(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6462303
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】吸水処理材
(51)【国際特許分類】
A01K 1/015 20060101AFI20190121BHJP
C09K 3/32 20060101ALI20190121BHJP
B01J 20/26 20060101ALI20190121BHJP
B01J 20/28 20060101ALI20190121BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
A01K1/015 B
C09K3/32 J
C09K3/32 L
C09K3/32 T
B01J20/26 D
B01J20/28 A
A61L9/01 B
【請求項の数】18
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-206993(P2014-206993)
(22)【出願日】2014年10月8日
(65)【公開番号】特開2016-73247(P2016-73247A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2017年5月10日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000148977
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100148518
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
(72)【発明者】
【氏名】畑中 忍
(72)【発明者】
【氏名】増山 拓也
(72)【発明者】
【氏名】細谷 隆広
【審査官】
田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−169677(JP,A)
【文献】
特表2004−515292(JP,A)
【文献】
特開2001−139533(JP,A)
【文献】
特開2002−262691(JP,A)
【文献】
特開2014−103962(JP,A)
【文献】
特開平08−308420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用後に水洗トイレに流して処分することが可能な吸水処理材であって、
吸水性を有する粒状体を備え、
前記粒状体には、前記水洗トイレを洗浄する洗浄剤が固形の状態で含まれており、
前記粒状体は、粒状に成形された粒状芯部と、当該粒状芯部を覆う被覆層部とを有しており、
前記洗浄剤は、前記粒状芯部及び前記被覆層部のうち前記粒状芯部にのみ含まれていることを特徴とする吸水処理材。
【請求項2】
請求項1に記載の吸水処理材において、
前記洗浄剤は、前記水洗トイレの封水に溶解するように構成されている吸水処理材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吸水処理材において、
前記洗浄剤は、陰イオン界面活性剤又は非イオン界面活性剤を含有する吸水処理材。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の吸水処理材において、
前記粒状体には、キレート剤が含まれている吸水処理材。
【請求項5】
請求項4に記載の吸水処理材において、
前記キレート剤は、前記洗浄剤に含有されている吸水処理材。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の吸水処理材において、
前記粒状体には、抗菌機能及び消臭機能を有する金属イオンが含まれている吸水処理材。
【請求項7】
請求項6に記載の吸水処理材において、
前記金属イオンは、前記洗浄剤に含有されている吸水処理材。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の吸水処理材において、
前記金属イオンは、銅イオンである吸水処理材。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載の吸水処理材において、
前記粒状体には、香料が含まれている吸水処理材。
【請求項10】
請求項9に記載の吸水処理材において、
前記香料は、前記洗浄剤に含有されている吸水処理材。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れかに記載の吸水処理材において、
