(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6462717
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】可撓性フラップを有するイヤーピース
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20190121BHJP
【FI】
H04R1/10 104Z
H04R1/10 104A
【請求項の数】24
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-559348(P2016-559348)
(86)(22)【出願日】2015年3月26日
(65)【公表番号】特表2017-513391(P2017-513391A)
(43)【公表日】2017年5月25日
(86)【国際出願番号】US2015022767
(87)【国際公開番号】WO2015148812
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2016年11月25日
(31)【優先権主張番号】14/227,291
(32)【優先日】2014年3月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・シー・シルヴェストリ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ディ・ティン
【審査官】
渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−323363(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/016336(WO,A2)
【文献】
特表2007−518355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/00− 9/08
A61F 11/00−11/14
H04R 1/10
H04R 25/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イヤーピース用のイヤーチップであって、
前部及び後部を有する本体であって、前記前部は前記後部より深く耳に入るように構成された、本体;及び、
前記本体から延在する2つの可撓性フラップであって、前記2つの可撓性フラップは、共に前記本体の周りに概して円錐台形形状を形成する第1のフラップ及び第2のフラップを備え、前記本体の少なくとも一部が前記2つの可撓性フラップによって部分的に包囲され、前記第1のフラップ及び前記第2のフラップは、前記前部と前記後部との間の異なる距離で前記本体に連結されており、前記第1のフラップ及び前記第2のフラップそれぞれの前面は、前記前部の外面への接平面に対して角度を付けて前記本体の前記前部の外面に連結されており、前記第1のフラップを前記本体に連結する角度は、前記第2のフラップを前記本体に連結する角度と異なる、2つの可撓性フラップ;
を備えることを特徴とするイヤーチップ。
【請求項2】
前記2つの可撓性フラップの前記第1のフラップは、前記2つの可撓性フラップの前記第2のフラップのサイズより小さいことを特徴とする請求項1に記載のイヤーチップ。
【請求項3】
前記第1のフラップは、前記イヤーチップが、外耳道の入口に位置する前記本体の前記前部で人の耳内に保持される際に、前記第1のフラップが前記人の耳の耳珠の内側面上にあるような位置で前記本体に連結されることを特徴とする請求項2に記載のイヤーチップ。
【請求項4】
前記第1のフラップは、第1の長円の一部分の形状を有し、かつ、前記第1の長円の半分より小さなサイズを有することを特徴とする請求項2に記載のイヤーチップ。
【請求項5】
前記第2のフラップは、第2の長円の一部分の形状を有し、かつ、前記第2の長円の半分より大きなサイズを有することを特徴とする請求項2に記載のイヤーチップ。
【請求項6】
前記2つの可撓性フラップの前記第1のフラップは、第1の内周で前記本体に連結され、かつ、第1の外周と、前記第1の内周と前記第1の外周との間を延在する第1及び第2の端部と、を有し、
前記2つの可撓性フラップの前記第2のフラップは、第2の内周で前記本体に連結され、かつ、第2の外周と、前記第2の内周と前記第2の外周との間に延在する第3及び第4の端部と、を有し、前記第1の端部は、前記第1の内周及び前記第2の内周に沿って前記第3の端部と重なり、かつ、前記第2の端部は、前記第1の内周及び前記第2の内周に沿って前記第4の端部と重なることを特徴とする請求項1に記載のイヤーチップ。
【請求項7】
前記第1の端部及び前記第3の端部は、第1及び第2の内周で約0mm〜約1mmの幅を有する隙間によって分離されていることを特徴とする請求項6に記載のイヤーチップ。
【請求項8】
前記第1の端部及び前記第3の端部は、第1及び第2の外周で約0.1mm〜約1.6mmの幅を有する隙間によって分離されていることを特徴とする請求項6に記載のイヤーチップ。
【請求項9】
各フラップは、約0.15mm〜約1.5mmの厚みを有することを特徴とする請求項1に記載のイヤーチップ。
【請求項10】
イヤーピース用のイヤーチップであって、
前部及び後部を有する本体であって、前記前部は前記後部より深く耳に入るように構成された、本体;及び
前記本体を覆う円錐台形構造を共に形成する第1のフラップ及び第2のフラップを備える2つの可撓性フラップであって、前記本体の少なくとも一部が、前記円錐台形構造によって部分的に包囲される、2つの可撓性フラップ;
を備え、
