(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6462701
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】燃料用脂肪酸エステルを生成する装置と方法
(51)【国際特許分類】
C10L 1/02 20060101AFI20190121BHJP
C11C 3/10 20060101ALI20190121BHJP
C11C 3/08 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
C10L1/02
C11C3/10
C11C3/08
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-546187(P2016-546187)
(86)(22)【出願日】2014年10月1日
(65)【公表番号】特表2016-536445(P2016-536445A)
(43)【公表日】2016年11月24日
(86)【国際出願番号】IB2014001976
(87)【国際公開番号】WO2015049573
(87)【国際公開日】20150409
【審査請求日】2017年9月30日
(31)【優先権主張番号】13380042.5
(32)【優先日】2013年10月3日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516097860
【氏名又は名称】スーパークリティカル アイデアス,エスエル
(74)【代理人】
【識別番号】100081053
【弁理士】
【氏名又は名称】三俣 弘文
(72)【発明者】
【氏名】コルネット セラーノ,マリア ウルスラ
(72)【発明者】
【氏名】アツカラテ カペル,パウ
【審査官】
森 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−036817(JP,A)
【文献】
特開2006−188590(JP,A)
【文献】
特開2004−182966(JP,A)
【文献】
特許第4349491(JP,B2)
【文献】
国際公開第2009/118779(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10L 1/00
C11C 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ポンプ(3)に第1供給パイプ(2)を介して接続される、油又は脂肪若しくはその両方(以下「油成分」と称する)を収納する第1タンク(10)と、
前記第1ポンプ(3)は所定の圧力で前記油成分を供給し、
第2ポンプ(5)に第2供給パイプ(4)を介して接続される、ライトアルコール(light alcohol)を収納する第2タンク(11)と、
前記第2ポンプ(5)は、前記所定の圧力で前記ライトアルコールを供給し、
前記第1ポンプ(3)と第2ポンプ(5)が、前記油成分とライトアルコールを供給する反応容器(12)と、
前記反応容器(12)は、加熱手段を具備する巻回したコイル状の管状容器(30)を有し、前記加熱手段は、前記第1ポンプ(3)と第2ポンプ(5)により提供される圧力と使用されるライトアルコールを超臨界の温度にその内部を維持し、触媒を使用せずに前記油成分とライトアルコールのエステル化反応とトランスエステル化反応を生成し、
媒体(affluents)を加熱し、前記反応容器(12)からの反応物(reaction effluents)を冷却する第1熱交換機(8)と、
前記反応容器(12)の前記反応物の出口領域に接続され、減圧する為に圧力と流速を制御するバルブを具備する反応物用の減圧タンク(21)と、
生成されたエステルと反応副産物用の出口(50)を有し、前記減圧タンク(21)に関連する反応の際生成された余剰ライトアルコールを回収する手段と、
を有する燃料用脂肪酸エステルを生成する装置において、
前記減圧タンク(21)に連結された出口領域の前の反応容器のセクタをカバーする前記管状容器(30)のセグメント内で、所定の反応温度と反応圧力で前記反応生成物(reaction product)を撹拌する撹拌手段をさらに有し、
