特許第6462068号(P6462068)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6462068分散電子取引システムで異議データの伝達を行うシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6462068
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】分散電子取引システムで異議データの伝達を行うシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/04 20120101AFI20190121BHJP
【FI】
   G06Q40/04
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-159898(P2017-159898)
(22)【出願日】2017年8月23日
(62)【分割の表示】特願2013-142801(P2013-142801)の分割
【原出願日】2008年3月17日
(65)【公開番号】特開2017-204306(P2017-204306A)
(43)【公開日】2017年11月16日
【審査請求日】2017年9月21日
(31)【優先権主張番号】11/687,009
(32)【優先日】2007年3月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506244755
【氏名又は名称】ビージーシー パートナーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ シー ジョンソン
【審査官】 塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−207880(JP,A)
【文献】 特開2004−110784(JP,A)
【文献】 特表2004−524592(JP,A)
【文献】 特開2006−011731(JP,A)
【文献】 特開2003−108773(JP,A)
【文献】 特開2002−288469(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0093362(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0236679(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0089837(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリと、少なくとも1つのプロセッサとを有する装置であって、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
金融商品を取引する取引注文を生成し、
前記取引注文に関する情報を前記メモリに格納し、
前記取引注文を取引サーバに通信し、
前記取引サーバから確認メッセージを受信し、
異議を開始する選択肢の選択を受信し、
引パラメータ部分及び異議部分を有するグラフィカルユーザインタフェースを表示し、
選択ボタンを表示し、
技術的問題ボタンを表示し、
記選択ボタンの選択を検出したことに応じて、どのように前記取引注文が処理されたかに関する異議を管理エンティティに通信し、
前記技術的問題ボタンの選択を検出したことに応じて、どのように前記取引注文が処理されたかに関する技術的問題を管理エンティティに通信する、装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記異議に応じる判断を取得するように更に構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、取引情報を前記管理エンティティに提供するように更に構成され、前記取引情報は、前記取引注文の処理を記述する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、少なくとも1つの異議解決ルールを申請し、前記少なくとも1つの異議解決ルールに従って前記異議について判断を定めるように更に構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
処理パラメータは、前記取引注文の処理を記述し、前記異議は、前記処理パラメータに異議を唱える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記取引注文を処理するために、前記取引注文が満たされ得るかを決定し、前記取引注文が満たされ得るか否かの決定に異議を唱えるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記取引注文の処理中の通信での技術的問題に異議を唱えるように更に構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記異議についての判断は、
