(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
支軸を支点としてブームシリンダにより揺動可能に設けられたブームと、前記ブームに支軸を介してアームシリンダにより揺動可能に設けられたアームと、前記アームに支軸を介してバケットシリンダにより揺動可能に設けられたバケットを備える建設機械であって、
前記ブームの支軸は前記ブームと一体に揺動するように設けられ、
前記アームの支軸は前記アームと一体に揺動するように設けられ、
前記バケットの支軸は前記バケットと一体に揺動するように設けられ、
前記ブームの支軸、前記アームの支軸及び前記バケットの支軸の少なくとも1つに、前記ブームの揺動、前記アームの揺動または前記バケットの揺動により電力を発電する発電部を設け、
前記発電部により発電された電力によって充電される充電池部を設け、
前記充電池部に充電された電力を前記建設機械に設けられた被電力供給部に供給する給電部が設けられ、
前記発電部は、
ロータと、
前記ロータの周囲に配置されたステータと、
前記ブームの支軸、前記アームの支軸及び前記バケットの支軸の少なくとも1つの支軸に前記支軸と一体に回転するように設けられた支軸側ギアと、
前記ロータと一体に回転するロータ側ギアとを備え、
前記支軸側ギアと前記ロータ側ギアは直接噛合し、あるいは、中間ギアを介して噛合している、
ことを特徴とする建設機械。
前記被電力供給部は、前記建設機械の周囲を監視する監視カメラ、あるいは、前記建設機械の位置情報を検出する測位部、あるいは、前記建設機械の作業現場を照明する照明灯、あるいは、前記建設機械の位置を報知する警告灯、あるいは、電波中継アンテナの少なくとも1つである、
ことを特徴とする請求項1または2記載の建設機械。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施の形態では、建設機械がホイールクレーン10である場合について説明する。
ホイールクレーン10は、移動式クレーンであり、下部走行体12と、上部旋回体14と、伸縮式ブーム16とを含んで構成されている。
【0009】
下部走行体12は、ホイール1202の回転により地面を走行する。
上部旋回体14は、下部走行体12の上部に旋回軸を中心に水平旋回可能に設けられている。
上部旋回体14には操作室1402が設けられ、操作室1402には、下部走行体12の走行、上部旋回体14の旋回、荷役用ロープ(荷役用ワイヤロープ)18の巻取り、繰り出し、伸縮式ブーム16の起伏および伸縮などを操作するための操作装置(不図示)が設置されている。
また、上部旋回体14には、荷役用ロープ18の巻取り、繰り出しを行なう荷役用ウインチ20と、伸縮式ブームを起伏させるブーム起伏用シリンダ22が設けられている。
そして、
図2に示すように、上部旋回体14の下部に、旋回軸を中心とする円形状のギア24が設けられており、下部走行体12に設けられた駆動ピニオンギア26が上記の円形状のギア24に噛み合うことで上部旋回体14が旋回軸を中心に回動する。
【0010】
伸縮式ブーム16は、ブーム本体16Aと、不図示のブーム伸縮機構とを含んで構成されている。
ブーム本体16Aは、基端ブーム1602と中間ブーム1604と先端ブーム1606とによって入れ子式に構成されている。
すなわち、ブーム本体16Aは、基端ブーム1602に対して中間ブーム1604が没入、突出し、中間ブーム1604に対して先端ブーム1606が没入、突出するように構成されている。
言い換えると、第1の部分としての基端ブーム1602に対して、第2の部分としての中間ブーム1604が直線移動し、第1の部分としての中間ブーム1604に対して、第2の部分としての先端ブーム1606が直線移動する。
上記ブーム伸縮機構は、上記複数のブーム1602、1604、1606を相対移動させてブーム本体16A全体を伸縮動させるものである。
上記ブーム伸縮機構として、例えば、中間ブーム1604と基端ブーム1602との間に設けられた第1の油圧シリンダと、中間ブーム1604と先端ブーム1606との間に設けられた第2の油圧シリンダとで構成するなど従来公知の様々な構造が採用可能である。
伸縮式ブーム16は、基端ブーム1602が水平方向に延在する支軸17を介して上部旋回体14に起伏可能(揺動可能)に支持されている。
