特許第6462349号(P6462349)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6462349セメント混和剤用ポリマー、セメント混和剤、およびセメント組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6462349
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】セメント混和剤用ポリマー、セメント混和剤、およびセメント組成物
(51)【国際特許分類】
   C04B 24/42 20060101AFI20190121BHJP
   C04B 28/02 20060101ALI20190121BHJP
   C08F 22/20 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
   C04B24/42 A
   C04B28/02
   C08F22/20
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-256171(P2014-256171)
(22)【出願日】2014年12月18日
(65)【公開番号】特開2016-117596(P2016-117596A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2017年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100121636
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌靖
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 猛
(72)【発明者】
【氏名】西村 公彰
【審査官】 原 和秀
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0118382(US,A1)
【文献】 特表2012−529054(JP,A)
【文献】 特開2010−036500(JP,A)
【文献】 特開昭59−184754(JP,A)
【文献】 特開平06−247760(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101353479(CN,A)
【文献】 特開2008−308621(JP,A)
【文献】 特開平01−113471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 24/00−24/42
C04B 28/02
C08F 22/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(2)で表される構造単位(II)を繰り返し単位として有するホモポリマーであるセメント混和剤用ポリマーを含む、セメント混和剤
【化1】
(一般式(2)中、Rは、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアリール基、または炭素数1〜30のアラルキル基を表し、Rは、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数1〜30のチオアルコキシ基、フェノキシ基、アシロキシ基、またはアミノキシ基を表し、mは0〜2の整数であり、Rが2個以上の場合はそれらは全て同一でも良いし少なくとも1個が異なっていても良く、Rが2個以上の場合はそれらは全て同一でも良いし少なくとも1個が異なっていても良く、R、R、Rは、水素原子またはメチル基を表し、Xは、炭素数1〜30のアルキレン基を表す。)
【請求項2】
請求項に記載のセメント混和剤を含む、セメント組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント混和剤用ポリマー、セメント混和剤、およびセメント組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
セメント混和剤は、一般に、モルタルやコンクリートなどのセメント組成物に含有させることにより、セメント組成物の流動性を高めて減水させる作用を有する。
【0003】
このようなセメント混和剤として、セメント組成物に対する減水性能に加えて、セメント組成物の硬化物の強度性能の向上の要求が多くなってきている。例えば、セメント組成物の用途によっては、早期の強度発現が望まれており、各種検討がなされている(例えば、特許文献1)。
【0004】
他方、セメント組成物の用途によっては、セメント組成物の硬化物の長期にわたって(例えば4週間レベルなど)の強度向上が求められるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−84459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって向上させ得るセメント混和剤用ポリマーを提供することにある。また、そのようなセメント混和剤用ポリマーを含むセメント混和剤を提供することにある。さらに、そのようなセメント混和剤を含むセメント組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のセメント混和剤用ポリマーは、
