【実施例】
【0021】
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【0022】
第1実施例・・・
図1は、本発明の第1実施例に係るダストシール1を示している。当該実施例に係るダストシール1は、建設機械または産業機械における油圧シリンダなどの機器に装着され、機器の内部Iへ機器の外部Oからダストが侵入しないようダストをシールするものであって、シールリップの一種としてのダストリップ21を有し、このダストリップ21がその内周面に設定した摺動部22において機器における作動ロッドの外周面に摺動可能に密接することによりダストをシールする。
【0023】
また、ダストシール1は、機器のシールハウジング(シリンダ本体など)の軸孔内周面に取り付けられる取付部11を有し、この取付部11の内周部にダストリップ21が軸方向一方(機器の外部O側)へ向けて設けられるとともにオイルリップ31が軸方向他方(機器の内部I側)へ向けて設けられている。オイルリップ31はその内周面に設定した摺動部32において機器における作動ロッドの外周面に摺動可能に密接し、これにより機器の内部Iから機器の外部Oへオイルが漏洩しないようこれをシールする。
【0024】
取付部11は、金属等剛材製の取付環12を有し、この取付環12の内周部にウレタンゴム等のゴム状弾性体13が被着され、このゴム状弾性体13によってダストリップ21およびオイルリップ31が一体成形されているが、金属等剛材製の取付環12は省略されても良く、この場合、取付部11はゴム状弾性体13のみよりなり、ダストシール1は全体としてもゴム状弾性体13のみよりなる単体の成形品とされる。
【0025】
ダストリップ21は、その基端部21aから先端部21bへかけて径寸法が徐々に縮小する形状に成形され、その基端部21aから先端部21bへかけて径寸法が徐々に縮小する傾斜面状の内周面21c、同じく基端部21aから先端部21bへかけて径寸法が徐々に縮小する傾斜面状の外周面21dおよび軸直角平面状の先端面21eを有し、このうちの内周面21cにおける先端面21e近傍位置に上記摺動部22が設けられている。
【0026】
また、この摺動部22の外周側に位置してダストリップ21の外周面21cに、ダストリップ21の放熱性を高めるための凹凸形状23が設けられている。
【0027】
この凹凸形状23は、ダストリップ21の円周方向に複数(多数)が並設された凹部24と、互いに隣り合う凹部24間に設けられたリブ状部位25との組み合わせよりなり、このような凹部24およびリブ状部位25がダストリップ21の全周に亙って設けられている。
【0028】
凹部24は
図1(B)に示すように、軸方向一方からこれを見て略四角形ないし略扇形の形状でダストリップ21の外周面21dに開口している。また、凹部24は
図1(A)に示すように、軸方向に対し略平行な向きの内部底面24aおよび軸方向に対し略直交する向きの内部側面24bを有し、上記したようにダストリップ21の外周面21dは傾斜面状に形成されているので、凹部24は断面略三角形状(直角三角形状)に形成されている。
【0029】
一方、リブ状部位25は
図1(B)に示すように、軸方向一方からこれを見てダストリップ21の径方向に延設された突起として形成され、複数(多数)のリブ状部位25が放射状に配置されている。リブ状部位25の幅(円周方向幅)は凹部24の幅(円周方向幅)より小さく設定されている。また、リブ状部位25の外側表面はダストリップ21の外周面21cによって形成され、反対に云うとリブ状部位25の外側表面はダストリップ21の外周面21の一部をなし、よってリブ状部位25はダストリップ21の表面から外部へ突出することなくダストリップ21の見掛け上の体積内に収められている。
【0030】
上記構成を備えるダストシール1において、ダストリップ21はその内周面21cに設定した摺動部22において機器における作動ロッドの外周面に摺動可能に密接するため摺動作動に伴って発熱または蓄熱をしやすいところ、ダストリップ21の外周面21dに凹凸形状23が設けられているため、ダストリップ21の外周面21dの表面積が増大し、放熱面積が増大し、よってダストリップ21の放熱性を向上させることが可能とされている。したがってダストリップ21の材料熱劣化によるヘタリを低減することができ、ダストリップ21の耐ダスト性およびシール性を向上させることができる。また、凹凸形状23のうちの凸部としてのリブ状部位25が放熱板(フィン)として作用するため、放熱効果が高いものである。
【0031】
また、上記構成を備えるダストシール1によれば、ダストリップ21の成形材料は従来と同等で良く特に耐熱性に優れた材料を適用する必要がないため、材料費が高くなることがない。またダストリップ21の初期締め代を増加させる必要がないため、緊迫力が増大することがない。またスクレーパなどの別部品を組み合わせる必要がないため、ダストシール1の部品点数が増大することがない。
【0032】
第2実施例・・・
図2は、本発明の第2実施例に係るダストシール1を示している。当該実施例に係るダストシール1は、建設機械または産業機械における油圧シリンダなどの機器に装着され、機器の内部Iへ機器の外部Oからダストが侵入しないようダストをシールするものであって、シールリップの一種としてのダストリップ21を有し、このダストリップ21がその内周面に設定した摺動部22において機器における作動ロッドの外周面に摺動可能に密接することによりダストをシールする。
