(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6462052
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】多入力多出力(MIMO)通信
(51)【国際特許分類】
H04W 16/28 20090101AFI20190121BHJP
H04W 72/12 20090101ALI20190121BHJP
H04W 72/14 20090101ALI20190121BHJP
【FI】
H04W16/28 130
H04W72/12 150
H04W72/14
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-128240(P2017-128240)
(22)【出願日】2017年6月30日
(62)【分割の表示】特願2014-561308(P2014-561308)の分割
【原出願日】2013年3月7日
(65)【公開番号】特開2017-204870(P2017-204870A)
(43)【公開日】2017年11月16日
【審査請求日】2017年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,シン ホーン
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー,マシュー
【審査官】
松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】
特表2015−511792(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0099548(US,A1)
【文献】
Alcatel-Lucent, Alcatel-Lucent Shanghai Bell,Considerations on transport block sizes for UL MIMO rank 2 transmissions,R1-122460,フランス,3GPP,2012年 5月12日,paragraph 2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信ネットワークの基地局との多入力多出力通信をサポートしているときに、ユーザ機器において、1次ストリームに加えて前記ユーザ機器により伝送される2次ストリームに対するトランスポート・ブロック・サイズを決定する方法であって、
前記2次ストリームと関連するグラントを受け取るステップと、
グラントとトランスポート・ブロック・サイズとの間の関係に従い前記2次ストリームに対するトランスポート・ブロック・サイズを決定するステップであって、前記関係は、前記1次ストリームに対する1次トランスポート・ブロック・サイズを決定するのに用いられるグラントとトランスポート・ブロック・サイズとの間の1次関係と異なる、ステップとを含み、
前記関係は、前記グラントを用いて前記トランスポート・ブロック・サイズを含むルックアップ・テーブルのインデックスを識別することにより、前記トランスポート・ブロック・サイズを決定し、
前記インデックスは、前記グラントから決定されるエンハンスト・データ・チャネル・フォーマット組み合わせ識別子(E−TFCI)と前記E−TFCIからのオフセット値とを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信ネットワークの基地局との多入力多出力通信をサポートするための方法、ユーザ機器、およびコンピュータ・プログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信ネットワークは、既知である。そのようなネットワークにおける基地局は、基地局と関連するある地理的領域またはセル内にあるユーザ機器に、無線接続性を提供する。基地局と各ユーザ機器との間の無線通信リンクは、典型的に、基地局からユーザ機器に情報を伝送するための1つまたは複数のダウンリンク(または順方向)チャネルと、ユーザ機器から基地局に情報を伝送するための1つまたは複数のアップリンク(または逆方向)チャネルとを含む。
【0003】
多入力多出力(multiple-input-multiple-output:MIMO)技術は、基地局とオプションであるがユーザ機器とが複数のアンテナを含むときに、用いられ得る。例えば、複数のアンテナを含むユーザ機器は、複数の独立で別個の信号を、同じコードを用い、基地局によって分解可能である同じ伝送時間間隔(TTI)の範囲内で、同じ周波数上を、基地局まで伝送することができる。例えば、個々のユーザ機器は、エンハンスト・データ・チャネル(E−DCH)の2つのストリームを、同じアップリンク・リソース(周波数、時間、およびコード)を用いて、アップリンクに伝送することができるが、これは、このユーザ機器が、(単一のE−DCHストリームを伝送するときに生じるランク1の伝送とは対照的に)ランク2の伝送を実行できることを意味する。
