(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処理部は、前記合算成分のうち前記色域外成分により上昇する前記第1画素の輝度に対応する輝度調整成分を前記合算成分から減じて前記第1画素が有する副画素の出力を決定し、前記輝度調整成分を前記第2画素が有する副画素に割り当てる
請求項1に記載の画像表示装置。
前記第1画素が有する副画素の各々の色及び位置関係による前記第1画素の色相環と、前記第2画素が有する副画素の各々の色及び位置関係による前記第2画素の色相環とは、色相の回転方向が同一である
請求項1又は2に記載の画像表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0029】
(画像表示装置の構成)
図1は、本実施形態に係る画像表示装置100の構成の一例を示すブロック図である。
図2は、本実施形態に係る画像表示部30の画素31が含む副画素32の点灯駆動回路を示す図である。
図3は、本実施形態に係る第1画素31Aの副画素32の配列を示す図である。
図4は、本実施形態に係る第2画素31Bの副画素32の配列を示す図である。
図5は、本実施形態に係る画像表示部30の断面構造を示す図である。
【0030】
図1に示すように、画像表示装置100は、画像処理回路20と、画像表示パネルである画像表示部30と、画像表示部30の駆動を制御する画像表示パネル駆動回路40(以下、駆動回路40ともいう。)と、を備えている。画像処理回路20は、ハードウェア又はソフトウェアのいずれかによって機能が実現されていればよく、特に限定されるものではない。
【0031】
画像処理回路20は、画像表示部30を駆動するための画像表示パネル駆動回路40と接続されている。画像処理回路20は、信号処理部21と、エッジ判定部22とを有する。信号処理部21は、入力画像信号に応じて画像表示部30の各画素31が有する副画素32(後述)の出力を決定する。具体的には、信号処理部21は、例えば、RGB色空間の入力画像信号を、4色で再現されるRGBWの再現値又はCMYWの再現値に変換する。信号処理部21は、生成した出力信号を画像表示パネル駆動回路40に出力する。ここで、出力信号は、画素31が有する副画素32の出力(発光状態)を示す信号である。エッジ判定部22は、入力画像信号が画像のエッジに対応する入力画像信号であるか否か判定する。エッジ判定部22による判定の詳細は後述する。
【0032】
駆動回路40は、画像表示部30の制御装置であって、信号出力回路41、走査回路42及び電源回路43を備えている。画像表示部30の駆動回路40は、信号出力回路41によって、順次、画像表示部30の各画素31に出力信号を出力する。信号出力回路41は、信号線DTLによって画像表示部30と電気的に接続されている。画像表示部30の駆動回路40は、走査回路42によって、画像表示部30における副画素32を選択し、副画素32の動作を制御するためのスイッチング素子(例えば、薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor))のオン及びオフを制御する。走査回路42は、走査線SCLによって画像表示部30と電気的に接続されている。電源回路43は、電源線PCLによって各画素31の後述する自発光体へ電力を供給する。
【0033】
図1に示すように、画像表示部30は、画素31が、P
0×Q
0個(行方向にP
0個、列方向にQ
0個)、2次元のマトリクス状(行列状)に配列された表示領域Aを有する。本実施形態の画像表示部30は、直線状の辺を有する多角形(例えば矩形)状の平面表示領域を有するが、これは表示領域Aの具体的形状の一例であってこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。
【0034】
画素31には、第1の色域に含まれる3色以上の副画素で構成される第1画素31Aと、第1の色域とは異なる第2の色域に含まれる3色以上の副画素で構成される第2画素31Bとが含まれる。第1画素31Aと、第2画素31Bとをそれぞれ区別する必要がない場合、画素31とする。画素31は、複数の副画素32を含み、
図2に示す副画素32の点灯駆動回路が2次元のマトリクス状(行列状)に配列されている。点灯駆動回路は、制御用トランジスタTr1と、駆動用トランジスタTr2と、電荷保持用コンデンサC1とを含む。制御用トランジスタTr1のゲートが走査線SCLに接続され、ソースが信号線DTLに接続され、ドレインが駆動用トランジスタTr2のゲートに接続されている。電荷保持用コンデンサC1の一端が駆動用トランジスタTr2のゲートに接続され、他端が駆動用トランジスタTr2のソースに接続されている。駆動用トランジスタTr2のソースが、電源線PCLと接続されており、駆動用トランジスタTr2のドレインが、自発光体である有機発光ダイオードのアノードに接続されている。有機発光ダイオードのカソードは、例えば基準電位(例えばアース)に接続されている。なお
図2では制御用トランジスタTr1がnチャネル型トランジスタ、駆動用トランジスタTr2がpチャネル型トランジスタの例を示しているが、それぞれのトランジスタの極性はこれに限定されない。必要に応じて、制御用トランジスタTr1及び駆動用トランジスタTr2それぞれの極性を決めればよい。
【0035】
第1画素31Aは、例えば、第1副画素32Rと、第2副画素32Gと、第3副画素32Bと、第4副画素32W1とを有する。第1副画素32Rは、第1原色(例えば、赤(R)成分)を表示する。第2副画素32Gは、第2原色(例えば、緑(G)成分)を表示する。第3副画素32Bは、第3原色(例えば、青(B)成分)を表示する。第4副画素32W1は、第1原色、第2原色及び第3原色とは異なる追加色成分としての第4の色(本実施形態では白(W))を表示する。このように、第1画素31Aが有する副画素32の色のうち3色は、赤、緑、青に対応する。第1画素31Aは、例えば、
図3に示すように、第1副画素32R、第2副画素32G、第3副画素32B及び第4副画素32W1が2行2列(2×2)に配置されている。第2画素31Bは、例えば、第5副画素32Mと、第6副画素32Yと、第7副画素32Cと、第8副画素32W2とを有する。第5副画素32Mは、第1補色(例えば、マゼンタ(M)成分)を表示する。第6副画素32Yは、第2補色(例えば、イエロー(Y)成分)を表示する。第7副画素32Cは、第3補色(例えば、シアン(C)成分)を表示する。第8副画素32W2は、第1補色、第2補色及び第3補色とは異なる追加色成分としての第4の色(本実施形態では白(W))を表示する。第2画素31Bは、例えば、
図4に示すように、第5副画素32M、第6副画素32Y、第7副画素32C及び第8副画素32W2が2行2列(2×2)に配置されている。このように、本実施形態では、第1画素31Aが有する副画素32の数と第2画素31Bが有する副画素32の数は同一である。また、本実施形態では、第1画素31A又は第2画素31Bの一方(例えば第2画素31B)の画素が有する副画素32の色は、他方の画素(第1画素31A)が有する副画素32の色の補色である。これらの関係は第1画素31Aと第2画素31Bとの関係の一例であってこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。例えば、第1画素31Aが有する副画素32の数と第2画素31Bが有する副画素32の数は異なってもよい。第1画素31Aが有する副画素32の色は、第2画素31Bが有する副画素32の色の補色であってもよい。第1副画素32Rと、第2副画素32Gと、第3副画素32Bと、第4副画素32W1と、第5副画素32Mと、第6副画素32Yと、第7副画素32Cと、第8副画素32W2とをそれぞれ区別する必要がない場合、副画素32とする。
【0036】
画像表示部30は、
図5に示すように、基板51と、絶縁層52,53と、反射層54と、下部電極55と、自発光層56と、上部電極57と、絶縁層58と、絶縁層59と、色変換層としてのカラーフィルタ61と、遮光層としてのブラックマトリクス62と、基板50とを備えている。基板51は、シリコンなどの半導体基板、ガラス基板、樹脂基板などであって、上述した点灯駆動回路などを形成又は保持している。絶縁層52は、上述した点灯駆動回路などを保護する保護膜であり、シリコン酸化物、シリコン窒化物などを用いることができる。下部電極55は、第1副画素32Rと、第2副画素32Gと、第3副画素32Bと、第4副画素32W1と、第5副画素32Mと、第6副画素32Yと、第7副画素32Cと、第8副画素32W2とにそれぞれ設けられており、上述した有機発光ダイオードのアノード(陽極)となる導電体である。下部電極55は、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)等の透光性導電材料(透光性導電酸化物)で形成される透光性電極である。絶縁層53は、バンクと呼ばれ、第1副画素32Rと、第2副画素32Gと、第3副画素32Bと、第4副画素32W1と、第5副画素32Mと、第6副画素32Yと、第7副画素32Cと、第8副画素32W2とを区画する絶縁層である。反射層54は、自発光層56からの光を反射する金属光沢のある材料、例えば銀、アルミニウム、金などで形成されている。自発光層56は、有機材料を含み、不図示のホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層を含む。
【0037】
(ホール輸送層)
正孔を発生する層としては、例えば、芳香族アミン化合物と、その化合物に対して電子受容性を示す物質とを含む層を用いることが好ましい。ここで、芳香族アミン化合物とは、アリールアミン骨格を有する物質である。芳香族アミン化合物の中でも特に、トリフェニルアミンを骨格に含み、400以上の分子量を有するものが好ましい。また、トリフェニルアミンを骨格に有する芳香族アミン化合物の中でも特にナフチル基のような縮合芳香環を骨格に含むものが好ましい。トリフェニルアミンと縮合芳香環とを骨格に含む芳香族アミン化合物を用いることによって、発光素子の耐熱性が良くなる。芳香族アミン化合物の具体例としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:α−NPD)、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−{4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル}−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N,N−ジ(m−トリル)アミノ]ベンゼン(略称:m−MTDAB)、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、2,3−ビス(4−ジフェニルアミノフェニル)キノキサリン(略称:TPAQn)、2,2’,3,3’−テトラキス(4−ジフェニルアミノフェニル)−6,6’−ビスキノキサリン(略称:D−TriPhAQn)、2,3−ビス{4−[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:NPADiBzQn)等が挙げられる。また、芳香族アミン化合物に対して電子受容性を示す物質について特に限定はなく、例えば、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(略称:TCNQ)、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(略称:F4−TCNQ)等を用いることができる。
【0038】
(電子注入層、電子輸送層)
電子輸送性物質について特に限定はなく、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)等の金属錯体の他、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)等を用いることができる。また、電子輸送性物質に対して電子供与性を示す物質について特に限定はなく、例えば、リチウム、セシウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、エルビウム、イッテルビウム等の希土類金属等を用いることができる。また、リチウム酸化物(Li2O)、カルシウム酸化物(CaO)、ナトリウム酸化物(Na2O)、カリウム酸化物(K2O)、マグネシウム酸化物(MgO)等、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物の中から選ばれた物質を、電子輸送性物質に対して電子供与性を示す物質として用いても構わない。
【0039】
(発光層)
例えば、赤色系の発光を得たいときには、4−ジシアノメチレン−2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJTI)、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJT)、4−ジシアノメチレン−2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJTB)やペリフランテン、2,5−ジシアノ−1,4−ビス[2−(10−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]ベンゼン等、600nmから680nmに発光スペクトルのピークを有する発光を呈する物質を用いることができる。また緑色系の発光を得たいときは、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、クマリン6やクマリン545T、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)等、500nmから550nmに発光スペクトルのピークを有する発光を呈する物質を用いることができる。また、青色系の発光を得たいときは、9,10−ビス(2−ナフチル)−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)、9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−ガリウム(略称:BGaq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)等、420nmから500nmに発光スペクトルのピークを有する発光を呈する物質を用いることができる。以上のように、蛍光を発光する物質の他、ビス[2−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CF3ppy)2(pic))、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIr(pic))、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(略称:Ir(ppy)3)等の燐光を発光する物質も発光物質として用いることができる。
