特許第6462743号(P6462743)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6462743視聴条件更新方法、更新コード生成システム、更新コード生成装置、視聴条件管理装置、コンテンツ受信システム、および、コンテンツ配信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6462743
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】視聴条件更新方法、更新コード生成システム、更新コード生成装置、視聴条件管理装置、コンテンツ受信システム、および、コンテンツ配信システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/258 20110101AFI20190121BHJP
   H04N 21/266 20110101ALI20190121BHJP
   H04H 60/23 20080101ALI20190121BHJP
   H04H 60/15 20080101ALI20190121BHJP
   H04H 60/21 20080101ALI20190121BHJP
【FI】
   H04N21/258
   H04N21/266
   H04H60/23
   H04H60/15
   H04H60/21
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-37837(P2017-37837)
(22)【出願日】2017年3月1日
(62)【分割の表示】特願2015-49018(P2015-49018)の分割
【原出願日】2015年3月12日
(65)【公開番号】特開2017-139772(P2017-139772A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2017年12月13日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 販売日 2014年11月1日 販売場所 ピクセラ社オンラインショップ http://shop.pixela.co.jp/pix−dt355−pl1.html http://store.shopping.yahoo.co.jp/pixela−onlineshop/pix−dt355−pl1.html http://item.rakuten.co.jp/pixela−onlineshop/pix−dt355−pl1/ 公開者名 株式会社ピクセラ 販売日 2014年11月1日 販売場所 ドコモショップ北24条店他620店 詳細は発明の新規性喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書に添付の別紙1に記載 公開者名 株式会社ピクセラ 発行日 2015年3月6日 刊行物名 映像情報メディア学会技術報告、放送技術、2015年3月、Vol.39、NO.13、第9〜12頁、一般社団法人映像情報メディア学会 公開者名 大矢 智之、森住 俊美、関 友理
(73)【特許権者】
【識別番号】516193896
【氏名又は名称】智慧行動傳播科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(72)【発明者】
【氏名】大矢 智之
(72)【発明者】
【氏名】森住 俊美
(72)【発明者】
【氏名】関 友理
【審査官】 富樫 明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−116325(JP,A)
【文献】 特開2011−004023(JP,A)
【文献】 特開2007−104168(JP,A)
【文献】 特開2007−266734(JP,A)
【文献】 特開2004−208107(JP,A)
【文献】 特開2005−328530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00−21/858
H04H 60/15
H04H 60/21
H04H 60/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツ信号の視聴条件を管理する視聴条件管理装置における前記視聴条件を更新するための更新コードを生成する更新コード生成システムであって、
前記視聴条件管理装置ごとに、
該視聴条件管理装置に固有の識別情報と、
該視聴条件管理装置に固有の鍵と、
該視聴条件管理装置に対する更新コードの生成が何回目であるかを示すシリアル番号と、を記憶した記憶部と、
前記鍵を用いて、前記視聴条件の更新内容を示す更新情報と、前記識別情報と、前記シリアル番号と、を暗号化して前記更新コードを生成し、前記更新コードを生成すると前記記憶部における前記シリアル番号をインクリメントする生成部と、を備え
前記生成部は、
前記鍵を用いて、前記視聴条件の更新内容を示す更新情報と、前記識別情報と、前記シリアル番号と、を可逆的に撹拌してビット列を生成し、
前記ビット列からチェックビットを生成し、
前記ビット列の少なくとも一部および前記チェックビットの少なくとも一部に対して可逆的撹拌を行って前記更新コードを生成する更新コード生成システム。
【請求項2】
前記更新コードはユーザに伝えられる、請求項1に記載の更新コード生成システム。
【請求項3】
前記更新情報および前記識別情報をユーザから受信する受信部を備える請求項1または2に記載の更新コード生成システム。
【請求項4】
コンテンツ信号の視聴条件を管理する視聴条件管理装置における前記視聴条件を更新するための更新コードを生成する更新コード生成方法であって、
前記視聴条件管理装置ごとに、
該視聴条件管理装置に固有の識別情報と、
該視聴条件管理装置に固有の鍵と、
該視聴条件管理装置に対する更新コードの生成が何回目であるかを示すシリアル番号と、を記憶部に記憶しておくことと、
前記鍵を用いて、前記視聴条件の更新内容を示す更新情報と、前記識別情報と、前記シリアル番号と、を暗号化して前記更新コードを生成することと、
前記更新コードを生成すると前記記憶部における前記シリアル番号をインクリメントすることと、を含み、
前記更新コードを生成することは、
前記鍵を用いて、前記視聴条件の更新内容を示す更新情報と、前記識別情報と、前記シリアル番号と、を可逆的に撹拌してビット列を生成することと、
前記ビット列からチェックビットを生成することと、
前記ビット列の少なくとも一部および前記チェックビットの少なくとも一部に対して可逆的撹拌を行って前記更新コードを生成することと、を含む更新コード生成方法。
【請求項5】
前記更新コードをユーザに伝えることを含む、請求項に記載の更新コード生成方法。
【請求項6】