前記撹拌手段は、再循環パイプ(23)を介して反応圧力で反応生成物を再循環させる第3ポンプ(22)を有し、前記再循環パイプ(23)は、前記反応容器(12)の前記後部領域近傍の管状容器の領域に入口と前記管状容器(30)の前部領域に出口とを具備し、前記反応生成物の速度と動きを、前記入口と出口により区分された前記管状容器(30)のセクター内で増加させ、前記第3ポンプ(22)は、前記後部領域の前の前記反応容器(12)のセクターをカバーする
ことを特徴とする燃料用脂肪酸エステルを生成する装置。
【請求項2】
前記撹拌手段は、モータ(29)により駆動されるロッド(27)の端部にプロペラ(28)を具備する撹拌装置(26)を含み、前記ロッド(27)の一部とプロペラ(28)は、前記ロッド(27)と同軸のガスケットを介して前記管状容器(30)内に挿入され、前記反応容器(12)の出口の前の前記管状容器(30)のセグメント内に配置された少なくとも2個の撹拌装置(26)を一体にする
ことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記反応容器(12)は、フランジ(31)によりその各端部で閉鎖された第1断面積の複数の線形セグメントを有し、前記複数の線形セグメントは、前記フランジ(31)を貫通するより小さな第2断面積の連結エルボウ(32)により相互に接続され、
前記撹拌装置は、前記連結エルボウ(32)に沿って前記フランジ(31)にリンクされ、前記プロペラ(28)を支持するロッド(27)は、前記フランジ(31)の開口部を介して前記管状容器(30)の線形セグメント内に入る
ことを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記反応容器(12)は、フランジ(31)によりその各端部で閉鎖された第1断面積の複数の線形セグメントを有し、前記複数の線形セグメントは、前記フランジ(31)を貫通するより小さな第2断面積の連結エルボウ(32)により相互に接続され、
前記第3ポンプ(22)は、前記2つの連結エルボウ(32)をリンクする前記再循環パイプ(23)に挿入される
ことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項5】
(H)前記第1ポンプ(3)と第2ポンプ(5)により前記油成分とライトアルコールを含む圧力流体が供給される混合装置(6)と、
(I)前記混合装置(6)から前記第1熱交換機(8)に前記圧力流体を逆流させ、これにより前記反応物からの熱エネルギーを前記圧力流体に加える第1パイプ(7)と、
(J)加熱された前記圧力流体を第2熱交換機(20)に搬送する第2パイプ(9)と、
を更に有し、これにより、前記圧力流体に熱エネルギーを与え、前記反応温度での圧力流体を前記反応容器(12)の管状容器(30)内に導入する、
ことを特徴とする請求項2又は4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記反応容器(12)の管状容器(30)内に導入する前に、前記加熱された反応流体を撹拌するダイナミックミキサー装置を、前記第2熱交換機(20)の後に配置された混合物供給パイプ(24)に挿入する
ことを特徴とする請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記管状容器(30)は、複数の前記セグメント内に、前記管状容器(30)の温度を制御するために、
前記セグメントに熱エネルギーを供給する手段と、前記反応容器(12)の温度を測定する手段とを有する
ことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記熱エネルギーを供給する手段は、
温度が測定される前記管状容器(30)の各セグメントを包囲する管状スリープ(35)と、
所定の熱エネルギーを供給するために、温度制御された流体を前記スリープ内に選択的に導入する手段と
を有する
ことを特徴とする請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記管状スリープ(35)には前記温度制御された流体が個別に供給される、又は
前記管状スリープ(35)が複数ある場合には、前記複数の管状スリープ(35)は、互いに連結され、前記温度制御された流体がまとめて供給される
