特許第6462037号(P6462037)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6462037
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】ネットフェンス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/16 20060101AFI20190121BHJP
【FI】
   E04H17/16 105A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-92509(P2017-92509)
(22)【出願日】2017年5月8日
(65)【公開番号】特開2018-188876(P2018-188876A)
(43)【公開日】2018年11月29日
【審査請求日】2017年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】502313233
【氏名又は名称】共和鋼業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100155457
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】森永 耕治
【審査官】 立澤 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−010372(JP,A)
【文献】 実開平02−047360(JP,U)
【文献】 実開昭62−019345(JP,U)
【文献】 特開平07−324524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/00−17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の支柱と、前記一対の支柱の間に掛け渡され、上下方向に離間して設けられた一対の胴縁と、上端及び下端が前記一対の胴縁に取り付けられ、ジグザグ状に屈曲しながら前記胴縁の延在方向に延びる複数の列線の屈曲部同士を、前記支柱の延在方向に互いに係合させてなるひし形金網とを備えたネットフェンスであって、
前記ひし形金網の上端に取り付けられた上側の胴縁が、前記ひし形金網の厚さ方向両側において、前記支柱により下方から支持され、
前記ひし形金網の下端に取り付けられた下側の胴縁の長さが前記上側の胴縁よりも短く、前記上側の胴縁の両端が前記下側の胴縁よりも外側に配され
前記一対の支柱が、互いに対向する面に上下方向に延びる開口部を有する角筒状を成し、
前記ひし形金網を下方に引っ張った状態で、前記支柱の開口部に挿通されたボルトを介して、前記下側の胴縁と前記支柱とを上下方向で係合することなく固定し、
前記ひし形金網の列線の端部同士の結合部が、前記支柱の開口部に挿入されて前記支柱の内部に収容されたネットフェンス。
【請求項2】
前記支柱が、前記厚さ方向で対向する一対の側面部を有し、前記支柱の一対の胴縁の間に、前記上側の胴縁の端部が嵌まり込んだ請求項1に記載のネットフェンス。
【請求項3】
前記ひし形金網の網目の前記胴縁の延在方向のピッチが、前記支柱の延在方向のピッチよりも小さい請求項1又は2に記載のネットフェンス。
【請求項4】
前記ひし形金網のうち、前記一対の支柱と前記一対の胴縁とで囲まれた領域に、前記胴縁の延在方向に直線状に延びる張線が設けられていない請求項1〜3の何れか1項に記載のネットフェンス。
【請求項5】
ジグザグ状に屈曲しながら所定方向に延びる複数の列線の屈曲部同士を互いに係合させてなるひし形金網を形成する工程と、前記ひし形金網の両端の列線に、各列線の延在方向に延びる一対の胴縁を取り付ける工程と、前記ひし形金網を平面状に展開しながら、一対の支柱の上部に、前記ひし形金網の上端に取り付けられた上側の胴縁を仮置きする工程と、前記一対の胴縁の両端を前記一対の支柱に固定する工程とを備えたネットフェンスの製造方法であって、
前記ひし形金網の下端に取り付けられた下側の胴縁の長さが前記上側の胴縁よりも短く、前記上側の胴縁の両端が前記下側の胴縁よりも外側に配され、
前記一対の支柱が、互いに対向する面に上下方向に延びる開口部を有する角筒状を成し、
前記上側の胴縁のうち、前記ひし形金網の厚さ方向両側を、前記支柱により下方から支持することにより、前記上側の胴縁を前記一対の支柱の上部に仮置きした後、