前記更新情報および前記識別情報をユーザから受信することを含む、請求項またはに記載の更新コード生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視聴条件更新方法、更新コード生成システム、更新コード生成装置、視聴条件管理装置、コンテンツ受信システム、および、コンテンツ配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
放送局からコンテンツ信号を配信し、これをスマートフォン、パーソナルコンピュータ、テレビ等の電子機器で再生することが広く行われている。有料放送の場合、コンテンツ配信者が配信による利益を確保するために、コンテンツ信号を暗号化して配信する。この場合、コンテンツ配信者と契約を結んだ特定のユーザのみがコンテンツ信号を復号でき、コンテンツを視聴できる。
ユーザがコンテンツの視聴期限延長を望む場合や、他のコンテンツ配信者からのコンテンツの視聴を希望する場合などには、視聴条件を更新する必要がある。
【0003】
引用文献1には視聴期限を初期設定する手法が開示されているが、視聴期限を更新することには触れていない。引用文献2には放送波を利用して有効期限を設定する手法が開示されているが、放送波に有効期限の情報を含めない限り有効期限を設定できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−139930号公報
【特許文献2】特開2000−41231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、視聴条件を適切に更新するための視聴条件更新方法、更新コード生成システム、更新コード生成装置、視聴条件管理装置、コンテンツ受信システム、および、コンテンツ配信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、コンテンツ信号の視聴条件を管理する視聴条件管理装置における前記視聴条件を更新する方法であって、更新コード生成システムが、前記視聴条件の更新内容を示す更新情報と、前記視聴条件管理装置の識別情報と、を受信するステップと、前記更新コード生成システムが、前記更新情報および前記識別情報に基づいて、固有の更新コードを生成するステップと、前記視聴条件管理装置が、前記更新コードを受信するステップと、前記視聴条件管理装置が、前記更新コードに基づいて前記視聴条件を更新するステップと、を備える、視聴条件更新方法が提供される。
この構成によれば、更新コードを用いて視聴条件を更新できる。
【0007】
前記視聴条件管理装置は、前記コンテンツ信号を受信する受信機に用いられ、ユーザから前記受信機に手動入力された前記更新コードを、前記視聴条件管理装置が受信するのが望ましい。
この構成によれば、更新コードを手動入力とするため、更新コードを受信する機構を受信機に設ける必要がなくなり、受信機の製造コストを下げることができる。
【0008】
前記更新コードを生成するステップでは、前記更新コードを生成する度に値が異なるシリアル番号を含む前記更新コードを生成するのが望ましい。
この構成によれば、更新コードがシリアル番号を含むため、1つの更新コードを用いて1度だけの視聴条件更新を実現できる。
【0009】
前記更新コードを生成するステップでは、前記識別情報が示す前記視聴条件管理装置が持つ固有の鍵を用いて前記更新情報を暗号化し、前記更新コードを生成するのが望ましい。
この構成によれば、固有の鍵を用いた暗号化によって更新コードを生成するため、1つの更新コードを1つの視聴条件管理装置のみに適用可能とすることができる。
【0010】
また、本発明の別の態様によれば、コンテンツ信号の視聴条件を管理する視聴条件管理装置における前記視聴条件を更新するための更新コードを生成するシステムであって、前記更新コードの生成に際して課金処理を行う課金処理装置と、前記課金処理装置とは別個の装置であって、前記更新コードが用いられる前記視聴条件管理装置が持つ固有の鍵を用いて前記更新コードを生成する更新コード生成装置と、を備える、更新コード生成システムが提供される。
この構成によれば、課金処理装置と更新コード生成装置とを別個に設けるため、課金処理を安価な汎用装置で行うことでコストを削減できるとともに、更新コードの生成をセキュリティが高い装置で行うことで固有の鍵を確実に秘匿することができる。
【0011】
また、本発明の別の態様によれば、コンテンツ信号の視聴条件を管理する視聴条件管理装置における前記視聴条件を更新するための更新コードを生成する更新コード生成装置であって、前記視聴条件の更新内容を示す更新情報と、前記視聴条件管理装置の識別情報と、を受信する受信部と、前記識別情報が示す前記視聴条件管理装置が持つ固有の鍵を用いて前記更新情報を暗号化して、固有の前記更新コードを生成する生成部と、を備える、更新コード生成装置が提供される。
この構成によれば、固有の鍵を用いた暗号化によって更新コードを生成するため、1つの更新コードを1つの視聴条件管理装置のみに適用可能とすることができる。
【0012】
前記生成部は、前記更新コードを生成する度に値が異なるシリアル番号を含む前記更新コードを生成するのが望ましい。
この構成によれば、更新コードがシリアル番号を含むため、1つの更新コードを用いて1度だけの視聴条件更新を実現できる。
【0013】
また、本発明の別の態様によれば、暗号化されたコンテンツ信号を受信する受信機に対して、視聴条件を満たす場合に前記暗号化されたコンテンツ信号を復号する鍵を出力する視聴条件管理装置であって、ユーザから前記受信機に手動入力された、前記視聴条件管理装置の識別情報および前記視聴条件の更新内容に応じた固有の更新コードに基づいて前記視聴条件を更新する視聴条件更新部を備える、視聴条件管理装置が提供される。
この構成によれば、更新コードを用いて視聴条件を更新できる。
【0014】
望ましくは、前記更新コードは、上記視聴条件更新方法によって生成された前記更新コード、上記更新コード生成システムによって生成された前記更新コード、または、上記更新コード生成装置によって生成された前記更新コードである。
【0015】
前記更新コードは、前記更新コードの生成回数を示すシリアル番号を含み、当該視聴条件管理装置は、前記視聴条件を更新した回数を記憶する記憶部を備え、前記視聴条件更新部は、前記シリアル番号と、前記視聴条件を更新した回数と、を比較して、前記視聴条件を更新するか否かを判断するのが望ましい。
この構成によれば、更新コードがシリアル番号を含み、視聴条件管理装置が視聴条件の更新回数を記憶するため、1つの更新コードを用いて1度だけの視聴条件更新を実現できる。
【0016】
前記受信機は、前記暗号化されたコンテンツ信号の配信日を示す日付情報を受信し、前記視聴条件更新部は、前記日付情報を考慮して、前記視聴条件における視聴期限を更新するのが望ましい。
この構成によれば、日付情報を考慮するため、適切に視聴期限を更新できる。
【0017】
