特許第6462007号(P6462007)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゲーエーアー プロセス エンジニアリング アクティーゼルスカブの特許一覧

特許6462007噴霧乾燥用空気分散機、および金属成形を含む空気分散機の製造方法。
<>
  • 特許6462007-噴霧乾燥用空気分散機、および金属成形を含む空気分散機の製造方法。 図000002
  • 特許6462007-噴霧乾燥用空気分散機、および金属成形を含む空気分散機の製造方法。 図000003
  • 特許6462007-噴霧乾燥用空気分散機、および金属成形を含む空気分散機の製造方法。 図000004
  • 特許6462007-噴霧乾燥用空気分散機、および金属成形を含む空気分散機の製造方法。 図000005
  • 特許6462007-噴霧乾燥用空気分散機、および金属成形を含む空気分散機の製造方法。 図000006
  • 特許6462007-噴霧乾燥用空気分散機、および金属成形を含む空気分散機の製造方法。 図000007
  • 特許6462007-噴霧乾燥用空気分散機、および金属成形を含む空気分散機の製造方法。 図000008
  • 特許6462007-噴霧乾燥用空気分散機、および金属成形を含む空気分散機の製造方法。 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6462007
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】噴霧乾燥用空気分散機、および金属成形を含む空気分散機の製造方法。
(51)【国際特許分類】
   B01D 1/20 20060101AFI20190121BHJP
   F26B 17/10 20060101ALI20190121BHJP
   F26B 21/00 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
   B01D1/20
   F26B17/10 B
   F26B21/00 B
【請求項の数】15
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-571142(P2016-571142)
(86)(22)【出願日】2014年6月4日
(65)【公表番号】特表2017-520395(P2017-520395A)
(43)【公表日】2017年7月27日
(86)【国際出願番号】DK2014050160
(87)【国際公開番号】WO2015185060
(87)【国際公開日】20151210
【審査請求日】2016年12月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】516114569
【氏名又は名称】ゲーエーアー プロセス エンジニアリング アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100174942
【弁理士】
【氏名又は名称】平方 伸治
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】ケント リュックシュテット ニルスン
【審査官】 菊地 寛
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−022025(JP,U)
【文献】 特開2008−111376(JP,A)
【文献】 特表2012−516974(JP,A)
【文献】 特表平05−504090(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02302832(GB,A)
【文献】 米国特許第05102329(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 1/20
F26B 3/12
F26B 17/10
F26B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧乾燥装置用の空気分散機(4)において、内周と外周との内側に画定された空間(45)を形成する上部、底部および外周壁を含む複数の構成要素を備え、かつ、空気入口(81)と、1組の案内羽根(7)と、霧化手段からの供給出口の上方に位置付けされるように適合された前記内周にある空気出口(82)と、を有する空気分散機であって、前記空間(45)の前記底部および外部壁が、下部部分(51)と上部部分(52)とを含む2重壁ユニットとして形成されたベースモジュール(5)によって提供されていることを特徴とする空気分散機。
【請求項2】
前記下部部分(51)および前記上部部分(52)が、少なくとも1つの連結要素(56)を用いて互いに連結されている、請求項1に記載の空気分散機。
【請求項3】
前記連結要素(56)が、金属プレートとして形成される、請求項2に記載の空気分散機。
【請求項4】
前記構成要素には、前記上部が含まれ、前記上部がトッププレート(6)により提供されている、請求項1に記載の空気分散機。