前記ひし形金網の列線の端部同士の結合部を前記支柱の開口部に挿入して前記支柱の内部に収容すると共に、前記ひし形金網を下方に引っ張った状態で、前記支柱の開口部に挿通されたボルトを介して、前記下側の胴縁と前記支柱とを上下方向で係合することなく固定するネットフェンスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ひし形金網を有するネットフェンス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットフェンスは、安全や防犯等を目的として建物や公園等に設けられる。ネットフェンスとしては、ジグザグ状に屈曲させた複数の列線の屈曲部同士を互いに係合させてなる、いわゆるひし形金網を用いたものが広く知られている。
【0003】
ネットフェンスに用いられるひし形金網は、通常、各列線の延在方向(以下、この方向を、ひし形金網の「幅方向」と言う。)が上下方向となるように設けられる。この場合、ひし形金網の幅方向両端に張線を挿通し、上下の胴縁に設けられた爪に張線を引っ掛けることで、ひし形金網が胴縁に取り付けられる(下記の特許文献1参照)。しかし、このような作業は容易ではなく、施工に手間がかかるという問題がある。
【0004】
これに対し、下記の特許文献2では、ひし形金網の幅方向を水平方向としたネットフェンスが示されている。この場合、ひし形金網の、幅方向と直交する方向(以下、この方向を「長手方向」と言う。)の両端に胴縁が取り付けられる。ひし形金網は、長手方向で伸縮可能であるため、ひし形金網の長手方向両端に予め胴縁を取り付けて、輸送時や保管時には、ひし形金網を上下に縮めることで省スペース化を図ることができる。そして、施工時には、ひし形金網を長手方向に引き延ばして平面状に展開し、このパネルの一方の胴縁を、地面に立設された一対の支柱の上部に仮置きする。この状態で、一対の胴縁を、それぞれ支柱の所定位置にボルト等で固定することで、ネットフェンスが組み立てられる。この場合、施工現場で、ひし形金網に張線を挿通する作業や、張線を胴縁の爪に引っ掛ける作業が不要になるため、施工が容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−98426号公報
【特許文献2】特開2015−10372号公報
【特許文献3】特開平11−114647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献2に示されているネットフェンスでは、図14に示すように、上側の胴縁201のフランジ201aと、ひし形金網202の上端に挿通された補強材203との間に、支柱204のフランジ204aの上端を挿入することで、上側の胴縁201を支柱204に仮置きしている。しかし、このような仮置き作業は手間がかかると共に、上側の胴縁201の支持状態が不安定であるため、作業性が悪化する。
【0007】
そこで、本発明は、ひし形金網を有するネットフェンスの施工をさらに容易化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は、一対の支柱と、前記一対の支柱の間に掛け渡され、上下方向に離間して設けられた一対の胴縁と、上端及び下端が前記一対の胴縁に取り付けられ、ジグザグ状に屈曲しながら前記胴縁の延在方向に延びる複数の列線の屈曲部同士を、前記支柱の延在方向に互いに係合させてなるひし形金網とを備えたネットフェンスであって、前記ひし形金網の上端に取り付けられた上側の胴縁が、前記ひし形金網の厚さ方向両側において、前記支柱により下方から支持されたネットフェンスを提供する。
【0009】
上記のように、上側の胴縁が、ひし形金網の厚さ方向両側において、一対の支柱で下方から支持されることにより、ひし形金網の上端が取り付けられた上側の胴縁を、一対の支柱の上に安定した状態で仮置きすることができる。この場合、上側の胴縁を支柱の支持部の上に載置するだけで仮置きができるため、上記の特許文献2のように、胴縁のフランジと補強材との間に支柱のフランジを挿入する作業が不要となり、施工が容易化される。
【0010】
上記のネットフェンスは、前記支柱が、前記厚さ方向で対向する一対の側面部を有し、前記支柱の一対の胴縁の間に、前記上側の胴縁の端部が嵌まり込んだ構成とすることができる。この場合、上側の胴縁を、支柱の一対の側面部の間に嵌め込みながら支柱の上に載置することができるため、より一層安定した状態で支柱に仮置きすることができる。
【0011】
ところで、ひし形金網を用いたネットフェンスでは、人(特に子供)が網目に足を入れて上ってしまうことがある。例えば、ひし形金網の網目を細かくすれば、人の足が入りにくくなるが、この場合、列線の使用量が増えるため、コストが増大する。そこで、ひし形金網の網目の胴縁延在方向(横方向)のピッチを、支柱延在方向(縦方向)のピッチよりも小さくし、網目を縦長にすれば、列線の使用量を抑えながら、網目に人の足が入りにくくなる。
【0012】