また、本発明の別の態様によれば、コンテンツ信号の視聴期間を所定日延長することを示す更新コードを受信する第1受信部と、前記更新コード受信後に前記コンテンツ信号を初めて受信した日と、延長される前記所定日とに基づいて、前記コンテンツ信号の視聴期限を更新する視聴条件更新部と、を備える、視聴条件管理装置が提供される。
この構成によれば、更新コード入力後最初にコンテンツ信号を受信した日を基準とするため、ユーザが一定の視聴可能期間を確保できる。
【0018】
前記視聴条件管理装置は、前記コンテンツ信号を受信する受信機に用いられ、ユーザから前記受信機に手動入力された前記更新コードを、前記第1受信部が受信するのが望ましい。
この構成によれば、更新コードを手動入力とするため、更新コードを受信する機構を受信機に設ける必要がなくなり、受信機の製造コストを下げることができる。
【0019】
前記コンテンツ信号の配信日を示す日付情報を受信する第2受信部を備え、前記視聴条件更新部は、前記日付情報に基づいて、前記更新コード受信後に前記コンテンツ信号を初めて受信した日を把握してもよい。
この構成によれば、改ざんが困難な日付情報を用いることで、適切に視聴期限を設定できる。
【0020】
また、本発明の別の態様によれば、暗号化された前記コンテンツ信号と、前記コンテンツ信号の配信日を示す日付情報と、を受信する受信機と、上記視聴条件管理装置と、を備え、前記視聴条件管理装置は、前記日付情報に基づいて前記視聴条件を満たすと判定される場合に、前記暗号化されたコンテンツ信号を復号する鍵を前記受信機に出力し、前記受信機は、前記コンテンツ信号を復号する鍵が出力された場合に、前記暗号化されたコンテンツ信号を復号する、コンテンツ受信システムが提供される。
【0021】
また、本発明の別の態様によれば、放送装置と、受信機と、前記受信機に挿入されるICカードと、前記放送装置からの放送波を処理するチューナを持たない再生装置と、更新コード生成システムと、を備えるコンテンツ配信システムであって、前記放送装置は、コンテンツ信号を第1鍵(Ks)を用いて暗号化し、暗号化コンテンツ信号を生成する第1暗号化部(11)と、前記第1鍵(Ks)と、前記コンテンツ信号の配信日を示す日付情報と、を第2鍵(Kw)を用いて暗号化し、第1制御情報(ECM)を生成する第2暗号化部(12)と、前記第2鍵(Kw)、を前記ICカードに固有の第3鍵(Km)を用いて暗号化し、第2制御情報(EMM)を生成する第3暗号化部(14)と、を有し、前記暗号化コンテンツ信号、前記第1制御情報(ECM)および前記第2制御情報(EMM)は、放送波によって前記受信機に送信され、前記受信機は、前記暗号化コンテンツ信号、前記第1制御情報(ECM)および前記第2制御情報(EMM)を処理するチューナ(21)と、前記ICカードから前記第1鍵(Ks)が出力された場合に、前記暗号化コンテンツ信号を復号して、前記コンテンツ信号を復元する第1復号部(22)と、更新コードであって、視聴条件の更新内容と、前記更新コードの生成回数を示すシリアル番号と、を前記第3鍵(Km)を用いて暗号化して生成された更新コードを、ユーザからの手動入力
により受信する第1受信部(23)と、を有し、前記復元されたコンテンツ信号は、前記再生装置によって再生され、前記ICカードは、前記受信機を介して前記第2制御情報(EMM)を受信し、前記ICカードが持つ前記第3鍵(Km)を用いて前記第2制御情報(EMM)を復号して、前記第2鍵(Kw)を復元する第2復号部(31)と、前記受信機を介して前記第1制御情報(ECM)を受信し、復元された前記第2鍵(Kw)を用いて前記第1制御情報(ECM)を復号して、前記第1鍵(Ks)および前記日付情報を復元する第3復号部(32)と、前記暗号化コンテンツ信号を初めて受信したときの前記日付情報が示す日に、予め設定された視聴期間を加算して、前記コンテンツ信号の視聴期限を設定する視聴条件設定部(34)と、前記暗号化コンテンツ信号を受信したときに、前記日付情報が示す日と、前記視聴期限とを比較して、前記第1鍵(Ks)を出力するか否かを判定する期限判定部(352)と、出力すると判定された場合に、前記第1鍵を前記受信機に出力する出力部(353)と、前記受信機を介して前記暗号化された更新コードを受信し、前記ICカードが持つ前記第3鍵(Km)を用いて前記暗号化された更新コードを復号する第4復号部(36)と、前記視聴条件が更新された回数を記憶する記憶部(33)と、前記視聴条件が更新された回数と、前記更新コードに含まれるシリアル番号と、が一致する場合に、前記更新コードおよび前記日付情報に基づいて、前記視聴条件を更新する視聴条件更新部(37)と、を有し、前記更新コード生成システムは、前記更新コードの生成に際して課金処理を行う課金処理装置(51)と、前記更新コードを生成する更新コード生成装置(52)と、を備え、前記課金処理装置(51)は、前記視聴条件の更新内容を示す更新情報と、前記ICカードの識別情報と、を受信する第2受信部(511)と、前記更新内容に応じて課金処理を行う課金処理部(512)と、を有し、前記更新コード生成装置(52)は、 前記更新情報と、前記識別情報と、を受信する第3受信部(521)と、前記更新情報および前記シリアル番号を、前記識別情報が示す前記ICカードが持つ前記第3鍵(Km)を用いて暗号化して、前記更新コードを生成する生成部(523)と、を有する、コンテンツ配信システムが提供される。
【発明の効果】
【0022】
視聴条件を適切に更新できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】コンテンツ配信システムの概略構成を示すブロック図。
図2】放送装置1の内部構成の一例を示すブロック図。
図3】記憶部13に記憶されるデータを模式的に示す図。
図4】受信機2およびICカード3の内部構成の一例を示すブロック図。
図5】Pinコード生成システム5の概略構成を示すブロック図。
図6】記憶部522の記憶内容を説明する図。
図7】Pinコードの生成手法の一例を示す図。
図8】契約内容を変えずに視聴期間を延長する更新を説明する図。
図9】契約内容を「単チャネル契約」から「パック契約」に変更する更新を説明する図。
図10】契約内容を「パック契約」から「単チャネル契約」に変更する更新を説明する図。
図11】ICカード3の状態遷移を説明する図。
図12】視聴条件の更新手続きを説明するシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0025】
図1は、コンテンツ配信システムの概略構成を示すブロック図である。コンテンツ配信システムは、放送装置1、受信機2、ICカード(視聴条件管理装置)3、再生装置4、
および、Pinコード生成システム5から構成される。なお、同図には、1組の受信機2、ICカード3および再生装置4を描いているが、通常、これらの組は複数存在する。また、放送装置1が複数あってもよい。
【0026】