ことを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記熱エネルギーを供給する手段は、防炎カバーを具備するトレーサーワイヤー(37)の形態の加熱要素を含む
ことを特徴とする請求項7記載の装置。
【請求項11】
前記熱エネルギーを供給する手段は、前記管状容器(30)に伝熱状態で接触するトレーサーパイプ(36)を有する
ことを特徴とする請求項7記載の装置。
【請求項12】
前記反応容器(12)は、前記減圧タンク(21)の前に、第2管状反応容器(40)を有し、
前記第2管状反応容器(40)は、加熱手段を具備する巻回されたコイルを有し、所定の油成分を、異質の触媒(heterogeneous catalyst)で2Mpaの圧力と150℃の臨界未満温度で熱処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油又は脂肪若しくはその両方(油脂)とメタノールのようなアルコールから脂肪酸エステルを生成する装置に関する。
本発明は、更に様々な酸化レベルを変えるステップと、脂肪酸エステル化反応とグリセド・トランスエステル化反応とを同時に行わせるステップとから開始して脂肪エステルを生成する方法に関する。
本発明は、バイオ燃料とバイオディーゼル燃料の生成にも適用可能であり、脂肪から得られたエステルを利用する化学産業と化粧品産業にも応用可能である。
【背景技術】
【0002】
ライト・アルコール・エステル(例、メタノール)を生成する現在の技術は、触媒と低酸精製油(low acid refined oil)が必要である。その理由は、この様な触媒の存在と脂肪グリセドのトランスエステル化反応(transesterification reaction of fatty glyceride)が、後で分離しなければならない酸生成ソープ(acids yield soap)(鹸化反応(saponification reaction))の存在につながるからである。
【0003】
本発明のプロセスにより、脂肪酸エステル化反応とグリセリドのトランスエステル化反応が、触媒の存在なしに同時に起き、高温高圧状態を生成する。この様な温度と圧力の条件は、アルコールが超臨界(臨界超過)状態にあることを示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−182966号公報
【特許文献2】国際公開パンフレット第2007/026032号
【0005】
特許文献1は、超臨界で動作する管状の反応容器内で、脂肪と油の混合物(油脂)から脂肪酸エステルを生成する装置を開示する。この装置は、反応容器に供給される脂肪と油を予め加熱するプリヒーターと、前記アルコールの臨界温度以下の温度にアルコールを予め加熱するプリヒーターと、その結果予め加熱された油と脂肪(油脂)とアルコールの混合物の温度を、反応温度にまで高め、その後反応容器に供給する。
【0006】
特許文献2は、様々な種類の脂肪と油と様々な種類のアルコールを、超臨界のアルコールに分解する化学反応容器を開示する。脂肪と油の両方がそれぞれのポンプを介して反応容器内に直接導入される。反応物(effluent)の熱交換機と脂肪と油の熱交換機とを有し、それらが化学反応容器に供給される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前掲の特許文献に開示されたのと類似の反応容器を提案し、反応条件を改善して従来技術にはない幾つかの措置を講じて処理される脂肪酸の変換を容易にする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前掲の特許文献に開示された従来技術によれば、従来の装置は、
(A)第1ポンプ3に第1供給パイプ2を介して接続される、油又は脂肪若しくはその両方を収納する第1タンク10と、
前記第1ポンプ3は、所定の圧力で前記油又は脂肪若しくはその両方を供給し、
(B)第2ポンプ5に第2供給パイプ4を介して接続される、ライトアルコールlight alcoholを収納する第2タンク11と、
前記第第2ポンプ5は、前記所定の圧力で前記ライトアルコールを供給し、
(C)前記第1ポンプ3と第2ポンプ5が、前記油又は脂肪若しくはその両方とライトアルコールを供給する反応容器12と、