前記2つの可撓性フラップのそれぞれは、前記後部より前記前部により近い内周と、前記前部より前記後部により近い外周を有し、前記2つの可撓性フラップは、また、前記内周と前記外周との間にそれぞれ延在する2つの端部をそれぞれ備え、前記2つの可撓性フラップの少なくとも2つの端部は、重複領域において前記内周または前記外周の周方向に沿って重なっており、
前記第1のフラップの内周と前記第2のフラップの内周は、前記前部と前記後部との間の異なる距離で前記本体に連結されており、記第1のフラップ及び前記第2のフラップそれぞれの前面は、前記前部の外面への接平面に対して角度を付けて前記本体の前記前部の外面に連結されており、前記第1のフラップを前記本体に連結する角度は、前記第2のフラップを前記本体に連結する角度と異なることを特徴とするイヤーチップ。
【請求項11】
前記本体の前記後部は、円形状を有する第1の領域と、フラップの下の1つまたは複数の平坦な第2の領域と、を有する面を備えることを特徴とする請求項10に記載のイヤーチップ。
【請求項12】
前記2つの可撓性フラップは、前記本体に向かって曲がるように構成されており、これにより、前記重複領域における前記端部は、周方向に沿って互いに向かって滑動し、前記重複領域の広さが増大することを特徴とする請求項10に記載のイヤーチップ。
【請求項13】
前記イヤーチップは、1つまたは複数の追加的な可撓性フラップを備えることを特徴とする請求項10に記載のイヤーチップ。
【請求項14】
前記2つの可撓性フラップは、シリコーンを備えることを特徴とする請求項10に記載のイヤーチップ。
【請求項15】
正確に2つの可撓性フラップを備えることを特徴とする請求項10に記載のイヤーチップ。
【請求項16】
前記2つの可撓性フラップの前記第1のフラップは、前記2つの可撓性フラップの前記第2のフラップよりサイズが小さいことを特徴とする請求項10に記載のイヤーチップ。
【請求項17】
音波を伝えるための音響経路としの開口を画定する本体であって、前記本体は前部及び後部を有し、前記前部は前記後部より深く耳に入るように構成された、本体;
前記本体に連結された2つのフラップであって、前記2つのフラップは第1のフラップ及び第2のフラップを備えており、各フラップは、負荷された力に応じて可撓性であり、これにより、前記本体の少なくとも一部を包囲し、前記第1のフラップ及び前記第2のフラップは、前記前部と前記後部との間の異なる距離で前記本体に連結されており、前記第1のフラップ及び前記第2のフラップそれぞれの前面は、前記前部の外面への接平面に対して角度を付けて前記本体の前記前部の外面に連結されており、前記第1のフラップを前記本体に連結する角度は、前記第2のフラップを前記本体に連結する角度と異なる、2つのフラップ;及び、
前記音響経路を通して伝えられる音波を放射するように構成された音響ドライバ:
を備えることを特徴とするイヤーピース。
【請求項18】
前記2つのフラップそれぞれは、前記本体に連結された内周と、前記本体から離間した外周と、を有し、前記2つのフラップそれぞれは、また、前記内周と前記外周との間にそれぞれ延在する少なくとも2つの端部を有し、前記フラップの少なくとも2つの端部は、重複領域において前記内周または前記外周の周方向に沿って重なっていることを特徴とする請求項17に記載のイヤーピース。
【請求項19】
前記イヤーピースは、円錐構造を形成するように相互に係合する1つまたは複数の追加的なフラップを備えること特徴とする請求項17に記載のイヤーピース。
【請求項20】
前部及び後部を有する本体であって、前記前部は前記後部より深く耳に入るように構成された、本体;
位置決め・保持構造;及び、
前記本体に連結され、かつ、前記本体から延在する2つ以上の可撓性フラップであって、2つ以上の可撓性フラップは、円錐台形状を形成する第1のフラップ及び第2のフラップを備えており、前記位置決め・保持構造は、前記本体から延在し、かつ、使用者の耳の対耳輪に支えられ、かつ、使用者の耳の対耳輪への外側へ圧力をかけ、前記使用者の耳の中のイヤーチップを保持する部材を含み、前記第1のフラップ及び前記第2のフラップは、前記前部と前記後部との間の異なる距離で前記本体に連結されており、記第1のフラップ及び前記第2のフラップそれぞれの前面は、前記前部の外面への接平面に対して角度を付けて前記本体の前記前部の外面に連結されており、前記第1のフラップを前記本体に連結する角度は、前記第2のフラップを前記本体に連結する角度と異なる、2つ以上の可撓性フラップ;
を備えることを特徴とするイヤーチップ。
【請求項21】
前記円錐台形状は約30°〜約90°の開口角度を有することを特徴とする請求項20に記載のイヤーチップ。
【請求項22】
前記2つ以上の可撓性フラップは、重複領域において重なる端部を有することを特徴とする請求項20に記載のイヤーチップ。
【請求項23】
前記位置決め・保持構造は、前記重複領域において人の外への恒常的な音漏れ形成することを特徴とする請求項22に記載のイヤーチップ。
【請求項24】
前記前部は、前記2つ以上の可撓性フラップを超えて延在し、かつ、前記後部の少なくとも一部は、1つ以上の前記可撓性フラップによって部分的に包囲されることを特徴とする請求項22に記載のイヤーチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、主に、1つまたは複数の可撓性フラップを含む、電子装置との使用のためのイヤーピースに関する。
【背景技術】
【0002】