【0004】
E−DCHは、1つまたは複数のE−DCH専用物理データ・チャネル(E−DPDCH)から構成され、1つのE−DCH専用物理制御チャネル(EDPCCH)を伴う。E−DPDCHはデータ・トラフィックを搬送し、E−DPCCHはE−DPDCHがデコードされることを可能にする制御情報を搬送する。
【0005】
アップリンクMIMOでは、2次E−DCHストリームが、1次E−DCHストリームと共に送られる。1次E−DCHストリームと同様に、2次E−DCHストリームは、1つまたは複数の2次E−DPDCH(S−E−DPDCH)と1つの2次E−DPCCH(S−EDPCCH)とから構成される。
【0006】
E−DCH動作のために、グラント(grants)として知られているリソースが、ユーザ機器への(基地局からなどの)ネットワークによって、スケジュールされる。グラントは、E−DPCCH(パイロット)の電力に対するE−DPDCH(データ)の電力の比率を示す。グラントを注意深くスケジュールすることにより、ネットワークは、アップリンクにおける全受信電力対熱雑音(Rise over Thermal:RoT)すなわち干渉を管理することができる。
【0007】
グラントとE−DCHの上を伝送可能なトランスポート・ブロック・サイズ(transport block size)との間で、関係、関数、または写像が定義される。グラントが高ければ高いほど、ユーザ機器がTTIにおいて送ることができるトランスポート・ブロック・サイズは大きくなる。
【0008】
アップリンクMIMOを提供することによりユーザ機器からネットワークへの伝送は容易になるのだが、予想しない結果が生じることがあり得る。
【0009】
従って、MIMO通信をサポートするための改善された技術を提供することが望まれている。
【発明の概要】
【0010】
第1の態様によると、無線通信ネットワークの基地局との多入力多出力通信をサポートしているときに、1次ストリームに加えてユーザ機器により伝送される2次ストリームに対するトランスポート・ブロック・サイズを決定する方法が提供され、この方法は、2次ストリームと関連するグラントを確立するステップと、グラントとトランスポート・ブロック・サイズとの間の関係に従い2次ストリームに対するトランスポート・ブロック・サイズを決定するステップとを含んでおり、この関係は、1次ストリームに対する1次トランスポート・ブロック・サイズを決定するのに用いられるグラントとトランスポート・ブロック・サイズとの間の1次関係とは異なる。
【0011】
第1の態様によると、既存の技術は、既存の技術では1次または2次ストリームの不適切な使用に至り、それが、これらのストリームを用いた最適でない通信に至り得るという問題を有する、ということが認識される。特に、既存の技術では、後で説明されるように、あるストリームに対してトランスポート・ブロック・サイズが不適切に選択されてしまうことがあり得る。
【0012】
第1の態様によると、既存の技術では、
図1に図解されているように、E−DPDCHとS−E−DPDCHとの伝送電力は等しいと仮定されていることが、認識される。これは、2つのE−DCHストリームの間において単純化された電力配分を提供するためである。S−DPCCHは、通常、DPCCHの伝送電力と比較して、より低いオフセット電力で伝送される。2次グラントがDPCCHに対するS−E−DPDCHの電力比率であるように選択される場合には、1次ストリームと2次ストリームとの両方が全く同一のグラントを有することになるが、この理由は、上述したように、E−DPDCHとS−E−DPDCHとの伝送電力が等しいからである。しかし、第1の態様によると、2次ストリームは1次ストリームのゲインよりも低いゲインを有するのが通常である(より低い信号対雑音干渉電力比(SINR)が受信されるため)ことが、認識される。よって、両方のストリームに関するグラントが同一である場合には、2次ストリームが、1次ストリームと同じトランスポート・ブロック・サイズを伝送するのに十分な信号品質を伴って受信されないことがあり得る。あるいは、両方のストリームに関するグラントが、トランスポート・ブロック・サイズが2次ストリームの信号品質に適合する値に設定可能であるように、減少される場合には、(より高いゲインとより優れた信号品質とを有するのが通常である)1次ストリームによって搬送されるトランスポート・ブロック・サイズは、不必要に低くなる。
【0013】
また、第1の態様によると、2次グラントが、代わりに、S−DPCCHに対するS−E−DPDCHの電力比率となるように選択される場合には、2次グラントは常に1次グラント以上になるが、その理由は、S−DPCCHの電力がDPCCHの電力以下であるからである、ということが認識される。グラントとトランスポート・ブロック・サイズとの間で、1次ストリームに関して用いられるのと同じ関係、関数、または写像が2次ストリームに関して用いられる場合には、それが、(信号品質が劣っている)2次ストリームが、1次ストリームよりも大きなトランスポート・ブロック・サイズをサポートする原因となり得る。この結果として、2次ストリームにおいて、高いブロック・エラー・レート(BER)が生じることになる。
