特許第6462316号(P6462316)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6462316
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】測定用治具および測定用具
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20190121BHJP
   G01R 27/00 20060101ALI20190121BHJP
   G01R 35/00 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
   G01R31/00
   G01R27/00
   G01R35/00 J
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-218516(P2014-218516)
(22)【出願日】2014年10月27日
(65)【公開番号】特開2015-179060(P2015-179060A)
(43)【公開日】2015年10月8日
【審査請求日】2017年8月28日
(31)【優先権主張番号】特願2014-33660(P2014-33660)
(32)【優先日】2014年2月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】山越 秀人
【審査官】 島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−013186(JP,A)
【文献】 特開2014−013218(JP,A)
【文献】 特開平09−113555(JP,A)
【文献】 特開2001−196205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/00
G01R 27/00
G01R 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象のチップ部品を保持可能な保持用凹部が形成されると共に当該保持用凹部の底面から突出するように接触子を配設可能に構成された測定用治具であって、
前記保持用凹部に嵌入して前記接触子に接触可能な凸部と当該凸部および被係合部が形成された本体部とを有する補正用治具における当該被係合部に係合して、前記凸部が前記保持用凹部に嵌入する規定位置に前記補正用治具を案内するための案内部を備え
前記案内部は、前記保持用凹部の近傍に立設されて、前記被係合部としての位置決め用孔に挿通可能なガイドピンで構成されている測定用治具。
【請求項2】
前記補正用治具を前記規定位置に案内する際に前記本体部の嵌入が可能な嵌入用溝が形成されている請求項1記載の測定用治具。
【請求項3】
前記接触子と、前記保持用凹部の前記底面に対して前記接触子を上下動させる上下動機構とを備えている請求項1または2記載の測定用治具。
【請求項4】
前記規定位置に案内された前記補正用治具および前記保持用凹部によって保持された前記チップ部品を前記底面に向けて押圧する押圧機構を備えている請求項1からのいずれかに記載の測定用治具。
【請求項5】
請求項1からのいずれかに記載の測定用治具と、前記補正用治具とを備えている測定用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象のチップ部品を保持可能な保持用凹部が形成された測定用治具、および測定用治具と測定用治具の保持用凹部に嵌入可能な凸部を有する補正用治具とを備えた測定用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チップ部品の製造時や、回路基板に対するチップ部品の実装時には、チップ部品が正常品であるか否かを検査するためにチップ部品についての任意のパラメータ(一例として電気的パラメータ:例えば抵抗値や静電容量値など)を測定する測定処理が行われる。この場合、今日では、回路基板の小型化(ファインピッチ化)に伴い、実装されるチップ部品も非常に小さくなっているため、測定処理に際してチップ部品の電極に接触子を接触させるには、予め規定された位置に電極が位置した状態となるようにチップ部品を測定処理位置に位置決めする必要がある。また、チップ部品を測定処理位置に位置決めする際には、ピンセット等の保持具を用いてチップ部品を保持して測定処理位置に搬送する必要が生じるが、載置姿勢が相違する複数のチップ部品のなかから測定対象の1つのチップ部品だけを保持する作業が困難であるため、パーツフィーダ等を用いてチップ部品を個々に整列させておく必要がある。
【0003】
具体的には、一例として、まず、下記の特許文献1に開示されているパーツフィーダを用いてチップ部品を整列させる。次いで、整列させられたチップ部品を、保持具によって保持する。続いて、保持したチップ部品を、出願人が下記の特許文献2に開示している四端子測定用チップ部品治具(以下、単に「チップ部品治具」ともいう)まで搬送し、チップ部品治具によってチップ部品を測定処理位置に位置決めした状態において、良否判定に必要なパラメータを測定し、測定結果と判定用基準値とに基づき、チップ部品の良否を検査する。
【0004】
この場合、出願人が開示しているチップ部品治具は、凹状に形成された定置部に一対の接触端子が配設された端子台を2つ備えて構成されている。また、このチップ部品治具では、両端子台の定置部を近接させるようにして両端子台を対向配置した状態において、一方の端子台における定置部上にチップ部品における一端部側部位を載置し、かつ他方の端子台における定置部上にチップ部品における他端部側部位を載置して(両定置部上にチップ部品を掛け渡すように配置して)チップ部品を位置決めすることにより、チップ部品の一端部側部位に形成されている電極が一方の端子台における両接触端子に接触させられ、かつチップ部品の多端部側部位に形成されている電極が他方の端子台における両接触端子に接触させられる。これにより、出願人が開示しているチップ部品治具では、小さなチップ部品の電極にそれぞれ一対の接触端子を接触させた状態で四端子法によって抵抗値や静電容量値などのパラメータを測定することが可能となっている。
【0005】
