(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
[0019]一態様によれば、本発明は、式I、IIおよび/またはIIIのいずれか1つまたは組み合わせに従った出発材料を用いて2,3,3,3−テトラフルオロプロプ−1−エンを作製するためのの製造プロセスに関する:
CX
2=CCl−CH
2X (式I)
CX
3−CCl=CH
2 (式II)
CX
3−CHCl−CH
2X (式III)
[式中、Xは、少なくとも1つのXがフッ素ではないという条件で、F、Cl、BrおよびIから独立して選択される]。特定の態様において、式I、IIおよび/またはIIIの化合物(1以上)は、Xの大部分を塩素として、またはすべてのXを塩素として、少なくとも1つの塩素を含有する。特定の態様において、式Iの化合物(1以上)として1,1,2,3−テトラクロロプロペン(1230xa)が挙げられる。特定の態様において、式IIの化合物(1以上)として2,3,3,3−テトラクロロプロペン(1230xf)が挙げられる。他の態様において、式IIIの化合物(1以上)として1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(240db)が挙げられる。
【0020】
[0020]該方法は一般に、少なくとも3つの反応段階を包含する。第1の段階において、式I、IIおよび/またはIIIの化合物(例えば、1,1,2,3−テトラクロロプロペン、2,3,3,3−テトラクロロプロペン、および/または1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン)を包含する出発組成物を、第1の蒸気相反応器(フッ素化反応器)において無水HFと反応させて、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)とHClの混合物を生産する。特定の態様において、反応は、蒸気相触媒、例えば、限定されるものではないが、フッ素化酸化クロムの存在下の蒸気相で行う。触媒の状態に応じて、使用前に触媒を無水フッ化水素HF(フッ化水素ガス)で活性化しなければならない(またはしなくてもよい)場合がある。
【0021】
[0021]フッ素化酸化クロムを蒸気相触媒として開示するが、本発明はこの態様に限定されない。当分野で公知の任意のフッ素化触媒を、このプロセスに用いることができる。適した触媒としては、限定されるものではないが、クロム、アルミニウム、コバルト、マンガン、ニッケルおよび鉄の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、それらの無機塩、ならびにそれらの混合物が挙げられ、それらの任意の1つは、所望によりフッ素化されていてもよい。
【0022】
[0022]本発明に適した触媒の組み合わせとしては、非排他的に、Cr
2O
3、FeCl
3/C、Cr
2O
3/Al
2O
3、Cr
2O
3/AlF
3、Cr
2O
3/炭素、CoCl
2/Cr
2O
3/Al
2O
3、NiCl
2/Cr
2O
3/Al
2O
3、CoCl
2/AlF
3、NiCl
2/AlF
3およびそれらの混合物が挙げられる。酸化クロム/酸化アルミニウム触媒は米国特許公報第5155082号に記載されており、該特許を本明細書中
で参考として援用する。結晶質酸化クロムまたは非晶質酸化クロムなどの酸化クロム(III)が好ましく、非晶質酸化クロムがもっとも好ましい。酸化クロム(Cr
2O
3)は、多種多様な粒子サイズで購入することができる市販の材料である。少なくとも98%の純度を有するフッ素化触媒が好ましい。フッ素化触媒は、過剰に、少なくとも反応を推進するのに足る量で、存在する。
【0023】
[0023]この反応の第1段階は、蒸気相フッ素化反応に適した任意の反応器で行うことができる。特定の態様において、反応器は、フッ化水素および触媒の腐食作用に耐性を示す材料、例えば、ハステロイ(Hastalloy)、ニッケル、インコロイ、インコネル、モネルお
よびフルオロポリマーのライニングから構築される。望ましい場合、窒素またはアルゴンなどの不活性ガスを、操作中の反応器に利用してもよい。
【0024】
[0024]式Iの化合物が1230xaである場合、反応の段階1におけるHFと1230xaのモル比は、1:1〜50:1、約10:1〜約50:1、または約10:1〜約20:1である。HFと1230xaの反応は、約200℃〜約600℃、特定の態様では約200℃〜約400℃、または約200℃〜約300℃の温度で実施する。反応圧力は、約0psig〜約500psig、特定の態様では約20psig〜約200psig、または約50〜約100psigである。
