特許第6462600号(P6462600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6462600
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】ルーメンを有する電気外科手術デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20190121BHJP
【FI】
   A61B18/14
【請求項の数】14
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-562534(P2015-562534)
(86)(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公表番号】特表2016-509945(P2016-509945A)
(43)【公表日】2016年4月4日
(86)【国際出願番号】IB2014059830
(87)【国際公開番号】WO2014141197
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2017年2月21日
(31)【優先権主張番号】61/781,231
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513125957
【氏名又は名称】ベイリス メディカル カンパニー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAYLIS MEDICAL COMPANY INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィース,ガレス
(72)【発明者】
【氏名】アーバンスキー,ジョン・ポール
(72)【発明者】
【氏名】アバウ‐マリー,ランド
【審査官】 後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−191687(JP,A)
【文献】 特表2012−510831(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0100561(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/088601(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/061161(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0118735(US,A1)
【文献】 特表2005−521465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギを送達するための導電性の壁を規定し、少なくとも1つの遠位端アパーチャに流体連通されたルーメンをさらに規定する細長い部材と、
前記細長い部材の導電性の壁に電気的に連結された電極を含むエネルギ送達デバイスと、
前記電極と前記細長い部材との間の電気絶縁性熱シールドと、を備える電気外科手術デバイス。
【請求項2】
前記細長い部材を覆う絶縁層を更に備え、
前記電気絶縁性熱シールドの少なくとも一部は、前記絶縁層を熱から保護するために、前記絶縁層と前記電極との間に配置された、請求項1に記載の電気外科手術デバイス。
【請求項3】
前記絶縁層の先端部は、前記細長い部材の遠位端の遠位にあり、前記絶縁層の前記先端部は、前記電気絶縁性熱シールドの近位部を覆っている、請求項2に記載の電気外科手術デバイス。
【請求項4】
前記エネルギ送達デバイスは、前記細長い部材の前記導電性の壁に電気的に前記電極を結合するエネルギ送達デバイスカプラを含む近位部を有する、請求項1に記載の電気外科手術デバイス。
【請求項5】
前記エネルギ送達デバイスは、前記電気絶縁性熱シールドを支持する中間部分を有する、請求項4に記載の電気外科手術デバイス。
【請求項6】
前記細長い部材は、柔軟性を有する、請求項1に記載の電気外科手術デバイス。
【請求項7】
前記エネルギ送達デバイスカプラは、少なくとも部分的にルーメンの遠位部を閉塞する導電性スペーサを備え、前記導電性スペーサは前記導電性の壁と電気的に連結している、請求項4の電気外科手術デバイス。
【請求項8】
前記エネルギ送達デバイスは、さらに、前記導電性スペーサと前記電極との間に延在する中間導電性素子を有する中間部分を含み、前記電気絶縁性熱シールドは、前記中間導電性素子に取り付けられている、請求項7に記載の電気外科手術デバイス。
【請求項9】
前記中間導電性素子は細長い、請求項8に記載の電気外科手術デバイス。
【請求項10】
前記電気絶縁性熱シールドは、前記中間導電性素子を受け入れるための中心孔を規定する、請求項9に記載の電気外科手術デバイス
【請求項11】
前記細長い部材は、らせん状の構造を持った金属層を有する、請求項1に記載の電気外科手術デバイス。
【請求項12】
前記エネルギ送達デバイスから近位に延びる支持スパインをさらに備える、請求項1に記載の電気外科手術デバイス。
【請求項13】
前記支持スパインは、導電性であり、前記エネルギ送達デバイスを前記導電性の壁に電気的に結合するように動作が可能である、請求項12に記載の電気外科手術デバイス。
【請求項14】
前記中間導電性素子は、前記細長い部材の壁への支持を提供する支持スパインを規定するために導電性スペーサの近位まで延びる、請求項9に記載の電気外科手術デバイス
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年11月8日出願の「組織領域を通るチャネルを形成するための電気外科手術デバイスおよびその使用方法」と題された米国出願12/926,292、2011年10月31日に出願された米国特許出願13/286,041、及び2011年11月1日に発行された米国特許8,048,071の内容を、それら全体を参照することにより組み込まれている。本出願は、2013年3月12日に出願された、出願番号61/777,368の仮出願「支持ワイヤを有する医療用デバイス」を参照することにより組み込まれている。
【0002】
本発明は、電気外科手術デバイスに関する。具体的には、患者の身体領域の組織を横断するために電気エネルギを印加する電気外科手術デバイスに関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
その遠位端の周りに流体と電気エネルギを伝達するために身体の血管系を横断するように動作可能な電気外科手術デバイスが本明細書に開示されている。本電気外科手術デバイスは、身体の血管系を横断する導電性の細長い部材と、細長い部材の遠位端またはその近傍において、細長い部材と電気的に接続する(すなわち、ルーメンを規定する壁を有する)エネルギ送達デバイスとを備える。電気エネルギが、例えば、細長い部材の壁を介して送達可能である。細長い部材は、ルーメンを規定する。細長い部材は、更にその遠位端またはその近くに一つ以上の遠位アパーチャを規定し、一つ以上のアパーチャはルーメンと連通している。エネルギ送達デバイスは、エネルギを送達するための電極を含む。熱シールド(スペーサとも呼ばれる)が、電気外科手術デバイスの一部を熱から保護するために、電極と細長い部材との間に配置される。電気外科手術デバイスは、患者の身体の血管系を通過し、その遠位端近傍から流体と電気エネルギを送達するために使用可能である。
【0004】
第1の広範な態様において、本発明の実施形態は、電気エネルギを送達するための導電性の壁を含み、少なくとも1つの遠位端アパーチャに連通されたルーメンを規定する細長い部材と、細長い部材の壁に電気的に接続された電極を含むエネルギ送達デバイスと、電極と細長い部材との間の電気絶縁性熱シールドと、を備える電気外科手術デバイスを備える。
【0005】
第1の広範な態様の特徴として、いくつかの実施形態において、電気外科手術デバイスは、細長い部材を覆う絶縁層を更に備え、電気絶縁性熱シールドは、絶縁層を 電極を介したエネルギの送達により発生する熱から保護するために、絶縁層と電極との間にある。いくつかの実施形態では、絶縁層の先端部は、細長い部材の遠位端の遠位にあり、熱シールドの近位部を覆いまたは近位部に重ね合わせられている。
