特許第6462775号(P6462775)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝エレベータ株式会社の特許一覧

特許6462775不停止補助盤およびエレベータ制御システム
<>
  • 特許6462775-不停止補助盤およびエレベータ制御システム 図000002
  • 特許6462775-不停止補助盤およびエレベータ制御システム 図000003
  • 特許6462775-不停止補助盤およびエレベータ制御システム 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6462775
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】不停止補助盤およびエレベータ制御システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/46 20060101AFI20190121BHJP
【FI】
   B66B1/46 A
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-115356(P2017-115356)
(22)【出願日】2017年6月12日
(65)【公開番号】特開2019-1564(P2019-1564A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2017年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】唐嵜 光
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−008707(JP,A)
【文献】 特開平11−139696(JP,A)
【文献】 実開昭64−000574(JP,U)
【文献】 特開昭56−082779(JP,A)
【文献】 特開2009−221004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ装置の乗場に設けられたホール操作盤と、前記エレベータ装置のかごに設けられたかご操作盤とからそれぞれ発信される呼び情報に基づいて定められた乗場に前記かごを停止させる制御盤に接続された不停止補助盤において、
前記ホール操作盤からの前記呼び情報と、前記かご操作盤からの前記呼び情報との少なくとも一方に関し、前記制御盤へ入力するか否かを切り替えるリレーと、
所定の不停止信号が入力されると、前記呼び情報が前記制御盤へ入力されないように前記リレーの切り替え動作を行う処理部と、
前記不停止信号が、複数のスイッチのいずれかを介して入力されると、前記不停止信号に含まれた前記スイッチの識別情報を前記処理部へ伝送する入力回路と、を備え
前記リレーは、前記ホール操作盤から前記制御盤へ前記呼び情報を入力するか否かを切り替えるホール用リレーと、前記かご操作盤から前記制御盤へ前記呼び情報を入力するか否かを切り替えるかご用リレーと、を含み、
前記識別情報に基づく前記処理部による前記切り替え動作の対象が、前記ホール用リレー単体と、前記かご用リレー単体と、前記ホール用リレーおよび前記かご用リレーの両方である、不停止補助盤。
【請求項2】
前記識別情報は、前記かごの不停止階を示す不停止階情報に対応し、
前記処理部は、前記入力回路から入力された前記不停止階情報から前記不停止階を特定し、特定した不停止階に対応する前記ホール用リレーおよび前記かご用リレーに対して前記切り替え動作を行う、請求項に記載の不停止補助盤。
【請求項3】
前記不停止信号が、前記かごの状態を示すかご情報を含んでおり、前記不停止信号が前記入力回路に入力されたとき、前記処理部は、前記かご情報に基づいて前記ホール用リレーおよび前記かご用リレーを制御する、請求項に記載の不停止補助盤。
【請求項4】
エレベータ装置の乗場に設けられたホール操作盤と、前記エレベータ装置のかごに設けられたかご操作盤とからそれぞれ発信される呼び情報に基づいて定められた乗場に前記かごを停止させる制御盤に接続された不停止補助盤において、
前記ホール操作盤からの前記呼び情報と、前記かご操作盤からの前記呼び情報との少なくとも一方に関し、前記制御盤へ入力するか否かを切り替えるリレーと、
所定の不停止信号が入力されると、前記呼び情報が前記制御盤へ入力されないように前記リレーの切り替え動作を行う処理部と、
前記不停止信号が、複数のスイッチのいずれかを介して入力されると、前記不停止信号に含まれた前記スイッチの識別情報を前記処理部へ伝送する入力回路と、を備え、
