考えられる。イリノテカンは、結腸又は直腸の転移性癌の治療に適応される。
【0204】
トポテカンHCl、(S)-10-[(ジメチルアミノ)メチル]-4-エチル-4,9-ジヒドロキシ-1H-ピラノ[3',4',6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-3,14-(4H,12H)-ジオン一塩酸塩は、注射剤HYCAMTIN(登録商標)として市販されている。トポテカンは、トポイソメラーゼI-DNA複合体に結合し、DNA分子のねじれひずみに応答してトポイソメラーゼIによって引き起こされる一本鎖切断の再連結を防止するカンプトテシンの誘導体である。トポテカンは、卵巣及び小細胞肺癌の転移性癌の二次治療に適応される。
【0205】
ホルモン及びホルモン類似体:
ホルモン及びホルモン類似体は、ホルモン(複数可)と癌の成長及び/又は癌の成長の欠如との間の関連性がある癌を治療するために有用な化合物である。癌治療に有用なホルモン及びホルモン類似体の例には、それだけには限らないが、小児における悪性リンパ腫及び急性白血病の治療において有用である、プレドニゾン及びプレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド;副腎皮質癌及びエストロゲン受容体を含むホルモン依存性乳癌の治療に有用なアナストロゾール、レトラゾール(letrazole)、ボラゾール(vorazole)、及びエキセメスタンなどの、アミノグルテチミド及び他のアロマターゼ阻害薬;ホルモン依存性乳癌及び子宮内膜癌の治療に有用な酢酸メゲストロールなどのプロゲストリン;フルベストラント、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、酢酸シプロテロンなどのエストロゲン、エストロゲン、及び抗エストロゲン並びに前立腺癌及び良性の前立腺肥大の治療において有用なフィナステリド及びデュタステリドなどの5α-還元酵素;タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、ヨードキシフェン(iodoxyfene)などの抗エストロゲン、並びにホルモン依存性乳癌及び他の感受性癌の治療に有用な米国特許第5,681,835号、第5,877,219号、及び第6,207,716号に記載されているものなどの、選択的エストロゲン受容体調節薬(SERMS);並びに例えば、ゴセレリン酢酸塩及びルプロリド(luprolide)などのLHRHアゴニスト及びアンタゴニストなどの、前立腺癌の治療のための黄体ホルモン(LH)及び/又は卵胞刺激ホルモン(FSH)の放出を刺激する、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)並びにそれらの類似体が含まれる。
【0206】
シグナル伝達経路阻害薬:
シグナル伝達経路阻害薬は、細胞内の変化を誘起する化学反応を遮断する又は阻害する阻害薬である。本明細書で使用される場合、この変化は、細胞増殖又は分化である。本発明において有用なシグナル伝達阻害薬には、受容体型チロシンキナーゼ、非受容体型チロシンキナーゼ、SH2/SH3ドメイン遮断薬、セリン/トレオニンキナーゼ、ホスファチジル(phosphotidyl)イノシトール-3-キナーゼ、ミオイノシトールシグナル伝達、及びRas癌遺伝子の阻害薬が含まれる。
【0207】
いくつかのタンパク質チロシンキナーゼは、細胞増殖の調節に関与する様々なタンパク質において特異的なチロシル残基のリン酸化を触媒する。そのようなタンパク質チロシンキナーゼは、受容体又は非-受容体キナーゼとして広範に分類することができる。
【0208】
受容体チロシンキナーゼは、細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及びチロシンキナーゼドメインを有する膜貫通タンパク質である。受容体チロシンキナーゼは、細胞増殖の調節に関与し、一般に、増殖因子受容体と呼ばれる。これらのキナーゼの多くの不適切な又は制御の効かない活性化、すなわち、例えば、過剰発現又は突然変異による異常なキナーゼ増殖因子受容体活性は、制御の効かない細胞増殖をもたらすことが示されてきた。したがって、そのようなキナーゼの異常な活性は、悪性組織の増殖に関連している。その結果、そのようなキナーゼの阻害薬は、癌の治療方法を提供し得る。増殖因子受容体には、例えば、上皮増殖因子受容体(EGFr)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFr)、erbB2、erbB4、ret、血管内皮増殖因子受容体(VEGFr)、免疫グロブリン様及び上皮増殖因子相同ドメイン(TIE-2)を有するチロシンキナーゼ、インスリン増殖因子-I(IGFI)受容体、マクロファージコロニー刺激因子(cfms)、BTK、ckit、cmet、線維芽細胞増殖因子(FGF)受容体、Trk受容体(TrkA、TrkB、及びTrkC)、エフリン(eph)受容体、並びにRET癌原遺伝子が含まれる。増殖受容体のいくつかの阻害薬は、開発中であり、リガンドアンタゴニスト、抗体、チロシンキナーゼ阻害薬及びアンチセンスオリゴヌクレオチドが含まれる。増殖因子受容体及び増殖因子受容体機能を阻害する薬剤は、例えば、Kath、John C.、Exp.Opin.Ther.Patents(2000年)10巻(6号):803〜818頁;Shawverら、DDT Vol 2、No.2 1997年2月;及びLofts、F.J.ら、「Growth factor receptors as targets」、New Molecular Targets for Cancer Chemotherapy、Workman, Paul及びKerr, David編、CRC press 1994年、Londonに記載されている。
【0209】
増殖因子受容体キナーゼでないチロシンキナーゼは、非-受容体チロシンキナーゼと呼ばれる。抗癌薬の標的又は潜在的な標的である、本発明において有用な非-受容体チロシンキナーゼには、cSrc、Lck、Fyn、Yes、Jak、cAbl、FAK(接着斑キナーゼ)、ブルトンチロシンキナーゼ、及びBcr-Ablが含まれる。そのような非-受容体キナーゼ及び非-受容体チロシンキナーゼ機能を阻害する薬剤は、Sinh, S.and Corey, S.J.,(1999年)Journal of Hematotherapy and Stem Cell Research 8巻(5号):465〜80;及びBolen, J.B.、Brugge, J.S.、(1997年)Annual review of Immunology.15巻:371〜404頁に記載されている。
【0210】
SH2/SH3ドメイン遮断薬は、PI3-K p85サブユニット、Srcファミリーキナーゼ、アダプター分子(Shc、Crk、Nck、Grb2)及びRas-GAPを含めた、様々な酵素又はアダプタータンパク質においてSH2又はSH3ドメイン結合を乱す薬剤である。抗癌薬のための標的としてのSH2/SH3ドメインは、Smithgall, T.E.(1995年)、Journal of Pharmacological and Toxicological Methods.34巻(3号)125〜32で論じられている。
【0211】
MAPキナーゼカスケード遮断薬を含めたセリン/トレオニンキナーゼの阻害薬であり、これらには、Rafキナーゼ(rafk)、マイトジェン又は細胞外制御的キナーゼ(Extracellular Regulated Kinases:MEKs)、及び細胞外制御的キナーゼ(ERKs)の遮断薬;並びにPKC(α、β、γ、ε、μ、λ、ι、ζ)、IkBキナーゼファミリー(IKKa、IKKb)、PKBファミリーキナーゼ、aktキナーゼファミリーメンバー、及びTGFβ受容体キナーゼの遮断薬を含めたプロテインキナーゼCファミリーメンバー遮断薬が含まれる。そのようなセリン/トレオニンキナーゼ及びそれらの阻害薬は、Yamamoto, T.、Taya, S.、Kaibuchi, K.,(1999年)、Journal of Biochemistry.126巻(5号)799〜803頁;Brodt, P、Samani, A.、and Navab, R.(2000年)、Biochemical Pharmacology、60巻.1101〜1107頁;Massague, J.、Weis-Garcia, F.(1996年)Cancer Surveys.27巻:41〜64頁;Philip, P.A.、and Harris, A.L.(1995年)、Cancer Treatment and Research.78巻:3〜27頁、Lackey, K.ら、Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters,(10巻)、2000年、223〜226頁;米国特許第6,268,391号;及びMartinez-Iacaci, L.ら、Int.J.Cancer(2000年)、88巻(1号)、44〜52頁に記載されている。
【0212】
PI3-キナーゼ、ATM、DNA-PK、及びKuの遮断薬を含めた、ホスフォチジル(Phosphotidyl)イノシトール3キナーゼファミリーメンバーの阻害薬はまた、本発明において有用である。そのようなキナーゼは、Abraham, R.T.(1996年)、Current Opinion in Immunology.8巻(3号)412〜8;Canman, C.E.、Lim, D.S.(1998年)、Oncogene 17巻(25号)3301〜3308頁;Jackson, S.P.(1997年)、International Journal of Biochemistry and Cell Biology.29巻(7号):935〜8;及びZhong, H.ら、Cancer res,(2000年)60巻(6号)、1541〜1545頁において論じられている。
【0213】
また、本発明において有用なのは、ホスホリパーゼC遮断薬及びミオイノシトール類似体などのミオイノシトールシグナル伝達阻害薬である。そのようなシグナル阻害薬は、Powis, G., and Kozikowski A.、(1994年)New Molecular Targets for Cancer Chemotherapy、Paul Workman and David Kerr編、CRC press 1994年、Londonに記載されている。
【0214】
シグナル伝達経路阻害薬の他のグループは、Ras癌遺伝子の阻害薬である。そのような阻害薬には、ファルネシルトランスフェラーゼ、ゲラニルゲラニルトランスフェラーゼ、及びCAAXプロテアーゼの阻害薬並びにアンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム及び免疫療法が含まれる。そのような阻害薬は、野生型変異rasを含有する細胞中でras活性化を遮断し、それによって、抗増殖薬として作用することが示されている。Ras癌遺伝子の阻害は、Scharovsky, O.G.、Rozados, V.R.、Gervasoni, S.I.Matar, P.(2000年)、Journal of Biomedical Science.7巻(4号)292〜8;Ashby, M.N.(1998年)、Current Opinion in Lipidology.9巻(2号)99〜102頁;及びBioChim.Biophys.Acta、(19899)1423巻(3号):19〜30頁で論じられている。
【0215】
上記の通り、受容体キナーゼリガンド結合に対する抗体アンタゴニストはまた、シグナル伝達阻害薬として働くこともできる。シグナル伝達経路阻害薬のこのグループには、受容体チロシンキナーゼの細胞外リガンド結合ドメインへのヒト化抗体の使用が含まれる。例えば、Imclone C225 EGFR特異的抗体(Green, M.C.ら、Monoclonal Antibody Therapy for Solid Tumors、Cancer Treat.Rev.、(2000年)、26巻(4号)、269〜286頁を参照のこと);Herceptin(登録商標)erbB2抗体(Tyrosine Kinase Signalling in Breast cancer:erbB Family Receptor Tyrosine Kinases、Breast cancer Res.、2000年、2巻(3号)、176〜183頁を参照のこと);及び2CB VEGFR2特異的抗体(Brekken, R.A.ら、Selective Inhibition of VEGFR2 Activity by a monoclonal Anti-VEGF antibody blocks tumor growth in mice、Cancer Res.(2000年)60巻、5117〜5124頁を参照のこと)。
【0216】
抗血管新生薬:
(i)非-受容体MEK血管新生抑制剤を含めた抗血管新生薬も、有用となり得る。血管内皮増殖因子の効果を阻害するものなどの抗血管新生薬、(例えば、抗血管内皮細胞増殖因子抗体ベバシズマブ[Avastin(商標)]、及び他の機構によって働く化合物(例えば、リノミド(linomide)、インテグリンαvβ3機能の阻害薬、エンドスタチン及びアンジオスタチン)。
【0217】
免疫療法薬:
免疫療法レジメンにおいて用いられる薬剤は、式(I)の化合物との組み合わせにおいて有用となり得る。例えば、インターロイキン2、インターロイキン4又は顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子などの、サイトカインによる形質移入などの患者の腫瘍細胞の免疫原性(immunogenecity)を増強するためのex-vivo及びin-vivoアプローチを含めた、免疫療法アプローチは、T-細胞アネルギーを減少することにアプローチし、サイトカインによって形質移入された樹状細胞などの形質移入された免疫細胞を用いてアプローチし、サイトカインによって形質移入された腫瘍細胞系を用いてアプローチし、抗イディオタイプ抗体を用いてアプローチする。
【0218】
アポトーシス促進薬:
アポトーシス促進レジメンにおいて用いられる薬剤(例えば、bcl-2アンチセンスオリゴヌクレオチド)はまた、本発明の組み合わせにおいて用いることができる。
【0219】
細胞周期シグナル伝達阻害薬