【0006】
第1の広範な態様の他の特徴として、特定の実施形態は、柔軟性のある細長い部材を含む。
【0007】
第1の広範な態様の他の特徴としては、電気外科手術デバイスの幾つかの実施形態では、エネルギ送達デバイスの近位端は、さらに細長い部材に電気的に結合するためのエネルギ送達デバイスカプラを備える。いくつかの実施形態は、さらに、熱シールドを収容するための中間部分を有するエネルギ送達デバイスを備える。このような実施形態は、さらにルーメンの遠位部の内部に嵌め込まれルーメンの遠位部(遠位端を含む)を実質的にブロックする導電性スペーサを有するエネルギ送達デバイスカプラを備えることができ、導電性スペーサは細長い部材の壁の導電性表面と電気的に接続する。さらに、エネルギ送達デバイスは、導電性スペーサと電極との間に延在する中間導電素材をさらに備えることができ、そして、いくつかのそのような実施形態において、熱シールドが、中間導電素材を囲む。一般的には、導電性スペーサは円筒形状であり、中間導電素材は細長い。いくつかの実施形態では、デバイスは、電極支持体(すなわち、電極の一部を形成してもしなくてもよい。いくつかの実施形態では、電極支持体は、電極と一体である)を有する。電極支持体は、ディスク形状であり、電極支持体の表面に形成された球体のセグメント(例えば、半球)のような形状の導電性ドーム電極部を支持する。いくつかの実施形態では、熱シールドは、通常円筒形状であり、中間導電素材を受け入れるための中心孔を有する。
【0008】
第1の広範な態様の特定の実施形態は、例えば編組導電層、らせん状に構成された金属層、その外表面に切り込まれた中断螺旋溝を有する金属管のいずれかを備える、細長い部材を有する。第1の広範な態様の他の実施形態は、非金属導電性材料を含む細長い部材を有する。
【0009】
電気外科手術デバイスの一部の実施形態では、細長い部材、電極、および電気絶縁性熱シールドは、約0.014インチから約0.050インチの範囲の外径を有する。いくつかの用途のために、本デバイスの実施形態は、処置中に電気外科手術デバイスを回収してガイドワイヤと交換することを容易にするために、ガイドワイヤのサイズに対応する寸法(特に、外径寸法)を有する。すなわち、交換を容易にするために、電気外科手術デバイスの外径と処置で使用されるガイドワイヤの外径は、比較的近くすることができる。該当する処置で使用されるガイドワイヤは、一般的には約0.014インチ、0.018インチ、0.025インチ、0.035インチ、および0.038インチの外側寸法を有するガイドワイヤからなる群から選択される。一例として、0.035インチのガイドワイヤとの交換を容易にするために、電気外科手術デバイスの特定の実施形態では、約0.033から約0.035インチの範囲の外径を有する細長い部材、約0.032インチから約0.035インチの範囲の外径を有する電極、約0.028から約0.031インチの範囲の外径を有する電気絶縁性熱シールドを備える。特定の実施形態では、細長い部材は約0.033インチの外径を有し、電極は約0.032インチの外径を有し、かつ電気絶縁性熱シールドは約0.028インチの外径を有する。実施形態は、交換を容易にするために、他のガイドワイヤのサイズの寸法を有することができる。すなわち、他のガイドワイヤサイズに対応する寸法にすることができる。
【0010】
電気外科手術デバイスは、身体の血管を介して細長い部材の前進を容易にするように剛性および支持を付加するため、導電性スペーサまたは電気外科手術デバイスの他の部分から近位方向に延びる、支持ワイヤまたはスパイン(spine)部材を備えることができる。一般的には、スパインの最低長さの規定はなく、最大の長さはスパインを含むルーメンの長さによって制限される。いくつかの実施形態では支持ワイヤまたはスパインは、約3.835インチ(約10cm)、または約4インチの距離を延在することができる。別の実施形態では、支持スパインは、少なくとも約3.835インチ(約10cm)の距離まで延びている。少なくとも部分的に貫通する切り込みを有する金属層を含む細長い部材の遠位部分を有する実施形態では、支持スパインは、細長い部材の切込み部を越えて延びることができる。いくつかの実施形態では、支持スパインは、切込み部の少なくとも1センチメートル近位に延びている。支持スパインに関するさらなる詳細は、同時係属中の米国仮特許出願シリアル番号61/777,368(2013年3月12日に出願)で、予めその全体が参照することにより組み込まれている。
【0011】
いくつかの実施形態では、内部に規定されたルーメン26と同様、細長い部材6の長さは約50cmと約120cmの間である。このような実施形態では、支持スパインは約50cmと約120cmの間の長さを有することができる。内部に規定されたルーメン26と同様、交換に適した電気外科手術デバイス20の実施形態では、細長い部材6は、長さが約50cmと約250cmの間である。このような実施形態では、支持スパインは約50cmから約250cmの間の長さを有することができる。
【0012】
第1の広範な態様の一部の実施形態は、電気外科手術デバイス(細長い部材とエネルギ送達デバイスを含む)は固定長を有し、エネルギ送達デバイスは実質的に非外傷性の先端を有するという特徴を備える。
【0013】
第1の広範な態様の一部の実施形態では、熱シールドは、少なくとも1W/m−Kの熱伝導率を有し、および/または熱シールドはセラミックである。別の実施形態では、熱シールドは、少なくとも2W/m−Kの熱伝導率を有する。電気外科手術デバイスのいくつかの実施形態は、約1W/m−Kから約5W/m−Kの範囲の熱伝導率を有する材料で構成された熱シールドを含む。例えば、酸化ジルコニウムおよび炭化ケイ素がある。電気外科手術デバイスの他の実施形態は、約15W/m−Kで約40W/m−Kでの範囲の熱伝導率を有する材料で構成された熱シールドを含む。例えば、ジルコニア強化アルミナ(ZTA)、サファイア結晶(アルミニウム酸化物)、及び窒化ケイ素のようなものがある。
【0014】
第2の広い態様において、発明の実施形態は、部分的または完全な閉塞を横断する方法のためのものである。例えば末梢血管における固い(石灰化した)皮膜を持った閉塞のような、血管における慢性完全閉塞(CTOs)である。この広範な態様の一部の実施形態では、この方法は、(1)閉塞に隣接して位置する電気外科手術デバイスを介して造影流体を注入し、(2)画像診断法を用いて、閉塞を通る1つまたは複数のチャネルの視認性を評価し、(3)ステップ2で、可視化されるチャネルがない場合には、電気外科手術デバイスから閉塞にエネルギを送達し、(4)必要に応じて、閉塞を通る1つまたは複数のチャネルが可視化されるまで、ステップ(1)−(3)を繰り返す。この方法は、一般的には、閉塞を通る経路を形成するために、電気外科手術デバイスを使用して1つまたは複数の可視化したチャネルにエネルギを送達するステップをさらに含む。
【0015】
第2の広い局面のいくつかの実施形態は、横断したことを確認するために、閉塞を横断した後、造影流体を供給するステップ(5)を含む。
【0016】
第3の広い態様において、本発明の実施形態は、患者の血管内の閉塞を横断する方法であり、(i)実質的に閉塞に隣接する血管内の第1の所望の位置に電気外科手術デバイスを配置し、
(ii)前記電気外科手術デバイスを使用して、少なくとも部分的に閉塞を横断するエネルギを送達し、
(iii)ステップ(ii)の前後の少なくともいずれか一方において、前記電気外科手術デバイスの位置を決定するために、前記電気外科手術デバイスによって規定された圧力送達ルーメンを使用して圧力を測定する、方法である。いくつかの実施形態は、ステップ(i)で、第1の所望の位置にあることを確認するために電気外科手術デバイスを介して造影流体を送達することを含む。いくつかの実施形態は、さらに、(iv)第2の位置へ電気外科手術デバイスを進め、(v)電気外科手術デバイスによって規定された圧力送達ルーメンを介した圧力測定値を、1つまたは複数使用して、または電気外科手術デバイスを介して造影流体を供給することによって、電気外科手術デバイスが第2の位置にあることを確認する、のステップを備える。