放送装置1は、例えば放送局内に設けられ、暗号化されたコンテンツ信号(以下、単に暗号化コンテンツ信号という)と、後述する制御情報ECM(Entitlement Control Message),EMM(Entitlement Management Message)とを放送波により送信する。
【0027】
受信機2はユーザが使用するものであり、暗号化コンテンツ信号および制御情報ECM,EMMを受信して、制御情報ECM,EMMをICカード3に転送する。
【0028】
ICカード3は受信機2に挿入され、コンテンツ信号の再生条件、言い換えると、コンテンツの視聴条件を管理する。すなわち、ICカード3は、所定の視聴条件を満たす場合にのみ、暗号化コンテンツ信号を復号するための鍵Ks(スクランブル鍵)を受信機2に送信する。受信機2は、鍵Ksを受信すると、この鍵Ksを用いて暗号化コンテンツ信号を復号できる。復号されたコンテンツ信号は再生装置4によって再生される。
【0029】
Pinコード生成システム5は、ユーザからの要求に応じて更新情報およびCASクライアントID(後述)を取得し、ICカード3における視聴条件を更新するためのPinコード(更新コード)を生成する。このPinコードが受信機2を介してICカード3に入力されることで、視聴条件が更新される。
【0030】
一例として、受信機2はドングルであり、再生装置4はこのドングルと接続可能なスマートフォンである。このような構成にすることで、スマートフォンがチューナを持たず放送波を処理できない場合であっても、ユーザはこのスマートフォンを用いてコンテンツを楽しむことができる。別の例として、受信機2はセットトップボックスであり、再生装置4はこのセットトップボックスとHDMI(登録商標)ケーブルなどで接続可能なディスプレイであってもよい。あるいは、再生装置4に受信機2が内蔵されていてもよい。また、ICカード3相当の再生管理装置がICチップとして受信機2に組み込まれていてもよい。
【0031】
以下、各装置について詳しく説明する。
【0032】
図2は、放送装置1の内部構成の一例を示すブロック図である。放送装置1は、スクランブラ11(暗号化部)と、暗号化部12と、記憶部13と、暗号化部14と、送信部15とを有する。
【0033】
スクランブラ11は鍵Ksを用いてコンテンツ信号をスクランブル(暗号化)する。コンテンツ信号は、例えば映像信号や音声信号である。暗号化により、鍵Ksなしでは再生でない暗号化コンテンツ信号が生成される。鍵Ksは放送装置1が持っている鍵であり、送信先の受信機2ごとに異なるものでなくてもよく、また、コンテンツごとに異なるものでなくてもよい。
【0034】
暗号化部12は、鍵Kw(ワーク鍵)を用いて、鍵Ks、コンテンツ情報および日付情報を暗号化し、制御情報ECMを生成する。鍵Kwも放送装置1が持っている鍵であり、送信先の受信機2ごとに異なるものでなくてもよく、また、コンテンツごとに異なるものでもなくてもよい。
【0035】
ここで、コンテンツ情報は、対応するコンテンツ信号がどの放送事業者からのものであるか、当該コンテンツ信号が有料放送であるか無料放送であるか、対応するコンテンツ信
号を識別する情報などを示し、ティアとも呼ばれる。有料放送とはコンテンツを視聴するための有料契約を結んだユーザのみが視聴できる放送を言い、無料放送とはコンテンツを視聴するための契約なしで視聴できる放送を言う。
また、日付情報とは、当該コンテンツ信号の配信日を示す情報である。日付情報は、さらに時分を示してもよい。日付情報は改ざんが困難であるのが望ましい。
【0036】
図3は、記憶部13に記憶されるデータを模式的に示す図である。図示のように、記憶部13は、ICカード3ごとに、固有のCASクライアントID(ICカード3の識別情報)と、鍵Kmとを関連付けて記憶している。
【0037】
図1に戻り、暗号化部14は特定のICカード3に送信される制御情報EMMを生成する。すなわち、暗号化部14は、記憶部13を参照し、送信対象のICカード3が持っている鍵Kmを用いて鍵Kwを暗号化して、当該特定のICカード3用の制御情報EMMを生成する。
【0038】
例えば、図3において、CASクライアントIDがC1であるICカード3用の制御情報EMMを生成する場合、暗号化部14は鍵Km1を用いて鍵Kwを暗号化する。
【0039】
以上の暗号化コンテンツ信号および制御情報ECM,EMMは放送波により放送装置1から受信機2に送信される。なお、暗号化コンテンツ信号と制御情報ECMは組になって送信されるが、制御情報EMMは任意のタイミングで送信される。また、制御情報EMMは特定のICカード3で用いられるものであるため、通信により送信されてもよく、これにより放送波の伝送帯域を節約できる。一方、制御情報EMMを通信により送信することで、受信機2内に通信機能を設けなくてもよくなる。
【0040】
図4は、受信機2およびICカード3の内部構成の一例を示すブロック図である。
受信機2は、チューナ21と、デスクランブラ22(復号部)とを有する。
【0041】
チューナ21は、放送波から暗号化コンテンツ信号および制御情報ECM,EMMを受信し、必要であればユーザの設定に応じて選局する。暗号化コンテンツ信号はデスクランブラ22に供給され、制御情報ECM,EMMはICカード3に転送される。
【0042】
デスクランブラ22は鍵Ksを用いて暗号化コンテンツ信号をデスクランブル(復号)する。すなわち、デスクランブラ22は、ICカード3から鍵Ksが出力された場合には暗号化コンテンツ信号を復号できるが、鍵Ksが出力されない場合には暗号化コンテンツをデスクランブルできない。デスクランブルされたコンテンツ信号は映像信号および/または音声信号に変換されて、再生装置4に出力される。
【0043】
一方、ICカード3は、復号部31,32と、視聴条件記憶部33と、視聴条件設定部34と、制御部35とを有する。なお、特に図示していないが、ICカード3には固有のCASクライアントID(識別情報)が割り当てられ、記憶されている。そして、このCASクライアントIDは、ICカード3に記載されていたり、受信機2を介して再生装置4に表示されたりして、ユーザが自身のICカード3のCASクライアントIDを把握できるようになっている。
【0044】
復号部31は、制御情報EMMを受信する受信部でもあり、ICカード3が持っている固有の鍵Kmを用いてこれを復号して、鍵Kwを復元する。鍵Kwは復号部32に供給される。
【0045】
復号部32は、制御情報ECMを受信する受信部でもあり、鍵Kwを用いてこれを復号
して、鍵Ks、コンテンツ情報および日付情報を復元する。これらは制御部35に供給される。また、コンテンツ情報は視聴条件更新部37にも供給され、日付情報は視聴条件設定部34および視聴条件更新部37にも供給される。
【0046】
視聴条件記憶部33には、出荷時の初期状態として、契約内容および視聴期間が予め記憶されている。