【0025】
[0025]同様に、式IIの化合物が1230xfである場合、反応の段階1におけるHFと1230xfのモル比は、1:1〜50:1、約10:1〜約50:1、または約10:1〜約20:1である。HFと1230xfの反応は、約200℃〜約600℃、特定の態様では約200℃〜約400℃、または約200℃〜約300℃の温度で実施する。反応圧力は、約0psig〜約500psig、特定の態様では約20psig〜約200psig、または約50〜約100psigである。
【0026】
[0026]同様に、式IIIの化合物が240dbである場合、反応の段階1におけるHFと240dbのモル比は、1:1〜50:1、約10:1〜約50:1、または約10:1〜約20:1である。HFと240dbの反応は、約200℃〜約600℃、特定の態様では約200℃〜約400℃、または約200℃〜約300℃の温度で実施する。反応圧力は、約0psig〜約500psig、特定の態様では約20psig〜約200psig、または約50〜約100psigである。
【0027】
[0027]フッ素化反応は、少なくとも1%以上、5%以上、10%以上、または約20%以上のシングルパスまたはマルチパス転化率が実現するように実施することができる。本発明の特定の好ましい態様では、出発試薬をシングルパスで1233xfに転化する。これに関し、反応条件は、75%を超えるか、85%を超えるか、95%を超えるか、または99%を超える転化量を達成するものである。このために、得られる流出物は、少量または微量の未反応出発材料を包含するか、そのような化合物を実質的に含まないことができる。
【0028】
[0028]多段反応器配列に存在することができる任意の中間体流出物を含め、フッ素化反応段階からの流出物を処理して、望ましい程度の分離および/または他の処理を実行する。例えば、反応器流出物が1233xfを包含する態様において、流出物は一般に、HCl、未反応HF、および存在する場合は微量の未反応出発成分(例えば、1230xa、1230xfおよび/または240db)も包含する。流出物は、1以上の副生成有機物、例えば、フッ素化が不十分および/または過剰な中間体を包含することもできる。フッ素化が不十分な中間体の非限定的例としては、トリクロロフルオロプロペン(1231)異性体および2,3−ジクロロ−3,3−ジフルオロプロペン(1232xf)が挙げられ、フッ素化が過剰な中間体の非限定的例としては、2−クロロ−1,1,1,2−テト
ラフルオロプロパン(244bb)および1,1,1,2,2−ペンタクロロプロパン(245cb)が挙げられる。他の副生成有機物としては、限定されるものではないが、ジクロロトリフルオロプロパン(243)およびトリクロロジフルオロプロパン(242)、および1以上の出発化合物から誘導される二量体を挙げることもできる。非限定的例として、1230xaから誘導される二量体としては、限定されるものではないが、C
6H
3F
6Cl、C
6H
3F
7Cl
2、C
6F
6Cl
2、C
6H
8Cl
2、C
6F
5Cl
3、C
6H
3F
2Cl
5などが挙げられる。
【0029】
[0029]該流出物を1以上の段階で処理して、1233xf、ならびに再循環可能なものとして有用な特定の未反応化合物および/または副生成物を単離することができる。一態様において、
図1を参照して、出発試薬1を乾燥器3に提供した後、HF2と一緒に反応器5に提供する。蒸気相反応器5から出た流出物流6を冷却器7に供給した後、第1の再循環塔、例えば蒸留塔8に供給する。より軽質な流出物成分9を第1の再循環塔の上部から単離して冷却する。これは、HCl、1233xf、244bb(存在する場合)、245cb(存在する場合)、および未反応HFの一部の1以上を包含する。残りの化合物を塔底流に収集する。これは、未反応HFの大部分、微量の未反応出発成分(存在する場合)、残留1233xf、および1以上の本明細書中で論じる副生成有機物を包含する。塔底流に関し、“残留”量の1233xfは、底部流中の成分の全重量の約30重量%未満、約20%未満、約15%未満、または約10%未満をさす。
【0030】