前記反応容器12は、流体が30−45分の間若しくはそれ以上滞留する長さの加熱手段を具備する巻回したコイル状の管状容器30を有し、前記加熱手段は、前記第1ポンプ3と第2ポンプ5により提供される圧力15Mpaと25Mpaの間と使用されるライトアルコールを超臨界の温度280℃と325℃の間にその内部を維持し、触媒を使用せずに前記油又は脂肪若しくはその両方とライトアルコールのエステル化反応とトランスエステル化反応を生成し、
(D)媒体(affluents)を加熱し、前記反応容器(12)からの反応物(reaction effluents)を冷却する第1熱交換機8と、
(E)前記反応容器12の前記反応物の出口領域に接続され、減圧する為に圧力と流速を制御するバルブを具備する反応物用の減圧タンク21と、
(F)生成されたエステルと反応副産物用の出口50を有し、前記減圧タンク21に関連する反応の際生成された余剰ライトアルコールを回収する手段と、
を有する。
本発明の装置は、更に(G)前記反応容器12の前記減圧タンク21方向への出口領域のセクターをカバーするセグメント内で、反応温度と反応圧力で反応生成物(reaction product)を撹拌する撹拌手段を有する。
【0009】
本発明の一実施例によれば、前記撹拌手段は、再循環パイプ23を介して反応圧力で反応生成物を再循環させる第3ポンプ22を有し、前記再循環パイプ23は、前記反応容器12の前記後部領域(出口)近傍の管状容器の領域に入口と前記管状容器30の前部(入口)領域に出口とを具備し、前記反応生成物の速度と動きを、前記入口と出口により区分された前記管状容器30のセクター内で増加させる。前記第3ポンプ22は、前記後部領域の前の前記反応容器12のセクターをカバーする。反応容器の最終セグメント内におけるこの様な速度の向上は、前記の最終領域における反応を促進させる。その理由は、反応生成物の撹拌が反応にかなりの程度寄与するからである。
【0010】
この様な構成攪拌装置により反応生成物の動きと振動が発生する。このような動きと振動を行わせるのは主に反応容器の最終(出口)領域が好ましい。その理由はこの最終領域では反応はより緩慢となり更には不完全になることもあるからである。
【0011】
別の構成として前記の撹拌は、高い圧力と温度の元で動作する1つあるいは複数の撹拌装置を配備して行われる。この攪拌装置はモーターにより駆動されるロッドの端部にプロペラを有する。このプロペラとロッドの一部が反応容器内に配置される。
【0012】
更に本発明は、脂肪と油(油脂)とアルコールを反応容器と混合装置に直接提供する。この混合装置は例えばスタティック・ミキサーでもよい。更に反応生成物を攪拌機のような撹拌装置を用いるダイナミックミキサーでもよい。そのミキサー装置には、第1と第2のポンプにより圧縮された圧力流体が供給される。この反応混合物は、第1パイプにより前記ミキサーから第1熱交換機に逆流するように移送され第2パイプにより戻される。第1熱交換機が反応物からの熱エネルギーを上記流体に与える。第2パイプは前記加熱された反応混合物を第2熱交換機に提供する。この第2熱交換機は、それに熱エネルギーを加えその後反応温度で前記混合物を反応容器に導入する。
【0013】
反応容器内のスタート時からの反応の開始は、従来技術で記載された構成で実行される。
【0014】
この反応を加速させるために、本発明の実施例に従って、必要によって、反応容器の様々なセグメントの温度変動を、温度を測定する手段と熱エネルギーを供給する手段により、制御する。
【0015】
特定の油又は脂肪若しくはその両方例えばパルミチン酸(palmitic)を高濃度で含む油を処理するために、上記の反応容器に加えて、第2の管状反応容器を減圧タンクの前に配置する。この中で、異質な触媒(heterogeneus catalyst)を用いて、150℃のサブ臨界未満温度と2Mpaのオーダーの圧力で処理するステップを実行する。
【0016】
更に本発明によれば、本発明の油又は脂肪若しくはその両方とライトアルコールから燃料用脂肪酸エステルを生成する方法は、
(A)管状容器30で形成された反応容器12内で、油と脂肪若しくはその両方とライトアルコールからなる混合物のエステル化反応とトランスエステル化反応を30−45分間行わせるステップと、
前記管状容器30は、使用されるライトアルコールに関連する280℃と325℃の間の超臨界の温度と15Mpaと25Mpaの間の圧力で動作するよう巻回されたコイル形状の加熱装置を有しており、