【0040】
上部電極57は、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)等の透光性導電材料(透光性導電酸化物)で形成される透光性電極である。なお本実施形態では、透光性導電材料の例としてITOを挙げたが、これに限定されない。透光性導電材料として、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:IZO)等の別の組成を有する導電材料を用いてもよい。上部電極57は、有機発光ダイオードのカソード(陰極)になる。絶縁層58は、上述した上部電極57を封止する封止層であり、シリコン酸化物、シリコン窒化物などを用いることができる。絶縁層59は、バンクにより生じる段差を抑制する平坦化層であり、シリコン酸化物、シリコン窒化物などを用いることができる。基板50は、画像表示部30全体を保護する透光性の基板であり、例えば、ガラス基板を用いることができる。なお、
図5においては、下部電極55がアノード(陽極)、上部電極57がカソード(陰極)の例を示しているが、これに限定されない。下部電極55がカソード及び上部電極57がアノードであってもよく、その場合は、下部電極55に電気的に接続されている駆動用トランジスタTr2の極性を適宜変えることも可能であり、また、キャリア注入層(ホール注入層及び電子注入層)、キャリア輸送層(ホール輸送層及び電子輸送層)、発光層の積層順を適宜変えることも可能である。
【0041】
画像表示部30は、カラー表示パネルであり、自発光層56の発光成分のうち、副画素32と画像観察者との間に、副画素32の色に応じた色の光を通過させるカラーフィルタ61が配置されている。画像表示部30は、赤(R)、緑(G)、青(B)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及び白(W)に対応する色の光を発光することができる。なお、白(W)に対応する第4副画素32W1及び第8副画素32W2と画像観察者との間にカラーフィルタ61が配置されていないようにしてもよい。また、画像表示部30は、自発光層56の発光成分がカラーフィルタ61などの色変換層を介さず、第1副画素32R、第2副画素32G、第3副画素32B、第4副画素32W1、第5副画素32M、第6副画素32Y、第7副画素32C、第8副画素32W2の各々の色を発光することもできる。例えば画像表示部30は、第4副画素32W1には、色調整用のカラーフィルタ61の代わりに透明な樹脂層が備えられていてもよい。このように画像表示部30は、透明な樹脂層を設けることで、第4副画素32W1に大きな段差が生じることを抑制することができる。
【0042】
(画素及び副画素の配置)
次に、
図6〜
図12を参照して、画素31及び副画素32の具体的な配置例について説明する。画像表示部30は、画素31がマトリクス状に配置されている。具体的には、
図6に示すように、画像表示部30において、第1画素31Aと第2画素31Bは隣接する。より具体的には、画像表示部30において、第2画素31Bは、千鳥状に配置されている。よって、第2画素31Bに隣接する第1画素31Aも千鳥状に配置されている。なお、ここでいう「千鳥状」とは、複数の画素31間の区切り(輪郭)が表示領域内に格子を描くマトリクス状の配置において、行方向及び列方向(又は上下方向及び左右方向)に互い違いに設けられていることをさし、所謂市松模様(チェック模様)状に対応する。
【0043】
このように、画像表示装置100は、第1の色域に含まれる3色以上の副画素32で構成される第1画素31Aと、第1の色域とは異なる第2の色域に含まれる3色以上の副画素32で構成される第2画素31Bとがマトリクス状に設けられて第1画素31Aと第2画素31Bとが隣接する画像表示部30を有する。なお、本実施形態において「隣接」とは、画像表示部30の行方向(左右方向)及び列方向(上下方向)の少なくとも一方に沿う方向で隣り合うことを差し、行方向及び列方向に対して傾斜する斜め方向の画素31の配置については含まれない。
【0044】
図6は、第1画素31Aと第2画素31Bとの位置関係並びに第1画素31A及び第2画素31Bの各々が有する副画素32の配置の一例を示す図である。第1画素31Aにおける副画素32の配置と第2画素31Bにおける副画素32の配置は、所定の対応関係を有するように配置されてもよい。具体的には、第1画素31Aにおける副画素32の配置と第2画素31Bにおける副画素32の配置は、第1画素31Aが有する副画素32の色相と第2画素31Bが有する副画素32の色相とを対比した場合に、各画素31における色相の配置がより近似する配置であるように配置されてもよい。より具体的には、
図6に示すように、第1画素31A及び第2画素31Bにおける副画素32の配置が2行2列(2×2)であって、第1画素31Aの副画素32が、左上、右上、右下、左下の順に、第1副画素32R、第2副画素32G、第3副画素32B、第4副画素32W1である場合に、第2画素31Bの副画素32が、左上、右上、右下、左下の順に、第5副画素32M、第6副画素32Y、第7副画素32C、第8副画素32W2であってもよい。この場合、第1画素31A及び第2画素31Bを色相環として見立てた場合の色相の回転方向が同一であることになる。
【0045】
以下の説明では、原則として、
図6に示すように、第2画素31Bの配置が千鳥状であって、第1画素31Aが有する副画素32の配置と第2画素31Bが有する副画素32の配置との関係が色成分に対応する場合について説明するが、本発明はこれに限られるものでない。
図7、
図8は、第1画素31Aと第2画素31B(又は第2画素31B2)との位置関係並びに第1画素31A及び第2画素31B(又は第2画素31B2)の各々が有する副画素32の配置の別の一例を示す図である。例えば、
図7、
図8に示すように、一方向(例えば列方向)に沿って設けられた第1画素31Aの列と第2画素31Bの列とが他方向(例えば行方向)に隣接する配置であってもよい。また、副画素32の配置について、
図8に示すように、第1画素31Aにおける副画素32の配置による第1画素31Aの輝度分布と第2画素31B2における副画素32の配置による第2画素31B2の輝度分布とがより近似するように、第1画素31A及び第2画素31B2の副画素32の配置を決定してもよい。この場合、第1画素31Aにおける副画素32の配置と第2画素31B2における副画素32の配置は、各画素31における副画素32同士の輝度の高低関係が同一であることになる。また、この場合の輝度分布は、例えば全ての副画素32が予め定められた最大の発光量(例えば100%)で発光する場合の輝度分布である。
図8に示すような第2画素31B2が千鳥状であってもよい。また、第1画素31A及び第2画素31Bの各々の副画素32の配置はこれらに限られるものでなく、適宜変更可能である。
【0046】
図3、
図4、
図6〜
図8に示すように、第1画素31Aにおける白色の副画素の配置と第2画素31Bにおける白色の副画素の配置とは同一の配置である。具体的には、例えば第4画素32W1及び第8画素32W2は共に、画素31の左下に配置されている。白色の副画素の配置は左下に限られるものでなく、画素31の任意の位置に配置することができる。
【0047】
出力信号は、第1画素31Aと第2画素31Bの配置に応じて、第1画素31A及び第2画素31Bに対して個別に出力される。具体的には、第1画素31Aに対応する位置に赤(R)、緑(G)、青(B)、白(W)の色の光を発光する第1副画素32R、第2副画素32G、第3副画素32B及び第4副画素32W1の発光状態を示す出力信号が出力され、第2画素31Bに対応する位置にマゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)、白(W)の色の光を発光する第5副画素32M、第6副画素32Y、第7副画素32C及び第8副画素32W2の発光状態を示す出力信号が出力される。
【0048】
次に、第1画素31Aと第2画素31Bとの組について説明する。本実施形態では、信号処理部21は、一つの第1画素31Aと一つの第2画素31Bとを一組の画素35として扱い、例外処理を除いて組単位で入力画像信号を処理する。すなわち、信号処理部21は、この一組の画素35に含まれる二つの画素31に対応する入力画像信号が、この一組の画素35に含まれる第1画素31Aが有する副画素32の出力とこの一組の画素35に含まれる第2画素31Bが有する副画素32の出力との組み合わせによる色再現で表示出力されるように処理を行う。
【0049】
図9は、画素の組及び組になる画素の配置の一例を示す図である。具体的には、信号処理部21は、例えば
図9に破線で示すように、一つの第1画素31Aと、当該第1画素31Aに対して右側に存する一つの第2画素31Bとを一組の画素35として扱う。第2画素31Bを基準とした場合、第2画素31Bは、左側で隣接する第1画素31Aと組になる。この場合、
図9に示すように、各組の画素は、互い違い(小口積み状)の位置関係となる。
【0050】
ここで、表示領域Aの少なくとも一辺に隣接する画素は第1画素31Aであってもよい。
図10は、一辺に隣接する画素が第1画素31Aである表示領域Aの一例を示す図である。具体的には、例えば
図10の辺隣接領域A1に示すように、表示領域Aの外縁に対応する一辺に隣接する画素列を構成する画素が全て第1画素31Aであってもよい。この場合、当該画素列を構成する第1画素31Aのうち右側で第2画素31Bと隣接する第1画素31Aは、当該第2画素31Bと組をなす。一方、当該画素列を構成する第1画素31Aのうち右側で他の第1画素31Aと隣接する第1画素31Aは、行方向及び列方向で隣接する第2画素31Bがないため、当該第1画素31Aは、組をなさない。当該第1画素31Aの各々は、単独で各々の入力画像信号に応じた出力(例えば発光)を行う。
【0051】
なお、表示領域Aの辺のうち二辺以上の辺に隣接する画素を第1画素31Aとしてもよい。
図11は、四辺に隣接する画素が第1画素31Aである表示領域Aの一例を示す図である。具体的には、例えば
図11の辺隣接領域A2で示すように、矩形状の表示領域Aの全ての辺に隣接する画素を第1画素31Aとしてもよい。この場合、加速度センサ等の検出部と当該検出部に応じて画面の回転状態を制御する回転制御部とを有する画像表示装置100又は電子機器において、辺隣接領域A2に隣接する第2画素31Bは、必ず第1画素31Aと隣接することができる。より具体的には、一組の画素が左右方向又は上下方向のいずれか一方に沿って設定される条件下において、四辺に対応する辺隣接領域A2の全ての画素が第1画素31Aであることで、辺隣接領域A2に隣接する第2画素31Bを含む全ての第2画素31Bは、回転状態に関わらず、当該条件下で組を形成することができる。この場合、検出部は、例えば地球等が有するより大きい重力に対する重力加速度を計測することで画像表示装置100の傾きを検出する。回転制御部は、検出部による検出結果に応じて表示領域Aの上下左右を決定し、決定された上下左右に応じた出力を信号処理部21又は駆動回路40に行わせる。
図11では四辺に隣接する画素が第1画素31Aであるが、このうち二辺又は三辺に隣接する画素のみ第1画素31Aであってもよい。また、画像表示装置100が四角形以外の多角形である場合に、その辺の一部又は全部に隣接する画素が第1画素31Aであってもよい。
【0052】
以下の説明では、原則として、一つの第1画素31Aと、当該第1画素31Aに対して右側に存する一つの第2画素31Bとが一組として扱われる場合について説明するが、本発明はこれに限られるものでない。どの方向で隣接する第1画素31Aと第2画素31Bとを組とするかは任意である。
図12は、画素の組及び組になる画素の配置の別の一例を示す図である。例えば、
図12に示すように、組になる第1画素31Aと第2画素31Bとの左右関係が行ごとに入れ替ってもよい。
図12では、一つの第1画素31Aと、当該第1画素31Aに対して左側に存する一つの第2画素31Bとの組を一組の画素35Aとし、2行の画素行のうち一方の行(上の画素行)に一組の画素35が配置され、他方の行(下の画素行)に一組の画素35Aが配置されている例を示している。一組の画素35と一組の画素35Aとの行の上下関係は一例であってこれに限られるものでなく、入れ替え可能である。
図12では図示を省略しているが、3行以上の画素行の場合、行ごとに一組の画素35と一組の画素35Aとが入れ替わるように配置される。また、上下方向について第1画素31Aと第2画素31Bとが隣接する配置において、上下方向に隣接する一つの第1画素31Aと一つの第2画素31Bとを一組の画素とするようにしてもよい。上下方向又は左右方向のいずれかの方向のうちより解像感が必要な方向に直交する方向に沿って組を設定することで、組が設定された方向に直交する方向の解像感をより高いレベルで維持しやすくなる。
【0053】
(画像処理回路の処理)
次に、
図13〜
図58を参照して、画像処理回路20による処理について説明する。信号処理部21は、隣接する第1画素31Aと第2画素31Bのうち一方の画素に対応する入力画像信号の成分のうち一部の成分を他方の画素が有する副画素32の出力の決定に用いる。具体的には、信号処理部21は、例えば、第1画素31Aに対応する入力画像信号の成分である第1成分及び隣接する第2画素31Bに対応する入力画像信号のうち当該第2画素31Bが有する副画素32で色を再現することができない成分である色域外成分の合算成分に基づいて第1画素31Aが有する副画素32の出力を決定し、第2画素31Bに対応する入力画像信号の成分である第2成分から色域外成分を除いた第3成分に基づいて第2画素31Bが有する副画素32の出力を決定する。なお、「副画素32の出力」とは、当該副画素32からの光の出力の有無に限らず、光の出力がある場合の光の強弱を含む。すなわち、「副画素32の出力を決定する」とは、各々の副画素32からの光の強度を決定することをさす。また、「成分を副画素32の出力に反映させる」とは、当該成分に応じた光の強度の増減を当該副画素32の光の出力における光の強度の強弱に反映させることをさす。
【0054】
本実施形態では、RGB色空間に対応した入力画像信号が採用されている。以下、入力画像信号が、赤(R)成分、緑(G)成分、青(B)成分の各階調が8ビット(256階調)である場合、すなわち(R,G,B)=(0,0,0)〜(255,255,255)の範囲内で構成される場合について説明する。このように、本実施形態では、入力画像信号の成分は、第1画素31Aが有する副画素32のうち3色に対応する。係る入力画像信号は、本発明における入力画像信号の成分の一例であってこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。また、以下の説明で示す入力画像信号の具体的な数値は、あくまで一例であってこれに限られるものでなく、任意の数値を取ることができる。
【0055】
