(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えば、工場からガスや廃水などを排出するとき、気液接触装置などを用いて浄化処理を施し、その後、大気や海洋などへ排出している。
上記の気液接触装置には、気体の流れ(気流)と液体の流れ(液流)を、互いに逆方向から複数の羽根部材に衝突させ、この衝突により過流を起して気液接触を行い、その際に生じる化学反応等によって有害物質を浄化するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8は、従来の気液接触装置の概略構成を示す説明図である。図示した気液接触装置101は、筒状に形成された本体110の内部に、例えば、7個のエレメント111〜117が設置されている。
筒状の本体110は、上下方向に延設されており、図中上側に排気口部121を配置しており、図中下側に下側部131を配置している。
エレメント111〜117は、それぞれの中心部分を連結軸140によって連結され、筒状の本体110の延設方向、即ち、上下方向に並んで設置されており、いずれも同一形状に構成されている。
【0004】
例えば、エレメント111は、複数の羽根板120によって構成され、本体110の筒孔の径方向において、連結軸140を中心とし、当該複数の羽根板120を放射状に設置固定している。
エレメント111の各羽根板120は、水平状態から角度α10の傾斜を有するように固定されており、例えば、図中左側に羽根板120の下端が配置され、図中右側に羽根板120の上端が配置されるように本体110内部に設置されている。
【0005】
エレメント112〜117を構成する各羽根板120についても、上記のエレメント111と同様に、角度α10の傾斜を有するように固定されている。
エレメント112の羽根板120は、直下に配置されたエレメント111の羽根板120に対して、傾斜方向が逆となるように、即ち、図中左側がエレメント112の羽根板120の上端となり、右側がエレメント112の羽根板120の下端となるように、本体110内部に設置されている。
エレメント113〜117は、いずれも角度α10に傾斜させた複数の羽根板120を備えており、前述のエレメント111とエレメント112のように、直下に配置されたエレメントに対して、羽根板120の傾斜方向が逆向きとなるように、本体110の内部に設置されている。
なお、
図8においては、エレメント111〜117を構成する羽根板120の一部分を図示し、各エレメント111〜117を構成する全ての羽根板120については、図示を省略している。
【0006】
エレメント117の上側には、例えば、浄化処理を施す液体Lを本体110の内部に注入する液体入口部130が設置されている。
液体入口部130から注入された液体Lは、当該気液接触装置101の下側へ流下し、エレメント117の各羽根板120の間を上側から下側へ通過し、さらにエレメント116からエレメント111に備えられた各羽根板120の間を同様に通過する。
また、気液接触装置101に液体Lが注入されるときには、当該気液接触装置101の下側部131から排気口部121へ向かって気体Aが圧送される。このとき、気体Aは、エレメント111の各羽根板120の間を下側から上側へ通過し、さらにエレメント112からエレメント117の各羽根板120の間を同様に通過する。即ち、液体Lと気体Aは、各エレメントの羽根板120間を通過するとき、適当な圧力を有して接触し、相互に生じた化学反応等によって変質する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態を図に基いて説明する。
(実施例1)
図1は、この発明の実施例1による気液接触装置の概略構成図である。図示した気液接触装置1は、筒状に形成され、長手方向のそれぞれの端部を上下に配置する本体2を有する。
本体2は、当該本体2の筒孔内部の液体が外部へ漏れ出さないように、また、筒孔内部の気体が外部へ漏れ出さないように、防水性、気密性を備えて構成されている。