一般式(1)で表されるシリル基を有するホモポリマーである。
【化1】
(一般式(1)中、Rは、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアリール基、または炭素数1〜30のアラルキル基を表し、Rは、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数1〜30のチオアルコキシ基、フェノキシ基、アシロキシ基、またはアミノキシ基を表し、mは0〜2の整数であり、Rが2個以上の場合はそれらは全て同一でも良いし少なくとも1個が異なっていても良く、Rが2個以上の場合はそれらは全て同一でも良いし少なくとも1個が異なっていても良い。)
【0008】
本発明のセメント混和剤は、本発明のセメント混和剤用ポリマーを含む。
【0009】
本発明のセメント組成物は、本発明のセメント分散剤を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって向上させ得るセメント混和剤用ポリマーを提供することができる。また、そのようなセメント混和剤用ポリマーを含むセメント混和剤を提供することができる。さらに、そのようなセメント混和剤を含むセメント組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書中で「(メタ)アクリル」との表現がある場合は、「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」との表現がある場合は、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味し、「(メタ)アリル」との表現がある場合は、「アリルおよび/またはメタリル」を意味し、「(メタ)アクロレイン」との表現がある場合は、「アクロレインおよび/またはメタクロレイン」を意味する。また、本明細書中で「酸(塩)」との表現がある場合は、「酸および/またはその塩」を意味する。
【0012】
≪セメント混和剤用ポリマー≫
本発明のセメント混和剤用ポリマーは、一般式(1)で表されるシリル基を有するホモポリマーである。本発明のセメント混和剤用ポリマーがこのような構成を有することにより、本発明のセメント混和剤用ポリマーは、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって向上させ得る。
【化2】
【0013】
一般式(1)中、Rは、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアリール基、または炭素数1〜30のアラルキル基を表す。
【0014】
一般式(1)中、Rは、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数1〜30のチオアルコキシ基、フェノキシ基、アシロキシ基、またはアミノキシ基を表す。
【0015】
一般式(1)中、Rは、好ましくは、炭素数1〜30のアルコキシ基であり、より好ましくは、炭素数1〜10のアルコキシ基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜4のアルコキシ基であり、特に好ましくは、炭素数1のアルコキシ基(メトキシ基)である。
【0016】
一般式(1)中、mは0〜2の整数である。
【0017】
一般式(1)中、mは、好ましくは0〜1であり、より好ましくは0である。
【0018】
一般式(1)中、Rが2個以上の場合はそれらは全て同一でも良いし少なくとも1個が異なっていても良い。
【0019】
一般式(1)中、Rが2個以上の場合はそれらは全て同一でも良いし少なくとも1個が異なっていても良い。
【0020】
一般式(1)で表されるシリル基としては、具体的には、好ましくは、−Si(OCH基、−Si(OC基、−Si(OC基、−Si(O−isoC基、−Si(OC基、−Si(O−isoC基、−Si(O−secC基、−Si(CH)(OCH基、−Si(CH)(OC基、−Si(CH)(OC基、−Si(CH)(O−isoC基、−Si(CH)(OC基、−Si(CH)(O−isoC基、−Si(CH)(O−secC基である。
【0021】
本発明のセメント混和剤用ポリマーは、一般式(1)で表されるシリル基を有するホモポリマーであり、好ましくは、一般式(1)で表されるシリル基を側鎖末端に有するホモポリマーであり、さらに好ましくは、一般式(1)で表されるシリル基を末端に有するアルキル基を側鎖に有するホモポリマーであり、特に好ましくは、一般式(2)で表される構造単位(II)を繰り返し単位として有するホモポリマーである。
【0022】
【化3】
【0023】
一般式(2)中、シリル基部分については、前述の一般式(1)の説明がそのまま援用される。
【0024】
一般式(2)中、R、R、Rは、水素原子またはメチル基を表す。
【0025】
一般式(2)中、Rは、好ましくは水素原子である。一般式(2)中、Rは、好ましくは水素原子である。一般式(2)中、Rは、好ましくはメチル基である。
【0026】
一般式(2)中、Xは、炭素数1〜30のアルキレン基を表す。
【0027】
一般式(2)中、Xは、好ましくは、炭素数1〜10のアルキレン基であり、より好ましくは、炭素数1〜8のアルキレン基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜6のアルキレン基であり、特に好ましくは、炭素数1〜4のアルキレン基である。