イヤーピースは、例えば、イヤホン、ブルートゥース装置等のパーツとして人の耳内に配置され耳に音を届け得る。音質及び使用者の音響体験を高めるために、イヤーピースは、受動的な雑音減衰を向上させるように構成され得る。例えば、イヤーピースは、使用者の外耳道の入口を実質的に密閉し、これにより、耳に届けられた音が外部環境に漏れず、かつ、環境からの受動的な雑音等の他の音が実質的に遮断され得る。別の例では、イヤーピースは、状況認識のために不完全な密閉を有し得る。イヤーピースは、所望される音漏れの度合いを提供できる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様では、本願発明は、イヤーピース用のイヤーチップを特徴とする。2つの可撓性フラップが、共に、本体の周りに概ね円錐台形状を形成し、本体の少なくとも一部は、2つの可撓性フラップによって部分的に包囲される。
【0004】
別の態様では、本願発明は、本体と、位置決め・保持構造と、本体に連結され、かつ、本体から延在する2つ以上のフラップを備えるイヤーチップを特徴とする。2つ以上のフラップは、円錐台形状を形成する。位置決め・保持構造は、本体から延在し、かつ、使用者の耳の対耳輪に支えられ、かつ、使用者の耳の対耳輪への外側へ圧力をかけ、使用者の耳の中のイヤーチップを保持する部材を含む。
【0005】
別の態様では、本願発明は、イヤーピース用のイヤーチップを特徴とする。イヤーチップは、本体と、本体を覆う円錐台形構造を共に形成する2つの柔軟なフラップを備える。本体の少なくとも一部が、円錐台形構造によって部分的に包囲される。2つのフラップそれぞれは、本体に連結される内周と、本体から離間した外周を有する。2つのフラップは、また、内周と外周との間にそれぞれ延在する2つの端部をそれぞれ備える。2つのフラップの少なくとも2つの端部は、重複領域において内周または外周の周方向に沿って重なっている。
【0006】
別の態様では、本願発明は、音波を伝えるための音響経路としの開口を画定する本体と、本体に連結された2つのフラップと、音響経路を通して伝えられる音波を放射するように構成された音響ドライバと、を備えるイヤーピースを特徴とする。各フラップは、負荷された力に応じて可撓性であり、これにより、本体の少なくとも一部を包囲する。
【0007】
イヤーチップ及びイヤーピースの実施形態は、1つ以上の下記の特徴を含み得る。2つのフラップの第1のフラップは、2つのフラップの第2のフラップのサイズより小さい。本体は、前部及び後部を備え、第1のフラップは、イヤーチップが、外耳道の入口に位置する本体の前部で人の耳内に保持される際に、第1のフラップが人の耳の耳珠の内側面上にあるような位置で本体に連結される。第1のフラップは、第1の長円の一部分の形状を有し、かつ、第1の長円の半分より小さなサイズを有する。第2のフラップは、第2の長円の一部分の形状を有し、かつ、第2の長円の半分より大きなサイズを有する。2つのフラップの第1のフラップは、第1の内周で本体に連結され、かつ、第1の外周と、第1の内周と第1の外周との間を延在する第1及び第2の端部と、を有する。2つのフラップの第2のフラップは、第2の内周で本体に連結され、かつ、第2の外周と、第2の内周と第2の外周との間に延在する第3及び第4の端部と、を有する。第1の端部は、第1の内周及び第2の内周に沿って第3の端部と重なり、かつ、第2の端部は、第1の内周及び第2の内周に沿って第4の端部と重なる。第1の端部及び第3の端部は、第1及び第2の周で約0mm〜約1mmの幅を有する隙間によって分離されている。第1の端部及び第3の端部は、第1及び第2の外周で約0.1mm〜約1.6mmの幅を有する隙間によって分離されている。各フラップは、約0.15mm〜約1.5mmの厚みを有する。本体は、前部及び後部を備え、本体の後部は、円形状を有する第1の領域と、フラップの下の1つまたは複数の平坦な第2の領域と、を有する面を備える。2つのフラップは、本体に向かって曲がるように構成されており、これにより、重複領域における端部は、周方向に沿って互いに向かって滑動し、重複領域の広さが増大する。イヤーチップは、2つまたは3つのフラップを備える。2つのフラップは、シリコーンを備える。正確に2つのフラップがある。2つのフラップの第1のフラップは、2つのフラップの第2のフラップよりサイズが小さい。2つのフラップそれぞれは、本体に連結された内周と、本体から離間した外周と、を有し、フラップそれぞれは、また、内周と外周との間にそれぞれ延在する少なくとも2つの端部を有し、フラップの少なくとも2つの端部は、重複領域において内周または外周の周方向に沿って重なっている。イヤーピースは、円錐構造を形成するように相互に係合する3つ以上のフラップを備える。円錐台形状は約30°〜約90°の開口角度を有する。イヤーチップは、重複領域において端部が重なる少なくとも2つのフラップを備える。位置決め・保持構造は、前記重複領域において人の外への恒常的な音漏れ形成する。
【0008】
この発明の概要で説明されたものを含む、本願で説明される2つ以上の特徴が、本願で特に説明されていない応用例を形成するように組み合わされてもよい。
【0009】
1つ以上の実施例の詳細が、添付図及び下記の発明を実施するための形態において説明される。その他の特徴、目的、及び利点が、明細書及び図から、また、特許請求の範囲から明瞭になるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2A】イヤーピースのイヤーチップの等角図である。
【
図2G】例示的なペタルフラップによって形成される円錐台形構造の上面図である。
【
図2H】イヤーピースの例示的なチップのパーツの概略斜視図である。
【
図2I】イヤーピースの例示的なチップのパーツの概略斜視図である。
【
図2J】イヤーピースの例示的なチップのパーツの概略斜視図である。
【
図2K】イヤーピースの例示的なチップのパーツの概略斜視図である。
【