契約内容は、コンテンツを視聴するための契約を結んだ放送事業者を示している。本実施形態では、契約対象の放送事業者が放送事業者1および放送事業者2の2つであるとする。そして、契約内容としては、「単チャネル契約」として放送事業者1のコンテンツのみを視聴する契約と、「パック契約」として放送事業者1および放送事業者2のコンテンツを両方とも視聴とする契約の2種類があるものとする。
視聴期間は、契約を結んだ放送事業者のコンテンツを視聴可能な期間を示している。視聴期間に代えて視聴期限であってもよいが、視聴期間を定めるのが望ましい。視聴期間は放送事業者ごとに異なっていてもよい。
【0047】
なお、視聴条件記憶部33には、初期状態では視聴期限が記憶されていないが、後述する視聴条件設定部34によって視聴期限が記憶される。すなわち、ICカード3の使用開始後には、契約内容および視聴期限が記憶され、これらが制御部35で用いられる。また、視聴条件記憶部33に記憶された契約内容および視聴期限は、後述する視聴条件更新部37によって更新される。さらに、視聴条件記憶部33には、視聴条件が更新された回数(以下、視聴条件更新回数ともいう。詳しくは後述する。)も記憶されている。
【0048】
視聴条件設定部34は、初めて放送事業者からの放送波を受信した場合、制御情報ECMに含まれる日付情報と、視聴条件記憶部33に予め記憶された視聴期間とに基づいて、視聴期限を設定する。具体的には、視聴条件設定部34は、日付情報が示す日付に視聴期間を加えて、視聴期限とする。設定された視聴期限は視聴条件記憶部33に記憶される。これにより、実際に使用を開始する前に視聴可能な期間が減っていくのを防ぎ、ユーザが一定の視聴可能期間を確保できる。なお、初めての受信であることは、例えば視聴期限が未設定であることから把握される。
【0049】
制御部35は、契約判定部351と、期限判定部352と、出力部353とを有し、制御情報ECMが受信された場合に、これを復号するための鍵Ksを受信機2に出力するか否かを制御する。
【0050】
契約判定部351は、コンテンツ情報と、視聴条件のうちの契約内容とに基づいて、コンテンツ信号の再生可否を判定する。当該コンテンツ信号が有料放送であり(このことはコンテンツ情報から把握される)、かつ、当該コンテンツ信号を再生する契約が結ばれている(このことは契約内容から把握される)場合に、契約判定部351は再生可と判定する。また、無料放送である場合には、契約内容に関わらず契約判定部351は再生可と判定する。言い換えると、有料放送であって、そのコンテンツ信号を再生する契約が結ばれていない場合に、契約判定部351は再生不可と判定する。
【0051】
期限判定部352は、日付情報と、視聴条件のうちの視聴期限とに基づいて、コンテンツ信号の再生可否を判定する。すなわち、期限判定部352は、コンテンツの配信日(日付情報から把握される)が視聴期限以前であれば再生可と判定し、コンテンツ配信日が視聴期限を過ぎていれば再生不可と判定する。
【0052】
出力部353は、契約判定部351および期限判定部352の両方が再生可と判定した場合に、鍵Ksを受信機2に出力する。言い換えると、出力部353は、契約判定部351および期限判定部352の少なくとも一方が再生不可と判定した場合には、鍵Ksを受
信機2に出力しない。
【0053】
なお制御部35は、復元されたコンテンツ情報および日付情報、ならびに、視聴条件記憶部33に記憶された視聴条件に基づいて、鍵Ksを受信機2に供給するか否かを制御すればよく、図4の契約判定部351、期限判定部352および出力部353を設ける構成は一例にすぎず、種々の変形が考えられるのは言うまでもない。
【0054】
図4において、受信機2はさらに受信部23を有し、ICカード3はさらに復号部36および視聴条件更新部37を有する。これらはPinコードを用いて視聴条件を更新するためのものであり、Pinコード生成システム5の説明の後に説明する。
【0055】
図5は、Pinコード生成システム5の概略構成を示すブロック図である。図5の構成例では、Pinコード生成システム5は課金処理装置51およびPinコード生成装置52から構成される。
【0056】
課金処理装置51は、受信部511と、課金処理部512と、送信部513とを有する。受信部511は受信機2(ICカード3)のユーザから更新情報およびCASクライアントIDを受信する。更新情報は視聴条件の更新内容(どのように更新するか)を示している。更新内容の一例は、視聴期間の延長である。延長される期限は固定(例えば6か月)であってもよいし、ユーザが指定できてもよい。また、更新内容の別の例は、契約内容の変更であり、「単チャネル契約」を「パック契約」に変更することや、逆に「パック契約」を「単チャネル契約」に変更することが挙げられる。
【0057】
なお、受信部511による受信の方法に特に制限はない。典型例として、オペレータが電話やメールなどで更新情報およびCASクライアントIDをユーザから取得し、受信部511はそのオペレータの入力操作に応じて更新情報およびCASクライアントIDを受信することができる。あるいは、再生装置4がスマートフォンなどである場合、再生装置4に更新用のインターネットサイトを表示し、このサイトを通じて受信部511は更新情報およびCASクライアントIDを受信してもよい。
【0058】
課金処理部512は視聴条件における更新内容に応じて課金処理を行う。一例として、課金処理部512は、視聴期間を延長する場合や、「単チャネル契約」を「パック契約」に変更する場合に、課金処理を行う。
【0059】
送信部513は、課金処理が正常に完了すると、受信部511が受信した更新情報およびCASクライアントIDをPinコード生成装置52に送信する。
【0060】
Pinコード生成装置52は、受信部521と、記憶部522と、生成部523とを有する。
【0061】
受信部521は、課金処理装置51の送信部513から(あるいは直接)、更新情報およびCASクライアントIDを受信する。
【0062】
図6は、記憶部522の記憶内容を説明する図である。図示のように、記憶部522は、CASクライアントIDと、鍵Kmと、シリアル番号とを関連付けて記憶している。シリアル番号とは、同CASクライアントIDに対するPinコードの生成が何回目であるかを示すものであり、まだ一度もPinコードが生成されていない場合、シリアル番号は0であるとする。
【0063】
図5に戻り、生成部523は、更新情報およびCASクライアントIDに基づいて、P
inコードを生成する。生成されたPinコードは、電話やメールなどでオペレータからユーザに伝えられる。あるいは、インターネットサイトを通じて更新情報およびCASクライアントIDが送信された場合、同サイトにPinコードを表示してもよい。Pinコード生成の際、生成部523は、記憶部522に記憶されている、受信されたCASクライアントIDと関連付けられたシリアル番号を1だけインクリメントする。以下、Pinコードの生成手法の一例を詳細に説明する。