【0028】
一般式(2)で表される構造単位(II)においては、特に好ましくは、m=0、RがOCH、Rが水素原子、Rが水素原子、Rがメチル基、Xが−CHCHCH−である。一般式(2)で表される構造単位(II)がこのような構造を有することにより、本発明のセメント混和剤用ポリマーは、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより向上させ得る。
【0029】
本発明のセメント混和剤用ポリマーの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは1000〜100000であり、より好ましくは2000〜50000であり、さらに好ましくは3000〜40000であり、特に好ましくは5000〜30000である。本発明のセメント混和剤用ポリマーの質量平均分子量(Mw)を上記範囲内に調整することより、本発明のセメント混和剤用ポリマーは、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより向上させ得る。
【0030】
本発明のセメント混和剤用ポリマーの分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0であり、より好ましくは1.2〜4.5であり、さらに好ましくは1.4〜4.0であり、特に好ましくは1.6〜3.5である。本発明のセメント混和剤用ポリマーの分子量分布(Mw/Mn)を上記範囲内に調整することより、本発明のセメント混和剤用ポリマーは、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより向上させ得る。
【0031】
本発明のセメント混和剤用ポリマーは、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法によって製造し得る。本発明のセメント混和剤用ポリマーは、好ましくは、一般式(1)で表されるシリル基を有する単量体の単独重合を重合開始剤の存在下で行って製造し得る。
【0032】
一般式(1)で表されるシリル基を有する単量体としては、好ましくは、一般式(3)で表される。
【0033】
【化4】
【0034】
一般式(3)中、シリル基部分については、前述の一般式(1)の説明がそのまま援用される。
【0035】
一般式(3)中、R、R、Rは、水素原子またはメチル基を表す。
【0036】
一般式(3)中、Rは、好ましくは水素原子である。一般式(3)中、Rは、好ましくは水素原子である。一般式(2)中、Rは、好ましくはメチル基である。
【0037】
一般式(3)中、Xは、炭素数1〜30のアルキレン基を表す。
【0038】
一般式(3)中、Xは、好ましくは、炭素数1〜10のアルキレン基であり、より好ましくは、炭素数1〜8のアルキレン基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜6のアルキレン基であり、特に好ましくは、炭素数1〜4のアルキレン基である。
【0039】
一般式(3)で表される単量体においては、特に好ましくは、m=0、RがOCH、Rが水素原子、Rが水素原子、Rがメチル基、Xが−CHCHCH−である。一般式(3)で表される単量体がこのような構造を有することにより、本発明のセメント混和剤用ポリマーは、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより向上させ得る。
【0040】
一般式(1)で表されるシリル基を有する単量体は、任意の適切な方法によって合成し得る。また、一般式(1)で表されるシリル基を有する単量体は、市販品を用いても良い。
【0041】
単量体の重合は、任意の適切な方法で行い得る。例えば、溶液重合、塊状重合が挙げられる。溶液重合の方式としては、例えば、回分式、連続式が挙げられる。溶液重合で使用し得る溶媒としては、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の芳香族または脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル化合物;等が挙げられる。
【0042】
単量体成分の重合を行う場合は、重合開始剤として、水溶性の重合開始剤、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;2,2′−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン)水和物、2,2′−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン塩酸塩等のアゾアミジン化合物、2,2′−アゾビス−2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン塩酸塩等の環状アゾアミジン化合物、2−カルバモイルアゾイソブチロニトリル等のアゾニトリル化合物等の水溶性アゾ系開始剤;等を使用し得る。これらの重合開始剤は、亜硫酸水素ナトリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩、メタ二亜硫酸塩、次亜燐酸ナトリウム、モール塩等のFe(II)塩、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物、ヒドロキシルアミン塩酸塩、チオ尿素、L−アスコルビン酸(塩)、エリソルビン酸(塩)等の促進剤を併用することもできる。これらの併用形態の中でも、過硫酸アンモニウムとL−アスコルビン酸(塩)等の促進剤との組み合わせが好ましい。これらの重合開始剤や促進剤は、それぞれ1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0043】