異議を少なくとも部分的に受け付けること又は拒否すること、
救済策を提供すること、
更に多くの情報を要求すること、
前記取引注文をキャンセルすること、
前記取引注文の再提示を要求すること、及び
他の異議要求の再提示を要求すること
のうち少なくとも1つを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
ネットワークで取引プラットフォームに結合された計算装置の少なくとも1つのプロセッサにより実行される方法であって、
取引注文についての情報を格納するステップと、
前記取引注文を前記取引プラットフォームに通信するステップと、
前記取引プラットフォームから確認メッセージを受信するステップと、
異議を開始する選択肢を受信するステップと、
引パラメータ部分及び異議部分を有するグラフィカルユーザインタフェースを表示するステップと
選択ボタンを表示するステップと、
技術的問題ボタンを表示するステップと、
前記選択ボタンの選択を検出したことに応じて、どのように前記取引注文が処理されたかに関する異議を管理エンティティに通信するステップと、
前記技術的問題ボタンの選択を検出したことに応じて、どのように前記取引注文が処理されたかに関する技術的問題を管理エンティティに通信するステップと
を有する方法。
【請求項10】
前記管理エンティティにより行われた前記異議についての判断を受信するステップを更に有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
取引情報を前記管理エンティティに提供するステップであり、前記取引情報は、前記取引注文の処理を記述する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの異議解決ルールを適用するステップと、
前記少なくとも1つの異議解決ルールに従って前記異議について判断を定めるステップと
を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記取引注文の処理パラメータに異議を唱えるステップを更に有する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記取引注文が満たされ得るか否かを決定し、前記異議を介して前記決定への異議を唱えるステップを更に有する、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記取引注文の処理中の通信での技術的問題を示す異議を唱えるステップを更に有する、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記異議についての判断は、
異議を少なくとも部分的に受け付けること又は拒否すること、
救済策を提供すること、
更に多くの情報を要求すること、
前記取引注文をキャンセルすること、
前記取引注文の再提示を要求すること、及び
他の異議要求の再提示を要求すること
のうち少なくとも1つを有する、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して分散データ処理システムの分野に関し、特に分散電子取引システムで異議データ(dispute data)の伝達を行うシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子取引システムは、様々なアイテム(商品、サービス、金融商品及び商品取引等)の取引について広く支持されている。例えば、電子取引システムは、株式、確定利付き証券、通貨、先物契約、石油及び金を取引するために使用され得る。
【0003】
トレーダーは、取引を開始するために取引システムに取引注文を提示し得る。取引システムは、取引注文を処理し、注文が満たされ得るか否かを決定し、その結果をトレーダーに送信し得る。ある場合には、トレーダーは、取引注文の処理に異議を唱えたいと思うことがある。
【0004】
取引注文の処理に異議を唱えるための既知の技術は、取引システムの代表者に連絡し、苦情を登録することを含む。しかし、これらの既知の技術は、特定の状況で効率的ではない。一般的に、特定の状況で効率的になることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
分散取引ネットワークで異議データの伝達を行うシステムを提供し、帯域を節約することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、独立項に記載の特徴により実現され得る。更なる拡張は、従属項に特徴付けられる。本発明によれば、取引注文の処理に異議を唱えるための従来の技術に関連する欠点及び課題が低減又は除去され得る。
【0007】