(B)前記反応容器12の出口50に接続されている減圧タンク21内の反応から得られたエステルを回収するステップと、
(C)前記反応容器12内の前記圧力と温度条件の元で、前記反応容器12の出口付近セグメントをカバーするセクター内で、反応混合物(reaction mixture)を撹拌するステップと、を有する。
【0017】
本発明の方法は、更に、特定の油又は脂肪若しくはその両方例えばパルミチン酸を(D)異質な触媒でもって追加的な処理を行うステップを有する。前記ステップ(D)は、前記第2管状反応容器40内で、2Mpaの圧力と150℃の臨界未満温度で1−2時間行う。
【0018】
本発の幾つかの実施例を添付した図面と共に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第一実施例による本発明の装置を表す図。
【
図2】第1実施例の管状反応容器12の拡大図で、反応容器の様々なセグメントにエネルギーを供給する手段と前記セグメント内の温度を制御する手段とを示す図。
【
図3】反応生成物を撹拌する手段を含む反応容器の構造図。
【
図4】接続エルボウ32により相互に接続され断熱材料33により包囲された16個の管状セグメント30を含む反応容器の拡大図。
【
図5】本発明の第2実施例で、加熱流体加熱油をパイプ36内に流すことにより反応容器のセグメント30を保温する図。
【
図6】本発明の第3実施例で、電気ヒーター37により管状容器30を保温する状態を表す図。
【
図7】上記の反応容器12に加えてある種の油を処理するために必要な異質の触媒で追加的ステップを実行するのに用いられる第2管状反応容器40を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示すように、以下の構成
第1ポンプ3に第1供給パイプ2を介して接続される、油又は脂肪若しくはその両方を収納する第1タンク10と、
前記第1ポンプ3は、所定の圧力で前記油又は脂肪若しくはその両方を供給し、
第2ポンプ5に第2供給パイプ4を介して接続される、ライトアルコールlight alcoholを収納する第2タンク11と、
前記第第2ポンプ5は、前記所定の圧力で前記ライトアルコールを供給し、
前記第1ポンプ3と第2ポンプ5が、前記油又は脂肪若しくはその両方とライトアルコールを供給する反応容器12と、
前記反応容器12は、流体が30−45分の間若しくはそれ以上滞留する長さの加熱手段を具備する巻回したコイル状の管状容器30を有し、前記加熱手段は、前記第1ポンプ3と第2ポンプ5により提供される圧力15Mpaと25Mpaの間と使用されるライトアルコールを超臨界の温度280℃と325℃の間にその内部を維持し、触媒を使用せずに前記油又は脂肪若しくはその両方とライトアルコールのエステル化反応とトランスエステル化反応を生成し、
媒体を加熱し前記反応容器12からの反応物を冷却する第1熱交換機8と、
前記反応容器12の前記反応物の出口領域に接続され、減圧する為に圧力と流速を制御するバルブを具備する反応物用の減圧タンク21と、
生成されたエステルと反応副産物用の出口50を有し、前記減圧タンク21に関連する反応の際生成された余剰ライトアルコールを回収する手段と、
を有する脂肪酸エステルを生成する装置は公知である。
【0021】
本発明の装置は、更に、前記反応容器12の前記減圧タンク21方向への出口領域のセクターをカバーするセグメント内で、反応温度と反応圧力で反応生成物を撹拌する撹拌手段を有する。
【0022】
図1,2に示す第1実施例によれば、本発明の撹拌手段は、再循環パイプ23を介して反応圧力で反応生成物を再循環させる第3ポンプ22を有し、前記再循環パイプ23は、前記反応容器12の前記後部領域近傍の管状容器の領域に入口と前記管状容器30の前部領域に出口とを具備し、前記反応生成物の速度と動きを、前記入口と出口により区分された前記管状容器30のセクター内で増加させ、前記第3ポンプ22は、前記後部領域の前の前記反応容器12のセクターをカバーする。
【0023】
図3,7に示す第2実施例によれば、本発明の撹拌手段は、モータ29により駆動されるロッド27の端部にプロペラ28を具備する撹拌装置26を含み、前記ロッド27の一部とプロペラ28は、前記ロッド27と同軸のガスケットを介して前記管状容器30内に挿入され、前記反応容器12の出口の前の前記管状容器30のセグメント内に配置された少なくとも2個の撹拌装置26を一体にする。