このとき、従来のひし形金網では、列線が縦方向に延びているため、網目を縦長にすると、列線の屈曲部のピッチが広がる。図15に示すように、列線110は、ジラス101及びヘラ102を用いてジグザグ状に屈曲される(上記の特許文献3参照)。この場合、列線110の屈曲部のピッチが広がると、ヘラ102に巻き付けられる列線110の巻き付け回数が減るため、列線110がヘラ102の先端側(図中矢印方向)に送り出されにくくなり、列線110の成形に支障を来たすおそれがある。例えば、ジラス101及びヘラ102を長くすれば、ピッチの広い列線110を成形することができるが、この場合、成形装置全体の構造を変更する必要が生じるため、コストがかかる。
【0013】
これに対し、上記のひし形金網では、列線が横方向に延びているため、列線の屈曲部のピッチは、網目の横方向のピッチと等しくなる。従って、上記のように、網目の横方向のピッチを小さくすることで、各列線の屈曲部のピッチが小さくなるため、既存の設備(ジラス及びヘラ)を用いて列線をジグザグ状に成形して、縦長の網目を有するひし形金網を得ることができる。
【0014】
従来のネットフェンスでは、ひし形金網を補強するために、ひし形金網の縦方向中間部に、横方向に直線状に延びる張線が設けられる。これに対し、本発明のネットフェンスでは、ひし形金網の列線が横方向に延びているため、各列線が横方向の張線のような役割を果たすことができる。これにより、ひし形金網(特に、胴縁及び支柱で囲まれた領域)に、横方向に直線状に延びる張線を設けなくて済むため、コスト低減が図られると共に、外観が改善される。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、上側の胴縁を支柱に仮置きする際の作業性が向上するため、ネットフェンスの施工が容易化される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ネットフェンスの正面図である。
図2】(A)は、支柱をフェンス厚さ方向から見た正面図、(B)は、支柱を(A)図のB方向から見た側面図、(C)は、支柱を(A)図のC方向から見た平面図である。
図3】上胴縁の斜視図である。
図4】支柱と上胴縁との結合部の正面図である。
図5】下胴縁の斜視図である。
図6】支柱と下胴縁との結合部の正面図である。
図7図1のA部の拡大図である。
図8図1のB部の拡大図であり、支柱の一部を切り欠いて示す。
図9】(A)は、図1のC−C断面図であり、(B)は、(A)図のB−B断面図である。
図10図1のD−D断面図である。
図11】(A)はひし形金網の正面図、(B)は伸縮パネルの正面図、(C)は伸縮パネルを縮めた状態の正面図である。
図12】複数のネットフェンスを連結した状態を示す正面図である。
図13】(A)は、他の実施形態に係るネットフェンスの断面図(図1のC−C断面に相当)であり、(B)は、(A)図のB−B断面図である。
図14】従来のネットフェンスの斜視図である。
図15】列線の屈曲成形方法を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
本実施形態に係るネットフェンス1は、図1に示すように、設置面(地面や床面)に立設された一対の支柱2,2と、両端が支柱2,2に取り付けられ、上下方向に離間して設けられた上側の胴縁(以下、上胴縁3)及び下側の胴縁(以下、下胴縁4)と、支柱2,2及び胴縁3,4に取り付けられたひし形金網5とを備える。尚、以下の説明では、支柱2と平行な方向を「縦方向」、胴縁3,4と平行な方向を「横方向」、支柱2及び胴縁3,4と直交する方向(ひし形金網5の厚さ方向)を「フェンス厚さ方向」と言う。図示例では、縦方向が鉛直方向であり、横方向が水平方向である。
【0019】
支柱2は、図2に示すように、上下方向に延びる角筒状を成している。具体的に、支柱2は、フェンス厚さ方向に対向する一対の側面部2cと、一対の側面部2cの横方向内側(ネットフェンス1の横方向中央側)の端部からフェンス厚さ方向内側に延びる一対の内面部2aと、一対の側面部2cの横方向外側の端部同士を連結する外面部2bとを備える。一対の内面部2aの間には、縦方向に延びる開口部2a1が設けられる。各支柱2の上部には、上胴縁3を下方から支持する支持部が設けられる。図示例では、一対の内面部2aの上端2a2が、支柱2の他の部分(外面部2b及び側面部2c)の上端よりも下方に設けられ、この一対の内面部2aの上端2a2が支持部となる。支柱2の側面部2cには、胴縁3を固定するための固定穴2c1と、ひし形金網5の横方向端部を固定するための固定穴2c2(図8参照)とが設けられる。
【0020】