一実施例によれば、分散取引ネットワークで異議データの伝達を行うシステムは、メモリと異議マネージャとを有する。メモリは、クライアントシステムに関連する取引注文についての情報を格納する。異議マネージャは、確認メッセージをクライアントシステムに送信する。確認メッセージは、取引注文の処理に異議を唱える取引注文異議要求を送信する選択肢を提供する。異議マネージャは、選択肢の選択に応じて生成された取引注文異議要求を受信する。異議マネージャは、取引注文異議要求に応じる判断を取得し、判断をクライアントシステムに通信する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の特定の実施例は、1つ以上の技術的利点を提供してもよい。一実施例の技術的利点は、取引システムの異議マネージャが取引注文の処理に異議を唱える取引注文異議を自動的に管理し得る点でもよい。異議マネージャは、取引注文に異議を唱える取引注文異議要求を提示する選択肢をトレーダーに提供してもよい。従って、異議マネージャにより、トレーダーは、取引注文に効率的に異議を唱えることが可能になり得る。
【0009】
一実施例の他の技術的利点は、異議マネージャが取引注文異議要求に応じる判断を取得し得る点でもよい。第1の例では、異議マネージャは、取引注文異議要求を管理エンティティに転送することにより、判断を取得してもよい。管理エンティティは判断を異議マネージャに送信する。第2の例では、異議マネージャは、判断を定めるために取引注文異議要求に異議解決ルールを適用することにより、判断を取得してもよい。従って、異議マネージャは、取引注文異議要求に比較的迅速な応答を提供し得る。ある状況では、迅速な応答は、取引注文異議に対して迅速な解決をもたらし得る。このような取引注文異議の解決は、ネットワークの異議を低減し、これによって帯域を節約し得る。
【0010】
一実施例の他の技術的利点は、異議マネージャが取引の異議解決の様々な側面を管理し得る点でもよい。例えば、異議マネージャは、取引注文異議要求を処理し、取引注文異議要求に応じる判断を取得してもよい。従って、異議マネージャは、中央の場所で取引の異議解決の管理を提供し得る。
【0011】
本発明の特定の実施例は、前述の技術的利点の一部又は全部を有してもよく、有さなくてもよい。1つ以上の他の技術的利点は、図面、詳細な説明及び特許請求の範囲から当業者に容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】トレーダーから取引注文を受信して実行するように動作可能な取引システムの一実施例
図2】取引注文異議要求を提示するために使用され得るグラフィカルユーザインタフェースの一実施例を示す図
図3図1のシステムで使用され得る取引注文を処理する方法の一実施例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明並びにその特徴及び利点の完全なる理解のため、一例として添付図面と共に検討される以下の説明に言及が行われる。
【0014】
本発明の実施例及びその利点は、図1〜3を参照することにより最も良く理解される。様々な図面で同様の部分及び対応する部分に同様の参照符号が使用される。
【0015】
図1は、トレーダー24から取引注文20を受信して実行するように動作可能な取引システム10の一実施例を示している。一実施例によれば、取引プラットフォーム12は、1つ以上のネットワーク16を介して、1つ以上のクライアントシステム14と、1つ以上の市場センタ18と、管理エンティティ22とに結合されている。
【0016】
動作の一例では、トレーダー24は、取引注文20を提示してもよい。例えば、トレーダー24は、常に1株(share)当たり$2.00で取引している取引商品を購入する取引注文20を送信してもよい。トレーダー24は、取引注文20が実行されたことを示す確認メッセージ25を受信してもよい。この例では、取引注文20は、1株当たり$10.00で実行されてもよい。トレーダー24は、このトランザクションの1つ以上のパラメータ(1株当たりの価格等)に異議を唱えることを希望してもよい。
【0017】
トレーダー24は、取引注文異議要求26を提示し、取引注文20の処理に異議を唱えてもよい。異議マネージャ54は、取引注文異議要求26に応じて判断27を取得してもよい。この例では、異議マネージャ54は、価格の相違が正当な理由によるものであるか(商品の価格での一時的な急上昇等)、エラー(コンピュータの問題等)によるものであるかを定めてもよい。
【0018】
異議マネージャ54は、取引注文異議要求26を管理エンティティ22に転送することにより判断27を取得してもよい。以下に詳細に説明するように、管理エンティティ22は、異議への適切な解決を決定し、判断27を異議マネージャ54に送信する。代替として、異議マネージャ54は、判断27を定めるために取引注文異議要求26に異議解決ルール38を適用することにより、判断27を取得してもよい。異議マネージャ54は、判断27をトレーダー24に送信してもよい。
【0019】
一実施例によれば、トレーダー24は、取引注文20を行うこと及び/又は取引注文20に応じることができる取引システム10のユーザを表してもよい。トレーダー24は、本人、本人の代わりに行動する代理人、個人、法人(会社等)、又は取引注文20を行うこと及び/又は取引注文20に応じることができる何らかの機械若しくは機構を表してもよい。
