【課題を解決するための手段】
【0006】
物体とロボットとの衝突を判断する方法が開示される。本方法は、ロボットの1つまたは複数の関節部分の実際の変位に関連付けられたパラメータを測定することにより前記ロボットの前記1つまたは複数の関節部分を監視する工程と、前記測定パラメータと当該命令変位に関連付けられた予想パラメータとを比較する工程と、物体との衝突の確率を判断する工程とを含む。
【0007】
ロボットの部品は頭、脚、足、腕、手、胴または他の部品(センサ、モータ、CPUなどの回路、通信基板)を含む。ロボットの運動は、その様々な部品の幾何学的位置と運動速度とにより特徴付けられ得る。
【0008】
一実施形態では、ロボットの実測された運動と送信された命令に関連付けられた予想運動との比較が行われる(命令は、関節位置に概して配置されるあるモータに印可される張力または電流に翻訳される)。
【0009】
例えば、1つの関節のセンサは現実(測定された)と計算(モデル化された、または予想された、または指示された、または命令された)間の差異を示し得る。典型的状況では、人間によりロボットへなされる握手は、一定の命令が送信されたときに腕の特定運動が検知されると検知され得る。
【0010】
効率的行動を維持するために、測定と比較は通常連続的に行われる。いくつかの他の実施形態では、測定は間欠的にまたは定期的にすら(例えば、補間により)行われる。
【0011】
測定に関して、ロボットは、頭、脚、足、腕、手、胴または他の部品上にセンサを埋め込み得る。これらのセンサの部品は容量性であり得る(すなわち、人間の皮膚接触を検知し得る)。これらのセンサは数に限りがある。したがって、ロボットをシステム全体と見なすグローバル手法が、グローバル状況への組み込みとその理解とを助け得る。
【0012】
一つの発展形態では、物体との衝突の確率を判断する工程は、ロボットの1つまたは複数の部品に関連付けられた1つまたは複数の故障を除外する工程を含む。
【0013】
起こり得るシステム故障をフィルタ処理する(例えば、1つの腕内のモータがある状況では遮断され得る)ことからなる任意選択的工程後、場合により独立にまたは少なくとも他の手段によりロボットのどの部分が障害物と遭遇したかが推論され得る。
【0014】
一つの発展形態では、本方法はさらに、コンピュータビジョンによりまたは前記物体と通信することにより衝突物体を識別する工程を含む。
【0015】
衝突物体のタイプ(子供、家具、動物、玩具など)がさらに識別または評価または判断され得る。このような識別を行う主方法は、接続または接続可能装置(Wifi、BLE、Wifiなどによるモノのインターネット)の存在下であれば画像認識および/または通信を含む。
【0016】
一つの発展形態では、本方法はさらに、1つまたは複数の行為を実行する工程を含む。
【0017】
衝突の確率の判断に基づき、いくつかの所定タスクまたは運動または行為が実行され得る。特定の実施形態では、例えば、物体タイプが識別される(画像認識または衝突物体内のRFIDタグが識別子をロボットへ提供し得る)と、別の行為が行われ得る。
【0018】
一つの発展形態では、行為は安全モードに関連付けられる。
【0019】
障害物との衝突が検知された後、多様な行為が続き得る。これらの行為は通常、ソフトウェアアプリケーション開発者により定義される。いくつかの状況では、「プログラムされた」好奇心がロボットに接触を更新することを試みさせ得る。いくつかの他の状況では、他のプログラムまたは活動がロボットに、更新された接触を回避することを試みさせ得る。中間行為が行われ得る(接触を更新するが低速で、など)。
【0020】
大抵の場合、ロボットは安全上の理由のために速度を落とす。特に、外力により移動されると、ロボットはその制御を緩和し得る(例えば、ロボットはその関節を堅くしない、ロボットは通常、主には、誰かを傷つけないように、そして自身が損傷するのを回避するために別の衝突を回避するために速度を落とす)。速度を落とすことは有利には、もしあれば別の衝撃を最小化できるようにする。
【0021】
換言すれば、安全性のために、一実施形態では、ロボットは、その動作を完全には停止しないにしてもその動作の速度を落とす(例えば、速度および/または振幅または動作を低減する)ことからなるデフォルト戦略を採用し得る。事象のいくつかの組み合わせは、ユーザが喜んでそれを行うまたはそうでなければそれと相互作用する(この場合、ロボットは他の行為を行い得る)ということをロボットに「理解」させる得る。
【0022】
一つの発展形態では、測定パラメータは幾何学的位置パラメータおよび/または変位速度パラメータを含む。
【0023】