【0014】
第1の態様によると、代わりに2つのエンハンスト・レラティブ・グラント・チャネル(Enhanced Relative Grant Channels:E−RGCH)が提供され、これら2つのエンハンスト・レラティブ・グラント・チャネルのそれぞれが、関連するストリームに対するグラントをスケジュールする場合には、E−DPDCHとS−E−DPDCHとに対して同じ電力を用いると次の問題が生じる、ということが認識される。2つのE−RGCHを用いることで、ユーザ機器がE−DPDCHとS−E−DPDCHとに対して同じ電力を伝送することを強制されることにより、異なるストリームに対して異なるグラントが許容されるのであるが、用いられる最終のグラントの結果として、両方のストリームが同じトランスポート・ブロック・サイズを有することになるか、または、上述したように、2次ストリームがより大きなトランスポート・ブロック・サイズを有することになり得る。更に、このアプローチでは、ユーザ機器が、ただ1つではなく、2つのE−RGCHをモニタする必要が生じてしまう。また、チャネルのランクが一定でなく、独立の複数のグラントを有することによって、ユーザ機器の伝送電力は、ユーザ機器が2つのストリームを伝送し2次グラントを用いると、突然、増加することがあり得る。アップリンクMIMOには非常に高いフォーマットだけが考えられるのであるから、伝送電力はほとんど2倍になり、ネットワークがそのRoTを管理することが困難になり得る。
【0015】
従って、2次ストリームに対するトランスポート・ブロック・サイズを決定する方法が提供される。2次ストリームは、MIMO通信をサポートしているときに、ユーザ機器と基地局との間で、1次ストリームに加えてアップリンクに伝送され得る。この方法は、2次ストリームと関連するグラントを確立するステップを含み得る。この方法は、また、2次ストリームに対するトランスポート・ブロック・サイズを決定するステップを含み得る。トランスポート・ブロック・サイズは、各グラントに対するトランスポート・ブロック・サイズを定義する関係、写像、関数、またはルックアップ・テーブルを用いて、決定され得る。各グラントに対するトランスポート・ブロック・サイズを定義する関係、写像、または関数は、1次ストリームに対する各グラントとトランスポート・ブロック・サイズとの間の関係を定義するのに用いられるものと比較すると、異なる関係、写像、または関数であり得る。
【0016】
このアプローチ、すなわち、1次ストリームのグラントから1次ストリームに対するトランスポート・ブロック・サイズを導くのに用いられる関係、写像、または関数とは異なる関係、写像、関数、またはルックアップ・テーブルが、2次ストリームに対するトランスポート・ブロック・サイズをその関係に導くために用いられるというアプローチを用いることにより、各トランスポート・ブロック・サイズがそれに関連するストリームに適切であり得る、異なる複数のトランスポート・ブロック・サイズが用いられることが可能になる。典型的には、少なくとも、1次ストリームに対するグラントは、ネットワークからユーザ機器に信号によって告知され得るのであり、2次ストリームに対するグラントは、信号によって告知されるか、または、2次ストリームに配分される電力とリソースとから決定論的に導かれ得る。
【0017】
ある実施形態によると、1次ストリームと2次ストリームとに対する同一のグラントに対し、関係と1次関係とが、2次ストリームと1次ストリームとに対して異なるトランスポート・ブロック・サイズを決定する。従って、1次ストリームと2次ストリームとが同一のグラントを有するときであっても、2次ストリームと1次ストリームとに対するトランスポート・ブロック・サイズを、同一ではなく、各トランスポート・ブロック・サイズがその関連するストリームに対して適切であるように、決定することができる。
【0018】
ある実施形態では、1次ストリームと2次ストリームとに対する同一のグラントに対し、関係が、1次関係によって決定される1次トランスポート・ブロック・サイズよりも小さなトランスポート・ブロック・サイズを決定する。従って、1次ストリームと2次ストリームとに対するグラントが同一であるときであっても、1次ストリームに対する1次トランスポート・ブロック・サイズが、2次ストリームに対するトランスポート・ブロック・サイズよりも大きく決定されることがあり得る。別個の関係、写像、関数、またはルックアップ・テーブルを用いて2次ストリームのトランスポート・ブロック・サイズを導くことにより、(1次ストリームのグラントよりも大きな場合があり得る)2次ストリームのグラントが、1次ストリームの場合よりも小さなトランスポート・ブロック・サイズに写像されて、結果的に、2次ストリームの受信品質に、よりよく整合することが可能になる。