【0020】
取引注文20は、特定の量の特定の取引商品を購入又は販売する注文を表してもよい。取引商品は、所定の取引注文20の基礎を形成する何らかの適切な商品又は商品の組み合わせを示してもよい。取引商品の例は、何らかの種類の商品、サービス、金融商品、商品取引、普通株、株式、確定利付き証券、金利派生商品、通貨、先物契約、社債、オプション、証券、派生取引商品、又は他の適切な商品若しくは商品の組み合わせを含んでもよい。
【0021】
取引注文20は、取引注文20の変数について特定の値を指定する取引注文パラメータを有してもよい。取引注文パラメータの例は、取引商品の量、取引商品の種類、目標価格、取引商品20を記述する他のパラメータ、又は前述の何らかの組み合わせを含んでもよい。目標価格は、目標入札価格及び/又は目標売り出し価格を示してもよい。
【0022】
クライアントシステム14は、取引システム10の1つ以上の要素(取引プラットフォーム12等)にアクセスするためにトレーダー24により使用され得る何らかの適切なエンドユーザ要素を表してもよい。エンドユーザ要素の例は、コンピュータ、ワークステーション、電話、インターネットブラウザ、電子手帳、携帯情報端末(PDA)、ページャ、又はシステム10の他の構成要素と情報を受信、処理、格納及び/又は通信することができる他の適切な装置(無線等)を含む。
【0023】
ネットワーク16は、情報を交換するように動作可能な通信プラットフォームを表してもよい。通信ネットワークは、一般電話システム(POTS:plain old telephone system)、公衆電話交換ネットワーク(PSTN:public switched telephone network)、公衆若しくはプライベートデータネットワーク、ローカルエリアネットワーク(LAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、広域ネットワーク(WAN)、ローカル、地域若しくはグローバル通信若しくはコンピュータネットワーク(インターネット、有線若しくは無線ネットワーク、企業イントラネット、他の適切な通信リンク等)、又は前述の何らかの組み合わせを含んでもよい。
【0024】
管理エンティティ22は、取引注文異議要求26の判断27を行う権限を持つ何らかの適切なエンティティに関連する1つ以上の計算装置を表してもよい。エンティティは、私的グループ又は公的グループでもよく、取引システム12の一部として又は取引システム12と独立して動作してもよい。エンティティは、代理人、会社、1人以上の人、機関、又は他のエンティティを有してもよい。
【0025】
取引プラットフォーム12は、取引注文20の処理と取引アカウントの管理とを容易にする取引アーキテクチャを表してもよい。取引プラットフォーム12は、注文20の取引を管理しようとする何らかの人、企業又はエンティティのための管理センタ又は本部事務所で構成されてもよい。取引プラットフォーム12は、取引環境を管理又は運営する行政機関又は監督エンティティの動作を実行するために利用され得るロジック、人員、装置又はエンティティの何らかの組み合わせを有してもよい。
【0026】
図示の実施例によれば、取引プラットフォーム12は、図示のように結合されたプロセッサ30と、メモリ32とを有してもよい。プロセッサ30は、アプリケーション34の命令を実行し、メモリ32のデータを操作してもよい。プロセッサ30は、ロジックを有してもよく、ロジックは、情報又は命令を提供するために使用され得るハードウェア、ソフトウェア、他のロジック又は前述の何らかの適切な組み合わせを有してもよい。
【0027】
メモリ32は、アプリケーション34と、1つ以上のルール38と、取引情報42とを格納してもよい。アプリケーション34は、注文プロセッサ52とアカウントマネージャ54とを有してもよい。注文プロセッサ52は、取引注文20を処理し、取引注文20が満たされ得るか否かと、取引注文20が満たされ得る順序とを決定する。取引注文20は、如何なる適切な方法で満たされてもよい。一例として、入札価格で特定の取引量を要求する買い注文は、入札価格(以下)で取引量(以上)を提供することができる売り注文により満たされてもよい。他の例として、売り出し価格で特定の取引量を売り出す売り注文は、売り出し価格(以上)で特定の取引量(以下)を要求する買い注文により満たされてもよい。
【0028】
取引注文20が満たされ得るか否かを定めることは、処理系列に取引注文20を置くことを含んでもよい。処理系列は、取引注文20が処理され得る系列を示してもよい。系列は如何なる適切な方法で定められてもよい。例えば、処理系列は、受け入れることができる取引注文20が受信された系列を反映してもよい。一実施例によれば、処理系列の最初の取引注文20は、取引注文20が満たされ得るか否かを定めるために処理されてもよい。次に、処理系列の次の取引注文20は、注文20が満たされ得るか否かを定めるために処理されてもよく、以下同様である。
【0029】