低級アルコール、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、エステル化合物、またはケトン化合物を溶媒とする溶液重合を行う場合、または、塊状重合を行う場合には、重合開始剤として、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ナトリウムパーオキシド等のパーオキシド;t−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;などを用い得る。このような重合開始剤を用いる場合、アミン化合物等の促進剤を併用することもできる。さらに、水−低級アルコール混合溶媒を用いる場合には、上記の種々の重合開始剤または重合開始剤と促進剤の組み合わせの中から適宜選択して用いることができる。
【0044】
単量体の重合の際の反応温度としては、用いられる重合方法、溶媒、重合開始剤、連鎖移動剤により適宜定められる。このような反応温度としては、好ましくは0℃以上であり、より好ましくは30℃以上であり、さらに好ましくは50℃以上であり、また、好ましくは150℃以下であり、より好ましくは120℃以下であり、さらに好ましくは100℃以下である。
【0045】
単量体の反応容器への投入方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。このような投入方法としては、例えば、全量を反応容器に初期に一括投入する方法、全量を反応容器に分割若しくは連続投入する方法、一部を反応容器に初期に投入し、残りを反応容器に分割若しくは連続投入する方法等が挙げられる。また、反応途中で単量体の反応容器への投入速度を連続的又は段階的に変えて、単量体の単位時間あたりの投入質量比を連続的又は段階的に変化させてもよい。なお、重合開始剤は反応容器に初めから仕込んでも良く、反応容器へ滴下しても良く、また目的に応じてこれらを組み合わせても良い。
【0046】
単量体の重合の際には、連鎖移動剤を用いても良い。連鎖移動剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0047】
連鎖移動剤としては、任意の適切な連鎖移動剤を採用し得る。このような連鎖移動剤としては、例えば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトエタンスルホン酸等のチオール系連鎖移動剤;イソプロパノール等の第2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸、およびその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)や、亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸、およびその塩(亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜二チオン酸ナトリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)の低級酸化物およびその塩;などが挙げられる。
【0048】
製造されたポリマーは、製造によって得られた溶液に対して、必要に応じて、濃度調整を行うこともできる。
【0049】
製造されたポリマーは、溶液の形態でそのまま使用しても良いし、シリカ系微粉末等の無機粉体に担持して乾燥させたりすることにより粉体化して使用しても良い。
【0050】
≪セメント混和剤≫
本発明のセメント混和剤は、本発明のセメント混和剤用ポリマーを含む。
【0051】
本発明のセメント混和剤は、本発明のセメント混和剤用ポリマー以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分を含んでいても良い。
【0052】
他の成分としては、例えば、セメント分散剤が挙げられる。セメント分散剤を用いる場合、本発明のセメント混和剤用ポリマーとセメント分散剤との配合比(共重合体/他のセメント分散剤)としては、使用するセメント分散剤の種類、配合条件、試験条件等の違いによって、任意の適切な配合比を設定し得る。セメント分散剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0053】
セメント分散剤としては、例えば、分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤、本発明のセメント分散剤組成物に含まれるポリカルボン酸系共重合体以外のポリカルボン酸系分散剤などが挙げられる。
【0054】