前記粒状体には、前記水洗トイレの封水を着色する色素が含まれている吸水処理材。
【請求項12】
請求項11に記載の吸水処理材において、
前記色素は、前記洗浄剤に含有されている吸水処理材。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れかに記載の吸水処理材において、
前記被覆層部には、平均粒径が20μm以下の吸水性ポリマーが含まれている吸水処理材。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れかに記載の吸水処理材において、
前記粒状体に占める前記被覆層部の重量割合は、3%以上13%未満である吸水処理材。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れかに記載の吸水処理材において、
前記被覆層部は、前記水洗トイレの封水内で前記粒状芯部から剥落するように構成されている吸水処理材。
【請求項16】
請求項15に記載の吸水処理材において、
使用後の当該吸水処理材が前記水洗トイレの封水内に入ってから90秒以内に、前記被覆層部が前記粒状芯部から剥落するように構成されている吸水処理材。
【請求項17】
請求項1乃至16の何れかに記載の吸水処理材において、
前記粒状体は、前記水洗トイレの封水内で崩壊するように構成されている吸水処理材。
【請求項18】
請求項17に記載の吸水処理材において、
使用後の当該吸水処理材が前記水洗トイレの封水内に入ってから90秒以内に、前記粒状体が崩壊するように構成されている吸水処理材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人又は動物の排泄物その他の液体を吸収する吸水処理材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吸水処理材の一種である排泄物処理材が記載されている。この排泄物処理材は、動物用の排泄物処理材であって、吸水性を有する粒状体からなる。かかる排泄物処理材は、動物の排泄物を吸収することにより、当該排泄物を処理するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−190026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、使用済みの吸水処理材は廃棄する必要があるところ、その方法としては、いわゆる家庭ゴミとして処分する方法や、水洗トイレに流して処分する方法が考えられる。特に水洗トイレに流す処分方法は、ユーザにとって利便性の高いものである。それゆえ、かかる処分方法への適合性は、吸水処理材に求められる性能の1つである。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、水洗トイレに流して処分するのに適した吸水処理材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による吸水処理材は、使用後に水洗トイレに流して処分することが可能な吸水処理材であって、吸水性を有する粒状体を備え、上記粒状体には、上記水洗トイレを洗浄する洗浄剤が含まれていることを特徴とする。
【0007】
この吸水処理材においては、水洗トイレ用の洗浄剤が粒状体に含まれている。これにより、使用後の吸水処理材を水洗トイレに流して処分する際、当該水洗トイレに対する洗浄効果を得ることができる。このため、本発明による吸水処理材は、水洗トイレに流して処分するのに適している。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、水洗トイレに流して処分するのに適した吸水処理材を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明による吸水処理材の一実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、本発明による吸水処理材の一実施形態を示す模式図である。吸水処理材1は、液体を吸収する吸水処理材であり、粒状体10を備えている。吸水処理材1は、使用後に水洗トイレに流して処分することが可能である。吸水処理材1は、例えば、猫や犬等の愛玩動物用の排泄物処理材である。
【0012】
粒状体10は、吸水性を有している。この粒状体10には、水洗トイレを洗浄する洗浄剤20が含まれている。洗浄剤20は、洗浄成分を含有している。洗浄成分としては、例えば、陰イオン界面活性剤又は非イオン界面活性剤を用いることができる。本実施形態において洗浄剤20は、固形の状態で粒状体10に含まれている。この洗浄剤20は、水洗トイレの封水に溶解するように構成されている。
