(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6462868
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】抗がん薬物とするアリールアミン置換のキノキサリン
(51)【国際特許分類】
C07D 241/44 20060101AFI20190121BHJP
C07D 403/12 20060101ALI20190121BHJP
A61K 31/498 20060101ALI20190121BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20190121BHJP
A61K 31/44 20060101ALI20190121BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20190121BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20190121BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20190121BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
C07D241/44CSP
C07D403/12
A61K31/498
A61K45/00
A61K31/44
A61K31/337
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
【請求項の数】22
【全頁数】76
(21)【出願番号】特願2017-521275(P2017-521275)
(86)(22)【出願日】2015年7月7日
(65)【公表番号】特表2017-520626(P2017-520626A)
(43)【公表日】2017年7月27日
(86)【国際出願番号】CN2015083466
(87)【国際公開番号】WO2016004856
(87)【国際公開日】20160114
【審査請求日】2017年1月5日
(31)【優先権主張番号】62/021,214
(32)【優先日】2014年7月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517006407
【氏名又は名称】陳 昆鋒
(73)【特許権者】
【識別番号】517006290
【氏名又は名称】蕭 崇▲うぇ▼
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】陳 昆鋒
(72)【発明者】
【氏名】蕭 崇▲うぇ▼
(72)【発明者】
【氏名】陳 志宏
【審査官】
岡谷 祐哉
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2002/020463(WO,A1)
【文献】
特表2008−515979(JP,A)
【文献】
西独国特許出願公開第00288610(DE,A)
【文献】
Waisser, K. et al.,Pharmazie,1997年,52(10),797-798
【文献】
Khan, S. A. et al.,Synthesis and antimicrobial activity of 2,3-di-substituted quinoxalines,Indian Journal of Heterocyclic Chemistry,2008年,18(2),197-198
【文献】
Babu, P. Vijaya et al.,Ligand/PTC-free intramolecular Heck reaction: synthesis of pyrroloquinoxalines and their evaluation against PDE4/luciferase/oral cancer cell growth in vitro and zebrafish in vivo,Organic & Biomolecular Chemistry ,2013年,11(39),6680-6685
【文献】
Waisser, K. et al.,Antimycobacterial activity of some 2,3-dianilinoquinoxaline derivatives with substituents in position 6,Scientia Pharmaceutica,1997年,65(3),109-112
【文献】
CAS Registry,20 December 2004; 2,3-Quinoxalinediamine, N2,N3-bis(phenylmethyl)-CAS Registry No.799787-14-7
【文献】
CAS Registry,06 September 2001; 2,3-Quinoxalinediamine, N2,N3-bis(4-methoxyphenyl)-6-nitro-CAS Registry No.354989-33-6
【文献】
CAS Registry,20 October 2000; Phenol, 4,4'-[(6-nitro-2,3-quinoxalinediyl)diimino]bis- (9CI)CAS Registry No.297763-23-6
【文献】
CAS Registry,15 February 2002; 2,3-Quinoxalinediamine, N2,N3-bis(4-fluorophenyl)-6-nitro-CAS Registry No.392710-13-3
【文献】
CAS Registry,19 April 2001; Phenol, 4,4'-(2,3-quinoxalinediyldiimino)bis- (9CI)CAS Registry No.331848-77-2
【文献】
CAS Registry,18 April 2008; 2-Quinoxalinamine, 3-chloro-N-(3-chlorophenyl)-CAS Registry No.1015590-66-5
【文献】
CAS Registry,24 September 2001; 2-Quinoxalinamine, 3-chloro-N-(3-nitrophenyl)-CAS Registry No.358371-27-4
【文献】
CAS Registry,29 November 2000; 2,3-Quinoxalinediamine, 6-nitro-N2,N3-bis[3-(trifluoromethyl)phenyl]-CAS Registry No.304883-93-0
【文献】
CAS Registry,16 September 2002; 3H-Pyrazol-3-one, 4,4'-(2,3-quinoxalinediyldiimino)bis[1,2-dihydro-1,5-dimethyl-2-phenyl- (9CI)CAS Registry No.451524-00-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アリールアミンに置換可能なキノキサリンであって、それは式I(b)の構造を備え、
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
その内R
2及びR
3は相同或いは異なり、各自独立して置換可能なフェニルを有し、しかも該置換可能なフェニルは、
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
或いは
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
であることを特徴とするアリールアミンに置換可能なキノキサリン。
【請求項2】
アリールアミンに置換可能なキノキサリンであって、式I(c)の化学構造を含み、
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
その内R
4及びR
5は相同或いは異なり、各自独立して置換可能なフェニ
ルを有し、しかも該置換可能なフェニルは、
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