【請求項5】
前記トッププレート(6)が、2部分トッププレートである、請求項4に記載の空気分散機。
【請求項6】
前記ベースモジュール(5)の直径が0.3〜3mの範囲内にある、請求項1に記載の空気分散機。
【請求項7】
前記ベースモジュール(5)の直径が0.5〜1.5mの範囲内にある、請求項に記載の空気分散機。
【請求項8】
前記1組の案内羽根の案内羽根(7)には、前記内周における高さが前記外周における高さより小さい、湾曲した角状の形状を有する上縁部が具備されている、請求項1に記載の空気分散機。
【請求項9】
前記空間(45)を閉鎖する前記トッププレート(6)が、固定手段により前記ベースモジュール(5)に解除可能に連結されている、請求項4又は5に記載の空気分散機。
【請求項10】
前記トッププレート(6)が、部分的または完全に、前記案内羽根(7)の前記上縁部に対応する形状を有する、請求項に記載の空気分散機。
【請求項11】
前記ベースモジュール(5)の前記下部部分(51)が、噴霧乾燥装置の乾燥チャンバの天井を形成するように適合されている、請求項1に記載の空気分散機。
【請求項12】
噴霧乾燥装置内の乾燥用空気流を改善するための方法において、
上部、底部および外周壁を含む複数の構成要素と、一組の案内羽根と、出口と、を伴う空気分散機を提供するステップと、
前記構成要素を互いに連結するステップと、
を備え、少なくとも前記底部および前記外部壁を提供するステップが、メタルスピニングにより下部部分(51)および上部部分(52)を含むベースモジュール(5)を形成することによって行なわれる、方法。
【請求項13】
前記下部部分(51)および前記上部部分(52)がメタルスピニングすることによって形成され、前記上部部分(52)が後に接合される2つの区分として形成される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記下部部分(51)と前記上部部分(52)とを連結する追加のステップが存在する、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記追加のステップには、連結要素(56)を提供し前記連結要素(56)を前記下部部分(52)および前記上部部分(52)に連結するステップが含まれる、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧乾燥装置用空気分散機において、内半径および外半径の内側に画定された空間を形成する上部、底部および外周壁を含む複数の構成要素を備え、かつ、空気入口と、1組の案内羽根と、霧化手段からの供給物出口の上方に位置付けされるように適合された前記内半径にある空気出口と、を有する空気分散機に関する。本発明はさらに、噴霧乾燥装置内の乾燥用空気流を改善するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
概して、噴霧乾燥は多くの方法で行なうことができ、全ての種類に対して、噴霧乾燥装置内の空気分配が最も重要な部分の1つであるということがあてはまる。プラント設計および生産すべき製品のタイプに応じて様々なシステムが存在する。噴霧乾燥器内では、おおよそ直線の「栓流」空気流かまたは旋回空気流のいずれかを達成するために、空気分散機の異なる設計または調整が使用されている。最も一般的なのは、空気分散機を噴霧乾燥器天井の最上部に位置付けし、空気分散機の中央に霧化装置(単複)を設置して、空気と霧化された液滴との最適な混合を保証することである。
【0003】
このような空気分散機は、様々なサイズで提供されており、従来、典型的には切断、鋳造、ダイカストまたは曲げ成形される構成要素の溶接を含む組立て技術を用いて製造されている。したがって、比較的多数の構成要素を取扱い互いに連結する必要がある。構成要素としては、ボウル形状構造として形成された空間内に順に組付けられて空気分散機の内部での乾燥用空気の分配を提供する案内羽根構造物内に配設すべき1組の案内羽根が含まれる。このような構造物を内蔵する先行技術の空気分散機の例は、米国特許第4,227,896号(Niro)および国際公開第2007/071238A1号(Niro)である。案内羽根は通常、空気分散機の近接した1つまたは複数の部品に溶接される。
【0004】
これらの空気分散機は、信頼性の高い動作を提供するものの、この空気分散機の製造方法は比較的面倒であり、特に組立てに起因していくつかのデメリットをもたらす。資源費用に加えて、各々特定の許容誤差を伴う個別の構成要素の製造および溶接を含めた後続する組立ては、必然的に、モデル構成からのそして空気分散機毎の偏差の発生をひき起こす。次に、偏差が乾燥用空気流の変動を導くことになる。このことは、空気分散機の寸法が小さく、従来の技術により製造された装置内における相対的な累計許容誤差が相当大きなものとなり得るより小さい噴霧乾燥用装置において、特に顕著である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、製造および作動の条件が改善されている、噴霧乾燥装置用の空気分散機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様において、この目的およびさらなる目的は、導入部で言及されたタイプで、さらに前記構成要素の少なくとも一部が精密金属成形により形成されることを特徴とする空気分散機を提供することにより達成される。