[0030]その後、上部流と底部流のそれぞれを独立して処理する。例えば、上部流は、HClを除去するために最初にHCl塔(図示していない)に供給する。高純度HClを塔の上部から単離し、HCl回収システムに供給する。非限定的例として、そのような回収システムでは、上部流からのHClを濃HClとして脱イオン水に吸収させることができ、所望により、これを、後で販売するために回収することができる。1233xf、244bb(存在する場合)、245cb(存在する場合)およびHFを包含する残りの成分は、HCl塔の底部から出して、さらに処理する。特定の態様では、その後この底部流をHF回収システムに提供して、HFを回収する。この混合物からHFを除去するために、1233xf/HF流を硫酸抽出器または相分離器に供給する。すなわち、HFを硫酸に溶解するか有機混合物から相分離する。前者の場合、HFを加熱および蒸留により硫酸/HF混合物から脱着させ、反応器に戻して再循環させる。相分離器を用いる場合、以下で論じるような標準的方法を用いてHFを相分離し、反応器に戻して再循環させる。硫酸抽出器の頂部または相分離器の底部層のいずれかからの有機物を、以下で論じる段階(2)のフッ化水素化反応器に供給する。
【0031】
[0031]特定の態様において、第1の再循環塔5の底部流内の成分を、相分離により分離する。より具体的には、該混合物を冷却器10、続いて相分離器11に提供し、ここで、未反応HFを、HFに富む第1または上部層と有機物に富む底部または第2層に分離する。混合物を実質的に液相の状態に維持する任意の圧力を採用することができる。このために、混合物の圧力および温度を、混合物が実質的に液相の状態のままになるように調整することができる。特定の態様において、HFに富む相はまた、残留部分として、特定の有機物、例えば、限定されるものではないが、1233xf、1232xfおよび243を包含する。第1層に提供されない残りの有機物(とりわけ未反応出発化合物(1以上)(存在する場合)、残留1233xf、242異性体、243異性体および二量体)を、有機物に富む第2または底部層に分離する。(上部層に関する場合、有機物の“残留部分”は、上部層中の成分の全重量の約50重量%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、または約10重量%未満をさす。)相分離は、相分離器中に2つの異なる液相が形成するような温度と圧力の任意の組み合わせにおいて実施することができる。相分離は、約−30℃〜60℃、好ましくは約0℃〜40℃、より好ましくは約10℃〜30℃で実施することができる。
【0032】
[0032]その後、HFに富む相をHF相ポンプ12などにより単離し、所望により精製13し、気化器を経由して反応器に戻して再循環17させる。一態様では、HFに富む層を、水分蓄積を除去するために蒸留するか、一段フラッシュ蒸留により単離する。他の態様では、HFに富む流れの再循環に先立ち、水分(存在する場合)を、COCl
2(またはSOCl
2)などの化学試薬を前記流れに注入することにより除去する。前記試薬は、水分と反応してCO
2(またはSO
2)およびHClを形成する。さらに他の態様では、HFに富む層を、残留有機物を除去するために精製することができ、または有機物と一緒に再循環させることができる。
【0033】
[0033]有機物に富む層も、有機相ポンプ14などにより単離した後、さらに処理して、未反応出発反応体(存在する場合)および再循環可能な中間体を分離して精製する。特定の態様において、有機物に富む層をハイボイラーパージシステム15に提供し、ここで、未反応出発試薬(存在する場合)、残留1233xf、1231異性体、1232xf、243異性体、242異性体などを回収し、望ましくない副生成物、とりわけ二量体および他の不純物を除去する。(有機物に富む層に関する場合、“残留”量のHFは、底部層中の成分の全重量の約15重量%未満、約10%未満、約5%未満、または約3%未満をさす。)ハイボイラーパージシステムは、バッチ式または連続式で、操作上の理由から好ましくはバッチ式で操作される蒸留システムであることができる。他の選択肢は、フラッシュまたは一連のフラッシュを用いることである。どちらの場合(蒸留またはフラッシュ)でも、より多くの揮発性成分を回収し再循環させる一方、より重質の成分をシステムから除去する。非限定的な一態様において、