本体2の上端には、上方へ向かって開口した排気口部4が設置されており、本体2の下端には液槽部7が設置されている。
液槽部7には、例えば、本体2の側壁部分から液体を排出する液体出口部6が設置されている。
液槽部7の上側には、本体2の筒孔内部へ気体を導入する気体入口部3が設置されている。
【0018】
本体2の内部には、下方からエレメント11〜17が順に積層配置されており、本体2の長手方向に沿って適当な間隔を空けて平行に設置されている。
エレメント17の下側には、所定間隔を空けてエレメント18が設置されており、例えば、当該エレメント18の径方向の中心部分に、直管状に形成された導液管30が貫通設置されている。
エレメント18は、本体2の筒孔軸方向に沿って、前述のエレメント11〜17に対して平行となるように配置され、直上のエレメント11から適当な間隔を空けて設置されている。このエレメント18は、例えば、外周部分を本体2の筒孔内壁に固定させている。
なお、気体入口部3は、エレメント18の下方に配置され、所定の気体を本体2の内部へ導入させる際に適度な圧力を加える、例えば図示を省略した送風機、エアポンプ、または、コンプレッサ等と共に気体導入手段を構成する。
【0019】
導液管30は、本体2の長手方向に沿って、即ち、本体2の筒孔軸方向に沿って設置されており、上端をエレメント18の上側に配置し、下端を液槽部7の内部に配置するように構成されている。
本体2の内部において、各エレメントの中で最も上側に設置されたエレメント17の上方には、本体2の内部へ所定の液体を導入する液体入口部5が設置されている。
なお、液体入口部5は、本体2の内部へ液体を導入させる際に適度な圧力を加える、例えば図示を省略したポンプ等と共に液体導入手段を構成する。
【0020】
図2は、
図1の気液接触装置に設置された各エレメントの構成を示す説明図である。本体2は、前述のように筒状に形成されて、当該本体2の筒孔内部に各エレメントを並べて積層配置している。
例えば、エレメント11〜17は、本体2の筒孔中心部に設置されて当該本体2の長手方向に延設された連結軸40、ならびに本体2の筒孔内壁部分に固定されている。
換言すると、本体2の筒孔軸方向に沿って積層配置されているエレメント11〜17は、当該筒孔軸方向と直交する(各エレメント)上下面の中心部分を貫通する連結軸40と、本体2の筒孔内壁に接して支持固定されている。
【0021】
エレメント11〜17は、例えば、上下方向(筒孔軸方向と直交する方向)の投影面の大きさが、本体2の筒孔の径方向の大きさと同等となるように構成されている。
エレメント11は、例えば連結軸40から本体2の筒孔内壁へ向かって延設された複数の羽根板21を、連結軸40を中心として放射状に配置している。
同様に、エレメント12は、例えば連結軸40から本体2の筒孔内壁へ向かって延設された複数の羽根板22を、連結軸40を中心として放射状に配置しており、エレメント13〜17についても、それぞれ羽根板23〜27を同様に配置している。
【0022】
例えば、エレメント11を形成する各羽根板21は、本体2の筒孔軸方向に対して角度α1の傾斜角度が生じるように設置固定されている。
また、エレメント12を形成する各羽根板22は、本体2の筒孔軸方向に対して角度α2の傾斜角度が生じるように設置固定されている。
また、エレメント13形成する各羽根板23は、本体2の筒孔軸方向に対して角度α3の傾斜角度が生じるように設置固定されている。
また、エレメント14を形成する各羽根板24は、本体2の筒孔軸方向に対して角度α4の傾斜角度が生じるように設置固定されている。
また、エレメント15を形成する各羽根板25は、本体2の筒孔軸方向に対して角度α5の傾斜角度が生じるように設置固定されている。
また、エレメント16を形成する各羽根板26は、本体2の筒孔軸方向に対して角度α6の傾斜角度が生じるように設置固定されている。
また、エレメント17を形成する各羽根板27は、本体2の筒孔軸方向に対して角度α7の傾斜角度が生じるように設置固定されている。