一方、この種のチップ部品についてのパラメータを測定(チップ部品を検査)する際には、接触端子や配線の電気抵抗等の測定値に対する影響を軽減するため、検査に先立って補正処理が行われる。この補正処理では、各接触端子をショートさせた状態(ショート状態)および各接触端子がオープンの状態(オープン状態)のそれぞれの状態においてパラメータを測定し、例えば、各状態における測定値の差分値を補正値として算出する。この場合、各接触端子をショート状態とする際には、チップ部品と同形状に形成した導電性を有する補正用治具を定置部に載置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−320116号公報(第2−3頁、第1−3図)
【特許文献2】特開2008−26260号公報(第3−7頁、第1−6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、出願人が開示している上記のチップ部品治具には、改善すべき以下の課題が存在する。すなわち、このチップ部品治具を用いたチップ部品の検査(パラメータの測定)に先立って行う補正処理では、チップ部品と同形状に形成した補正用治具が用いられる。この場合、チップ部品の小型化に伴って補正用治具が小形化されているため、このような小形の補正用治具をチップ部品治具の定置部に正確に位置決めして載置する作業が容易ではなく、載置に時間がかかる結果、補正処理の作業効率が低下している。一方、この種の補正用治具は、マシニングセンタ等の工作機械を用いた切削加工によって作製される。ここで、工作機械を用いた切削加工では、ある程度の大きさの材料の一部を所望の形状に正確に切削することは容易であるが、全体が小形の構造体を所望の形状に正確に切削するのは、ワーク(材料)のチャッキングが困難であること等の理由から、一般的に困難である。この場合、半導体の製造工程のような特殊な工程で作製することで、小形の補正用治具を正確に作製する方法も考えられるが、このような作製方法では、作製コストが高騰する結果、測定コスト(検査コスト)が高騰することとなる。このように、このチップ部品治具では、補正処理を行う際にチップ部品と同形状の補正用治具を用いることに起因して、作業効率の向上および測定コストの低減が困難となっており、その改善が望まれている。
【0008】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、作業効率の向上および測定コストの低減を実現し得る測定用治具および測定用具を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の測定用治具は、測定対象のチップ部品を保持可能な保持用凹部が形成されると共に当該保持用凹部の底面から突出するように接触子を配設可能に構成された測定用治具であって、前記保持用凹部に嵌入して前記接触子に接触可能な凸部と当該凸部および被係合部が形成された本体部とを有する補正用治具における当該被係合部に係合して、前記凸部が前記保持用凹部に嵌入する規定位置に前記補正用治具を案内するための案内部を備え、前記案内部は、前記保持用凹部の近傍に立設されて、前記被係合部としての位置決め用孔に挿通可能なガイドピンで構成されている。
【0011】
また、請求項記載の測定用治具は、請求項1記載の測定用治具において、前記補正用治具を前記規定位置に案内する際に前記本体部の嵌入が可能な嵌入用溝が形成されている。
【0012】
また、請求項記載の測定用治具は、請求項1または2記載の測定用治具において、前記接触子と、前記保持用凹部の前記底面に対して前記接触子を上下動させる上下動機構とを備えている。
【0013】
また、請求項記載の測定用治具は、請求項1からのいずれかに記載の測定用治具において、前記規定位置に案内された前記補正用治具および前記保持用凹部によって保持された前記チップ部品を前記底面に向けて押圧する押圧機構を備えている。
【0015】
また、請求項記載の測定用具は、請求項1からのいずれかに記載の測定用治具と、前記補正用治具とを備えている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の測定用治具、および請求項記載の測定用具は、保持用凹部に嵌入して接触子に接触可能な凸部と凸部および被係合部が形成された本体部とを有する補正用治具における被係合部に係合して、凸部が保持用凹部に嵌入する規定位置に補正用治具を案内するための案内部を備えている。このため、この測定用治具および測定用具では、チップ部品と同程度の小形の凸部を、凸部よりも大きな本体部に形成して構成した補正用治具を、本体部の被係合部に案内部を係合させることで規定位置に案内することができる。つまり、この測定用治具および測定用具では、凸部よりも十分に大きく形成した本体部を有する補正用治具を用いて補正処理を行うことができる。したがって、この測定用治具および測定用具によれば、本体部を手作業での取り扱い(指先での挟持)がし易い大きさに形成した補正用治具を用いることで、チップ部品と同形状に形成されている補正用治具を保持用凹部に嵌入させて補正処理を行う構成と比較して、補正用治具を測定用治具に正確かつ容易にセットすることができる。また、この測定用治具および測定用具によれば、補正用治具の被係合部に案内部を係合させるだけで、補正用治具を嵌入位置に確実に案内して位置決めさせることができる。したがって、この測定用治具および測定用具によれば、補正処理の作業効率を十分に向上させることができる。また、ある程度の大きさの本体部を有する補正用治具は、工作機械を用いた切削加工によって低コストで作製することができる。したがって、この測定用治具および測定用具によれば、低コストの補正用治具を用いて補正処理を行うことができるため、チップ部品についてのパラメータを測定する際の測定コストを十分に低減させることができる。
【0017】
また、請求項記載の測定用治具、および請求項記載の測定用具によれば、保持用凹部の近傍に立設されて、被係合部としての位置決め用孔に挿通可能なガイドピンで案内部を構成したことにより、例えば、円柱状のガイドピンを採用することで、規定通り(設計通り)の形状のガイドピンを容易に作製することができるため、ガイドピンの作製コストを十分に低減することができる結果、測定用治具および測定用具の製造コストを十分に低減することができる。
【0018】