図3】人の耳内の例示的なイヤーピースの概略側面図である。
【
図4B】複数のフラップの内周の概略上面図である。
【
図4C】複数のフラップの内周の概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
例示的なイヤーピースは、サイズ及び形状の一定の範囲を有する異なる使用者の耳に篏合し得るチップを含む。チップは、異なる使用者の耳を密閉することもでき、これにより、使用者が体験する音質を向上させる。チップは、チップの本体を包囲する1つまたは複数のペタルフラップを含み得る。フラップは、楕円形状を有する底部を有する円錐台形状を形成し得る。フラップは、例えば電球形状等の他の形状を有してもよい。フラップは、円錐の母船に沿った少なくとも1つの破断部と、円錐台形状の底部の周方向に沿った2つの端部と、を有する連続した一繋ぎの材料であり得る。各端部は、円錐台形状の頂点と底部との間に延在し得る。ある実施例では、同一または異なる形状を有する2つ以上のペタルフラップが、チップ本体の周りに沿って、かつ、円錐台形状を形成する組み合せにおいて配置され得る。フラップの端部は、周方向に沿って重なり得る。
【0012】
フラップは、外耳道の異なる深さにチップが柔軟に挿入されることを可能にし、耳への音響密閉または音響結合をもたらす。ある実施例では、音響密閉は、受動的なノイズシールである。ある実施例では、フラップは、例えば、フラップの厚み、及び、フラップの端部間に形成された空隙等のフラップと関連するパラメータを調整することによって、外耳道内への恒常的な音漏れをもたらし得る。 これらのパラメータの詳細は、下記でさらに説明される。フラップは、使用者の外耳道への恒常的な結合を造るように外耳道の入口で使用者の耳を密閉するように構成され得る。フラップは、フラップの外周を圧縮すること、及び、外周での端部間の重なりを増やすことによって、使用者の外耳道の入口の不規則な形状に適合し得る。使用者の耳への密閉は、フラップなしのチップによって形成される密閉より外側に、使用者の外耳道に沿って形成され得る。 敏感な外耳道を有する使用がいる中で、チップを外に離して、外耳道の入口の近くに配置することによって、より快適な篏合が得られる結果となる。さらに、フラップを有するチップは、このようなフラップを有さないチップより、より容易に異なるサイズの耳に篏合し得る。外耳道の主軸に沿って調整される際、フラップは、その形状を変えて、それぞれの耳の形状に適合し、外周長を変える。例えば、フラップは、ペタルが圧縮されていない、または、僅かに圧縮された、大きな初期円錐台形状を柔軟に形成し、大きな耳に適合し得る。また、フラップは、圧縮され、フラップの端部が互いを追い越して滑動し、実効的な円錐サイズを小さくする際に、より小さな耳に篏合し得る。
【0013】
本願で説明されるある実施例では、左右のイヤーピースは、互いに対称するものであるが、同一の構造及び機能を有する。右のイヤーピースの特徴が下記に説明される。左のイヤーピースは、この例示的な実施例における同一の特徴を有する。
【0014】
図1Aは、耳の特徴を記された、人の右耳10の側面を示す。しかしながら、異なる耳は、異なるサイズ及び形状を有する。従って、人の耳の正確な構造は、個々で異なる。例えば、ある耳は
図1Aに示されていない追加的な特徴を有し、ある耳は、
図1Aに示される特徴のいくつかを欠き得る。同様に、異なる耳の特徴は、
図1Aに示される特徴より目立つ、または、目立たないことがある。
【0015】
図1B及び
図2Cは、人の耳12、14の2つの断面図を示す。これらの例では、外耳道は、様々な断面領域及び直線でない中心線を有する不規則な形状の円筒である。図に示される特徴の中で、が自動への入口と外耳道の主部分とが特徴である。この例では、が自動への入口は、外耳道の壁が外耳道の中心線に対して概して非平行な、甲介付近の外耳道の一部分と一致する。
図1Cの耳とは対照的に、
図1Bの耳は、外耳道の中心線30−1Bに対して非平行な外耳道壁から外耳道の中心線に対して概して平行な壁へ比較的急激な移行を有する。
図1Cに示される耳は、外耳道の中心線30−1Cに対して非平行な外耳道壁から外耳道の中心線に対して概して平行な壁へより緩やかな移行を有する。外耳道への入口32−1Cは、入口32−1Bに対して比較的長い。
【0016】
図2は、
図1A〜
図1Cの耳10、12、14に篏合するように構成された例示的なイヤーピース20を示す。イヤーピース20は、耳に届けられる音響信号を受信するためのケーブル及び同類物を位置決めするためのステム52、音響ドライバモジュール26、及び、
図2Aにも示されるチップ60を含む。あるイヤーピースは、ステム52を有さないが、外部装置とのワイヤレス通信のための電子モジュール(図示せず)を含み得る。あるイヤーピースは、ドライバ及び音響を含むが、ステム52及び電子モジュールを有さなくてもよい。他のイヤーピースは、ステム及び音響ドライバモジュールを有さないが、受動的なイヤープラグとして機能し得る。本願では、受動的なイヤープラグは、音響機能を含まない、すなわち、耳に音を提供しないイヤープラグを含む。
【0017】
図2Aは、
図2のイヤーピースの例示的なチップを示す。チップ60は、密閉構造48に連結された位置決め及び保持構造28を含む。位置決め及び保持構造28は、密閉構造48に一方の端部30で結合され、かつ、他方の端部32で互いに結合される、外側脚部22及び内側脚部24を含む。密閉構造は、本体34及び円錐台形構造36を形成する2つのペタルフラップ38、40を含む。本体34は、円錐台形構造36によって、または、その下に少なくとも部分的に覆われる後部42と、円錐台形構造36を超えて延在する前部44と、を含む。本体34は、後部42から前部44に延在する開口46を画定する。後部42において、音響ドライバモジュール26及びステム52は、開口46に取り付けられ得る。前部において、音波は開口を通じて耳に届けられ得る。図には示されていないが、ある実施例では、前部及び後部42、44を含む本体34全体が、円錐台形構造によって、または、その下に覆われる。例えば、前部44などの本体の一部は、時折、ノズルとも称される。