図13は、入力画像信号の成分の一例を示す図である。
図13〜
図20を参照した説明では、一組の画素35に含まれる第1画素31Aに対応する入力画像信号及び当該一組の画素35に含まれる第2画素31Bに対応する入力画像信号がともに
図13に示すような赤(R)、緑(G)、青(B)の成分を示す入力画像信号である場合について説明する。すなわち、この場合、第1画素31Aに対応する入力画像信号の成分である第1成分と、第2画素31Bに対応する入力画像信号の成分である第2成分は、
図13に示す赤(R)、緑(G)、青(B)の色値の組み合わせであり、当該組み合わせにより表される色を構成する成分(R,G,B)である。
【0056】
(信号処理部の処理:基本的処理)
まず、第2画素31Bが有する副画素32の出力の決定に関する処理について説明する。
図14は、赤(R)、緑(G)、青(B)の成分を白(W)の成分に変換する処理の一例を示す図である。
図15は、赤(R)、緑(G)の成分をイエロー(Y)の成分に変換する処理の一例を示す図である。
図16は、本実施形態の第2画素31Bの出力に対応する成分及び色域外成分の一例を示す図である。信号処理部21は、第2画素31Bに対応する入力画像信号の成分のうち、第2画素31Bが有する副画素32の色で再現可能な成分を第2画素31Bが有する副画素32の色に変換する処理を行う。具体的には、信号処理部21は、例えば
図14に示すように、第2画素31Bに対応する入力画像信号の成分である赤(R)、緑(G)、青(B)の成分のうち最も彩度が小さい成分(
図14の場合、青(B))の成分量に対応する成分量を赤(R)、緑(G)、青(B)の成分から抜き出して白(W)に変換する。白(W)は、第8副画素32W2の色である。このように、信号処理部21は、第2画素31Bに対応する入力画像信号の成分のうち、白色で再現可能な成分を白色に変換する処理を行う。信号処理部21は、第2画素31Bが有する他の副画素32の色についても同様の処理を行う。具体的には、信号処理部21は、例えば
図15に示すように、第2画素31Bに対応する入力画像信号の成分であって、白(W)に変換されなかった赤(R)、緑(G)の成分のうちより小さい成分(
図15の場合、赤(R))の成分量に対応する成分量を赤(R)、緑(G)の成分から抜き出してこの成分の組み合わせに対応する色(
図15の場合、イエロー(Y))に変換する。イエロー(Y)は、第6副画素32Yの色である。この結果、第2画素31Bの出力に対応する成分は、
図16に示すシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及び白(W)の成分になる。
【0057】
図15に示す例では、赤(R)、緑(G)の成分をイエロー(Y)に変換する例を示しているが、これは変換処理の一例であってこれに限られるものでない。信号処理部21は、第2画素31Bに対応する入力画像信号の成分から第2画素31Bが有する他の副画素32の色に変換することもできる。具体的には、信号処理部21は、赤(R)、青(B)の成分をマゼンタ(M)に変換することができる。マゼンタ(M)は、第5副画素32Mの色である。また、信号処理部21は、緑(G)、青(B)の成分をシアン(C)に変換することができる。シアン(C)は、第7副画素32Cの色である。
【0058】
第2画素31Bに対応する入力画像信号について
図14及び
図15に示す変換処理が行われた場合、
図16に示すように、第2画素31Bに対応する入力画像信号の成分のうち、白(W)及びイエロー(Y)への変換に用いられなかった緑(G)の成分が残ることになる。ここで、第2画素31Bが有する副画素32の色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及び白(W)では、この残った緑(G)の成分を再現することができない。この残った成分は、色域外成分として第1画素31Aが有する副画素32の出力の決定に用いられる。
図16及び後述する
図17では、色域外成分に符号O1を付している。すなわち、この場合、第2画素31Bに対応する入力画像信号の成分である第2成分から色域外成分を除いた第3成分とは、
図13に示す成分(第2成分)から色域外成分(
図16の色域外成分O1)を除いた赤(R)、緑(G)、青(B)の色値の組み合わせであり、当該組み合わせにより表される色を構成する成分(R,G,B)である。この第3成分により決定された副画素の出力は、
図16に示すシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及び白(W)の成分に応じた出力になる。
【0059】
次に、第1画素31Aが有する副画素32の出力の決定に関する処理について説明する。
図17は、
図13に示す入力画像信号の成分に色域外成分が加味された第1画素31Aの出力に対応する成分の一例を示す図である。
図18は、本実施形態の第1画素31Aの出力に対応する成分の一例を示す図である。信号処理部21は、第1画素31Aに対応する入力画像信号の成分のうち、第1画素31Aが有する副画素32の色で再現可能な成分を第1画素31Aが有する副画素32の色に変換する処理を行う。具体的には、信号処理部21は、例えば第2画素31Bと同様、
図14に示すように、第1画素31Aに対応する入力画像信号の成分である赤(R)、緑(G)、青(B)の成分のうち最も彩度が小さい成分(
図14の場合、青(B))の成分量に対応する成分量を赤(R)、緑(G)、青(B)の成分から抜き出して白(W)に変換する。白(W)は、第4副画素32W1の色である。このように、信号処理部21は、第1画素31Aに対応する入力画像信号の成分のうち、白色で再現可能な成分を白色に変換する処理を行う。また、信号処理部21は、第1画素31Aに対応する入力画像信号の成分に、色域外成分を合成する。具体的には、信号処理部21は、例えば
図17に示すように、
図16で色域外成分とされた緑(G)の成分を第1画素31Aに対応する入力画像信号の成分に加える。この結果、第1画素31Aの出力に対応する成分は、
図18に示す赤(R)、緑(G)、青(B)及び白(W)の成分になる。すなわち、この場合、第1成分と色域外成分との合算成分とは、
図17及び
図18に示す赤(R)、緑(G)、青(B)の色値の組み合わせであり、当該組み合わせにより表される色を構成する成分(R,G,B)である。
【0060】
このように、信号処理部21は、二つの画素に対応する入力画像信号のうち当該第2画素31Bが有する副画素32で色を再現することができない成分である色域外成分を、第1画素31Aで再現するように、一組の画素35に対応する二画素分の入力画像信号を処理する。これによって、一組の画素35のうち一方の画素が有する副画素32で色を再現することができない成分があっても、一組の画素35単位で入力画像信号に対応した色再現を行うことができる。
【0061】
また、
図16及び
図18の例で示すように、入力画像信号の成分のうち白色に変換可能な成分がある場合に白色の副画素を点灯させるように第1画素31A及び第2画素31Bの出力を決定することで、各画素31の輝度を白色の副画素の点灯により確保することができる。すなわち、輝度を確保する観点において他の色の副画素32の出力をより抑えることができることから、より高いレベルの省電力性を実現することができる。
【0062】
(信号処理部の処理:輝度調整)
信号処理部21は、例えば、
図18に示す赤(R)、緑(G)、青(B)及び白(W)の成分を第1画素31Aが有する副画素32の出力を示す出力信号とし、
図16に示すシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及び白(W)の成分を第2画素31Bが有する副画素32の出力を示す出力信号として、第1画素31A及び第2画素31Bに出力してもよい。ここで、第2画素31Bに対応する入力画像信号のうち色域外成分が第1画素31Aに移されていることから、第2画素31Bに対応する入力画像信号の成分により出力される輝度のうち色域外成分に対応する分の輝度が第2画素31Bから第1画素31Aに移っていることになる。そこで、信号処理部21は、合算成分のうち色域外成分により上昇する第1画素31Aの輝度に対応する輝度調整成分を合算成分から減じて第1画素31Aが有する副画素32の出力を決定し、第3成分及び輝度調整成分に基づいて第2画素31Bが有する副画素32の出力を決定するようにしてもよい。このように輝度調整成分を用いた第1画素31Aと第2画素31Bとの間の輝度調整を行うことで、第1画素31Aに対応する入力画像信号に応じた輝度を第1画素31Aで出力するとともに、第2画素31Bに対応する入力画像信号に応じた輝度を第2画素31Bで出力することができる。すなわち、一組の画素35に含まれる各画素31の輝度を変ずることなく一組の画素35で入力画像信号に対応した色再現を行うことができる。
【0063】
輝度調整成分に関する処理について、
図19及び
図20を参照して説明する。
図19は、
図18に示す成分から輝度調整成分が減じられた第1画素31Aの出力に対応する成分の一例を示す図である。
図20は、
図16に示す出力の成分に輝度調整成分が加味された第2画素31Bの出力に対応する成分の一例を示す図である。信号処理部21は、まず、色域外成分により第1画素31Aに加味される輝度を算出する。次に、信号処理部21は、算出された輝度に対応する成分を第1画素31Aの成分から減ずる。具体的には、信号処理部21は、例えば
図19に示すように、第2画素31Bで再現可能な成分(
図19の場合、白(W))を減ずることで、色域外成分により第1画素31Aに加味される輝度に対応する成分を減ずる。
図19に示す例の場合、低減された白(W)の成分が、輝度調整成分である。
図19及び
図20では、輝度調整成分に符号P1を付している。信号処理部21は、第1画素31Aで低減した輝度調整成分を第2画素31Bの成分に加える。具体的には、信号処理部21は、例えば
図20に示すように、
図19で第1画素31Aの成分から低減された白(W)の成分量だけ、第2画素31Bの成分における白(W)の成分を増加させる。
図19及び
図20に示す処理後の成分をそれぞれ第1画素31Aの出力信号及び第2画素31Bの出力信号とすることで、第1画素31A及び第2画素31Bの輝度を、各々の入力画像信号に対応した輝度にすることができる。
【0064】
なお、輝度調整成分は、第2画素31Bが有する副画素32で再現できる色の成分であることが望ましい。輝度調整成分として第2画素31Bが有する副画素32で再現できる色の成分を第1画素31Aの出力に対応する成分から抽出することができない場合、第2画素31Bが有する副画素32の色で再現可能な色成分により近い色の成分を輝度調整成分とすることが望ましい。例えば、第1画素31Aの出力に対応する成分のうち緑(G)及び白(W)の成分の組み合わせは、第2画素31Bが有するシアン(C)及びイエロー(Y)の成分の組み合わせとして移すことができるので、輝度調整成分として緑(G)及び白(W)の成分の組み合わせを採用することができる。また、信号処理部21は、第1画素31Aの出力に対応する成分のうち白(W)の成分を、当該第1画素31Aの緑(G)の成分と第2画素31Bのマゼンタ(M)の成分とに分け、当該マゼンタ(M)の成分を輝度調整成分としてもよい。また、輝度調整成分として第1画素31Aから白(W)の成分が減じられた場合に、第2画素31Bで当該輝度調整成分をシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)に分けて反映するようにしてもよい。この場合、表示出力された画像の解像感が増すことで見栄えが良くなる。また、第1画素31Aの出力と第2画素31Bの出力とで色が近似する場合、白(W)の出力が同一であることが望ましい。
【0065】
(信号処理部の処理:解像感の向上)
なお、
図13〜
図20に示す例では、信号処理部21は、入力画像信号のうち白色に変換可能な成分を他の色の副画素32よりも優先的に白色の副画素の出力に反映させる処理を行っているが、これは変換処理の一例であってこれに限られるものでない。例えば、信号処理部21は、入力画像信号の成分のうち白色以外の色に変換可能な成分を白色の副画素よりも優先的に副画素32の出力に反映させるようにしてもよい。また、第2画素31Bの色域外成分を第1画素31Aに移動させる処理の後に、白色又は白色以外への変換に関する処理を行うようにしてもよい。
図21は、入力画像信号の成分の別の一例を示す図である。
図22は、
図21の入力画像信号の成分をイエロー(Y)及びマゼンタ(M)の成分に変換した一例を示す図である。具体的には、例えば第2画素31Bに対応する入力画像信号の成分が
図21に示すような成分である場合、赤(R)、緑(G)の成分の組み合わせによりイエロー(Y)の副画素(第6副画素32Y)を点灯させるとともに赤(R)、青(B)の成分の組み合わせによりマゼンタ(M)の副画素(第5副画素32M)を点灯させるようにしてもよい。すなわち、信号処理部21は、
図21に示すような成分のうち赤(R)、緑(G)、青(B)の成分の組み合わせにより白(W)の副画素(第8副画素32W2)を発光させるようにしてもよいが、白(W)以外の副画素32の発光を優先するようにしてもよい。信号処理部21は、白(W)以外の副画素32の発光を優先した場合、
図22に示すように、イエロー(Y)及びマゼンタ(M)の副画素を発光させるための出力信号を生成する。このように、白(W)の副画素よりも白(W)以外の副画素に入力画像信号の成分を優先的に反映することで、表示出力における解像感をより向上させることができる。
【0066】
入力画像信号の成分のうち白色以外の色に変換可能な成分を白色の副画素よりも優先的に副画素32の出力に反映させる処理は、第2画素31Bに限らず、第1画素31Aにも適用してよい。また、信号処理部21は、第1画素31A及び第2画素31Bの各々が有する白色の副画素のうち出力がより小さい一方の副画素の出力に応じて他方の副画素の出力を決定するようにしてもよい。
図23は、
図21の入力画像信号の赤(R)、緑(G)、青(B)の成分を白(W)の成分に変換した一例を示す図である。
図24は、
図21の入力画像信号の赤(R)、緑(G)、青(B)の成分を白(W)の成分に変換した別の一例を示す図である。例えば一組の画素35に含まれる第1画素31Aに対応する入力画像信号及び当該一組の画素35に含まれる第2画素31Bに対応する入力画像信号がともに
図21に示すような赤(R)、緑(G)、青(B)の成分を示す入力画像信号である場合について考える。この場合、仮に白(W)への変換を優先した場合、第1画素31Aの出力を示す成分は、
図23に示すように、赤(R)及び白(W)のみの成分になる。ここで、第2画素31Bの出力を示す成分が、
図22に示すように、白(W)の副画素(第8副画素32W2)の発光を伴わない成分である場合、第1画素31Aが有する白(W)の副画素(第4副画素32W1)の出力と第2画素31Bが有する白(W)の副画素(第8副画素32W2)の出力との差により表示出力における粒状感が顕在化することがある。そこで、第1画素31Aに対応する入力画像信号の成分のうち白(W)に変換可能な成分の一部を白(W)に変換せずに赤(R)、緑(G)、青(B)に振り分けることで、