【0019】
ある実施形態では、1次関係を用いてグラントから中間的なトランスポート・ブロック・サイズを決定し、次に、中間的なトランスポート・ブロック・サイズがスカラによってファクタされてトランスポート・ブロック・サイズを決定することにより、関係がトランスポート・ブロック・サイズを決定する。従って、1次ストリームに対するグラントとトランスポート・ブロック・サイズとの間の関係を定義するのに用いられる関係、写像、関数、またはルックアップ・テーブルを、2次ストリームに対するトランスポート・ブロック・サイズを導くために再利用することができる。
【0020】
ある実施形態では、グラントをスカラによってファクタして中間的なグラントを決定し、次に、1次関係を用いて中間的なグラントからトランスポート・ブロック・サイズを決定することにより、関係がトランスポート・ブロック・サイズを決定する。再び、これにより、1次ストリームのトランスポート・ブロック・サイズを導くのに用いられる機能の再利用が可能になる。
【0021】
ある実施形態では、スカラは、1以下の値である。これは、2次ストリームのトランスポート・ブロック・サイズが1次ストリームのトランスポート・ブロック・サイズよりも小さくなることを保証することの助けとなるのだが、その理由は、2次ストリームは1次ストリームの場合よりも弱いのが典型的であるからである。
【0022】
ある実施形態では、この方法は、無線通信ネットワークのネットワーク・ノードからスカラを受け取るステップを含む。スカラは半静的または動的であり得る、ということが理解されるであろう。
【0023】
ある実施形態では、複数の異なるトランスポート・ブロック・サイズがユーザ機器と基地局との間の通信に対してサポートされており、この方法は、複数の異なるトランスポート・ブロック・サイズの内から、トランスポート・ブロック・サイズに最も近接するがトランスポート・ブロック・サイズよりも大きくないサイズを有する1つを、2次ストリームに対して選択するステップを含む。2次ストリームに対して決定されるトランスポート・ブロック・サイズは有効なトランスポート・ブロック・サイズではないことがあり得る、ということが理解されるであろう。その理由は、これらは、離散的なトランスポート・ブロック・サイズの特定の組であることが典型的であるからである。従って、決定されるトランスポート・ブロック・サイズは、有効なトランスポート・ブロック・サイズに丸められることが必要な場合があり得る。例えば、決定されたトランスポート・ブロック・サイズを、その組の内で次に最も小さくて有効なトランスポート・ブロック・サイズに丸められることが必要な場合があり得る。
【0024】
ある実施形態では、関係が、グラントを用いてトランスポート・ブロック・サイズを含むルックアップ・テーブルのインデックスを識別することにより、トランスポート・ブロック・サイズを決定する。典型的には、トランスポート・ブロック・サイズは、ルックアップ・テーブルのインデックスが増加するにつれて増加し(ただし、逆は必ずしも真でない)、インデックスとトランスポート・ブロック・サイズとの間には、1対1写像が存在し得る。
【0025】
ある実施形態では、インデックスは、グラントから決定されたエンハンスト・データ・チャネル・フォーマット組み合わせ識別子(Enhanced Data Channel Transport Format Combination Identifier)を含む。
【0026】
ある実施形態では、インデックスは、グラントとオフセット値とから決定されたエンハンスト・データ・チャネル・フォーマット組み合わせ識別子を含む。
【0027】
ある実施形態では、グラントは、1次ストリームと2次ストリームとの一方と関連するパイロットの電力から確立される。
【0028】
ある実施形態では、グラントは、1次ストリームと関連するグラントから別個に信号によって告知される。
【0029】
第2の態様によると、無線通信ネットワークの基地局との多入力多出力通信をサポートしているときに、1次ストリームに加えてユーザ機器により伝送される2次ストリームに対するトランスポート・ブロック・サイズを決定するように動作可能なユーザ機器であって、2次ストリームと関連するグラントを確立するように動作可能な確立ロジックと、グラントとトランスポート・ブロック・サイズとの間の関係に従い2次ストリームに対するトランスポート・ブロック・サイズを決定するように動作可能な決定ロジックとを備えているユーザ機器が提供される。ただし、2次ストリームに対するトランスポート・ブロック・サイズを決定するのに用いられるグラントとトランスポート・ブロック・サイズとの間の関係は、1次ストリームに対する1次トランスポート・ブロック・サイズを決定するのに用いられるグラントとトランスポート・ブロック・サイズとの間の1次関係とは異なっている。