細胞周期シグナル伝達阻害薬は、細胞周期の制御に関与する分子を阻害する。サイクリン依存性キナーゼ(CDKs)と呼ばれるプロテインキナーゼのファミリー及びサイクリンと呼ばれるタンパク質のファミリーとのそれらの相互作用は、真核細胞周期の進行を制御する。異なるサイクリン/CDK複合体の協調的な活性化及び不活性化は、細胞周期の正常な進行のために必要である。細胞周期シグナル伝達のいくつかの阻害薬は、開発中である。例えば、CDK2、CDK4、及びCDK6を含めたサイクリン依存性キナーゼ並びにそれらについての阻害薬の例は、例えば、Rosaniaら、Exp.Opin.Ther.Patents(2000年)10巻(2号):215〜230頁に記載されている。
【0220】
一実施形態では、本発明の組み合わせは、式Iの化合物又はその塩若しくは溶媒和物並びに抗微小管薬、白金配位錯体、アルキル化剤、抗生物質薬、トポイソメラーゼII阻害薬、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼI阻害薬、ホルモン及びホルモン類似体、シグナル伝達経路阻害薬、非-受容体チロシンMEK血管新生抑制剤、免疫療法薬、アポトーシス促進薬、及び細胞周期シグナル伝達阻害薬から選択される少なくとも1種の抗悪性腫瘍薬を含む。
【0221】
一実施形態では、本発明の組み合わせは、式Iの化合物又はその塩若しくは溶媒和物並びにジテルペノイド及びビンカアルカロイドから選択される抗-微小管薬である少なくとも1種の抗悪性腫瘍薬を含む。
【0222】
さらなる実施形態では、少なくとも1種の抗悪性腫瘍薬は、ジテルペノイドである。
【0223】
さらなる実施形態では、少なくとも1種の抗悪性腫瘍薬は、ビンカアルカロイドである。
【0224】
一実施形態では、本発明の組み合わせは、式Iの化合物又はその塩若しくは溶媒和物及び白金配位錯体である少なくとも1種の抗悪性腫瘍薬を含む。
【0225】
さらなる実施形態では、少なくとも1種の抗悪性腫瘍薬は、パクリタキセル、カルボプラチン、又はビノレルビンである。
【0226】
さらなる実施形態では、少なくとも1種の抗悪性腫瘍薬は、カルボプラチンである。
【0227】
さらなる実施形態では、少なくとも1種の抗悪性腫瘍薬は、ビノレルビンである。
【0228】
さらなる実施形態では、少なくとも1種の抗悪性腫瘍薬は、パクリタキセルである。
【0229】
一実施形態では、本発明の組み合わせは、式Iの化合物及びそれらの塩又は溶媒和物並びにシグナル伝達経路阻害薬である少なくとも1種の抗悪性腫瘍薬を含む。
【0230】
さらなる実施形態では、シグナル伝達経路阻害薬は、増殖因子受容体キナーゼVEGFR2、TIE2、PDGFR、BTK、erbB2、EGFr、IGFR-1、TrkA、TrkB、TrkC、又はc-fmsの阻害薬である。
【0231】
さらなる実施形態では、シグナル伝達経路阻害薬は、セリン/トレオニンキナーゼrafk、akt、又はPKC-zetaの阻害薬である。
【0232】
さらなる実施形態では、シグナル伝達経路阻害薬は、キナーゼのsrcファミリーから選択される非-受容体チロシンキナーゼの阻害薬である。
【0233】
さらなる実施形態では、シグナル伝達経路阻害薬は、c-srcの阻害薬である。
【0234】
さらなる実施形態では、シグナル伝達経路阻害薬は、ファルネシルトランスフェラーゼ及びゲラニルゲラニルトランスフェラーゼの阻害薬から選択されるRas癌遺伝子の阻害薬である。
【0235】
さらなる実施形態では、シグナル伝達経路阻害薬は、PI3Kからなる群から選択されるセリン/トレオニンキナーゼの阻害薬である。
【0236】
さらなる実施形態では、シグナル伝達経路阻害薬は、二重EGFr/erbB2阻害薬、例えば、N-{3-クロロ-4-[(3-フルオロベンジル)オキシ]フェニル}-6-[5-({[2-(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)-2-フリル]-4-キナゾリンアミン(以下の構造)である。
【0238】
一実施形態では、本発明の組み合わせは、式Iの化合物又はその塩若しくは溶媒和物及び細胞周期シグナル伝達阻害薬である少なくとも1種の抗悪性腫瘍薬を含む。
【0239】
さらなる実施形態では、細胞周期シグナル伝達阻害薬は、CDK2、CDK4又はCDK6の阻害薬である。
【0240】
一態様では、治療しようとする疾患は、例えば、細菌又はウイルスによって引き起こされる感染症である。
【0241】
本発明のさらなる態様では、感染症の治療において用いるための式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が提供される。
【0242】
さらなる態様では、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の治療有効量を、それを必要とするヒトに投与するステップを含む、感染症を治療する方法が提供される。
【0243】
さらなる態様では、感染症の治療のための医薬品の製造における、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【0244】
一実施形態では、本発明の化合物は、感染症を治療する他の治療方法と共に使用することができる。特に、抗ウイルス薬及び抗細菌薬が想定される。
【0245】
式(I)の化合物及びそれらの薬学的に許容される塩は、細菌感染症及びウイルス感染症の予防又は治療に有用な1種以上の薬剤と組み合わせて用いることができる。そのような薬剤の例としては、それだけには限らないが、ポリメラーゼ阻害薬、例えば、WO2004/037818-A1に開示されているもの、並びにWO2004/037818及びWO2006/045613に開示されているものなど;JTK-003、JTK-019、NM-283、HCV-796、R-803、R1728、R1626、並びにWO2006/018725、WO2004/074270、WO2003/095441、US2005/0176701、WO2006/020082、WO2005/080388、WO2004/064925、WO2004/065367、WO2003/007945、WO02/04425、WO2005/014543、WO2003/000254、EP1065213、WO01/47883、WO2002/057287、WO2002/057245に開示されているもの及び類似の薬剤;複製阻害薬、例えば、アシクロビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル、シドフォビル、ラミブジン及び類似の薬剤など;プロテアーゼ阻害薬、例えば、HIVプロテアーゼ阻害薬サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ホスアンプレナビル、ブレカナビル、アタザナビル、チプラナビル、パリナビル、ラシナビル(lasinavir)、及びHCVプロテアーゼ阻害薬BILN2061、VX-950、SCH503034;及び類似の薬剤;ヌクレオシド及びヌクレオチド逆転写酵素阻害薬、例えば、ジドブジン、ジダノシン、ラミブジン、ザルシタビン、アバカビル、スタブジン、アデホビル、アデホビルジピボキシル、ホジブジン(fozivudine)、トドキシル(todoxil)、エムトリシタビン、アロブジン、アムドキソビル、エルブシタビン(elvucitabine)、及び類似の薬剤など;(イムノカル(immunocal)、オルチプラズなどの抗酸化活性を有する薬剤を含めた)非-ヌクレオシド逆転写酵素阻害薬、例えば、ネビラピン、デラビルジン、エファビレンツ、ロビリド(loviride)、イムノカル、オルチプラズ、カプラビリン、TMC-278、TMC-125、エトラビリン、及び類似の薬剤など;侵入阻害薬、例えば、エンフビルチド(T-20)、T-1249、PRO-542、PRO-140、TNX-355、BMS-806、5-ヘリックス及び類似の薬剤など;インテグラーゼ阻害薬、例えば、L-870,180及び類似の薬剤など;出芽阻害薬(budding inhibitor)、例えば、PA-344及びPA-457、及び類似の薬剤など;ケモカイン受容体阻害薬、例えば、ビクリビロック(Sch-C)、Sch-D、TAK779、マラビロク(UK-427,857)、TAK449、並びにWO02/74769、WO2004/054974、WO2004/055012、WO2004/055010、WO2004/055016、WO2004/055011、及びWO2004/054581に開示されているもの、及び類似の薬剤など;ノイラミニダーゼ阻害薬、例えば、CS-8958、ザナミビル、オセルタミビル、ペラミビル及び類似の薬剤など;イオンチャネル遮断薬、例えば、アマンタジン又はリマンタジン及び類似の薬剤など;及び干渉RNA及びアンチセンスオリゴヌクレオチド並びにISIS-14803及び類似の薬剤など;未確定の作用機構の抗ウイルス薬、例えば、WO2005/105761、WO2003/085375、WO2006/122011に開示されているもの、リバビリン、及び類似の薬剤などが含まれる。式(I)の化合物及びそれらの薬学的に許容される塩はまた、ウイルス感染症の予防又は治療において有用となり得る1種以上の他の薬剤、例えば、免疫療法(例えば、インターフェロン又は他のサイトカイン/ケモカイン、サイトカイン/ケモカイン受容体モジュレーター、サイトカインアゴニスト若しくはアンタゴニスト及び類似の薬剤);並びに治療ワクチン、抗線維化剤、抗炎症薬、例えば、コルチコステロイド又はNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)及び類似の薬剤などと組み合わせて用いてもよい。
【0246】
さらなる態様では、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩及び感染症の治療において有用な少なくとも1種のさらなる治療薬を含む組み合わせが提供される。
【0247】
さらなる態様では、療法に用いるための、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩及び感染症の治療において有用な少なくとも1種のさらなる治療薬を含む組み合わせが提供される。
【0248】
さらなる態様では、感染症の治療において用いるための、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩及び感染症の治療において有用な少なくとも1種のさらなる治療薬を含む組み合わせが提供される。
【0249】
さらなる態様では、感染症の治療のための医薬品の製造における、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩及び感染症の治療において有用な少なくとも1種のさらなる治療薬を含む組み合わせの使用が提供される。
【0250】
さらなる態様では、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩及び感染症の治療において有用な少なくとも1種のさらなる治療薬を含む組み合わせの治療有効量を、それを必要とするヒトに投与するステップを含む、感染症を治療する方法が提供される。
【0251】
さらなる態様では、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩並びに感染症の治療において有用な少なくとも1種のさらなる治療薬及び薬学的に許容される賦形剤の1種以上を含む組み合わせを含む、医薬組成物が提供される。
【0252】
したがって、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、ワクチンアジュバントもまた提供される。
【0253】
抗原若しくは抗原組成物及び式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む免疫原性組成物がさらに提供される。
【0254】
抗原若しくは抗原組成物及び式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含むワクチン組成物がさらに提供される。
【0255】
抗原若しくは抗原組成物及び式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む免疫原性組成物を、疾患に罹患している又はそれに感受性であるヒト対象に投与するステップを含む、疾患を治療する又は予防する方法がさらに提供される。
【0256】
抗原若しくは抗原組成物及び式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含むワクチン組成物を、疾患に罹患している又はそれに感受性であるヒト対象に投与するステップを含む、疾患を治療する又は予防する方法がさらに提供される。
【0257】
疾患の治療又は予防のための、抗原又は抗原組成物を含む免疫原性組成物の製造のための式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用がさらに提供される。
【0258】
疾患の治療又は予防のための、抗原又は抗原組成物を含むワクチン組成物の製造のための式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用がさらに提供される。
【0259】
式(I)の化合物は、以下のスキーム及び/又は後述の特定の実施例に記載されている通り、有機合成の当技術分野で公知の方法によって調製することができる。これらの方法のすべてにおいて、感受性のある又は反応性の基のための保護基は、化学の原則に従って必要な場合用いることができるということが十分に理解されている。保護基は、有機合成の標準方法に従って操作される(T.W.Green and P.G.M.Wuts(1999年)Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley & Sons)。これらの基は、当業者に容易に明らかである方法を用いて、化合物合成の都合がよい段階で除去される。方法の選択並びにこれらの実行の反応条件及び順序は、式(I)の化合物の調製と一致するものとする。
【0260】
化合物の調製
式(I)の化合物及びそれらの塩は、以下に記載された方法論によって調製することができ、本発明のさらなる態様を構成する。
【0262】
したがって、式(I)の化合物[式中、R
5及びR
6は、両方ともOHである]の調製のための方法が提供され、本方法は、式(II)の化合物:
【0263】
【化5】
[式中、R
1、R
2、R
3、R
4、Y
1及びY
2は、式(I)の化合物について上記に定義した通りであり、R
11及びR
12は、tert-ブチルジメチルシリルオキシ(OTBDMS)などの適当な保護基である]の脱保護を含み、その後、必要な場合には、そのように形成された(so-formed)化合物の塩を調製する。類似の方法は、式(I)の化合物[式中、R
5及びR
6のいずれか一方は、フッ素であり、その場合、R
11又はR