図2を参照して、有機相ポンプ14からの供給物22をバッチ蒸留塔に提供し、蒸気供給30により加熱する。より軽質の成分(例えば、HF、1231異性体、1232xf、残留1233xf、242異性体および243異性体などの未反応出発化合物)を上部流から単離し、凝縮器24で冷却する。非凝縮性化合物(存在する場合)を所望によりパージ25し、残りの化合物を、化合物を揮発性の順に分離して、一連の蒸留留分として収集する。
図2には3つの蒸留留分26、27、28を例示しているが、出願人らは、本発明はこれに限定されず、有益または再循環可能な材料、例えば、未反応出発化合物、1231異性体、1232xf、1233xf、243異性体、242異性体などを分離するために、任意の数の蒸留留分を提供することができることに触れておく。一旦単離した後、再び
図1を参照し、未反応出発化合物、1233xf、1231異性体、1232xf、243異性体、242異性体を反応器5に再循環16させる。その際に、未反応出発成分(存在する場合)および再循環可能な中間体を、望ましい組成物1233xfおよび/またはその前駆体に転化する。重質化合物(例えば二量体など)を底部流29から単離する。
【0034】
[0034]出願人らは、第1の再循環塔の底部流中の成分を2相に分離することによって、より容易に反応体を反応器に戻して再循環させることが可能になり、相分離器を用いた後、層の一方または両方を精製してから再循環させることにより、該プロセスの経済性が改善されることを発見した。例えば、供給物中に水分が存在すると、触媒が失活し、装備および配管が腐食する。そのような水分は、存在する場合、典型的には相分離中にHFに富む相に濃縮する。したがって、単離後にHFに富む相を精製することにより、水分を除去し、触媒失活および腐食を最低限に抑えることができる。
【0035】
[0035]高沸点副生成物および不純物の除去は、再循環される場合そのような化合物も触媒失活を引き起こすので、同様に有利である。上記のように、相分離中に、そのような化合物は有機層中に濃縮する傾向がある。したがって、単離後、有機層を上記に従って精製して、そのような化合物を除去し、再循環可能な化合物のみを単離することもできる。高沸点化合物を除去すると、触媒寿命が改善し、パージ流が最小限になる。
【0036】
[0036]2,3,3,3−テトラフルオロプロプ−1−エンの形成プロセスの第2段階において、精製した1233xf中間体流を2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパン(244bb)に転化する。一態様において、この段階は、TFEまたはPFAでライニングされていてもよい液相反応器中の液相で実施することができる。そのようなプロセスは、約70〜120℃の温度範囲および約50〜120psigで実施することができる。
【0037】
[0037]任意の液相フッ素化触媒を本発明に用いることができる。限定的なリストとしては、ルイス酸、遷移金属ハロゲン化物、遷移金属酸化物、IVb族金属ハロゲン化物、Vb族金属ハロゲン化物、またはそれらの組み合わせが挙げられる。液相フッ素化触媒の非排他的例は、ハロゲン化アンチモン、ハロゲン化スズ、ハロゲン化タンタル、ハロゲン化チタン、ハロゲン化ニオブ、およびハロゲン化モリブデン、ハロゲン化鉄、フッ素化ハロゲン化クロム、フッ素化酸化クロム、またはそれらの組み合わせである。液相フッ素化触媒の具体的な非排他的例は、SbCl
5、SbCl
3、SbF
5、SnCl
4、TaCl
5、TiCl
4、NbCl
5、MoCl
6、FeCl
3、SbCl
5のフッ素化種、SbCl
3のフッ素化種、SnCl
4のフッ素化種、TaCl
5のフッ素化種、TiCl
4のフッ素化種、NbCl
5のフッ素化種、MoCl
6のフッ素化種、FeCl
3のフッ素化種、またはそれらの組み合わせである。五塩化アンチモンがもっとも好ましい。
【0038】
[0038]これらの触媒は、失活した場合、当分野で公知の任意の手段により容易に再生することができる。触媒の適した再生方法の1つは、触媒に塩素流を流すことを包含する。例えば、液相フッ素化触媒1ポンドごとに、1時間あたり約0.002〜約0.2lbの塩素を液相反応に加えることができる。これは、例えば、約1〜約2時間にわたり、または連続的に、約65℃〜約100℃の温度で行うことができる。
【0039】
[0039]この反応の第2段階は必ずしも液相反応に限定されず、米国特許出願公開第20070197842号に開示されているように、蒸気相反応または液相と蒸気相の組み合わせを用いて実施することもできる。該特許出願公開の内容を、本明細書中で参考として援用する。このために、1233xfを含有する供給物流を約50℃〜約400℃の温度に予熱し、触媒およびフッ素化剤と接触させる。触媒としては、そのような反応に用いられる標準的な蒸気相作用物質を挙げることができ、フッ素化剤としては、当分野で一般に公知のもの、例えば、限定されるものではないが、フッ化水素を挙げることができる。