上胴縁3は、図3に示すように、水平方向に延びる角筒状を成している。具体的に、上胴縁3は、フェンス厚さ方向に対向する一対の側面部3cと、一対の側面部3cの下端からフェンス厚さ方向内側に延びる一対の底面部3aと、一対の側面部3cの上端同士を連結する上面部3bとを備える。一対の底面部3aの間には、横方向に延びる開口部3a1が設けられる。上胴縁3の上面部3bは、穴の無い平板状を成している。上胴縁3の側面部3cには、支柱2と固定するための固定穴3c1が設けられる。図4に示すように、上胴縁3の底面部3aが支柱2の内面部2aの上端2a2で下方から支持された状態で、上胴縁3の側面部3cの固定穴3c1と支柱2の側面部2cの固定穴2c1とがボルト7で固定される。
【0021】
下胴縁4は、図5に示すように、水平方向に延びる角筒状を成し、おおよそ上胴縁3を上下反転させた構成を有している。具体的に、下胴縁4は、フェンス厚さ方向に対向する一対の側面部4cと、一対の側面部4cの上端からフェンス厚さ方向内側に延びる一対の上面部4aと、一対の側面部4cの下端同士を連結する底面部4bとを備える。一対の上面部4aの間には、横方向に延びる開口部4a1が設けられる。下胴縁4の底面部4bには、横方向に離間した複数箇所に設けられた水抜き穴4b1と、横方向端部付近に設けられた固定穴4b2とが設けられる。下胴縁4の側面部4cは、穴の無い平板状を成している。下胴縁4の横方向の寸法は、上胴縁3よりも若干短く、一対の支柱2の間隔よりも僅かに小さい。図6に示すように、下胴縁4の底面部4bがL字金具8の水平部8aに固定され、支柱2の内面部2aがL字金具8の垂直部8bに固定される。これにより、下胴縁4の端部が、L字金具8を介して支柱2に固定される。
【0022】
ひし形金網5は、図7に示すように、ジグザグ状に屈曲しながら横方向に延びる複数の列線5aで構成される。各列線5aの屈曲部5a1は、隣接する列線5aの屈曲部5a1と縦方向に係合している。ひし形金網5の横方向両端部では、図8に示すように、隣接する列線5aの端部が、互いに交差した状態で略180°折り返され、これにより列線5aの端部同士の結合部Pが形成される(このような結合部Pを「完全ナックル」と言う)。このように、隣接する列線5aの端部同士を結合することで、施工時等にひし形金網5を伸縮させる際に列線5a同士が外れることがなく、扱いやすい。
【0023】
図7に示すように、ひし形金網5の網目の横方向のピッチL1は、縦方向のピッチL2よりも短い。具体的には、網目の横方向のピッチL1と縦方向のピッチL2との比L2/L1が1.5以上、好ましくは2以上とされる。このように、網目の横方向のピッチL1を小さくして網目を縦長形状にすることで、人の足が入りにくくなり、人がネットフェンスに上ることを防止できる。このとき、網目の横方向のピッチL1及び縦方向のピッチL2を共に小さくすると、列線5aの使用量が増えて、コスト及び重量が増大するため、横方向のピッチL1を小さくすると同時に、縦方向のピッチL2を大きくすることが好ましい。本実施形態では、各列線5aが横方向に延びているため、各列線5aの屈曲部5a1のピッチ(山−山間あるいは谷−谷間のピッチ)は、網目の横方向のピッチL1と等しい。従って、上記のようにひし形金網5の網目の縦方向のピッチL2を大きくした場合でも、各列線5aの屈曲部5a1のピッチは小さいため、既存の装置を用いて列線5aを屈曲成形することができる。
【0024】
ひし形金網5の上端には、係合部材を介して上胴縁3が取り付けられる。係合部材としては、例えば図9(A)(B)に示すようなコイル6が用いられる。コイル6は、螺旋状に巻回した鋼線からなる。コイル6のピッチは、ひし形金網5の列線5aの屈曲部5a1のピッチと等しい。コイル6のフェンス厚さ方向の幅は、上胴縁3の開口部3a1の幅よりも大きい。コイル6が、ひし形金網5の上端の列線5aの屈曲部5a1に挿通されると共に、上胴縁3の底面部3aと上下方向で係合することで、ひし形金網5がコイル6を介して上胴縁3に吊り下げ保持される。
【0025】
ひし形金網5の下端には、係合部材を介して下胴縁4が取り付けられる。本実施形態では、ひし形金網5の下端と下胴縁4とが、係合部材としてのコイル6を介して取り付けられる(図10参照)。ひし形金網5の下端と下胴縁4との取り付け構造の詳細は、図9(A)(B)に示すひし形金網5の上端と上胴縁3との取付構造と同様であるため、説明を省略する。
【0026】
ひし形金網5の横方向両端は、支柱2に取り付けられる。本実施形態では、図8に示すように、ひし形金網5の横方向両端に設けられた列線5aの端部同士の結合部P(完全ナックル)が、支柱2の内部に収容されている。そして、支柱2の上下方向中間部にフェンス厚さ方向にボルト7が挿通され、このボルト7が列線5aの端部同士の結合部Pの横方向内側に配される。このボルト7と結合部Pとが横方向に係合することで、ひし形金網の横方向両端が支柱2に固定される。