12のいずれか一方のみが、適当に保護されたヒドロキシル基、例えば、tert-ブチルジメチルシリルオキシ(OTBDMS)などとなるはずである]を調製するために用いられるはずである。
【0264】
例えば、式(II)の化合物を、適当な溶媒、例えば、ピリジンに溶解し、適当な温度、例えば、50〜55℃で加熱し、次いで、トリエチルアミン三フッ酸塩及びトリエチルアミンの混合物で適当な期間、例えば、2〜3時間処理される。生成物(II)を、溶媒、例えば、アセトンを加えることによる沈澱及び必要な場合には精製により単離する。
【0265】
式(II)の化合物は、式(III)の化合物:
【0266】
【化6】
[式中、Y
1、Y
2、R
11、及びR
12は、式(II)の化合物について上記に定義した通りであり、R
7、R
8、R
9、及びR
10は、
R
7=OH及びR
8=NHCOiPrであり、又はR
7=NHBz及びR
8=Hであり、
R
9=OH及びR
10=NHCOiPrであり、又はR
9=NHBz及びR
10=Hである場合のように定義される]の脱保護により調製することができる。
【0267】
例えば、式(III)の化合物を、適当な混合物、例えば、メタノール中のメチルアミン又はメタノール中のアンモニア水に溶解し、適当な温度、例えば、50〜55℃で、適当な期間、例えば、2〜24時間加熱する。生成物(II)を、溶媒の除去及び必要な場合には精製により単離する。
【0268】
式(III)の化合物は、式(IV)の化合物の反応により調製することができる。
【0270】
【化8】
[式中、Y
1、Y
2、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11及びR
12は、式(III)の化合物について上記に定義した通り定義される]とするべきである。
【0271】
例えば、式(IV)の化合物を、適当な溶媒、例えば、ピリジンに溶解し、適当なカップリング試薬、例えば、2-クロロ-5,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサホスホリナン2-オキシドで処理し、適当な温度、例えば、20℃で、適当な期間、例えば、1〜2時間加熱する。適当な溶媒、例えば、水を加えることにより反応を急冷し、次いで、酸化剤、例えば、ヨウ素を加えた後、適当な温度、例えば、20℃で、適当な期間、例えば、15分間撹拌する。生成物(III)を、溶媒の除去及び必要な場合には精製により単離する。
【0272】
式(IV)の化合物は、式(V)の化合物と式(VI)の化合物:
【0273】
【化9】
[式中、Y
1、Y
2、R
7、R
8R
9、R
10、R
11及びR
12は、式(III)の化合物について上記に定義されており、DMTrは、4,4'ジメトキシトリチル保護基である]との反応により調製することができる。
【0274】
例えば、式(VI)の化合物を、分子ふるいの存在下で、適当な溶媒、例えば、アセトニトリルに溶解し、適当な溶媒、例えば、アセトニトリルに溶解した式(V)の化合物の溶液で処理し、適当な温度、例えば、20℃で、適当な期間、例えば、1〜2時間撹拌する。適当な酸化剤の溶液、例えば、tert-ブチルヒドロペルオキシドのデカン溶液を加え、混合物を、適当な温度、例えば、20℃で、適当な期間、例えば、0.5時間撹拌する。過剰な酸化剤を急冷した後、例えば、亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加えることにより、及び溶媒の蒸発により、残留物を、適当な溶媒、例えば、ジクロロメタン及び水の混合物に溶解し、適当な試薬、例えば、ジクロロ酢酸で処理し、適当な温度、例えば、20℃で、適当な期間、例えば、15〜30分撹拌する。生成物(IV)を含有する溶液は、適当な溶媒、例えば、ピリジンを加え、蒸発によって濃縮することにより得られる。
【0275】
式(V)の化合物は、式(VII)の化合物:
【0276】
【化10】
[式中、Y
1、R
9及びR
10は、式(III)の化合物について上記に定義した通り定義され、DMTrは、4,4'ジメトキシトリチル保護基である]の反応により調製することができる。
【0277】
例えば、式(VII)の化合物を、適当な混合物、例えば、水を含有するアセトニトリルに溶解し、トリフルオロ酢酸ピリジニウムで処理し、適当な温度、例えば、20℃で、適当な期間、例えば、1分撹拌し、次いで、tert-ブチルアミンを加え、混合物を、適当な温度、例えば、20℃で、適当な期間、例えば、10分撹拌する。生成物を、溶媒の蒸発により単離し、次いで、適当な溶媒、例えば、水を含有するジクロロメタンに溶解し、ジクロロ酢酸で処理し、適当な温度、例えば、20℃で、適当な期間、例えば、10分撹拌する。生成物(V)のアセトニトリル濃溶液は、ピリジンを加え、その後、混合物をアセトニトリルと共沸混合することにより得られる。
【0278】
式(VI)の化合物を、式(VIII)の化合物:
【0279】
【化11】
[式中、Y
2、R
7、R
8及びR
12は、式(III)の化合物について上記に定義した通り定義され、DMTrは、4,4'ジメトキシトリチル保護基である]の反応により調製することができる。
【0280】
例えば、適当な溶媒、例えば、アセトニトリル(acetontrile)と共沸混合した後、式(VIII)の化合物を、適当な溶媒、例えば、ジクロロメタンに溶解し、塩基、例えば、1H-テトラゾールの存在下で、ホスファイト化試薬、例えば、3-((ビス(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノ)オキシ)プロパンニトリルと反応させ、適当な温度、例えば、20℃で、適当な期間、例えば、20時間撹拌する。生成物(VI)を、水性の後処理及び精製後単離する。
【0281】
式(VII)の化合物を、式(IX)の化合物:
【0282】
【化12】
[式中、Y
1、R
9、R
10及びR
11は、式(III)の化合物について上記に定義した通り定義され、DMTrは、4,4'ジメトキシトリチル保護基である]の反応により調製することができる。
【0283】
例えば、適当な溶媒、例えば、アセトニトリルと共沸混合した後、式(IX)の化合物を、適当な溶媒、例えば、ジクロロメタンに溶解し、塩基、例えば、1H-テトラゾールの存在下で、ホスファイト化試薬、例えば、3-((ビス(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノ)オキシ)プロパンニトリルと反応し、適当な温度、例えば、20℃で、適当な期間、例えば、20時間撹拌する。生成物(VII)を、水性の後処理及び精製後単離する。
【0284】
式(VIII)の化合物及び式(IX)の化合物は、式(X)の化合物:
【0285】
【化13】
[式中、式(III)の化合物について上記に定義した通り、Yは、Y
1又はY
2であり、Z
1は、R
7又はR
9であり、Z
2は、R
8又はR
10であり、DMTrは、4,4'ジメトキシトリチル保護基である]の反応により調製することができる。
【0286】
例えば、式(X)の化合物を、適当な溶媒、例えば、ピリジンに溶解し、塩基、例えば、イミダゾールの存在下で、シリル化試薬、例えば、tert-ブチルジメチルシリルクロリドと反応させ、適当な温度、例えば、20℃で、適当な期間、例えば、4〜20時間撹拌する。生成物(VIII)及び(IX)を、水性の後処理及びクロマトグラフィーによる分離後単離する。
【0287】
式(X)の化合物は、式(XI)の化合物:
【0288】
【化14】
[式中、Y、Z
1及びZ
2は、式(X)の化合物について上記に定義した通りである]の反応により調製することができる。
【0289】
例えば、式(XI)の化合物を、適当な溶媒、例えば、ピリジンに溶解し、4,4'-ジメトキシトリチルクロリドと反応させ、適当な温度、例えば、20℃で、適当な期間、例えば、4〜20時間撹拌する。生成物(X)を、水性の後処理及び必要な場合には精製後単離する。
【0290】
式(XI)の化合物は、式(XII)又は式(XIII)の化合物:
【0291】
【化15】
[式中、Yは、式(XI)の化合物について上記に定義した通りである]の反応によって調製することができる。
【0292】
例えば、式(XII)の化合物を、適当な溶媒、例えば、ピリジンに溶解し、トリメチルシリルクロリドと反応させ、適当な温度、例えば、20℃で、適当な期間、例えば、2時間撹拌する。0℃まで冷却後、塩化ベンゾイルを加える。混合物を、適当な温度、例えば、0〜20℃、適当な期間、例えば、18〜20時間撹拌し、次いで、水で処理し、その後、水溶性の基剤、例えば、0.88アンモニア溶液で処理する。生成物(XI)Z
1=NHBz及びZ
2=Hを、溶媒の蒸発及び水で洗浄することによって単離する。
【0293】
例えば、式(XIII)の化合物を、適当な溶媒、例えば、ピリジンに溶解し、トリメチルシリルクロリドと反応させ、適当な温度、例えば、20℃で、適当な期間、例えば、2〜4時間撹拌する。0℃まで冷却後、イソブチリルクロリドを加える。混合物を、適当な温度、例えば、0〜20℃、適当な期間、例えば、1〜20時間撹拌し、次いで、適当な温度まで、例えば、0℃まで冷却し、水で処理し、その後、水溶性の基剤、例えば、0.88アンモニア溶液で処理する。生成物(XI)Z
1=OH及びZ
2=NHCOiPrを、溶媒の蒸発、その後の水性の後処理及び必要な場合には精製により単離する。
【0294】
本発明の態様を参照により例示するが、以下の実施例によって限定されることはまったくない。
【0295】
分析方法論
1H NMR
1H NMRスペクトルを、すべての操作を400MHzでBruker DPX 400又はBruker Avance DRX、Varian Unity 400分光計又はJEOL DeltaのいずれかでCDCl
3、DMSO-d
6、CD
3CN又はD
2Oのいずれかにおいて記録した。用いた内部標準は、CDCl
3の場合7.25ppm又はDMSO-d
6の場合2.50ppmでテトラメチルシラン又はプロトン化された残留溶媒であった。
【0296】
LCMS
系A
カラム:50mm×2.1mm ID、1.7μm Acquity UPLC BEH C
18
流速:1mL/分
温度:40℃
UV検出範囲:210〜350nm
質量スペクトル:選択的走査型(alternative-scan)正及び負モードエレクトロスプレーイオン化を用いた質量分析計において記録した。
溶媒:A:水中の0.1%v/vギ酸
B:0.1%v/vギ酸アセトニトリル
勾配:時間(分) A% B%
0 97 3
1.5 0 100
1.9 0 100
2.0 97 3
【0297】
系B
カラム:50mm×2.1mm ID、1.7μm Acquity UPLC BEH C
18
流速:1mL/分
温度:40℃
UV検出範囲:210〜350nm
質量スペクトル:選択的走査型正及び負モードエレクトロスプレーイオン化を用いた質量分析計において記録した。
溶媒:A:アンモニア溶液でpH10に調整した水中の10mM重炭酸アンモニウム
B:アセトニトリル
勾配:時間(分) A% B%
0 99 1
1.5 3 97
1.9 3 97
2.0 0 100
【0298】
系C
カラム:50mm×2.1mm ID、1.7μm Acquity UPLC CSH C
18
流速:1mL/分
温度:40
oC
注入量0.5・L
UV検出範囲:210〜350nm
質量スペクトル:選択的走査型正及び負モードエレクトロスプレーイオン化を用いた質量分析計において記録した。
溶媒:A:水中の0.1%v/vギ酸
B:0.1%v/vギ酸アセトニトリル
勾配:時間(分) A% B%
0 97 3
1.5 5 95
1.9 5 95
2.0 97 3
【0299】
系D
カラム:50mm×2.1mm ID、1.7μm Acquity UPLC CSH C
18
流速:1mL/分
温度:40
oC
注入量0.3・L
UV検出範囲:210〜350nm
質量スペクトル:選択的走査型正及び負モードエレクトロスプレーイオン化を用いた質量分析計において記録した。
溶媒:A:アンモニア溶液でpH10に調整した水中の10mM重炭酸アンモニウム
B:アセトニトリル
勾配:時間(分) A% B%
0 97 3
0.05 97 3
1.5 5 95
1.9 5 95
2.0 97 3
【0300】
系E
カラム:50mm×2.1mm ID、1.7μm Acquity UPLC BEH C
18
流速:1mL/分
温度:40℃
UV検出範囲:210〜350nm
質量スペクトル:選択的走査型正及び負モードエレクトロスプレーイオン化を用いた質量分析計において記録した。
溶媒:A:アンモニア溶液でpH10に調整した水中の10mM重炭酸アンモニウム
B:アセトニトリル
勾配:時間(分) A% B%
0 99 1
1.5 3 97
1.9 3 97
2.0 99 1
【0301】
質量分析計直結型自動分取HPLC(MDAP)
質量分析計直結型自動分取(Mass Directed Autopreparative)HPLCを、以下に示す条件下で行った。UV検出は、210nmから350nmまでの波長から得られた平均したシグナルであり、質量スペクトルを、交互走査型(alternate-scan)正及び負モードエレクトロスプレーイオン化を用いて質量分析計で記録した。
【0302】
方法A
方法Aを、Sunfire C
18カラム(通常、内径150mm×30mm、パッキン直径5μm)において周囲温度で行った。使用した溶媒は以下の通りであった。
A=0.1%v/vギ酸の水溶液
B=0.1%v/vギ酸のアセトニトリル溶液。
【0303】
方法B
方法Bを、XBridge C
18カラム(通常、内径100mm×30mm、パッキン直径5μm)において周囲温度で行った。使用した溶媒は以下の通りであった。
A=アンモニア溶液でpH10に調整した10mM重炭酸アンモニウム水溶液。
B=アセトニトリル。
【0304】
方法C
方法CをSunfire C
18カラム(通常、内径150mm×30mm、パッキン直径5μm)において周囲温度で行った。使用した溶媒は以下の通りであった。
A=0.1%v/vトリフルオロ酢酸の水溶液
B=0.1%v/vトリフルオロ酢酸のアセトニトリル溶液。
【0305】
略語
以下のリストは、本明細書で使用されるいくつかの略語の定義を示す。本リストは網羅的でないが、以下の本明細書に定義されないこれらの略語の意味が、当業者に容易に明らかであることが理解されよう。
DCM ジクロロメタン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DMTr ジメトキシトリチル
THF テトラヒドロフラン
EtOAc 酢酸エチル