なお、ここで例示した気液接触装置1のエレメント11〜17は、筒孔軸方向において隣り合うエレメントと逆方向に旋回流が生じるように配置構成されている。即ち、羽根板21〜27は、それぞれ隣り合うエレメントの羽根板に対して傾斜方向が逆になるように設置されている。
【0023】
前述の各羽根板の傾斜角度は、α1>α2>α3>α4>α5>α6>α7、と表される大小関係を有している。
即ち、エレメント11〜17の中では、気体入口部3の近くに配置されたエレメント11の羽根板21が最も大きな傾斜角度を有し、当該エレメント11を通過する気体ならびに液体に対して大きな抵抗が生じるように構成されている。
また、液体入口部5の近くに配置されたエレメント17の羽根板27が最も小さい傾斜角度を有し、当該エレメント17を通過する気体ならびに液体に対して小さな抵抗が生じるように構成されている。
【0024】
なお、ここで、エレメント11〜17を通過する上記の液体は、液体入口部5から本体2の内部へ導入され、エレメント17からエレメント11の順で通過し、本体2の下側へ向かって移動する液体L1である。
また、エレメント11〜17を通過する上記の気体は、気体入口部3(
図2においては、本体2の下部側)から本体2の筒孔内部へ導入され、エレメント11からエレメント17の順で通過し、本体2の上側(排気口部4)へ向かって移動する気体A1である。
【0025】
実施例1の気液接触装置1は、例えば、浄化処理を施す汚染水の液体L1を、浄化作用を有する気体A1と接触させて浄化するように構成されている。
ここで例示した気液接触装置1、ならびに、後述する気液接触装置1aは、8個(8段)のエレメント11〜18を用いて気液接触を行うように構成されているが、充分な気液接触を行うことができるならば、エレメントの個数は8個に限定されない。
【0026】
次に動作について説明する。
図3は、
図2の気液接触装置の内部を移動する気体および液体を示す説明図である。
図3(a)は、気体A1および液体L1がそれぞれの方向からエレメント11を通過する状態を例示したもので、
図3(b)は、
図3(a)に示したエレメント11の羽根板21間を気体A1および液体L1が通過する状態を拡大表示したものである。
ここでは、各エレメントに生じる気液混合を、エレメント11を例示して説明する。
【0027】
液体入口部5から本体2の筒孔内部へ導入された液体L1は、エレメント17〜エレメント12において気液混合が行われ、エレメント11の上方へ流下してくる。
所定の圧力が加えられて気体入口部3から本体2の筒孔内へ導入された気体A1は、エレメント11の下方から上方へ向かって吹き上げる。
このようにエレメント11の上方から流下してきた液体L1と、下方から吹き上げてきた気体A1は、複数の羽根板21の間へ流れ込み、当該羽根板間で対向衝突して気泡を発生する。
【0028】
各羽根板21は、前述のように旋回流が発生するように設置固定されていることから、発生した気泡は、本体2の筒孔内を旋回しながら、時間経過による泡膜の劣化や、順次、上方から流下してくる液体L1に接触することなどによって破裂する。
気泡となって気体A1と接触した液体L1は、当該気泡の破裂によって気体A1と分離してエレメント11の羽根板間へ流下する。
このとき流下した液体L1は、一部分が再び気体A1と接触することによって気泡となり、残りの液状態の部分はエレメント11の各羽根板間を通過して下方へ流下する。このように、エレメント11において気体A1と液体L1の気液接触が行われる。
なお、気泡の破裂によって放出された気体A1は、順次下方から吹き上げてくる気体A1によって上方へ移動し、各エレメントを通過した後、排気口部4から本体2の外部へ放出される。
【0029】
図4は、
図3のエレメントを形成する羽根板の間を通過する液体および気体の状態を示す説明図である。この図は、エレメント11を形成する各羽根板21の間を通過する液体L1と気体A1の接触状態を示したものである。
エレメント11の上方から流下する液体L1の液流の速度、ならびに、エレメント11の下方から吹き上げる気体A1の気流の速度が速い場合、即ち、所定の単位時間当りの、エレメント11へ流れ込む液体L1の流量ならびに気体A1の流量が多い場合には、