【0018】
図2Bは、1つのペタルフラップ38、40の組み合せから形成される例示的な円錐台形構造36を示す。構造36の底部80は、楕円または楕円に近い形状を有する。底部80の周囲は、2つのフラップ38、40の外周と一致する。構造36の頂部82は、本体34の前部44の断面形状と一致する形状を有する。例えば、その形状は、概して長円形、楕円形、または円形であり得る。頂部82の周囲は、フラップが本体34に連結するところでの2つのフラップ38、40の内周と一致する。頂部82と底部80との間の円錐面84は、チップ60が耳の中に配置される際も耳の壁に直面するフラップ38、40の外面と一致する。図に示されるように、底部80も頂部82も完全な楕円形または円形を有さない。これは、2つのフラップ間の隙間86があり、フラップの端部が周方向88で重なっているからである。従って、フラップの外面は、連続的な表面を形成しない。隙間及び重なり部の詳細は、下記でさらに説明される。
【0019】
図2C及び
図2Dは、
図2A及び
図2Bの円錐台形構造36を形成する例示的なペタルフラップの上面図を示す。ある実施例では、2つのフラップ38、40は、異なる形状およびサイズを有する。特に
図2及び
図2Cを参照すると、ペタルフラップ38は、通常、形状90の一部分のように見られる。フラップ38は、小さな内側長円形96の一部である内周92と、大きな外側長円形98の一部である外周94と、を有する。内周92は、チップ60の本体34に連結する。ある実施例では、ペタルフラップ38は、形状90の総合サイズの半分より小さく、かつ、内側長円形96の短軸104、または、外側長円形98の短軸102に対して対称である。内周92を形成する内側長円形96の一部は、内側長円形96の中心100からの中心角αと一致する。ある実施例では、角度αは、フラップ縁部112、116との間の角度とも一致し得る。ある実施例では、角度αは、180°より小さく、例えば、約95°〜約175°、又は、157.5°である。外周94を形成する外側長円形98の一部は、同一の中心角α、または、外側長円形98の異なる中心角と一致し得る。
【0020】
図2及び
図2Dを参照すると、ペタルフラップ40も、内側の小さな楕円122も一部を形成する内周126と、外側の大きな楕円124の一部を形成する外周128と、を有する形状120の一部分として概ね見ることができる。内側及び外側の楕円は、例示されるものであり、実際には、この実施例におけるイヤーピースの一部ではない。内周126は、チップ60の本体34に連結する。ある実施例では、大きな楕円124は、約7mm〜約15mm、例えば、約10.75mmの長半径と、約4mm〜約10mm、例えば、約6.75mmの短半径と、を有する。ある実施例では、小さな楕円122は、約2mm〜約7mm、例えば、約4.75mmの長半径と、約1mm〜約6mm、例えば、約3.75mmの短半径と、を有する。
【0021】
ある実施例では、ペタルフラップ40は、形状120の全体のサイズの半分より大きく、内側の楕円122又は外側の楕円124の短軸130、132に対して対称である。形状120と比較すると、フラップ40は、形状120における、例えば扇形の隙間である隙間134に相当する部分を有さない。ある実施例では、隙間134は、約55°〜約150°、または約85°の、180°より小さい中心角βに対応する内周136を有する。隙間134の外周138は、同一の中心角βまたは異なる角度と一致し得る。
【0022】
図2Iを参照すると、ある実施例では、各ペタルフラップ38、40は、例えば0.5mmの、約0.15mm〜約1.5mmの厚み150、152を有する。二つのフラップは、同一の厚み、または、異なる厚みを有し得る。フラップ38の内面154及び外面156は、例えば約0.5mmの合成半径R
bの湾曲面を介してフラップ38の外周94に連結し得る。湾曲面は、外周94への滑らかな感触をもたらし得る。同様に、フラップ40の外周128も滑らかになり得る。
【0023】
ペタルフラップ38、40の実際のサイズと形状は、例えばフラップの硬度といったイヤーピース材料特性、例えば製造のし易さといった製造工程等を、限定することなく含む様々な要因に基づいて異なり得る。例えば、異なるサイズのペタルフラップが、異なる耳のサイズを有する異なる使用者のグループのために使用され得る。ペタルフラップ38、40の例示的なセットの実際のサイズが、
図2E及び
図2Fの機構図にそれぞれ示される。図の寸法は、特記がない限りミリメータである。
【0024】
図2G、
図2H、及び、
図2Iの例を参照すると、チップ60の本体34上のペタルフラップ38、40は、2つのフラップの両端部流域164、166で周方向160に沿って重なる。例えば、フラップ40の内周126の部分162は、内周126の中心168での中心角γに相当する分だけフラップ38と重なる。フラップ40の内周126の他方の部分170は、中心168での中心角θに相当する分だけフラップ38と重なる。ある実施例では、角度γ、θは、同一または異なり得、かつ、例えば、約30°〜40°、または、約36°といった、約10°〜約60°の範囲内である。
【0025】