【0024】
図1に示すように、本発明の装置は、
*前記第1ポンプ3と第2ポンプ5により前記油又は脂肪若しくはその両方とライトアルコールを含む圧力流体が供給される混合装置6と、
*前記混合装置6から前記第1熱交換機8に前記圧力流体を逆流させ、これにより前記反応物からの熱エネルギーを前記圧力流体に加える第1パイプ7と、
*加熱された前記圧力流体を第2熱交換機20に搬送する第2パイプ9と、
を更に有し、これにより、前記圧力流体に熱エネルギーを与え、前記反応温度での圧力流体を前記反応容器12の管状容器30内に導入する。
【0025】
圧力流体が、適宜に混合した状態で反応容器12内に入るようにさせるために、本発明の装置は、例えばモーターにより操作されるブレードあるいはプロペラを具備する撹拌装置を第2熱交換機20の後で混合物供給パイプ24内に搭載する。
【0026】
図3に示すように、管状容器30は、フランジ31によりその各端部で閉鎖された第1断面積の複数の線形セグメントを有し、前記複数の線形セグメントは、前記フランジ31を貫通するより小さな第2断面積の連結エルボウ32により相互に接続される。攪拌装置26は、連結エルボウ32に沿って、フランジ31に連結して搭載され、そのロッド27は、十分な機械的手段により管状容器30内に入り、圧力と温度を行き渡らせる。
【0027】
前記第3ポンプ22を撹拌装置(
図2)として用いた場合には、第3ポンプ22は、前記2つの連結エルボウ32をリンクする再循環パイプ23に挿入される。
図4は、連結エルボウ32によりリンクされた複数の線形セグメントの手段により構成された管状反応容器を示す。支持構造(図示せず)により支持された管状セグメント30は、ロックウール33のような断熱材料で包囲されている。
【0028】
図2は、反応容器の管状容器30の1つ或いは複数のセグメントに熱エネルギーを供給する手段の詳細を示す。この手段は前記管状容器30の温度を制御するためである。前記熱エネルギーを供給する手段は、前記管状容器30の各セグメントを包囲する管状スリープ35を有し、その中に温度測定手段が配置されている。管状スリープ35は、必要によっては、所定の熱エネルギーを供給するために、温度制御された流体を前記スリープ内に選択的に導入する手段を有する。これにより、管状スリープ35内の温度を280℃と325℃の間に維持する。
【0029】
前記管状スリープ35には前記温度制御された流体が個別に供給される、又は前記管状スリープ35が複数ある場合には、前記複数の管状スリープ35は、互いに連結され、前記温度制御された流体がまとめて供給される。
【0030】
図5は、熱エネルギーを供給する他の手段を示す。この他の熱エネルギーを供給する手段は、前記管状容器30に伝熱状態で接触するトレーサーパイプ36を有する。
【0031】
図6は熱エネルギーを供給する他の手段を示す。この他の熱エネルギーを供給する手段は、防炎カバーを具備するトレーサーワイヤー37の形態の加熱要素を含む。
【0032】
図7は本発明の他の態様を示す。前記反応容器12は、前記減圧タンク21の前に、制御バルブ38と連通しその出口に関連する第2管状反応容器40を有する。前記第2管状反応容器40は、加熱手段を具備する巻回されたコイルを有し、所定の油又は脂肪若しくはその両方を、異質の触媒で2Mpaの圧力と150℃の臨界未満温度で熱処理を行う。
【0033】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。
【符号の説明】
【0034】
2:供給パイプ
3:第1ポンプ
4:供給パイプ
5:第2ポンプ
6:混合装置
7:第1パイプ
8:第1熱交換機
9:戻りパイプ
10:第1タンク
11:第2タンク
12:反応容器
20:第2熱交換機
21:減圧タンク
22:第3ポンプ
23:再循環パイプ
24:混合物供給パイプ
25:混合物供給パイプ
26:撹拌装置
27:ロッド
28:プロペラ
29:モータ
30:管状容器
31:フランジ
32:連結エルボウ
33:ロックウール
35:管状スリーブ
36:トレーサーパイプ
37:トレーサーワイヤ
38:制御弁
40:第2管状反応容器
50:出口