また、請求項記載の測定用治具、および請求項記載の測定用具では、補正用治具を規定位置に案内する際に補正用治具の本体部の嵌入が可能な嵌入用溝が形成されている。この場合、例えば、保持用凹部よりもやや幅広に形成されてチップ部品を保持用凹部に案内する機能を有する案内用凹部が測定用治具に形成されている構成において、補正用治具の凸部の保持用凹部への嵌入を可能とするには、補正用治具の本体部を案内用凹部に挿入可能な大きさとする必要があり、案内用凹部の幅が狭いときには、本体部を取り扱いがし難い小形に形成する必要がある。これに対して、嵌入用溝を有するこの測定用治具および測定用具によれば、嵌入用溝を案内用凹部よりも幅広に形成することで、本体部が案内用凹部の幅よりも大形で取り扱いがし易い補正用治具を用いて補正処理を行うことができるため、案内用凹部が測定用治具に形成されている構成においても、補正処理の効率を十分に向上させることができる。
【0019】
また、請求項記載の測定用治具、および請求項記載の測定用具によれば、接触子と、保持用凹部の底面に対して接触子を上下動させる上下動機構とを備えたことにより、保持用凹部内にチップ部品を嵌入させる作業時に接触子を下動させておくことで接触子が破損する事態を好適に回避することができるだけでなく、保持用凹部内にチップ部品を嵌入させた後に各接触子を上動させることでその先端部をチップ部品の電極に好適な接触圧で押し付けることができるため、チップ部品についての各種パラメータを正確に測定することができる。
【0020】
また、請求項記載の測定用治具、および請求項記載の測定用具によれば、規定位置に案内された補正用治具および保持用凹部によって保持されたチップ部品を底面に向けて押圧する押圧機構を備えたことにより、規定位置に案内された補正用治具および保持用凹部によって保持されているチップ部品を各接触子に対して好適な押圧力で押し付けることができるため、パラメータを一層正確に測定することができる。
【0021】
また、請求項記載の測定用具では、測定用治具の保持用凹部に嵌入可能な凸部が形成されると共に、凸部が保持用凹部に嵌入する規定位置に補正用治具を案内するために測定用治具に配設された案内部との係合が可能な被係合部が形成された本体部を備えて補正用治具が構成されている。このため、この補正用治具および測定用具では、凸部が小形の場合であっても、本体部をある程度(手作業での取り扱いがし易い程度)の大きさに形成することができる。この場合、このようなある程度の大きさの本体部を有する補正用治具は、工作機械を用いた切削加工によって低コストで作製することができる。したがって、この補正用治具および測定用具によれば、低コストの補正用治具を用いて補正処理を行うことができるため、チップ部品についてのパラメータを測定する際の測定コストを十分に低減させることができる。また、この補正用治具および測定用具によれば、手作業での取り扱い(指先での挟持)がし易い大きさに本体部を形成することができるため、チップ部品と同形状に形成されている補正用治具を測定用治具の保持用凹部に嵌入させて補正処理を行う構成と比較して、補正用治具を測定用治具に容易にセットすることができる。また、この補正用治具および測定用具によれば、補正用治具の被係合部に案内部に係合させるだけで、補正用治具を嵌入位置に確実に案内して位置決めさせることができる。したがって、この補正用治具および測定用具によれば、補正処理の作業効率を十分に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】測定用具100における測定用治具1の外観斜視図である。
図2】測定用治具1における保持用凹部21a〜21cの近傍の断面図である。
図3】測定用治具1における保持用凹部21a〜21cの近傍の外観斜視図である。
図4】測定用治具1における保持用凹部21a〜21cの近傍の平面図である。
図5図4におけるA−A線断面図である。
図6図4におけるB−B線断面図である。
図7】補正用治具50aの外観斜視図である。
図8】補正用治具50bの外観斜視図である。
図9】補正用治具50cの外観斜視図である。
図10】補正用治具50bを用いた補正処理を説明する第1の説明図である。
図11】補正用治具50bを用いた補正処理を説明する第2の説明図である。
図12】補正用治具50bを用いた補正処理を説明する第3の説明図(図4におけるA−A線断面図)である。
図13】補正用治具50bを用いた補正処理を説明する第4の説明図である。
図14】位置決め部2によるチップ部品Pの位置決め作業について説明するための断面図(図4におけるC−C線断面図)である。
図15】位置決め部2によるチップ部品Pの位置決め作業について説明するための他の断面図(図4におけるA−A線断面図)である。
図16】保持用凹部21によって位置決めされたチップ部品Pを押圧機構4のプッシャー43によって下向きに押圧した状態の断面図(図4におけるA−A線断面図)である。
図17】他の実施の形態に係る測定用治具1Aにおける保持用凹部21の近傍の断面図である。
図18】さらに他の実施の形態に係る測定用治具1Bにおける保持用凹部21の近傍の断面図である。
図19】位置決め部2および上下動機構6の構成を示す外観斜視図である。
図20】接触子31の先端部をベース部11内に退避させた状態の位置決め部2および上下動機構6の断面図(図19の断面Sで切断した断面図)である。
図21】接触子31の先端部を保持用凹部21a〜21c内に突出させた状態の位置決め部2および上下動機構6の断面図(図19の断面Sで切断した断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、測定用治具および測定用具の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0024】
最初に、「測定用具」の一例としての測定用具100の構成について説明する。測定用具100は、図1に示す測定用治具1と、図7図9に示す3つの補正用治具50a〜50c(以下、区別しないときには「補正用治具50」ともいう)とを備えて構成されている。
【0025】
測定用治具1は、「測定用治具」の一例であって、図1に示すように、位置決め部2、接続部3、押圧機構4および筐体5を備えて構成されている。位置決め部2は、図1,2および図19図21に示すように、2枚のベース板11a,11bで構成されて筐体5の天板から突出させられたベース部11と、ベース部11にねじ止め固定された凹部形成片12と、ベース部11に固定された支持ブロック13と、支持ブロック13を筐体5に取り付けるためのブラケット14とを備えて構成されている。