MeOH メタノール
EtOH エタノール
MeCN アセトニトリル
HCl 塩酸
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
MDAP 質量分析計直結型自動分取HPLC
SPE 固相抽出
MeOH メタノール
TBDMS tert-ブチルジメチルシリル
TBME tert-ブチルメチルエーテル
TFA トリフルオロ酢酸
DIPEA N,N-ジイソプロピルエチルアミン
【0306】
名称
本化合物は、Chem Draw(CambridgeSoft社)又はMarvin Sketch(ChemAxon社)における命名ツールを用いて構造から名付けた。
【0307】
反応中間体
中間体1:N-(9-((1R,2S,3R,4R)-2,3-ジヒドロキシ-4-(ヒドロキシメチル)シクロペンチル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド
【0309】
クロロトリメチルシラン(17.94mL、141mmol)を、窒素雰囲気下で(1R,2S,3R,5R)-3-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-5-(ヒドロキシメチル)シクロペンタン-1,2-ジオール(5.00g、18.85mmol)(Yang Yら、J.Org.Chem.、2004年:69巻、3993〜3996頁)の無水ピリジン(80mL)懸濁液に加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を氷/水浴で0℃に冷却し、塩化ベンゾイル(3.72mL、32.0mmol)を3分にわたって滴下した。混合物を室温まで温め、窒素雰囲気下で19.5時間撹拌した。反応混合物を氷/水浴で0℃に冷却し、水(15mL)で急冷し、0℃で5分間撹拌した。混合物を室温まで温めた後、0.88アンモニア溶液(39.5mL、714mmol)を加え、混合物を室温で20分間撹拌した。反応混合物を真空中で蒸発させて白色の固形物を得た。冷水(100mL)を固形物に加え、懸濁液をろ過した。固形物を、冷水(3×25mL)及びエーテル(3×25mL)で洗浄した。固形物の小型の試料を、乾燥ピストル(drying pistol)で1時間乾燥し、
1H NMRによって分析した。残りの固形物を、乾燥ピストルで16時間乾燥して、白色の固形物(5.977g)として表題化合物を得た。
LCMS(系E):t
RET=0.52分、MH
+370
【0310】
中間体2:N-(9-((1R,2S,3R,4R)-4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-2,3-ジヒドロキシシクロペンチル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド
【0312】
N-(9-((1R,2S,3R,4R)-2,3-ジヒドロキシ-4-(ヒドロキシメチル)シクロペンチル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミドを、無水ピリジン(3×20mL)で3回共沸混合した。4,4'-ジメトキシトリチルクロリド(1.11g、3.28mmol)の無水ピリジン(6mL)溶液を、N-(9-((1R,2S,3R,4R)-2,3-ジヒドロキシ-4-(ヒドロキシメチル)シクロペンチル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド(1.164g、3.15mmol)の無水ピリジン(19mL)懸濁液に滴下した。反応混合物を室温で3.5時間撹拌した。
【0313】
反応混合物を真空中で蒸発させ、得られた油を、酢酸エチル(100mL)及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)間で分配した。有機層を分離し、水層を追加の酢酸エチル(100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、ブライン(50mL)で洗浄し、疎水性のフリットを用いて乾燥し、真空中で蒸発させて、白色の固形物(2.058g)を得た。固形物を、最小体積のジクロロメタンに溶解し、ジクロロメタンでプレコンディショニングされたシリカカートリッジ100gに添加し、0〜5%メタノール-ジクロロメタン勾配を用いて60分にわたって精製した(検出波長=240nm)。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて、白色の固形物(1.475g)として表題化合物を得た。
LCMS(系E):t
RET=1.18分、MH
+672
【0314】
中間体3a及び3b:N-(9-((1R,2S,3R,4R)-4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-3-ヒドロキシシクロペンチル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド(3a)及びN-(9-((1R,2S,3R,4R)-4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-ヒドロキシシクロペンチル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド(3b)
【0316】
イミダゾール(0.436g、6.40mmol)及びtert-ブチルクロロジメチルシラン(0.405g、2.69mmol)を、N-(9-((1R,2S,3R,4R)-4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-2,3-ジヒドロキシシクロペンチル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド(1.433g、2.133mmol)の無水ピリジン(5mL)撹拌溶液に室温で加えた。反応混合物を、窒素雰囲気下で3時間撹拌した。反応混合物を、ジクロロメタン(50mL)及び水(50mL)間で分配した。有機層を分離し、水溶液をジクロロメタン(50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(50mL)で洗浄し、疎水性のフリットを用いて乾燥し、真空中で蒸発させて、無色の油を得た。油をトルエン(2×30ml)で共沸混合して、白色の固形物(1.54g)を生成した。固形物をDMSO(5mL)に溶解し、プレコンディショニングされた逆相Biotage 120g KP-C18-HSカートリッジに適用し、1カラム体積の50%アセトニトリル-水を用いて溶出させ、その後、20カラム体積に対して50〜80%アセトニトリル-水勾配を用いて溶出した(検出波長230nm)。
【0317】
適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて、白色の固形物(477mg)として表題化合物3a及び白色の固形物(674mg)として表題化合物3bを得た。
【0318】
中間体3a
LCMS(系A):t
RET=1.47分、MH
+786
中間体3b
LCMS(系A):t
RET=1.56分、MH
+786
【0319】
中間体4:(1R,2S,3R,5R)-3-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロペンチル(2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホロアミダイト
【0321】
N-(9-((1R,2S,3R,4R)-4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-3-ヒドロキシシクロペンチル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド(379mg、0.482mmol)を、無水アセトニトリル(2×10mL)中で共沸混合した。3-((ビス(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノ)オキシ)プロパンニトリル(0.191ml、0.603mmol)及び1H-テトラゾール(43mg、0.614mmol)を、共沸混合したN-(9-((1R,2S,3R,4R)-4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-3-ヒドロキシシクロペンチル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド(379mg、0.482mmol)の無水ジクロロメタン(5.5mL)撹拌溶液に室温で加えた。反応混合物を窒素雰囲気下で20時間撹拌した。
【0322】
3-((ビス(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノ)オキシ)プロパンニトリル(0.031ml、0.096mmol)及び1H-テトラゾール(7mg、0.100mmol)を加え、反応混合物を窒素下でさらに4時間撹拌した。反応混合物を、ジクロロメタン(50mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄した。有機層を分離し、水溶液をさらにジクロロメタン(50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、疎水性のフリットを用いて乾燥し、真空中で蒸発させて、無色のガラス(577mg)を得た。シリカカートリッジ20gを、ジクロロメタン(140mL)、ジクロロメタン(140mL)、酢酸エチル(140mL)及びシクロヘキサン(140mL)中の1%トリエチルアミンを用いてプレコンディショニングした。無色のガラスを、最小体積のジクロロメタンに添加し、0〜100%酢酸エチル-シクロヘキサン勾配を用いて60分にわたって溶出した(検出波長=254nm)。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて白色の泡沫(292mg)として表題化合物を得た。
LCMS(系E):t
RET=1.70分、MH
+986
【0323】
中間体5:(1R,2S,3R,5R)-3-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(ヒドロキシメチル)シクロペンチル水素ホスホネート
【0325】
(1R,2S,3R,5R)-3-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロペンチル(2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホロアミダイト(285mg、0.289mmol)のアセトニトリル(1.5mL)及び水(0.011mL、0.611mmol)溶液に、室温で、トリフルオロ酢酸ピリジニウム(67mg、0.347mmol)を加えた。反応混合物を室温で1分間撹拌した。tert-ブチルアミン(1.442mL、13.73mmol)を加え、反応混合物を室温で10分間撹拌した。反応混合物を真空中で蒸発させて(35℃の水浴)、アセトニトリル(3mL)に溶解した白色の泡沫を得、真空中で蒸発させて、白色の泡沫を得た。泡沫を、再度アセトニトリル(3mL)に溶解し、真空中で蒸発させて、白色の泡沫を得た。泡沫を、ジクロロメタン(6.85ml)及び水(0.052mL、2.89mmol)に溶解した。ジクロロ酢酸(0.21mL、2.54mmol)を加え、赤色の溶液を室温で10分間撹拌した。LCMSによる反応混合物の分析により、表題化合物の存在が確認された。
LCMS(系E):t
RET=0.73分、MH
+548
【0326】
反応混合物をピリジン(0.411mL、5.09mmol)で急冷し、真空中でおよそ2mL体積(35〜40℃の水浴)まで濃縮した。得られた白色の懸濁液を、無水アセトニトリル(3×3mL)(35〜40℃の水浴)で共沸混合し、第1及び第2の共沸混合物においておよそ2mL体積まで濃縮し、最終共沸混合物においておよそ1mL体積まで濃縮した。フラスコを、シュバシールで栓をし、排出し/窒素でフラッシュし、白色の懸濁液を反応の次の手順で直ちに用いた。
【0327】
中間体6:N-(9-((1R,2S,3R,4R)-2,3-ジヒドロキシ-4-(ヒドロキシメチル)シクロペンチル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル)イソブチルアミド
【0329】
クロロトリメチルシラン(2.71mL、21.33mmol)を、2-アミノ-9-((1R,2S,3R,4R)-2,3-ジヒドロキシ-4-(ヒドロキシメチル)シクロペンチル)-1H-プリン-6(9H)-オン(1.00g、3.56mmol)(Exall A.M.ら、Journal of the Chemical Society、Perkin Transactions 1:Organic and Bio-Organic Chemistry、1991年:2467〜77)の無水ピリジン(25mL)懸濁液に、窒素雰囲気下で2時間にわたって少量ずつ(5つの部分)加えた。反応を、室温でさらに1.5時間撹拌した。反応を、氷/水浴中で0℃まで冷却し、イソブチリルクロリド(1.117mL、10.67mmol)を、3分にわたって滴下した。混合物を室温まで温め、1時間撹拌した。反応混合物を氷/水浴で0℃に冷却し、水(15mL)で急冷した。0℃で5分間撹拌した後、反応を室温まで温めた。アンモニア(0.880、7.40mL、134mmol)を、混合物に加え、60分間撹拌した。反応混合物を真空中で蒸発させて、褐色固形物を得た。褐色固形物を、水(100mL)及びジクロロメタン(100mL)の間で分配した。有機層を水(50mL)で逆抽出した。水層を合わせ、真空中で蒸発させて褐色固形物を得た。褐色固形物をメタノール(3×50mL)ですりつぶし、液体部分を、真空中で蒸発させる前にデカントして、暗褐色の固形物(3.919g)を得た。暗褐色の固形物を、DMSO(16mL)に溶解し、逆相C-18シリカカートリッジ400gを用いたクロマトグラフィーによって精製し、1カラム体積の5%アセトニトリル(+0.1% 0.88アンモニア溶液)-アンモニアでpH10に調整した水中の10mM重炭酸アンモニウムを用いて溶出し、その後、20カラム体積に対して、5〜30%アセトニトリル(+0.1%0.88アンモニア溶液)-アンモニアでpH10に調整した水中の10mM重炭酸アンモニウム勾配で溶出した。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて、白色の固形物(1.022g)として表題化合物を得た。