【化16】
[この文献は図面を表示できません]
【化17】
[この文献は図面を表示できません]
【化18】
[この文献は図面を表示できません]
【化19】
[この文献は図面を表示できません]
【化20】
[この文献は図面を表示できません]
【化21】
[この文献は図面を表示できません]
【化22】
[この文献は図面を表示できません]
【化23】
[この文献は図面を表示できません]
或いは
【化24】
[この文献は図面を表示できません]
であって、及びその内Xはハロアルキル基、アミン基、アミド基、カルボキシル基、酸性基或はベンゾフェノン基であることを特徴とするアリールアミンに置換可能なキノキサリン。
【請求項3】
アリールアミンに置換可能なキノキサリンであって、式I(d)の化学構造を含み、
【化25】
[この文献は図面を表示できません]
その内R
6及びR
7は異なり、各自独立して置換可能なフェニル或は複素環式芳香族基を有し、しかも該置換可能なフェニルは、
【化26】
[この文献は図面を表示できません]
【化27】
[この文献は図面を表示できません]
【化28】
[この文献は図面を表示できません]
【化29】
[この文献は図面を表示できません]
【化30】
[この文献は図面を表示できません]
或は
【化31】
[この文献は図面を表示できません]
であり、
該複素環式芳香族基は
【化32】
[この文献は図面を表示できません]
であることを特徴とするアリールアミンに置換可能なキノキサリン。
【請求項4】
化合物であって、式IIの構造を含み、
【化33】
[この文献は図面を表示できません]
その内R
8及びR
9は相同或いは異なり、各自独立して置換可能なフェニルを有し、しかも該置換可能なフェニルは、
【化34】
[この文献は図面を表示できません]
【化35】
[この文献は図面を表示できません]
【化36】
[この文献は図面を表示できません]
【化37】
[この文献は図面を表示できません]
【化38】
[この文献は図面を表示できません]
【化39】
[この文献は図面を表示できません]
【化40】
[この文献は図面を表示できません]
【化41】
[この文献は図面を表示できません]
【化42】
[この文献は図面を表示できません]
【化43】
[この文献は図面を表示できません]
【化44】
[この文献は図面を表示できません]
或いは
【化45】
[この文献は図面を表示できません]
であって、その内YはCO或いは(CH
2)
n,n=1-3;Z=COOR
10で
、或いは置換官能基のベンゼンを有し、R
10は芳香基或いはアルキル基置換基であることを特徴とする化合物。
【請求項5】
請求項1〜4の任意の一項に記載の化合物と薬理上受け入れ可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項6】
抗がん薬物をさらに有する請求項5記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記抗がん薬物は、ソラフェニブ(Sorafenib)或いはパクリタキセル(Paclitaxel)である請求項6記載の医薬組成物。
【請求項8】
タンパク質ホスファターゼ2A(PP2A)の細胞内の活性を増強するための医薬組成物であって、請求項1〜4の任意の一項に記載の化合物と薬理上受け入れ可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項9】
タンパク質ホスファターゼ2A(PP2A)不活性化を特徴とする疾病或いは病的症状を治療するための医薬組成物であって、請求項1〜4の任意の一項に記載の化合物と薬理上受け入れ可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項10】
がんタンパクSET拮抗剤とするための医薬組成物であって、請求項1〜4の任意の一項に記載の化合物と薬理上受け入れ可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項11】
がんタンパクSETの発現量増加を特徴とする疾病或いは病的症状を治療するための医薬組成物であって、請求項1〜4の任意の一項に記載の化合物と薬理上受け入れ可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項12】
タンパク質ホスファターゼ2Aがん抑制因子(CIP2A)拮抗剤とするための医薬組成物であって、請求項1〜4の任意の一項に記載の化合物と薬理上受け入れ可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項13】
タンパク質ホスファターゼ2Aがん抑制因子(CIP2A)発現量増加を特徴とする疾病或いは病的症状を治療するための医薬組成物であって、請求項1〜4の任意の一項に記載の化合物と薬理上受け入れ可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項14】
がんタンパクSETとタンパク質ホスファターゼ2A(PP2A)との結合の干渉に用いるための医薬組成物であって、請求項1〜4の任意の一項に記載の化合物と薬理上受け入れ可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項15】
抗がん薬物をさらに有する請求項8〜14中の任意の一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記抗がん薬物は、ソラフェニブ(Sorafenib)或いはパクリタキセル(Paclitaxel)である請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
請求項1〜4の任意の一項に記載の化合物は、タンパク質ホスファターゼ2A(PP2A)不活性化を特徴とする疾病或いは病的症状を治療するための医薬組成物の製造に用いられる使用。
【請求項18】
前記タンパク質ホスファターゼ2A(PP2A)不活性化を特徴とする疾病或いは病的症状は、肝がん、肺がん、白血病、乳がん、腎がん、甲状腺がん、結腸がん、頭部或いは頸部がんである請求項17記載の使用。
【請求項19】
請求項1〜4の任意の一項に記載の化合物は、がんタンパクSETの発現量増加を特徴とする疾病或いは病的症状を治療するための医薬組成物の製造に用いられる使用。
【請求項20】
前記がんタンパクSETの発現量増加を特徴とする疾病或いは病的症状は、肝がん、肺がん、白血病、乳がん、腎がん、甲状腺がん、結腸がん、頭部或いは頸部がんである請求項19記載の使用。
【請求項21】
前記請求項1〜4の任意の一項に記載の化合物は、タンパク質ホスファターゼ2Aがん抑制因子(CIP2A)発現量増加を特徴とする疾病或いは病的症状を治療するための医薬組成物の製造に用いられる使用。
【請求項22】
前記タンパク質ホスファターゼ2Aがん抑制因子(CIP2A)発現量増加を特徴とする疾病或いは病的症状は、肝がん、肺がん、白血病、乳がん、腎がん、甲状腺がん、結腸がん、頭部或いは頸部がんである請求項21に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアリールアミン置換のキノキサリン(quinoxaline)の新規化合物、及び該化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトがん細胞の多くでは、タンパク質ホスファターゼ2Aがん抑制因子(cancerous inhibitor of protein phosphatase 2A,CIP2A)の過度な発現の抑制が発見されている。それは、白血病、前立腺がん、非小細胞肺がん、胃がん、頭頸部がん、結腸がん及び乳がんを含む。そのためCIP2Aは、臨床上、侵略性腫瘍及びがん細胞の成長促進と密接な関連があると、発見されている。
CIP2Aは直接、転写因子c-Mycと相互に作用し、c-Mycのタンパク質ホスファターゼ2A(PP2A)脱リン酸化を抑制するため、がん化するc-Mycはより安定し、劣化を免れられる。
【0003】
タンパク質ホスファターゼ2A(PP2A)は、セリン或いはスレオニン残基タンパク質キナーゼの脱リン酸化を通して細胞増殖を行うキー調節剤であり、PP2Aは、レセプター特異性を調節する3個のサブユニットにより組成される。