【0026】
また、図2〜4に示すように、凹部形成片12には、保持用凹部21aが底部に形成された案内用凹部22a、保持用凹部21bが底部に形成された案内用凹部22b、および保持用凹部21cが底部に形成された案内用凹部22cが並んで形成されている。この場合、本例の測定用治具1では、保持用凹部21a〜21c(以下、これらを区別しないときには「保持用凹部21」ともいう)がそれぞれ「保持用凹部」に相当する。
【0027】
また、本例の凹部形成片12では、一例として、1.0mm×0.5mmのチップ部品Pを位置決め可能に(嵌入可能に)保持用凹部21aが形成され、0.6mm×0.3mmのチップ部品Pを位置決め可能に(嵌入可能に)保持用凹部21bが形成され、かつ0.4mm×0.2mmのチップ部品Pを位置決め可能に(嵌入可能に)保持用凹部21cが形成されている。さらに、各案内用凹部22は、図5,6に示すように、保持用凹部21が形成された底部に向かって傾斜する傾斜面Fが設けられ、後述するように、傾斜面F上に落下させられたチップ部品Pを底部に向けて案内可能に構成されている。この場合、各案内用凹部22の傾斜面Fは、底部から遠ざかるほど大きく傾斜するように(傾斜がきつくなるように)湾曲面で構成されている。
【0028】
また、図3,4に示すように、各案内用凹部22の底部には、チップ部品Pを嵌入可能に形成されて保持用凹部21に向けてチップ部品Pを案内可能な案内用溝23a〜23c(以下、これらを区別しないときには「案内用溝23」ともいう)がそれぞれ形成されている。この場合、図5,6に示すように、各案内用溝23は、その内側面が垂直方向に対して3°〜5°の範囲内(一例として4°)で傾斜させられ、上縁部から下縁部に向かうほど幅狭となるように形成されている。
【0029】
なお、本例の測定用治具1では、保持用凹部21aに向けてチップ部品Pを案内する案内用溝23aにおける下縁部側の溝幅が0.5mmよりもやや広く形成され、保持用凹部21bに向けてチップ部品Pを案内する案内用溝23bにおける下縁部側の溝幅が0.3mmよりもやや広く形成され、保持用凹部21cに向けてチップ部品Pを案内する案内用溝23cにおける下縁部側の溝幅が0.2mmよりもやや広く形成されている(「案内用溝」の溝幅が、「チップ部品」の平面視における短尺方向の幅と同程度に形成されている構成の例)。また、図3,4に示すように、本例の測定用治具1では、平面視における保持用凹部21の一端部側および他端部側に案内用溝23がそれぞれ形成されている。
【0030】
また、図3〜6に示すように、各案内用凹部22の底部には、後述するように保持用凹部21に位置決めしたチップ部品Pを保持用凹部21の底面に向けて押圧するためのプッシャー43(図1,16参照)が凹部形成片12に当接するのを回避可能に平面視円形状の当接回避用凹部24が形成され、この当接回避用凹部24の中央部に各保持用凹部21がそれぞれ形成されている。この場合、本例の測定用治具1では、図5,6に示すように、各要素21,23,24のうちで、保持用凹部21の深さ(案内用凹部22の底面からの深さ)が最も深く、かつ当接回避用凹部24が最も浅く形成されると共に、案内用溝23が保持用凹部21の深さよりも浅く、かつ当接回避用凹部24の深さよりも深くなるようにこれらが形成されている。
【0031】
この場合、本例の測定用治具1では、各保持用凹部21や案内用凹部22が形成されている凹部形成片12を、測定用治具1の本体部(ベース部11や筐体5)とは別体に形成することにより、上記の保持用凹部21a〜21cによって好適に位置決めすることのできないチップ部品Pを測定対象とするときには、そのチップ部品Pを好適に位置決め可能な大きさおよび形状の「保持用凹部」を形成した他の凹部形成片12(図示せず)を製作してベース部11に取り付けることにより、凹部形成片12以外の構成要素を新たに製作することなく、継続して使用することが可能となっている。
【0032】
さらに、図2〜4に示すように、凹部形成片12には、後述する図外の測定器の補正処理時に使用する補正用治具50(図7図9参照)の本体部51を嵌入可能な嵌入用溝25が形成されている。この場合、嵌入用溝25は、案内用凹部22aを横切るようにして(一例として案内用凹部22aに直交するようにして)形成されている。
【0033】
また、図2〜4に示すように、保持用凹部21の近傍には、4つのガイドピン26a〜26d(以下、区別しないときには「ガイドピン26」ともいう)が立設(配設)されている。ガイドピン26は、案内部に相当し、一例として、先端部にテーパー部を有する円柱状に形成されている。このガイドピン26は、補正用治具50の本体部51に形成されている位置決め用孔51a(被係合部)に挿入(係合)可能に構成されて、補正用治具50を規定位置(図7図9に示す補正用治具50の凸部52が保持用凹部21に嵌入する位置)に案内して位置決めする機能を有している。
【0034】
この場合、この測定用治具1では、補正用治具50aの凸部52を保持用凹部21aに嵌入させる際には、ガイドピン26a,26bを用い、補正用治具50bの凸部52を保持用凹部21bに嵌入させる際には、ガイドピン26b,26cを用い、補正用治具50cの凸部52を保持用凹部21cに嵌入させる際には、ガイドピン26c,26dを用いるように構成されている。
【0035】
一方、接続部3は、各保持用凹部21の底面から突出させられるように配設された接触子31と、筐体5の背面に配設されて各接触子31に接続された接続用コネクタ32(図1参照)と、接触子31および接続用コネクタ32を相互に接続する配線基板および接続線(共に図示せず)とを備えている。
【0036】
この場合、本例の測定用治具1では、出願人が上記の特許文献2に開示しているチップ部品治具と同様にしてチップ部品Pについての任意のパラメータ(一例として電気的パラメータ:例えば抵抗値や静電容量値など)を四端子法によって測定することができるように、1つの保持用凹部21につき4本の接触子31がそれぞれ配設されている。具体的には、後述するように保持用凹部21内に嵌入されて位置決めされた状態のチップ部品Pにおける一方の電極に接触させられる一対の接触子31,31と、そのチップ部品Pにおける他方の電極に接触させられる一対の接触子31,31とが保持用凹部21の底面から突出させられている。