【0017】
電気外科手術デバイスを使用する他の方法は、ルーメンおよびアパーチャを介して冷却流体および/または電解質を送達し、および/またはルーメン及びアパーチャを介して圧力を測定することを備える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明を容易に理解するために、本発明の実施形態はここで、添付図面に例として示されている。
【0019】
図1】本発明の電気外科手術デバイスの実施形態を示す図である。
図2図1のAの詳細な図である。
図3図1のBの詳細な図である。
図4】支持スパインと図1のエネルギ送達デバイスの取り付けられた遠位領域を示す図である。
図5図4のAの詳細な図である。
図6】その中に切込み部を有するハイポチューブを含む細長い部材の実施形態の図である。
図7】一体型(シングルピース)エネルギ送達デバイスを有する実施形態を示す図である。
図8a】支持スパインが含まれていないデバイスの実施形態を示す。
図8b】支持スパインが含まれていないデバイスの実施形態を示す。
図8c】支持スパインが含まれていないデバイスの実施形態を示す。
図8d】支持スパインが含まれていないデバイスの実施形態を示す。
図9】ステップダウンまたはテーパ状の熱シールドを有する本実施形態の図である。
図10】電気外科手術デバイスを通るワイヤの移動経路を示す図である。
図11-1】(6つの部分に分割)造影流体の供給を含む方法の実施形態のステップを示す図である。
図11-2】(6つの部分に分割)造影流体の供給を含む方法の実施形態のステップを示す図である。
図11-3a】(6つの部分に分割)造影流体の供給を含む方法の実施形態のステップを示す図である。
図11-4a】(6つの部分に分割)造影流体の供給を含む方法の実施形態のステップを示す図である。
図11-3b】(6つの部分に分割)造影流体の供給を含む方法の実施形態のステップを示す図である。
図11-4b】(6つの部分に分割)造影流体の供給を含む方法の実施形態のステップを示す図である。
図12】冷却流体の伝達を含む方法の実施形態を示すフローチャートである。
図13】電解質の伝達を含む方法の実施形態を示すフローチャートである。
図14A】コイル状のマーカーを有する実施形態を示す図である。
図14B】コイル状のマーカーを有する実施形態を示す図である。
図15A】経中隔(transseptal)処置で使用される方法の実施形態のステップを示す図である。
図15B】経中隔処置で使用される方法の実施形態のステップを示す図である。
図16A】導電性スパインを有する実施形態を示している。
図16B】導電性スパインを有する実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
CTO(慢性完全閉塞)の再疎通のために使用される従来のデバイスは、一般に、ガイドワイヤのような固体柔軟ワイヤである。CTO再疎通における最大の課題の一つは、このようなデバイスは、一般的に、可視化するための流体を送達する手段を欠いていることである。一般的な現在の解決策は、流体送達カテーテルとチャネルデバイスを交換することである。CTOに電気や熱エネルギを送達するためにデバイスを使用するとき、CTO再疎通の別の課題が、具体的に存在する。たとえば、チャネリングのために送達されるエネルギは、加熱ゾーンに近いデバイスの部品を破損する恐れがある。
【0021】
本出願の発明者は、上述の課題に対処する機能を有するデバイスの種々の実施形態を考案し、実行に移した。本デバイスは、導電性材料からなる柔軟性のある細長い部材を含む。加えて、直感に反するが、血管系を通過し閉塞を通ってチャネリングするのに適した寸法のまま、細長い部材が流体を供給するのに適したルーメンを規定する。本デバイスは、電極にエネルギを供給するために、ルーメン内に導電性ワイヤを含む必要がないように、細長い部材の側壁を介して電極にエネルギを送達するように構成されている。電気エネルギを伝導するために細長い部材の壁を利用し、これにより障害物を実質的がないルーメンの流体送達部分を残して、本デバイスが、CTOを通ってチャネリングし、CTOへの送達に適した直径を有することを可能にする。開示されたデバイスの実施形態は、熱による損傷から細長い部材を保護するための、電極と細長い部材との間の熱シールドを含む。
【0022】
電気絶縁性熱シールドを含む実施形態では、本発明者はさらに細長い部材と電極の壁との間の導電経路を維持する手段を考案し、実行に移した。例えば、開示されたデバイスはまた、電気経路を規定する構造体(単数または複数)を含み、その構造体(単数または複数)は小さく、構造的に安定である。細長い部材へ経路を提供する電極と構造体(複数可)は、共にエネルギ送達デバイスを形成する。本デバイスのいくつかの実施形態では、エネルギ送達デバイスから近位にルーメンの部分を通る第2の電気的経路を提供するために、導電性の支持スパインが細長い部材から電極に延び、特にデバイスの曲げや湾曲のとき、同時に細長い部材に構造的な支持を提供する。
【0023】
また、本発明者らは、医療処置の新規な方法を考案し、実行に移した。開示された方法のいくつかは、別のデバイスを使用することなく、単一の医療機器を使用して流体を供給し、血管系内の慢性完全閉塞を通してチャネルを形成することを含む。
【0024】
図面を特に詳細に参照すると、示された明細は、例示による、そして本発明の特定の実施形態の図示的な議論の目的のためのものであることが強調される。本発明の少なくとも1つの実施形態を詳説する前に、本発明は構造の詳細、および図面に記載または示された構成要素の配置への適用に限定されるものではないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態または様々な方法で実施または実行されることが可能である。また、本明細書中で用いられる表現および用語は説明のためであり、限定とみなされるべきではないことを理解されたい。
【0025】
図1は、医療デバイス20の実施形態を示しており、この医療デバイスは近位領域22と遠位領域24を有する細長い部材6と、およびデバイス20の遠位端と関連付けられているエネルギ送達デバイス15(図2及び、より詳細に、図5)とを備える。細長い部材6は、管状の形状であり、少なくとも一つのルーメン26(図2)を規定し、実質的にエネルギ送達デバイス15まで延び、エネルギを伝導するために細長い部材6の全長に沿って導電性である。いくつかの実施形態では、細長い部材6はハイポチューブ(hypotube)である。また、一般的な実施形態において、細長い部材6は、その壁に少なくとも一つのアパーチャ25を規定し(図2)、典型的な実施形態においてこれは遠位アパーチャである。すなわち、医療用デバイス20または細長い部材6の遠位端または遠位端の近くにあるアパーチャである。細長い部材によって規定される遠位アパーチャとルーメンは、結合して圧力送達ルーメンを形成する。そうすることで、外部環境からアパーチャにかかる流体の圧力が、ルーメン内にある流体のカラム(column)を介して送達され、デバイスの近位部分で測定される。例えば、本医療デバイスは、ルーメンを介して送達される圧力を測定するための、そのような圧力センサとして圧力検出機構と結合して動作することも可能である。医療デバイス20は、細長い部材6の近位領域22に関連付けられている(図3に詳細に示す)ハブ9を備える。図1の細長い部材6の実施形態は、図示されたように、直線形状にバイアスされているが、細長い部材6が湾曲ルーメンを通って前進しているときに曲がるのに十分な柔軟性がある。細長い部材6のいくつかの代替実施形態は、湾曲部分を含む(例えば図7)。
【0026】
ここで図2を参照すると、流体は、(絶縁層7を通って延びる)アパーチャ25を介して供給することができる。例えば、医師は電極19を用いて、身体血管内の閉塞を横断し(またはチャネルを通し)、造影流体を注入することができ、例えば、ルーメン26および1つまたは複数のアパーチャ25(または側壁ポート25)を介して、そしてX線透視または他の撮像手段を使用し、デバイスがどのくらい閉塞を横断またはチャネリングして進行しているかを確認する。アパーチャは、一般的には、流体がそれらを通って流れることを可能にするのに十分な大きさである。