前記リレーは、前記ホール操作盤から前記制御盤へ前記呼び情報を入力するか否かを切り替えるホール用リレーと、前記かご操作盤から前記制御盤へ前記呼び情報を入力するか否かを切り替えるかご用リレーと、を含み、
前記処理部は、前記識別情報に基づいて、前記ホール用リレーと前記かご用リレーとの少なくとも一方に関し、前記切り替え動作を行い、
前記識別情報は、前記かごの不停止階を示す不停止階情報に対応し、
前記処理部は、前記入力回路から入力された前記不停止階情報から前記不停止階を特定し、特定した不停止階に対応する前記ホール用リレーおよび前記かご用リレーに対して前記切り替え動作を行い、
前記不停止信号が、前記かごの状態を示すかご情報を含んでおり、前記不停止信号が前記入力回路に入力されたとき、前記処理部は、前記かご情報に基づいて前記ホール用リレーおよび前記かご用リレーを制御する、不停止補助盤。
【請求項5】
エレベータ装置の乗場に設けられたホール操作盤と、
前記エレベータ装置のかごに設けられたかご操作盤と、
前記ホール操作盤と前記かご操作盤とからそれぞれ発信された呼び情報に基づいて定められた乗場に前記かごを停止させる制御盤と、
前記制御盤に接続された不停止補助盤と、を備え、
前記不停止補助盤は、
前記ホール操作盤からの前記呼び情報と、前記かご操作盤からの前記呼び情報との少なくとも一方に関し、前記制御盤へ入力するか否かを切り替えるリレーと、
所定の不停止信号が入力されると、前記呼び情報が前記制御盤へ入力されないように前記リレーの切り替え動作を行う処理部と、
前記不停止信号が、複数のスイッチのいずれかを介して入力されると、前記不停止信号に含まれた前記スイッチの識別情報を前記処理部へ伝送する入力回路と、を備え
前記リレーは、前記ホール操作盤から前記制御盤へ前記呼び情報を入力するか否かを切り替えるホール用リレーと、前記かご操作盤から前記制御盤へ前記呼び情報を入力するか否かを切り替えるかご用リレーと、を含み、
前記識別情報に基づく前記処理部による前記切り替え動作の対象が、前記ホール用リレー単体と、前記かご用リレー単体と、前記ホール用リレーおよび前記かご用リレーの両方である、エレベータ制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、不停止補助盤およびエレベータ制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータ装置には、一般的に、呼び情報を発信する操作盤が乗場(ホール)とかごとにそれぞれ設けられている。これらの操作盤から発信された呼び情報は、制御盤へ入力される。この制御盤は、操作盤からの呼び情報に基づいてかごを各階に停止させる制御動作を行う。しかし、エレベータ装置には、納入後に、かごを特定の階で停止させない不停止機能の追加を求められる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−106153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エレベータ装置の納入後に上述した不停止機能を追加するとき、エレベータの機種によっては、操作盤から制御盤までの呼び情報の伝送路に大幅な改造を要する場合がある。この場合、改造設計や現地での改造作業に多くの時間と手間を要することが懸念される。
【0005】
本発明は、不停止機能を容易に実現することが可能な不停止補助盤およびエレベータ制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る不停止補助盤は、エレベータ装置の乗場に設けられたホール操作盤と、エレベータ装置のかごに設けられたかご操作盤とからそれぞれ発信される呼び情報に基づいて定められた乗場にかごを停止させる制御盤に接続されている。この不停止補助盤は、リレーおよび処理部を備える。リレーは、ホール操作盤からの呼び情報と、かご操作盤からの呼び情報との少なくとも一方に関し、制御盤へ入力するか否かを切り替える。処理部は、所定の不停止信号が入力されると、呼び情報が制御盤へ入力されないようにリレーの切り替え動作を行う。
【0007】
一実施形態に係るエレベータ制御システムは、エレベータ装置の乗場に設けられたホール操作盤と、エレベータ装置のかごに設けられたかご操作盤と、ホール操作盤とかご操作盤とからそれぞれ発信された呼び情報に基づいて定められた乗場にかごを停止させる制御盤と、制御盤に接続された不停止補助盤と、を備える。この不停止補助盤は、リレーおよび処理部を備える。リレーは、ホール操作盤からの呼び情報と、かご操作盤からの呼び情報との少なくとも一方に関し、制御盤へ入力するか否かを切り替える。処理部は、所定の不停止信号が入力されると、呼び情報が制御盤へ入力されないようにリレーの切り替え動作を行う。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係るエレベータ制御システムの構成を概略的に示すブロック図である。