【0037】
また、本例の測定用治具1は、凹部形成片12に対して各接触子31を上下動させる上下動機構6を備えている。この場合、上下動機構6は、図19〜21に示すように、操作レバー33と、位置決め部2を構成する支持ブロック13によって支持されると共に先端部に操作レバー33が取り付けられた回動軸34と、回動軸34の基端部側に取り付けられた偏芯カム35と、2枚の保持板36a,36bで構成されて接触子31の基端部側を保持する接触子保持部36と、接触子31の基端部に電気的に接続される導体パターンが形成された基板37と、接触子保持部36を上方(凹部形成片12側)に付勢するスプリング38とを備えて構成されている。本例の上下動機構6では、操作レバー33を回動操作させたときに回動軸34および偏芯カム35が回動し、偏芯カム35の回動に伴って接触子保持部36が上下動する。この場合、スプリング38の付勢力に抗して偏芯カム35が接触子保持部36を下向きに押圧することによって接触子保持部36が下動し、偏芯カム35の回動に伴って接触子保持部36に対する下向きへの押圧が解除されたときにスプリング38の付勢力によって接触子保持部36が上動する。なお、図20では、接触子保持部36が下動した状態を図示し、図21では、接触子保持部36が上動した状態を図示している。また、本例の上下動機構6では、接触子保持部36を上動させることにより、図5,6に実線で示すように、接触子保持部36によって基端部側が保持されている各接触子31の先端部(上端部)が凹部形成片12における保持用凹部21の底面から保持用凹部21内に突出した状態となり、接触子保持部36を下動させることにより、図15に破線で示すように、各接触子31の先端部(上端部)が保持用凹部21の底面よりも下方に位置させられた状態(接触子31の先端部がベース部11内に退避させられた状態)となる。
【0038】
押圧機構4は、「押圧機構」の一例であって、図1に示すように、筐体5に固定されたガイドレール41と、矢印Dの方向(各保持用凹部21の並設方向)に沿ってスライド可能にガイドレール41に取り付けられたアーム42と、アーム42に対して上下動可能に取り付けられたプッシャー43とを備えている。この場合、プッシャー43には、保持用凹部21内に嵌入されたチップ部品Pを保持用凹部21の底面に向けて好適な押圧力で押圧することができるようにウェイト43aが取り付けられている。
【0039】
なお、測定用治具1を用いたチップ部品Pの検査に際しては、チップ部品Pを保持する保持具(保持具等)、接続用ケーブルを介して接続部3の接続用コネクタ32に接続されてチップ部品Pについての各種パラメータを測定する測定器、および後述するように保持用凹部21へのチップ部品Pの嵌入作業時に各保持用凹部21の近傍およびチップ部品Pの視認性を向上させるための拡大鏡などを使用するが、測定用治具1(「測定用治具」および「測定用具」)についての理解を容易とするために、保持具、測定器および拡大鏡についての図示および詳細な説明を省略する。
【0040】
補正用治具50a〜50cは、チップ部品Pの検査に先立って行う後述する補正処理において用いる「補正用治具」の一例であって、図7図9に示すように、本体部51および凸部52をそれぞれ備えて構成されている。この場合、各補正用治具50a〜50cは、一例として、導電性材料(例えば、銅やアルミニウム等の金属材料)を切削することによって作製される。
【0041】
本体部51は、図7図9に示すように、測定用治具1の位置決め部2を構成する凹部形成片12に形成されている嵌入用溝25(図3参照)に嵌入可能な直方体状に形成されている。また、本体部51には、被係合部としての2つの位置決め用孔51aが形成されている。この場合、位置決め用孔51aは、嵌入用溝25に立設されているガイドピン26(同図参照)の挿入(係合)が可能な円形に形成されている。
【0042】
凸部52は、図7図9に示すように、本体部51の先端面51bから突出するように本体部51に形成されている。この凸部52は、凹部形成片12に形成されている保持用凹部21(図3参照)に嵌入して保持用凹部21の底面から突出している状態の各接触子31の先端部に接触して、各接触子31を短絡させる(ショート状態とする)機能を有している。
【0043】
この場合、補正用治具50aの本体部51に形成されている凸部52の先端部側は、保持用凹部21aによって保持されるチップ部品P(この例では、1.0mm×0.5mmのチップ部品P)の先端部側と同形状に形成されて、保持用凹部21aに嵌入可能となっている。また、補正用治具50bの本体部51に形成されている凸部52の先端部側は、保持用凹部21bによって保持されるチップ部品P(この例では、0.6mm×0.3mmのチップ部品P)の先端部側と同形状に形成されて、保持用凹部21bに嵌入可能となっている。さらに、補正用治具50cの本体部51に形成されている凸部52の先端部側は、保持用凹部21cによって保持されるチップ部品P(この例では、0.4mm×0.2mmのチップ部品P)の先端部側と同形状に形成されて、保持用凹部21cに嵌入可能となっている。
【0044】
図7図9に示すように、補正用治具50a〜50cは、本体部51の先端面51bに凸部52を形成して構成されているため、凸部52が小形の場合であっても、本体部51をある程度(指先で挟持するなどの手作業での取り扱いがし易い程度)の大きさに形成することができる。この場合、補正用治具50は、上記したように、導電性材料を切削することによって作製される。ここで、マシニングセンタ等の工作機械を用いた切削加工によって全体が小形の構造体を所望の形状に正確に切削するのは、ワーク(材料)のチャッキングが困難であること等の理由から、一般的に困難であるが、ある程度の大きさの材料の一部を所望の形状に正確に切削することは工作機械を用いて容易に行うことができる。このため、ある程度の大きさの本体部51の先端面51bに小形のチップ部品Pと同程度の小形の凸部52が形成されて構成された補正用治具50を、工作機械を用いた切削加工によって正確な形状に形成することができる。したがって、この補正用治具50では、作製コストを十分に低減することが可能となっている。
【0045】
次に、測定用治具1を用いたチップ部品Pの検査方法について図面を参照して説明する。
【0046】