LCMS(系E):t
RET=0.46分、MH
+352
【0330】
中間体7:N-(9-((1R,2S,3R,4R)-4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-2,3-ジヒドロキシシクロペンチル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル)イソブチルアミド
【0331】
【化22】
N-(9-((1R,2S,3R,4R)-2,3-ジヒドロキシ-4-(ヒドロキシメチル)シクロペンチル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル)イソブチルアミド(1.025g、2.92mmol)を、無水ピリジン(2×20mL)と2回共沸混合した。4,4'-ジメトキシトリチルクロリド(1.028g、3.03mmol)の無水ピリジン(5.5mL)溶液を、共沸混合したN-(9-((1R,2S,3R,4R)-2,3-ジヒドロキシ-4-(ヒドロキシメチル)シクロペンチル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル)イソブチルアミド(1.025g、2.92mmol)の無水ピリジン(17mL)溶液に、室温で5分にわたって滴下した。反応を、室温で90分間撹拌した。無水ピリジン(2mL)中の4,4'-ジメトキシトリチルクロリド(0.356g、1.051mmol)の追加の部分を、反応混合物に加え、撹拌を1時間続けた。反応混合物を真空中で蒸発させて、得られた油を、酢酸エチル(100mL)及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)の間で分配した。有機層を分離し、ブライン(30mL)で洗浄し、疎水性のフリットを用いて乾燥し、真空中で蒸発させて、黄色の固形物(2.4g)を得た。固形材料を、最小体積のジクロロメタンに溶解し、ジクロロメタンでプレコンディショニングされたシリカカートリッジ100gに添加し、25カラム体積に対して、0〜8%メタノール-ジクロロメタン勾配を用いてクロマトグラフィーにより精製した(検出波長=240nm)。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて、白色の固形物(1.3g)として表題化合物を得た。
LCMS(系E):t
RET=1.13分、MH
+654
【0332】
中間体8a及び8b:N-(9-((1R,2S,3R,4R)-4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-3-ヒドロキシシクロペンチル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル)イソブチルアミド(8a)及びN-(9-((1R,2S,3R,4R)-4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-ヒドロキシシクロペンチル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル)イソブチルアミド(8b)
【0334】
イミダゾール(2.298g、33.8mmol)及びtert-ブチルクロロジメチルシラン(2.204g、14.63mmol)を、N-(9-((1R,2S,3R,4R)-4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-2,3-ジヒドロキシシクロペンチル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル)イソブチルアミド(7.355g、11.25mmol)の無水ピリジン(29mL)撹拌溶液に室温で加えた。反応混合物を、窒素雰囲気下で6時間撹拌した。溶液を、水(100mL)及びジクロロメタン(100mL)の間で分配した。有機層を分離し、水層をジクロロメタン(100mL)で逆抽出した。合わせた有機抽出物を、真空中で蒸発させる前にMgSO
4及び疎水性のフリットを用いて乾燥して、オフホワイトの泡沫(8.903g)を得た。泡沫(3.308g)の一部分を、DMSO(12mL)に溶解し、プレコンディショニングされた逆相Biotage 400g KP-C18-HSカートリッジに適用し、1カラム体積の55%アセトニトリル-水を用いて溶出させ、その後、20カラム体積に対して55〜75%アセトニトリル-水勾配を用いて溶出した(検出波長237nm)。適切な画分を2つのバッチに合わせ、真空中で蒸発させて、白色の固形物(1.223g)として表題化合物8a及び白色の固形物(1.268g)として表題化合物8bを得た。
【0335】
中間体8a
LCMS(系C):t
RET=1.51分、MH
+768
中間体8b
LCMS(系C):t
RET=1.59分、MH
+768
【0336】
混合された画分を、真空中で蒸発させて、最初の白色の泡沫(5.595g)の残りと合わせた。材料を、DMSO(15mL)に溶解し、プレコンディショニングされた逆相Biotage 400g KP-C18-HSカートリッジに適用し、1カラム体積の55%アセトニトリル-水を用いて溶出し、その後、20カラム体積に対して、55〜75%アセトニトリル-水勾配を用いて溶出した(検出波長237nm)。適切な画分を2つのバッチに合わせ、真空中で蒸発させて、白色の固形物(1.837g)として追加のバッチの表題化合物8a及び白色の固形物(1.844g)として追加のバッチの表題化合物8bを得た。
【0337】
中間体9:(1S,2R,3R,5R)-3-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(2-イソブチルアミド-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)シクロペンチル(2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホロアミダイト
【0339】
N-(9-((1R,2S,3R,4R)-4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-ヒドロキシシクロペンチル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル)イソブチルアミド(455mg、0.592mmol)を、無水アセトニトリル(2×10mL)中で共沸混合した。3-((ビス(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノ)オキシ)プロパンニトリル(0.226mL、0.711mmol)及び1H-テトラゾール(50mg、0.714mmol)を、共沸混合したN-(9-((1R,2S,3R,4R)-4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-ヒドロキシシクロペンチル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル)イソブチルアミド(455mg、0.592mmol)の無水ジクロロメタン(7mL)撹拌溶液に室温で加えた。反応混合物を窒素雰囲気下で20時間撹拌した。反応混合物を、ジクロロメタン(50mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄した。有機層を分離し、水溶液をさらにジクロロメタン(50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を疎水性のフリットを用いて乾燥し、真空中で蒸発させて、白色の泡沫を得た(640mg)。シリカカートリッジ20gを、ジクロロメタン(140mL)、ジクロロメタン(140mL)、酢酸エチル(140mL)及びシクロヘキサン(140mL)中の1%トリエチルアミンを用いてプレコンディショニングした。原料を、最小体積のジクロロメタンに溶解し、次いで、カラムに添加し、0〜100%酢酸エチル-シクロヘキサン勾配を用いて40分にわたって溶出した(検出波長=254nm)。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて、白色の泡沫(460mg)として表題化合物を得た。
LCMS(系E):t
RET=1.69、1.73分、MH
+968
【0340】
中間体10:(1R,2S,3R,5R)-3-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-((((((1S,2R,3R,5R)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(2-イソブチルアミド-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)シクロペンチル)オキシ)(2-シアノエトキシ)ホスホリル)オキシ)メチル)シクロペンチル水素ホスホネート
【0342】
(1S,2R,3R,5R)-3-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(2-イソブチルアミド-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)シクロペンチル(2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホロアミダイト(363mg、0.375mmol)を、無水アセトニトリル(2.5mL)に溶解し、3種の3Å分子ふるいを追加し、溶液を、窒素雰囲気下でおよそ45分間保存した(注-沈殿物は、放置して形成させ、再度溶液を形成するため、わずかな加温を要した)。粗(1R,2S,3R,5R)-3-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(ヒドロキシメチル)シクロペンチル水素ホスホネート(材料の理論質量:158mg、0.289mmol)の無水アセトニトリル(1mL)懸濁液に、窒素雰囲気下、室温で、(1S,2R,3R,5R)-3-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(2-イソブチルアミド-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)シクロペンチル(2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホロアミダイト(363mg、0.375mmol)の無水アセトニトリル(2.5mL)溶液を加え、30秒にわたって滴下した。反応混合物を室温で50分間撹拌した。無水tert-ブチルヒドロペルオキシド溶液(デカン中のおよそ5.5M)(0.157mL、0.866mmol)を加え、反応混合物を室温で30分間撹拌した。無水tert-ブチルヒドロペルオキシド溶液(デカン中のおよそ5.5M)(0.157mL、0.866mmol)のさらなる部分を加え、反応混合物を、室温で1時間撹拌した。反応混合物を、氷/水浴中で冷却し、33%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(0.288mL)で急冷した。混合物を真空中で蒸発させて、残りの油を、共栓付きフラスコに入れて冷蔵庫で20時間保存した。次いで、材料を、ジクロロメタン(9.2mL)及び水(0.052mL、2.89mmol)に溶解した。ジクロロ酢酸(0.276mL、3.35mmol)を加え、ごく薄いだいだい色の溶液を、室温で15分間撹拌した。
【0343】
反応混合物を、無水ピリジン(3mL)で急冷し、真空中(35〜40℃の水浴)でおよそ3mL体積まで濃縮した。さらに無水ピリジン(7.5mL)を加え、再度、反応混合物を、真空中(35〜40℃の水浴)でおよそ3mL体積まで濃縮し、これを、共栓付きフラスコに入れて冷蔵庫で16時間保存した。表題化合物を含有する粗混合物を、反応の次の手順で用いた。
LCMS(系B):t
RET=0.96〜0.98分、MH
+1128
【0344】
中間体11:N-{9-[(1S,6R,8R,9S,10R,15R,17R,18R)-9,18-ビス[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-3-(2-シアノエトキシ)-12-ヒドロキシ-17-[2-(2-メチルプロパンアミド)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル]-3,12-ジオキソ-2,4,11,13-テトラオキサ-3λ
5,12λ
5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.0
6,
10]オクタデカン-8-イル]-9H-プリン-6-イル}ベンズアミド
【0346】
無水ピリジン中の粗(1R,2S,3R,5R)-3-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-((((((1S,2R,3R,5R)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(2-イソブチルアミド-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)シクロペンチル)オキシ)(2-シアノエトキシ)ホスホリル)オキシ)メチル)シクロペンチル水素ホスホネート(粗混合物中の所望の材料の理論質量:326mg、0.289mmol)(ピリジン及び粗材料の全容量3mL)に、さらに無水ピリジン(6mL)を加えた。2-クロロ-5,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサホスホリナン2-オキシド(187mg、1.011mmol)を加え、反応混合物を室温で15分間撹拌した。2-クロロ-5,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサホスホリナン2-オキシド(100mg、0.542mmol)のさらなるアリコートを、反応混合物に加え、撹拌を40分間続けた。反応を、水(0.28mL、15.54mmol)で急冷し、ヨウ素(95mg、0.376mmol)を直ちに加えた。反応混合物を室温で15分間撹拌し、次いで、0.14%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(41mL)に注いだ。5分後、固体の炭酸水素ナトリウム(1.17g)を、少量ずつ加え(注意:ガス発生)、混合物を、酢酸エチル/ジエチルエーテル(1:1)で抽出した。有機層を分離し、水溶液を、酢酸エチル/ジエチルエーテル(1:1)で逆抽出した。合わせた有機層を、疎水性のフリットに通し、真空中で蒸発させて暗黄色の油(1.206g)を得た。原料を、最小体積のジクロロメタンに溶解し、ジクロロメタンによってプレコンディショニングされたシリカカートリッジ100gに適用し、22カラム体積に対して0〜25%メタノール-ジクロロメタン勾配を用いて溶出した(検出波長260nm)。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて、淡黄色の固形物(143mg)として表題化合物を得た。