【0013】
粒状体10には、補助成分も含まれている。本実施形態において補助成分は、キレート剤、金属イオン、香料及び色素である。金属イオンとしては、抗菌機能及び消臭機能を有するものが用いられる。かかる金属イオンとしては、例えば、銅イオン、銀イオン、亜鉛イオン、チタンイオン等が挙げられる。香料としては、例えば、ユーカリ、ローズマリーその他のハーブの香りを発する天然香料、又はせっけんの香りや花の香りを発する合成香料を用いることができる。色素は、水洗トイレの封水を着色するためのものである。かかる色素としては、例えば染料を用いることができる。これらの補助成分は、洗浄剤20に含有されている。
【0014】
粒状体10は、粒状芯部12及び被覆層部14を有している。粒状芯部12は、粒状に成形されている。粒状芯部12の形状としては、例えば、球、楕円体、円柱が挙げられる。粒状芯部12は、尿等の液体を吸水及び保水する機能を有する。粒状芯部12を構成する材料(芯部材料)としては、例えば、紙類、茶殻、プラスチック類又はオカラを用いることができる。これらの材料は、粒状芯部12の主材料であることが好ましい。ここで、粒状芯部12の主材料とは、芯部材料のうち、当該粒状芯部12に占める重量割合が最大のものをいう。粒状芯部12の主材料の粒度(繊維長)は、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.3mm以下である。
【0015】
紙類は、パルプを主体とする材料をいう。紙類としては、例えば、通常の紙の他にも、塩ビ壁紙分級物(塩ビ壁紙を分級することにより得られる紙)、紙おむつ分級物(紙おむつを分級することにより得られる紙)、紙ナプキン分級物(紙ナプキンを分級することにより得られる紙)、フラッフパルプ、製紙スラッジ、パルプスラッジ等が挙げられる。なお、分級により紙以外の材料を完全に除去することは困難であるため、塩ビ壁紙分級物、紙おむつ分級物及び紙ナプキン分級物には、紙以外の材料がある程度残存していることが通常である。プラスチック類としては、例えば、紙おむつ分級物(紙おむつを分級することにより得られるプラスチック)を用いてもよい。塩ビ壁紙分級物等と同様、紙おむつ分級物には、プラスチック以外の材料がある程度残存していることが通常である。オカラは、乾燥オカラであることが好ましい。
【0016】
被覆層部14は、粒状芯部12を覆っている。被覆層部14は、粒状芯部12の表面の全体を覆っていてもよいし、粒状芯部12の表面の一部のみを覆っていてもよい。この被覆層部14は、使用時に尿等の液体を吸収した粒状体10どうしを付着させて固まりにする機能(塊状化機能)を有する。被覆層部14を構成する材料(被覆材料)としても、例えば、紙類、茶殻、プラスチック類又はオカラを用いることができる。これらの材料は、被覆層部14の主材料であることが好ましい。また、粒状体10に占める被覆層部14の重量割合は、3%以上13%未満であることが好ましい。
【0017】
被覆層部14には、吸水時に粘性を有する接着性材料が含まれている。かかる接着性材料としては、例えば、澱粉、CMC(カルボキシメチルセルロース)、PVA(ポリビニルアルコール)、デキストリン、又は吸水性ポリマーが挙げられる。本実施形態においては、接着性材料として、平均粒径が20μm以下の吸水性ポリマーが用いられている。ここで、平均粒径とは、多数の粒子の集合体である吸水性ポリマーを篩にかけたときに、50重量%以上の粒子が通過できる最小の目開きをいう。したがって、平均粒径が20μm以下であるとは、吸水性ポリマーを目開き20μmの篩にかけたときに、50重量%以上の粒子が通過できるということである。
【0018】
本実施形態において、上述の洗浄剤20は、粒状芯部12及び被覆層部14のうち粒状芯部12にのみ含まれている。また、被覆層部14は、水洗トイレの封水内で粒状芯部12から剥落するように構成されている。かかる剥落は、使用後の吸水処理材1(複数の粒状体10の固まり)が封水内に入ってから90秒以内に生じることが好ましい。さらに、粒状体10は、水洗トイレの封水内で崩壊するように構成されている。かかる崩壊も、使用後の吸水処理材1が封水内に入ってから90秒以内に生じることが好ましい。ここで、粒状体10が崩壊するとは、当該粒状体10が粒状の形状を維持できない程度に崩れることをいう。
【0019】
続いて、吸水処理材1の製造方法の一例を説明する。この製造方法は、洗浄剤形成工程、及び粒状体形成工程を含んでいる。洗浄剤形成工程は、洗浄剤20を形成する工程である。この工程においては、洗浄成分及び補助成分を混合し、その混合物を固形状に形成する。これにより、洗浄剤20が得られる。