【0027】
図2は、細長い部材6の遠位領域24の上、外側または周りに配置された絶縁層7を備えた電気外科手術デバイス20の一実施形態を示す。絶縁層7は、実質的に細長い部材6の近位領域22から遠位領域24に延びている。絶縁層7は、例えば、PEBAX(登録商標)(ポリエーテルブロックアミド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、または他の熱可塑性または高分子材料などの電気絶縁材料から作られてもよい。いくつかの実施形態では、絶縁層7は、光に対して少なくとも部分的に透過性である。例えば、絶縁層7は、透明なナイロンから製造される。絶縁層7は、細長い部材6に様々な方法で適用することができる。一実施形態では、絶縁層7は、細長い部材6を超えて押し出される。別の実施形態では、絶縁層7は、予め形成された円筒として製造され、細長い部材6の外側に配置され、細長い部材6の周囲の絶縁層7を締め付ける(すなわち覆い直す)ために加熱されることがある。別の実施形態では、絶縁層7は、浸漬被覆または噴霧によって細長い部材6に塗布される。細長い部材6の外径が約0.010〜約0.050インチの範囲にあるとき、絶縁層7の内径及び外径は、それに応じて変化する。電気外科手術デバイス20が0.035インチのガイドワイヤと交換する一実施形態では、絶縁層7は、(熱収縮後において)約0.028〜0.030インチのリカバー内径と約0.034+0.001インチのリカバー外径を有する。
【0028】
細長い部材6の遠位領域24とエネルギ送達デバイス15の電極19の間に電気的導通があり、それによって電気エネルギが細長い部材に沿って電極19に達する。絶縁層7は、実質的に細長い部材(金属製であってもよい。例えば、ハイポチューブ)全体の上に存在するので、細長い部材6を通って流れる最も抵抗の少ない電気エネルギの経路は、電極19を通る。
【0029】
電極19の近位に位置する熱シールド3は、デバイス20の残りの部分の完全性を保護する。熱シールド3は、電気的および熱的絶縁体であり、隔離するよう機能し、従って電極19で発生した熱から細長い部材(例えば、絶縁層7)の遠位領域24を保護し、電極と細長い部材との間のアーク放電を防止するよう機能する。図2に示された例のように、電気外科手術デバイス20の一般的な実施形態は、熱シールド3の近位部を覆う(または、重ね合わせる)ように延びる絶縁層7を含む。代替の実施形態は、このような包み込みを含まない。
【0030】
上述した絶縁層7の重ね合わせを有する実施形態では、熱シールド3を覆う絶縁層の重ね合わせは密封された接合部を形成する。これは、接合部付近の熱シールド3の背後(すなわち近位)に観察されるアーク放電を最小限に抑えることができ、電極19を介して供給された電気エネルギによる電極19(または周囲の組織内)で発生した熱から絶縁層7の劣化を最小限に抑えることができる。熱シールド3と絶縁層7との重ね合わせはまた、電気外科手術デバイス20のルーメン26の遠位端から流体が漏れることを防ぐためにも役立つ。いくつかの実施形態では、熱シールド3は、図9に示すように、テーパまたは段差40を有することができ、絶縁層7と熱シールド3の間に滑らかな外径の遷移を提供する。他の実施形態では直径の変化が比較的離散的/急激であるが、いくつかのこのような実施形態では、テーパまたは段差40は実質的に緩やかである。
【0031】
例えば図2及び8dに示すように、いくつかの実施形態では、細長い部材6は1つ以上のアパーチャ25を規定する。アパーチャ(複数可)25は、外部環境とルーメン26の間の流体連通を可能にする。
【0032】
図1の実施形態では、近位領域22はハブ9に結合(図3に詳細に示す)し、電気外科手術デバイスと流体コネクタ11との流体連通を可能にするために、ハブ9は柔軟性チューブ10に接続されている。柔軟性チューブ10は、ポリマー材料、例えば、タイゴン(登録商標)チューブ、ポリ塩化ビニル(PVC)、または他の柔軟なポリマーで構成できる。流体コネクタ11は、例えばルアーロックでもよく、流体の供給源、例えば注射器または吸引デバイス、あるいは圧力検出デバイス、例えば圧力変換器、と動作できるように接続するよう構成することができる。
【0033】
電気外科手術デバイス20は、細長い部材6の近位領域22を電気エネルギ源に結合するための手段を含む。図3に示す実施形態では、近位領域22はハブ9と結合し、(図1に示す)絶縁ワイヤ13がハブ9内の近位領域22と電気的に接続されている。絶縁ワイヤ13の近位端は、電気コネクタ14(またはプラグ14)に接続されており、電気コネクタ14はエネルギ源、例えばジェネレータに電気的に結合されている。張力緩和部8(図1及び3)は、細長い部材6の近位領域22とハブ9との間の剛性の遷移を提供する。
【0034】
ハブ9はまた、電気外科手術デバイス20の使用時に、医師のためのハンドルとして機能する。いくつかの実施形態では、デバイスの近位端を細長い部材6の上または中に進めて取り付けるために、ハブ(またはハンドル)を取り外すことが出来る。
【0035】
電気外科手術デバイス20のいくつかの実施形態は、例えば図4および5に示すように、支持スパイン1(支持ワイヤ/補強部材とも呼ばれる)を含む。スパイン1は、撮像や造影流体などの流体の流れのために、実質的に開放または遮るもののないルーメン26を残したまま、電気外科手術デバイス20に剛性を追加するように機能する。電気外科手術デバイス20のいくつかの実施形態では、細長い部材は、柔軟性らせん構造を持った金属層を有し、支持スパインは、細長い部材の壁への支持を提供する。いくつかの実施形態では、スパイン1はニチノール(ニッケルとチタンの合金)で構成されており、電気外科手術デバイスに形状記憶特性を提供できる。スパイン1を組み込んだいくつかの実施形態では、スパインは、ルーメン26の導電性の壁との電気的接続を行うために、エネルギ送達デバイス15から近位に延びる電気導体である。いくつかのこのような実施形態では、スパイン1は、導電性スペーサ4を越えて近位に延びている。いくつかの実施形態では、支持スパインは、導電性スペーサ4を越えて少なくとも約10cmの距離だけ近位に延びている。いくつかのこのような実施形態では、支持スパインは、約10cmから約120cmの間の範囲の距離だけ近位に延びている。他の実施形態では、支持スパインは、約10cmから約250cmの間の範囲の距離だけ近位に延びている。代替実施形態では、スパイン1は、非導電性である。
【0036】
例えば図5に示す実施形態では、スパイン1は、フレア(flare)12(返し)を含む。いくつかの実施形態では、フレア12はスパイン1から分離してから結合され、一方別の実施形態では、フレア12はスパイン1と一体である。フレア12は、所定の位置に導電性スペーサ4を保持することができる。フレア12を欠いている別の実施形態では、適所にスペーサを保持するために、導電性スペーサ4に隣接してバンド状マーカー5(以下でさらに詳説)を配置することができる。
【0037】
支持スパインに関するさらなる詳細は、2013年12月3日に出願された同時係属中の米国仮特許出願番号61/777,368に、予めその全体が参照することにより組み込まれている。
【0038】
いくつかの実施形態は、例えば図5に示すように、電気外科手術デバイスの構成要素の間、例えば電極19とスパイン1の間に、電気エネルギを導電するための中間導電性素子18を含む。いくつかのこのような実施形態では、中間導電性素子18は、スパイン1の拡張部分である。代替実施形態では、中間導電性素子18は、例えば、ワイヤ又はロッドなどの、スパイン1とは異なる別個の部分である。
【0039】