異議マネージャ54は、特定の取引注文20の処理に異議を唱える取引注文異議要求26を自動的に管理する。異議マネージャ54は、取引注文異議要求26を受信し、取引注文異議要求26に応じる判断27を取得し、判断27をクライアントシステム14に提供してもよい。異議マネージャ54により使用される方法の例は、図3を参照して説明する。
【0030】
取引情報42は、取引注文20の取引を記述する情報を有してもよく、取引注文異議を解決するために使用され得る情報を有してもよい。一実施例によれば、取引情報42は、管理エンティティ22に送信され、判断27を行う際に管理エンティティ22を支援してもよい。他の実施例によれば、異議マネージャ54は、取引注文20及び取引情報42にルール38を適用し、判断27を行ってもよい。
【0031】
取引情報42は、如何なる適切な種類の情報を有してもよい。第1の例として、取引情報42は、取引注文20についての情報(取引注文パラメータ等)を有してもよい。取引注文20についての情報は、不正確な取引パラメータの異議に応じるために使用されてもよい。他の例として、取引情報42は、取引注文20の処理についての情報(処理パラメータ等)を有してもよい。取引注文20の処理についての情報は、不適切な注文実行の異議に応じるために使用されてもよい。他の例として、取引情報42は、取引システム12又は取引システム12と通信する他の構成要素により受ける技術的問題のネットワーク管理システムレポートを有してもよい。ネットワーク管理システムレポートは、技術的問題の異議に応じるために使用されてもよい。
【0032】
ルール38は、取引注文異議を解決するための如何なる数及び種類のルールを有してもよい。ルール38は、取引情報42及び取引注文20に適用され、取引注文20が適切に処理されたか否かを検査する。ルール38の例は、取引注文20で提示されたパラメータが取引注文20の処理で使用されたパラメータと同じであるか否かを検査してもよい。ルール38の他の例は、処理系列の取引注文の到達を記述する処理パラメータが取引注文20の処理で使用されたパラメータと同じであるか否かを検査してもよい。ルール38の他の例は、取引注文20の処理中に技術的問題に直面したか否かを見つけるために技術レポートを検査してもよい。ルール38は、異議を解決するための他の適切なルールを有してもよい。
【0033】
市場センタ18は、為替、電子証券取引ネットワーク(ECN:Electronic Communication Network)、代替取引システム(ATS:Alternative Trading System)、マーケットメーカ、又は他の適切な市場参加者を含み、あらゆる種類の注文実行場所を有する。各市場センタ18は、公の見積価格(市場センタ価格とも呼ばれる)で取引商品を購入又は販売する用意、意思及び可能性により、所定の取引商品で入札及び売り出し価格を保持し得る。異なる市場センタ18は、特定の取引商品について異なる市場センタ価格を提供してもよい。例えば、特定の市場センタは、特定の取引商品について特定の入札価格及び/又は売り出し価格を提示してもよく、他の市場センタ18は、同じ取引商品について異なる入札価格及び/又は売り出し価格を提示してもよい。特定の市場センタ18は、特定の期間より長くその市場センタ18の注文控帳に残る取引注文20を実行するためのトランザクションコストを請求してもよい。
【0034】
動作の一例では、トレーダー24は、取引注文20を提示してもよい。例えば、トレーダー24は、常に1株(share)当たり$2.00で取引している取引商品を購入する取引注文20を送信してもよい。トレーダー24は、取引注文20が実行されたことを示す確認メッセージ25を受信してもよい。この例では、取引注文20は、1株当たり$10.00で実行されてもよい。トレーダー24は、このトランザクションの1つ以上のパラメータ(1株当たりの価格等)に異議を唱えることを希望してもよい。確認メッセージ25は、トレーダー24が取引注文異議要求26を提示することを可能にするボタンを有する。
【0035】
取引注文異議要求26を受信したことに応じて、異議マネージャ54は判断27を取得する。一実施例では、異議マネージャ54は、判断27を行う権限を持つ管理エンティティ22に取引注文異議要求26を転送してもよい。管理エンティティ22は、判断27を異議マネージャ54に送信してもよく、異議マネージャ54は判断27をクライアントシステム14に転送する。他の実施例では、異議マネージャ54は、取引情報42に1つ以上の異議解決ルール38を適用し、ルール38の適用に従って判断27を定めてもよい。
【0036】
一実施例によれば、判断27は、トレーダー27が異議要求を送信した後の何らかの適切な指定期間内(例えば、1時間未満、30分未満、20分未満、15分未満、10分未満、5分未満、又は1分未満)に、クライアントシステム14に送信されてもよい。すなわち、判断27は自動的であると見なされてもよい。
【0037】
判断27は、何らかの適切な機能を実行してもよい。一実施例によれば、判断27は、異議を受け付けてもよく、異議を拒否してもよい。異議を受け付けることは、異議が有効であると見なされることを示し、異議を拒否することは、異議が有効でないと見なされることを示す。他の実施例によれば、判断27は、救済策を提供してもよい。救済策の例は、謝罪又は金銭の補償を含む。