この例示的な実施例では、フラップ38、40の内周92、126は、本体34を包囲する円錐台形構造36の頂部を形成するように本体34に連結される。本体34の前部44は、周92、126によって画定される開口180を通って円錐台形構造36を超えて延在する。再び
図2Iを参照すると、ある実施例では、本体34上の2つのフラップ38、40の間に形成された底部隙間182は、例えば0.35mmといった、約0mm〜約1mmの幅を有する。ある実施例では、フラップ38、40の外周94、128は、例えば約0.8mmといた、約0.1mm〜約1.6mmの幅を有する頂部隙間を形成する。
【0026】
図2G〜
図2Iに示される例では、フラップ38は、フラップ40の前に配置され、これにより、重複領域164、166において、フラップ38の外面156が、フラップ44の外面より、前部44の前端により近くなる。フラップ38、40は、フラップ40がフラップ38の前になるように反対に配置され得る。本体34上のフラップ38の位置は、チップ60が耳の中に配置され固定される際に、フラップ38が耳の耳珠の内側(例えば
図1Aを参照)の上に位置するように選択される。フラップ38の比較的小さなサイズは、フラップが異なる耳の耳珠の形状に柔軟に適合することを可能にする。ある使用者にとって、この構成は耳へのより快適な適合及びより確実な密閉を提供し得る。
【0027】
ある使用にとって、端部領域164、166における2つにフラップ間の重なりもまた、外耳道に入る受動的雑音の音量を小さくするように耳への密閉をもたらし得る。フラップ38、40の外面が、耳の壁に押し付けられる際に、フラップは、本体34に向かって曲がり、円錐台形構造36の底部80(例えば
図2Bを参照)のサイズが小さくなる。圧縮の間、フラップの内周92、126は、チップ60の本体34に対しいて静止したままであり、その間、外周94、128は、領域164、166内で互いに向かって滑動する。結果として、外周に沿って、フラップ38、40は、それらが圧縮されていない時より大きく重なる。ある使用者にとって、増えた重なりは、チップが外耳道内へ深く入ることなく耳への侵入をさらに密閉する。
【0028】
ある実施例では、1つまたは複数のフラップによって形成される円錐の中心角が大きくなる際、すなわち、円錐がよりディスクのように見えだす際、チップ60は、その適切な位置が曖昧になり、耳内でのそれ自体を適切に配置することができなくなる。ある例では、チップ60の前部44は、チップが使用者の耳内に適切に配置される際、フラップ部分の密閉位置を超えて外耳道の入口と係合する。ノズルは、フラップ40、38の本体34と連結部を過ぎて延在し、かつ、使用者の外耳道のある部分と直接係合し得る。このノズルは、耳内に適切に配置されるためのチップの機能を向上させ、チップがより良好に安定することを可能にする。ノズルは、ノズルが外耳道壁上で静止力を生まないように、ノズルが典型亭な外耳道口より小さくなるようにサイズを決められる。むしろ、チップは、このようなノズルがない際に起こり得る、篏合の不安定さを削減するのに役立つように、設置される間の配置機構として使用される。ある実施例では、ノズルは、楕円状である外形を有する。楕円は、例えば約3.25mmといった、約1mm〜約5mmの範囲の長軸半径と、例えば約1.25mmといった、約0.5mm〜約3mmの範囲の短軸半径を有し得る。ある実施例では、ノズルは、約4.25mmといった約1mm〜約8mmの範囲の長さを有し得る。
【0029】
ある実施形態では(例えば
図2A及び
図2Iを参照)、フラップ38、40を本体34に向けて曲がり易くするために、本体34の後部42の概して円形の外面が、フラップ40、38の下の領域220、222において変形される。例えば、領域220、222において、本体材料は、取り除かれて平坦面を形成し、これにより、フラップ40、38は、本体材料が実質的に曲がるのを邪魔することなく領域220、222に向けて曲げられ得る。
【0030】
フラップは、任意の適切な分だけ曲がり得る。圧縮中のフラップの可撓性は、チップが異なるサイズ及び形状の耳に恒常的に篏合することを可能にし、これにより、各使用者のためにチップの構造をカスタマイズする必要性を減少させる。異なる使用者に必要とされる、または、体験した、圧縮の量及び増大した重なりは異なり得る。
【0031】
本体34の前部44に対するフラップ38、40の位置及び配向は、例えば、製造工程、または、使用者の耳のサイズ及び形状を含む様々な要因に基づいて選択され得る。ある実施例では、チップ60は、1つは、例えば子供たちといった、比較的小さな耳を有する使用者のグループのために、1つは、例えば、大多数の大人といった、中間サイズの耳を有する使用者のグループのために、そして、1つは、大きなサイズの耳を有する使用者のグループのために、複数の(例えば3つの)異なるサイズで製造され得る。本願で説明されるようなフラップ38、40の配置以外に、フラップのサイズ及び形状は、異なる形状のチップ用にコ異なり得る。
【0032】
図2Hは、平面におけるチップ60の一部の側面傾視図である。図に示される部位の例示的なサイズを示す目的のため、同一平面における5つの線A〜Eが下記に定義される。
【0033】
線Aは、矢状面に略平行になり得る甲介面に略平行な平面に存在する。線Bは、ペタル40の前面に接する平面に存在する。線Cは、ノズル44の前面に接する平面に存在する。線Dは、ペタル40の外周128に接する平面に存在する。線Eは、ペタル38の前面に接する兵メインに存在する。
【0034】