LCMS(系B):t
RET=1.00〜1.07分、MH
+1127
【0347】
中間体12:N-{9-[(1S,6R,8R,9S,10R,15R,17R,18R)-17-(2-アミノ-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル)-9,18-ビス[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-3,12-ジヒドロキシ-3,12-ジオキソ-2,4,11,13-テトラオキサ-3λ
5,12λ
5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.0
6,
10]オクタデカン-8-イル]-9H-プリン-6-イル}ベンズアミド
【0349】
メチルアミン(無水エタノール中の33重量%)(3.35mL、26.9mmol)を、N-{9-[(1S,6R,8R,9S,10R,15R,17R,18R)-9,18-ビス[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-3-(2-シアノエトキシ)-12-ヒドロキシ-17-[2-(2-メチルプロパンアミド)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル]-3,12-ジオキソ-2,4,11,13-テトラオキサ-3λ
5,12λ
5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.0
6,
10]オクタデカン-8-イル]-9H-プリン-6-イル}ベンズアミド(143mg、0.127mmol)に加えた。溶液を、室温で2時間撹拌した。メチルアミン(無水エタノール中の33重量%)3.35mL(26.9mmol)をさらに加え、溶液を、室温でさらに19時間撹拌した。脱保護は、室温でメチルアミン(無水エタノール中の33重量%)においてこれ以上進行せず、反応混合物を真空中で蒸発させ、残りの残留物に、アンモニア溶液(0.88)(11mL)及びメタノール(4mL)を加えた。懸濁液を、密封容器中、50℃で22時間撹拌し、次いで、密封容器(マイクロウェーブバイアル)中、55℃で4時間撹拌した。反応混合物を真空中で蒸発させ、残りの残留物を、アンモニア溶液(0.88)(6mL)及びメタノール(2mL)に懸濁した。懸濁液を密封容器中、55℃で18時間撹拌し、次いで、反応混合物を真空中で蒸発させて、淡黄色の固形物を得た。
【0350】
最小体積のDMSOに溶解した固形物を、プレコンディショニングされた逆相Biotage 120g KP-C18-HSカートリッジに適用し、18カラム体積に対して、15〜40%アセトニトリル(+0.1% 0.88アンモニア溶液)-アンモニア溶液でpH10に調整した水中の10mM重炭酸アンモニウム勾配を用いて溶出した(検出波長254nm)。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて、白色の固形物(29mg)として表題化合物を得た。
LCMS(系B):t
RET=0.71分、MH
+899
【0351】
中間体13:(1R,2S,3R,5R)-3-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-((((((2R,3R,4R,5R)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(ヒドロキシメチル)-2-(2-イソブチルアミド-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ)(2-シアノエトキシ)ホスホリル)オキシ)メチル)シクロペンチル水素ホスホネート
【0353】
(2R,3R,4R,5R)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(2-イソブチルアミド-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)テトラヒドロフラン-3-イル(2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホロアミダイト(950mg、0.979mmol)及び粗(1R,2S,3R,5R)-3-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(ヒドロキシメチル)シクロペンチル水素ホスホネート(413mg、0.755mmol)から、中間体10と同様に調製した。表題の粗化合物を、無水ピリジン(8mL)中の溶液として得、これを次の反応に直接用いた。
LCMS(系D):t
RET=1.01分、MH
+1131
【0354】
中間体14:N-{9-[(1R,6R,8R,9S,10R,15R,17R,18R)-9,18-ビス[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-3-(2-シアノエトキシ)-12-ヒドロキシ-17-[2-(2-メチルプロパンアミド)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル]-3,12-ジオキソ-2,4,11,13,16-ペンタオキサ-3λ
5,12λ
5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.0
6,10]オクタデカン-8-イル]-9H-プリン-6-イル}ベンズアミド
【0356】
無水ピリジン(8mL)中の粗(1R,2S,3R,5R)-3-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-((((((2R,3R,4R,5R)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(ヒドロキシメチル)-2-(2-イソブチルアミド-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ)(2-シアノエトキシ)ホスホリル)オキシ)メチル)シクロペンチル水素ホスホネート(粗混合物中の所望の材料の理論質量:853mg、0.755mmol)に、無水ピリジン(15mL)をさらに加えた。2-クロロ-5,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサホスホリナン2-オキシド(488mg、2.64mmol)を加え、反応混合物を窒素下、室温で45分間撹拌した。さらに、2-クロロ-5,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサホスホリナン2-オキシド(488mg、2.64mmol)を加え、反応混合物を、窒素下、室温でさらに45分間撹拌した。次いで、2-クロロ-5,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサホスホリナン2-オキシド(139mg、0.755mmol)をさらに加え、反応を、水(1.086mL、60.35mmol、DMOCPに対して10eq)で急冷した場合、反応混合物を、窒素下、室温でさらに45分間撹拌し、ヨウ素(249mg、0.982mmol)を直ちに加えた。反応混合物を室温で5分間撹拌し、次いで、0.14%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(110mL)に注いだ。5分後、固体の炭酸水素ナトリウム(3.058g)を少量ずつ加え、混合物を、酢酸エチル:ジエチルエーテル(1:1)(125mL)で抽出した。有機層を分離し、水層を、酢酸エチル:ジエチルエーテル(1:1)(125mL)で逆抽出した。合わせた有機層を、疎水性のフリットに通し、真空中で蒸発させて、オレンジ油(2.26g)を得た。この粗生成物(1.06g)の一部を、最小体積のジクロロメタンに溶解し、ジクロロメタンによってプレコンディショニングされたシリカカートリッジ100gに適用し、20カラム体積に対して、0〜25%メタノール-ジクロロメタン勾配を用いて溶出した(検出波長280nm)。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて、白色の固形物(200mg)を得た。粗生成物の残り(1.20g)を、最小体積のジクロロメタンに溶解し、同じやり方で精製して白色の固形物(270mg)を得た。白色の固形物の2つのバッチを合わせて、表題の粗化合物(470mg)を得た。
LCMS(系D):t
RET=1.06〜1.08分、MH
+1129
この材料を次の反応に直接用いた。
【0357】
中間体15:(1R,6R,8R,9S,10R,15R,17R,18R)-17-(2-アミノ-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル)-8-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-9,18-ビス[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-3,12-ジヒドロキシ-2,4,11,13,16-ペンタオキサ-3λ
5,12λ
5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.0
6,10]オクタデカン-3,12-ジオン
【0359】
粗N-{9-[(1R,6R,8R,9S,10R,15R,17R,18R)-9,18-ビス[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-3-(2-シアノエトキシ)-12-ヒドロキシ-17-[2-(2-メチルプロパンアミド)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル]-3,12-ジオキソ-2,4,11,13,16-ペンタオキサ-3λ
5,12λ
5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.0
6,10]オクタデカン-8-イル]-9H-プリン-6-イル}ベンズアミド(470mg、0.417mmol)のメタノール(8mL)溶液に、0.88アンモニア溶液(8mL)を加えた。懸濁液を、密封されたマイクロウェーブバイアル中、55℃で64時間撹拌した。冷却された反応混合物を、真空中で蒸発させて(メタノールを反応混合物に加えて、蒸発中起泡を減らした)、淡黄色の固形物(478mg)を得、これを、最小体積のDMSOに溶解し、プレコンディショニングされた逆相Biotage 120g KP-C18-HSカートリッジに適用し、18カラム体積に対して、15〜40%のアセトニトリル(+0.1% 0.88アンモニア溶液)-アンモニア溶液でpH10に調整した水中の10mM重炭酸アンモニウム勾配を用いて溶出した(検出波長254nm)。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて、白色の固形物(163mg)として表題化合物を得た。
LCMS(系D):t
RET=0.73分、MH
+901
【0360】
中間体16:(2R,3R,4R,5R)-5-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-3-イル水素ホスホネート
【0362】
(2R,3R,4R,5R)-5-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-2-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)テトラヒドロフラン-3-イル(2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホロアミダイト(628mg、0.636mmol)から中間体5と同様に調製して、無水アセトニトリル(約2mL)中の表題化合物の懸濁液を得た。
LCMS(系E):t
RET=0.74分、MH
+550
【0363】
中間体17:(2R,3R,4R,5R)-5-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-((((((1S,2R,3R,5R)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(2-イソブチルアミド-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)シクロペンチル)オキシ)(2-シアノエトキシ)ホスホリル)オキシ)メチル)テトラヒドロフラン-3-イル水素ホスホネート
【0365】
(1S,2R,3R,5R)-3-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(2-イソブチルアミド-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)シクロペンチル(2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホロアミダイト(801mg、0.827mmol)及び粗(2R,3R,4R,5R)-5-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-3-イル水素ホスホネート(材料の理論質量:350mg、0.636mmol)から中間体10と同様に調製した。表題の粗化合物を、無水ピリジン(6mL)中の溶液として得、これを次の反応に直接用いた。
LCMS(系B):t
RET=1.00分、MH
+1130
【0366】