スルホン酸系分散剤としては、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等の、ポリアルキルアリールスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等の、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等の、芳香族アミノスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;リグニンスルホン酸塩、変性リグニンスルホン酸塩等のリグニンスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;ポリスチレンスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;などが挙げられる。
【0055】
本発明のセメント混和剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他のセメント添加剤(材)を含有することができる。このような他のセメント添加剤(材)としては、例えば、以下の(1)〜(12)に例示するような他のセメント添加剤(材)が挙げられる。本発明のセメント混和剤に含まれる本発明のセメント混和剤用ポリマーとこのような他のセメント添加剤(材)との配合比は、用いる他のセメント添加剤(材)の種類や目的に応じて、任意の適切な配合比を採用し得る。
【0056】
(1)水溶性高分子物質:メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の非イオン性セルロースエーテル類;酵母グルカンやキサンタンガム、β−1.3グルカン類等の微生物醗酵によって製造される多糖類;ポリエチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール類;ポリアクリルアミド等。
【0057】
(2)高分子エマルジョン:(メタ)アクリル酸アルキル等の各種ビニル単量体の共重合物等。
【0058】
(3)硬化遅延剤:グルコン酸、グルコヘプトン酸、アラボン酸、リンゴ酸、クエン酸等のオキシカルボン酸もしくはその塩;糖及び糖アルコール;グリセリン等の多価アルコール;アミノトリ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸及びその誘導体等。
【0059】
(4)早強剤・促進剤:塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム等の可溶性カルシウム塩;塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸塩;水酸化カリウム;水酸化ナトリウム;炭酸塩;チオ硫酸塩;ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩;アルカノールアミン;アルミナセメント;カルシウムアルミネートシリケート等。
【0060】
(5)オキシアルキレン系消泡剤:(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン付加物等のポリオキシアルキレン類;ジエチレングリコールヘプチルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシアルキレンアセチレンエーテル類;(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンラウリルアミン(プロピレンオキシド1〜20モル付加、エチレンオキシド1〜20モル付加物等)、アルキレンオキシドを付加させた硬化牛脂から得られる脂肪酸由来のアミン(プロピレンオキシド1〜20モル付加、エチレンオキシド1〜20モル付加物等)等のポリオキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド等。
【0061】
(6)オキシアルキレン系以外の消泡剤:鉱油系、油脂系、脂肪酸系、脂肪酸エステル系、アルコール系、アミド系、リン酸エステル系、金属石鹸系、シリコーン系等の消泡剤。
【0062】
(7)AE剤:樹脂石鹸、飽和又は不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸)、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル又はその塩、タンパク質材料、アルケニルスルホコハク酸、α−オレフィンスルホネート等。
【0063】
(8)その他界面活性剤:各種アニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の各種カチオン性界面活性剤;各種ノニオン性界面活性剤;各種両性界面活性剤等。
【0064】
(9)防水剤:脂肪酸(塩)、脂肪酸エステル、油脂、シリコン、パラフィン、アスファルト、ワックス等。
【0065】
(10)防錆剤:亜硝酸塩、リン酸塩、酸化亜鉛等。
【0066】
(11)ひび割れ低減剤:ポリオキシアルキルエーテル等。
【0067】
(12)膨張材;エトリンガイト系、石炭系等。
【0068】
その他の公知のセメント添加剤(材)としては、セメント湿潤剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、防錆剤、着色剤、防カビ剤等を挙げることができる。これら公知のセメント添加剤(材)は1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0069】