基端ブーム1602の中間部は、ブーム起伏用シリンダ22のロッドの先部が取着されている。
したがって、ブーム起伏用シリンダ22の伸縮により伸縮式ブーム16が起伏される。
【0011】
伸縮式ブーム16の先端には、ブーム側滑車28が回転可能に支持されている。
ブーム側滑車28には、荷役用ウインチ20から繰り出された荷役用ロープ18が掛け渡されている。
荷役用ロープ18の先部は、フックブロック30に設けられたフックブロック側滑車(不図示)に掛け回されたのち先端ブーム1606の先端の箇所に取着されている。
したがって、荷役用ウインチ20によって荷役用ロープ18の巻取り、繰り出しがなされることによりフックブロック30の上下方向への移動がなされる。
図中、符号3002はフックブロック30に設けられたフックであり、フック3002は建設資材などが吊り下げられる。
【0012】
図4に示すように、本実施の形態では、上記のホイールクレーン10に、4つの発電部32A、32B、32C、32Dと、充電池部34と、給電部36と、被電力供給部38とが設けられている。
【0013】
1つ目の発電部32Aは、上部旋回体14の旋回時に回転される上部旋回体14の円形状のギア24(
図2)の回転力により電力を発電するものであり、第1の部分としての下部走行体12に対して、第2の部分としての上部旋回体14が移動(旋回)して電力を発電する。
すなわち、
図2に示すように、1つ目の発電部32Aは、円形状のギア24と、ロータ40と、ロータ40の回転軸42と、ステータ44と、動力伝達機構46とを含んで構成されている。
動力伝達機構46は、円形状のギア24の回転速度を増速してロータ40に伝達するものである。
動力伝達機構46は、円形状のギア24に噛合する第1の小径ギア4602と、第1の小径ギア4602と同軸上で一体に回転する大径ギア4604と、大径ギア4604に噛合する第2の小径ギア4606とを含んで構成されている。
この例では、第1の小径ギア4602が、第1の部分に対する第2の部分の移動により回転される回転部材に相当している。
ロータ40は、第2の小径ギア4606と同軸上で一体に回転するように設けられ、ステータ44はロータ40の周囲に配置されている。
本実施の形態では、動力伝達機構46、ロータ40、ステータ44は、下部走行体12に支持され側方が開放された筐体48内に収納されている。
したがって、上部旋回体14が旋回すると、動力伝達機構46を介してロータ40が正逆転し、このロータ40の正逆転により発電された電力は、充電池部34に供給される。
【0014】
2つ目の発電部32Bは、基端ブーム1602に対して直線移動する中間ブーム1604により電力を発電するものであり、第1の部分としての基端ブーム1602に対して、第2の部分としての中間ブーム1604が直線移動して電力を発電する。
すなわち、
図1、
図3に示すように、2つ目の発電部32Bは、ロータ50Aと、ロータ50Aの回転軸52Aと、ステータ54Aと、動力伝達機構56Aとを含んで構成されている。
動力伝達機構56Aは、中間ブーム1604の移動速度を増速してロータ50Aに伝達するものである。
動力伝達機構56Aは、中間ブーム1604の上面に中間ブーム1604に沿わせて配置されたラック5602Aと、ラック5602Aに噛合する第1の小径ギア5604Aと、第1の小径ギア5604Aと同軸上で一体に回転する大径ギア5606Aと、大径ギア5606Aに噛合する第2の小径ギア5608Aとを含んで構成されている。
この例では、第1の小径ギア5604Aが、第1の部分に対する第2の部分の移動により回転される回転部材に相当している。
ロータ50Aは、第2の小径ギア5608Aと同軸上で一体に回転するように設けられ、ステータ54Aはロータ50Aの周囲に配置されている。
本実施の形態では、動力伝達機構56A、ロータ50A、ステータ54Aは、基端ブーム1602に取着された筐体58A内に収納されている。
したがって、基端ブーム1602に対して中間ブーム1604が直線移動すると、動力伝達機構56Aを介してロータ50Aが正逆転し、このロータ50Aの正逆転により発電された電力は、充電池部34に供給される。
【0015】