一つの発展形態では、本方法はさらに、行われた比較における体系的差異を識別する工程を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、長期学習が長期にわたる体系的バイアスの検出から導出され得る(例えば、インストールベースで統計的に測定される)。ロボットの幾何学的位置の組み合わせ論は計算され知られている(幾何学形状と自由度は知られている、すなわち十分な精度でもって)。ロボットの動力学の組み合わせ論は十分には知られていない(例えばロボットの複雑かつ速い動作に関する)。例えば、いくつかの高速アニメーションは計画通りには正確に行われないかもしれない。実際の測定は、「特定動作(例えば、ダンス、空手)は損耗の兆しにつながるまたは危険な平衡状態を意味することを証明し得る」ということを検出するに至り得る。ひいては、当該動作のトレランス(tolerances)は禁止され得る(例えば、インストールベースに対してパッチ分散ベースにより)。命令の実行の際の失敗もまた、繰り返し発生すれば診断され得る。
【0025】
一つの発展形態では、ロボットの関節部分は、頭または脚、または足、または腕、または手または胴に関連付けられる。
【0026】
一つの発展形態では、物体との衝突の確率を判断する工程は、関連関節部分をグループ化する同じ関節鎖に属するロボットの関節部分に対して行われる比較を組み込む工程を含む。
【0027】
関節鎖は関節部分で構成される。例えば、各手上に2本の腕といくつかの容量センサを有するロボットを考察すると、右腕のすべての関節部分(または接合部)と右手のすべての容量センサとを含むグループ「右腕」が定義され得る。
【0028】
別の工程では、関節、触覚センサおよびバンパーは、信頼できる情報を出力するために一纏めにされ、ロボットの運動のグローバルな理解を提供する。容量センサ、バンパーおよびMREからの測定結果を融合する工程が開示される。容量センサ、バンパーおよびMREベース接触検知は高速振動(接触/非接触)を受け得る。これは接触情報を使用するアプリケーションにとって望ましくない。振動を最小化するために、一実施形態では、本方法は接合部とセンサとを関節鎖によりグループ化する。
【0029】
一つの発展形態では、グループ化工程は動的である。
【0030】
いくつかの実施形態では、関節鎖は予め定義され得る(すなわち、各鎖は安定したやり方で複数の関節部分を含む)が、いくつかの他の実施形態では、関節鎖は動的に定義され得る(例えば、胴と右腕は、ある時間には、同じかつ一意的質量に対応すると考えられ、他の時には周囲長が異なる)。この実施形態は計算を簡単にし得る。
【0031】
一つの発展形態では、測定工程と比較工程はロボットにより独立に行われる。
【0032】
一実施形態では、両方の工程(測定/比較を処理する工程)は(同じ)ロボットにより行われる。例えば、ソフトウェア実行は、これらの動作を行うために「ウオッチドッグ」または「デーモン」をバックグラウンドで連続的に実行させ得る。プロセスはある点(同じロボットが2つのプロセスをホストする)までは「独立」したままであり得る。センサとアクチュエータは物理的に独立しているが、論理的に関連付けまたは相関付けられ得る。
【0033】
一実施形態では、回路は冗長であり得る。別の実施形態では、このような冗長回路に関連付けられたエネルギー源ですら冗長であり得る。
【0034】
一実施形態では、測定工程はロボットにより行われ、比較工程は独立エンティティにより行われる。
【0035】
一実施形態では、独立エンティティは例えば第2のロボットであり得る。一実施形態では、独立エンティティは複数の他のロボットにより構成され得る(ロボットは自身を観測および監視し得る)。一実施形態では、ロボット近傍の独立カメラ(例えばユーザにより装着された、例えばスマートグラスまたはアパート内のウェブカメラ)はロボットの動作または変位のこのような独立評価を可能にし得る。
【0036】
前記コンピュータプログラムが好適なコンピュータ装置上で実行されると本方法の1つまたは複数の工程を行うための命令を含むコンピュータプログラムが開示される。
【0037】
本方法の1つまたは複数の工程を行うようにされた手段を含むシステムが開示される。ロボットは、近傍の心象地図を維持し得る(例えば、GPSは地下でまたはアパートまたは家の中で働かないかもしれないのでコンピュータビジョンにより)。
【0038】
一つの発展形態では、ロボットの一部の実際の変位は磁気ロータリ・エンコーダにより測定される。例えば、関節命令とセンサの測定結果(例えば、1つまたは複数のこのような磁気ロータリ・エンコーダにより測定される関節位置)間には測定誤差があり得る。
【0039】
別の発展形態では、ロボットの一部の測定された変位は容量センサまたはバンパーセンサにより確認される(これらのセンサは、障害物または動物または物体との接触を検知し得る、特に皮膚接触を検知し得る)。ロボットと物体または障害物との衝突に関し、実にいくつかの可能性がある。さらなる変位無しに接触が最初にあり得る(すなわち、ロボットは接触されるだけである)。接触と次に変位があり得る(すなわち、ロボットが接触され、衝突され、および/または衝突しており、接触位置が検知される)。また、事前に検知された接触無しに(すなわち、接触の位置にはいかなるセンサも存在しない)変位があり得る。接触に関する情報は、別の測定変位の確認として使用され得る(が前記接触情報はそれ自体必要でない)。利用可能であれば接触の正確な位置に関する情報が、衝突の特徴付けを計算するために考慮され得る。
【0040】
次に一例として本発明のいくつかの実施形態について、同様な参照子が同様な要素を表す添付図面を参照し説明する。