図4(a)に示したように、各羽根板21間において、液体L1ならびに気体A1の過流が発生する。このように液体L1ならびに気体A1に過流が発生すると、気泡の発生が盛んになり気液の接触効率が高くなる。
【0030】
また、筒孔軸方向に対する羽根板21の傾斜角度が大きくなると、液体L1の液流ならびに気体A1の気流に対する抵抗(エレメント11を通過する際の抵抗)が大きくなる。
このように液流ならびに気流に対する抵抗が大きい場合には、前述の過流が発生し易くなって気液接触の効率は良好になるが、当該気流の圧力(気圧)ならびに液流の圧力(液圧)は相当に低減する。
【0031】
ここで、上記のように気体A1や液体L1の流量が多く(流速が速く)なると、当該エレメント11の抵抗の大きさや上記の流量等に応じた所定の限界点が存在する。
上記の限界点を越える流量の気体A1が、各羽根板21間もしくはエレメント11に流れ込むと、液体L1が下方へ流下し難くなってローディング状態が発生する。このとき、エレメント11では、一般に液体が気泡を含むと見掛け上の比重が軽くなることから、気泡を含んでいる液体L1がエレメント11の上側へ移動し易い状態になっており、ローディング状態が発生し易くなっている。
なお、液体L1の流量、ならびに、気体A1の流量が少ない場合(流速が遅い場合)には、
図4(b)に示したように、羽根板21間において気泡が発生し難く、あるいは気泡が発生せず、良好な気液混合が行われない状態になり、ローディング状態も発生しなくなる。
【0032】
前述のようにローディング状態が発生し、さらに、気体A1の流速が、液体L1の流速よりも速くなり、これらの速度比が所定値以上になるとフラッディング状態が発生する。
特に、複数のエレメント11〜17を並べて設置し、各エレメントの羽根板の傾斜方向を逆に設置した場合(各エレメントによる気液の旋回方向が反転するように構成した場合)、各エレメント間において気体A1ならびに液体L1に圧力変動が生じるため、フラッディング状態が発生し易くなる。なお、上記の各エレメント間の圧力変動は、エレメントの製造精度や付着物などの影響によって発生する場合もある。
フラッディング状態が発生した場合、具体的には、液体L1からなる気泡が気体A1の流れる方向へ増大して、
図3(a)に示したようにエレメント11の上側に滞留する気泡の高さ(フラッディング高さ)Hが高くなる。
【0033】
フラッディング状態が発生しているとき、いずれかの要因により、滞留している気泡の上方から流下する液体L1の液圧が、当該気泡を形成させた気圧よりも大きな状態になると、一気に気泡が破裂して大量の液体L1が下方へ流下する。
具体的には、例えば、フラッディング状態が発生して大量の気泡が滞留し、滞留している気泡が増大して、流下してくる液体L1の液圧が高い位置まで到達すると、当該流下してくる液体1に接触した気泡が破裂し、滞留している気泡が連鎖的に破裂する。
【0034】
順次、所定量以上の液体L1と気体A1を本体2へ導入し続けると、大量の気泡が滞留するフラッディング状態と、これらの気泡が一気に破裂して液体L1が流下する状態が繰り返されることになり、排気口部4へ向かう気体A1や液槽部7へ向かう液体L1に大きな脈動が生じる。この脈動によって、各エレメントの羽根板、もしくは気液接触装置1の各部が損傷する場合がある。
また、例えば、一気に液体L1がエレメント11の下方へ流下すると、当該エレメント11において気泡が発生しなくなり、気液接触が十分に行われない状態が生じる。
そのため、エレメント11〜17においては、一気に液体L1が流下する状態を誘発する極度のフラッディング状態を避ける必要がある。
【0035】
流下してくる液体L1の液圧が高い、即ち液体入口部5の近くに設置されているエレメント17は、特に、極度のフラッディング状態が生じて一気に液体L1が流下することを避けるため、羽根板27の傾斜角度(角度α7)を小さくして形成されている。即ち、気液接触の効率は若干低くなるが、気泡の発生状態を安定させて気液接触が続くように構成されている。