例えば、PP2Aは、p-Aktをセリン473において脱リン酸化させ、細胞成長を減少させる。
【0004】
そのため、CIP2A-PP2A-Aktシグナルカスケード(signaling cascade)は、がんの重要な生存調節剤であると考えられている。
また、SETにおいて、もう一つ発見されたPP2Aの抑制剤は、SETは多くの異なる腫瘍組織において過度に発現し、しかもSETの発現量とがん細胞の成長速度とは、正比例の関係にあると、発見されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、拮抗SET或いはCIP2AのPP2Aに対する抑制を通して、がん細胞中でPP2Aを再び活性化し、p-Akt等がん化促進メッセージの伝達を抑制し、がん細胞アポトーシスを誘発する化合物を開発し、がんに対抗する新しい治療戦略とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的の一つは、アリールアミンに置換可能なキノキサリンを提供し、それは式I(b)の構造を備える。
【0007】
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
【0008】
その内R
2及びR
3は相同或いは異なり、各自独立して置換可能なフェニルを有し、しかも該置換可能なフェニルは、
【0009】
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
【0010】
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
【0011】
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
【0012】
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
【0013】
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
【0014】
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
【0015】
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
【0016】
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
【0017】
或いは
【0018】
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
【0019】
である。
【0020】
本発明はさらにアリールアミンに置換可能なキノキサリンを提供し、それは式I(c)の化学構造を含む。
【0021】
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
【0022】
その内、R
4及びR
5は相同或いは異なり、各自独立して置換可能なフェニ
ルを有し、しかも該置換可能なフェニルは、
【0023】
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
【0024】
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
【0025】
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
【0026】
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
【0027】
【化16】
[この文献は図面を表示できません]
【0028】
【化17】
[この文献は図面を表示できません]
【0029】
【化18】
[この文献は図面を表示できません]
【0030】
【化19】
[この文献は図面を表示できません]
【0031】
【化20】
[この文献は図面を表示できません]
【0032】
【化21】
[この文献は図面を表示できません]
【0033】
【化22】
[この文献は図面を表示できません]
【0034】
【化23】
[この文献は図面を表示できません]
【0035】
或いは
【0036】
【化24】
[この文献は図面を表示できません]
【0037】
である。
その内、Xはハロアルキル基、アミン基、アミド基、カルボキシル基、酸性基或はベンゾフェノン基である。
【0038】
本発明はさらにアリールアミンに置換可能なキノキサリンを提供し、それは式I(d)の化学構造を含む。
【0039】
【化25】
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【0040】
その内、R
6及びR
7は異なり、各自独立して置換可能なフェニル或は複素環式芳香族基を有し、しかも該置換可能なフェニルは、
【0041】
【化26】
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【0042】
【化27】
[この文献は図面を表示できません]
【0043】
【化28】
[この文献は図面を表示できません]
【0044】
【化29】
[この文献は図面を表示できません]
【0045】
【化30】
[この文献は図面を表示できません]
【0046】
或いは
【0047】
【化31】
[この文献は図面を表示できません]
【0048】
である。
【0049】
該複素環式芳香族基は
【0050】
【化32】
[この文献は図面を表示できません]
【0051】
である。
【0052】
本発明は化合物をさらに提供し、それは式IIの構造を含む。
【0053】
【化33】
[この文献は図面を表示できません]
【0054】
その内、R8及びR9は相同或いは異なり、各自独立して置換可能なフェニルを有し、しかも該置換可能なフェニルは
【0055】
【化34】
[この文献は図面を表示できません]
【0056】
【化35】
[この文献は図面を表示できません]
【0057】
【化36】
[この文献は図面を表示できません]
【0058】
【化37】
[この文献は図面を表示できません]
【0059】
【化38】
[この文献は図面を表示できません]
【0060】
【化39】
[この文献は図面を表示できません]
【0061】
【化40】
[この文献は図面を表示できません]
【0062】
【化41】
[この文献は図面を表示できません]
【0063】
【化42】
[この文献は図面を表示できません]
【0064】
【化43】
[この文献は図面を表示できません]
【0065】
【化44】
[この文献は図面を表示できません]
【0066】
或いは
【0067】
【化45】
[この文献は図面を表示できません]
【0068】
である。
その内、YはCO或いは(CH2)nで、n=1-3、Z=COOR10で、或いは置換官能基のベンゼンを有し、R10は芳香基或いはアルキル基置換基である。
【0069】
本発明のもう一つの目的は医薬組成物を提供し、上記で定義される化合物、及び薬理上受け入れ可能な賦形剤を含む。
【0070】
本発明のさらにもう一つの目的は、タンパク質ホスファターゼ2A(PP2A)の細胞内での発現を活性化し、がんタンパクSET拮抗剤、タンパク質ホスファターゼ2Aがん抑制因子(CIP2A)拮抗剤、或いはがんタンパク(SET)とタンパク質ホスファターゼ2A(PP2A)との結合を干渉する医薬組成物を提供し、上記で定義される化合物、及び薬理上受け入れ可能な賦形剤を含む。
【0071】
本発明のさらに別の目的は、タンパク質ホスファターゼ2A(PP2A)不活性化により、がんタンパクSETの発現量増加、或いはタンパク質ホスファターゼ2Aがん抑制因子(CIP2A)の発現量増加を特徴とする、疾病或いは病的症状を治療する医薬組成物を提供し、上記で定義される化合物、及び薬理上受け入れ可能な賦形剤を含む。
【0072】
本発明の一実施形態において、該医薬組成物は、抗がん薬物をさらに有し、しかも該抗がん薬物は、ソラフェニブ(Sorafenib)或いはパクリタキセル(Paclitaxel)である。
【0073】