図2】不停止補助盤の概略的な構成を示すブロック図である。
図3】不停止補助盤の動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0010】
図1は、本実施形態に係るエレベータ制御システムの構成を概略的に示すブロック図である。図1に示すエレベータ制御システム1は、ホール操作盤10と、かご操作盤20と、制御盤30と、不停止補助盤40と、を備える。
【0011】
ホール操作盤10は、エレベータ装置が設置された建物の各階の乗場100に設けられている。ホール操作盤10はホールボタン11を有する。例えば、ホールボタン11が押圧されると、呼び情報110が、押圧されたホールボタン11に対応する階の乗場100にかご200を停止させるための信号として、ホール操作盤10から発信される。発信された呼び情報110は、不停止補助盤40を介して制御盤30に入力される。
【0012】
かご操作盤20は、昇降路201で昇降するかご200内に設けられている。かご操作盤20は、複数のかごボタン21および複数のスイッチSW1〜SWnを有する。スイッチSW1〜SWnがオフ状態であるときに複数のかごボタン21が押圧されると、呼び情報210が、押圧されたかごボタン21に対応する階の乗場100にかご200を停止させるための信号として、かご操作盤20から発信される。発信された呼び情報210も、不停止補助盤40を介して制御盤30に入力される。
【0013】
本実施形態では、スイッチSW1〜SWnは、かご操作盤20に設けられている。ただし、各スイッチは、かご操作盤20以外の場所、例えば乗場100に設けられていてもよい。また、スイッチSW1〜SWnは、個々にオフ状態からオン状態に切り替え可能である。スイッチSW1〜SWnの少なくとも一つがオン状態になると、所定の不停止信号220が不停止補助盤40へ入力される。
【0014】
制御盤30は、機械室300に設置されている。制御盤30は制御回路31を有する。制御回路31には、呼び情報110および呼び情報210が不停止補助盤40を介して入力される。制御回路31は、呼び情報110および呼び情報210に基づいて定められた乗場100に、かご200を停止させる制御動作を行う。
【0015】
不停止補助盤40は、機械室300で制御盤30に接続されている。ただし、不停止補助盤40は、機械室300以外の場所で制御盤30に接続されていてもよい。ここで、図2を参照して不停止補助盤40の構成について説明する。
【0016】
図2は、不停止補助盤40の概略的な構成を示すブロック図である。図2に示すように、不停止補助盤40は、入力回路41と、処理部42と、リレー43と、を有する。
【0017】
入力回路41は、例えば、DI(Digital Input)基板に形成されている。不停止信号220が入力回路41に入力されると、入力回路41は、その不停止信号220に含まれたスイッチSW1〜SWnの識別情報410を処理部42へ伝送する。この識別情報410は、かご200の不停止階を示す不停止階情報や、後述する処理部42の動作情報に対応している。
【0018】
処理部42は、例えば、所定のプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)や、このプログラムを記憶したメモリ等を有するマイクロコンピュータで構成されている。処理部42は、入力回路41からの識別情報410に基づいて、リレー43を切り替えるための切替信号420を出力する。
【0019】
リレー43は、ホール用リレー44およびかご用リレー45を有する。本実施形態では、ホール用リレー44およびかご用リレー45は、入力回路41および処理部42と同じ基板上に設けられているが、別の基板に集約して配置されていてもよい。
【0020】
ホール用リレー44は、各階の乗場100に設けられた複数のホール操作盤10に個々に接続されるように複数設けられている。ホール用リレー44は、処理部42からの切替信号420に基づいて、ホール操作盤10から制御盤30へ呼び情報110を入力するか否かを切り替える。
【0021】
また、かご用リレー45は、かご操作盤20に設けられた複数のかごボタン21に個々に接続されるように複数設けられている。かご用リレー45は、処理部42からの切替信号420に基づいて、かご操作盤20から制御盤30へ呼び情報210を入力するか否かを切り替える。
【0022】