いくつかの実施形態では、X線不透過性マーカー5(例えば図4、5)のような、1つ以上の可視化マーカーが、医療用撮像手段を使用する電気外科手術デバイス20上で重要なランドマークの位置を強調するために、電気外科手術デバイス20に関連している。このようなランドマークは、エネルギ送達デバイス15の位置または任意のアパーチャ(複数可)25の位置を含む。一般的に、X線不透過性マーカーはX線不透過性を提供することで、X線透視下でより容易にデバイスを視覚化する。X線不透過性マーカー5は、白金または他の適切なX線不透過性材料で構成できる。代替実施形態では、代替の撮像手段を使用して可視化するために、他の形態のマーカーが使用されている。例えば、エコー発生マーカーは、超音波イメージングを用いて可視化を可能にするために利用される。
【0040】
いくつかの代替実施形態は、バンド状のマーカーではなく、らせん状またはコイル状のマーカー5を有する。図14Aと14Bの実施形態では、コイル状のマーカー5が、スパイン1に組み込まれている。各フレア(または凸部)12は、コイル状のマーカー5のスパイン1に沿った移動を防止するための制限部として機能する。図14Bの実施形態では、各フレア12は平坦化スパイン1(または平坦化ワイヤ)から構成されている。他の代替の実施形態では、コイル状のマーカーの片方または両方の端部がレーザー溶接または圧着によって所定の位置に固定できる。コイル状のマーカー5は、一般的に、白金やタングステンで構成されている。図14Aの実施形態では、コイル状のマーカーはアパーチャ25の近位にあり、そうすることで患者の体内にアパーチャを位置合わせするのに役立てることができる。例えば、コイル状マーカー5を拡張器の外側(遠位)に配置することによって、医師は、そのアパーチャ25が拡張器の外にあり、流体を送達または吸引および/または圧力を測定するために、確実に使用することができるであろう。
【0041】
図5の実施形態のエネルギ送達デバイス15は、電極19と、電極19に取り付けられ電気的に接続する中間導電素子18と、中間導電素子18に取り付けられ電気的に接続する導電性スペーサ4とで構成されている。電極19は異なる構成が可能であるが、図5には、支持構造体2と、導電性ドーム16を含む実施形態が開示されている。また、図5は、スパイン1に関連するエネルギ送達デバイスを示しているが、他の実施形態では、スパイン1を有することなく(例えば、電極19を含む)エネルギ送達デバイス15を組み込む。支持構造体2は、金属、パックまたは円盤状であることができ、いくつかの実施形態において、タンタルで構成されている。導電性スペーサ4は、例えば、ニチノール、金、ステンレス鋼、白金、から構成されてもよい。導電性ドーム16は、中間導電素子18の端部に金属をレーザー溶着することによって、支持構造体2上に形成することができる。代替実施形態では、細長い部材6にエネルギ送達デバイス15を取り付けるために、導電性スペーサ4が他のエネルギ送達デバイスカプラ(coupler)によって置換される。いくつかのこのような実施形態では、エネルギ送達デバイスカプラは、導電性支持スパインを含む(例えば図16)。
【0042】
電極19は、電極19が組織の部位に近接して配置されたときに、組織の領域内にアーク放電を発生させる十分に高い電流密度が電極19に供給される構成であり及び大きさである。これは、チャネルが組織の領域の少なくとも一部を介して作成されることを可能にする。電気外科アークとチャネルの作成に関する詳細については、予めその全体が参照することにより本明細書に組み込まれた米国特許出願番号12/926,292を参照する。
【0043】
図5に示すように、熱シールド3は、中間導電性素子18の周りに取り付けられる。いくつかの実施形態では、熱シールド3は、セラミック、例えばサファイア、ジルコニアまたはアルミナである。中間導電素子18は、本明細書に記載されるように、電気外科手術デバイス20の他の構成要素に電気的に結合されている、任意の適切な導電性材料から構成されている。
【0044】
電極19は、例えば、接着又はインサート成形などの様々な手段によって、電気的及び動作可能なようにエネルギ送達デバイス15に結合されている。電極は、任意の適切な導電性材料から形成されている。適切な材料の例としては、ステンレス鋼、銅、及び白金が挙げられる。
【0045】
電極は、様々な形状およびサイズ、例えば、実質的に円筒形、および/または半球を有する、丸みを帯びた、あるいはドーム状の端部であってもよい。
【0046】
図2及び5を参照すると、(例えば、電気エネルギのような)エネルギは、(一般的に、ルーメン26を通して近位へ延びていないスパイン1以外の)ルーメン26内に配置された別個の導電性素子(例えば、ワイヤ)よりも、細長い部材6の壁を通って動作させることが可能である。これは、ルーメン26内に、アパーチャ25から出る(または引き出される)流体の流れのための、十分なスペースを作ることを可能にする。いくつかのこのような実施形態では、電極19は、細長い部材6の内壁に電気的に結合されており、一方絶縁層7は、前述の手段(例えば、熱シールド3を使用して)を用いて電極19から熱的に絶縁されている。例えば、図2及び図5に示された実施形態では、例えば、外径が約0.014インチから約0.050インチの範囲を有する、単一の電気外科手術デバイス20は、エネルギ(例えば、細長い部材6の壁面に沿って電極19へ)と流体(ルーメン26とアパーチャ(複数可)25を介して)の両方を適切に送達することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、細長い部材6が超弾性材料から製造された部分では、複雑な血管系を通る電気外科手術デバイス20の前進は、細長い部材6の超弾性によって促進される。
【0048】
細長い部材6は、様々な接続手段を用いて、エネルギ送達デバイス15に電気的に結合されている。例えば、一実施形態では、細長い部材6は、エネルギ送達デバイス15の導電性スペーサ4に溶接またははんだ付けすることができる。
【0049】
細長い部材6の実施形態は、多数の異なる材料から作られている。例としては、ステンレス鋼、銅、ニッケル、チタン、およびそれらの合金が挙げられる。細長い部材6のいくつかの実施形態は、ステンレス鋼のハイポチューブまたはニチノールハイポチューブを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、例えば、レーザーカットによって、細長い部材6内にノッチが切られ、細長い部材6に沿って十分な導電性を保持しながら、ノッチを含む領域は(そのような切れ目なし場合よりも)相対的により柔軟である。異なる構成の切り込みが可能であり、C切込み、スパイラル状の切込み、中断スパイラル切込み、インターロッキング切込み、およびダブテール切込みを含む。また、切り込みまたはノッチは、細長い部材6の壁を通して部分的にまたは完全に作ることができる。
【0051】
図6の具体的な実施形態は、細長い部材6に入れられた、一定のピッチ部B、可変ピッチ部Cと、二重ピッチ部Dの切り込みを開示している。図6の細長い部材6は、ハイポチューブであってもよい。ハイポチューブへのカットは、ハイポチューブ壁を横断することができる。小さなピッチを有する(すなわち、カットが互いに接近する)ことは、細長い部材6の柔軟性を向上する。可変ピッチ部Cの例を考慮すると、細長い部材6の遠位端により近い可変ピッチ部Cは、細長い部材6の遠位端から遠い可変ピッチ部Cより小さいピッチを有し、その結果より柔軟である。あるいは、例のピッチ部Dのように、単一ピッチの代わりに、細長い部材6の柔軟性は、二重ピッチ(すなわち、互いに交差してもよい、2つの切込線)を組み込むことにより増加する。
【0052】
この変化する柔軟性は、外科的処置の際に電気外科手術デバイス20の適切な位置決め及び使用を補助する。例えば血管のような、患者の体内の径路を通ってナビゲートするには、例えばより柔軟性のある遠位領域24が望ましく、一方で、デバイスへの軸方向の圧縮力下での押し込み性、ねじれへの抵抗性を得るには、より堅い近位領域22が望ましい。比較的堅い近位領域22は、トルク応答とラジアル剛性のために望ましい。これは、例えば、細長い部材6の2つの異なる実施形態は、柔軟性を変化させるために、異なる肉厚寸法および/または異なる外径(各実施形態に、その長さに沿って一定の厚さと直径の寸法を有する)を有することができる。さらに、細長い部材6の単一の実施形態は、柔軟性を変化させるためにその長さに沿って異なる肉厚寸法および/または異なる外径を有することもできる。