【0007】
本発明は、精密金属成形によりベースモジュールの少なくともいくつかの部分を提供することの結果である、空気分散機の構成における精度および予測可能性の向上によって製品の品質における信頼性の改善が達成されるとの認識に基づくものである。こうして、乾燥用空気流が偏向する傾向は削減されて、非対称流から発生する製品被着物のリスクが除去されるかまたは少なくとも低減され、このことが今度は、乾燥された製品の品質に影響を及ぼす可能性がある。本発明に係る空気分散機は、高度の予測可能性を伴って製造可能であり、構成に再現性があるために、個別の空気分散機間の変動が、より多数の構成要素の製造および組立てを含む先行技術の装置に比べて実質的に低くなる。このことは次に、従来の製造および組立てに比べて大きい、精密金属成形に求められる工具および機械類への投資を補償する。本発明によって得られる利点は、より小規模の噴霧乾燥プラントにおいて特に顕著である。
【0008】
本明細書中で使用する「空気分散機」なる用語は、噴霧乾燥器において使用されるべき乾燥用気体の供給を受けるあらゆる分散機を意味する。当業者であれば、霧化すべき液体が水溶液である場合、乾燥用気体として空気がしばしば使用され、一方霧化すべき液体が非水溶液であるかまたは製品の酸化が回避されなければならない場合、例えば窒素などの不活性気体が使用される確率がより高くなる、ということを認識している。その結果、「乾燥用空気」なる用語は、噴霧乾燥プロセスにおいて使用可能な全てのタイプの乾燥用気体を網羅している。さらに、「噴霧乾燥」なる用語は、乾燥、冷却および供給物の調節を含むあらゆるプロセスを包含するとして解釈されるべきである。
【0009】
1つの好ましい実施形態において、前記構成要素は、少なくとも前記空間の底部と外部壁とを含み、前記空間の底部および外部壁は下部部分と上部部分とを含む2重壁ユニットとして形成されたベースモジュールによって提供されており、下部部分および上部部分は、精密金属成形により形成されている。
【0010】
精密金属成形は、原則的に、求められる精度ひいては改善された乾燥用空気流を得ることを可能にする任意のタイプから選択され得る。好ましい実施形態のさらなる開発においては、下部部分および上部部分の各々がメタルスピニングにより形成される。
【0011】
メタルスピニングには典型的に、深絞りまたは加圧成形などの他の金属成形技術がもつ汎用性は無い。このプロセスの性質上、メタルスピニングは不規則な形状を創成することはできない。しかしながら、鐘形、球形および管状形態のためには、メタルスピニングは極めて費用対効果性が高い場合が多い。これはメタルスピニングの固定費用が高いことの結果ではなく変動費用が比較的低いことの結果である。メタルスピニングの性質に起因して、絶対的に回転対称の品物が生産され、このことは、該当の物体にとって非常に重要である。
【0012】
下部部分と上部部分との間の連結は、原則的に任意の好適な方法で行なわれ得るが、好ましい開発においては、適切な曲率に湾曲された金属プレートによって形成される少なくとも1つの連結要素を用いて互いに連結されている。連結要素はこうして、空気分散機の包容部分として機能する。
【0013】
精密金属成形により形成されるべき他の構成要素としては、上部が含まれ、この上部は有利には、トッププレート、任意には2部分トッププレートにより提供されている。トッププレートは、好ましいさらなる開発において、メタルスピニングによって形成される。
【0014】
第2の態様では、噴霧乾燥装置内の乾燥用空気流を改善するための方法が提供されている。
【0015】
さらなる詳細および利点は、詳細な説明および添付の特許請求の範囲から明らかになる。
【0016】
以下では、好ましい実施形態の以下の説明を用い、図面を参照しながら、本発明についてさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】噴霧乾燥装置の天井内に組付けられた先行技術の空気分散機の部分斜視断面図を示す。
図2】本発明の第1の実施形態における空気分散機の部分斜視断面図を示す。
図3】本発明の第1の実施形態における空気分散機の部分斜視断面図を示す。
図4】第2および3に示された空気分散機の細部の斜視図である。
図5】第1の実施形態の空気分散機の上面図である。
図6図5のラインA−Aに沿った空気分散機の拡大断面図である。
図7図6の断面Bのさらに拡大した部分断面図である。