【0027】
次に、ネットフェンス1の製造方法(施工方法)を説明する。
【0028】
まず、金網製造工場において、図11(A)に示すように、所定の幅方向寸法及び長手方向寸法を有するひし形金網5を形成する。ひし形金網5は、網目の幅方向寸法L1が長手方向寸法L2よりも小さい(図7参照)。この場合、各列線5aのピッチが小さくなるため、既存の装置を用いて、縦長の網目を有するひし形金網5を成形することができる。また、この装置により、ひし形金網5の幅方向両端に、列線5a同士の結合部P(図8参照)が形成される。
【0029】
次に、図11(B)に示すように、ひし形金網5の長手方向両端に上胴縁3及び下胴縁4を取り付けて、伸縮パネル10を形成する。具体的には、図9及び図10に示すように、ひし形金網5の長手方向両端の列線5aの屈曲部5a1にコイル6を挿通し、各コイル6を上胴縁3及び下胴縁4の内周に挿入することで、ひし形金網5の長手方向両端に上胴縁3及び下胴縁4が取り付けられる。
【0030】
本実施形態では、ひし形金網5の幅方向(列線5aの延在方向)と、胴縁3,4の延在方向とが平行であるため、図11(C)に示すように、ひし形金網5を長手方向に縮めながら胴縁3,4を接近させて、伸縮パネル10をコンパクトに収納することができる。これにより、伸縮パネル10の輸送時や保管時のスペースが縮小されるため、輸送コスト及び保管コストを低減することができる。
【0031】
次に、施工現場において、設置面に複数の支柱2を立設する。本実施形態では、図12に示すように、複数のネットフェンス1が横方向に連結して使用される。この場合、複数のネットフェンス1の連結部に設けられる支柱2は、図2(C)に点線で示すように、外面部2b同士がリベット等により結合される。複数のネットフェンス1の両端に設けられる支柱2は、単体で使用される。
【0032】
そして、伸縮パネル10を上下に引き延ばして展開しながら、上胴縁3を一対の支柱2の上部に仮置きする。具体的には、図9(A)に示すように、支柱2の一対の側面部2cの間に上胴縁3の端部を嵌め込みながら、支柱2の内面部2aの上端2a2(支持部)の上に上胴縁3の底面部3aを載置する。このとき、上胴縁3のうち、ひし形金網5のフェンス厚さ方向両側に設けられた底面部3aが、支柱2の内面部2aの上端2a2で支持されるため、上胴縁3が安定した状態で支持される。特に、図示例では、上胴縁3が、支柱2の側面部2cの間に嵌まり込むことで、上胴縁3がフェンス厚さ方向で位置決めされるため、上胴縁3がより一層安定した状態で支持される。このように、本実施形態では、上胴縁3を、一対の支柱2の上部に載置するだけで、伸縮パネルを一対の支柱2に容易かつ安定的に仮置きすることができる。
【0033】
こうして上胴縁3を支柱2の上部に仮置きした状態で、上胴縁3を支柱2の上部にボルト7で固定する(図4参照)。その後、下胴縁4を、L字金具8を介して、支柱2の下部にボルト7で固定する(図6及び図10参照)。このとき、下胴縁4を下方に引き下げて、ひし形金網5を下方に引っ張った状態で、下胴縁4を支柱2に固定することで、ひし形金網5をきれいに張ることができる。
【0034】
その後、支柱2の内部に挿入されたひし形金網5の横方向両端部を、支柱2に固定する。本実施形態では、図8に示すように、支柱2をフェンス厚さ方向に貫通するボルト7を設け、このボルト7と、ひし形金網5の列線5aの端部同士の結合部P(完全ナックル)とを横方向で係合させることで、ひし形金網5の横方向端部が支柱2に固定される。以上により、ネットフェンス1が完成する。
【0035】
本発明は上記の実施形態に限られない。例えば、ひし形金網5の上端と上胴縁3とを結合する係合部材は、上記のコイル6に限られない。例えば、係合部材として、図13(A)(B)に示すように、横方向に延びる棒材11と、横方向複数箇所に設けられたボルト12とを用いることができる。棒材11は、ひし形金網5の上端の列線5aに挿通され、この列線5aを下方から支持する。ボルト12は、上胴縁3をフェンス厚さ方向に貫通し、棒材11を下方から支持する。これにより、ひし形金網5の上端が、棒材11及びボルト12を介して、上胴縁3に取り付けられる。
【0036】
また、上記の実施形態では、ひし形金網5の網目が縦長形状である場合を示したが、これに限らず、例えば、各編目を略正方形としてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 ネットフェンス
2 支柱
2a 内面部
2a2 上端(支持部)
3 上側の胴縁(上胴縁)
4 下側の胴縁(下胴縁)
5 ひし形金網
5a 列線
6 コイル(係合部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15