【0020】
粒状体形成工程は、粒状体10を形成する工程である。この工程は、造粒工程、被覆工程、分粒工程、及び乾燥工程を含んでいる。造粒工程は、粒状芯部12を形成する工程である。この工程においては、芯部材料を粉砕機で所定の大きさに粉砕し、粉砕された芯部材料を洗浄剤20と共に所定の割合でミキサーに投入して混ぜ合わせる。そして、必要に応じて加水した後、洗浄剤20が混入された芯部材料を造粒機によって押出造粒する。これにより、粒状芯部12が得られる。
【0021】
被覆工程は、被覆層部14を形成する工程である。この工程においては、コーティング装置等を用いて、粒状芯部12の周囲に被覆材料を付着させる。被覆材料の付着は、例えば、散布又は噴霧により行うことができる。これにより、被覆層部14が得られる。
【0022】
分粒工程においては、所定の寸法の篩目を有する篩に、前工程で製造された吸水処理材を通過させる。これにより、所定の規格を満たす吸水処理材のみが抽出される。
【0023】
乾燥工程においては、前工程で抽出された吸水処理材を乾燥機で乾燥させる。乾燥により、粒状芯部12の含水率を適宜調整する。これにより、粒状芯部12の水分が被覆層部14に遷移して吸水能力が低下してしまうのを防ぐとともに、吸水処理材1の保存時にカビ等が発生するのを防ぐことができる。
【0024】
本実施形態の効果を説明する。吸水処理材1においては、水洗トイレ用の洗浄剤20が粒状体10に含まれている。これにより、使用後の吸水処理材1を水洗トイレに流して処分する際、当該水洗トイレに対する洗浄効果を得ることができる。このため、吸水処理材1は、水洗トイレに流して処分するのに適している。
【0025】
洗浄剤20は、水洗トイレの封水に溶解するように構成されている。これにより、吸水処理材1を水洗トイレに流して処分する際、洗浄剤20に含有される洗浄成分が封水内に溶け出すため、水洗トイレを効果的に洗浄することができる。
【0026】
洗浄剤20は、固形の状態で粒状体10に含まれている。かかる構成は、吸水処理材1を水洗トイレに流して処分する前に、洗浄剤20が粒状体10の外に流出する事態を抑止するのに適している。また、洗浄剤20は、粒状芯部12及び被覆層部14のうち粒状芯部12にのみ含まれている。かかる構成もまた、上記事態を抑止するのに適している。
【0027】
洗浄成分が陰イオン界面活性剤又は非イオン界面活性剤である場合、水洗トイレに対する優れた洗浄効果を得ることができる。また、当該洗浄成分により便器の表面に被膜が形成されるため、吸水処理材1を流した後も、水洗トイレに汚れが付着しにくい状態を保つことができる。
【0028】
粒状体10には、キレート剤が含まれている。これにより、洗浄剤20の洗浄効果を高めることができる。また、キレート剤は、洗浄剤20に含有されている。これにより、洗浄剤20が発動する際(吸水処理材1を水洗トイレに流して処分する際)に、キレート剤の作用を集中的に引き出すことができる。換言すれば、洗浄剤20が発動する前にキレート剤が不必要に作用するのを抑止することができる。
【0029】
粒状体10には、抗菌機能及び消臭機能を有する金属イオンが含まれている。これにより、吸水処理材1を水洗トイレに流して処分する際、洗浄効果に加えて、抗菌効果及び消臭効果も得ることができる。銅イオンは、かかる金属イオンとして特に好適に用いることができる。また、金属イオンは、洗浄剤20に含有されている。これにより、洗浄剤20が発動する際に、金属イオンの作用を集中的に引き出すことができる。換言すれば、洗浄剤20が発動する前に金属イオンが不必要に作用するのを抑止することができる。
【0030】
粒状体10には、香料が含まれている。これにより、吸水処理材1を水洗トイレに流して処分する際、洗浄効果に加えて、芳香効果も得ることができる。また、香料は、洗浄剤20に含有されている。これにより、洗浄剤20が発動する際に、香料の作用を集中的に引き出すことができる。換言すれば、洗浄剤20が発動する前に香料が不必要に作用するのを抑止することができる。
【0031】
粒状体10には、水洗トイレの封水を着色する色素が含まれている。これにより、吸水処理材1を水洗トイレに流して処分する際、洗浄効果に加えて、着色効果も得ることができる。このように封水が着色されることにより、封水内に排泄物が溜まっている場合であっても、当該排泄物の色を隠すことができる。また、色素は、洗浄剤20に含有されている。これにより、洗浄剤20が発動する際に、色素の作用を集中的に引き出すことができる。換言すれば、洗浄剤20が発動する前に色素が不必要に作用するのを抑止することができる。