この測定用治具1を用いたチップ部品Pの検査に際しては、測定用治具1の近傍に拡大鏡をセットすると共に、接続用ケーブルを介して接続部3の接続用コネクタ32を測定器に接続する。これにより、接続部3の各接触子31が測定器に接続された状態となる。次いで、測定器の補正処理を実行する。この補正処理では、ガイドレール41に対してアーム42をスライドさせることで凹部形成片12上からプッシャー43を退避させると共に、操作レバー33を操作することによって接触子保持部36を下動させて各接触子31をベース部11内に退避させる。
【0047】
続いて、補正用治具50を用いて各接触子31を短絡させる(ショート状態とさせる)。まず、3つの補正用治具50a〜50cのうちの1つ(例えば、補正用治具50b)を位置決め部2にセットして、3つの保持用凹部21a〜21cのうちの1つ(例えば、保持用凹部21b)の底部に配設されている各接触子31を短絡させる。具体的には、図10に示すように、補正用治具50b(図8も参照)における本体部51の先端面51bに形成されている凸部52を下向きにした状態で、本体部51を指先で挟持して、補正用治具50bを下向きに移動(凹部形成片12に近接)させる。次いで、嵌入用溝25の底面に立設されているガイドピン26b,26cを、本体部51に形成されている2つの位置決め用孔51aに挿入(係合)させ、続いて、補正用治具50bを下向きにさらに移動させる。
【0048】
この際に、図11に示すように、補正用治具50bの本体部51が嵌入用溝25に嵌入する。次いで、補正用治具50bを下向きにさらに移動させる。この際に、図12に示すように、位置決め用孔51aに挿入(係合)されているガイドピン26によって本体部51が規定位置(嵌入位置)に案内されて、本体部51の先端面51bに形成されている凸部52が保持用凹部21bに嵌入する。
【0049】
次いで、押圧機構4のガイドレール41に対してアーム42をスライドさせて、図13に示すように、補正用治具50bの上方にプッシャー43の先端部を位置させる。続いて、操作レバー33を操作することによって接触子保持部36を上動させて各接触子31を保持用凹部21の底面から突出させると共に、アーム42に対してプッシャー43を下動させることによって補正用治具50bを保持用凹部21の底面に向けて押圧する。この際に、各接触子31の先端部が補正用治具50bの凸部52に接触し、これにより、各接触子31が補正用治具50bの凸部52によって短絡される(ショート状態となる)。次いで、測定器を操作して、各接触子31がショート状態のときにおける予め決められたパラメータ(例えば、抵抗値や静電容量値等の電気的パラメータ)を測定する。
【0050】
続いて、ガイドレール41に対してアーム42をスライドさせることで補正用治具50b上からプッシャー43を退避させると共に、操作レバー33を操作して各接触子31をベース部11内に退避させ、次いで、補正用治具50bを位置決め部2から取り外す。これにより、各接触子31同士の短絡(ショート状態)が解除されて、各接触子31がオープン状態となる。続いて、測定器を操作して、各接触子31がオープン状態のときにおける上記のパラメータ(抵抗値や静電容量値)を測定する。次いで、各接触子31がショート状態のときにおけるパラメータの測定値、および各接触子31がオープン状態のときにおけるパラメータの測定値から(例えば、両測定値の一方から他方を差し引いて)補正値を算出する。
【0051】
続いて、上記した手順と同様の手順で他の補正用治具50を用いて、他の保持用凹部21の底部に配設されている各接触子31をショート状態とさせて、パラメータ(抵抗値や静電容量値)を測定し、次いで各接触子31をオープン状態とさせた状態で同じパラメータを測定して補正値を算出する。次いで、算出した各補正値に基づいて測定器を補正する。以上により、補正処理が完了する。
【0052】
この場合、この補正用治具50では、本体部51が手作業での取り扱い(指先での挟持)がし易い程度の大きさに形成されている。このため、この補正用治具50では、チップ部品Pと同形状に形成されている補正用治具と比較して、補正用治具50を位置決め部2に容易にセットすることが可能となっている。したがって、この補正用治具50を用いることで、補正処理の作業効率を十分に向上させることが可能となっている。
【0053】
次いで、チップ部品Pを検査する。この際には、まず、嵌入用溝25から補正用治具50を撤去した状態において操作レバー33を操作することにより、接触子保持部36を下動させて各接触子31をベース部11内に退避させる。次いで、図14に破線で示すように、保持具によって保持したチップ部品Pを案内用凹部22の上方に搬送し、保持具による保持を解除することにより、矢印E1で示すようにチップ部品Pを案内用凹部22内に落下させる。この際に、測定対象のチップ部品Pを保持用凹部21内に直接落下させるのが好ましいが、本例の測定用治具1では、後述するように、案内用凹部22の傾斜面Fに落下させたチップ部品Pを保持用凹部21まで容易に移動させることができるため、保持用凹部21の形成位置を意識することなく、チップ部品Pを案内用凹部22内に落下させればよい。
【0054】
この場合、図14に一点鎖線で示すように、案内用凹部22の傾斜面F上にチップ部品Pが落下したときには、矢印E2で示すように、チップ部品Pが自重によって案内用凹部22の底部(傾斜面Fの下方部位)に向かって滑落して同図に二点鎖線で示すように案内用溝23の近傍に位置した状態となる。この際に、本例の測定用治具1では、底部から遠ざかるほど大きく傾斜する(傾斜がきつくなる)ように案内用凹部22の傾斜面Fが湾曲面で構成されているため、保持用凹部21や案内用溝23が形成されている底部から離れた位置にチップ部品Pが落下したとしても、このチップ部品Pが案内用凹部22の底部(保持用凹部21や案内用溝23の近傍)に向かって好適に移動させられる。
【0055】
続いて、矢印E3で示すように、図示しない保持具等を利用してチップ部品Pを案内用溝23上に向けて移動させる。この際には、図14に実線で示すように、案内用溝23上に移動させられたチップ部品Pが自重によって案内用溝23内に落下する。この場合、本例の測定用治具1では、案内用溝23の内側面が垂直方向に対して傾斜させられて、上縁部から下縁部に向かうほど幅狭となるように形成されているため、移動させられたチップ部品Pが案内用溝23内にスムーズに落下する。