【0040】
[0040]1234yfを生産する第3段階では、244bbを脱塩化水素するために第2の蒸気相反応器(脱塩化水素反応器)に供給して、望ましい生成物2,3,3,3−テトラフルオロプロプ−1−エン(1234yf)を作製する。この反応器には、HCFC−244bbを触媒的に脱塩化水素してHFO−1234yfを作製することができる触媒が入っている。
【0041】
[0041]触媒は、バルクまたは担持した形での金属ハロゲン化物、ハロゲン化金属酸化物、中性(もしくは酸化状態ゼロ)の金属もしくは金属合金、または活性炭であることができる。金属ハロゲン化物または金属酸化物触媒としては、限定されるものではないが、一価、二価および三価の金属のハロゲン化物、酸化物、ならびにそれらの混合物/組み合わせ、より好ましくは、一価および二価の金属のハロゲン化物ならびにそれらの混合物/組み合わせを挙げることができる。成分金属としては、限定されるものではないが、Cr
3+、Fe
3+、Mg
2+、Ca
2+、Ni
2+、Zn
2+、Pd
2+、Li
+、Na
+、K
+およびCs
+が挙げられる。成分ハロゲン化物としては、限定されるものではないが、F
−、Cl
−、Br
−およびI
−が挙げられる。有用な一価または二価の金属のハロゲン化物の例としては、限定されるものではないが、LiF、NaF、KF、CsF、MgF
2、CaF
2、LiCl、NaCl、KCl、およびCsClが挙げられる。ハロゲン
化処理としては、従来技術で公知の処理のいずれか、とりわけ、ハロゲン化源としてHF、F
2、HCl、Cl
2、HBr、Br
2、HIおよびI
2を採用する処理を挙げることができる。
【0042】
[0042]中性、すなわちゼロ価の場合、金属、金属合金およびそれらの混合物を用いる。有用な金属としては、限定されるものではないが、Pd、Pt、Rh、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Cr、Mn、および合金または混合物としての前記金属の組み合わせが挙げられる。触媒は、担持されていても担持されていなくてもよい。金属合金の有用な例としては、限定されるものではないが、SS316、モネル400、インコネル825、インコネル600およびインコネル625が挙げられる。そのような触媒は、別個の担持または非担持要素として、ならびに/または反応器および/もしくは反応器壁の一部として、提供することができる。
【0043】
[0043]好ましい非限定的な触媒としては、活性炭、ステンレス鋼(例えばSS316)、オーステナイトニッケルに基づく合金(例えばインコネル625)、ニッケル、フッ素化10%CsCl/MgO、および10%CsCl/MgF
2が挙げられる。反応温度は約300〜550℃であることが好ましく、反応圧力は約0〜150psigであることができる。反応器流出物を苛性スクラバーまたは蒸留塔に供給してHClの副生成物を除去して、酸を含まない有機生成物を生産することができる。該生成物を、所望により、当分野で公知の精製技術の1つまたは任意の組み合わせを用いて、さらに精製にかけてもよい。
【0044】
[0044]以下は本発明の実施例であり、限定的なものと理解すべきではない。
【実施例】
【0045】
[0045]
実施例1
[0046]パイロット実証ユニットは、供給物送達システム、気化器、反応器/加熱システム、蒸留塔、相分離器、再循環システム、苛性溶液スクラバー、および生成物(1233xf)収集システムで構成されている。始動中に、10重量%の1233xfと90重量%の1230xaを含有する有機供給物を乾燥塔に通し、HF供給物と組み合わせた後、気化器に入れた。その後、気化した蒸気混合物を、6.5Lのフッ素化酸化クロム触媒が入っている反応器に導入した。反応温度および反応圧力は、それぞれ200℃および70psigであった。反応器流出物を約30℃で操作されている冷却器に誘導した後、60psigで操作されている蒸留塔に入れた。蒸留塔の上部からの流出物(1233xf、HCl、およびHF、および244bb/245cb(存在する場合))を、スクラバー、乾燥塔に通した後、生成物収集シリンダー(PCC)に送った。