【0032】
被覆層部14には、吸水性ポリマーが含まれている。吸水性ポリマーは、液体を吸収すると膨潤する性質を有する。被覆層部14において膨潤した吸水性ポリマーは、吸水処理材1を水洗トイレに流して処分する際、外部からの水(封水)が粒状芯部12に達するのを遮断する。このことは、吸水処理材1の水解性(水と接触することにより、結合した繊維や粒子が速やかに分離し、水中に分散する性質)を低下させる要因となる。
【0033】
この点、本実施形態においては、平均粒径が20μm以下の吸水性ポリマーが用いられている。吸水性ポリマーは、このように微粉砕されることにより、液体吸収時に膨潤しにくくなる。このため、吸水処理材1を水洗トイレに流して処分する際、外部からの水が粒状芯部12に達しやすくなる。したがって、水解性の高い吸水処理材1が実現されている。かかる吸水処理材1が解離した封水は、粘度が低く、トイレの配管に付着しにい。それゆえ、配管の詰まりが生じにくいという利点もある。
【0034】
吸水処理材1の水解性を高めるには、被覆層部14の厚みが小さい方が有利である。外部からの水が被覆層部14を通過して粒状芯部12に達しやすくなるからである。かかる観点から、粒状体10に占める被覆層部14の重量割合は、13%未満であることが好ましい。他方で、被覆層部14の厚みが小さすぎると、被覆層部14が充分な塊状化機能を発揮できなくなってしまう。かかる観点から、粒状体10に占める被覆層部14の重量割合は、3%以上であることが好ましい。
【0035】
粒状体10は、水洗トイレの封水内で崩壊するように構成されている。これにより、洗浄剤20が封水に触れやすくなるため、吸水処理材1を水洗トイレに流して処分する際、洗浄剤20による洗浄効果等を迅速に得ることができる。このように洗浄剤20の迅速な発動を促す観点から、粒状体10の崩壊は、使用後の吸水処理材1が封水内に入ってから90秒以内に生じることが好ましい。
【0036】
被覆層部14は、水洗トイレの封水内で粒状芯部12から剥落するように構成されている。これにより、粒状芯部12内に封水が浸入しやすくなるため、粒状芯部12ひいては粒状体10の崩壊が促進される。粒状体10の迅速な崩壊を促す観点から、被覆層部14の剥落は、使用後の吸水処理材1が封水内に入ってから90秒以内に生じることが好ましい。
【0037】
本発明による吸水処理材は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、予め固形状に形成された洗浄剤20、すなわち粒状体10の形成に先立って固形状に形成された洗浄剤20を例示した。しかし、洗浄剤が予め固形状に形成されていることは、必須でない。例えば、造粒工程において、芯部材料に洗浄成分を混合した上で造粒を行うことにより、洗浄剤(洗浄成分)入りの粒状体10を形成してもよい。
【0038】
上記実施形態においては、補助成分が洗浄剤20に含有された例を示した。しかし、補助成分が洗浄剤20に含有されていることは、必須でない。補助成分は、粒状体10に直接含まれていてもよい。かかる構成は、例えば、造粒工程において、芯部材料に補助成分を混合した上で造粒を行うことにより実現することができる。
【0039】
上記実施形態においては、補助成分として、キレート剤、金属イオン、香料及び色素が用いられた例を示した。しかし、補助成分としては、これらの物質の一部のみが用いられてもよい。なお、粒状体10に補助成分が含まれることは、必須でない。
【0040】
上記実施形態においては、粒状芯部12及び被覆層部14のうち粒状芯部12にのみ洗浄剤20が含まれた例を示した。しかし、洗浄剤20は、粒状芯部12及び被覆層部14のうち被覆層部14にのみ含まれていてもよいし、粒状芯部12及び被覆層部14の双方に含まれていてもよい。
【0041】
上記実施形態においては、粒状体10が、粒状芯部12及び被覆層部14からなる複層構造を有する例を示した。しかし、被覆層部14を設けることは、必須でない。すなわち、粒状体10は、粒状芯部12のみからなる単層構造を有していてもよい。その場合、粒状芯部12に接着性材料が含有されることが好ましい。
【0042】
図1においては、1つの粒状体10のみを示した。しかし、吸水処理材1は、複数の粒状体10からなるものであってもよい。その場合、洗浄剤20は、少なくとも一部の粒状体10に含まれていればよい。すなわち、洗浄剤20を含む粒状体10と、洗浄剤20を含まない粒状体10とが混在していてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 吸水処理材
10 粒状体
12 粒状芯部
14 被覆層部
20 洗浄剤