中間体18:N-{9-[(1S,6R,8R,9R,10R,15R,17R,18R)-9,18-ビス[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-3-(2-シアノエトキシ)-12-ヒドロキシ-17-[2-(2-メチルプロパンアミド)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル]-3,12-ジオキソ-2,4,7,11,13-ペンタオキサ-3λ
5,12λ
5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.0
6,10]オクタデカン-8-イル]-9H-プリン-6-イル}ベンズアミド
【0368】
粗(2R,3R,4R,5R)-5-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-((((((1S,2R,3R,5R)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(2-イソブチルアミド-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)シクロペンチル)オキシ)(2-シアノエトキシ)ホスホリル)オキシ)メチル)テトラヒドロフラン-3-イル水素ホスホネート(粗混合物中の所望の材料の理論質量:0.719g、0.636mmol)を、2-クロロ-5,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサホスホリナン2-オキシド(2×411mg、2.226mmol及び1×116mg、0.635mmol)で処理し、水(0.915mL)及びヨウ素(210mg、0.827mmol)で急冷して、後処理及びクロマトグラフィーによる精製後、淡黄色の固形物(290mg)として表題の粗化合物を得ることにより、中間体14と同様に調製した。
LCMS(系B):t
RET=1.06、1.08分、MH
+1128
この材料を次の反応に直接用いた。
【0369】
中間体19:(1S,6R,8R,9R,10R,15R,17R,18R)-17-(2-アミノ-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル)-8-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-9,18-ビス[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-3,12-ジヒドロキシ-2,4,7,11,13-ペンタオキサ-3λ
5,12λ
5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.0
6,10]オクタデカン-3,12-ジオン
【0371】
粗N-{9-[(1S,6R,8R,9R,10R,15R,17R,18R)-9,18-ビス[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-3-(2-シアノエトキシ)-12-ヒドロキシ-17-[2-(2-メチルプロパンアミド)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル]-3,12-ジオキソ-2,4,7,11,13-ペンタオキサ-3λ
5,12λ
5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.0
6,10]オクタデカン-8-イル]-9H-プリン-6-イル}ベンズアミド(290mg、0.257mmol)のメタノール(7mL)溶液に、0.88アンモニア溶液(7mL)を加えた。懸濁液を、密封されたマイクロウェーブバイアル中、55℃で94時間撹拌し、次いで、冷却し、真空中で蒸発させて(メタノールを反応混合物に加えて、蒸発中起泡を減らした)、淡黄色の固形物を得た。この固形物を、メタノール(9mL)に溶解し、0.88アンモニア溶液(9mL)を加えた。得られた懸濁液を、密封されたマイクロウェーブバイアル中、55℃で22時間撹拌し、次いで、冷却し、真空中で蒸発させて(メタノールを反応混合物に加えて、蒸発中起泡を減らした)、淡黄色の固形物(260mg)を得た。この材料を、最小体積のDMSOに溶解し、プレコンディショニングされた逆相Biotage 120g KP-C18-HSカートリッジに適用し、17カラム体積に対して、15〜40%アセトニトリル(+0.1% 0.88アンモニア溶液)-アンモニア溶液でpH10に調整した水中の10mM重炭酸アンモニウム勾配を用いて溶出した(検出波長254nm)。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて(アセトニトリルを画分に加えて、蒸発中起泡を減らした)、白色の固形物(71mg)として表題の粗化合物を得た。
LCMS(系B):t
RET=0.77分、MH
+901
【0372】
中間体20:(2R,3R,4R,5R)-5-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-3-イル水素ホスホネート
【0374】
(2R,3R,4R,5R)-5-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-2-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-フルオロテトラヒドロフラン-3-イル(2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホロアミダイト(453mg、0.517mmol)から中間体5と同様に調製して、無水アセトニトリル(約2mL)中の表題の粗化合物の懸濁液を得た。
LCMS(系E):t
RET=0.50分、MH
+438
【0375】
中間体21:(2R,3R,4R,5R)-5-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-2-((((((1S,2R,3R,5R)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(2-イソブチルアミド-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)シクロペンチル)オキシ)(2-シアノエトキシ)ホスホリル)オキシ)メチル)-4-フルオロテトラヒドロフラン-3-イル水素ホスホネート
【0377】
(1S,2R,3R,5R)-3-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(2-イソブチルアミド-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)シクロペンチル(2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホロアミダイト(651mg、0.672mmol)及び粗(2R,3R,4R,5R)-5-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-3-イル水素ホスホネート(材料の理論質量:226mg、0.517mmol)から中間体10と同様に調製した。表題の粗化合物を、無水ピリジン(5mL)中の溶液として得、これを次の反応に直接用いた。
LCMS(系B):t
RET=0.89分、MH
+1018
【0378】
中間体22:N-{9-[(1S,6R,8R,9R,10R,15R,17R,18R)-18-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-3-(2-シアノエトキシ)-9-フルオロ-12-ヒドロキシ-17-[2-(2-メチルプロパンアミド)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル]-3,12-ジオキソ-2,4,7,11,13-ペンタオキサ-3λ
5,12λ
5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.0
6,10]オクタデカン-8-イル]-9H-プリン-6-イル}ベンズアミド
【0380】
粗(2R,3R,4R,5R)-5-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-2-((((((1S,2R,3R,5R)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(2-イソブチルアミド-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)シクロペンチル)オキシ)(2-シアノエトキシ)ホスホリル)オキシ)メチル)-4-フルオロテトラヒドロフラン-3-イル水素ホスホネート(粗混合物中の所望の材料の理論質量:0.526g、0.517mmol)を、2-クロロ-5,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサホスホリナン2-オキシド(2×334mg、1.810mmol、1×95mg、0.517mmol)で処理し、水(0.744mL)及びヨウ素(171mg)で急冷することにより中間体14と同様に調製して、後処理及びクロマトグラフィーによる精製後、淡黄色の固形物(175mg)として表題の粗化合物を得た。
LCMS(系B):t
RET=0.84分、MH
+1016
この材料を次の反応に直接用いた。
【0381】
中間体23:(1S,6R,8R,9R,10R,15R,17R,18R)-17-(2-アミノ-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル)-8-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-18-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-9-フルオロ-3,12-ジヒドロキシ-2,4,7,11,13-ペンタオキサ-3λ
5,12λ
5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.0
6,10]オクタデカン-3,12-ジオン
【0383】
粗N-{9-[(1S,6R,8R,9R,10R,15R,17R,18R)-18-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-3-(2-シアノエトキシ)-9-フルオロ-12-ヒドロキシ-17-[2-(2-メチルプロパンアミド)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル]-3,12-ジオキソ-2,4,7,11,13-ペンタオキサ-3λ
5,12λ
5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.0
6,10]オクタデカン-8-イル]-9H-プリン-6-イル}ベンズアミド(175mg、0.172mmol)のメタノール(6mL)溶液に、0.88アンモニア溶液(5mL)を加えた。懸濁液を、密封されたマイクロウェーブバイアル中、50℃で23時間撹拌した。0.88アンモニア溶液(2mL)を加え、反応混合物を50℃でさらに24時間撹拌し、次いで、冷却し、真空中で蒸発させて(メタノールを反応混合物に加えて、蒸発中起泡を減らした)、淡黄色の固形物(185mg)を得た。この材料を、メタノール(10mL)に溶解し、0.88アンモニア溶液(7mL)を加え、懸濁液を、密封されたマイクロウェーブバイアル中、50℃で20時間撹拌した。冷却された反応混合物を、真空中で蒸発させて(メタノールを反応混合物に加えて、蒸発中起泡を減らした)、淡黄色の固形物(185mg)を得た。この材料を再度メタノール(10mL)に溶解し、0.88アンモニア溶液(7mL)を加え、懸濁液を、密封されたマイクロウェーブバイアル中、50℃で24時間撹拌した。冷却された反応混合物を、真空中で蒸発させて(メタノールを反応混合物に加えて、蒸発中起泡を減らした)、淡黄色の固形物(186mg)を得た。この粗生成物を、最小体積のDMSOに溶解し、プレコンディショニングされた逆相Biotage 120g KP-C18-HSカートリッジに適用し、15カラム体積に対して、5〜40%アセトニトリル(+0.1% 0.88アンモニア溶液)-アンモニア溶液でpH10に調整した水中の10mM重炭酸アンモニウム勾配を用いて溶出した(検出波長254nm)。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて、白色の固形物(43mg)として表題化合物を得た。
LCMS(系B):t
RET=0.57分、MH
+789
【0384】
[実施例]
[実施例1]
(1S,6R,8R,9S,10R,15R,17R,18R)-17-(2-アミノ-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル)-8-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-3,9,12,18-テトラヒドロキシ-2,4,11,13-テトラオキサ-3λ
5,12λ
5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.0
6,
10]オクタデカン-3,12-ジオンアンモニウム塩
【0386】
(1S,6R,8R,9S,10R,15R,17R,18R)-17-(2-アミノ-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル)-8-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-9,18-ビス[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-3,12-ジヒドロキシ-2,4,11,13-テトラオキサ-3λ
5,12λ
5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.0
6,