蒸留塔の底部からの流出物(主としてHF、未反応1230xa(存在する場合)、1232xf、および他のフッ素化が不十分な化合物、およびさまさまな副生成物)を熱交換器(冷却器)に通した後、相分離器(PS)に送る。該相分離器は、圧力変換器、熱電対、視覚管(sight tube)、破裂板、および浸漬管を備える20ガロン容器であり、この実施例では約25℃および約25psigで操作した。浸漬管の長さはPSの長さの50%である。HFの再循環は、十分な材料がPS中に蓄積した時点で開始した。試料をPSの上部および底部から定期的に採取して分析した。表1に示すように、上部層はHFに富み、底部層は有機物に富んでいた。表2に示すように、HFに富む層中の有機物は、主として、より軽質の成分、例えば、1233xf、1232xfなどで構成され、有機物に富む層中の有機物では、より軽質の成分は50%未満であった。これらの結果は、相分離器により、HFに富む層から重質成分を除去することが可能になることを示している。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
[0047]実施例2
[0048]実施例1と同じパイロット実証ユニットを用いた。HFの再循環を、HFに富む層の液体を相分離器の浸漬管に通してポンプ移送することにより開始した。反応器流出物の分析は、1000時間の運転後に1230xaが検出されないことを示した。これは、この期間中に失活が起こらなかったことを示している。
【0049】
[0049]比較例2
[0050] 実施例1と同じパイロット実証ユニットを用いた。HF再循環流の他に、有機物の再循環も、有機物に富む層の液体を相分離器の底部に通してポンプ移送することにより開始する。反応器流出物の分析は、100時間の運転後にかなりの量の1230xaが検出されることを示している。これは、この期間中に失活が起こることを示している。
本発明は以下の態様を含む。
[1] 以下を含む、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの調製方法:
式I、IIおよび/または式IIIの少なくとも1つの出発化合物を含む組成物を提供し
CX
2=CCl−CH
2X (I)
CX
3−CCl=CH
2 (II)
CX
3−CHCl−CH
2X (III)
[式中、Xは、少なくとも1つのXがフッ素ではないという条件で、F、Cl、BrおよびIから独立して選択される];
(a)前記出発組成物をフッ素化剤と接触させて、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、HCl、未反応HF、所望による未反応出発化合物、ならびにトリクロロフルオロプロペン(1231)異性体、2,3−ジクロロ−3,3−ジフルオロプロペン(1232xf)、2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパン(244bb)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)、ジクロロトリフルオロプロパン(243)、トリクロロジフルオロプロパン(242)、C
6H
3F
6Cl、C
6H
3F
7Cl
2、C
6F
6Cl
2、C
6H
8Cl
2、C
6F
5Cl
3、C
6H
3F
2Cl
5およびそれらの組み合わせからなる群より選択される1以上の副生成物を含む、最終組成物を生産し、これに関し、少なくとも1つの副生成物は接触段階に再循環可能である;
(b)該最終組成物を、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンおよびHClを含む第1の流れと、所望による未反応出発化合物、1以上の副生成物、および未反応HFを含む第2の流れに分離し;
(c)第1の流れの2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンをHClから分離し;
(d)第2の流れの未反応HFを、所望による未反応出発化合物および1以上の副生成物から分離し;そして
(e)再循環可能な副生成物(1以上)を接触段階(a)に分離して再循環させる。
[2] 分離段階(b)が蒸留を含み、ここで、少なくとも2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンおよびHClを第1の流れに回収し、少なくとも所望による未反応出発化合物、1以上の副生成物、および未反応HFの一部を第2の流れに回収する、[1]に記載の方法。