3つ目の発電部32Cは、中間ブーム1604に対して直線移動する先端ブーム1606により電力を発電するものであり、第1の部分としての中間ブーム1604に対して、第2の部分としての先端ブーム1606が直線移動して電力を発電する。
すなわち、
図1、
図3に示すように、3つ目の発電部32Cは、ロータ50Bと、ロータ50Bの回転軸52Bと、ステータ54Bと、動力伝達機構56Bとを含んで構成されている。
動力伝達機構56Bは、先端ブーム1606の移動速度を増速してロータ50Bに伝達するものである。
動力伝達機構56Bは、先端ブーム1606の下面に先端ブーム1606に沿わせて配置されたラック5602Bと、ラック5602Bに噛合する第1の小径ギア5604Bと、第1の小径ギア5604Bと同軸上で一体に回転する大径ギア5606Bと、大径ギア5606Bに噛合する第2の小径ギア5608Bとを含んで構成されている。
この例では、第1の小径ギア5604Bが、第1の部分に対する第2の部分の移動により回転される回転部材に相当している。
ロータ50Bは、第2の小径ギア5608Bと同軸上で一体に回転するように設けられ、ステータ54Bはロータ50Bの周囲に配置されている。
本実施の形態では、動力伝達機構56B、ロータ50B、ステータ54Bは、中間ブーム1604に取着された筐体58B内に収納されている。
したがって、中間ブーム1604に対して先端ブーム1606が直線移動すると、動力伝達機構56Bを介してロータ50Bが正逆転し、このロータ50Bの正逆転により発電された電力は、充電池部34に供給される。
【0016】
4つ目の発電部32Dは、上部旋回体14(機体)に対して揺動する伸縮式ブーム16(基端ブーム1602)により電力を発電するものであり、第1の部分としての上部旋回体14に対して、第2の部分としての伸縮式ブーム16が移動(揺動)して電力を発電する。
すなわち、
図1に示すように、4つ目の発電部32Dは、不図示のロータと、ロータの回転軸80と、不図示のステータと、動力伝達機構82とを含んで構成されている。
動力伝達機構82は、伸縮式ブーム16の揺動速度を増速してロータに伝達するものである。
動力伝達機構82は、伸縮式ブーム16の支軸17に設けられた第1の大径ギア8202と、第1の大径ギア8202に噛合する第1の小径ギア8204と、第1の小径ギア8204と同軸上で一体に回転する第2の大径ギア8206と、第2の大径ギア8206に噛合する第2の小径ギア8208とを含んで構成されている。
この例では、第1の小径ギア8204が、第1の部分に対する第2の部分の移動により回転される回転部材に相当している。
伸縮式ブーム16の支軸17は、伸縮式ブーム16の揺動に追従して一体に揺動(回転)し、第1の大径ギア8202は、支軸17と一体に回転する。
ロータは、第2の小径ギア8208と同軸上で一体に回転するように設けられ、ステータはロータの周囲に配置されている。
本実施の形態では、動力伝達機構82、ロータ、ステータは、上部旋回体14に取着された不図示の筐体内に収納されている。
したがって、上部旋回体14に対して伸縮式ブーム16が揺動すると、動力伝達機構82を介してロータが正逆転し、このロータの正逆転により発電された電力は、充電池部34に供給される。
【0017】
図4に示すように、充電池部34は、4つの発電部32A、32B、32C、32Dにより発電された電力によって充電されるものである。
充電池部34は、二次電池と、各発電部32A、32B、32C、32Dから供給される電力(充電電流および充電電圧)の制御を行なう充電回路とを含んで構成されている。
二次電池として、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素充電池など従来公知の様々な二次電池が使用可能である。
【0018】
給電部36は、充電池部34に充電された電力を不図示の電源ケーブルを介して被電力供給部38に供給するものである。
被電力供給部38は、本実施の形態では、伸縮式ブーム16(先端ブーム1606)の先端に設けられた監視カメラ38Aと測位部38Bとである。なお、
図1において監視カメラ38A、測位部38Bの図示は省略している。
監視カメラ38Aは、伸縮式ブーム16の先端の下方を撮像して画像情報を生成し、画像情報を無線回線Nを介して情報処理部100に送出するものである。