【0064】
図7は、Pinコードの生成手法の一例を示す図である。
まず、同図(a)に示すように、生成部523は、受信部521が受信した、更新内容に応じた値と、このCASクライアントIDに対応するシリアル番号と、CASクライアントIDとを連結する。連結された値は、例えば16進数で表されるバイナリのbit列である。
【0065】
更新内容に応じた値とは、例えば視聴期間延長の有無、視聴期間を延長する場合の延長期間、契約内容変更の有無などを所定の規則に従って16進数で表現したものであり、本実施形態においては、xバイトとする。シリアル番号は、yバイトとする。仮に1バイトとした場合は、最大255回更新することができる。また、CASクライアントIDは、zバイトとする。CASクライアントIDは、重複があってはならないため、十分なサイズが必要であるが、概ね10バイトもあれば十分な数のICカード3を識別できる。
【0066】
続いて、同図(b)に示すように、生成部523は、受信部521が受信したCASクライアントIDと関連付けられた鍵Kmを用いて同図(a)で連結された値を可逆的に攪拌(電子的撹拌)して、(x+y+z)バイトのbit列を生成する。これにより、連結された値は、本攪拌に用いられた鍵Kmを持つただ1つのICカード3でしか元の状態に戻せない状態となる。
【0067】
さらに、同図(c)に示すように、生成部523は暗号化されたbit列からチェックビットを生成する。チェックビットのサイズは、同図(b)で生成されたbit列の妥当性を担保できる程度のサイズであれば任意でよい。
【0068】
そして、同図(d)に示すように、生成部523は、同図(b)のbit列の少なくとも一部およびチェックビットの少なくとも一部に対して、本実施形態に係るコンテンツ配信システムにおいて共通かつ可逆的なデータの攪拌を実施し、Pinコードを生成する。
【0069】
さらに、生成部523は、ユーザが入力しやすいよう、16進数で表された図(d)のビット列を10進数に変換する。一例として、同図(d)のPinコードが10バイトのbit列であった場合には、24ケタの10進数に変換できる。24ケタの数字列であれば、ユーザが入力するのもそれほど手間にならない。
【0070】
以上のようにしてPinコードが生成される。Pinコードはシリアル番号(初めて生成されるPinコードのシリアル番号は0)を含む。そのため、ユーザが視聴条件の更新情報を行う度に、言い換えると、Pinコード生成の度に、異なるPinコードが生成され、1つのCASクライアントIDに対して同一のPinコードが生成されることはない。また、Pinコードは特定の鍵Kmで暗号化されているため、この鍵Kmと関連付けられたICカード3でしか復号できない。
【0071】
図5に示すPinコード生成システム5の構成例では、課金処理とPinコード生成処理とを異なる装置で行う。両処理を分けることで、課金処理装置51として汎用の装置を用いることができ、コストを抑えることができる。そして、Pinコード生成装置52を別個に設けることで、鍵Kmを外部に出すことなく厳密に管理できるとともに、Pinコ
ードの生成手法を秘匿できる。より具体的な構成例として、課金処理装置51の機能をASPとして提供し、Pinコード生成装置52を放送事業者のいずれかが管理してもよい。
【0072】
もちろん、課金処理とPinコード生成処理とを同一の装置で行うPinコード生成システム5を実装してもよいし、3以上の装置からPinコード生成システム5を構成してもよい。
以上のようにして生成されたPinコードを用いて視聴条件が更新されることを、図4に戻って説明する。
【0073】
図4において、受信機2は受信部23を有する。受信部23はPinコードを受信する。受信部23による受信の方法に特に制限はない。典型例として、ユーザから手動入力されたPinコードを受信部23が受信することができる。この場合、ユーザからの入力操作を受け付けるために、受信機2は、タッチパネル、リモコン、テンキーなどの入力インターフェースを備えているのが望ましい。必要に応じて、ユーザからの入力操作を受け付けるためのGUIを再生装置4に表示してもよい。ユーザから入力インターフェースを介してPinコードを受信することで、Pinコード用の通信機構を受信機2内に設ける必要がなくなり、受信機2の製造コストを大幅に削減できる。
【0074】
別の例として、Pinコード生成システム5から放送波や通信によってPinコードが送信され、これを受信部23が受信してもよい。あるいは、再生装置4がスマートフォンなどである場合、Pinコード生成システム5から通信によってPinコードが再生装置4に送信され、再生装置4から自動的に受信機2に入力されてもよい。これにより、ユーザの利便性が向上する。
【0075】
ICカード3は復号部36および視聴条件更新部37を有する。復号部36は、Pinコードを受信する受信部でもあり、鍵Kmを用いてこれを復号する。これにより、図7(d)における更新内容およびシリアル番号が復元される。上述のように、視聴条件記憶部33には、視聴条件が更新された回数が記憶されている。そこで、視聴条件更新部37はこの視聴条件が更新された回数とシリアル番号とを比較する。
【0076】
両者が一致する場合、視聴条件更新部37は適正なPinコードが入力された判断し、視聴条件記憶部33における視聴条件を、復元された更新内容に基づき、必要に応じて日付情報やコンテンツ情報を参照して更新する。具体的な更新の例は、図8図10を用いて説明する。さらに、視聴条件更新部37は、視聴条件を更新する際に、視聴条件記憶部33に記憶された視聴条件更新回数を1だけインクリメントする。
【0077】
一方、両者が一致しない場合、視聴条件更新部37は視聴条件を更新しない。例えば、既に入力済のPinコードが再度入力された場合、視聴条件更新回数はPinコードにおけるシリアル番号より大きいため、視聴条件の更新は行われない。これにより、1つのPinコードで複数回の更新が行われることを防げる。必要であれば、視聴条件更新部37は入力されたPinコードが正しくない旨を再生装置4に表示してもよい。
【0078】
このように、Pinコードがシリアル番号を含む。そのため、1つのPinコードで視聴条件を1度だけ更新できる。ユーザがさらなる視聴条件の更新を望む場合、ユーザは再度Pinコードを要求する必要がある。また、PinコードはICカード3に固有の鍵Kmで暗号化されている。そのため、1つのPinコードで特定のICカード3のみの視聴条件を更新でき、他のICカード3の視聴条件を更新するために流用されることはない。
【0079】
次に、視聴条件更新部37による視聴条件更新の具体例を示す。視聴条件記憶部33に
は、どの放送事業者のコンテンツを視聴可能であるかを示す契約内容と、いつまで視聴可能であるかを示す視聴期限とが記憶されている。以下では、契約内容を変えずに視聴期限を一定期間(180日とする、以下同じ)延長する更新(図8)、契約内容を「単チャネル契約」から「パック契約」に変更する更新(図9)、および、契約内容を「パック契約」から「単チャネル契約」に変更する更新(図10)を例示するが、他の更新、例えば期間視聴期限の任意期間延長などの更新ができてもよい。