図24に示すように、赤(R)、緑(G)、青(B)及び白(W)の全ての副画素(第1副画素32R、第2副画素32G、第3副画素32B、第4副画素32W1)が発光する状態にすることができる。このように、信号処理部21は、例えば
図22に示すような第2画素31Bが有する白色の副画素の出力に基づいて、
図24に示すように第1画素31Aが有する白色の副画素の出力を調節するようにしてもよい。これにより、表示出力における粒状感をより低減することができる。
図21〜
図24を参照した例では、白(W)の副画素の出力がより小さい第2画素31Bの第8副画素32W2の出力に応じて第1画素31Aが有する第4副画素32W1の出力を決定しているが、例えばこれらの副画素の出力の大小関係が逆である場合等に、第1画素31Aが有する第4副画素32W1の出力に応じて第2画素31Bが有する第8副画素32W2の出力を決定するようにしてもよい。
【0067】
第2画素31Bが有する白色の副画素の出力と第1画素31Aが有する白色の副画素の出力との関係は任意であるが、例えば当該関係が予め定められたデータ(テーブルデータ等)を用意し、入力画像信号の処理に際して当該データに応じた処理を信号処理部21に行わせるようにすることで、自動的に白色の副画素の出力を調節することができる。なお、信号処理部21は、第1画素31A及び第2画素31Bの各々の画素の出力による輝度の総量のうち一方の画素が有する白色の副画素の出力による輝度の量に基づいて、他方の画素が有する白色の副画素の出力を調節するようにしてもよい。
【0068】
(信号処理部の処理:変換の優先順と変換結果の合成)
また、信号処理部21は、入力画像信号の色相及び彩度並びに色域外成分の輝度比に応じて、入力画像信号に応じた各画素の副画素32の出力の決定方法を変更するようにしてもよい。色域外成分の輝度比とは、色域外成分を移動させる前の第2画素の輝度に対する色域外成分の輝度比をさす。
図25は、第1画素31A及び第2画素31Bの入力画像信号の成分である赤(R)、緑(G)、青(B)の値の一例を示す図である。
図26は、
図25に示す成分のうち白(W)に変換可能な成分を優先して白(W)に変換した場合の一例を示す図である。
図27は、
図26に示す成分のうち第2画素31Bが有する白(W)以外の副画素32の色に変換可能な成分を変換した一例を示す図である。
図28は、
図25に示す成分のうち第2画素31Bが有する白(W)以外の副画素32の色に変換可能な成分を優先して当該色に変換した場合の一例を示す図である。
図29は、
図28に示す成分のうち白(W)に変換可能な成分を変換した一例を示す図である。
図30は、
図29に示す成分に対して輝度調整成分による輝度調整を行った場合の一例を示す図である。例えば、
図25に示すように、一組の画素35に含まれる第1画素31Aに対応する入力画像信号及び当該一組の画素35に含まれる第2画素31Bに対応する入力画像信号がともに(R,G,B)=(220,220,110)である場合について考える。この場合において、白(W)に変換可能な成分を優先して白(W)に変換したとき、
図26に示すように、第1画素31A及び第2画素31Bの白(W)の成分は、(R,G,B)=(110,110,110)に対応した成分(110)になる。このとき、(R,G,B)=(110,110,0)は、白(W)に変換されない成分として残る。その後、第2画素31Bの成分のうち、第2画素31Bが有する副画素32の色で再現可能な成分を第2画素31Bが有する副画素32の色に変換すると、
図27に示すように、(R,G,B)=(110,110,0)の成分は、イエロー(Y)の成分(110)に変換される。この例の場合、色域外成分は生じない。一方、
図25に示す入力画像信号の成分に対して、白(W)以外に変換可能な成分を優先して白(W)以外の副画素32の色に変換したとき、例えば
図28に示すように、(R,G,B)=(220,220,0)の成分は、イエロー(Y)の成分(220)に変換される。このとき、第2画素31Bの成分のうち、(R,G,B)=(0,0,110)の成分は、色域外成分(
図28に示す色域外成分O2)となって第1画素31Aにおける副画素32の出力に反映される。この例の場合、第1画素31Aに対応する入力画像信号の成分である(R,G,B)=(220,220,110)の成分に、色域外成分である(R,G,B)=(0,0,110)の成分が加算されることになる。その後、
図29に示すように、第1画素31Aに対応する入力画像成分のうち、白(W)に変換可能な成分が白(W)に変換される。すなわち、(R,G,B)=(220,220,220)の成分は、白(220)に変換される。その後、色域外成分に対応する輝度調整が行われることで、
図30に示すように、第1画素31Aが有する白色の副画素(第4副画素32W1)の成分から輝度調整成分に対応する白(W)の成分(例えば、α)が減じられると共に、第2画素31Bが有する白色の副画素(第8副画素32W2)の成分に加味される。
【0069】
図27に示す副画素32の出力は、
図30に示す副画素32の出力に比して、点灯する副画素32がより多いことから、粒状感の低減においてより優れる。
図30に示す副画素32の出力は、
図27に示す副画素32の出力に比して、点灯する副画素32がより少ないことから、省電力性においてより優れる。
【0070】
信号処理部21は、隣接する第1画素31Aと第2画素31Bの2画素に対応する入力画像信号に基づいた当該第1画素31Aの副画素32の出力及び当該第1画素31Aに隣接する第2画素31Bの副画素32の出力の組み合わせが複数ある場合、第1画素31Aの輝度分布と第2画素31Bの輝度分布とがより近似する第1画素31Aの副画素32の出力及び第2画素31Bの副画素32の出力を採用するようにしてもよい。例えば、第1画素31Aが有する副画素32の点灯数と第2画素31Bが有する副画素32の点灯数とを(A:B)で対比した場合に、入力画像信号の成分を白色成分に優先的に変換したときに(A:B)=(a:b)が成立し、入力画像信号の成分を白色以外の成分に優先的に変換したときに(A:B)=(c:d)が成立したとする。ここで、aとbとの差の絶対値とcとdとの差の絶対値のうちより小さいほうの結果を採用するようにしてもよい。すなわち、各画素の副画素32の点灯の有無の差がより小さい出力結果の方が、画素における輝度分布がより近似することになり、輝度の偏りが生じにくいことから、そのような出力結果を採用するようにしてもよい。また、信号処理部21は、各画素で点灯する副画素32の配置及び点灯する副画素32の出力の強弱に基づいて、第1画素31Aの輝度分布と第2画素31Bの輝度分布とがより近似する第1画素31Aの副画素32の出力及び第2画素31Bの副画素32の出力を採用するようにしてもよい。
【0071】
図31は、第1画素31A及び第2画素31Bの入力画像信号の成分である赤(R)、緑(G)、青(B)の値の別の一例を示す図である。
図32は、
図31に示す成分のうち白(W)に変換可能な成分を優先して白(W)に変換した場合の一例を示す図である。
図33は、
図32に示す変換により生じた第2画素31Bの色域外成分を第1画素31Aに移した一例を示す図である。
図34は、
図33に示す成分に対して輝度調整成分による輝度調整を行った場合の一例を示す図である。
図35は、
図31に示す成分のうち第2画素31Bが有する白(W)以外の副画素32の色に変換可能な成分を優先して当該色に変換した場合の一例を示す図である。
図36は、
図35に示す成分のうち白(W)に変換可能な成分を変換した一例を示す図である。
図31に示すように、一組の画素35に含まれる第1画素31Aに対応する入力画像信号及び当該一組の画素35に含まれる第2画素31Bに対応する入力画像信号がともに(R,G,B)=(220,110,110)である場合について考える。この場合において、白(W)に変換可能な成分を優先して白(W)に変換したとき、
図32に示すように、第1画素31A及び第2画素31Bの白(W)の成分は、(R,G,B)=(110,110,110)に対応した成分(110)になる。このとき、(R,G,B)=(110,0,0)は、白(W)に変換されない成分として残る。ここで、(R,G,B)=(110,0,0)は、第2画素31Bが有する副画素32の色で再現できないことから、色域外成分(
図33に示す色域外成分O3)となって第1画素31Aにおける副画素32の出力に反映される。すなわち、
図33に示すように、第2画素31Bにおいて白色以外の副画素32の出力に反映される成分はなくなる。また、第1画素31Aにおける赤(R)の成分は、色域外成分が加味された成分(220)になる。色域外成分に対応する輝度調整が行われることで、
図34に示すように、第1画素31Aが有する白色の副画素(第4副画素32W1)の成分から輝度調整成分に対応する白(W)の成分(例えば、β)が減じられると共に、第2画素31Bが有する白色の副画素(第8副画素32W2)の成分に加味される。一方、
図31に示す入力画像信号の成分に対して、白(W)以外に変換可能な成分を優先して白(W)以外の副画素32の色に変換したとき、例えば
図35に示すように、(R,G,B)=(110,110,0)の成分は、イエロー(Y)の成分(110)に変換される。また、(R,G,B)=(110,0,110)の成分は、マゼンタ(M)の成分(110)に変換される。この例の場合、色域外成分は生じない。また、この例の場合、
図36に示すように、第2画素31Bの成分のうち、第2画素31Bの白色の副画素(第8副画素32W2)の出力に反映される成分は生じない。白色に変換可能な成分が残っている場合、当該成分が第8副画素32W2の出力に反映される。一方、第1画素31Aの成分のうち、(R,G,B)=(110,110,110)に対応した成分が白(W)の成分(110)に変換され、残りの(R,G,B)=(110,0,0)に対応する成分が赤(R)の成分(110)として残る。
【0072】
信号処理部21は、画像入力信号の成分を白色に優先して変換する場合の結果と、画像入力信号の成分を白色以外の色に優先して変換する場合の結果との両方に基づいて、一組の画素35に含まれる各画素31が有する副画素32の出力を決定するようにしてもよい。
図37は、
図34に示す変換結果と
図36に示す変換結果との合成の一例を示す図である。例えば、
図34に示す例では、一組の画素35が有する八つの副画素32のうち点灯する副画素32が三つ(第1副画素32R、第4副画素32W1、第8副画素32W2)である。また、
図36に示す例では、一組の画素35が有する八つの副画素32のうち点灯する副画素32が四つ(第1副画素32R、第4副画素32W1、第5副画素32M、第6副画素32Y)である。ここで、
図34に示す出力と
図36に示す出力をそれぞれ所定の比率(例えば1:1)で合成すると、
図37に示すように、点灯する副画素32が五つ(第1副画素32R、第4副画素32W1、第5副画素32M、第6副画素32Y、第8副画素32W2)になる。このため、粒状感をより低減することができる。画像入力信号の成分を白色に優先して変換する場合の結果と画像入力信号の成分を白色以外の色に優先して変換する場合の結果との合成比率は任意である。当該合成比率は、入力画像信号が示す色相及びそれぞれの結果が示す色相の少なくともいずれか一つに応じて変更されるようにしてもよい。この場合、各色相の合成比率を示すデータ(テーブルデータ等)を用意し、入力画像信号の処理に際して当該データに応じた処理を信号処理部21に行わせるようにすることで、自動的に合成比率を決定することができる。なお、結果の合成に伴い生じる端数の処理については任意である。
【0073】
さらに、信号処理部21は、白色に変換された成分の一部を白色以外の成分に分けてもよい。
図38は、
図37に示す合成結果が示す成分のうち白色に変換された成分の一部を白色以外の成分に分けた場合の一例を示す図である。
図39は、
図38に示す成分に対して輝度調整成分による輝度調整を行った場合の一例を示す図である。具体的には、信号処理部21は、例えば
図37に示す副画素32の出力のうち、第4副画素32W1の出力に反映されている成分の一部(γ)を、第2副画素32G及び第5副画素32Mに振り分けるように再配分してもよい。この場合、
図38に示すように、第2副画素32G及び第5副画素32Mに振り分けられた成分(δ、ε)がそれぞれ第2副画素32G及び第5副画素32Mの出力に反映される。また、この場合、第5副画素32Mに振り分けられた成分(ε)の分だけ第1画素31Aから第2画素31Bに輝度が移されていることになる。よって、信号処理部21は、
図39に示すように、第5副画素32Mに振り分けられた成分(ε)に対応する輝度の分だけ第8副画素32W2の出力に対応する成分(ζ)を減じるとともに、この成分(ζ)を第4副画素32W1の出力に反映する。このような再配分を行う場合において、再配分前の色の成分に対して再配分される成分の割合は任意であるが、各画素間の色相、彩度及び輝度の関係が変換しない程度であることが望ましい。
【0074】
図13〜
図39を参照した説明では、入力画像信号の成分等を白又は白以外の色に変換する処理を一つのステップとして複数のステップを実行する変換方法が採用されているが、これは変換処理の流れの一例であってこれに限られるものでない。例えば、カラーマネジメントの仕組みにより、入力画像信号の成分(R,G,B)を、各画素31の副画素32の色に対応する任意の色に変換するようにしてもよい。具体例を挙げると、3×3行列のデータを用いることで、入力画像信号の成分(R,G,B)を、第2画素31Bが有する3色の成分(C,M,Y)に変換することもできる。カラーマネジメントの仕組みで変換する場合に、入力画像信号の成分のうち変換したい成分の比率を設定するようにしてもよい。
【0075】
(信号処理部の処理:斜め線の解消)
入力画像信号が特定の色に対応する成分を有する場合、表示領域Aに特定方向(例えば斜め方向)の線があるように見えることがある。
図40、
図41及び
図42は、青色成分の斜め線が存するように見える場合の一例を示す図である。具体的には、例えば
図6に示す画素31及び副画素32の配置である場合、一組の画素35以上の範囲にマゼンタ(M)に対応する入力画素信号が入力されたとき、
図40、
図41及び
図42に示すように、第1画素31Aでは第1副画素32Rと第3副画素32Bとの組み合わせによるマゼンタの色再現が行われると共に、第2画素31Bでは第5副画素32Mによるマゼンタの色再現が行われる。このとき、他の副画素32(第2副画素32G、第4副画素32W1、第6副画素32Y、第7副画素32C、第8副画素32W2)は色再現に用いられない。ここで、第3副画素32Bからの光が有する青色成分と、第5副画素32Mからの光が有する青色成分とによって、第3副画素32Bと第5副画素32Mとが連続する斜め方向に青色成分の斜め線が存するように見えることがある。