≪セメント組成物≫
本発明のセメント組成物は、本発明のセメント混和剤を含む。本発明のセメント組成物は、好ましくは、本発明のセメント混和剤とセメントと水を含む。
【0070】
本発明のセメント組成物に含まれるセメントとしては、任意の適切なセメントを採用し得る。このようなセメントとしては、例えば、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩及びそれぞれの低アルカリ形)、各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント)、白色ポルトランドセメント、アルミナセメント、超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント)、グラウト用セメント、油井セメント、低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント)、超高強度セメント、セメント系固化材、エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の一種以上を原料として製造されたセメント)などが挙げられる。さらに、本発明のセメント組成物には、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカ粉末、石灰石粉末等の微粉体や石膏が添加されていても良い。本発明のセメント組成物に含まれるセメントは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0071】
本発明のセメント組成物には、細骨材(砂等)や粗骨材(砕石等)などの任意の適切な骨材が含まれていても良い。
【0072】
このような骨材としては、例えば、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材が挙げられる。また、このような骨材として、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材も挙げられる。
【0073】
本発明のセメント組成物においては、その1mあたりの単位水量、セメント使用量、および水/セメント比としては任意の適切な値を設定し得る。このような値としては、好ましくは、単位水量が100kg/m〜185kg/mであり、使用セメント量が250kg/m〜800kg/mであり、水/セメント比(質量比)=0.1〜0.7であり、より好ましくは、単位水量が120kg/m〜175kg/mであり、使用セメント量が270kg/m〜800kg/mであり、水/セメント比(質量比)=0.12〜0.65である。このように、本発明のセメント組成物は、貧配合〜富配合まで幅広く使用可能であり、単位セメント量の多い高強度コンクリート、単位セメント量が300kg/m以下の貧配合コンクリートのいずれにも有効である。
【0074】
本発明のセメント組成物中の、本発明のセメント混和剤用ポリマーの含有割合としては、目的に応じて、任意の適切な含有割合を採用し得る。このような含有割合としては、水硬セメントを用いるモルタルやコンクリート等に使用する場合には、セメント100質量部に対する、本発明のセメント混和剤用ポリマーの含有割合として、好ましくは0.01質量部〜10質量部であり、より好ましくは0.02質量部〜5質量部であり、さらに好ましくは0.05質量部〜3質量部である。このような含有割合とすることにより、単位水量の低減、強度の増大、耐久性の向上等の各種の好ましい諸効果がもたらされる。上記含有割合が0.01質量部未満の場合、十分な性能を発現できないおそれがあり、上記含有割合が10質量部を超える場合、発現できる効果が実質上頭打ちとなって経済性の面からも不利となるおそれがある。
【0075】
本発明のセメント組成物中の本発明のセメント混和剤の含有割合としては、目的に応じて、任意の適切な含有割合を採用し得る。このような含有割合としては、セメント100質量部に対する本発明のセメント混和剤の含有割合として、好ましくは0.01質量部〜10質量部であり、より好ましくは0.05質量部〜8質量部であり、さらに好ましくは0.1質量部〜5質量部である。上記含有割合が0.01質量部未満の場合、十分な性能を発現できないおそれがあり、上記含有割合が10質量部を超える場合、発現できる効果が実質上頭打ちとなって経済性の面からも不利となるおそれがある。
【0076】
本発明のセメント組成物は、レディーミクストコンクリート、コンクリート2次製品用のコンクリート、遠心成形用コンクリート、振動締め固め用コンクリート、蒸気養生コンクリート、吹付けコンクリート等に有効であり得る。本発明のセメント組成物は、中流動コンクリート(スランプ値が22〜25cmのコンクリート)、高流動コンクリート(スランプ値が25cm以上で、スランプフロー値が50〜70cmのコンクリート)、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材等の高い流動性を要求されるモルタルやコンクリートにも有効であり得る。
【0077】
本発明のセメント組成物は、構成成分を任意の適切な方法で配合して調整すれば良い。例えば、構成成分をミキサー中で混練する方法などが挙げられる。
【実施例】