測位部38Bは、複数の測位衛星から送信される測位電波を受信することにより、伸縮式ブーム16の先端の位置を示す位置情報を検出し、位置情報を無線回線Nを介して情報処理部100に送出するものである。
無線回線Nとしては、無線LAN、携帯電話回線、PHS回線、特定小電力無線を用いた回線などの従来公知の様々な無線回線Nが使用可能である。
なお、本実施の形態では、監視カメラ38Aおよび測位部38Bが通信機能を備えるものとして説明したが、監視カメラ38Aおよび測位部38Bが通信機能を備えない場合には、監視カメラ38Aおよび測位部38Bから受け取った画像情報および位置情報を無線回線Nを介して通信を行なう通信部を別途設ければよい。この場合、監視カメラ38Aおよび測位部38Bに加えて通信部も被電力供給部38となる。
【0019】
情報処理部100は、操作室1402(
図1)の内部、あるいは、作業現場に設けられた事務所などに設置されている。
情報処理部100は、通信部100Aと、制御部100Bと、表示部100Cと、警報部100Dとを含んで構成されている。
通信部100Aは、無線回線Nを介して監視カメラ38Aから画像情報を受け付けると共に、無線回線Nを介して測位部38Bから位置情報を受け付ける。
制御部100Bは、受け付けた画像情報を表示部100Cに表示させる。
また、制御部100Bは、受け付けた位置情報に基づいて伸縮式ブーム16先端の位置が予め定められた施工禁止領域に位置したか否かを判定し、その判定結果に基づいて警報部100Dにより警報動作を実行させる。
警報部100Dは、警告灯やブザーなどによって構成される。
【0020】
次に、ホイールクレーン10の動作について説明する。
ホイールクレーン10は、走行時、伸縮式ブーム16を縮小状態とし倒伏させて走行する。
作業現場では、ホイールクレーン10は、伸縮式ブーム16を起立させ伸長状態とし、荷役用ウインチ20、荷役用ロープ18、フック3002を介して建設資材を吊り上げ、上部旋回体14と共に旋回し、建設資材を適宜箇所に搬入する。
このようなホイールクレーン10による建設作業時、下部走行体12の駆動ピニオンギア26が回転して、上部旋回体14の円形状のギア24が回転されると、動力伝達機構46を介してロータ40が正逆転し、このロータ40の正逆転により1つ目の発電部32Aが発電し、充電池部34が充電される。
また、ブーム伸縮機構が動作して、基端ブーム1602に対して中間ブーム1604が直線移動されると、動力伝達機構56Aを介してロータ50Aが正逆転し、このロータ50Aの正逆転により2つ目の発電部32Bが発電し、充電池部34が充電される。
また、ブーム伸縮機構が動作して、中間ブーム1604に対して先端ブーム1606が直線移動されると、動力伝達機構56Bを介してロータ50Bが正逆転し、このロータ50Bの正逆転により3つ目の発電部32Cが発電し、充電池部34が充電される。
また、ブーム起伏用シリンダ22が動作して、上部旋回体14に対して伸縮式ブームが揺動されると、動力伝達機構82を介してロータが正逆転し、このロータの正逆転により4つ目の発電部32Dが発電し、充電池部34が充電される。
給電部36は、充電池部34の電力を監視カメラ38Aおよび測位部38Bに給電する。
これにより、監視カメラ38Aは、伸縮式ブーム16先端の下方を撮像して画像情報を生成し、無線回線Nを介して情報処理部100に供給する。
また、測位部38Bは、伸縮式ブーム16先端の位置を検出して位置情報を生成し、無線回線Nを介して情報処理部100に供給する。
情報処理部100は、受け取った画像情報を表示部100Cに表示させると共に、受け取った位置情報に基づいて判定処理を行ない判定結果に基づいて警報部100Dにより警報動作を行なわせる。
【0021】
本実施の形態によれば、ホイールクレーン10の下部走行体12に対する上部旋回体14の旋回を利用して、また、基端ブーム1602に対する中間ブーム1604の直線移動を利用して、また、中間ブーム1604に対する先端ブーム1606の直線移動を利用して、また、上部旋回体14に対する伸縮式ブームの揺動を利用して、4つの発電部32A、32B、32C、32Dで電力を発電し、発電された電力によって充電池部34を充電するようにした。