ここで、気泡の発生、即ち、気液接触の効率は、例えばエレメント11の各羽根板21に設けた傾斜角度に依存する。即ち、当該エレメント11を気体A1ならびに液体L1が通過する際の抵抗が大きいほど、気液接触の効率が良好になる。
【0036】
各エレメントにおいて、流下してくる液体L1の液圧は、エレメント17からエレメント11に向かって順に低くなる。逆に、各エレメントにおいて、下方から吹き上げてくる気体A1の気圧は、エレメント11からエレメント17に向かって順に低くなる。
エレメント11〜17においては、当該液圧ならびに気圧に対応させて、それぞれに備えた羽根板の傾斜角度(角度α7〜α1)を、前述のような大小関係となるように構成し、各エレメントにおいて、フラッディング状態あるいはローディン状態の発生を抑制または適度に調整し、また、気液接触の効率を高めている。
【0037】
換言すると、エレメント11〜17は、エレメント11からエレメント17の順に羽根板の傾斜角度が小さくなり、各エレメントに流れ込む気体の気圧ならびに液体の液圧に応じて、フラッディング状態もしくはローディング状態が発生し難くなるように(過度に発生することのないように)構成されている。
なお、いずれのエレメントにおいても、各羽根板は、液体L1と気体A1の対向流が混合されて気泡を発生する程度の傾斜角度を有して(前述の抵抗が生じるように)設置されている。
【0038】
図5は、
図1の気液接触装置の液槽部側の各部の動作を示す説明図である。この図は、
図1に示した気液接触装置1のエレメント18ならびにその周辺の各部の動作等を示したもので、エレメント11の上側に設けられている各部の図示を省略している。
エレメント11を通過した液体L1は、エレメント18に流下して、上方から各羽根板28間に流れ込み、前述のように、気体入口部3から本体2の筒孔内部へ導入され、エレメント18の下方から吹き上げてくる気体A1と対向接触する。
【0039】
エレメント18は、前述のエレメント11〜17と同様に、複数の羽根板28を放射状に配置して形成されている。なお、各羽根板28は、液導管30を中心として上記のように放射状に配置され、本体2の筒孔軸方向に対して、例えば角度α8(図示省略)の傾斜角度を有するように設置固定されている。
ここで、角度α8は、エレメント11の角度α1よりも大きな傾斜角度である。即ち、エレメント18は、エレメント11〜17の各羽根板と比べて最も大きな傾斜角度を有するように羽根板28を設置しており、液体ならびに気体が通過する際の抵抗が、エレメント11〜17のどれよりも大きくなるように構成されている。
【0040】
エレメント11を通過してエレメント18へ流下する液体の液圧は、エレメント17〜11を通過することによって低下している。また、気体入口部3からエレメント18へ吹き上げてくる気体は、いずれのエレメントも通過していないことから高い気圧を有している。
このような各圧力の液体L1および気体A1が対向流となってエレメント18に流れ込んだときには、気体A1の気圧が液体L1の液圧よりも相当に高く、大きな圧力差が生じている。
そのため、角度α8の各羽根板28間において、盛んに気泡が発生してフラッディング状態が発生する。このフラッディング状態においては、気泡が気体A1の進行する方向に移動して、エレメント18の上側に大量に滞留する。
【0041】
即ち、エレメント18の各羽根板28は、高い効率で気液接触を行い、上記の気圧ならびに液圧に対応してフラッディング状態を生じさせる傾斜角度(角度α8)を有している。換言すると、エレメント18は、高い効率で気液接触を行って気泡を発生し、フラッディング状態を強制的に発生させるように構成されている。
【0042】
エレメント18による気液接触が続行され、当該エレメント18の上側に滞留している気泡が増大すると、導液管40の上端部を超えて気泡が滞留するようになり、当該気泡、もしくは気泡が破裂して生じた液体L2が導液管30の孔内を通過して液槽部7へ流れ込む。