【0056】
次いで、保持具等を利用して案内用溝23内のチップ部品Pを保持用凹部21に向けてスライドさせる。この際に、本例の測定用治具1では、案内用溝23の溝幅がチップ部品Pの平面視における短尺方向の幅と同程度に形成されているため、案内用溝23内においてチップ部品Pが傾いたり回動したりすることなく、保持用凹部21に向かって案内される。これにより、図15に実線で示すように、保持用凹部21上に移動させられたチップ部品Pが自重によって保持用凹部21内に落下し、保持用凹部21によって測定処理位置(つまり、保持用凹部21の底部の位置)に位置決めされた状態となる。
【0057】
次いで、ガイドレール41に対してアーム42をスライドさせて保持用凹部21の上方(保持用凹部21によって位置決めされた状態のチップ部品Pの上方)にプッシャー43の先端部を位置させる。続いて、図16に示すように、操作レバー33を操作することによって接触子保持部36を上動させて各接触子31を保持用凹部21の底面から突出させると共に、アーム42に対してプッシャー43を下動させることによってチップ部品Pを保持用凹部21の底面に向けて押圧する。
【0058】
この際には、保持用凹部21内に突出させられた接触子31の先端部が保持用凹部21内のチップ部品Pにおける各電極に押し付けられて、チップ部品Pの電極と接触子31とが電気的に接続された状態となる。この場合、本例の測定用治具1では、接触子保持部36の上動に伴って上動させられる各接触子31が座屈変形し、その弾性復帰力によって各接触子31の先端部が好適な接触圧でチップ部品Pの電極に押し付けられた状態となる。この状態において測定器を操作することにより、一例として、四端子法によって抵抗値を測定させる。これにより、測定対象(検査対象)のチップ部品Pについての測定処理が完了する。この後、測定処理の測定結果(測定された抵抗値)と、良品のチップ部品Pから取得した基準抵抗値とを比較することにより、チップ部品Pが正常品であるか否かが検査される。なお、チップ部品Pの良否判定(検査)については、利用者が測定結果と判定用の基準値とを比較して良否を判定する方法だけでなく、そのような判定機能を測定器に設けて自動的に行うこともできる。
【0059】
一方、上記の測定処理を完了したときには、チップ部品P上からプッシャー43を退避させる。この際には、各接触子31の弾性復帰力によってチップ部品Pが上動させられる。次いで、保持具を用いてチップ部品Pを保持することにより、検査完了品(測定完了品)の載置場所まで搬送する。この後、上記の一連の測定処理と同様の手順で他のチップ部品Pについての測定処理を実行する。
【0060】
このように、この測定用治具1および測定用具100は、保持用凹部21に嵌入して接触子31に接触可能な凸部52と凸部52および位置決め用孔51a(被係合部)が形成された本体部51とを有する補正用治具50における位置決め用孔51aに係合して、凸部52が保持用凹部21に嵌入する規定位置に補正用治具50を案内するためのガイドピン26(案内部)を備えている。このため、この測定用治具1および測定用具100では、チップ部品Pと同程度の小形の凸部52を、凸部52よりも大きな本体部51に形成して構成した補正用治具50を、本体部51の位置決め用孔51aにガイドピン26を係合させることで規定位置に案内することができる。つまり、この測定用治具1および測定用具100では、凸部52よりも十分に大きく形成した本体部51を有する補正用治具50を用いて補正処理を行うことができる。したがって、この測定用治具1および測定用具100によれば、本体部51を手作業での取り扱い(指先での挟持)がし易い大きさに形成した補正用治具を用いることで、チップ部品Pと同形状に形成されている補正用治具を保持用凹部21に嵌入させて補正処理を行う構成と比較して、補正用治具50を測定用治具1(位置決め部2)に正確かつ容易にセットすることができる。また、この測定用治具1および測定用具100によれば、補正用治具50の位置決め用孔51aにガイドピン26を係合させるだけで、補正用治具50を嵌入位置に確実に案内して位置決めさせることができる。したがって、この測定用治具1および測定用具100によれば、補正処理の作業効率を十分に向上させることができる。また、ある程度の大きさの本体部51を有する補正用治具50は、工作機械を用いた切削加工によって低コストで作製することができる。したがって、この測定用治具1および測定用具100によれば、低コストの補正用治具50を用いて補正処理を行うことができるため、チップ部品Pについてのパラメータを測定する際の測定コストを十分に低減させることができる。
【0061】
また、この測定用治具1および測定用具100によれば、保持用凹部21の近傍に立設されて、被係合部としての位置決め用孔51aに挿通可能なガイドピン26で案内部を構成したことにより、例えば、円柱状のガイドピン26を採用することで、規定通り(設計通り)の形状のガイドピン26を容易に作製することができるため、ガイドピン26の作製コストを十分に低減することができる結果、測定用治具1および測定用具100の製造コストを十分に低減することができる。
【0062】
また、この測定用治具1および測定用具100では、補正用治具50を規定位置に案内する際に補正用治具50の本体部51の嵌入が可能な嵌入用溝25が形成されている。この場合、チップ部品Pを保持用凹部21に案内する案内用凹部22が測定用治具1に形成されている構成において、補正用治具50の凸部52の保持用凹部21への嵌入を可能とするには、補正用治具50の本体部51を案内用凹部22に挿入可能な大きさとする必要があり、案内用凹部22の幅が狭いときには、本体部51を取り扱いがし難い小形に形成する必要がある。これに対して、嵌入用溝25を有するこの測定用治具1および測定用具100によれば、嵌入用溝25を案内用凹部22よりも幅広に形成することで、本体部51が案内用凹部22の幅よりも大形で取り扱いがし易い補正用治具50を用いて補正処理を行うことができるため、案内用凹部22が測定用治具1に形成されている構成においても、補正処理の効率を十分に向上させることができる。
【0063】
