【実施例1】
【0042】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ固形分換算での質量部又は質量%を示す。また、硫酸バンドについては硫酸アルミニウム16水和物としての固形分部数を示す。
【0043】
(実施例1)
コットンリンターパルプ(フリーネス574mlCSF)100部を水中に分散してパルプスラリーとし、該パルプスラリーにポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂(商品名:ポリフィックス259、昭和電工株式会社製)1.0部、アニオン性のグァガム(商品名:メイプロイド840/D0、Danisco−Zaandam−BV社製)1.0部、硫酸バンド(テクノ北越製)0.5部をそれぞれ添加し紙料を得た後、その紙料を用い実験用手抄き装置(十研式角型抄紙装置)にて抄紙して坪量95g/m2の紙を得た。
【0044】
(実施例2)
アニオン性のグァガムの添加率を2.0部とした以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
【0045】
(実施例3)
硫酸バンドの添加率を0.2部とした以外は、実施例2と同様にして紙を得た。
【0046】
(実施例4)
硫酸バンドの添加率を1.0部とした以外は、実施例2と同様にして紙を得た。
【0047】
(実施例5)
アニオン性のグァガム2.0部を両性のグァガム(商品名:メイプロイドK、Danisco−Zaandam−BV社製)2.0部に変更した以外は、実施例2と同様にして紙を得た。
【0048】
(実施例6)
ポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂の添加率を2.0部に変更した以外は、実施例4と同様にして紙を得た。
【0049】
(実施例7)
使用するパルプをコットンリンターパルプ(フリーネス574mlCSF)50部とNBSP(フリーネス495mlCSF)50部に変更した以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
【0050】
(実施例8)
使用するパルプをコットンリンターパルプ(フリーネス574mlCSF)50部とLBKP(フリーネス501mlCSF)50部に変更した以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
【0051】
(実施例9)
使用するパルプをNBSP(フリーネス495mlCSF)100部に変更した以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
【0052】
(実施例10)
使用するパルプをLBKP(フリーネス501mlCSF)100部に変更した以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
【0053】
(参考例1)
硫酸バンドの添加率を2.0部に変更した以外は、実施例2と同様にして紙を得た。
【0054】
(比較例1)
硫酸バンドを無添加に変更した以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
【0055】
(比較例2)
硫酸バンドを無添加に変更した以外は、実施例2と同様にして紙を得た。
【0056】
(比較例3)
アニオン性のグァガムの添加率を4.0部に変更した以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
【0057】
(比較例4)
アニオン性のグァガム1.0部をノニオン性のグァガム(商品名:メイプロイド5306、Danisco−Zaandam−BV社製)1.0部に変更した以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
【0058】
(比較例5)
アニオン性のグァガム1.0部をカチオン性のグァガム(商品名:メイプボンド111、Danisco−Zaandam−BV社製)1.0部に変更した以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
【0059】
(比較例6)
アニオン性のグァガムの添加率を0.5部に変更した以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
【0060】
(比較例7)
硫酸バンドを無添加に変更した以外は、実施例9と同様にして紙を得た。
【0061】
各実施例、参考例及び比較例における紙料構成の概要を
図1,2に、得られた紙の評価結果を
図3にそれぞれ示す。尚、評価についてはそれぞれ以下の方法で行った。
【0062】
<比湿潤引張強度>
JIS P 8135:1998(紙及び板紙−湿潤引張強さ試験方法)に準拠して紙の一辺に沿う方向(縦方向)と、直角に対向する方向(横方向)のそれぞれについて湿潤引張強度を測定し、その平均値を米坪(g/m2)の値によって除した数値を比湿潤引張強度の値とした。