すなわち、ホイールクレーン10により建設作業を行なう際に、第1の部分に対して移動する第2の部分を利用して、各発電部32A、32B、32C、32Dで電力を発電し、発電された電力によって充電池部34を充電するようにした。
したがって、ホイールクレーン10に設けられた被電力供給部38に電力を供給するにあたって、ホイールクレーン10の稼動を停止して電池を交換する作業が不要となるため、ホイールクレーン10の稼動効率を確保する上で有利となる。
【0022】
また、本実施の形態によれば、円形状のギア24の回転速度を増速してロータ40の回転軸42に伝達する動力伝達機構46と、中間ブーム1604の移動速度を増速してロータ50Aの回転軸52Aに伝達する動力伝達機構56Aと、先端ブーム1606の移動速度を増速してロータ50Bの回転軸52Bに伝達する動力伝達機構56Bと、伸縮式ブーム16の揺動速度を増速してロータの回転軸80に伝達する動力伝達機構82とを設けたので、各発電部32A、32B、32C、32Dによる発電効率を高める上で有利となり、充電池部34の充電量を確保する上で有利となる。
なお、本発明において、発電部は、少なくとも1つ設ければよいが、本実施の形態のように4つの発電部32A、32B、32C、32Dを設けると、充電池部34の充電量を確保する上で有利となる。
【0023】
また、本実施の形態では、被電力供給部38が監視カメラ38A、測位部38Bである場合について説明したが、被電力供給部38はこれらに限定されるものではない。
例えば、被電力供給部38が、ホイールクレーン10の作業現場を照明する照明灯、あるいは、ホイールクレーン10の位置を報知する警告灯、あるいは、電波中継アンテナなどであってもよい。
【0024】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
図5に示すように、第2の実施の形態は、建設機械がバックホウ60である場合について説明する。
バックホウ60は、下部走行体62と、上部旋回体64と、ブーム66と、アーム68と、バケット70を含んで構成される。
【0025】
下部走行体62は、クローラ6202の回転により地面を走行する。
上部旋回体64は、下部走行体62の上部に旋回軸を中心に水平旋回可能に設けられている。
上部旋回体64を下部走行体62に対して旋回させる構成は第1の実施の形態と同様である。
上部旋回体64には操作室6402が設けられ、操作室6402には、下部走行体62の走行、上部旋回体64の旋回、ブーム66の揺動、アーム68の揺動、バケット70の揺動などを操作するための操作装置(不図示)が設置されている。
【0026】
ブーム66は、その基端が水平方向に延在する支軸6602を介して上部旋回体64に揺動可能に支持されている。
アーム68は、その基端が水平方向に延在する支軸6802を介してブーム66の先端に揺動可能に支持されている。
バケット70は、その基端が水平方向に延在する支軸7002を介してアーム68の先端に揺動可能に支持されている。
上部旋回体64とブーム66との間には、ブーム66を揺動させるブームシリンダ6604が設けられている。
ブーム66とアーム68との間には、アーム68を揺動させるアームシリンダ6804が設けられている。
アーム68とバケット70との間には、バケット70を揺動させるバケットシリンダ7004が設けられている。
これらブームシリンダ6604、アームシリンダ6804、バケットシリンダ7004は油圧シリンダである。
したがって、ブームシリンダ6604が伸縮することにより上部旋回体64に対してブーム66が揺動される。
また、アームシリンダ6804が伸縮することによりブーム66に対してアーム68が揺動される。
また、バケットシリンダ7004が伸縮することによりアーム68に対してバケット70が揺動される。
【0027】
図4を流用して説明すると、第2の実施の形態では、上記のバックホウ60に、3つの発電部72A、72B、72Cと、充電池部34と、給電部36と、被電力供給部38とが設けられている。
【0028】
図5に示すように、1つ目の発電部72Aは、上部旋回体64(機体)に対して揺動するブーム66により電力を発電するものであり、第1の部分としての上部旋回体64に対して、第2の部分としてのブーム66が移動(揺動)して電力を発電する。