本発明のもう一つの目的は、上記で定義される化合物をさらに含み、タンパク質ホスファターゼ2A(PP2A)不活性化、がんタンパクSETの発現量増加、タンパク質ホスファターゼ2Aがん抑制因子(CIP2A)発現量増加を特徴とする疾病或いは病的症状を治療する医薬組成物の製造に用いる使用を提供する。
【0074】
本発明の一実施形態において、タンパク質ホスファターゼ2A(PP2A)の不活性化、がんタンパクSETの発現量増加或いはタンパク質ホスファターゼ2Aがん抑制因子(CIP2A)発現量増加を特徴とする疾病或いは病的症状は、肝がん、肺がん、白血病、乳がん、腎がん、甲状腺がん、結腸がん、頭部或いは頸部がんである。
【発明の効果】
【0075】
本発明は新設計の化合物を提供し、それはPP2AとSETとの結合を阻害する能力を有し、同時にタンパク質ホスファターゼ2Aがん抑制因子(CIP2A)及びp-Aktの発現を抑制し、タンパク質ホスファターゼ2A(PP2A)を備える促進剤及びがんタンパクSET拮抗剤とし、しかも効果的にがんを治療できる抗がん薬物とするアリールアミン置換のキノキサリンに関する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【
図1A】
MTT分析を通して、HCC細胞中での、TD-52及びエルロチニブの細胞アポトーシス効果を示し、異なる細胞株中でのTD-52のIC50示し、点は平均値を表し、ストリップは標準差(n=3)を表す。
【
図1B】
フローサイトメトリーを通して、用量依存性下でTD-52及びエルロチニブのHCC細胞アポトーシス効果を測定し、点は平均値を表し、ストリップは標準差(n=3)を表す。
【
図1C】
アネキシン-V/PI二重染色法により細胞アポトーシス及び細胞壊死を分析した比率である。
【
図1D】
ウエスタンブロット分析法によりカスパーゼ-9、システインプロテアーゼ-3及びペルオキシソーム増殖物が起動するレセプター(PAPP)の発現の分析を示す。
【
図1E】
TD-52処理後のDNAフラグメンテーション測定(n=6)を示す。
【
図1F】
TD-52とz-VAD-fmk共処理による処理の細胞アポトーシス誘発減少を示し、上図はウエスタンブロット分析法による分析で、下図はフローサイトメトリーによる分析である。
【
図1G】
ウエスタンブロット分析法により、TD-52が、エルロチニブに比べ、上皮細胞成長因子レセプター(EGFR)リン酸化活性抑制を備えないことを確認する。
【
図2A】
HCC細胞中で、異なるTD-52濃度で24時間処理し、CIP2Aタンパク質の発現をダウンレギュレーションし、細胞溶解物を収集し、ウエスタンブロット分析法によりCIP2A、p-Akt、Aktタンパク質を分析した発現量を示す。
【
図2B】
HCC細胞中で、異なる時間で1μM TD-52を処理し、CIP2Aタンパク質発現をダウンレギュレーションし、細胞溶解物を収集し、ウエスタンブロット分析法によりCIP2A、p-Akt、Aktタンパク質を分析した発現量を示す。
【
図2C】
TD-52処理後にHCC細胞のPP2A活性は向上し、細胞溶解物からPP2Aホスファターゼ活性を測定し、柱は平均値を表し、誤差線は標準差(n=3)を表す。
【
図2D】
TD-52の、PP2A各サブユニットタンパク質発現量への影響を示し、ウエスタンブロット分析法により確認したPP2Aサブユニットの発現量を示す。
【
図2E】
myc-マークをしたCIP2A異所性過剰発現のPLC5細胞がTD-52のPLC5細胞アポトーシスの効果に与える影響を示し、それぞれフローサイトメトリー(右図)及びウエスタンブロット分析法(左図)により分析し、柱は平均値を表し、誤差線は標準差(n=3)を表す。
【
図2F】
PP2A抑制剤、オカダ酸(OA)共処理のTD-52細胞アポトーシス効果への影響を示し、フローサイトメトリー(右図)及びウエスタンブロット分析法(左図)により分析し、柱は平均値を表し、誤差線は標準差(n=3)を表す。
【
図2G】
siRNAを通して、PP2A触媒領域(PP2Ac)を除いた、TD-52のPLC5細胞アポトーシスの効果への発現影響を示し、それぞれフローサイトメトリー(右図)で細胞アポトーシスを分析し、及びウエスタンブロット分析法でp-Akt、PP2Ac及びPARPの発現量(左図)を分析し、柱は平均値を表し、誤差線は標準差(n=3)を表す。
【
図2H】
Myc-マークをしたAkt1異所性過剰発現がTD-52のPLC5細胞アポトーシス効果への減少を示し、それぞれフローサイトメトリー(右図)及びウエスタンブロット分析法(左図)により分析し、柱は平均値を表し、誤差線は標準差(n=3)を表す。
【
図3A】
用量依存性の方式及び時間依存性の方式で、TD-52によりPLC5細胞を処理するとCIP2Aの転写に影響を与える。異なるTD-52剤量処理(左上図)及びTD-52処理時間の違い(左下図)で、RT-PCRを利用しCIP2A mRNAを定量化する。柱は平均値を表し、誤差線は標準差(n=3)を表す。右図はウエスタンブロット分析法により、タンパク質合成阻害剤シクロヘキシミド(cycloheximide)とTD-52処理有り(右下図)、及びタンパク質合成阻害剤シクロヘキシミド(cycloheximide)とTD-52処理無し(右上図)のCIP2Aタンパク質発現量の測定である。
【
図3B】
TD-52のCIP2A近位プロモーター領域(n=3,*P<0.05への影響を示し、柱は平均値を表し、誤差線は標準差を表し、NSは非顕著性を表す)。
【
図3C】
PLC5細胞中でTD-52が、Elk-1転写因子の細胞核における発現量を抑制することで、CIP2Aタンパクの細胞質における発現量を抑制し、核質分離後の細胞溶解物を、ウエスタンブロット分析法で、Elk-1及びCIP2Aタンパク質発現量を分析し、ラミンB(lamin B)及びチューブリン(tubulin)は対照組である。
【
図3D】
PLC5細胞中TD-52はElk-1のCIP2Aのプロモーターへの結合を抑制し、染色質免疫沈澱技術(ChIP)を利用し、CIP2Aプロモーター結合位置Elk-1の結合能力を確認し、電磁泳動図によりPCR産物を分析する(左図)。PLC5細胞中異所性過剰発現Elk-1は、TD-52誘導がん細胞アポトーシスの効果を減少させる(右上及び右下)。柱は平均値を表し、誤差線は標準差(n=3)を表す。
【
図4A】
PLC5の異体移植マウスモデルに、それぞれソラフェニブ、TD-52或いはジメチルスルホキシド(DMSO)(制御組とする)を与えた後の腫瘍成長曲線を示し、*P<0.05で、点は平均値を表し、ストリップは標準差(n=6)を表す。
【
図4B】
ウエスタンブロット分析法によりPLC5異体移植腫瘍中CIP2A、p-Akt及びAkt1の発現量を分析する。
【
図4C】
それぞれTD-52或いはDMSO(制御組とする)により処理したPLC5異体移植腫瘍中PP2A活性を分析する*P<0.05、柱は平均値を表し、誤差線は標準差(n=3)を表す。
【
図4D】
PLC5細胞中で、用量依存性の方式により、ソラフェニブ及びTD-52の細胞活性に対する影響を示す。柱は平均値を表し、誤差線は標準差(n=3)を表す。
【
図4E】
シグナルルートの模式図で、HCC細胞中TD-52の細胞アポトーシス促進への影響を説明する。
【
図4F】
臨床肝がん腫瘍サンプルp-Akt細胞核発現及びCIP2A細胞質発現の免疫組織化学染色法画像図である。
【
図5A】
一対の肝がん腫瘍組織及び近隣の正常組織中SETの免疫組織化学染色法画像図である。
【
図5B】
臨床上サンプル中の腫瘍組織及び非腫瘍組織の平均SETの発現量を示し、柱は平均値を表し、誤差線は標準差(n=294)を表す。
【
図5C】
非腫瘍組織発現量の一対の腫瘍組織に対する比率を示し、点は各患者の発現量の比率(n=147)を表し、横線は、すべての病人の平均比率を表す。
【
図5D】
上図は、異なる患者のSET及びp-Aktの免疫組織化学染色法画像図を示し、下図は肝がん患者の手術後の、SET及びp-Akt共発現を通した無再発生存期間)(recurrence-free survival)を示す。
【
図5E】
SETの除去あり、及びなしPLC5細胞の細胞群形成画像及び数の分析(n=6)を示し、右下はウエスタンブロット分析法により遺伝子除去の効果を確認した図である。
【
図5F】
SETの除去あり、及びなしHep3B細胞の肝がん細胞ヘパトスファー(hepatosphere)形成画像及び数の分析(n=6)を示す。