なお、上記の液体L2は、例えば、液体L1と気体A1とを接触することによって浄化処理された処理水である。
導液管30を通過した液体L2は、液槽部7に滞留され、適宜、液体出口部6を解放して気液接触装置1の外部に放出される。
【0043】
図6は、実施例1による気液接触装置の他の構成例による動作を示す説明図である。
図6に示したものは、
図1に示した本体2の下端に設けられている液槽部7に替えて、大量の液体L2を貯留することができる貯液槽50を備え、他の部分は概ね
図1に示したものと同様に構成されている。
図6に示した装置においても、前述のようにエレメント11〜18によって液体L1と気体A1の気液接触が行われ、エレメント18において、フラッディング状態を発生させて液導管30の上端から当該液導管30孔内へ液体L2を流し込む。
また、液導管30の下端ならびに本体2の下端に孔部等を設けておき、上記のように液導管30へ流し込まれた液体L2を、当該液導管30ならびに本体2の下端に設けた孔部等から貯液槽50の内部へ放出する。
【0044】
(実施例2)
図7は、この発明の実施例2による気液接触装置の概略構成図である。図示した気液接触装置1aは、本体2の筒孔内部に設置されたエレメント11〜18等については、前述の気液接触装置1と同様に構成されている。
ここでは、気液接触装置1と同一、あるいは相当する構成部分に同じ符号を使用して説明を行い、気液接触装置1と同様な構成および動作の重複説明を省略する。
【0045】
気液接触装置1aは、気液接触装置1の気体入口部3に替えて、浄化対象の汚染された気体を本体2の筒孔内部へ導入する気体入口部3aを備え、気液接触装置1の液体入口部5に替えて、当該汚染された気体を浄化する液体L3を本体2の筒孔内部へ導入する液体入口部5aを備えている。
なお、気体入口部3aは、実施例1で説明したものと同様な気体導入手段に含まれて構成されており、液体入口部5aも、実施例1と同様な液体導入手段に含まれて構成されている。
【0046】
また、気液接触装置1aは、気液接触装置1の排気口部4に替えて、各エレメントを通過させた浄化済みの気体を外部へ放出する排気口部4aを備え、気液接触装置1の導液管30に替えて、浄化処理に用いた使用済みの液体L3を液槽部7aに送る導液管30aを備えている。
また、気液接触装置1aは、気液接触装置1の液槽部7に替えて、上記の使用済の液体L3を貯留する液槽部7aを備え、気液接触装置1の液体出口部6に替えて、使用済みの液体L3を液槽部7aから排出する液体出口部6aを備えている。
【0047】
気液接触装置1aの動作は、本体2の下端側に配置された気体入口部3aから、例えば有害成分を含む汚染された気体を導入し、本体2の上端側に配置された液体入口部5aから上記の汚染された気体を浄化する液体L3を導入する。
本体2の筒孔内部において行われる、上記の汚染された気体と液体L3の気液接触は、実施例1で説明したエレメント11〜17によるものと同様に行われる。
また、エレメント18において行われる気液接触についても、概ね実施例1で説明した動作と同様に行われる。
なお、気液接触装置1aのエレメント18では、当該エレメント18による気液接触で発生させたフラッディング状態を用いて、各エレメントにおいて気液接触に用いた(浄化処理に使用した)液体L3を導液管30aの上端へ流し込み、液槽部7aに当該使用済みの液体L3を貯留する。
【課題】装置内の各部分でローディング状態等を適度に調整し、また、一部分でフラッディング状態を利用することにより、気液接触による処理を効率良く行う気液接触装置を提供する。
【解決手段】複数のエレメント11〜18は、本体2の筒孔内部の、液体入口部5の配置された部位と気体入口3の配置された部位との間に、筒孔軸方向に沿って平行に設置され、筒孔軸方向に沿って設置されたエレメント11〜17は、本体2の筒孔内部へ導入された液体と気体が各々の方向から該エレメントに流れ込んで気泡を発生させたとき、該エレメントに流れ込む気体の気圧および液体の液圧に応じて傾斜角度を設けて複数の羽根板を設置していることを特徴とする。