【0078】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。なお、特に明記しない限り、部とある場合は質量部を意味し、%とある場合は質量%を意味する。
【0079】
<圧縮強度の測定>
JIS−R5201−1997に準拠した機械練り用練混ぜ機、さじ、フローテーブル、フローコーンおよび突き棒を使用した。この際、特記しない限りは、JIS−R5201−1997に準拠してモルタル試験を行なった。
試験に使用した砂は、以下のように調整した。セメント混和剤用ポリマーの溶液とイオン交換水を混合し、5分間撹拌し、この溶液をJIS−R5201−1997に準拠したセメント強さ試験用標準砂1350gに添加し、ホバート型モルタルミキサー(型番N−50、ホバート社製)を用いて、10分間撹拌し、セメント混和剤用ポリマーを砂の表面に均一に分散させた。その後、150℃で90分間加熱処理することにより、セメント混和剤用ポリマーが表面に結合した砂を調整した。試験に使用した材料およびモルタルの配合は、太平洋セメント社製普通ポルトランドセメント587g、上記に示す方法で調整した砂、セメント混和剤用ポリマーの水溶液と消泡剤とを含むイオン交換水264.1g、である。消泡剤は、気泡がモルタル組成物の分散性に及ぼす影響を避けることを目的に添加し、空気量が3.0%以下になるようにした。具体的にはオキシアルキレン系消泡剤を、セメント混和剤用共重合体に対して0.1%になるような量で使用した。なお、モルタルの空気量が3.0%より大きい場合には、空気量が3.0%以下になるように消泡剤の添加量を調節した。
モルタルは、室温(20±2℃)にてホバート型モルタルミキサー(型番N−50、ホバート社製)を用いて、4分30秒間で調製した。具体的には、練り鉢に規定量のセメントを入れ、練混ぜ機に取り付け低速で始動させる。パドルを始動させて15秒後に規定量のセメント混和剤用ポリマーおよび消泡剤を含んだ水を15秒間で入れる。その後、砂を入れ、低速で30秒間練混ぜた後、高速にして、引き続き30秒間練混ぜを続ける。練り鉢を練混ぜ機から取り外し、120秒間練混ぜを休止した後、再度練り鉢を練混ぜ機へ取り付け、高速で60秒間練混ぜた後(1番始めに低速で始動させてから4分30秒後)、さじで左右各10回かき混ぜる。練混ぜたモルタルをフローテーブル上に置いたフローコーンに2層に分けて詰める。各層は、突き棒の先端がその層の約1/2の深さまで入るように、全面にわたって各々15回突き、最後に不足分を補い、表面をならし、1番始めに低速で始動させてから6分後に、フローコーンを垂直に持ち上げた後、テーブルに広がったモルタルの直径を2方向について測定し、この平均値をフロー値とした。
混練後フロー値と空気量を測定し、圧縮強度試験用試料を作成し、以下の条件にて、28日後の圧縮強度を測定した。
供試体作成:50mm×100mm
供試体養生(28日):温度20℃、湿度60%、恒温恒湿空気養生を24時間行った後、27日間水中で養生
供試体研磨:供試体面 研磨(供試体研磨仕上げ機使用)
圧縮強度測定:自動圧縮強度測定器(前川製作所)
【0080】
〔実施例1〕
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管、および還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に、メタノール55.0部を仕込み、攪拌下に反応装置を窒素置換し、窒素雰囲気下で58℃に昇温した後、そこへ3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503、信越化学工業株式会社製)72.8部とメタノール35.0部からなる溶液(A)を4.0時間かけ滴下し、(A)を滴下し始めると同時にアゾ開始剤2,2’−azobis[N−(2−calboxyethyl)−2−methylpropionamidine]hydrate(VA−057、和光純薬工業株式会社製)2.8952部とメタノール37.105部からなる溶液(B)を5.0時間かけ滴下した。その後、1時間引続いて58℃に温度を維持した後、冷却して、重合を終了し、セメント混和剤用ポリマー(1)を含む溶液を得た。セメント混和剤用ポリマー(1)の質量平均分子量は20000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。
10質量%メタノール溶液に調整したセメント混和剤用ポリマー(1)25.65部とイオン交換水2.565部を混合し、5分間撹拌した。この溶液をJIS−R5201−1997に準拠したセメント強さ試験用標準砂1350部に添加し、ホバート型モルタルミキサー(型番N−50、ホバート社製)を用いて、10分間撹拌し、セメント混和剤用ポリマー(1)を砂の表面に均一に分散させた。その後、150℃で90分間加熱処理することにより、セメント混和剤用ポリマー(1)が表面に結合した砂(1)を調整した。
得られた砂(1)を用いて、評価を行った。結果を表1、表2に示した。
【0081】
〔実施例2〕