【
図6A】
MTTを通してEMQA抑制肝がん細胞の生存率を分析し、点は平均値を表し、ストリップは標準差(n=3)を表す。
【
図6B】
フローサイトメトリーにより、EMQA用量依存性の処理を通した肝がん細胞アポトーシスを分析し、柱は平均値を表し、ストリップは標準差(n=3)を表す。
【
図6C】
DNAフラグメンテーションにより、EMQA用量依存性の処理を通した肝がん細胞アポトーシスを分析し、柱は平均値を表し、ストリップは標準差(n=3)を表す。
【
図6D】
フローサイトメトリー(上図)及びウエスタンブロット分析法(下図)により、時間依存性方式におけるEMQAが誘発するp-Akt発がんタンパク発現量減少と肝がん細胞アポトーシスを分析し、柱は平均値を表し、ストリップは標準差(n=3)を表し、CFはカッティング型式を表す。
【
図6E】
EMQA及び制御組治療のPLC5異体移植腫瘍マウスの腫瘍成長曲線を示し、点は平均値を表し、ストリップは、標準差(n=10)を表す。
【
図6F】
ウエスタンブロット分析法により、PLC5異体移植腫瘍マウスの腫瘍溶解物のp-Akt及びAkt1(左図)及びPP2A活性(右図)の発現量を分析し、柱は平均値を表し、ストリップは、標準差(n=10)を表す。
【
図7A】
フローサイトメトリー及びウエスタンブロット分析法により、EMQAの、Myc-マークを備えるAkt異所性発現のPLC5細胞に対する細胞アポトーシス効果を分析し、柱は平均値を表し、ストリップは標準差(n=3)を表す。
【
図7B】
フローサイトメトリー及びウエスタンブロット分析法により、EMQAの、PP2A抑制剤、オカダ酸(OA)共処理のPLC5細胞アポトーシスに対する効果減少を分析し、柱は平均値を表し、ストリップは標準差(n=3)を表す。
【
図7C】
フローサイトメトリー及びウエスタンブロット分析法により、EMQAの、siRNAを通してPP2Acを除去したPLC5細胞の細胞アポトーシス効果減少を分析し、柱は平均値を表し、ストリップは標準差(n=3)を表す。
【
図7D】
ウエスタンブロット分析法により、EMQAのp-Aktダウンレギュレーションの発現がPI3K、PTEN及びPDK1の発現に影響しないことを分析する。
【
図7E】
フローサイトメトリー及びウエスタンブロット分析法により、EMQAの、Myc-マークをしたSET異所性発現のHep3B細胞アポトーシス効果に対する減少を分析し、柱は平均値を表し、ストリップは標準差(n=3)を表す。
【
図7F】
表面プラズモン共鳴(SPR左図)と共免疫沈殿法(co-IP右図)により、全長SET、N-末端フラグメント(SETNTF,a.a. l-227)及びC-末端フラグメント(SETCTF,a.a.76-277)を備える組み換えタンパクと遺伝子キャリア転写のSk-Hep1細胞が、EMQAを確かにSET拮抗剤とする影響を示し(左図)、柱は平均値を表し、ストリップは標準差(n=3)を表す。ウエスタンブロット分析法により、EMQAが、全長SET及びSETCTFのPP2Acの結合を顕著に減少させ、SETNTFの結合に影響しないことを示す(右図)。
【
図8A】
CalcuSyn分析ソフトウエア(Biosoft, ケンブリッジ,英国)により、EMQAとソラフェニブの組合せが、異なる肝がん細胞において、MTTテストによる細胞アポトーシス実験結果を示し、EMQAとソラフェニブの協同効果を確認した。
【
図8B】
フローサイトメトリー及びウエスタンブロット分析法により、肝がん細胞中でEMQAが、ソラフェニブの細胞アポトーシス促進効果を顕著に改善したことを示す。
【
図8C】
EMQAとソラフェニブの組合せが、肝がん腫瘍成長を顕著に抑制する腫瘍成長曲線図で、点は平均値(n=10)を表し、*P<0.05である。
【
図8D】
EMQAとソラフェニブの組合せが、肝がん腫瘍成長を顕著に抑制する腫瘍重量データ図で、柱は平均値を表し、ストリップは標準差を表し、*P<0.05である。
【
図8E】
それぞれ制御組及びEMQAとソラフェニブの組合せがPLC5異体移植腫瘍マウスの腫瘍のPP2A活性を治療することを示し、柱は平均値を表し、ストリップは標準差(n=10)を表す(上図)。ウエスタンブロット分析法によりPLC5異体移植腫瘍マウスの腫瘍のp-Akt、Akt1及びSETの発現を分析する(下図)。
【
図9A】
ウエスタンブロット分析法により、3種の異なる非小細胞肺がん(NSCLC)細胞株が、EMQA及び/或いはパクリタキセルによりp-Aktをダウンレギュレーションされることを示す。
【
図9B】
時間依存性の方式で、EMQA及びパクリタキセル結合により、A549細胞株を処理したp-Akt及びポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(poly(ADP-ribose) polymerase,PARP)の発現量を示す。
【
図9C】
用量依存性の方式で、EMQA及びパクリタキセル結合により、A549細胞株を処理したp-Akt及びPARPの発現量を示す。
【
図9D】
フローサイトメトリー及びウエスタンブロット分析法により、EMQAの、Myc-マークを備えるAkt過剰異所性発現のA549細胞に対する細胞アポトーシス効果を示し、柱は平均値を表し、ストリップは標準差(n=3)を表す。
【
図10A】
制御組、パクリタキセル及び/或いはEMQAを利用し、A549異体移植腫瘍マウスを治療した腫瘍成長曲線で、点は平均値を表し、*P<0.05(各組治療n=10)である。
【
図10B】
制御組、パクリタキセル及び/或いはEMQAを利用し、A549異体移植腫瘍マウスを治療した平均腫瘍重量で、柱は平均値を表し、ストリップは、標準差(n=10)を表す。
【
図10C】
PP2A活性分析図で、柱は平均値を表し、ストリップは標準差(n=3)を表す。
【
図10D】
ウエスタンブロット分析法により分析したA549異体移植腫瘍マウスの腫瘍溶解物のp-Akt及びAktの発現量を示す。
【
図10E】
治療を受けたマウスの体重変化を示し、点は平均値を表す。
【発明を実施するための形態】
【0077】
以下に図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。本発明の特徴を、以下の各種具体的実施形態及び特許申請の範囲の詳細な記述と図により明確に説明する。本発明名称と内容は、本発明技術内容の説明に用いたのみで、本発明を限定するものではない。本発明の精神に基づく等価応用或いは部品(構造)の転換、置換、数量の増減はすべて、本発明の保護範囲に含むものとする。
【0078】
(図1A〜1G)本発明のエルロチニブ(Erlotinib)派生物TD-52がエルロチニブに比べ、HCC細胞に対して好ましい細胞アポトーシス効果を備えることを示す。
(図2A〜2H)HCC細胞が、タンパク質ホスファターゼ2Aがん抑制因子(CIP2A)を抑制することで、p-Aktをダウンレギュレーションし、本発明のエルロチニブ派生物TD-52の抗がん効果を確認する。
(図3A〜3D)TD-52が、Elk-1機能干渉を通して、CIP2Aの転写作用をダウンレギュレーションすることを示す。
(図4A〜4D)生体内PLC5マウスモデル及び臨床上肝がんサンプルにより、CIP2A-PP2A-p-Aktシグナルルートを実証する。
(図5A〜5F)肝がん患者腫瘍組織中のSET過度発現を示す。
(図6A〜6F)本発明のエルロチニブ派生物(EMQA)をSET拮抗剤とし、肝がん細胞アポトーシスを誘発する。
(図7A〜7E)SETを標的とする、PP2A-調節p-Aktダウンレギュレーションの機能強化のEMQA抗がんメカニズムを説明する。
(図8A〜8E)生体外(in vitro)及び生体内(in vivo)において、EMQAとソラフェニブの組合せ対抗作用が協同効果(synergism)を備えることを示す。
(図9A〜9D)EMQA及びパクリタキセル(paclitaxel)結合が、p-Aktをダウンレギュレーションでできることを示す。
(図10A〜10E)生体内(in vivo)におけるEMQAとパクリタキセルの組合せの対抗作用の効果を示す。
【0079】
他に定義がない限り、本文で用いるすべての技術及び科学用語は、本発明が属する技術領域の技術人員が通常理解可能な意味は相同である。本文で提起するすべての出版物は、引用方式で本文に組み入れ、開示と記述は、引用された出版物と関連のある方法及び/或いは材料である。