【0053】
スパイン1を組み込んだ電気外科手術デバイス20のいくつかの実施形態では、上述したように、細長い部材6が通常は真っ直ぐであるようにバイアスされ、スパイン1の形状記憶特性及び剛性が、電気外科手術デバイス20がガイドワイヤの剛性と応答性を示すことを可能にし、細長い部材6に切り込みを入れることによって作成された柔軟性を補償し、曲げられた後に真っ直ぐな形状に戻すことを可能にする。また、例えば、米国仮特許出願番号61/777,368の図25Aと25Bを参照して説明したように、スパイン1は長尺状部材6に沿って曲げ応力を分散するために切り込みを横切るブリッジとして作用することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、細長い部材6が長さ約50cmから約120cmの間であり、約0.028インチの内径および約0.032インチの外径を有する。この長さの実施形態は、固定(取り外し不可)のハブ(またはハンドル)を有する。他の実施形態は、約0.025インチの内径と約0.029インチの外径を有している。細長い部材の寸法は、以下を含む1つまたは複数の要因に依存する、対象部位までの距離、ナビゲートするべき血管(複数可)のねじれおよび/または直径、細長い部材に交換長さであることが望まれているか否か(例えば、約50cm〜約2.5m)、細長い部材6で使用する補助デバイスによって課せられる他の要件。例えば、細長い部材6は、一般的には、それが配置されるべき内シースおよび/または拡張器と互換性があるような大きさである。
【0055】
エネルギ送達デバイス15は、別の構成が可能である。図7の実施形態は、一体型(シングルピース)エネルギ送達デバイス15の一例を示す。導電性スペーサ4、中間導電性素子18及び電極19は、単一の要素または部分を含む。すなわち、これらはすべて単一の一体型エネルギ送達デバイス15に組み込まれている。いくつかのこのような実施形態では、熱シールド3は、接着または圧入によって、エネルギ送達デバイス15に装着され、および/または絶縁層7によって、少なくとも部分的に、所定の位置に保持される。
【0056】
支持スパインがない実施形態(図8a−d)。
【0057】
図8a〜8dは、金属棒を備えた中間導電性素子18を備える電気外科手術デバイス20の実施形態を開示する。本電気外科手術デバイスは、デバイスに沿った電気エネルギの流れを示す図8dに矢印で示すように、電気エネルギが、細長い部材6の壁、導電性スペーサ4、および中間導電性素子18を通って電極19の先端に流れるように動作可能である。図8a−dの実施形態は、図4−5の実施形態に示すような、延びる支持スパインを欠いていて、更にルーメン26を通る流体の流れを促進する。上述したように、本実施形態では、ルーメン26及びアパーチャ(単数または複数)25への流体の送達および/または吸引と同様に、細長い部材6の壁、導電性スペーサ4と中間導電性素子18を介し電極19への電気エネルギの送達を可能にする。この特定の実施形態では8つの円形アパーチャを含む(6つは図に示されているが、図では切り取られた別2つが壁中にある)が、アパーチャ(単数または複数)25の数及び形状は変えることができる。
【0058】
医療機器20のいくつかの実施形態では、支持スパイン1は、細長い部材6からエネルギ送達デバイス15への、主要な(または唯一の)電気エネルギのための経路として機能する。図16Aの例では、導電性スペーサ4は、細長い部材6と接触せず離間して設置されている。図16Aでは、絶縁層7は単一材料の連続的な層であるが、代替の実施形態では、1より多い種類の材料から構成され得る。例えば、細長い部材を覆う絶縁層7の部分は、1種類(またはそれ以上)の材料とすることができ、細長い部材6の遠位部分の絶縁層7は異なる材料(単数または複数)で構成することができる。一般的に、細長い部材6の遠位の絶縁層7の少なくとも一部は、非導電性材料から構成されており、それによって電気エネルギは、絶縁層7を介してエネルギ送達デバイス15に流れることができない。図16Aの実施形態は、支持スパイン1の細長い部材6への接触を促進するために、とげ状の湾曲21を含む。いくつかの代替実施形態は、屈曲部を有する。医療用デバイス20の他の代替実施形態は、概して直線状支持スパイン1(すなわちとげ状の湾曲21を欠いている)、またはいくつかの他の構成、例えばらせんばねを持っている可能性がある。支持スパイン1の遠位部が、湾曲した、曲がった、直線、またはいくつかの他の形状であっても、支持スパインはその長さに沿ったどこかの位置で細長い部材6に接触することを促進するために、一般的に十分に細長く柔軟である。導電性スペーサ4は、医療デバイス20への電極19の溶接を促進し、支持スパイン1の安全を確保するために、一般的には金属材料であるが、代替実施形態では、導電性スペーサ4は、非金属材料および/または非導電性材料であってもよい。
【0059】
図16Bを参照すると、医療デバイス20のいくつかの実施形態では、熱シールド3は、非導電性材料で構成され、そのことによって支持スパイン1は、電気エネルギが細長い部材6からエネルギ送達デバイス15に伝わるための主要な経路として機能する。いくつかの実施形態では、熱シールド3は単一の一体的な部分であるが(例えば図16B)、別の実施形態では、熱シールド3は複数の部分および/または材料から構成することができる。図16Bの実施形態は、細長い部材6と電極19との間の電気通信を可能にするために、(図5の例に見られるように)熱シールド3の近位には導電性スペーサ4が含まれない。いくつかの実施形態は、図16Bの例のように、支持構造体2と電極19からなるエネルギ送達デバイス15を含む。代替実施形態では、例えば、別個の支持構造体2と電極19が単一の一体的な部分によって置換された、他のエネルギ送達デバイスの構成を有する。図16Bの実施形態は、とげ状の湾曲21を含むが、医療デバイス20の別の実施形態は、支持スパイン1の遠位部分が、屈曲された、直線状の、またはいくつかの他の形状を有する。先に図5を参照して説明したように、別の実施形態はフレア12を含む。図16Aと16Bに示された実施形態のいずれにおいても、非導電性材料は、支持スパイン1が細長い部材6と電極19の間の電気伝導の1次(または唯一の)経路であるように、細長い部材6から電極19への電気経路を制限または妨げる。非導電性材料は、例えば、セラミックまたはポリマーであってもよい。
【0060】
エネルギ源、例えば、超音波、マイクロ波、高周波または他の形態の電磁エネルギの発生器が、電気外科手術デバイス20と組み合わせて使用できる。超音波エネルギを利用する実施形態では、エネルギ送達デバイス15は、超音波変換器を含むことができる。特定の一実施形態において、エネルギ源は、高周波(RF)ジェネレータで、短時間で高電圧を発生するように設計され、例えば、約100kHzから約3000kHzまでの範囲内で動作可能である。より具体的には、ジェネレータによって発生する電圧は、約0.6秒以内で約0Vrmsから約400Vrmsより大きくなるまで、増加させることができる。ジェネレータによって生成される最大電圧は、ピークピークで約180Vとピークピークで約3000Vの間で良い。生成された波形が変化してもよい、そして、例えば、正弦波または矩形波などを含むことができる。いくつかの実施形態では、電極のサイズが小さいため、RFエネルギの適用中に発生したインピーダンスが非常に高くなるかもしれないが、インピーダンスの増加にもかかわらず、ジェネレータをエネルギ送達するように動作可能である。ジェネレータは、組織のインピーダンスが変化し、または低い場合に所望の電圧を維持し続けるように動作可能である。ジェネレータの適切な出力インピーダンスは100オームと200オームの間になるだろう。特定の一例では、エネルギは、急速に0Vrmsから400Vrmsに増加する電圧で身体内の組織に送達される。適切な高周波ジェネレータの代替実施形態は、0〜25ワット、0〜50ワット、または0〜300ワットの電源容量を有する。