以下、図3を参照して、不停止補助盤40の動作について説明する。図3は、不停止補助盤40の動作手順を示すフローチャートである。
【0023】
スイッチSW1〜SWnの中で、不停止に設定された階に対応するスイッチがオフ状態からオン状態に切り替わると、不停止信号220が入力回路41に入力される(ステップS1)。ステップS1では、不停止信号220の数、すなわち、オン状態のスイッチ数は、1つに制限されず、不停止に設定された階数に応じて決定される。ステップS1に続いて、入力回路41は、オン状態のスイッチの識別情報410を制御盤30へ伝送する(ステップS2)。
【0024】
制御盤30では制御回路31が、識別情報410に基づいて、切り替え動作の対象がホール用リレー44単体であるか否か判定する(ステップS3)。例えば、識別情報410がスイッチSW1を示す場合、制御回路31は、切り替え動作の対象をホール用リレー44単体であると判定する。
【0025】
上記の場合、制御回路31は、識別情報410で識別される不停止階に対応するホール用リレー44へ切替信号420を出力する(ステップS4)。このホール用リレー44は、ホール操作盤10から制御回路31への呼び情報110の伝送を遮断する(ステップS5)。これにより、ホールボタン11の操作が無効になって、不停止機能を実現できる。
【0026】
一方、制御回路31は、ステップS3でホール用リレー44単体を切り替え動作の対象でないと判定した場合、識別情報410に基づいて切り替え動作の対象がかご用リレー45単体であるか否かを判定する(ステップS6)。例えば、識別情報410がスイッチSW2を示す場合、制御回路31は、切り替え動作の対象をかご用リレー45単体であると判定する。
【0027】
上記の場合、制御回路31は、識別情報410で識別される不停止階に対応するかご用リレー45へ切替信号420を出力する(ステップS7)。このかご用リレー45は、かご操作盤20から制御回路31への呼び情報210の伝送を遮断する(ステップS8)。これにより、かごボタン21の操作が無効になって、不停止機能を実現できる。
【0028】
一方、制御回路31は、ステップS6でかご用リレー45単体も切り替え動作の対象でないと判定した場合、ホール用リレー44およびかご用リレー45の両方を切り替え動作の対象であると判定する。
【0029】
上記の場合、制御回路31は、不停止階に対応するホール用リレー44およびかご用リレー45へ切替信号420を出力する(ステップS9)。このホール用リレー44は呼び情報110の伝送を遮断するとともに、このかご用リレー45は呼び情報210の伝送を遮断する(ステップS10)。その結果、ホールボタン11およびかごボタン21の操作が無効になって、不停止機能を実現できる。
【0030】
以上説明した本実施形態によれば、不停止補助盤40が、制御盤30とは別に設けられている。そのため、エレベータ装置の納入後に不停止機能が必要になったとしても、制御盤30の改造は不要になる。したがって、不停止機能を容易に実現することができる。
【0031】
また、現地では、呼び情報110および呼び情報210の伝送路に不停止補助盤40を設置すればよいので、作業時間を大幅に短縮することができる。さらに、不停止信号220に対する処理部42の設定を変更するだけで、様々な不停止機能を実現できるので、改造設計に要する時間も大幅に短縮することができる。
【0032】
なお、本実施形態では、不停止信号220は、スイッチSW1〜SWnの識別情報410だけでなく、かご200の状態を示すかご情報も含んでいてもよい。かご情報には、例えば、かご200の振動状態が該当する。例えば地震が発生してかご200に設置された振動センサ(不図示)の出力値が所定値よりも大きくなると、かご200の振動が異常であることを示すかご情報を含んだ不停止信号220が不停止補助盤40に入力される。この場合、処理部42は、呼び情報110および呼び情報210が制御盤30へ入力できるようにホール用リレー44およびかご用リレー45の切り替え動作を行う。その結果、不停止機能は解除される。そのため、最寄の乗場100にかご200を停止させ、乗客を迅速に避難させることが可能となる。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、これらの実施形態を、部分的に適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0034】
10:ホール操作盤、20:かご操作盤、30:制御盤、40:不停止補助盤、41:入力回路、42:処理部、43:リレー、44:ホール用リレー、45:かご用リレー、200:かご、SW1〜SWn:スイッチ
図1
図2
図3