【0080】
本文で使用する単数形式「一」(a、an)と「該」(the)は本文で別の規定がない限り複数の対象を含む。そのため例えば、参照「サンプル」は、複数のこの類のサンプル及び本領域技術人員が周知の等同物を含む。
本文で使用する「EMQA」は、本発明で言うエルロチニブ(Erlotinib)派生物を表し、それはTD-52〜TD-95、ITRI TD-627、ITRI TD-602〜ITRI TD-605、ITRI TD-607、ITRI TD-608、ITRI TD-612〜ITRI TD-626、ITRI TD-628〜ITRI TD-631及びTD-632化合物を含む。
「カルボキシル基」とは、原子団-C(O)ORを指し、その内Rは本文に定義する水素、低炭素アルキル基、置換された低炭素アルキル基、アリール基、置換されたアリール基、及びその類似物である。
「ハロアルキル基」とは、アルキル基原子団の一個或いは多数のハロゲン原子が置換されたことを指し、このような実例は、トリフロロメチルを含むが、これに限定されない。
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素及びアスタチン(Astatine)である。
【0081】
本発明中では、エルロチニブの構造とその生物活性との間の関係を研究し、エルロチニブの構造を修正した。本発明はこれに基づき、SET拮抗剤機能を備えるエルロチニブ派生物を開発した。しかも、がん常用薬物エルロチニブ(Erlotinib)、ソラフェニブ(Sorafenib)及びパクリタキセル(Paclitaxel)に比べ、これら化合物ががんなどのある種の疾病において、良好な治療効果を備えることを偶然発見した。
本発明に基づき、本発明新設計の化合物は、SET拮抗剤として用いることができ、しかもSETの発現量抑制を特徴とする肝がん、白血病、肺がん、乳がん、腎がん、甲状腺がん、頭部及び頸部がんなどの疾病或いは病的症状を治療できる。
本発明の化合物は、SET-PP2A結合を干渉し、こうしてPP2Aを活性化しがん細胞をアポトーシスさせる効果を備え、そのため本発明の化合物は、新しいターゲットメカニズムを通して、代替えの治療選択を提供する。該選択は、伝統医薬治療に対して耐性を有するがん治療において、極めて大きな役割を果たす可能性がある。
【0082】
本発明の目的は、アリールアミンに置換可能なキノキサリンを提供し、それは式I(b)の構造を備える。
【0083】
【化46】
[この文献は図面を表示できません]
【0084】
その内R2及びR3は相同或いは異なり、各自独立して置換可能なフェニルを有し、しかも該置換可能なフェニルは
【0085】
【化47】
[この文献は図面を表示できません]
【0086】
【化48】
[この文献は図面を表示できません]
【0087】
【化49】
[この文献は図面を表示できません]
【0088】
【化50】
[この文献は図面を表示できません]
【0089】
【化51】
[この文献は図面を表示できません]
【0090】
【化52】
[この文献は図面を表示できません]
【0091】
【化53】
[この文献は図面を表示できません]
【0092】
【化54】
[この文献は図面を表示できません]
【0094】
【化55】
[この文献は図面を表示できません]
【0095】
である。
本発明の実施形態において、該式I(a)化合物は、表1に記載する化合物TD-70〜TD-82であるが、これに限定されない。
【0096】
【表1】
[この文献は図面を表示できません]
【0097】
本発明の実施形態において、該式I(b)化合物は、表2に記載する化合物TD-52〜TD-69及びITRI TD-627であるが、これに限定されない。
【0098】
【表2】
[この文献は図面を表示できません]
【0099】
本発明のもう一つの目的は、アリールアミンに置換可能なキノキサリンを提供し、それは式I(c)の化学構造を有する。
【0100】
【化56】
[この文献は図面を表示できません]
【0101】
その内、R4及びR5は相同或いは異なり、各自独立して置換可能なフェニルを有し、しかも該置換可能なフェニルは
【0102】
【化57】
[この文献は図面を表示できません]
【0103】
【化58】
[この文献は図面を表示できません]
【0104】
【化59】
[この文献は図面を表示できません]
【0105】
【化60】
[この文献は図面を表示できません]
【0106】
【化61】
[この文献は図面を表示できません]
【0107】
【化62】
[この文献は図面を表示できません]
【0108】
【化63】
[この文献は図面を表示できません]
【0109】
【化64】
[この文献は図面を表示できません]
【0110】
【化65】
[この文献は図面を表示できません]
【0111】
【化66】
[この文献は図面を表示できません]
【0112】
【化67】
[この文献は図面を表示できません]
【0113】
【化68】
[この文献は図面を表示できません]
【0115】
【化69】
[この文献は図面を表示できません]
【0116】
であって、及びその内Xはハロアルキル基、アミン基、アミド基、カルボキシル基、酸性基或はベンゾフェノン基である。
【0117】
本発明の実施形態において、該式I(c)化合物は、表3に記載する化合物TD-83〜TD-95、ITRI TD-602〜ITRI TD-604、ITRI TD-607、ITRI TD-608、ITRI TD-613〜ITRI TD-618、ITRI TD-620〜ITRI TD-624及びITRI TD-629であるが、これに限定されない。
【0118】
【表3】
[この文献は図面を表示できません]
【0119】
本発明のもう一つの目的は、アリールアミンに置換可能なキノキサリンを提供し、それは式I(d)の構造を備える。
【0120】
【化70】
[この文献は図面を表示できません]
【0121】
その内、R6及びR7は異なり、各自独立して置換可能なフェニル或は複素環式芳香族基を有し、しかも該置換可能なフェニルは
【0122】
【化71】
[この文献は図面を表示できません]
【0123】
【化72】
[この文献は図面を表示できません]
【0124】
【化73】
[この文献は図面を表示できません]
【0125】
【化74】
[この文献は図面を表示できません]
【0126】
【化75】
[この文献は図面を表示できません]
【0128】
【化76】
[この文献は図面を表示できません]
【0131】
【化77】
[この文献は図面を表示できません]
【0133】
本発明の実施形態において、該式I(d)化合物は、表4に記載する化合物ITRI TD-605、ITRI TD-612、ITRI TD-619、ITRI TD-625、ITRI TD-626、ITRI TD-628、ITRI TD-630、ITRI TD-631であるが、これに限定されない。
【0134】
【表4】
[この文献は図面を表示できません]
【0135】
本発明のもう一つの目的は、化合物を提供し、それは式IIの構造を含む。
【0136】
【化78】
[この文献は図面を表示できません]
【0137】
その内、R8及びR9は相同或いは異なり、各自独立して置換可能なフェニルを有し、しかも該置換可能なフェニルは
【0138】
【化79】
[この文献は図面を表示できません]
【0139】
【化80】
[この文献は図面を表示できません]
【0140】
【化81】
[この文献は図面を表示できません]
【0141】
【化82】
[この文献は図面を表示できません]
【0142】
【化83】
[この文献は図面を表示できません]
【0143】
【化84】
[この文献は図面を表示できません]
【0144】
【化85】
[この文献は図面を表示できません]
【0145】
【化86】
[この文献は図面を表示できません]
【0146】
【化87】
[この文献は図面を表示できません]
【0147】
【化88】
[この文献は図面を表示できません]
【0148】
【化89】
[この文献は図面を表示できません]
【0150】
【化90】
[この文献は図面を表示できません]
【0151】