【0030】
ある実施形態では、1次ストリームと2次ストリームとに対する同一のグラントに対し、関係と1次関係とが、2次ストリームと1次ストリームとに対して異なるトランスポート・ブロック・サイズを決定する。
【0031】
ある実施形態では、1次ストリームと2次ストリームとに対する同一のグラントに対し、関係が、1次関係によって決定される1次トランスポート・ブロック・サイズよりも小さいトランスポート・ブロック・サイズを決定する。
【0032】
ある実施形態では、1次関係を用いてグラントから中間的なトランスポート・ブロック・サイズを決定し、次に、中間的なトランスポート・ブロック・サイズがスカラによってファクタされてトランスポート・ブロック・サイズを決定することにより、関係がトランスポート・ブロック・サイズを決定する。
【0033】
ある実施形態では、グラントをスカラによってファクタして中間的なグラントを決定し、次に、1次関係を用いて中間的なグラントからトランスポート・ブロック・サイズを決定することにより、関係がトランスポート・ブロック・サイズを決定する。
【0034】
ある実施形態では、スカラは、1以下の値である。
【0035】
ある実施形態では、ユーザ機器は、無線通信ネットワークのネットワーク・ノードからスカラを受け取るように動作可能な受信ロジックを含む。
【0036】
ある実施形態では、複数の異なるトランスポート・ブロック・サイズがユーザ機器と基地局との間の通信に対してサポートされており、決定ロジックは、複数の異なるトランスポート・ブロック・サイズの内から、トランスポート・ブロック・サイズに最も近接するがトランスポート・ブロック・サイズよりも大きくないサイズを有する1つを、2次ストリームに対して選択するように動作可能である。
【0037】
ある実施形態では、関係は、グラントを用いてトランスポート・ブロック・サイズを含むルックアップ・テーブルのインデックスを識別することにより、トランスポート・ブロック・サイズを決定する。
【0038】
ある実施形態では、インデックスは、グラントから決定されるエンハンスト・データ・チャネル・フォーマット組み合わせ識別子を含む。
【0039】
ある実施形態では、インデックスは、グラントとオフセット値とから決定されるエンハンスト・データ・チャネル・フォーマット組み合わせ識別子を含む。
【0040】
ある実施形態では、グラントは、1次ストリームと2次ストリームとの一方と関連するパイロットの電力から確立される。
【0041】
ある実施形態では、グラントは、1次ストリームと関連するグラントから別個に信号によって告知される。
【0042】
第3の態様によると、コンピュータ上で実行されると、第1の態様の方法のステップを実行するように動作可能なコンピュータ・プログラム製品が提供される。
【0043】
更に特定のおよび好適な態様が、添付の独立および従属請求項に記載されている。従属請求項の特徴は、独立請求項の特徴と適切に組み合わせることが可能であり、かつ、請求項に明示的に記載されている以外の組み合わせで、組み合わせることが可能である。
【0044】
ある装置の特徴がある機能を提供するように動作可能と記載されている場合には、その機能を提供する装置の特徴を含む、または、その機能を提供するように適応されているもしくはその機能を提供するように構成されている装置の特徴を含む、ということが理解されるであろう。
【0045】
次に、本発明の実施形態について、以下の添付の図面を参照して更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】伝送電力の間の関係を図解している図である。
【
図2】ある実施形態による主な処理ステップを図解している図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
概観
次に
図2を参照すると、実施形態の一般的なアプローチは、1次ストリームに対するグラントから1次ストリームに対するトランスポート・ブロック・サイズTBS
1を導くのに用いた関数とは異なる関数を用いて、2次ストリームに対するグラントから2次ストリームに対するトランスポート・ブロック・サイズTBS
2を導くということである。典型的には、少なくとも1次ストリームに対するグラントは、基地局によってユーザ機器に信号により告知され、2次ストリームに対するグラントは、信号によって告知されるか、または、予め定義された規則に従いユーザ機器によってステップS1において決定論的に導かれるか、のいずれかである。このグラントから、少なくとも2次ストリームに対するトランスポート・ブロック・サイズが、ステップS2において導かれる。
【0048】
例として、1次ストリームのトランスポート・ブロック・サイズTBS
1が、1次ストリームにおける伝送に用いられるグラントG
1(E−DPDCH:DPCCHの電力比)の関数f