【0061】
一つの広い態様では、電気外科手術デバイス20は、同時にまたは連続的にアパーチャ(単数または複数)25を介して流体を送出しながら、ヒトまたは動物の体内の対象部位にエネルギを送達するために使用される。
【0062】
いくつかの実施形態では、エネルギは、高周波(RF)電流とすることができ、エネルギを対象部位の組織に穴を開けまたは空隙またはチャネルを作成するよう機能することができる。RFエネルギは、電極の周りに絶縁性の蒸気層の生成をもたらすことができるように送達される。そのときにインピーダンスの増加をもたらし、例えばインピーダンスを4000Ωより大きく増加させることができる。電圧の増加は、組織の穿刺速度の増加を可能にすることが望まれるかもしれない、高周波療法の強度を増加させる。この応用に適したジェネレータの例として、BMC RF穿刺ジェネレータ(モデル番号RFP‐100およびRFP‐100A、ベイリス・メディカル社、モントリオール、カナダ)がある。これらのジェネレータは、約480kHzで連続してRFエネルギを提供することができる。ジェネレータが単極モードで動作する場合には、RFエネルギのためのリターンパスを提供するために、患者の体に接触または付着するために、接地パッドまたは分散電極がジェネレータに接続される。
【0063】
身体へのエネルギの送達に関するさらなる詳細は、米国特許出願10/347,366(2003年1月21日出願)、10/760,749(2004年1月21日出願)、10/666,288(2003年9月19日出願)、および11/265,304(2005年11月3日出願)、および米国特許第7,048,733(2003年9月19日に出願された、出願10/666,301)に見出すことができ、上記全てが参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0064】
いくつかの実施形態では、電気外科手術デバイス20は、体内のルーメン閉塞または他の物質を通ってチャネルを作成するために使用することができる。例としては、血管、ステントグラフトによる開窓、胆管、または気道内の気道開通を含むことができる。閉塞は、線維性組織または他の物質を含んでもよく、そして閉塞は部分的または実質的に完全であってもよい。いくつかの実施形態では、電気外科手術デバイス20は、穿刺される物質に電極が隣接するように配置される。エネルギは、ジェネレータのような発生源から細長い部材6を介して、空洞またはチャネルが、組織内または組織を通して作成されるように、対象部位に送達することができる。組織または閉塞を通してチャネルを作成するためのエネルギの送達に関するさらなる詳細は、2010年11月8日に出願された米国特許出願12/926,292、2011年10月31日に出願された米国特許出願13/286,041、および2011年11月1日に発行された米国特許8,048,071中に見出すことができ、予め参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0065】
電気外科手術デバイス20の横断後に閉塞が拡幅または拡張すると、デバイス20は、拡張器やバルーンカテーテルのような、拡幅のために使用されるデバイスの設置または挿入の前に、ガイドワイヤで置き換えることができる。電気外科手術デバイス20を使用する1つの方法では、ガイドワイヤは、デバイス20を取り外す前にワイヤ42を前進させることによって、例えば、図10の矢印43で示されるように、湾曲または屈曲した遠位端部を、ルーメン26を介しアパーチャ25を通して設置することができる。ワイヤ42は、画像を見ながら進めることができ、ワイヤ42の遠位端部が、アパーチャ25に到達するのに十分に前進したときに、必要に応じて、アパーチャ25に配置するために、ワイヤ42を回転させることができる。その後、電気外科手術デバイス20は身体から除去することができ、ワイヤ42へ拡張デバイスを挿入することができる。あるいは、デバイス20を血管系に挿入する前におよび/または閉塞を横断するデバイス20を利用する前に、拡幅デバイスをハブ9の前で(すなわち、遠位に)、電気外科手術デバイス20上にまたは覆うように導入することができる。前述のように、取り外し可能なハブ9を装着した電気外科手術デバイス20を、電気外科手術デバイス20の近位端への各種デバイスの導入を容易にするために使用することも可能である。
【0066】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、医用撮像手段を使用して、医師に環境に関する情報を提供するために、治療部位に造影または画像化用流体を送達することを含む。例えば、X線透視下で閉塞内の微小血管(経路)を見えるようにするために、造影流体を冠状血管のCTOs(慢性完全閉塞)に注入することができ、経路を可視化される。いくつかのCTOsは、横断することが難しい頑丈な近位の皮膜を持っている。図11を参照すると、頑丈な(石灰化)皮膜を有する可能性がある末梢血管のCTOsを横断する方法の実施形態は以下より成る。
【0067】
1)血管に電気外科手術デバイス20を挿入し、血管内のCTO70部位に進む(図11のステップ1)。
【0068】
2)CTO70に係合する(図11のステップ2)。
【0069】
3)造影流体72を注入し、X線透視画像を用いて閉塞を介してチャネル74をチェックする(図11ステップ3aまたは3b)。
【0070】
4a)経路またはチャネル74が見えたら、電極19を介してエネルギを供給することにより、それらの径路をCTO横断のガイドとして使用する(図11ステップ4a)。
【0071】
4b)ステップ(3)で、経路が見られない場合、電極19を介してエネルギを送達することにより近位皮膜76を横断し(これは、これらの微細チャネルに造影流体が浸入することを防止するだろう)、追加の造影流体を注入して(すなわち、近位皮膜が横断された後)、経路72が見えたなら、電極19を介してエネルギを供給することによって、このような目に見える経路72をCTO70の残りの部分を横断するためのガイドとして使用する(図11のステップ4b)。どの径路も見えないなら、デバイスが閉塞を通って進みながら、エネルギが供給され続ける。これらのステップは、デバイスが進んでいる間、閉塞を介して経路を確認するために繰り返すことができる。
【0072】
上記の方法に記載のステップが完了し、CTOを横断した後には、横断を確認するためにより多くの造影流体を送達することができる。
【0073】
CTOsまたは他の閉塞または狭窄を横断する電気外科手術デバイス20を使用するいくつかの方法は、エネルギの送達による組織の損傷を防ぐために、閉塞の周りの組織を冷却する流体の送達を含む。一実施形態は、(図12に示すように)以下のステップを含む。a)電気外科手術デバイス20を前進させながら、電極19を介して閉塞にRFエネルギを印加する、b)電気外科手術デバイス20の前進を停止し、エネルギを印加する、c)約1ccから約2ccの冷却液を治療部位に送達する、d)そして必要に応じて、ステップ(a)から(c)を繰り返す。いくつかの実施形態では、ステップ(a)でエネルギを供給するジェネレータは、約0〜約70Wの範囲のパワーレベルに設定することが可能である。本方法のいくつかの実施形態において、エネルギは、約50マイクロ秒から約5秒の時間にわたって送達される。いくつかの実施形態は、多重またはパルスの、エネルギの送達を含む。エネルギは、閉塞および周囲の組織に適切な電力レベルおよび時間周期で送達される。ステップ(c)において、冷却のために供給される流体は、生体適合性の生理食塩水を含むことができる。本発明の方法の態様のいくつかの実施形態では、ステップ(c)中のイメージング用造影流体の供給を含む。図12の実施形態では、エネルギおよび流体の送達が連続している。
【0074】
CTOsを横断するために電気外科手術デバイス20を使用する他の方法は、少なくとも部分的にエネルギの送達と同時に、前進して冷却流体を送達しながら、実質的に連続的かつ一定を基本としたエネルギ送達を含む。そのような実施形態では、流体送達は処置中に停止または開始することができるが、エネルギ送達は維持される。従って、処置の特定の時点でエネルギおよび流体が同時に送達され、一方他の時点ではエネルギのみが送達される。