すなわち、
図5に示すように、1つ目の発電部72Aは、不図示のロータと、ロータの回転軸74Aと、不図示のステータと、動力伝達機構76Aとを含んで構成されている。
動力伝達機構76Aは、ブーム66の揺動速度を増速してロータに伝達するものである。
動力伝達機構76Aは、ブーム66の支軸6602に設けられた第1の大径ギア7602Aと、第1の大径ギア7602Aに噛合する第1の小径ギア7604Aと、第1の小径ギア7604Aと同軸上で一体に回転する第2の大径ギア7606Aと、第2の大径ギア7606Aに噛合する第2の小径ギア7608Aとを含んで構成されている。
この例では、第1の小径ギア7604Aが、第1の部分に対する第2の部分の移動により回転される回転部材に相当している。
ブーム66の支軸6602は、ブーム66の揺動に追従して一体に揺動(回転)し、第1の大径ギア7602Aは、支軸6602と一体に回転する。
ロータは、第2の小径ギア7608Aと同軸上で一体に回転するように設けられ、ステータはロータの周囲に配置されている。
本実施の形態では、動力伝達機構76A、ロータ、ステータは、上部旋回体64に取着された筐体78A内に収納されている。
したがって、上部旋回体64に対してブーム66が揺動すると、動力伝達機構76Aを介してロータが正逆転し、このロータの正逆転により発電された電力は、充電池部34に供給される。
【0029】
2つ目の発電部72Bは、ブーム66に対して揺動するアーム68により電力を発電するものであり、第1の部分としてのブーム66に対して、第2の部分としてのアーム68が移動(揺動)して電力を発電する。
すなわち、2つ目の発電部72Bは、不図示のロータと、ロータの回転軸74Bと、不図示のステータと、動力伝達機構76Bとを含んで構成されている。
動力伝達機構76Bは、アーム68の揺動速度を増速してロータに伝達するものである。
動力伝達機構76Bは、アーム68の支軸6802に設けられた第1の大径ギア7602Bと、第1の大径ギア7602Bに噛合する第1の小径ギア7604Bと、第1の小径ギア7604Bと同軸上で一体に回転する第2の大径ギア7606Bと、第2の大径ギア7606Bに噛合する第2の小径ギア7608Bとを含んで構成されている。
この例では、第1の小径ギア7604Bが、第1の部分に対する第2の部分の移動により回転される回転部材に相当している。
アーム68の支軸6802は、アーム68の揺動に追従して一体に揺動(回転)し、第1の大径ギア7602Bは、支軸6802と一体に回転する。
ロータは、第2の小径ギア7608Bと同軸上で一体に回転するように設けられ、ステータはロータの周囲に配置されている。
本実施の形態では、動力伝達機構76B、ロータ、ステータは、アーム68に取着された筐体78B内に収納されている。
したがって、ブーム66に対してアーム68が揺動すると、動力伝達機構76Bを介してロータが正逆転し、このロータの正逆転により発電された電力は、充電池部34に供給される。
【0030】
3つ目の発電部72Cは、アーム68に対して揺動するバケット70により電力を発電するものであり、第1の部分としてのアーム68に対して、第2の部分としてのバケット70が移動(揺動)して電力を発電する。
すなわち、3つ目の発電部72Cは、不図示のロータと、ロータの回転軸74Cと、不図示のステータと、動力伝達機構76Cとを含んで構成されている。
動力伝達機構76Cは、バケット70の揺動をロータに伝達するものである。
動力伝達機構76Cは、バケット70の支軸7002に設けられた第1のギア7610と、第1のギア7610に噛合する第2のギア7612とを含んで構成されている。
バケット70の支軸7002は、バケット70の揺動に追従して一体に揺動(回転)し、第1のギア7610は、支軸7002と一体に回転する。
ロータは、第2のギア7612と同軸上で一体に回転するように設けられ、ステータはロータの周囲に配置されている。
本実施の形態では、動力伝達機構76C、ロータ、ステータは、アーム68に取着された不図示の筐体内に収納されている。
したがって、アーム68に対してバケット70が揺動すると、動力伝達機構76Cを介してロータが正逆転し、このロータの正逆転により発電された電力は、充電池部34に供給される。