図40は、全ての画素31に対応する入力画像信号の成分が(R,G,B)=(192,0,128)である場合の図である。
図40では、斜め線を構成する副画素をマーキングしている。
【0076】
なお、上記の例は、
図6に示す画素31及び副画素32の配置である場合に、マゼンタ(M)に対応する入力画素信号が入力された場合の斜め方向の線について示しているが、線が現れるのはこの場合に限られない。
図6に示す画素31及び副画素32の配置以外の配置である場合、マゼンタ(M)に対応する入力画素信号では線が現れないが、他の色に対応する入力画像信号で現れるようになる。具体的には、例えば第1画素31Aの副画素32のうち一つの色に対応する副画素32(例えば、第1副画素32R)と、当該色を成分として有する第2画素31Bの副画素32(例えば、赤(R)の原色が成分に含まれるマゼンタ(M)又はイエロー(Y)に対応する第5副画素32M又は第6副画素32Y)とが斜め方向に連続する場合、マゼンタ(M)又はイエロー(Y)に対応する入力画像信号が入力されたとき、赤色成分の斜め線が見えることになる。他の画素31及び副画素32の配置並びに入力画像信号の場合でも、何らかの色でこのような線が現れることがある。
【0077】
このような線は、線を構成する副画素32(
図6、
図40、
図41及び
図42の場合、第3副画素32Bと第5副画素32M)に共通する入力画像信号の成分(マゼンタ(M)の場合、青(B)の成分)の彩度がより高い場合により見えやすくなる。また、線を構成する副画素32に隣接する副画素32に対応する入力画像信号の成分の彩度がより低いとき、線はより見えやすくなる。このように、一直線状に連続して点灯する同一の色成分を有する画素の線が見えるのは、当該同一の色成分を有する副画素32からの出力と当該同一の色成分を有する副画素32に隣接する副画素32からの出力との間に所定以上の差がある場合である。線が見えるようになる所定以上の差は、同一の色成分を有する副画素32の色及び当該副画素32に隣接する副画素32の色によって異なる差となりうるので、第1画素31A及び第2画素31Bがそれぞれ有する副画素32の配置に応じて設定される。このように、第1の色域に含まれる4色の副画素32で構成される第1画素31Aと、第1の色域とは異なる第2の色域に含まれる4色の副画素32で構成される第2画素31Bとが千鳥状に配置されており、かつ、副画素32がマトリクス状に配置されている画像表示部30を有する画像表示装置100で、信号処理部21が第1画素31Aに対応する入力画像信号の成分である第1成分に基づいて第1画素31Aが有する副画素32の出力を決定し、第2画素31Bに対応する入力画像信号の成分である第2成分に基づいて第2画素31Bが有する副画素32の出力を決定した場合に、同一の色成分(例えば、マゼンタ(M)に含まれる青色成分)を含む副画素32(例えば、第3副画素32B及び第5副画素32M)が一直線状に連続して点灯し、かつ、当該同一の色成分を有する副画素32からの出力と当該同一の色成分を有する副画素32に隣接する副画素32からの出力との間に所定以上の差がある状態になるとき、表示領域Aに特定方向(例えば斜め方向)の線があるように見えることがある。
【0078】
信号処理部21は、上記の線の視認性をより低減するための処理を行ってもよい。当該処理として、信号処理部21は、例えば、第1成分のうち一部又は全部の成分であって同一の色成分を含む調整成分を除いた成分に基づいて第1画素31Aが有する副画素32の出力を決定し、第2成分及び調整成分に基づいて第2画素31Bが有する副画素32の出力を決定する。具体例として、
図40に示す例における当該処理について説明する。この例の場合、信号処理部21は、例えば第1画素31Aに対応する入力画像信号の成分(R,G,B)=(192,0,128)のうち、マゼンタ(M)として再現される成分であって所定の割合の成分を調整成分とする。ここで、所定の割合が50%である場合、すなわち、調整成分が、第1成分における同一の色成分の半分の成分に対応する場合、調整成分は、(R,G,B)=(64,0,64)になる。また、所定の割合が100%である場合、調整成分は、(R,G,B)=(128,0,128)になる。信号処理部21は、第1画素31Aに対応する入力画像信号の成分から調整成分を除いた成分に基づいて第1画素31Aが有する副画素32の出力を決定し、第2画素31Bに対応する入力画像信号の成分及び調整成分に基づいて第2画素31Bが有する副画素32の出力を決定する。
【0079】
調整成分による出力の制御がない場合、第1画素31Aが有する第3副画素32B及び第2画素31Bが有する第5副画素32Mの成分は、それぞれ「128」及び「128」である。これに対し、例えば所定の割合が50%で、調整成分が(R,G,B)=(64,0,64)である場合、第3副画素32B及び第5副画素32Mの成分は、それぞれ「64」及び「192」になる。また、所定の割合が100%で、調整成分が(R,G,B)=(128,0,128)である場合、第3副画素32B及び第5副画素32Mの成分は、それぞれ「0」及び「255」になる。このように、第3副画素32Bの出力が低減されるように調整成分を設定することで、斜め方向に同等の青色成分が連続する状態をより低減することができる。すなわち、マゼンタ(M)の色再現に際する青色成分の線の発生を抑制することができる。調整成分に関する処理は、他の画素31及び副画素32の並びにおいて他の色に対応する出力が行われる場合に発生し得る同様の線についても同様に適用することができる。
【0080】
図43は、第1画素31Aに対応する入力画像信号の成分のうちマゼンタ(M)として再現可能な成分の50%を調整成分とした場合の一例を示す図である。
図44は、第1画素31Aに対応する入力画像信号の成分のうちマゼンタ(M)として再現可能な成分の100%を調整成分とした場合の一例を示す図である。入力画像信号の成分と調整成分との関係(例えば、所定の割合)は、任意である。例えば、
図44に示す例のように、連続する副画素の一方(第3副画素32B)の出力がない状態にすることで、粒状感が増すものの、線の発生をより確実に抑制することができる。また、
図43に示す例のように、連続する副画素の一方(第3副画素32B)の出力を下げた状態で出力させることで、線の発生の抑制と粒状感の発生の抑制の両方のバランスを取ることができる。このように、入力画像信号の成分と調整成分との関係(例えば、所定の割合)は、線の発生の抑制、粒状感等のバランスに応じて適宜決定されるものであってよい。入力画像信号の成分と調整成分との関係(例えば、所定の割合)を示すデータ(テーブルデータ等)を用意し、入力画像信号の処理に際して当該データに応じた処理を信号処理部21に行わせるようにすることで、自動的に線の発生を抑止するための処理を適用することができる。
【0081】
また、線の発生の抑止のための処理方法は、上記の方法に限られない。例えば、一組の画素35単位での処理に限らず、各画素31が有する白(W)の副画素を中心として、この白(W)の副画素の周囲に存する8画素(行方向、列方向及び斜め方向)に対して入力画像信号の成分のうち調整成分を分散させるようにすることで、同様の効果を得ることができる。なお、調整成分は、第1成分における同一の色成分の半分の成分に限られない。例えば、上記の線の色成分の色相や彩度に応じた調整成分の度合い(例えば0〜100%の間で定められた割合)を示すデータ(調整成分のテーブル等)を設け、当該データに基づいて調整成分を決定するようにしてもよい。
【0082】
(信号処理部の処理:エッジずれの抑制)
次に、第2画素31Bに対応する入力画像信号が画像のエッジに対応する入力画像信号である場合について説明する。画像表示部30は、複数の画素31の各々に対応する入力画像信号に応じた出力を行うことで表示領域Aに画像を表示出力する。ここで、各画素31の入力画像信号間で生じる色の境界(エッジ)に対応する画素の入力画像信号に対応する成分(例えば、上記の色域外成分等)を他の画素に移す処理を行った場合、移される成分によってエッジにずれが生じることがある。なお、エッジとは、隣り合う画素間での色相、彩度、輝度の少なくとも1つを大きく相違させることで、これら隣接画素間には明らかに色の境界が存在すると認識し得るものであって、例えば背景を黒とした場合の白色や他の色による文字や線や図形(あるいはその逆)の境界のことをいう。なお、さらに具体的なエッジの判断(判定)については後述する。
【0083】
図45は、第1画素31A及び第2画素31Bがそれぞれ独立して入力画像信号の成分に応じた出力を行うことができる場合の一例を示す図である。
図46は、第2画素31Bに対応する入力画像信号の成分を第2画素31Bで再現しようとした場合に色域外成分が生じたときの一例を示す図である。第1画素31A及び第2画素31Bがそれぞれ独立して入力画像信号の成分に応じた出力を行うことができる場合、いずれの画素31がエッジに対応する画素であってもエッジずれは生じない。例えば、
図45に示すように、第1画素31Aに対応する入力画像信号が(R,G,B)=(0,0,0)で、第2画素31Bに対応する入力画像信号が(R,G,B)=(255,255,255)である場合、いずれの画素も独立して入力画像信号の成分に応じた出力を行うことができるため、エッジずれは生じない。一方、第2画素31Bに対応する入力画像信号が画像におけるエッジに対応する画素の信号であった場合、第2画素31Bに対応する入力画像信号の成分を第2画素31Bで再現しようとした場合に色域外成分が生じて色域外成分が第1画素31Aに移されたとき、
図46及び後述する
図49に示すように、エッジの位置が第2画素31Bから第1画素31Aにずれて出力されてしまうエッジずれが生じうる。例えば、
図46に示すように、第1画素31Aに対応する入力画像信号が(R,G,B)=(0,0,0)で、第2画素31Bに対応する入力画像信号が(R,G,B)=(255,0,0)である場合、第2画素31Bで色域外成分となる赤(R)の成分(255)が第1画素31Aに移されることで、入力画像信号に基づいた黒の出力(第1画素31A)と赤の出力(第2画素31B)の位置に対して、黒の出力が行われる画素と赤の出力が行われる画素の位置が入れ替わるエッジずれが生じる。このエッジずれは、移される成分(例えば色域外成分等)が生じた画素(例えば
図46における第2画素31B)に隣接しない副画素32(例えば、
図46における第1副画素32R)に対して当該成分が移された場合により顕著に生じる。
【0084】
信号処理部21は、エッジに対応する画素の入力画像信号の成分について、当該成分の一部又は全部の移動に関する例外処理を行ってもよい。例えば、信号処理部21は、第2画素31Bに対応する入力画像信号が画像のエッジに対応する入力画像信号である場合、第2画素31Bで光の出力が行われる副画素32に隣接しない第1画素31Aの副画素32の出力に色域外成分を反映しないようにしてもよい。具体的には、信号処理部21は、第2画素31Bが有する副画素32のうち色域外成分を含む色である副画素32の出力に色域外成分を反映させるようにしてもよい。
【0085】
図47は、第2画素31Bが有する副画素32のうち色域外成分を含む色である副画素32の出力に色域外成分を反映させた場合の一例を示す図である。例えば、第2画素31Bに対応する入力画像信号がエッジに対応する画素の入力画像信号であって、かつ、第2画素31Bに対応する入力画像信号の成分が、(R,G,B)=(0,0,220)である場合、信号処理部21は、当該入力画像信号が示す青色成分を第2画素31Bが有する副画素32のうち青色成分を有する副画素32(第5副画素32M及び第7副画素32C)の両方に反映させる。具体的には、信号処理部21は、第2画素31Bに対応する入力画像信号が示す色の色相、彩度、輝度のうち、色相及び輝度を維持し、彩度のみ低下することを許容して第2画素31Bが有する副画素32の出力を決定する。より具体的には、信号処理部21は、例えば
図47に示すように、青色成分を含む第5副画素32M及び第7副画素32Cの各々を、入力画像信号の色相及び彩度を維持する点灯状態(例えば、(C,M,Y)=(55,55,0))で出力させることで、当該青色成分(220)を出力する。本実施例では、赤(R)、緑(G)、青(B)の補色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の輝度が赤(R)、緑(G)、青(B)の2倍の輝度を有していることから、このような出力になる。このように、本実施形態では、第2画素31Bの出力において色域外成分と同じ色相となる補色を用いる。このような出力とした場合、入力画像信号の完全な色再現にはならないが、エッジずれを生じさせることなく、入力画像信号により近い色再現を行うことができる。
【0086】
図48は、全ての画素が第1画素31Aである表示領域Aにおいて複数の画素により原色の文字が1画素分の幅の線で描画される場合の一例を示す図である。
図49は、
図48の描画内容と同一の入力画像信号に対して単純に色域外成分を移動させた場合に生じ得るエッジずれの一例を示す図である。
図50は、
図48の描画内容と同一の入力画像信号に対して第2画素31Bが有する副画素32のうち色域外成分を含む色である副画素32の出力に色域外成分を反映させた場合の描画内容の一例を示す図である。なお、
図49及び
図50は、第1画素31Aと第2画素31Bとが隣接している表示領域Aにおける出力例である。例えば、
図48に示すような、複数の画素により原色(例えば緑色)の文字が1画素分の幅の線で描画される入力画像信号に対して単純に色域外成分を移動させた場合、
図49のようにエッジずれによる文字の崩れが生じることがある。一方、
図47の例で示したように、第2画素31Bが有する副画素32のうち色域外成分を含む色である副画素32の出力に色域外成分を反映させることで、
図50に示すように、エッジずれによる文字の崩れを抑制することができる。
【0087】
図47に示す例では、青色成分を含むシアン(C)とマゼンタ(M)の青(B)に対する色相のずれが略同一であることを前提に、青色成分を第5副画素32M及び第7副画素32Cの二つの画素に振り分けているが、これは一例であってこれに限られるものでない。第2画素31Bが有する副画素32のうち色域外成分により近い色に対応する副画素32が一つに絞られる場合、当該一つの副画素32の出力に当該色域外成分が反映されるようにしてもよい。第2画素31Bに対応する入力画像信号がエッジに対応する画素の入力画像信号であって、かつ、第2画素31Bに対応する入力画像信号の成分に色域外成分が含まれる場合に、どの画素に当該色域外成分を反映させるかは、色域外成分と第2画素31Bが有する副画素32の色との関係に応じて決定される。
【0088】