1である場合を考察する。すなわち、
TBS
1=f
1(G
1)・・・方程式1
【0049】
現在、関数f
1は3GPP TS25.321によって定義されているルックアップ・テーブルとして実装されている。ただし、関数f
1は関係、写像、または関数として実装され得ることが理解されるであろう。
【0050】
グラントG
1は、DPCCHに対するE−DPDCHの電力比(パイロット電力)である。
【0051】
実施形態の一般的なアプローチでは、2次ストリームに対するグラントから2次ストリームに対するトランスポート・ブロック・サイズTBS
2を導くには、別個の関数が用いられる。すなわち、
TBS
2=f
2(G
2)・・・方程式2
ここで、G
2は、2次ストリームにおける伝送に対して提供されるグラントである。
【0052】
上述したように、G
2は、DPCCHに対するS−E−DPDCHの電力比またはS−DPCCHに対するS−E−DPDCHの電力比であり得る。E−DPDCHとS−E−DPDCHの電力は典型的には同一であると想定されるので、G
2は常にG
1と同一であるかまたはG
1よりも大きい。
【0053】
既存の関数f
1が(入力であるG
2と共に)2次ストリームに対して用いられる場合には、TBS
2≧TBS
1という結果が得られる。すなわち、(より弱い無線条件を有する)2次ストリームが、1次ストリームにおいてよりも大きなトランスポート・ブロック・サイズをサポートしなければならない。しかし、2次ストリームのトランスポート・ブロック・サイズを導くのに別個の関数f
2を用いることによって、(G
1以上であり得る)G
2が、1次ストリームにおける場合よりも小さなトランスポート・ブロック・サイズに写像されることが可能になり、結果的に、2次ストリームの受信品質とよりよく整合する。
【0054】
<実施形態1−関数スケーリング・ファクタ>
ある実施形態では、関数f
2は、関数f
1にスケーリング・ファクタαを乗算したものに等しい。すなわち、
TBS
2=f
2(G
2)=αf
1(G
2)・・・方程式3
【0055】
この実施形態により、f
1で用いられるのと同じルックアップ・テーブルを、TBS
2を導くのに再利用することが可能になる。都合のいいことに、αの値はネットワークによって信号により告知され、半静的(semi−static)または動的であり得る。
【0056】
E−TFCIは離散的なトランスポート・ブロック・サイズの特定の組に対するインデックスであるから、方程式3を用いて導かれるTBS
2は有効なトランスポート・ブロック・サイズではないことがあり得ることに注意すべきである。従って、計算されるTBS
2は、例えば次に小さな有効なトランスポート・ブロック・サイズに丸められるなど、有効なトランスポート・ブロック・サイズに「丸める」ことが必要な場合があり得る。
【0057】
<実施形態2−グラントスケーリング・ファクタ>
ある実施形態では、関数f
2はf
1と等しいが、ただし、グラントG
2がスケーリング・ファクタαによってスケーリングされる。すなわち、
TBS
2=f
2(G
2)=f
1(αG
2)・・・方程式4
【0058】
この実施形態は関数f
1を再利用しており、関数f
1は有効なトランスポート・ブロック・サイズに写像されるため、計算されるTBS
2は有効なトランスポート・ブロック・サイズとなる。
【0059】
2次ストリームは1次ストリームよりも弱くなることが予想され、従って、方程式3または4におけるαの適切な値は1未満であり得る。
【0060】
<実施形態3−インデックス・オフセット>
E−TFCIは、トランスポート・ブロック・サイズのルックアップ・テーブルへのインデックスである。(3GPP TS25.321で定義されている)トランスポート・ブロック・サイズのルックアップ・テーブルは、E−TFCIが増加するにつれて増加し、E−TFCIとトランスポート・ブロック・サイズとの間には1対1写像が存在する。よって、関数f
1は、E−TFCI数も与える。混乱を避けるため、関数h
1は、次のように、グラントG
1を用いてETFCI
1(1次ストリームに対するE−TFCI)を与えるように定義される。
ETFCI
1=h
1(G
1)・・・方程式5
【0061】
ある実施形態では、2次ストリームに対するE−TFCIであるEFTCI
2は、関数h
1を用いて計算されるE−TFCIからのオフセットγ(整数)である。すなわち、
ETFCI
2=max(h
1(G
2)−γ,ETFCI
MIN)・・・方程式6
ここで、ETFCI
MINは、トランスポート・ブロック・サイズのルックアップ・テーブルにおける最小の有効なE−TFCIである。E−TFCIは有効なトランスポート・ブロック・サイズを指しているから、方程式6から導かれるETFCI
2は、有効なトランスポート・ブロック・サイズを指すことになる。1次ストリームによって用いられる既存のトランスポート・ブロック・サイズのルックアップ・テーブルは、従って、再利用が可能である。αと同様に、γは、ネットワークによって信号で告知可能であって、半静的または動的である。