[3] 第1の流れの2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを段階(c)で蒸留によりHClから分離する、[1]に記載の方法。
[4] 段階(d)において未反応HFを所望による未反応出発化合物および1以上の副生成物から相分離により分離する[1]に記載の方法であって、第1の層が未反応HFを含み、第2の層が所望による未反応出発化合物および1以上の副生成物を含む、前記方法。
[5] 第1の層を抽出し、所望により精製する、[4]に記載の方法。
[6] 第1の層中に存在する水分を除去する、[5]に記載の方法。
[7] 第1の層を再循環させる、[6]に記載の方法。
[8] 第2の層を抽出する、[4]に記載の方法。
[9] 所望による未反応出発化合物を単離する、[8]に記載の方法。
[10] 所望による未反応出発化合物を再循環させる、[8]に記載の方法。
[11] 再循環可能な副生成物を単離する、[8]に記載の方法。
[12] 再循環可能な副生成物を再循環させる、[8]に記載の方法。
[13] 以下を含む、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの調製方法:
式I、IIおよび/または式IIIの少なくとも1つの出発化合物を含む組成物を提供し
CX
2=CCl−CH
2X (I)
CX
3−CCl=CH
2 (II)
CX
3−CHCl−CH
2X (III)
[式中、Xは、少なくとも1つのXがフッ素ではないという条件で、F、Cl、BrおよびIから独立して選択される];
(a)前記出発組成物をフッ素化剤と接触させて、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、HCl、未反応HF、所望による未反応出発化合物、トリクロロフルオロプロペン(1231)異性体、2,3−ジクロロ−3,3−ジフルオロプロペン(1232xf)、ならびに1,1,1,2−テトラフルオロプロパン(244bb)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの第1の副生成物、ならびにジクロロトリフルオロプロパン(243)、トリクロロジフルオロプロパン(242)およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの第2の副生成物、ならびにC
6H
3F
6Cl、C
6H
3F
7Cl
2、C
6F
6Cl
2、C
6H
8Cl
2、C
6F
5Cl
3、C
6H
3F
2Cl
5およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの第3の副生成物を含む、最終組成物を生産し;
(b)少なくとも2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、第1の副生成物(1以上)およびHClを含む第1の流れを、未反応HFの一部および最終組成物の残りを含む第2の流れから分離し;
(c)第1の流れの2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンをHClおよび第1の副生成物(1以上)から分離し;そして
(d)第2の流れの未反応HFを、所望による未反応出発化合物、トリクロロフルオロプロペン(1231)異性体、2,3−ジクロロ−3,3−ジフルオロプロペン(1232xf)、第2の副生成物(1以上)および第3の副生成物(1以上)から分離し;そして
(e)所望による未反応出発化合物、トリクロロフルオロプロペン(1231)異性体、2,3−ジクロロ−3,3−ジフルオロプロペン(1232xf)および第2の副生成物(1以上)を、第3の副生成物(1以上)から分離する。
[14] 分離段階(b)が蒸留を含み、ここで、少なくとも2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、第1の副生成物(1以上)およびHClを第1の流れに回収し、少なくとも所望による未反応出発化合物、第2の副生成物、第3の副生成物、および未反応HFの一部を第2の流れに回収する、[13]に記載の方法。
[15] 第1の流れの2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを段階(c)で蒸留によりHClおよび第1の副生成物(1以上)から分離する、[13]に記載の方法。