ある実施例では、線B及び線Eは、または、ペタル38、40の前面は、例として図に示されるように、例えば、約116.76°といった、約60°〜約180°の角度を形成する。この角度は、ペタルによって形成される円錐頂部区域の角度を画定し、この観点から互いに対してペタルを配置する。ある実施例では、線A及び線Bは、または、ペタル40の前面及び線Aは、例として図に示されるように、例えば、約15.38°といった、約−30°〜約60°の角度を形成する。この角度は、2つのペタル38、40を本体34上に配置する。ある実施例では、線A及び線Dは、または、ペタル40の外周128及び線Aは、例として図に示されるように、例えば、約48.00°といった、約10°〜約85°の角度を形成する。ある実施例では、円錐台形構造36の高さは、例として図に示されるように、例えば、約4.66mmといった、約1mm〜約8mmである。高さは、ペタル40上の最後点からペタル38上の最前点への距離として定義され得る。この距離は、線Dに、または、ペタル40の後面に平行な平面に垂直な線に沿って測定され得る。ある実施例では、線A及び線Cは、または、ノズル面及び線Aは、例として図に示されるように、例えば、約13.00°といった、約−20°〜約60°の角度を形成する。
図2Kは、矢状面におけるチップ60の一部の斜視図を示す。図において示される部位の例示的なサイズを示す目的のために、同一の矢状面における3つの線F〜線Hが下記に定義される。
【0035】
線Fは、
図2Hの平面に略平行な平面である。線Gは、ペタル38の前面に接する平面に存在する。線Hは、ペタル40の外周128に接する平面に存在する。
【0036】
ある実施例では、ペタル38、40によって形成される円錐区画の側面の角度は、例として図に示されるように、例えば、約141.05°といった、約60°〜約180°の角度を形成する。側面の角度は、この観点において互いに対してペタル38、40を配置する。ある実施例では、線F及び線Gは、または、ペタルによって画定される円錐面及び線Fは、例として図に示されるように、例えば、約109.00°といった、約45°〜約150°の角度を形成する。この角度は、本体34上のペタル38、40のピッチを規定する。ある実施例では、線F及び線Hは、または、ペタル40の外周128及び線Fは、例として図に示されるように、例えば、約90.00°といった、約45°〜約135°の角度を形成する。
図2Hに示される図と同様に、矢状面において、円錐台形構造36の高さは、例えば、4.55mmといった、約1mm〜約8mmである。
【0037】
別の実施例では、
図2H及び
図2Kに示されるもの以外の線または平面が、チップ60の異なるサイズを決定する上で規定され、使用され得る。
【0038】
フラップ38、40及び円錐台形構造36の形状及びサイズは、様々な使用者のために様々な利点をまだ提供する上で変化し得る。例えば、
図2Jを参照すると、フラップ38、40は、円錐形に連続する滑らかな面を有さなくてもよい。フラップが、フラップ40の領域230等の平坦な領域を有する代わりに、フラップ40の角232等の角を介して他の領域と連結され得る。
【0039】
1つまたは複数のフラップの端部の重複領域は、耳への密閉の異なる程度を提供するために異なる機構を有し得る。例えば、上述のように、重複領域は、耳が完全に密閉されることを可能にし得る。使用者の耳に挿入された際に、フラップの端部が、重複領域において隙間が極僅かから全くないようにされる。さらに、フラップの厚みは、内周から外周が非常に薄くなるように下方に先細にされ、これにより、圧縮されたフラップが密閉位置において僅かな空隙を生じるか、全く生じない。ある実施例では、重複領域は、外耳道への恒常的な漏れ経路を形成し得る。この例では、フラップの厚みが内周から外周に増やされ、かつ、フラップ間の隙間は、完全な密閉をもたらすためのチップにおいて使用される隙間より大きくなるように選定され得る。チップの周囲に沿って、フラップの一端部からフラップの他端部、または、異なるフラップの他端部への移行は、比較的急であり、これにより、フラップ間、または、フラップと使用者の外耳道口との間に形成される漏れ経路が存在する。
【0040】
再び
図2Aを参照すると、チップ60は、成形によって製造され得る。ある実施例では、密閉構造48及び位置決め・保持構造28を含むチップ60の全ての部位が、一体的に形成され得る。ある実施例では、本体34及びフラップ38、40を含む密閉構造48は、例えば、12、16、または20デュロメーターといった、8〜70ショアAデュロメーターのシリコーンを含む適切な材料を使用する成形を介して一体的に形成され得る。別の適切な材料は、TPEs、ウレタン、または他のゴム系材料を含み得る。位置決め・保持構造28は、成形を介して一体的に形成され得る。次いで、位置決め・保持構造28は、密閉構造48に連結され得る。ある実施例は、チップ60は、先ず硬性のデュロメーター材料を有するインサートピースを成形し、次いで、インサートピースの周囲に軟性のデュロメーター材料を正けりする2重射出成形工程で製造され得る。ある実施例では、チップ60は、防塵コートでコーティングされ得る。例示的なコーティング材料は、参照によって本願明細書にその内容全体が組み込まれる米国特許第8,600,096に説明されている。
【0041】
2つのペタルフラップが、
図2及び
図2A〜
図2Jに対して説明されるが、チップは、異なる数のペタルフラップをも含み得る。例えば、
図4Aを参照すると、ある実施例では、チップは、
図2Bに示される構造に似た、概ね円錐台形形状を有する1つのフラップを含み得る。フラップ400は、重複領域408における周方向410に沿って重なる2つの端部404、406によって形成された破断部402を含み得る。フラップ400は、内周412でチップの本体に連結され得る。重複領域408は、明細書の別の場所で説明されたフラップ38、40の重複領域のそれと類似する構造及び機能を有し得る。