10]オクタデカン-3,12-ジオン(29mg、0.032mmol)を、ピリジン(0.5mL)に懸濁し、丸底フラスコをシュバシールで密封し/窒素ラインを挿入した。懸濁液を、トリエチルアミン(0.5mL)及びトリエチルアミン三フッ酸塩(0.263mL、1.613mmol)を1分間にわたって同時に滴下する前に、50℃の油浴中で加熱した。混合物を、50℃で2.5時間撹拌した。溶液を、HPLCグレードのアセトン(2.8mL)を2分間にわたって滴下する前に室温まで放冷した。得られた微細な懸濁液を安定させた。液体部分の大部分をデカントし、スラリを、アセトン(2×2mL)で連続的に洗浄した。得られた湿潤の固形物を、真空中で蒸発乾固して、無色の油を得た。この材料を、最小体積の水に溶解し、プレコンディショニングされた逆相Biotage 60g KP-C18-HSカートリッジに適用し、アンモニア溶液(3カラム体積)でpH10に調整した水中の10mM重炭酸アンモニウムを用いて溶出し、その後、17カラム体積に対して、0〜15%アセトニトリル(+0.1% 0.88アンモニア溶液)-アンモニア溶液でpH10に調整した水中の10mM重炭酸アンモニウム勾配を用いて溶出した(検出波長254nm)。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて、白色の固形物(7mg)として表題化合物を得た。
LCMS(系D):t
RET=0.18分、MH
+671
【0387】
[実施例2]
(1R,6R,8R,9S,10R,15R,17R,18R)-17-(2-アミノ-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル)-8-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-3,9,12,18-テトラヒドロキシ-2,4,11,13,16-ペンタオキサ-3λ
5,12λ
5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.0
6,
10]オクタデカン-3,12-ジオン,ビスアンモニウム塩
【0389】
(1R,6R,8R,9S,10R,15R,17R,18R)-17-(2-アミノ-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル)-8-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-9,18-ビス[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-3,12-ジヒドロキシ-2,4,11,13,16-ペンタオキサ-3λ
5,12λ
5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.0
6,10]オクタデカン-3,12-ジオン(163mg、0.181mmol)から実施例1と同様に調製し、白色の固形物(81mg)として表題化合物を得た。
LCMS(系D):t
RET=0.16分、MH
-671
【0390】
[実施例3]
(1S,6R,8R,9R,10S,15R,17R,18R)-17-(2-アミノ-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル)-8-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-3,9,12,18-テトラヒドロキシ-2,4,7,11,13-ペンタオキサ-3λ
5,12λ
5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.0
6,
10]オクタデカン-3,12-ジオン,ビスアンモニウム塩
【0392】
(1S,6R,8R,9R,10R,15R,17R,18R)-17-(2-アミノ-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル)-8-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-9,18-ビス[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-3,12-ジヒドロキシ-2,4,7,11,13-ペンタオキサ-3λ
5,12λ
5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.0
6,
10]オクタデカン-3,12-ジオン(71mg、0.079mmol)から実施例1まで同様に調製し、白色の固形物(23mg)として表題化合物を得た。
LCMS(系D):t
RET=0.17分、MH
+673
【0393】
[実施例4]
(1S,6R,8R,9R,10R,15R,17R,18R)-17-(2-アミノ-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル)-8-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-9-フルオロ-3,12,18-トリヒドロキシ-2,4,7,11,13-ペンタオキサ-3λ
5,12λ
5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.0
6,
10]オクタデカン-3,12-ジオン,ビスアンモニウム塩
【0395】
(1S,6R,8R,9R,10R,15R,17R,18R)-17-(2-アミノ-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル)-8-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-18-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-9-フルオロ-3,12-ジヒドロキシ-2,4,7,11,13-ペンタオキサ-3λ
5,12λ
5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.0
6,10]オクタデカン-3,12-ジオン(43mg、0.055mmol)を、ピリジン(0.8mL)に懸濁し、丸底フラスコを、シュバシールで密封し/窒素ラインを挿入した。懸濁液を、トリエチルアミン(1.0mL)及びトリエチルアミン三フッ酸塩(0.44mL、2.70mmol)を1分間にわたって同時に滴下する前に、50℃の油浴中で加熱した。混合物を、50℃で2.5時間撹拌した(反応混合物はここで溶液である)。トリエチルアミン三フッ酸塩0.2mL(1.228mmol)をさらに加え、混合物を50℃で2.5時間撹拌し、次いで、室温で15時間撹拌した。HPLCグレードのアセトン(10mL)を2分間にわたって滴下し、得られた微細な懸濁液を安定させた。液体部分の大部分をデカントし、得られた湿潤の固形物を、真空中で蒸発乾固して、無色の油を得た。この材料を、最小体積の水に溶解し、プレコンディショニングされた逆相Biotage 60g KP-C18-HSカートリッジに適用し、アンモニア溶液(3カラム体積)でpH10に調整した水中の10mM重炭酸アンモニウムを用いて溶出し、その後、17カラム体積に対して、0〜15%アセトニトリル(+0.1% 0.88アンモニア溶液)-アンモニア溶液でpH10に調整した水中の10mM重炭酸アンモニウム勾配を用いて溶出した(検出波長254nm)。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて、白色の固形物(8mg)として表題化合物を得た。
LCMS(系D):t
RET=0.17、0.20分、MH
+675
【0396】
本化合物は、Liら(Nature Chemical Biology、10巻、1043〜1048頁、(2014年))によって記載されており、pIC
50が>4であったものと類似のSTING結合アッセイで試験した。
(付記)
(付記1)
式(I)の化合物
【化43】
[式中、
Y1及びY2は、独立にCH2又は0であり、
R1は、OHであり、R2は、NH2であり、又はR1はNH2であり、R2はHであり、
R3は、OHであり、R4は、NH2であり、又はR3はNH2であり、R4はHであり、
R5=OH、Fであり、
R6=OH、Fであり、
並びにR5及びR6の両方がOHである場合、Y1及びY2の少なくとも1つはCH2である]
(その互変異性体を含む)又はその薬学的に許容される塩。
(付記2)
Y1及びY2の少なくとも1つがCH2である、付記1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
(付記3)
Y1がCHであり、Y2がOである、付記1又は2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
(付記4)
Y1がOであり、Y2がCHである、付記1又は2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
(付記5)
Y1及びY2が両方ともCHである、付記1又は2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
(付記6)
Y1及びY2が両方ともOであり、R5及びR6の少なくとも1つがFである、付記5に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
(付記7)
R3がNH2であり、R4がHである、付記1から6のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
(付記8)
R2がNH2であり、R1がOHである、付記1から6のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
(付記9)
R3がNH2であり、R4がHであり、R2がNH2であり、R1がOHである、付記1から8のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
(付記10)
R3がNH2であり、R4がHであり、R2がNH2であり、R1がOHであり、R5がOHであり、R6がOHである、付記1から9のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
(付記11)
(1S,6R,8R,9S,10R,15R,17R,18R)-17-(2-アミノ-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル)-8-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-3,9,12,18-テトラヒドロキシ-2,4,11,13-テトラオキサ-3λ5,12λ5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.06,10]オクタデカン-3,12-ジオン
(1R,6R,8R,9S,10R,15R,17R,18R)-17-(2-アミノ-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル)-8-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-3,9,12,18-テトラヒドロキシ-2,4,11,13,16-ペンタオキサ-3λ5,12λ5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.06,10]オクタデカン-3,12-ジオン
(1S,6R,8R,9R,10S,15R,17R,18R)-17-(2-アミノ-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル)-8-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-3,9,12,18-テトラヒドロキシ-2,4,7,11,13-ペンタオキサ-3λ5,12λ5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.06,10]オクタデカン-3,12-ジオン
(1S,6R,8R,9R,10R,15R,17R,18R)-17-(2-アミノ-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-9-イル)-8-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-9-フルオロ-3,12,18-トリヒドロキシ-2,4,7,11,13-ペンタオキサ-3λ5,12λ5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.06,10]オクタデカン-3,12-ジオンである、付記1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
(付記12)
療法において、特に、STINGのモジュレーションが有益である疾患及び状態の治療において用いるための、付記1に記載の式(I)のすべて又はその薬学的に許容される塩。
(付記13)
付記1から11のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される賦形剤の1種以上を含む、医薬組成物。
(付記14)
付記1から11のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩の治療有効量を投与するステップを含む、対象においてSTINGのモジュレーションが有益である疾患及び状態を治療する方法。
(付記15)
STINGのモジュレーションが有益である疾患及び状態の治療において用いるための医薬品の製造における、付記1から11のいずれか一項に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
(付記16)
付記1から11のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩及び少なくとも1種のさらなる治療薬を含む、組み合わせ。
(付記17)
療法において、特に、STINGのモジュレーションが有益である疾患及び状態を治療するために用いるための、付記1から11のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩及び少なくとも1種のさらなる治療薬を含む、組み合わせ。
(付記18)
付記1から11のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩及び少なくとも1種のさらなる治療薬を含む組み合わせの治療有効量を、それを必要とするヒトに投与するステップを含む、STINGのモジュレーションが有益である疾患及び状態を治療する方法。
(付記19)
STINGのモジュレーションが有益である疾患及び状態を治療するための医薬品の製造における、付記1から11のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩及び少なくとも1種のさらなる治療薬を含む、組み合わせの使用。