[16] 段階(d)において、第2の流れの未反応HFを、所望による未反応出発化合物、トリクロロフルオロプロペン(1231)異性体、2,3−ジクロロ−3,3−ジフルオロプロペン(1232xf)、第2の副生成物(1以上)および第3の副生成物から相分離により分離する、[13]に記載の方法であって、第1の層が未反応HFを含み、第2の層が未反応出発化合物、トリクロロフルオロプロペン(1231)異性体、2,3−ジクロロ−3,3−ジフルオロプロペン(1232xf)、第2の副生成物(1以上)および第3の副生成物を含む、前記方法。
[17] 第1の層を抽出し、精製する、[16]に記載の方法。
[18] 第1の層中に存在する水分を除去する、[17]に記載の方法。
[19] 第1の層を再循環させる、[17]に記載の方法。
[20] 第2の層を抽出する、[15]に記載の方法。
[21] 段階(e)で分離した少なくとも所望による未反応出発化合物、トリクロロフルオロプロペン(1231)異性体、2,3−ジクロロ−3,3−ジフルオロプロペン(1232xf)および第2の副生成物を再循環させる、[16]に記載の方法。
[22] 以下を含む分離方法:
a)相分離器に組成物を提供し、これに関し、前記組成物は、
i)2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)、
ii)HF、
iii)トリクロロフルオロプロペン(1231)異性体、2,3−ジクロロ−3,3−ジフルオロプロペン(1232xf)、2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパン(244bb)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)、ジクロロトリフルオロプロパン(243)、トリクロロジフルオロプロパン(242)からなる群より選択される1以上の有機物、および
iv)C
6H
3F
6Cl、C
6H
3F
7Cl
2、C
6F
6Cl
2、C
6H
8Cl
2、C
6F
5Cl
3、C
6H
3F
2Cl
5からなる群より選択される1以上の二量体、
を含む;
b)該組成物を、前記相分離器において上部層と底部層に分離する、これに関し、前記上部層は、前記組成物からの実質的にすべてのHFおよび1233xfで構成され、前記第2の層は、該組成物の実質的にすべての有機物および二量体で構成される。
[23] さらに、底部層をパージシステムに提供し、ここで、前記二量体を前記有機物から実質的に分離することを含む、[22]に記載の分離方法。
[24] さらに、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)を生産するために前記有機物を反応器に再循環させることを含む、[23]に記載の分離方法。
[25] 以下を含む、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)の調製方法:
a)組成物を相分離器に提供し、これに関し、
前記組成物は、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)と、HFと、トリクロロフルオロプロペン(1231)異性体、2,3−ジクロロ−3,3−ジフルオロプロペン(1232xf)、2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパン(244bb)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)、ジクロロトリフルオロプロパン(243)、トリクロロジフルオロプロパン(242)からなる群より選択される1以上の有機物と、C
6H
3F
6Cl、C
6H
3F
7Cl
2、C
6F
6Cl
2、C
6H
8Cl
2、C
6F
5Cl
3、C
6H
3F
2Cl
5の群から選択される1以上の二量体とを含み、
前記組成物は、反応器および再循環塔を含む反応器システムから得られる;
b)前記相分離器中の前記第1の組成物を、前記相分離器において上部層と底部層に分離し、これに関し、前記上部層は、前記組成物からの実質的にすべてのHFおよび1233xfで構成され、前記第2の層は、該組成物の実質的にすべての有機物および二量体で構成される;
c)前記底部層をパージシステムに提供し、ここで、前記二量体を前記有機物から実質的に分離し;そして
d)前記パージシステムから得られる有機物を反応器に戻して再循環させる。