また、信号処理部21は、第2画素31Bに対応する入力画像信号が画像のエッジに対応する入力画像信号である場合、他の処理方法により第2画素31Bで光の出力が行われる副画素32に隣接しない第1画素31Aの副画素32の出力に色域外成分を反映しないようにしてもよい。具体的には、第1画素31Aと第2画素31Bとが千鳥状に配置されている画像表示部30において、信号処理部21は、一組の画素35に含まれる第2画素31Bに対応する入力画像信号が画像のエッジに対応する入力画像信号である場合、当該第2画素31Bに対応する色域外成分を当該第2画素31Bに隣接する他の組に含まれる第1画素31Aが有する副画素32のうち当該第2画素31Bで光の出力が行われる副画素32に隣接する副画素32の出力の決定に用いるようにしてもよい。以下、
図51及び
図52を参照してこの場合の例を説明する。
図51は、第2画素31Bの右側に存する他の組の第1画素31Aが有する副画素32に色域外成分が移される場合の一例を示す図である。
図52は、第2画素31Bの下側に存する他の組の第1画素31Aが有する副画素32に色域外成分が移される場合の一例を示す図である。なお、
図51及び
図52に示す例では、全ての第1画素31Aに対応する入力画像信号は、(R,G,B)=(0,0,0)であるものとする。また、
図51に示す例では、第2画素31Bに対応する入力画像信号は、(R,G,B)=(255,100,100)であるものとする。また、
図52に示す例では、第2画素31Bに対応する入力画像信号は、(R,G,B)=(100,255,100)であるものとする。
【0089】
図51及び
図52に示す例は、画素31の配置が
図6に示す第1画素31A及び第2画素31Bの配置であって、一つの第1画素31Aと当該第1画素31Aに対して右側に存する一つの第2画素31Bとが一組の画素35として扱われ、第2画素31Bに対応する入力画像信号がエッジに対応する画素の入力画像信号であり、かつ、第2画素31Bに対応する入力画像信号の成分に色域外成分が含まれることを前提とする。ここで、当該第2画素31Bが有する副画素32のうち色域外成分を除いた成分により発光するよう制御される副画素32が第5副画素32M(100)及び第6副画素32Y(100)であり、色域外成分が赤色成分である場合、信号処理部21は、
図51に示すように、当該第2画素31Bが有する第6副画素32Yの右側に隣接する他の組の第1画素31A(例えば
図51の右側に存する第1画素31A)が有する第1副画素32Rに赤色成分の色域外成分(55)を反映させる。また、当該第2画素31Bが有する副画素32のうち色域外成分を除いた成分により発光するよう制御される副画素32が第6副画素32Y(100)及び第7副画素32C(100)であり、色域外成分が緑色成分である場合、信号処理部21は、
図52に示すように、当該第2画素31Bが有する第7副画素32Cの下側に隣接する他の組の第1画素31A(例えば
図52の下側に存する第1画素31A)が有する第2副画素32Gに緑色成分の色域外成分(55)を反映させる。このように、第2画素31Bで光の出力が行われる副画素32に隣接する他の組の第1画素31Aが有する副画素32の出力に色域外成分を反映させることで、エッジずれを最小限にしながらより高精度な色再現を行うことができる。同様に、例えば当該第2画素31Bが有する副画素32のうち色域外成分を除いた成分により発光するよう制御される副画素32に第6副画素32Yが含まれており、色域外成分が青色成分である場合、信号処理部21は、第2画素31Bの上側に存する他の組の第1画素31Aが有する第3副画素32Bに青色成分の色域外成分を反映させることもできる。
【0090】
また、信号処理部21は、一組の画素35に含まれる第2画素31Bに対応する入力画像信号が画像のエッジに対応する入力画像信号である場合、第2画素31Bと当該第2画素31Bの色域外成分が反映される第1画素31Aとの間における彩度及び輝度の逆転、並びに、当該第1画素31Aに当該色域外成分が反映されない場合に色相を最も強く決定する色と当該第1画素31Aに当該色域外成分が反映される場合に色相を最も強く決定する色とが異なることによる色相の回転が発生しない範囲内で当該第1画素31Aが有する副画素32の出力を決定するようにしてもよい。以下、
図53〜
図56を参照してこの場合の例を説明する。
図53は、エッジに対応する第2画素31Bの入力画像信号の成分、色域外成分及び出力の一例を示す図である。この例の前提として、第2画素31Bに対応する入力画像信号の成分に応じて、
図53に示すように、第2画素31Bが有する副画素32の出力(C,M,Y)及び色域外成分が決定したものとする。
図53に示す入力画像信号の成分である赤(R)、緑(G)、青(B)の成分のうち、色域外成分が生じる成分は、緑色成分(緑(G))である。
図53〜
図56では、色域外成分に符号O4を付している。
【0091】
図54は、色域外成分が移された場合に第1画素31Aと第2画素31Bとの間で彩度の高低関係の逆転が生じることがある第1画素31Aの入力画像信号の成分の一例を示す図である。
図53に示す色域外成分が反映される第1画素31Aに対応する入力画像信号の成分が
図54に示すような成分であった場合について考える。この場合、第1画素31A及び第2画素31Bで最も彩度が高い成分は、緑色成分である。色域外成分が移される前の緑色成分を比較すると、第2画素31Bに対応する入力画像信号の成分は、第1画素31Aに対応する入力画像信号の成分よりも大きい。すなわち、色域外成分が移される前、第2画素31Bは、第1画素31Aよりも彩度が高い。一方、色域外成分が全て移された後の緑色成分を比較すると、第2画素31Bに対応する入力画像信号の成分は、第1画素31Aに対応する入力画像信号の成分よりも小さい。すなわち、色域外成分が全て移されたと仮定すると、第2画素31Bは、第1画素31Aよりも彩度が低くなる。このように、色域外成分に含まれる全ての成分が移された場合に第1画素31Aと第2画素31Bとの間で彩度の高低関係が逆転するとき、信号処理部21は、彩度の高低関係の逆転が生じない範囲内で第1画素31Aが有する副画素32の出力を決定する。具体的には、色域外成分が減じられた後の第2画素31Bにおける緑色成分未満の範囲内で第1画素31Aにおける緑色成分を高めるようにしてもよいし、色域外成分を全て破棄してもよい。
【0092】
図55は、色域外成分が移された場合に第1画素31Aと第2画素31Bとの間で輝度の高低関係の逆転が生じることがある第1画素31Aの入力画像信号の成分の一例を示す図である。
図53に示す色域外成分が反映される第1画素31Aに対応する入力画像信号の成分が
図55に示すような成分であった場合について考える。色域外成分が移される前の第1画素31A及び第2画素31Bの各々の入力画像信号の成分により生じる輝度を比べると、第2画素31Bの輝度は、第1画素31Aの輝度よりも高い。一方、色域外成分が全て移された後の第1画素31A及び第2画素31Bの各々の輝度を比べると、第2画素31Bの輝度は、第1画素31Aの輝度よりも低い。このように、色域外成分に含まれる全ての成分が移された場合に第1画素31Aと第2画素31Bとの間で輝度の高低関係が逆転するとき、信号処理部21は、輝度の高低関係の逆転が生じない範囲内で第1画素31Aが有する副画素32の出力を決定する。具体的には、第1画素31Aの輝度を色域外成分が減じられることにより低減された後の第2画素31Bの輝度未満にすることができる範囲内で色域外成分を反映するようにしてもよいし、色域外成分を全て破棄してもよい。
【0093】
図56は、色域外成分が移された場合に第1画素31Aで色相の回転が生じることがある第1画素31Aの入力画像信号の成分の一例を示す図である。
図53に示す色域外成分が反映される第1画素31Aに対応する入力画像信号の成分が
図56に示すような成分であった場合について考える。この場合、色域外成分が移される前の第1画素31Aに対応する入力画像成分による色において最も彩度が高いのは赤色である。一方、色域外成分が全て移された後の成分による色において最も彩度が高いのは色域外成分の色(緑色)である。すなわち、色域外成分が全て移された場合、色域外成分が反映されない場合に色相を最も強く決定する色と当該第1画素31Aに当該色域外成分が反映される場合に色相を最も強く決定する色とが変わることによる色相の回転が生じる。信号処理部21は、このような色相の回転が生じない範囲内で第1画素31Aが有する副画素32の出力を決定する。具体的には、色域外成分が反映される前後で色相を最も強く決定する色が変わらない範囲内で色域外成分を反映するようにしてもよいし、色域外成分を全て破棄してもよい。
【0094】
図53〜
図56を参照して説明した例は、あくまで一例である。第1画素31A及び第2画素31Bの入力画像成分及び色域外成分は
図53〜
図56の例に限られるものでなく、上記でこれらの図を参照して説明した仕組みが他の入力画像信号、色域外成分の場合にも適用されうる。
【0095】
また、信号処理部21は、第2画素31Bに対応する入力画像信号が画像のエッジに対応する入力画像信号である場合、色域外成分を第1画素31A及び第2画素31Bが有する副画素32の出力に反映させないようにしてもよい。すなわち、信号処理部21は、第2画素31Bに対応する入力画像信号が画像のエッジに対応する入力画像信号であると判断された時点で、当該第2画素31Bにおける色域外成分を破棄し、いずれの画素の出力にも反映させないようにしてもよい。これにより、より簡便な処理でエッジずれを抑制することができる。
【0096】
なお、信号処理部21は、第2画素31Bに対応する入力画像信号が画像のエッジに対応する入力画像信号でない場合、
図13〜
図44を参照して説明した処理を以て第1画素31A及び第2画素31Bの各々が有する副画素32の出力を決定する。すなわち、信号処理部21は、第2画素31Bに対応する入力画像信号が画像のエッジに対応する入力画像信号でない場合、第1画素31Aに対応する入力画像信号の成分である第1成分及び隣接する第2画素31Bに対応する入力画像信号のうち当該第2画素31Bが有する副画素32で色を再現することができない成分である色域外成分の合算成分に基づいて第1画素31Aが有する副画素32の出力を決定し、第2画素31Bに対応する入力画像信号の成分である第2成分から色域外成分を除いた第3成分に基づいて第2画素31Bが有する副画素32の出力を決定する。より具体的には、信号処理部21は、例えば、一組の画素35に関する処理を行う。一組の画素35に関する処理とは、一つの第1画素31Aと一つの第2画素31Bを一組の画素35として、当該第2画素31Bに対応する入力画像信号が画像のエッジに対応する入力画像信号でない場合、当該一組の画素35に対応する入力画像信号の成分のうち第1成分及び当該一組の画素35に含まれる第2画素31Bに対応する色域外成分の合算成分に基づいて当該第1画素31Aが有する副画素32の出力を決定し、当該一組の画素35に対応する入力画像信号の成分のうち第2成分から当該色域外成分を除いた当該一組の画素35に対応する第3成分に基づいて当該一組の画素35に含まれる第2画素31Bが有する副画素32の出力を決定する処理をさす。信号処理部21は、さらに、その他の関連処理のうち少なくとも一つ以上を行ってもよい。その他の関連処理とは、上記にて説明したような、輝度調整成分に関する処理、画像入力信号の成分を白色に優先して変換する処理又は画像入力信号の成分を白色以外の色に優先して変換する処理あるいはこれらの処理の合成、白色に変換された成分の一部を白色以外の成分に分ける処理、入力画像信号が特定の色に対応する成分を有する場合に生じうる表示領域Aにおける特定方向の線の視認性をより低減するための処理等をさす。
【0097】
(エッジ判定)
次に、エッジ判定部22による判定処理内容、すなわち、エッジに対応する入力画像信号の検出方法について説明する。この説明では、行方向について一つの第2画素31Bを挟むように存する二つの第1画素31Aを前提として、第2画素31Bに対応する入力画像信号がエッジに対応するか否かを判定する方法について説明する。
図57は、エッジに対応する画素の検出に用いられるテーブルが示す色相と色相許容量との関係の一例を示す図である。エッジ判定部22は、例えば以下の式(1)に基づいて、第2画素31Bに対応する入力画像信号の成分が示す色相を算出する。式(1)におけるHは、色相を示す。R,G,Bはそれぞれ、入力画像信号の成分(R,G,B)に対応する。MINは、入力画像信号の成分(R,G,B)のうち最小の値を示す。MAXは、入力画像信号の成分(R,G,B)のうち最大の値を示す。次に、エッジ判定部22は、
図57に示す色相と色相許容量との関係を示すテーブルを参照して、算出された第2画素31Bの色相に対応する色相許容量の値(HT)を参照して取得する。また、エッジ判定部22は、以下の式(1)に基づいて、当該第2画素31Bに行方向で隣接する一方の第1画素31Aに対応する入力画像信号の成分が示す色相を算出する。エッジ判定部22は、算出された第2画素31Bの色相から一方の第1画素31Aの色相を差し引いた値の絶対値をΔH1として算出する。その後、エッジ判定部22は、ΔH1をHTで割ることで第1の判定値を算出する。また、エッジ判定部22は、以下の式(1)に基づいて、当該第2画素31Bに行方向で隣接する他方の第1画素31Aに対応する入力画像信号の成分が示す色相を算出する。エッジ判定部22は、算出された第2画素31Bの色相から他方の第1画素31Aの色相を差し引いた値の絶対値をΔH2として算出する。その後、エッジ判定部22は、ΔH2をHTで割ることで第2の判定値を算出する。エッジ判定部22は、第1の判定値と第2の判定値のうち、より大きい値を判定値として採用する。エッジ判定部22は、
図57に示す色相と色相許容量との関係を示すテーブルにおいて、第2画素31Bの色相に対応する色相許容量を特定する。エッジ判定部22は、判定値と色相許容量との比較結果に基づいて入力画像信号がエッジに対応するか否か判定する。例えば判定値が色相許容量を超える場合、エッジ判定部22は、第2画素31Bに対応する入力画像信号がエッジに対応すると判定する。一方、判定値が色相許容量以下である場合、エッジ判定部22は、第2画素31Bに対応する入力画像信号がエッジに対応しないと判定する。
図57で描かれているグラフは、ヒトの感性に基いた一般的な許容量比率を示す。このため、求められた判定値は、既に人の許容量は考慮された値となる。本実施形態におけるエッジ判定方法は、人の許容特性のテーブルをそのまま使用することに限られず、レベル調整を加えて判定するようにしてもよい。具体的には、まず
図57に示すような許容値を加味したデータを用いて判定値を算出し、判定値と、色相許容量及び基準値に基づいた値との関係でエッジの判定をする。基準値は、色相許容量に対する係数である。許容値のテーブルをそのまま結果に反映させる場合、基準値は1.0(等倍)となるが、許容値テーブルよりも判定を厳しくしたい場合、基準値をより低く設定し、許容値テーブルよりも判定を緩くしたい場合、基準値をより高く設定する。
【0099】