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管、および還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に、メタノール55.0部を仕込み、攪拌下に反応装置を窒素置換し、窒素雰囲気下で58℃に昇温した後、そこへ3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(Z−6033、東レ・ダウコーニング株式会社製)70.0部とメタノール35.0部からなる溶液(A)を4.0時間かけ滴下し、(A)を滴下し始めると同時にアゾ開始剤2,2’−azobis[N−(2−calboxyethyl)−2−methylpropionamidine]hydrate(VA−057、和光純薬工業株式会社製)3.0294部とメタノール36.971部からなる溶液(B)を5.0時間かけ滴下した。その後、1時間引続いて58℃に温度を維持した後、冷却して、重合を終了し、セメント混和剤用ポリマー(2)を含む溶液を得た。セメント混和剤用ポリマー(2)の質量平均分子量は20000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。
10質量%メタノール溶液に調整したセメント混和剤用ポリマー(2)25.65部とイオン交換水2.565部を混合し、5分間撹拌した。この溶液をJIS−R5201−1997に準拠したセメント強さ試験用標準砂1350部に添加し、ホバート型モルタルミキサー(型番N−50、ホバート社製)を用いて、10分間撹拌し、セメント混和剤用ポリマー(2)を砂の表面に均一に分散させた。その後、150℃で90分間加熱処理することにより、セメント混和剤用ポリマー(2)が表面に結合した砂(2)を調整した。
得られた砂(2)を用いて、評価を行った。結果を表1、表2に示した。
【0082】
〔実施例3〕
10質量%メタノール溶液に調整したセメント混和剤用ポリマー(1)10.26部とイオン交換水1.026部を混合し、5分間撹拌した。この溶液をJIS−R5201−1997に準拠したセメント強さ試験用標準砂1350部に添加し、ホバート型モルタルミキサー(型番N−50、ホバート社製)を用いて、10分間撹拌し、セメント混和剤用ポリマー(1)を砂の表面に均一に分散させた。その後、150℃で90分間加熱処理することにより、セメント混和剤用ポリマー(1)が表面に結合した砂(3)を調整した。
得られた砂(3)を用いて、評価を行った。結果を表1、表2に示した。
【0083】
〔比較例1〕
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管、および還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に、メタノール96.25部を仕込み、攪拌下に反応装置を窒素置換し、窒素雰囲気下で58℃に昇温した後、そこへメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(NKエステル、M−90G、新中村化学社製)95.672部と3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503、信越化学工業株式会社製)26.7部とメルカプトプロピオン酸(MPA)0.1232部とメタノール61.25部からなる溶液(A)を4.0時間かけ滴下し、(A)を滴下し始めると同時にアゾ開始剤2,2’−azobis[N−(2−calboxyethyl)−2−methylpropionamidine]hydrate(VA−057、和光純薬工業株式会社製)3.4926部とメタノール66.507部からなる溶液(B)を5.0時間かけ滴下した。その後、1時間引続いて58℃に温度を維持した後、冷却して、重合を終了し、セメント混和剤用ポリマー(C1)を含む溶液を得た。セメント混和剤用ポリマー(C1)の質量平均分子量は20000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。
10質量%メタノール溶液に調整したセメント混和剤用ポリマー(C1)25.65部とイオン交換水2.565部を混合し、5分間撹拌した。この溶液をJIS−R5201−1997に準拠したセメント強さ試験用標準砂1350部に添加し、ホバート型モルタルミキサー(型番N−50、ホバート社製)を用いて、10分間撹拌し、セメント混和剤用ポリマー(C1)を砂の表面に均一に分散させた。その後、150℃で90分間加熱処理することにより、セメント混和剤用ポリマー(C1)が表面に結合した砂(C1)を調整した。
得られた砂(C1)を用いて、評価を行った。結果を表1、表2に示した。
【0084】
〔比較例2〕
10質量%メタノール溶液に調整したセメント混和剤用ポリマー(C1)10.26部とイオン交換水1.026部を混合し、5分間撹拌した。この溶液をJIS−R5201−1997に準拠したセメント強さ試験用標準砂1350部に添加し、ホバート型モルタルミキサー(型番N−50、ホバート社製)を用いて、10分間撹拌し、セメント混和剤用ポリマー(C1)を砂の表面に均一に分散させた。その後、150℃で90分間加熱処理することにより、セメント混和剤用ポリマー(C1)が表面に結合した砂(C2)を調整した。
得られた砂(C2)を用いて、評価を行った。結果を表1、表2に示した。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明のセメント混和剤用ポリマーは、セメント混和剤や、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物に好適に用いられる。