【0080】
図8は、契約内容を変えずに視聴期間を延長する更新を説明する図である。同図(a)に示すように、初期状態(ユーザがICカード3を入手した状態)においては、初めて放送波を受信した日から180日間が初期視聴期間である。すなわち、視聴条件設定部34は同日から180日後を視聴期限とする。放送波を受信した日は制御情報ECMに含まれる日付情報から把握される。
【0081】
同図(b)に示すように、最初の視聴を行う前に視聴期限を延長すること(使用開始前チャージ)ができる。この場合の視聴可能期間は、初期の180日と追加された180日とを合わせて360日となる。すなわち、視聴条件更新部37は、初めて放送波を受信した日に、初期視聴期間180日と追加視聴期間180日とを加算し、初めて放送波を受信した日から360日後を新たな視聴期限とする。
【0082】
同図(c)に示すように、使用開始後かつ視聴期限が経過する前に視聴期限を延長すること(期限経過前チャージ)もできる。この場合も視聴可能期間が180日追加され、視聴条件更新部37は、更新前の視聴期限に追加視聴期間180日を加算して、新たな視聴期限とする。
【0083】
同図(d)に示すように、視聴期限が経過した後に視聴期限を延長すること(期限経過後チャージ)もできる。この場合、視聴条件更新部37はPinコード入力後に初めて放送波を受信した日に追加視聴期間180日を加算して視聴期限とする。
【0084】
図9は、契約内容を「単チャネル契約」から「パック契約」に変更する更新を説明する図である。同図(a)に示すように、初期状態(ユーザがICカード3を入手した状態)においては、初めて放送事業者1からの放送波を受信した日から180日間が初期視聴期間である。すなわち、視聴条件設定部34は、同日から180日後を視聴期限とする。この視聴期限前であれば、受信機2は放送事業者1からのコンテンツ信号を再生できる。放送事業者1からの放送波を受信した日は、制御情報ECMに含まれる日付情報およびコンテンツ情報から把握される。
【0085】
同図(b)に示すように、最初の視聴を行う前に、単チャネル契約からパック契約に変更するとともに、視聴期限を延長すること(使用開始前チャージ)ができる。この場合、視聴条件更新部37は、契約内容をパック契約に変更するとともに、初めて放送事業者1または放送事業者2からの放送波を受信した日から180日後を新たな視聴期限とする。この視聴期限前であれば、受信機2は放送事業者1および放送事業者2からのコンテンツ信号を再生できる。
【0086】
同図(c)に示すように、使用開始後かつ視聴期限が経過する前に、単チャネル契約からパック契約に変更するとともに、視聴期限を延長すること(期限経過前チャージ)もできる。この場合、視聴条件更新部37は、契約内容をパック契約に変更するとともに、Pinコードの入力後に初めて放送事業者1または放送事業者2からの放送波を受信した日から180日後を新たな視聴期限とする。この視聴期限前であれば、受信機2は放送事業者1および放送事業者2からのコンテンツ信号を再生できる。
【0087】
同図(d)に示すように、視聴期限が経過した後に、単チャネル契約からパック契約に変更するとともに、視聴期限を延長すること(期限経過後チャージ)もできる。この場合、視聴条件更新部37は、契約内容をパック契約に変更するとともに、Pinコードの入力後に初めて放送事業者1または放送事業者2からの放送波を受信した日から180日後を新たな視聴期限とする。この視聴期限前であれば、受信機2は放送事業者1および放送事業者2からのコンテンツ信号を再生できる。
【0088】
図10は、契約内容を「パック契約」から「単チャネル契約」に変更する更新を説明する図である。同図(a)に示すように、初期状態(ユーザがICカード3を入手した状態)においては、最初に放送事業者1または放送事業者2からの放送波を受信した日から180日間が初期視聴期間である。すなわち、視聴条件設定部34は、同日から180日後を視聴期限とする。この視聴期限前であれば、受信機2は放送事業者1および放送事業者2からのコンテンツ信号を再生できる。放送事業者1または放送事業者2からの放送波を受信した日は、制御情報ECMに含まれる日付情報およびコンテンツ情報から把握される。
【0089】
同図(b)に示すように、最初の視聴を行う前に、パック契約から単チャネル契約に変更するとともに、視聴期限を延長すること(使用開始前チャージ)ができる。この場合の視聴可能期間は、初期視聴期間180日と追加視聴期間180日とを合わせて360日となる。すなわち、視聴条件更新部37は、契約内容を単チャネル契約に変更するとともに、初めて放送事業者1からの放送波を受信した日から360日後を新たな視聴期限とする。この視聴期限前であれば、受信機2は放送事業者1からのコンテンツ信号を再生できる。
【0090】
同図(c)に示すように、使用開始後かつ視聴期限が経過する前に、パック契約から単チャネル契約に変更するとともに、視聴期限を延長すること(期限経過前チャージ)もできる。この場合、視聴条件更新部37は、契約内容を単チャネル契約に変更するとともに、Pinコードの入力後に初めて放送事業者1からの放送波を受信した日から180日後を新たな視聴期限とする。この視聴期限前であれば、受信機2は放送事業者1からのコンテンツ信号を再生できる。
【0091】
同図(d)に示すように、視聴期限が経過した後に、パック契約から単チャネル契約に変更するとともに、視聴期限を延長すること(期限経過後チャージ)もできる。この場合、視聴条件更新部37は、契約内容を単チャネル契約に変更するとともに、Pinコードの入力後に初めて放送事業者1からの放送波を受信した日から180日後を新たな視聴期限とする。この視聴期限前であれば、受信機2は放送事業者1からのコンテンツ信号を再生できる。
【0092】
以上説明したように、本実施形態では、視聴期限の初期設定時のみならず、更新時にも日付情報を用いる。すなわち、視聴条件更新部37は、Pinコード受信後に初めてコンテンツ信号を受信した日と、Pinコードに含まれる視聴期間の延長期間と、に基づいて視聴期限を更新する。そのため、Pinコード入力後ただちに視聴期間が経過するのではなく、Pinコード入力後最初に放送波を受信した日(最初にコンテンツ信号を再生した日)を基準として適切に視聴期限を更新できる。
また、延長すべき「180日」という期間を示す情報は、望ましくは手動入力されるPinコードに含まれており、これにより受信機2の製造コストを削減できる。
【0093】
図11は、ICカード3の状態遷移を説明する図である。初期状態は、パック契約の使用開始前状態P10または単チャネル契約の使用開始前状態P20である。ユーザはいずれかの状態のICカード3を選択して入手でき、そのいずれであるかは、契約内容として