また、輝度に基づいてエッジを検出することもできる。エッジ判定部22は、第2画素31Bに対応する入力画像信号の成分から、当該成分による輝度を算出する。具体的には、エッジ判定部22は、入力画像信号の成分である赤(R)、緑(G)、青(B)の各々の成分の輝度比から輝度を算出する。輝度比は、成分量に応じた輝度を示す。また、エッジ判定部22は、行方向について一つの第2画素31Bを挟むように存する二つの第1画素31Aの各々に対応する入力画像信号の成分について、それぞれ輝度を算出する。エッジ判定部22は、第2画素31Bに対応する入力画像信号の成分による輝度と当該二つの第1画素31Aの各々に対応する入力画像信号の成分による輝度との差又は比を算出する。エッジ判定部22は、より大きい輝度差(又は輝度比)と、予め定められた輝度の差(又は比)の基準値とを比較し、比較結果に応じて第2画素31Bに対応する入力画像信号がエッジに対応するか否か判定する。例えば、基準値よりも算出された値のほうが大きい場合、第2画素31Bに対応する入力画像信号がエッジに対応すると判定する。一方、算出された値が基準値以下である場合、エッジ判定部22は、第2画素31Bに対応する入力画像信号がエッジに対応しないと判定する。
【0100】
また、彩度に基づいてエッジを検出することもできる。エッジ判定部22は、例えば、第2画素31Bに対応する入力画像信号の成分の彩度と、行方向についてその第2画素31Bを挟むように存する二つの第1画素31Aの各々に対応する入力画像信号の成分の彩度との差があらかじめ定めた基準値よりも小さい場合に、第2画素31Bに対応する入力画像信号がエッジに対応しないと判定するようにしてもよい。
【0101】
上記にて説明したエッジ検出方法では、行方向について第2画素31Bに対応する入力画像信号がエッジに対応するか否かを判定しているが、当該第2画素31Bに対して列方向に隣接する第1画素31Aについても同様に判定してもよい。また、上記の処理に関わらず、第1画素31A及び第2画素31Bのいずれかがモノクロ(色相を有しない白〜(グレースケール)〜黒)であり、かつもう片方の画素がカラーである(色相を有している)時、エッジ判定部22は、当該第1画素31A及び第2画素31Bがエッジに対応すると判定する。また、第1画素31A及び第2画素31Bがモノクロである場合、エッジ判定部22は、当該第1画素31A及び第2画素31Bがエッジに対応しないと判定する(両方の画素ともW副画素を持っているため必要ない)。エッジ判定部22は、上記にて説明したエッジ検出方法を含むこれらの方法のいずれか又は複数の組み合わせによる判定結果に基づいて、第2画素31Bに対応する入力画像信号が画像のエッジに対応する入力画像信号であるか否か判定する。また、これらの方法は、第1画素31Aに対応する入力画像信号がエッジであるか否かを検出する場合にも用いることができる。
【0102】
なお、エッジに対応する画素について色域外成分の一部又は全部が破棄された場合、破棄された色域外成分に応じた輝度が第2画素31Bから失われることになる。また、エッジに対応する画素の色域外成分のうち他の組の第1画素31Aに反映された色域外成分に応じた輝度が第2画素31Bから減じられるとともに、当該他の組の第1画素31Aで当該色域外成分に応じた輝度が増やされることになる。これらの理由により生じた第2画素31Bと当該第2画素31Bに隣接する第1画素31Aとの間の輝度差を低減する目的で、第1画素31Aから第2画素31Bに輝度を移すための成分調整を行ってもよい。具体的には、信号処理部21は、例えば上記で説明した輝度調整成分を用いて第1画素31A及び第2画素31Bの各々の副画素32の出力を決定することで、当該輝度差を低減するようにしてもよい。
【0103】
なお、
図57及び式(1)は、HSV色空間に基づいた色相によるものであるが、本発明において色相を判定するための色空間はHSV空間に限られない。例えば、XYZ表色系のxy色度図やユースターブイスター(u
*v
*)色空間の白(W)からの角度を用いてもよい。
【0104】
次に、
図58を参照して、画像のエッジに関する処理の流れの一例について説明する。
図58は、画像のエッジに関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。エッジ判定部22は、色相、輝度及び彩度の少なくともいずれか一つに基づいて、各画素31に対応する入力画像信号がエッジに対応するか否か判定する(ステップS1)。一組の画素35が共にエッジに対応しないと判定された場合(ステップS2;NO)、信号処理部21は、当該一組の画素35に対して、一組の画素35に関する処理を行う(ステップS3)。一方、一組の画素35に含まれるいずれかの画素に対応する入力画像信号がエッジに対応すると判定された場合(ステップS2;YES)、エッジ判定部22は、エッジに対応すると判定された入力画像信号が第2画素31Bに対応するか否か判定する(ステップS4)。第2画素31Bに対応しない場合、すなわち、入力画像信号が第1画素31Aに対応する場合(ステップS4;NO)、信号処理部21は、当該入力画像信号の成分を第1画素31Aにそのまま反映させる(ステップS5)。入力画像信号が第2画素31Bに対応する場合(ステップS4;YES)、信号処理部21は、エッジに対応する画素の入力画像信号の成分について、当該成分の一部又は全部の移動に関する例外処理を行う(ステップS6)。例外処理とは、具体的には、例えば
図47、
図51及び
図52又は
図53〜
図56を参照して説明した処理のいずれかである。ステップS3、ステップS5又はステップS6の処理の後、信号処理部21は、その他の関連処理のうち少なくとも一つ以上を行ってもよい(ステップS7)。
【0105】
(変形例)
なお、
図3、
図4等に示すように、上記の実施形態における画素31は正方形状であり、副画素32は、各画素31において2次元のマトリクス状(行列状)に配置されているが、これは画素31及び副画素32の形態の一例であってこれに限られるものでない。例えば、画素31は、当該画素をストライプ状に区切るように設けられた複数の副画素32を有していてもよい。また、一つの画素31が有する副画素の数は四つに限られない。また、画素31は、白色の副画素を有していなくてもよい。以下、本発明の変形例について、
図59〜
図76を参照して説明する。
図59は、変形例における第1画素31a及び第2画素31bの各々が有する副画素の配置の一例を示す図である。
図60は、第1画素31a及び第2画素31b2の各々が有する副画素の配置の別の一例を示す図である。具体的には、例えば
図59、
図60等に示すように、画像表示部30は、ストライプ状の赤(R)、緑(G)、青(B)の副画素を有する第1画素31aと、ストライプ状のシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の副画素を有する第2画素31bとを有していてもよい。ストライプ状の副画素の並びについては任意である。
図59に示す例では、第1画素31aが有する副画素の並びにおける色相の回転順と第2画素31bが有する副画素の並びにおける色相の回転順とが一致するように各々の画素の副画素が設けられている。
図60に示す例では、第1画素31aが有する副画素の並びにおける輝度順と第2画素31b2が有する副画素の並びにおける輝度順とが一致するように各々の画素の副画素が設けられている。
図59、
図60等に示す例は、縦方向のストライプを描くように設けられた副画素を有する画素を示しているが、横方向のストライプであってもよい。このように2行2列でない副画素の場合、斜め方向の線は生じない。言い換えれば、副画素の形状によって、斜め方向の線の発生を抑制することができる。また、2行2列であっても、各画素の副画素を画素の中心寄りにすることでも、斜め方向の線を低減することができる。
【0106】
図61は、変形例における第1画素31aと第2画素31bとの位置関係並びに第1画素31a及び第2画素31bの各々が有する副画素の配置の一例を示す図である。
図62は、変形例において一辺に隣接する画素が第1画素31aである表示領域Aの一例を示す図である。
図63は、変形例において四辺に隣接する画素が第1画素31aである表示領域Aの一例を示す図である。
図61に示すように、副画素がストライプ状である場合や、一つの画素が有する副画素が三つである場合においても、2行2列の副画素を有する画素と同様に、第2画素31bは千鳥状の配置であってよい。また、
図62の辺隣接領域A3及び
図63の辺隣接領域A4で示すように、表示領域Aの少なくとも一辺に隣接する画素は第1画素31aであってよい。
図61〜
図63に示す画素の配置及び以下に説明する信号処理部21による処理は、第2画素31b2に対しても適用可能であるし、副画素32の配置が他の配置である第1画素、第2画素に対しても適用可能である。
【0107】
図64〜
図72を参照して、一つの画素が有する副画素が三つである場合における信号処理部21による入力画像信号に基づいた処理について説明する。
図64は、第2画素31bに対応する入力画像信号の成分の一例を示す図である。
図64〜
図72を参照した説明では、第2画素31bに対応する入力画像信号がともに
図64に示すような赤(R)、緑(G)、青(B)の成分を示す入力画像信号である場合について説明する。
【0108】
まず、第2画素31bが有する副画素の出力の決定に関する処理について説明する。
図65は、赤(R)、緑(G)、青(B)の成分をシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の成分に変換する処理の一例を示す図である。
図66は、赤(R)、緑(G)の成分をイエロー(Y)の成分に変換する処理の別の一例を示す図である。
図67は、緑(G)、マゼンタ(M)の成分をシアン(C)、イエロー(Y)の成分に変換する処理の一例を示す図である。
図68は、変形例の第2画素31bの出力に対応する成分及び色域外成分の一例を示す図である。信号処理部21は、第2画素31bに対応する入力画像信号の成分のうち、第2画素31bが有する副画素の色で再現可能な成分を第2画素31bが有する副画素の色に変換する処理を行う。具体的には、信号処理部21は、例えば
図65に示すように、第2画素31bに対応する入力画像信号の成分である赤(R)、緑(G)、青(B)の成分のうち最も彩度が小さい成分(
図65の場合、青(B))の成分量に対応する成分量を赤(R)、緑(G)、青(B)の成分から抜き出して、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各々の成分に変換する。また、信号処理部21は、第2画素31bに対応する入力画像信号の成分であって、
図65を参照した説明で変換されなかった赤(R)、緑(G)の成分のうちより小さい成分(
図66の場合、赤(R))の成分量に対応する成分量を赤(R)、緑(G)の成分から抜き出してこの成分の組み合わせに対応する色(
図66の場合、イエロー(Y))に変換する。さらに、信号処理部21は、第2画素31bに対応する入力画像信号の成分のうち変換されていない成分(
図67の場合、緑(G))の一部又は全部と、第2画素31bが有する副画素の色であってこの成分を用いない補色(
図67の場合、マゼンタ(M))に変換された成分とを2:1の比率で用いて別の副画素の色(
図67の場合、シアン(C)及びイエロー(Y))に変換する。
図67に示す例では、緑(G)の成分と、当該成分の半分の量のマゼンタ(M)の成分とをシアン(C)及びイエロー(Y)に変換しているが、他の色の組み合わせでも同様に行うことができる。すなわち、以下の式(2)〜(4)に示す関係に基づいて、色変換を行うことができる。
図65〜
図67を参照した説明による処理の結果、第2画素31bの出力に対応する成分は、
図68に示すシアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の成分になると共に、緑(G)の成分が色域外成分になる。
図68及び後述する
図70では、色域外成分に符号O5を付している。
2R+C=YM…(2)
2G+M=CY…(3)
2B+Y=CM…(4)
【0109】
次に、第1画素31aが有する副画素の出力の決定に関する処理について説明する。
図69は、第1画素31aに対応する入力画像信号の成分の一例を示す図である。
図70は、
図69に示す入力画像信号の成分に色域外成分が加味された第1画素31aの出力に対応する成分の一例を示す図である。
図69〜
図72を参照した説明では、第1画素31aに対応する入力画像信号がともに
図69に示すような赤(R)、緑(G)、青(B)の成分を示す入力画像信号である場合について説明する。信号処理部21は、第1画素31aに対応する入力画像信号の成分に、色域外成分を合成する。具体的には、信号処理部21は、例えば
図70に示すように、
図68で色域外成分とされた緑(G)の成分を第1画素31aに対応する入力画像信号の成分に加える。
【0110】
また、信号処理部21は、一つの画素が有する副画素が三つである場合においても、輝度調整成分を用いた輝度調整を行うことができる。
図71は、
図70に示す成分から輝度調整成分が減じられた第1画素31aの出力に対応する成分の一例を示す図である。
図72は、
図68に示す出力の成分に輝度調整成分が加味された第2画素31bの出力に対応する成分の一例を示す図である。具体的には、信号処理部21は、まず、色域外成分により第1画素31aに加味される輝度を算出する。次に、信号処理部21は、算出された輝度に対応する成分を第1画素31aの成分から減ずる。具体的には、信号処理部21は、例えば
図71に示すように、第2画素31bで再現可能な成分(
図71の場合、互いに等しい成分量である赤(R)、緑(G)、青(B)の成分)を輝度調整成分として減ずることで、色域外成分により第1画素31aに加味される輝度に対応する成分を減ずる。信号処理部21は、第1画素31aで低減した輝度調整成分を第2画素31bの成分に加える。具体的には、信号処理部21は、例えば
図72に示すように、
図71で第1画素31aの成分から低減された赤(R)、緑(G)、青(B)の成分量だけ、第2画素31bの成分におけるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各々の成分を増加させる。
図71では、輝度調整成分に符号P2を付し、
図72にて当該輝度調整成分による成分の変化量を(P2)で示している。
【0111】
図71及び
図72を参照した例では、赤(R)、緑(G)、青(B)の成分をシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各々の成分に変換して輝度調整を行っているが、これは輝度調整の一例であってこれに限られるものでない。例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)の成分のうち2色に対応する成分を輝度調整成分として第1画素から減じ、当該2色により再現される色を第2画素31bが有する副画素に反映させるようにしてもよい。
【0112】
図73は、第1画素が有する副画素の色に対応する色空間と第2画素が有する副画素の色に対応する色空間の一例を示す図である。
図74、
図75、