図8】本発明に係る空気分散機のさらなる実施形態の概略的横断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1では、全体として1という番号で呼称されている先行技術の噴霧乾燥装置の上部の関連部分が示されている。この噴霧乾燥装置1は、噴霧乾燥させるべき供給物が好適な霧化手段3を用いてその上部に導入される乾燥用チャンバ2を備えており、この供給物は、噴霧乾燥装置の乾燥用チャンバ2の天井に組付けられた全体として4という番号で呼称されている空気分散機を介して導入される乾燥用空気によって、乾燥用チャンバ2内において、場合によっては渦巻く、下向きの運動に付される。噴霧乾燥装置は、例えば、内部にさらなる構成要素が存在し、乾燥プロセスおよび材料の乾燥に付随する他のプロセスが実施される噴霧乾燥プラントの一部を成す。
【0019】
ここで図2図10を参照して、本発明に係る4という番号で呼称されている空気分散機の第1の実施形態について幾分か詳細に説明する。なお、本発明に係る空気分散機が内部に組込まれるように適合されている噴霧乾燥装置の部品は、先行技術の装置のものに対応し得るが、一部の細部において変わる場合もある。
【0020】
空気分散機4は、軸方向を画定する長手方向軸およびこの軸方向に直交して延在する半径方向を有する。軸方向yは、図6に表わされている。空気分散機は、図示されている実施形態において、別個の空気入口部品8を介して乾燥用空気または気体の供給部に連結されており、内半径および外半径の内側に画定された空間45に通じる空気入口81を有する。空間45は、図2に最も明確に示されている通り、上部、底部および外周壁により画定されている。図示された実施形態において、上部はトッププレート6により提供され、底部および外部壁は以下でさらに詳述する通りに構築されたベースモジュール5により提供される。空間45内部に、1組の案内羽根7が位置付けされている。内半径には空気出口82が存在し、組付け条件下でノズルまたは回転式アトマイザなどの霧化手段の供給物出口を取り囲む。
【0021】
案内羽根7の構成に関する詳細は、本出願と同じ日付の出願人の同時係属出願内に記載されている。
【0022】
図2図8に示されている実施形態において、ベースモジュール5は、下部部分51と上部部分52とを含む2重壁ユニットとして形成されており、ここで、空間45の底部および外部壁は上部部分52により形成されている。図10の詳細図の中で最も明確に示されている通り、空気分散機には、下部部分51と上部部分52との間に挿入された絶縁材料53が具備されている。
【0023】
図示されている実施形態において空気分散機のベースモジュール5の外周で、下部部分51および上部部分52は連結要素56を用いて互いに連結されている。
【0024】
特に図8および図9で示されている通り、図示された実施形態に係る空気分散機は、ベースモジュール5との解除可能な連結のための絶縁モジュール9を含んでいる。随意に、絶縁モジュール9はトッププレート6とも連結され得る。
【0025】
ベースモジュールの外周に沿った1点において、別個の空気入口部品8がベースモジュール5に連結されている。詳細には示されていないものの、部品8は、乾燥用空気を供給するための管類を含み、空間45に対し接線方向または半径方向のいずれかで空気入口81に連結されている。
【0026】
図2図11に示されている実施形態において、案内羽根7には、外半径における高さよりも小さい内半径における高さを有する湾曲した角状の形状を有する上縁部が具備されている。ただし、他の形状も想定可能である。
【0027】
この実施形態において、空間45の上部は、別個のトッププレート6によって閉鎖されている。任意には2部分トッププレートであるトッププレート6は、好適な固定手段によりベースモジュールに連結され、ここではベースモジュール5にボルト締めされているが、ベースモジュール5に対する他の解除可能な連結も同様に想定可能である。同様にこの実施形態において、トッププレート6は案内羽根7の上縁部に対応する形状を有する。シーリング57を介してベースモジュール5の上部部分52の階段状部分が、トッププレート6の外縁部に向かって当接している。
【0028】
トッププレートの形状の如何に関わらず、トッププレートは軸方向yにおいて確実な係合を形成し、1組の案内羽根および固着用装置で構成された構造物の動きを防止することができる。
【0029】
図8において、それ自体公知の種類の全体的に35という番号で呼称されているノズルランスが、空気出口82において空気分散機を通って突出するように挿入されている。こうして、霧化手段3は、噴霧乾燥装置の作動中液体供給物(図示せず)の霧化を提供する。
【0030】
空気分散機の部品の材料および製造方法に関しては、案内羽根は、任意の好適な材料、例えば金属材料、典型的には鋼で製造され、レーザー切断によって形成され得る。1組の案内羽根および固着用装置を含む構造物内の位置を標示するマーキングも、レーザー切断によって提供され得る。想定可能な他の材料は、他の金属材料または複合材であるが、射出成形、ダイカスト成形などの製造技術を用いてポリマーおよびセラミクス材料を利用することもできる。
【0031】