【0063】
<内部結合強度(インターナルボンド)>
JAPAN TAPPI No.18−2(紙及び板紙−内部結合強さ試験方法−第2部:インターナルボンドテスタ法)に規定された方法で測定した。
【0064】
<湿潤摩擦強度>
摩擦部の重量が300gになるように錘で調整した学振型摩擦堅牢度試験機(JIS P 8136準拠 テスター産業株式会社製)を用い、実施例及び比較例で得られた紙の一方の面が試験面となるように試験機に固定する。摩擦部に、綿100%のバイアステープ(商品名:CP25 Hi−コットンCP34 ピュアコットン 色290、キャプテン株式会社製)を23℃に調温した蒸留水に1分以上浸漬した後、バイアステープを搾らずに取り付ける。摩擦部を紙の試験面に接触させながら5往復させた後、紙及び摩擦部バイアステープを試験機から取り外す。取り外した紙及び摩擦部バイアステープを十分に乾燥後、紙の試験面の荒れや紙粉の脱落度合いについて、紙の試験面とバイアステープの摩擦した部分の両方を目視により確認し、以下の4段階で評価した。
◎:紙面の荒れ、紙粉の脱落が認められない。合格。
○:紙面の荒れ、紙粉の脱落がわずかに認められるが実用上問題ない。合格。
△:紙面の荒れ、紙粉の脱落が認められ実用上問題あり。不合格。
×:紙面の荒れ、紙粉の脱落が著しく実用上問題あり。不合格。
【0065】
<絵具適性>
水彩画用紙では塗布した絵具が均一に広がることが機能として重視されている。この絵具適性の評価では絵具の広がり具合を目視で確認した。具体的には、紙の一方の面が試験面となるように木製のパネル板に固定し、23℃に調温した蒸留水を平筆にて試験面に光沢が出るまで均一に塗布する。塗布した水が紙への吸収及び蒸発により半乾き(水による光沢が無くなった状態)になった後、直ちに、紙面から1cmの高さから水彩用絵具(商品名:コバルトブルー、ホルベイン工業株式会社製)を蒸留水で10倍に希釈した絵具水溶液を1mlシリンジで1滴落下させ、自然乾燥させた後、絵具の広がり具合を目視にて確認し、以下の4段階で評価した。
◎:放射状に均一に滴下液端面から2cm以上広がる。合格。
○:放射状にほぼ均一に滴下液端面から1.5cm〜2cm広がる。合格。
△:放射状に滴下液端面から1cm以上広がるが、広がり方が不均一であり、実用上問題あり。不合格。
×:1cm未満しか広がらず、実用上問題あり。不合格。
【0066】
図3から明らかなように、本発明の各実施例で得られた紙は、比湿潤引張強度(縦)が6.0Nm/g以上かつ内部結合強度(インターナルボンド)が125mJ以上であり、湿潤摩擦強度についても実用上問題無いものであった。また、コットンリンターパルプを配合した実施例1〜8の紙は、絵具適正にも優れ水彩画用紙として好適な紙であった。
【0067】
これに対して、硫酸バンドを添加しなかった比較例1,2,7の紙は、絵具適性はあるものの、湿潤摩擦強度、内部結合強度、湿潤引張強度の何れについても実用に適さないものであった。これは、硫酸バンドを添加しなかったことにより各種抄紙薬品による効果が十分に得られなかったことが理由であると考えられる。
【0068】
また、実施例4と参考例1の結果から明らかなように、グァガムに対して0.5倍よりも多い量の硫酸バンドを添加しても湿潤摩擦強度、内部結合強度、湿潤引張強度の更なる向上は見られないことに加え、抄紙系内がカチオン性に偏ることにより汚れの要因となることから、操業性と経済面の双方から好ましくないことが明らかである。
【0069】
また、実施例1,2と比較例3,6の結果から、ポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂とグァガムの添加比率は、重量比率で1:1〜1:2の範囲であることが好ましい。比較例6のようにグァガムの添加率がポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂の添加率に対し重量比率で1より少なくなると、湿潤摩擦強度、内部結合強度、湿潤引張強度の何れについても劣るものとなる。逆に、比較例3のようにグァガムの添加率がポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂の添加率に対し重量比率で2を超えると、パルプスラリーの電位が過剰なマイナスに偏り原料薬品の定着が悪化し、特に、内部結合強度の低下につながった。
【0070】
さらに、実施例2,5と比較例4,5の結果から明らかなように、ポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂との併用にはアニオン性又は両性のグァガムが必要となる。これは、カチオン性であるポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂とアニオン性又は両性であるグァガムとが好適に結合し紙力を向上させる為である。