【0033】
また、ダストシール1は、機器のシールハウジング(シリンダ本体など)の軸孔内周面に取り付けられる取付部11を有し、この取付部11の内周部にダストリップ21が軸方向一方(機器の外部O側)へ向けて設けられるとともにオイルリップ31が軸方向他方(機器の内部I側)へ向けて設けられている。オイルリップ31はその内周面に設定した摺動部32において機器における作動ロッドの外周面に摺動可能に密接し、これにより機器の内部Iから機器の外部Oへオイルが漏洩しないようこれをシールする。
【0034】
取付部11は、金属等剛材製の取付環12を有し、この取付環12の内周部にウレタンゴム等のゴム状弾性体13が被着され、このゴム状弾性体13によってダストリップ21およびオイルリップ31が一体成形されているが、金属等剛材製の取付環12は省略されても良く、この場合、取付部11はゴム状弾性体13のみよりなり、ダストシール1は全体としてもゴム状弾性体13のみよりなる単体の成形品とされる。
【0035】
ダストリップ21は、その基端部21aから先端部21bへかけて径寸法が徐々に縮小する形状に成形され、その基端部21aから先端部21bへかけて径寸法が徐々に縮小する傾斜面状の内周面21c、同じく基端部21aから先端部21bへかけて径寸法が徐々に縮小する傾斜面状の外周面21dおよび軸直角平面状の先端面21eを有し、このうちの内周面21cにおける先端面21e近傍位置に上記摺動部22が設けられている。
【0036】
また、この摺動部22の外周側に位置してダストリップ21の外周面21cに、ダストリップ21の放熱性を高めるための凹凸形状23が設けられている。
【0037】
この凹凸形状23は、ダストリップ21の軸方向に複数(図では2本)が並設された凹部24と、互いに隣り合う凹部24間に設けられたリブ状部位25との組み合わせよりなり、このような凹部24およびリブ状部位25がダストリップ21の全周に亙って設けられている。
【0038】
凹部24は
図2(B)に示すように、ダストリップ21の円周方向に延設された環状の溝として形成され、ダストリップ21の外周面21dに開口している。また、凹部24は
図2(A)に示すように、軸方向に対し略平行な向きの内部底面24aおよび軸方向に対し略直交する向きの一対の内部側面24b,24cを有し、上記したようにダストリップ21の外周面21dは傾斜面状に形成されているので、凹部24は断面略台形状に形成されている。
【0039】
一方、リブ状部位25は
図2(B)に示すように、ダストリップ21の円周方向に延設された環状の突起として形成されている。リブ状部位25の幅(径方向幅)は凹部24の幅(径方向幅)より小さく設定されている。また、リブ状部位25の外側表面はダストリップ21の外周面21cによって形成され、反対に云うとリブ状部位25の外側表面はダストリップ21の外周面21の一部をなし、よってリブ状部位25はダストリップ21の表面から外部へ突出することなくダストリップ21の見掛け上の体積内に収められている。
【0040】
上記構成を備えるダストシール1において、ダストリップ21はその内周面21cに設定した摺動部22において機器における作動ロッドの外周面に摺動可能に密接するため摺動作動に伴って発熱または蓄熱をしやすいところ、ダストリップ21の外周面21dに凹凸形状23が設けられているため、ダストリップ21の外周面21dの表面積が増大し、放熱面積が増大し、よってダストリップ21の放熱性を向上させることが可能とされている。したがってダストリップ21の材料熱劣化によるヘタリを低減することができ、ダストリップ21の耐ダスト性およびシール性を向上させることができる。また、凹凸形状23のうちの凸部としてのリブ状部位25が放熱板(フィン)として作用するため、放熱効果が高いものである。
【0041】
また、上記構成を備えるダストシール1によれば、ダストリップ21の成形材料は従来と同等で良く特に耐熱性に優れた材料を適用する必要がないため、材料費が高くなることがない。またダストリップ21の初期締め代を増加させる必要がないため、緊迫力が増大することがない。またスクレーパなどの別部品を組み合わせる必要がないため、ダストシール1の部品点数が増大することがない。
【0042】
上記第1実施例および第2実施例に共通するところとして、ダストリップ21の表面に熱放射塗料(図示せず、例えば商品名「ぺルクール」)を塗布するようにしても良く、この場合には凹凸形状23のリブ状部位25が放熱板(フィン)として作用するうえで熱放射塗料も放熱作用を奏するため、放熱効果を一層高めることができる。
【0043】
また、ダストリップ21の表面にDLC(ダイヤモンドライクコーティング)を施したり、あるいはダストリップ21の表面に放熱効果の高い充填剤を使用したりすることも考えられる。
【0044】
尚、これらの熱放射塗料の塗布やDLCの加工等はダストリップ21の外周面21dのみ(凹凸形状23の表面を含む)を対象としても良く、凹凸形状23の表面のみを対象としても良く、さらにはリブ状部位25の表面のみを対象としても良い。