であって、及びその内、YはCO或いは(CH2)nで、n=1-3、Z=COOR10で、或いは置換官能基のベンゼンを有し、R10は芳香基或いはアルキル基置換基である。
【0152】
本発明の実施形態において、該式II化合物は以下に示す。
【0153】
【化91】
[この文献は図面を表示できません]
【0154】
本発明の化合物は合成後に、色層分析法或いは結晶法或いは本領域中公知の任意の他の適当な方法を通して、さらに純化される。
【0155】
本発明は医薬組成物を提供し、一種或いは多種の上述の化合物及び医薬上受け入れ可能な賦形剤を有する。
本発明の医薬組成物は、タンパク質ホスファターゼ2A(PP2A)とがんタンパクSETとの結合の阻害に用いられ、以ってPP2Aの細胞内での生物活性を増加し、或いはPP2Aの不活性化或いはがんタンパクCIP2AとSETの過度発現を特徴とする疾病或いは病的症状の治療に用いられる。また、上述の任意の化合物を、PP2Aの細胞内での発現量増加、或いはがんタンパクSET拮抗剤に用い、或いは本文に記載するPP2Aの発現量減少或いはSET過度発現を特徴とする疾病或いは病的症状の治療に用い、及び該各疾病を治療する薬剤の製造に用いることも本発明の範囲内である。
【0156】
本発明はPP2A増加、或いはがんタンパクSETの細胞内での発現量減少、或いは生物活性の方法を提供し、該細胞と有効量の本文に記載する化合物或いは医薬組成物を接触させる。
本発明はさらに、PP2Aの個体中で、PP2Aの不活性化或いはSET過度発現を特徴とする疾病或いは病的症状を治療する方法を提供し、本文に記載する化合物或いは医薬組成物を含み、有効量で該個体に投与する。
【0157】
本発明の化合物は、PP2Aの不活性化或いはがんタンパクSET過度発現を特徴とする疾病或いは病的症状の治療に用いられる。
本発明の化合物は、単独或いは以医薬組成物の形式で、ヒト患者に一剤量投与される。該医薬組成物は、適当な賦形剤或いは賦形剤と混合され、PP2Aの発現量減少或いはがんタンパクSET過度発現を特徴とする各種の病的症状を治療或いは改善する。因子(例えばPP2A)の発現量或いは生物活性の増加或いは減少は、タンパク質或いはRNAなどの該因子の遺伝子産物を通して容易に測定できる。個体の検体(例えば、血液或いは生体組織由来)中において、酵素結合免疫吸着分析法(ELISA)、ウエスタンブロット分析法及びノースプロット分析法などの本領域公知の検査測定方法を使用し、そのRNA含量、発現タンパク及びその類似物の構造及び/或いは活性を体外分析する。本発明に基づき、PP2Aの不活性化或いはがんタンパクSET及びCIP2A過度発現を特徴とする疾病或いは病的症状の具体的な実例は、がん(例えば肝がん、白血病、肺がん、乳がん、腎がん)及び骨粗しょう症を含むが、これに限定されない。
【0158】
「治療」とは、該特定失調或いは病的症状の予防、或いは特定失調或いは病的症状と関係が有る症状の減軽及び/或いは該症状の予防或いは除去を含む。
具体的には、「個体」はヒトなどの動物であるが、ペット(例えば、犬、猫及びその類似物)、経済動物(例えば、牛、羊、豚、馬及びその類似物)或いは実験用動物(例えば、ラット、マウス、ハムスター及びその類似物)を含む。該動物は、本文で記載する治療を必要とする。
本文に記載する「有効量」とは、個体上で治療効果を達成するのに必要な活性剤の量を指し、単独、或いは一種または多種の他の活性剤の組合せ使用を含む。投薬ルート、賦形剤の使用、及び他の活性剤との共同使用等の異なる状況に関しては、本領域の技術人員の確認の下、有効量はそれぞれ異なる。
【0159】
適した投薬ルートは、口服、直腸投薬、粘膜投薬、或いは消化器投薬を含む。非経口投薬は、筋肉内、皮下、髄内注射、及び鞘内、直接心室内、静脈、腹膜、鼻腔内或いは眼内注射を含み、補充或いは緩釈剤型を用いることができる。
【0160】
本発明の医薬組成物は、本領域公知の方式で製造される。それは例えば、常用の混合、溶解、乳化、エムベディング、コーティング、或いはフリーズドライ製造である。そのため、本発明が使用を提供する医薬組成物は、通常の方式で調製され、賦形剤及び/或いは助剤を含む一個或いは多数の生理上受け入れ可能な賦形剤を使用することができ、これにより活性化合物の加工と医薬上使用可能な製剤を助ける。本文で用いる「受け入れ可能」とは、該賦形剤は、該組成物の活性成分と互換でき(しかも好ましくは、該活性成分を安定させられる)、しかも治療を受ける個体に有害でないということである。適当な剤型は、選択する投薬ルートにより決まる。
【0161】
具体的には、注射薬の場合には、本発明の化合物は、ハンク緩衝液、リンガー緩衝液或いは生理食塩緩衝液などの生理的に互換できる緩衝液内に調製する。
経口薬の場合には、本発明の化合物の調製は、該活性化合物と、乳糖、蔗糖、マンニトール、ソルビトール、コーンスターチ、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、及び/或いはポリビニルピロリドン(PVP,polyvinylpyrrolidone)などの本領域公知の医薬上受け入れ可能な賦形剤とを結合し、本発明の化合物をタブレット、錠剤、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液及びその類似物に調製することができる。
吸入薬の場合には、本発明の化合物は、自加圧容器或いは噴霧器噴出のエアゾール噴霧に調製し、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素或いは他の適した気体などの適当な推進剤を組み合わせて使用できる。
【0162】
実施形態1 化学合成
具体的には、以下に示す反応式は、本発明のある化合物の合成スキームI〜Vを提供する。
1.1 合成スキームIv
【0163】
【化92】
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【0164】
本発明の化合物は、上述の合成スキームIを通して調製される。具体的な合成スキーム実施形態の記述を参照されたい。
合成スキーム1において、先ず1当量の2,3-ジクロロキノキサリン(2,3-dichloroquinoxaline)及び2.3当量のアニリン類似物を、3〜5mLのイソプロパノール(isopropy alcohol)中に加え、続いて2モル濃度のHClを加える。続いて、混合物を60℃まで加熱し一晩置くと、白色或いは黄色の固体を生じる。反応完成後に、該反応の混合物をイソプロパノールで洗浄し、2個の置換基のキノキサリン派生物を得る。該産物をさらに、酢酸エチル/ヘキサンを使用し、順相クロマトグラフィーを通して純化し、TD-52〜TD-69及びITRI TD-627等化合物を得る。
【0165】
1.1.1 N2,N3-ビス(3-エチニルフェニル) キノキサリン-2,3-ジアミン(N2,N3-bis(3-ethynylphenyl)quinoxaline-2,3-diamine)(TD-52)
【0166】
【化93】
[この文献は図面を表示できません]
【0167】
1H NMR(400 MHz, MeOH-d4)δ3.47(s, 1H)δ7.16(d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.29-7.33(m, 2H), 7.56(dd, J = 3.4, 6.4 Hz, 1H), 7.84(dd, J = 8.0, 1.2 Hz, 1H), 7.96(s, 1H)である。
【0168】
1.1.2 N2,N3-ビス(4-フェノキフェニル) キノキサリン-2,3-ジアミン(N2,N3-bis(4-phenoxyphenyl)quinoxaline-2,3-diamine)(TD-53)
【0169】
【化94】
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【0170】
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ7.02(d, J = 7.6 Hz, 2H), 7.08-7.13(m, 3H), 7.32(s, 1H), 7.38(t, J = 7.2 Hz, 2H), 7.53(s, 1H), 7.92(d, J = 8.4 Hz, 2H)である。
【0171】