【0042】
別の例では、2つより多い、例えば、3つ、4つ、5つ、または、それ以上のペタルフラップが単一のイヤーピースで使用され得る。例えば、
図4Bは、3つのフラップ426、428、430の内周420、422、424の上面図を示す。周方向432に沿ったフラップの縁部は、本願で説明されたフラップ38、40の重複領域のそれと同様の機構及び機能を有し実行する、領域434、436、及び438において重なる。
図4Cは、4つのフラップの内周450、452、454、456の上面図を示す。周方向460に沿ったフラップの縁部は、本願で説明されたフラップ38、40の重複領域のそれと同様の機構及び機能を有し実行する、重複領域462、464、466、及び468において重なる。
【0043】
使用において、
図2のイヤーピース20は、密閉構造48の前部44を外耳道の入口に向けて移動することによって耳10、12、14等の耳内に挿入される。本願で説明されるように、外耳道に対して圧縮する上で生成される力に応じて、円錐台形構造36の形状が変化する。ペタルフラップ38、40も、耳または外耳道の形状に適合するように、かつ、外耳道を密閉するように互いに対して滑動し得る。イヤーピース20は、イヤーピースの位置決め・保持構造28及び他の部分を使用して密閉位置に配向され保持され得る。
【0044】
イヤーピースが耳に配置され保持される例示的な工程は、
図3と関連して説明される。
図2のイヤーピース20は、右耳70内に配置され、内側に押される。イヤーピースは、矢印41によって示されるように反時計回りに回転され得る。イヤーピース20のチップ60を耳内に押すことによって、位置決め・保持構造28の外側脚部22が耳70の対耳輪の下の位置に移動させる力を生成する。また、押すことにより、外耳道の入口の寸法及び形状に従って、密閉構造48の前部44を少しだけ外耳道に入れる力が生成される(図示せず)。
【0045】
イヤーピース20は、次いで、イヤーピースはさらに回転され得ない、1つまたは複数の状態が起こるまで矢印41によって示されるように時計回りに回転される。この状態は、例えば、チップの先端72が耳輪脚に接触している状態、内側脚部24が耳輪脚に接触している状態、または、先端72が耳甲介舟の領域において対耳輪の後ろで傾いている状態を含み得る。位置決め・保持構造は、3つ全ての状態をもたらすが(以後、「モード」と称する)、全ての使用者にとって3つ全ての状態になることが必要ではなく、少なくとも1つのモードが殆どの使用者に起こるだろう。どの状態が起こるからは、使用者の耳のサイズ及び形状による。
【0046】
イヤーピースを時計方向に回転することによって、先端72及び外側脚部22を耳甲介舟の領域に係合させ、耳70の対耳輪の下に据え付ける。チップ及び位置決め・保持構造28が適所にある際、位置決め・保持構造及び/または本体が、複数の様式のうち、少なくとも2つで、人によってはもっと多くの様式で、殆どの人の耳に接触し、複数の様式とは:外側脚部22の長さ74が、甲介の後方で対耳輪と接触する;位置決め・保持構造28の先端72が、対耳輪の下にある;外側脚部22の一部またはチップ60或いは両方が、対珠の下にある;及び、チップ60が耳珠の下の外耳道の入口で接触する;ことを含む。2つまたはより多くの接触点が、多くの使用者にとって適所でイヤーピースを保持し、このような使用者にとってより向上した安定性を提供する。力の分散と、本体及び外側脚部の耳と接触する部分の適合性とが耳への圧力を和らげ、より快適な篏合をもたらし得る。
【0047】
適切に配向されように耳にイヤーピースを配置されることで安定し(耳内で)、よって快適であり、ある適用例では環境雑音のかなりの受動的な減衰をもたらすことが所望される。安定性及び適切な配向をもたらす1つの様式が上述され、また、参照によって本願に組み込まれる米国特許出願第12/860,531号明細書により完全に説明される。
【0048】
本願で説明された様々な応用要素が組み合されて、特に前述されていない他の実施形態を形成し得る。要素は、その機能に不利に影響することなく本願で説明された構造から外れていてもよい。さらには、様々な分離した要素が1つまたは複数の個々要素に組み合わされ、本願で説明した機能を実行し得る。
【符号の説明】
【0049】
10 耳
12 耳
14 耳
20 イヤーピース
22 外側脚部
24 内側脚部
26 音響ドライバモジュール
28 位置決め・保持構造
30 端部
32 端部
34 本体
36 構造
36 円錐台形構造
38 ペタルフラップ
40 ペタルフラップ
41 矢印
42 後部
44 前部
44 ノズル
46 開口
48 密閉構造
52 ステム
60 チップ
70 耳
72 先端
80 底部
82 頂部
84 円錐面
86 隙間
88 周方向
90 形状
92 内周
94 外周
96 内側長円形
98 外側長円形
100 中心
102 短軸
104 短軸
112 フラップ縁部
116 フラップ縁部
120 形状
122 楕円
124 楕円
126 内周
128 外周
130 短軸
132 短軸
134 隙間
136 内周
138 外周
154 内面
156 外面
160 周方向
162 部分
164 重複領域
166 重複領域
180 開口
182 隙間
400 フラップ
402 破断部
404 端部
406 端部
408 重複領域
410 周方向
412 内周
420 内周
422 内周
424 内周
426 フラップ
428 フラップ
430 フラップ
432 周方向
450 内周
452 内周
454 内周
456 内周
460 周方向
462 重複領域
464 重複領域
466 重複領域