【0038】
更に他の実施例によれば、判断27は、トレーダー24から更に多くの情報(更に多くの取引情報等)を要求してもよい。例えば、トレーダー24は、注文20が行われた時間を確認するように尋ねられてもよい。更に他の実施例によれば、判断27は、取引注文20をキャンセルしてもよい。更に他の実施例によれば、判断27は、トレーダー24が取引注文20を再提示することを要求してもよい。更に他の実施例によれば、判断27は、トレーダー24が他の異議要求26を再提示することを要求してもよい。
【0039】
一実施例によれば、異なる種類の判断27が行われてもよい。例えば、判断27は、異議を受け付ける又は拒否する役目をしてもよく、救済策を提供する役目をしてもよい。この種類の判断27の例は、異議を受け付けて救済策を提供することと、救済策を提供せずに異議を受け付けることと、異議を受け付けずに救済策を提供することと、異議を拒否して救済策を提供しないこととを含む。
【0040】
本発明の範囲を逸脱することなく、取引システム10に変更、追加又は省略が行われてもよい。取引システム10の構成要素は、特定の必要性に応じて統合又は分離されてもよい。更に、システム10の動作は、多いモジュール、少ないモジュール又は他のモジュールにより実行されてもよい。更に、取引システム10の動作は、何らかの適切なロジックを使用して実行されてもよい。システム10は、要素の機能及び動作を実行するように動作可能な構成要素(ロジック、インタフェース、メモリ、他の構成要素、又は前述の何らかの適切な組み合わせ等)を有してもよい。
【0041】
図2は、取引注文異議要求26を提示するために使用され得るグラフィカルユーザインタフェース(GUI)テンプレート110の一実施例を示す図である。取引注文異議要求26は、何らかの適切な情報を有してもよく、何らかの適切なフォーマットを有してもよい。図示の実施例によれば、GUIテンプレート110は、取引パラメータ部分120と異議部分124とを有する。異議部分124はボタンを有してもよい。ボタンは、グラフィック要素(グラフィックボタン、メニューアイテム、キーストローク又は他の適切なグラフィック要素等)として提示されてもよい。
【0042】
取引パラメータ部分120は、取引注文20の取引を記述する取引パラメータを表示する。取引パラメータは、異議のある取引注文20と、処理系列で異議のある取引注文20と共に処理された可能性のある1つ以上の他の取引注文20とを記述してもよい。図示の実施例によれば、取引パラメータ部分120は、異なる種類の取引パラメータの部分(取引注文パラメータ部分130及び処理パラメータ部分134等)を有する。
【0043】
取引注文パラメータ部分130は、取引注文パラメータ(異議のある取引注文20の取引注文パラメータ等)を表示する。処理パラメータ部分134は、処理パラメータを表示する。処理パラメータは、異議のある取引注文20と、異議のある取引注文20と共に処理された可能性のある1つ以上の他の取引注文20との処理を記述する。処理パラメータの例は、取引注文20が行われた時間若しくは取引注文20が実行された時間、取引注文20を処理した注文プロセッサ52、取引注文20の処理に関与した市場センタ18、又は他の適切なパラメータを含んでもよい。
【0044】
異議部分124は、取引注文20が異議を唱えられる理由を示すために選択され得る異議を有する。図示の実施例によれば、異議部分124は、不正確な取引パラメータのボタン140と、不適切な注文実行のボタン144と、技術的問題のボタン146と、その他のボタン148とを有する。
【0045】
不正確な取引パラメータのボタン140は、不正確な取引パラメータの異議に基づいて取引注文20に異議を唱えるために使用されてもよい。不正確な取引パラメータの異議は、取引注文20の1つ以上の取引パラメータが不正確であるという異議を示してもよい。不正確な取引パラメータのボタン140が選択された場合、取引パラメータのリストが提示されてもよい。一実施例によれば、トレーダー24は、不正確であると考えられる取引パラメータを選択してもよい。他の実施例によれば、トレーダー24は、何が取引パラメータの正確な値であると考えられるかを提供することができてもよい。
【0046】
不適切な注文実行のボタン144は、不適切な注文実行の異議に基づいて取引注文20に異議を唱えるために使用されてもよい。不適切な注文実行の異議は、異議のある取引注文20又は処理系列の他の注文20が処理系列に従って適切に処理されていないという異議を示してもよい。一例として、第2の注文20の前に到達したが、第2の注文20の後に実行された第1の注文20は、適切に実行されていない可能性がある。不適切な注文実行のボタン144が選択された場合、注文の実行が不適切である理由をトレーダー24が提供し得るウィンドウが提示されてもよい。他の例として、注文20は、トレーダー24により予想される価格と異なる価格で実行されてもよい。