【0031】
充電池部34、給電部36の構成は
図4に示すように第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
また、被電力供給部38の構成は第1の実施の形態とほぼ同様であるが、バックホウ60の場合、監視カメラ38Aは、例えば、操作室6402の前方を撮像するように上部旋回体64の箇所に設けられ、測位部38Bは、バックホウ60の位置情報を検出するように操作室6402の適宜箇所に設けられている。
【0032】
次に、バックホウ60の動作について説明する。
作業現場では、バックホウ60は、ブーム66、アーム68を揺動させ、また、バケット70を揺動させ、上部旋回体64を旋回させつつ、また、下部走行体62を走行させつつ、建設作業を行なう。
このようなバックホウ60による建設作業時、バックホウ60のブームシリンダ6604が伸縮動してブーム66が揺動されると、動力伝達機構76Aを介してロータが正逆転し、これにより1つ目の発電部72Aが発電し、充電池部34が充電される。
また、バックホウ60のアームシリンダ6804が伸縮動してアーム68が揺動されると、動力伝達機構76Bを介してロータが正逆転し、これにより2つ目の発電部72Bが発電し、充電池部34が充電される。
また、バックホウ60のバケットシリンダ7004が伸縮動してバケット70が揺動されると、動力伝達機構76Cを介してロータが正逆転し、これにより3つ目の発電部72Cが発電し、充電池部34が充電される。
充電池部34が充電されると、第1の実施の形態と同様に、給電部36は、充電池部34の電力を監視カメラ38Aおよび測位部38Bに給電する。
これにより、監視カメラ38Aは、バックホウ60前方を撮像して画像情報を生成し、無線回線Nを介して情報処理部100に供給する。
また、測位部38Bは、バックホウ60の位置を検出して位置情報を生成し、無線回線Nを介して情報処理部100に供給する。
情報処理部100は、受け取った画像情報を表示部100Cに表示させると共に、受け取った位置情報に基づいて判定処理を行ない判定結果に基づいて警報部100Dにより警報動作を行なわせる。
【0033】
第2の実施の形態によれば、バックホウ60の上部旋回体64に対するブーム66の揺動を利用して、また、ブーム66に対するアーム68の揺動を利用して、また、アーム68に対するバケット70の揺動を利用して、発電部72A、72B、72Cで電力を発電し、発電された電力によって充電池部34を充電するようにした。
すなわち、バックホウ60が建設作業を行なう際に、第1の部分に対して移動する第2の部分を利用して、発電部72A、72B、72Cで電力を発電し、発電された電力によって充電池部34を充電するようにした。
したがって、バックホウ60に設けられた被電力供給部38に電力を供給するにあたって、バックホウ60の稼動を停止して電池を交換する作業が不要となるため、バックホウ60の稼動効率を確保する上で有利となる。
【0034】
また、第2の実施の形態によれば、ブーム66の揺動速度を増速してロータの回転軸74Aに伝達する動力伝達機構76Aを設け、また、アーム68の揺動速度を増速してロータの回転軸74Bに伝達する動力伝達機構76Bを設けたので、発電部72A、72Bによる発電効率を高める上で有利となり、充電池部34の充電量を確保する上で有利となる。
【0035】
なお、本発明において、発電部は、少なくとも1つ設ければよいが、本実施の形態のように3つの発電部を設けると、充電池部34の充電量を確保する上で有利となる。
また、第2の実施の形態では、被電力供給部38が監視カメラ38A、測位部38Bである場合について説明したが、被電力供給部38はこれらに限定されるものではない。
例えば、被電力供給部38が、バックホウ60の作業現場を照明する照明灯、あるいは、バックホウ60の位置を報知する警告灯、あるいは、電波中継アンテナなどであってもよい。
また、本発明が適用される建設機械は、上記の移動式クレーンやバックホウに限定されず、本発明は、建設作業を行なう際に第1の部分に対して第2の部分が移動する従来公知の様々な建設機械に適用可能であり、それら建設機械に応じて第1の部分および第2の部分が適宜決定され、また、建設機械に応じて設ける発電部の数も異なる。