また、この測定用治具1および測定用具100によれば、接触子31と、保持用凹部21の底面に対して接触子31を上下動させる上下動機構6(本例では、操作レバー33、回動軸34、偏芯カム35、接触子保持部36、基板37およびスプリング38等)とを備えたことにより、保持用凹部21内にチップ部品Pを嵌入させる作業時に接触子31を下動させておくことで接触子31が破損する事態を好適に回避することができるだけでなく、保持用凹部21内にチップ部品Pを嵌入させた後に各接触子31を上動させることでその先端部をチップ部品Pの電極に好適な接触圧で押し付けることができるため、チップ部品Pについての各種パラメータを正確に測定することができる。
【0064】
また、この測定用治具1および測定用具100によれば、規定位置に案内された補正用治具50および保持用凹部21によって保持されたチップ部品Pを底面に向けて押圧する押圧機構4(プッシャー43等)を備えたことにより、規定位置に案内された補正用治具50および保持用凹部21によって保持されているチップ部品Pを各接触子31に対して好適な押圧力で押し付けることができるため、パラメータを一層正確に測定することができる。
【0065】
また、この補正用治具50および測定用具100では、測定用治具1の保持用凹部21に嵌入可能な凸部52が形成されると共に、凸部52が保持用凹部21に嵌入する規定位置に補正用治具50を案内するために測定用治具1に配設されたガイドピン26(案内部)との係合が可能な位置決め用孔51a(被係合部)が形成された本体部51を備えて補正用治具50が構成されている。このため、この補正用治具50および測定用具100では、凸部52が小形の場合であっても、本体部51をある程度(手作業での取り扱いがし易い程度)の大きさに形成することができる。この場合、このようなある程度の大きさの本体部51を有する補正用治具50は、工作機械を用いた切削加工によって低コストで作製することができる。したがって、この補正用治具50および測定用具100によれば、低コストの補正用治具50を用いて補正処理を行うことができるため、チップ部品Pについてのパラメータを測定する際の測定コストを十分に低減させることができる。また、この補正用治具50および測定用具100によれば、手作業での取り扱い(指先での挟持)がし易い大きさに本体部51を形成することができるため、チップ部品Pと同形状に形成されている補正用治具を測定用治具1の保持用凹部21に嵌入させて補正処理を行う構成と比較して、補正用治具50を測定用治具1(位置決め部2)に容易にセットすることができる。また、この補正用治具50および測定用具100によれば、補正用治具50の位置決め用孔51aにガイドピン26を挿通させるだけで、補正用治具50を嵌入位置に確実に案内して位置決めさせることができる。したがって、この補正用治具50および測定用具100によれば、補正処理の作業効率を十分に向上させることができる。
【0066】
なお、測定用治具および測定用具の構成は、上記の構成に限定されない。例えば、案内部としての円柱状のガイドピン26を備えた測定用治具1、およびガイドピン26に係合可能(ガイドピン26を挿入可能)な被係合部としての円形の位置決め用孔51aを備えた補正用治具50を例に挙げて説明したが、案内部および被係合部を他の形状に形成することもできる。具体的には、案内部としてのガイドピンを断面が楕円形や多角形の形状の柱状に形成し、被係合部としての位置決め用孔をこれらのガイドピンを挿入(係合)可能な断面に形成することもできる。また、溝が形成されたガイド部材を案内部とすると共に、ガイド部材の溝に係合する部材を被係合部とする構成を採用することもできる。
【0067】
また、補正処理の際に、各接触子31同士を短絡させていない状態をオープン状態としてパラメータを測定する例について上記したが、非導電性材料で作製した非導電性の補正用治具を用いて各接触子31同士をオープン状態とし、その状態でパラメータを測定する補正を採用することもできる。この場合、補正用治具50と同形状の補正用治具を非導電性材料で作製し、その補正用治具における凸部(上記した凸部52と同形状の凸部)を保持用凹部21に嵌入させて、各接触子31の先端部に接触させることで、各接触子31同士を確実にオープン状態とさせることができる。
【0068】
また、平面視における保持用凹部21の一端部側および他端部側に案内用溝23がそれぞれ形成された案内用凹部22を有する位置決め部2(測定用治具1)を例に挙げて説明したが、図17に示す測定用治具1Aにおける位置決め部2aのように、平面視における保持用凹部21の一端部側(同図における上端部側)だけに案内用溝23を形成した案内用凹部27aを「案内用凹部」として形成することもできる。なお、同図および図18において、上記の測定用治具1における各構成要素と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。また、プッシャー43の当接を回避するための当接回避用凹部24を形成した例について説明したが、当接回避用凹部24については必須の構成要素ではなく、これを形成しない構成を採用することもできる(図示せず)。
【0069】
さらに、底部から遠ざかるほど大きく傾斜する湾曲面で構成した傾斜面Fを有する案内用凹部22を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて、図18に示す測定用治具1Bにおける位置決め部2bのように、傾斜が一定の傾斜面Fbを有する案内用凹部27bを「案内用凹部」として形成することもできる。
【符号の説明】
【0070】
1,1A,1B 測定用治具
2,2a,2b 位置決め部
3 接続部
4 押圧機構
5 筐体
6 上下動機構
11 ベース部
11a,11b ベース板
12 凹部形成片
13 支持ブロック
14 ブラケット
21,21a〜21c 保持用凹部
22,22a〜22c 案内用凹部
23,23a〜23c 案内用溝
24 当接回避用凹部
25 嵌入用溝
26 ガイドピン
31 接触子
32 接続用コネクタ
33 操作レバー
34 回動軸
35 偏芯カム
36 接触子保持部
36a,36b 保持板
37 基板
38 スプリング
41 ガイドレール
42 アーム
43 プッシャー
43a ウェイト
50,50a〜50c 補正用治具
51 本体部
51a 位置決め用孔
51b 先端面
52 凸部
100 測定用具
F,Fb 傾斜面
P チップ部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21