【0062】
従って、実施形態によると、2次ストリームは、2次ストリームそれ自体がサポートできない、または、UEの1次ストリームのトランスポート・ブロック・サイズを2次ストリームのトランスポート・ブロック・サイズと一致するように低下させるトランスポート・ブロック・サイズは、用いることができない、ということがわかる。これにより、アップリンクMIMOがアップリンク・スループットを増加させるが、2次ストリームが、同じトランスポート・ブロック・サイズを有するように伝送される両方のストリームの伝送で生じるはずの全スループットを低下させてしまうという問題が、解消される。
【0063】
当業者であれば、上述の様々な方法のステップはプログラムされたコンピュータによって実行可能であることを、容易に理解するであろう。本明細書では、いくつかの実施形態が、機械またはコンピュータ可読であって上述の方法のステップの一部またはすべてを実行する命令からなる機械実行可能またはコンピュータ実行可能であるプログラムを符号化する、例えばデジタル・データ記憶媒体などのプログラム記憶デバイスも包含することが意図されている。このプログラム記憶デバイスは、例えば、デジタル・メモリ、磁気ディスクおよび磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハード・ドライブ、または光学的に可読なデジタル・データ記憶媒体などであり得る。また、実施形態は、上述の方法のステップを実行するようにプログラムされたコンピュータを包含することも意図されている。
【0064】
「プロセッサ」または「ロジック」と記された任意の機能ブロックを含め、図に示されている様々な要素の機能は、専用ハードウェアだけでなく、適切なソフトウェアと連携してソフトウェアを実行可能なハードウェアを用いることによっても、提供され得る。プロセッサによって提供されるときには、機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共用プロセッサによって、またはその中のいくつかは共用可能な複数の個別のプロセッサによって、提供され得る。更に、「プロセッサ」または「コントローラ」または「ロジック」という用語が明示的に用いられていても、それは、ソフトウェアを実行可能なハードウェアに排他的に言及していると解釈すべきではなく、限定列挙ではないが、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワーク・プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、ソフトウェアを記憶するためのリード・オンリ・メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、および不揮発性ストレージを暗黙に含むことがあり得る。従来型および/またはカスタマイズされた、他のハードウェアが、含まれることもある。同様に、図に示されているスイッチは、いずれも、概念的なものにすぎない。それらの機能は、プログラム・ロジックの動作を通して、専用ロジックを通して、プログラム制御と専用ロジックの相互作用を通して、または手動でも、実行され得る。この場合、より具体的には文脈から理解されるように、実装を行う者が、特定の技術を選択することができる。
【0065】
当業者であれば、本出願におけるブロック図は、いずれも、本発明の原理を具体化する例証のための回路の概念図を表している、ということを理解するはずである。同様に、フローチャート、フロー図、状態遷移図、疑似コードなどは、いずれも、様々なプロセスを表していることが理解されるであろう。なお、これらの様々なプロセスとは、コンピュータ可読媒体において実質的に表わし得るものであり、コンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているかどうかにかかわらず、コンピュータまたはプロセッサによって、そのように実行可能なものであり得る。
【0066】
説明と図面とは、単に、本発明の原理を例証するものである。従って、当業者であれば、本明細書に明示的に記載または提示されていないが、本発明の原理を具体化しその趣旨および範囲に含まれる様々な構成を考案できるであろうことが、理解されるだろう。更に、本明細書に記載されているすべての例は、原理的に、本発明の原理と発明者(ら)によって提供されている概念とを読者が理解し当技術分野を発展させる際の支援となるという教育的目的のみを有していることが、明示的に意図されており、そのような具体的に挙げられた例および条件に限定されるものではないと解釈されるべきである。更に、本発明の原理、態様、および実施形態について述べた本明細書におけるすべての言明、ならびにそれらの具体例は、それらの均等物を包含することが意図されている。