本発明に係る空気分散機の構成要素の製造について、ここで、ベースモジュール5およびトッププレート6の実施形態を特に参考にして詳細に説明する。
【0032】
以上で説明した通り、本発明に係る空気分散機は、複数の構成要素を備え、構成要素の少なくとも一部は精密金属成形により形成される。精密金属成形には、工具および機械類を含め製造用設備に対する投資が必要とされる。
【0033】
図示された実施形態において、構成要素は、少なくとも空間45の底部と外部壁とを含み、ここで空間45の底部および外部壁は、下部部分51と上部部分52とを含む2重壁ユニットとして形成されたベースモジュール5によって提供されている。空間45の底部および外部壁は、上部部分52により形成され、下部部分51と上部部分52との両方共が精密金属成形により形成される。
【0034】
この実施形態において、下部部分51および上部部分52の各々が、メタルスピニングにより形成される。2つの区分からなる上部部分52を少なくとも形成することが想定可能であり、2つの区分の各々は、メタルスピニングにより形成され、その後例えば溶接により互いに接合される。
【0035】
このように、メタルスピニングは、円盤形ブランクから対称な三次元要素を得るための公知のプロセスである。
【0036】
アルミニウムまたはステンレス鋼から高力高温合金に至るまで、事実上あらゆる延性金属を形成することができる。形成された部品の直径および奥行きは、利用可能な設備のサイズにより制限される。スピニングプロセス自体は、比較的単純である。形成されたブロックが旋盤の駆動区分に組付けられる。予めサイジングされた金属円盤が次に、心押し台に取付けられた圧力パッドによりブロックに接して挟持される。ブロックとワークとは次に、共に高速で回転させられる。その後、ワークに対して局所的力が加えられて、ワークをブロック全体の上に展延させる。この力は通常、様々なへら型工具を介して適用される。単純なワークは、ブロックから取外すだけでよいが、より複雑な形状の場合マルチピースブロックが求められる可能性がある。ワークの最終直径はつねに、開始直径よりも小さい。スピニング工具は、アルミニウムと共に使用するためには硬化鋼製で、ステンレス鋼または軟鋼をスピニングする目的では中実真鍮製であり得る。一部のメタルスピニング工具は、形成プロセス中に軸受上を旋回できるようになっている。こうして、工具の摩擦および加熱は削減され、工具の寿命が延び、表面仕上げは改善される。回転工具には、工具の寿命を延ばすためにセラミックの薄膜をコーティングすることもできる。回転工具は一般に、CNCメタルスピニング作業中に使用される。商業的には、ハンドスピニングおよびCNCメタルスピニングの両方においてマンドレルに材料を押し付けて形成するため、概してへらの端部に組付けられたローラーが使用される。ローラーは、意図された用途に応じて、直径および厚みが変動する。ローラーが幅広になればなるほど、スピニングの表面は平滑になり、より小さな半径を形成するにはより薄いローラーを使用することができる。金属の切断は、手持ち式切断機、多くの場合、工具鋼で整形され/研磨された鑢が取付けられた約30cm(1フィート)の長さの中空棒により行なわれる。CNCの利用分野においては、炭化物または工具鋼切断工具が使用される。マンドレルは、他の金属加工プロセスで見られるように、過度な力を受けることはなく、したがって原則として任意の材料で製造可能であるが、硬質材料または多量使用の場合については、マンドレルは通常金属製である。
【0037】
同様に、図示された実施形態において、下部部分51および上部部分52は、適切な曲率に形成されたカット金属プレートとして形成され得る少なくとも1つの連結要素56を用いて互いに連結されている。
【0038】
精密メタルスピニングにより提供される他の構成要素には、図示された実施形態において、上部が含まれ、この上部は、トッププレート6によって提供され、このトッププレートは、図示されていない実施形態において2部分トッププレートである。同様に、トッププレート6は、ここでは金属スピニングにより形成される。
【0039】
ベースモジュール5の直径は、0.3〜3m、好ましくは0.5〜1.5mの範囲内にある。
【0040】
本発明に係る空気分散機がその中に組込まれるように適合されている噴霧乾燥装置の残りの部品は、図示されていない。これらの部品は例えば、先行技術を表わす図1の中に示されているものに対応し得る。本発明に係る空気分散機の1つの特定の使用分野において、ベースモジュールの下部部分51は、噴霧乾燥装置の乾燥用チャンバの天井を形成するように適合されている。
【0041】
空気分散機を組立てる方法は、原則的に、それが提供された要求を満たすかぎりにおいて、自由に選択され得る。
【0042】
本発明は、図示され以上で説明された実施形態に限定されるものとみなされるべきではなく、以下の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく、特徴の様々な修正および組合せを実施することが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8