【0047】
技術的問題のボタン146は、技術的問題に直面した取引注文20に異議を唱えるために使用されてもよい。技術的問題は、取引注文20を処理する際に関与するシステムの問題を示してもよい。技術的問題の例は、取引注文20を送信することでの問題、取引注文20の処理結果を受信することでの問題、取引注文フォームを完了することでの問題、又は他の適切な問題を含む。技術的問題のボタン146が選択された場合、トレーダー24が選択し得る一般的な技術的問題のリストが提示されてもよい。リストは、トレーダー24が技術的問題の記述を提供し得る“その他”の選択肢を有してもよい。
【0048】
その他の異議のボタン148は、異議部分124に記載されていない異議に使用されてもよい。その他の異議のボタン148が選択された場合、トレーダー24が異議を記述し得るウィンドウが提示されてもよい。
【0049】
本発明の範囲を逸脱することなく、GUIテンプレート110に変更、追加及び省略が行われてもよい。GUIテンプレート110は、多いフィールド若しくは値、少ないフィールド若しくは値、又は他のフィールド若しくは値を有してもよい。更に、本発明の範囲を逸脱することなく、フィールド又は値は、何らかの適切な方法で構成されてもよい。
【0050】
図3は、図1のシステム10で使用され得る取引注文20を処理する方法の一実施例を示すフローチャートである。この方法はステップ210で始まり、取引システム12は、トレーダー24のクライアントシステム14から取引注文20を受信する。ステップ214において、注文プロセッサ52は取引注文20を処理する。注文プロセッサ52は、他の取引注文20と共に取引注文20を処理してもよい。ステップ218において、取引注文20を処理した結果を記述する確認メッセージ25がクライアントシステム14に提供される。確認メッセージ25は、取引注文20が市場センタ18により満たされたか否かを示してもよい。
【0051】
ステップ220において、確認メッセージ25は、取引異議を開始する選択肢をトレーダー24に提供してもよい。例えば、確認メッセージ25は、異議GUIを立ち上げるために選択され得るボタンを提示してもよい。ステップ222において、異議GUIテンプレート110により表される異議GUIは、グラフィック要素を選択したことに応じて提示されてもよい。異議GUIにより、トレーダー24は、取引注文異議要求26を提示することが可能になり得る。ある実施例では、トレーダー24は、確認メッセージ25から離れて、注文20に異議を唱えるためにテンプレート110に進んでもよい。
【0052】
ステップ224において、取引注文異議要求はクライアントシステム14から受信される。ステップ226において、トレーダー24の取引活動が一時停止される。取引活動は、要求が十分であることを異議マネージャ54が確認した後に一時停止されてもよい。例えば、要求が許可されたトレーダー24から受信された場合、要求が完全である場合、及び/又は要求がセキュリティ警告を生じない場合、要求が十分になり得る。ステップ230において、異議のある取引注文20で取引活動に関与した他のクライアントシステム14は、取引活動が一時停止されたことを通知されてもよい。
【0053】
ステップ234〜250において、異議マネージャ54は、取引注文異議に関する判断27を取得する。ステップ234〜242は、判断27を取得する第1の例を記載しており、ステップ246〜250は、判断27を取得する第2の例を記載している。ステップ234において、取引注文異議要求26は管理エンティティ22に転送される。ステップ238において、取引情報42は、管理エンティティ22に提供される。取引情報42は、管理エンティティ20が判断27を行うことを支援してもよい。ステップ242において、異議マネージャ54は、管理エンティティ22から判断27を受信する。ステップ246において、異議マネージャ54は、取引情報42に異議解決ルール38を適用する。ステップ250において、判断27はルール38に基づいて定められる。
【0054】
ステップ254において、判断27はクライアントシステム14に送信される。トレーダー24は、判断27に備えられた指示に応答してもよい。例えば、クライアントシステム14は、トレーダー24が判断27に抗議するために使用し得る情報を提供されてもよい。例えば、情報は、判断27に抗議するために管理エンティティ22に連絡するための指示を有してもよい。トレーダー24は指示に従い、判断27に抗議してもよい。判断27が送信された後に、方法が終了する。
【0055】
本発明の範囲を逸脱することなく、方法に変更、追加又は省略が行われてもよい。方法は、多いステップ、少ないステップ又は他のステップを有してもよい。更に、本発明の範囲を逸脱することなく、方法は何らかの適切な順序で実行されてもよい。
【0056】
この開示は、特定の実施例及び概して関連する方法に関して記載されているが、実施例及び方法の変更及び置換は当業者に明らかになる。従って、例示的な実施例の前述の説明は、この開示を限定しない。特許請求の範囲に記載のこの開示の要旨及び範囲を逸脱することなく、他の変形、代替及び変更も可能である。