【0075】
CTOsのような閉塞を横断するために電気外科手術デバイス20を使用する別の方法は、流体を送達しながら、必要に応じてデバイスを前進してエネルギを送達する最中に、連続的に流体を送達することを含む。エネルギは、連続的または断続的に送達することができる。そのような実施形態では、流体の送達は維持され、処置中にエネルギの送達を終了したり、開始しても良い。前の実施形態と同様に、処置中の特定の時点ではエネルギと流体が同時に送達され、他の時点では流体のみが送達される。不連続な送達は、エネルギまたは流体の短パルスでの送達、長い期間の送達の繰り返し、または医師により制御される断続的送達を含んでも良い。
【0076】
注入された流体(例えば、生理食塩水)はまた、組織に送達されるエネルギの有効性を改善するために電解質として機能しても良い。横断を促進するために、治療部位に電解液を送達する(図13)ことを含み、CTOsのような閉塞を横断するために電気外科手術デバイス20を使用する方法の一実施形態は、以下のステップを備える、a)制御された時間の間、治療部位に電解液を送達する(そして、流体の送達を終了する)、b)電気外科手術デバイス20を前進しながら、電極19を介して閉塞にRFエネルギを印加する、c)電気外科手術デバイス20の前進が減速または停止した(すなわち、阻害されている)とき、エネルギの送達を停止する、およびd)閉塞内を前進するために、必要に応じてステップ(a)から(c)を繰り返す。
【0077】
上述のCTOsを横断する方法のいずれかは、造影流体の小さな痕跡がチャネルに残されるように、電気外科手術デバイス20が前進するとき、アパーチャからの造影流体の低速で継続的な流れを使用することを備え、電気外科手術デバイス20の経路の目に見える痕跡を形成する。
【0078】
本発明のさらなる態様は、経中隔穿刺を形成する方法である。ここで、図15A及び図15Bを参照すると、この方法の態様の実施形態は、(i)患者の体内へ電気外科手術デバイス20を導入し、電気外科手術デバイス20は、遠位領域24と近位領域22を有する細長い部材6(図1)と、物質を切断することが可能な遠位領域に近接するエネルギ送達デバイス15と、ルーメン26および遠位領域24に近接する体内の圧力を測定するための圧力検出機構(図示せず)と連通するように動作可能なアパーチャ25とを備え;(ii)切断される患者の身体の隣接物質の第1の所望の位置にエネルギ送達デバイス15を位置決めし;(iii)前記物質を切断するために、エネルギ送達デバイス15を使用してエネルギを送達し;そして(iv)電気外科手術デバイス20の位置を決定するために、ステップ(iii)の前後の少なくとも一回、圧力検出機構を用いて体内の圧力を測定する、のステップを備えても良い。この態様のいくつかの実施形態では、ステップ(ii)は、患者の体内の第1の所望の位置を画像化するための流体、例えば造影流体、の送達を備える。
【0079】
方法のいくつかの実施形態は、さらに、第2の所望の位置にデバイスを前進させるステップ(v)を備える。この態様の特定の実施形態において、本医療デバイスは、少なくとも一つのX線不透過性マーカー5と、前記の少なくとも一つのX線不透過性マーカー5をモニターするステップ(v)を備える。方法のいくつかの実施形態は、第2の位置での圧力を測定するステップ(vi)を備える。本医療デバイスは、少なくとも一つのX線不透過性マーカー5を備え、そしてステップ(vi)は、前記X線不透過性マーカー使用して第2の位置で圧力検出機構の位置を確認した後に行っても良い。
【0080】
いくつかの実施形態では、ステップ(i)は患者の血管系(および/または他の身体ルーメン)にデバイスを導入することを含む。患者の血管系にデバイスを導入するステップは、患者の血管系内に位置する拡張器52およびガイドシース50内にデバイス20を挿入することを含んでも良い。特定の実施形態では、デバイス20と、拡張器52およびシース50の少なくとも一方と、のそれぞれは、X線不透過性マーキングを含み、そしてステップ(ii)は、デバイスの位置決めを補助するためにX線不透過性マーキングを位置合わせすることを含む。方法のいくつかの代替的な実施形態では、ステップ(v)は、空間的に固定された電気外科手術デバイス20によって、拡張器52とシース50とを、一緒に第2の位置に前進させることを含む。他の代替の実施形態では、ステップ(v)は、拡張器、シース、および医療デバイスを全て一緒に第2の位置に前進することを備える。
【0081】
この方法の態様の特定の実施形態では、物質は、心臓の心房中隔56に位置する組織である。また、組織の領域は、卵円窩60の心臓であっても良い。このような場合には、第1の位置で測定された圧力は、右心房54内の血圧であり、第2の位置で測定された圧力は、左心房58内の血圧である。
【0082】
いくつかの代替実施形態では、方法はさらに、第2の所望の位置での電気外科手術デバイス20の位置を確認するために、画像化システムを使用して可視化される撮像流体の送達を含む。
【0083】
方法の特定の実施形態では、医療機器、拡張器およびシースが下大静脈を介して心臓に導入される(図15Aおよび15B)。代替実施形態では、上大静脈(図示せず)から心臓に導入される。心臓への上位および下位のアプローチに関する更なる詳細は、米国特許出願13/113,326(2011年5月23日に出願)および11/265,304(2005年11月3日に出願)で見られ、どちらもその全体が、参照することにより本明細書に組み込まれている。
【0084】
上述したようにこのように、本発明の実施形態は、血管系を通過するために、細長い部材の壁を通ってエネルギが流れるように構成され動作可能な、導電性の細長い部材と、その遠位端またはその近傍に細長い部材の壁で規定される1つ以上のアパーチャを有する細長い部材で規定された中空のルーメンと、部材の遠位端またはその近傍で細長い部材(例えば、ルーメンを規定する壁を有する)と電気的に接続するエネルギ送達デバイスとを備える電気外科器具を含む。エネルギ送達デバイスはエネルギを送達するための電極を有し、熱シールドは、電極から組織にエネルギを送達することに伴う熱からデバイスの部分を保護するために、電極と細長い部材の間に設置される。本発明の方法態様は、患者の血管系を通過し、流体と電気エネルギをその遠位端近傍から送達する電気外科手術デバイスの使用を含む。
【0085】
上述した本発明の実施形態は、例示のみを意図している。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【0086】
本発明の特定の特徴は、明確にするため、別々の実施形態の文脈で説明し、単一の実施形態に組み合わせて提供することもできると評価される。逆に、本発明の様々な特徴は、簡略化のため単一の実施形態の文脈で説明できるが、別々にまたは任意の適切な小結合で提供することもできます。
【0087】
本発明をその特定の実施形態に関連して説明してきたが、多くの代替、変更および変形が当業者に明らかであることは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の広い範囲内に入るすべてのそのような代替、修正、および変形を包含することを意図している。各個々の刊行物、特許または特許出願が具体的かつ個別に参照により本明細書に組み込まれることが示されたように、本明細書で言及される全ての刊行物、特許および特許出願は、本明細書に同程度に、本明細書に参照によりその全体が組み込まれている。また、本出願における任意の参考文献の引用または同定は、そのような参考文献が本発明に対する先行技術として利用できるという承認とみなすべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図8d
図9
図10
図11-1】
図11-2】
図11-3a】
図11-3b】
図11-4a】
図11-4b】
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B