視聴条件記憶部33に初期状態として記憶されている。また、視聴期間も視聴条件記憶部33に記憶されている。初期状態においては、各ICカード3に対して、契約内容の変更を伴わない使用開始前チャージ(図8(a)参照)を行うことができる(T11,T12)。
【0094】
パック契約の使用開始前状態P10であるICカード3に対して、契約内容の変更を伴う使用開始前チャージ(図10(a)参照)を行うことができる(T12)。これにより、ICカード3は単チャネル契約の使用開始前状態P20となる。
【0095】
単チャネル契約の使用開始前状態P20であるICカード3に対して、契約内容の変更を伴う使用開始前チャージ(図9(a)参照)を行うことができる(T22)。これにより、ICカード3はパック契約の使用開始前状態P10となる。
【0096】
パック契約の使用開始前状態P10であるICカード3は、放送事業者1および放送事業者2のいずれかからの暗号化コンテンツ信号に付随する制御情報ECMを受信すると(T13)、受信した日が視聴期間の起算日となり、使用開始後状態P11となる。
【0097】
単チャネル契約の使用開始前状態P20であるICカード3は、放送事業者1からの暗号化コンテンツ信号に付随する制御情報ECMを受信すると(T23)、受信した日が視聴期間の起算日となり、使用開始後状態P21となる。なお、放送事業者1からの暗号化コンテンツ信号に付随する制御情報ECMを受信しても、状態は変化しない。
【0098】
パック契約の使用開始後状態P11であるICカード3は、視聴期限を経過すると(T14)、契約なし状態P30となる。また、パック契約の使用開始後状態P11であるICカード3に対して、契約内容の変更を伴わない期限経過前のチャージ(図8(c)参照)を行うことができる(T15)。この場合、ICカード3の状態に変化はない。さらに、パック契約の使用開始後状態P11であるICカード3に対して、契約内容の変更を伴う期限経過前のチャージ(図10(c)参照)を行うことができる(T16)。これにより、ICカード3は単チャネル契約の使用開始前状態P20となる。
【0099】
単チャネル契約の使用開始後状態P21であるICカード3は、視聴期限を経過すると(T24)、契約なし状態P30となる。また、単チャネル契約の使用開始後状態P21であるICカード3に対して、契約内容の変更を伴わない期限経過前のチャージ((図8(c))を行うことができる(T25)。この場合、ICカード3の状態に変化はない。また、単チャネル契約の使用開始後状態P21であるICカード3に対して、契約内容の変更を伴う期限経過前のチャージ(図9(c)参照)を行うことができる(T26)。これにより、ICカード3はパック契約の使用開始前状態P10となる。
【0100】
契約なし状態P30のICカード3に対して、契約内容をパック契約とする期限経過後チャージを行うことができる(T17)。これにより、ICカード3はパック契約の使用開始前状態P10となる。また、契約なし状態P30のICカード3に対して、契約内容を単チャネル契約とする期限経過後チャージを行うことができる(T27)。これにより、ICカード3は単チャネル契約の使用開始前状態P20となる。
【0101】
このようなICカード3の状態遷移は、Pinコードの入力、制御情報ECMの受信、視聴期限の経過をトリガにして行われる。そして、ICカード3の状態は視聴条件設定部34や視聴条件更新部37によって設定・更新され、視聴条件記憶部33に記憶される。
【0102】
続いて、以上のようなコンテンツ配信システムにおける視聴条件の更新手続きの流れについて説明する。
【0103】
図12は、視聴条件の更新手続きを説明するシーケンス図である。
まず、ユーザが、視聴条件の更新内容を示す更新情報と、自身のICカード3のCASクライアントIDとを、直接的または間接的に、Pinコード生成システム5に提示する(ステップS11)。更新情報およびCASクライアントIDはPinコード生成システム5に入力される。
【0104】
これにより、Pinコード生成システム5の受信部511は更新情報およびCASクライアントIDを受信する(ステップS21)。上述したように、受信部511は、オペレータの入力操作によりこれらを受信してもよいし、インターネットなどを介してこれらを受信してもよい。そして、課金処理部512が更新情報に応じた課金処理を行った後(ステップS22)、生成部523がPinコードを生成する(ステップS23)。
【0105】
ユーザは生成されたPinコードを受信する(ステップS12)。続いて、ユーザは、例えば受信機2の入力インターフェースを利用して、受信したPinコードを入力する(ステップS13)。このPinコードは受信機2に送信される。なお、ユーザの操作を介さずに、Pinコード生成システム5から受信機2にPinコードが入力されてもよい。
【0106】
これに応じて、受信機2の受信部23はPinコードを受信する(ステップS31)。このPinコードはICカード3に転送される。
【0107】
続いて、ICカード3の復号部36はPinコードを受信および復号し(ステップS41)、視聴条件更新部37は更新情報に応じて視聴条件を更新する(ステップS41)。
【0108】
このように、本実施形態では、ユーザの要求に応じて生成されるPinコードにより、視聴条件を更新できる。
【0109】
上述した実施形態で説明したコンテンツ配信システムの各部の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、コンテンツ配信システムの各部の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0110】
また、コンテンツ配信システムの各部の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0111】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態には限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 放送装置
11 スクランブラ
12 暗号化部
13 記憶部
14 暗号下部
2 受信機
21 チューナ
22 デスクランブラ
23 受信部
3 ICカード
31 復号部
32 復号部
33 視聴条件記憶部
34 視聴条件設定部
35 判定部
351 契約判定部
352 期限判定部
353 出力部
36 復号部
37 視聴条件更新部
4 再生装置
5 Pinコード生成システム
51 課金処理装置
511 受信部
512 課金処理部
513 送信部
52 Pinコード生成装置
521 受信部
522 記憶部
523 生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12