【0057】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0058】
(1)分散取引ネットワークで異議データの伝達を行うシステムであって、
クライアントシステムに関連する取引注文についての情報を格納するように動作可能なメモリと、
前記メモリに結合された異議マネージャと
を有し、
前記異議マネージャは、
確認メッセージを前記クライアントシステムに送信し、前記確認メッセージは、前記取引注文の処理に異議を唱える取引注文異議要求を送信する選択肢を提供し、
前記選択肢の選択に応じて生成された取引注文異議要求を受信し、
前記取引注文異議要求に応じる判断を取得し、
前記判断を前記クライアントシステムに通信するように動作可能であるシステム。
【0059】
(2)前記取引注文が満たされ得るか否かを決定することにより前記取引注文を処理するように動作可能な注文プロセッサを更に有する、(1)に記載のシステム。
【0060】
(3)前記異議マネージャは、
前記取引注文異議要求について判断を行う権限を持つ管理エンティティに前記取引注文異議要求を送信し、
前記管理エンティティにより行われた前記判断を受信することにより、
前記取引注文異議要求に応じる前記判断を取得するように更に動作可能である、(1)又は(2)に記載のシステム。
【0061】
(4)前記異議マネージャは、前記取引注文異議要求について判断を行う権限を持つ管理エンティティに取引情報を提供することにより、前記取引注文異議要求に応じる前記判断を取得するように更に動作可能であり、
前記取引情報は、前記取引注文の処理を記述する、(1)ないし(3)のうちいずれか1項に記載のシステム。
【0062】
(5)前記異議マネージャは、
少なくとも1つの異議解決ルールを適用し、
前記少なくとも1つの異議解決ルールの適用に従って前記判断を定めることにより、
前記取引注文異議要求に応じる前記判断を取得するように更に動作可能である、(1)ないし(4)のうちいずれか1項に記載のシステム。
【0063】
(6)処理パラメータは、前記取引注文の処理を記述し、
前記取引注文異議要求は、前記処理パラメータへの異議を唱える、(1)ないし(5)のうちいずれか1項に記載のシステム。
【0064】
(7)前記取引注文の処理は、前記取引注文が満たされ得るか否かを決定することを有し、
前記取引注文異議要求は、前記決定への異議を唱える、(1)ないし(6)のうちいずれか1項に記載のシステム。
【0065】
(8)前記取引注文の処理は、通信を含み、
前記取引注文異議要求は、前記通信での技術的問題を示す異議を唱える、(1)ないし(7)のうちいずれか1項に記載のシステム。
【0066】
(9)前記判断は、
異議を少なくとも部分的に受け付けること又は拒否すること、
救済策を提供すること、
更に多くの情報を要求すること、
前記取引注文をキャンセルすること、
前記取引注文の再提示を要求すること、
他の異議要求の再提示を要求すること
のうち少なくとも1つを実行する、(1)ないし(8)のうちいずれか1項に記載のシステム。
【0067】
(10)クライアントシステムに関連する取引注文についての情報を格納する手段と、
確認メッセージを前記クライアントシステムに送信し、前記確認メッセージは、前記取引注文の処理に異議を唱える取引注文異議要求を送信する選択肢を提供する手段と、
前記選択肢の選択に応じて生成された取引注文異議要求を受信する手段と、
前記取引注文異議要求に応じる判断を取得する手段と、
前記判断を前記クライアントシステムに通信する手段と
を有するシステム。
【0068】
(11)クライアントシステムに関連する取引注文についての情報を格納するように動作可能なメモリと、
前記メモリに結合された異議マネージャと
を有し、
前記異議マネージャは、
前記選択肢の選択に応じて生成された取引注文異議要求を受信し、
前記取引注文が満たされ得るか否かを決定することにより前記取引注文を処理し、
確認メッセージを前記クライアントシステムに送信し、前記確認メッセージは、前記取引注文の処理に異議を唱える取引注文異議要求を送信する選択肢を提供し、
前記選択肢の選択に応じて生成された取引注文異議要求を受信し、
前記取引注文異議要求について判断を行う権限を持つ管理エンティティに前記取引注文異議要求を送信することにより、
前記管理エンティティに取引情報を提供し、前記取引情報は、前記取引注文の処理を記述することにより、
前記管理エンティティにより行われた前記判断を受信することにより、
少なくとも1つの異議解決ルールを適用することにより、
前記少なくとも1つの異議解決ルールの適用に従って前記判断を定めることにより、
前記取引注文異議要求に応じる前記判断を取得し、
前記判断を前記クライアントシステムに通信するように動作可能であるシステム。
【符号の説明】
【0069】
10 取引システム
12 取引プラットフォーム
14 クライアントシステム
18 市場センタ
22 管理エンティティ
図1
図2
図3