図76は、第1画素が有する副画素の色に対応する色空間と第2画素が有する副画素の色に対応する色空間の別の一例を示す図である。これまで説明した例では、
図73に示すように、第2画素が有する副画素の色のうち3色(シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y))が、第1画素が有する副画素の色のうち3色(赤(R)、緑(G)、青(B))の補色である場合について説明したが、第2画素が有する副画素の色は、これに限られるものでない。第2画素が有する副画素の色は、例えば、
図74に示すように、彩度の上限が、第1画素が有する副画素の色である赤(R)、緑(G)、青(B)による色空間の範囲外に及ぶ補色であってもよい。
図74に示す例では、第1画素が有する副画素の色による色空間の範囲に対してシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の全ての補色の彩度の上限が範囲外に及んでいるが、範囲外に及ぶ彩度の上限を有する色が一部の補色のみであってもよい。また、第2画素が有する副画素の色の一部又は全部は、彩度の上限が、第1画素が有する副画素の色による色空間の範囲の内側に存する色であってもよい。また、例えば
図75に示すように、第2画素が有する副画素の色は、エメラルドグリーン(Em)等、補色に限られない色を含んでいてもよい。
図74、
図75に示すように、第1画素が有する副画素の色による色空間の範囲の外側に及ぶ色空間が構成される副画素の色の組み合わせを第2画素が有する副画素の色に採用することで、赤(R)、緑(G)、青(B)の組み合わせだけでは再現することができないより高色域の色を再現することができる。また、
図76に示すように、赤(R)、緑(G)、青(B)による色空間において使用される頻度がより高い色に対応した色空間が構成されるように、第2画素が有する副画素の色を決定するようにしてもよい。なお、
図73〜
図76では、第1画素の色空間に符号Z1を付し、第2画素の色空間の符号Z2を付している。
図73〜
図76に示す例の場合、白(W)は、色空間を示す三角形の内側の中心部((R,G,B)=(255,255,255)に対応する位置)に存する。なお、第2画素の副画素の色のうち一部の色(例えば白(W))は、第1画素の副画素の色と同一の色であってもよい。第2画素の副画素の色は、少なくとも1色が第1画素の副画素の色と異なればよい。
【0113】
例示されたRGB等の色域は、XYZ表色系のxy色度範囲上において、三角形状の範囲で示されているが、定義色域が定義される所定の色空間は、三角形状の範囲で定められることに限定されるものではなく、副画素の色数に応じた多角形状等の任意の形状の範囲で定められるものとしてもよい。
【0114】
(適用例)
次に、
図77を参照して、上記の実施形態等で説明した画像表示装置の適用例について説明する。上記の実施形態等で説明した画像表示装置は、スマートフォンその他のあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、係る画像表示装置は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0115】
図77は、本発明が適用されるスマートフォン700の外観の一例を示す図である。スマートフォン700は、例えばその筐体710の一面に設けられた表示部720を備える。表示部720は、本発明の画像表示装置により構成されている。
【0116】
以上、本実施形態等によれば、第1画素が有する副画素の色と第2画素が有する副画素の色の両方の色を合わせた色数が副画素の色数になる。すなわち、全ての画素の副画素が共通である場合に比して、第2画素が有する副画素の色に応じた数だけ副画素の色数を増やすことができる。これにより、第1画素の副画素の色数と第2画素の副画素の色数を色再現に用いることができ、より多彩かつ効率的な色再現を行うことができる。また、隣接する第1画素と第2画素のうち一方の画素に対応する入力画像信号の成分のうち一部の成分を他方の画素が有する副画素の出力の決定に用いることで、第1画素と第2画素の色空間が異なることにより一方の画素で再現することができない色の成分が生じた場合に他方の画素で当該成分を再現することができる。このように、本実施形態によれば、一つの画素が有する副画素の色を単純に増加させる場合に比して、一つの画素が有する副画素の数の増加に伴う解像感の低下を抑制しつつ副画素の色数をより増加させることができると共に、各画素に対応した入力画像信号に応じた出力を行うことができる。すなわち、本実施形態によれば、副画素の色数と解像感とを両立することができる。
【0117】
また、第1画素に対応する入力画像信号の成分である第1成分及び隣接する第2画素に対応する入力画像信号のうち当該第2画素が有する副画素で色を再現することができない成分である色域外成分の合算成分に基づいて第1画素が有する副画素の出力を決定し、第2画素に対応する入力画像信号の成分である第2成分から色域外成分を除いた第3成分に基づいて第2画素が有する副画素の出力を決定することで、第1画素と第2画素との組み合わせにより、第2画素における色域外成分を含む2画素分の入力画像信号に対応した色再現を行うことができる。
【0118】
また、合算成分のうち色域外成分により上昇する第1画素の輝度に対応する輝度調整成分を合算成分から減じて第1画素が有する副画素の出力を決定し、第3成分及び輝度調整成分に基づいて第2画素が有する副画素の出力を決定することで、第1画素及び第2画素の各々の入力画像信号に対応する輝度を各々の画素により高精度に反映させることができる。
【0119】
また、第1画素及び第2画素が白色の副画素を有することで、入力画像信号が入力される画素が第1画素であるか第2画素であるかに関わらず、白色及び輝度の出力について各画素で対応することができる。これにより、画像表示部30から出力される表示出力(画像)における各画素の明暗に関する解像度を画素31の粒度で確保することができる。すなわち、解像感を確保することができる。また、入力画像信号の成分のうち白色に変換可能な成分がある場合に白色の副画素を点灯させることで、各画素の輝度を白色の副画素の点灯により確保することができる。すなわち、輝度を確保する観点において他の色の副画素の出力をより抑えることができることから、より高いレベルの省電力性を実現することができる。
【0120】
また、入力画像信号のうち白色に変換可能な成分を他の色の副画素よりも優先的に白色の副画素の出力に反映させることで、点灯する副画素をより少なくして省電力性をより高めることができる。
【0121】
また、第1画素及び第2画素の各々が有する白色の副画素のうち出力がより小さい一方の副画素の出力に応じて他方の副画素の出力を決定することで、第1画素が有する白色の画素と第2画素が有する白色の画素との出力バランスを取ることができる。このため、より見栄えのよい表示出力が得られる。
【0122】
また、入力画像信号の成分のうち白色以外の色に変換可能な成分を白色の副画素よりも優先的に副画素の出力に反映させることで、白色を優先する場合に比して点灯する副画素をより多くして粒状感をより低減することができる。
【0123】
また、第1画素における白色の副画素の配置と第2画素における白色の副画素の配置とが同一の配置であることで、白色の副画素により得られる画像の解像感をより規則的な白色の副画素の配置により得ることができる。このため、より見栄えのよい表示出力が得られる。
【0124】
また、隣接する第1画素と第2画素の2画素に対応する入力画像信号に基づいた当該第1画素の副画素の出力及び当該第1画素に隣接する第2画素の副画素の出力の組み合わせが複数ある場合、第1画素の輝度分布と第2画素の輝度分布とがより近似する第1画素の副画素の出力及び第2画素の副画素の出力を採用することで、各画素の輝度分布のバランスを取ることができる。このため、より見栄えのよい表示出力が得られる。
【0125】
また、入力画像信号の成分が、第1画素が有する副画素のうち3色に対応することで、第1画素が有する副画素によって、より確実に入力画像信号に応じた色再現を行うことができる。このため、第2画素で色域外成分が生じた場合に、より確実に第1画素で色再現を行うことができる。このように、本実施形態によれば、入力画像信号に応じた色再現をより確実に行うことができる。
【0126】
また、第1画素が有する副画素の数と第2画素が有する副画素の数が同一であり、第1画素における副画素の配置と第2画素における副画素の配置が、第1画素が有する副画素の色相と第2画素が有する副画素の色相とを対比した場合に、各画素における色相の配置がより近似する配置であることで、副画素の各々の色により構成される表示領域における色の起伏をより平坦にすることができる。
【0127】
また、第1画素が有する副画素の数と第2画素が有する副画素の数が同一であり、第1画素における副画素の配置と第2画素における副画素の配置が、各画素における副画素同士の輝度の高低関係が同一であることで、副画素の各々の色により構成される表示領域における輝度の起伏をより平坦にすることができる。
【0128】
また、第1の色域に含まれる3色以上の副画素で構成される第1画素と、第1の色域とは異なる第2の色域に含まれる3色以上の副画素で構成される第2画素とがマトリクス状に設けられた表示領域内で第1画素と第2画素とが隣接する画像表示部を備えることで、第1画素の副画素の色数と第2画素の副画素の色数を色再現に用いることができ、より多彩かつ効率的な色再現を行うことができる。また、第1画素及び第2画素がそれぞれ入力画像信号に基づいた出力を行うことから、副画素の色数の確保と画素数に応じた解像感とを両立することができる。このように、本実施形態によれば、副画素の色数と解像感とを両立することができる。
【0129】
また、第1画素が有する副画素の色のうち3色が、赤、緑、青に対応することで、RGB色空間に対応した入力画像信号について、第1画素が有する副画素によってより確実に入力画像信号に応じた色再現を行うことができる。このため、第2画素で色域外成分が生じた場合に、より確実に第1画素で色再現を行うことができる。このように、本実施形態によれば、入力画像信号に応じた色再現をより確実に行うことができる。
【0130】
また、表示領域が直線状の辺を有し、少なくとも一辺に隣接する画素が第1画素であることで、当該辺に隣接する第2画素と協働で色再現を行う第1画素をより確実に確保することができる。
【0131】
また、第2画素が千鳥状に配置されていることで、第2画素に隣接する第1画素の数をより増やすことができる。このため、第2画素と協働で色再現を行う第1画素をより確実に確保することができる。
【0132】
また、第1画素又は第2画素の一方の画素が有する副画素の色が、他方の画素が有する副画素の色の補色であることで、他方の画素で二つの副画素を用いることになる補色の色再現を一方の画素が有する一つの副画素で行うことができる。このため、より高いレベルの省電力性を実現することができる。
【0133】
また、第1画素に対応する入力画像信号の成分である第1成分に基づいて第1画素が有する副画素の出力を決定し、第2画素に対応する入力画像信号の成分である第2成分に基づいて第2画素が有する副画素の出力を決定した場合に、同一の色成分を含む副画素が一直線状に連続して点灯し、かつ、当該同一の色成分を有する副画素からの出力と当該同一の色成分を有する副画素に隣接する副画素からの出力との間に所定以上の差がある状態になるとき、第1成分のうち一部又は全部の成分であって同一の色成分を含む調整成分を除いた成分に基づいて第1画素が有する副画素の出力を決定し、第2成分及び調整成分に基づいて第2画素が有する副画素の出力を決定することで、同一の色成分の連続性を低減することができる。このため、同一の色成分を含む副画素が一直線状に連続して点灯することによって生じ得る線の顕在化を抑制することができる。
【0134】
また、調整成分が第1成分における同一の色成分の半分の成分に対応することで、線の発生の抑制と粒状感の発生の抑制の両方のバランスを取ることができる。このため、より見栄えのよい表示出力が得られる。
【0135】
また、第2画素に対応する入力画像信号が画像のエッジに対応する入力画像信号である場合、「第2画素で光の出力が行われる副画素」に隣接しない「第1画素の副画素」の出力に色域外成分を反映しないことで、エッジずれを抑制することができる。
【0136】
また、第2画素に対応する入力画像信号が画像のエッジに対応する入力画像信号である場合、第2画素が有する副画素のうち色域外成分を含む色である副画素の出力に色域外成分を反映させることで、エッジずれを生じさせることなく、入力画像信号により近い色再現を行うことができる。
【0137】
また、一組の画素に含まれる第2画素に対応する入力画像信号が画像のエッジに対応する入力画像信号である場合、当該第2画素に対応する色域外成分を当該第2画素に隣接する他の組に含まれる第1画素が有する副画素のうち当該第2画素で光の出力が行われる副画素に隣接する副画素の出力の決定に用いることで、エッジずれを最小限にしながらより高精度な色再現を行うことができる。
【0138】
また、一組の画素に含まれる第2画素に対応する入力画像信号が画像のエッジに対応する入力画像信号である場合、第2画素と当該第2画素の色域外成分が反映される第1画素との間における彩度及び輝度の逆転、並びに、当該第1画素に当該色域外成分が反映されない場合に色相を最も強く決定する色と当該第1画素に当該色域外成分が反映される場合に色相を最も強く決定する色とが異なることによる色相の回転が発生しない範囲内で当該第1画素が有する副画素の出力を決定することで、より高い色再現性を確保することができる。
【0139】
また、第1成分と第2成分の色相、輝度及び彩度のうち少なくともいずれか一つの差に基づいて、第2画素に対応する入力画像信号が画像のエッジに対応する入力画像信号であるか否か判定することで、エッジずれが生じた場合に視覚的な画素ずれがより顕在化しやすい画像のエッジを検出するための判定を行うことができる。このため、係る画像のエッジに対してより確実にエッジずれを抑制するための処理を行うことができる。
【0140】
また、色域外成分を第1画素及び第2画素が有する副画素の出力に反映させないことで、より簡便な処理でエッジずれを抑制することができる。
【0141】
なお、実施例においては、開示例として有機EL表示装置の場合を例示したが、その他の適用例として、その他の自発光型表示装置、液晶表示装置、あるいは電気泳動素子等を有する電子ペーパー型表示装置等、あらゆるフラットパネル型の画像表示装置が挙げられる。また、中小型から大型まで、特に限定することなく適用が可能であることは言うまでもない。
【0142】
また、上記の実施形態では、一つの画像処理回路が、処理部として機能する信号処理部21と、判定部として機能するエッジ判定部22とを有しているが、これに限られるものでない。処理部と判定部は、個別の構成であってもよい。
【0143】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。