1.1.3 N2,N3-ジベンジルキノキサリン-2,3-ジアミン(TD-54)(N2,N3-dibenzylquinoxaline-2,3-diamine)(TD-54)
【0172】
【化95】
[この文献は図面を表示できません]
【0173】
1H NMR(400 MHz, MeOH-d4)δ4.72(s, 2H), 7.18-7.24(m, 2H), 7.29(t, J = 7.2 Hz, 2H), 7.38(d, J = 7.2 Hz, 2H), 7.52(dd, J = 3.4, 6.4 Hz, 1H)である。
【0174】
1.1.4 N
2,N
3-ジフェニルキノキサリン-2,3-ジアミン(N
2,N
3-diphenylquinoxaline-2,3-diamine )(TD-55)
【0175】
【化96】
[この文献は図面を表示できません]
【0176】
1H NMR(400 MHz, MeOH-d4)δ7.10(t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.34(dd, J = 3.4, 6.4 Hz, 1H), 7.39(t, J = 7.6 Hz, 2H), 7.58(dd, J = 3.4, 6.4 Hz, 1H), 7.83(d, J = 8.0 Hz, 2H)である。
【0177】
1.1.5 N2,N3-ビス(3-クロロフェニル) キノキサリン-2,3-ジアミン(N2,N3-bis(3-chlorophenyl)quinoxaline-2,3-diamine)(TD-56)
【0178】
【化97】
[この文献は図面を表示できません]
【0179】
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ7.14(d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.38-7.43(m, 2H), 7.60(dd, J = 3.2, 6.0 Hz, 1H), 8.02(d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.24(s, 1H)である。
【0180】
1.1.6 N2,N3-ビス(2-フルオロ-5-メチルフェニル) キノキサリン-2,3-ジアミン(N2,N3-bis(2-fluoro-5-methylphenyl)quinoxaline-2,3-diamine)(TD-58)
【0181】
【化98】
[この文献は図面を表示できません]
【0182】
1H NMR(400 MHz, MeOH-d4)δ2.42(s, 3H), 7.23(s, 1H), 7.25(d, J = 1.2 Hz, 1H), 7.43(dd, J = 3.4, 6.4 Hz, 1H), 7.51(d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.61(dd, J = 3.4, 6.4 Hz, 1H)である。
【0183】
1.1.7 N2,N3-ビス(3-エチルフェニル) キノキサリン-2,3-ジアミン(N2,N3-bis(3-ethylphenyl)quinoxaline-2,3-diamine)(TD-59)
【0184】
【化99】
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【0185】
1H NMR(400 MHz, MeOH-d4) δ 1.23(t, J = 7.6 Hz, 3H), 2.61(q, J = 7.6 Hz, 2H), 6.86(d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.21(t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.26(s, 1H), 7.54-7.56(m, 2H), 7.62(d, J = 7.6 Hz, 1H)である。
【0186】
1.1.8 N2,N3-ビス(3-(トリフロロメチル)フェニル) キノキサリン-2,3ジアミン(N2,N3-bis(3-(trifluoromethyl)phenyl)quinoxaline-2,3-diamine)(TD-60)
【0187】
【化100】
[この文献は図面を表示できません]
【0188】
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ7.40(t, J = 8.0 Hz, 2H), 7.58(dd, J = 3.6, 5.6 Hz, 1H), 7.62(t, J = 8.0 Hz, 1H), 8.19(d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.34(s, 1H), 9.33(s, 1H)である。
【0189】
1.1.9 2,2'-((キノキサリン-2,3-ジイルビス(アザネジイル))ビス(4,1-フェニレン;))アセトニトリル(2,2'-((quinoxaline-2,3-diylbis(azanediyl))bis(4,1-phenylene))diacetonitrile)(TD-62)
【0190】
【化101】
[この文献は図面を表示できません]
【0191】
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ4.03(s, 2H), 7.35-7.39(m, 3H), 7.58(dd, J = 3.4, 6.4 Hz, 1H), 7.99(d, J = 8.8 Hz, 2H)である。
【0192】
1.1.10 N2,N3-ビス(4-クロロ-3-(トリフロロメチル)フェニル) キノキサリン-2,3-ジアミン(N2,N3-bis(4-chloro-3-(trifluoromethyl)phenyl)quinoxaline-2,3-diamine)(TD-63)
【0193】
【化102】
[この文献は図面を表示できません]
【0194】
1H NMR(400 MHz, MeOH-d4)δ7.28(dd, J = 3.6, 6.0 Hz, 1H), 7.45(d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.48(dd, J = 3.4, 6.4 Hz, 1H), 8.03(dd, J = 8.8, 2.4 Hz, 1H), 8.34(d, J = 2.4 Hz, 1H)である。
【0195】
1.1.11 N2,N3-ビス(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル) キノキサリン-2,3-ジアミン(N2,N3-bis(4-(trifluoromethoxy)phenyl)quinoxaline-2,3-diamine)(TD-65)
【0196】
【化103】
[この文献は図面を表示できません]
【0197】
1H NMR(400 MHz, MeOH-d4)δ7.26(d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.32(dd, J = 3.2, 6.0 Hz, 1H), 7.57(dd, J = 3.2, 6.0 Hz, 1H), 7.90(d, J = 9.2 Hz, 2H)である。
【0198】
1.1.12 5,5'-(キノキサリン-2,3-ジイルビス(アザネジイル)ビス(2-メチルフェノール)(5,5'-(quinoxaline-2,3-diylbis(azanediyl))bis(2-methylphenol))(TD-66)
【0199】
【化104】
[この文献は図面を表示できません]
【0200】
1H NMR(400 MHz, MeOH-d4)δ2.24(s, 3H), 7.03(dd, J = 8.0, 2.0 Hz, 1H), 7.21(d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.26(s, 1H), 7.44(dd, J = 3.4, 6.0 Hz, 1H), 7.67(dd, J = 3.4, 6.0 Hz, 1H)である。
【0201】
1.1.13 N2,N3-ビス(4-(ペンタフルオロスルファニル)フェニル) キノキサリン-2,3-ジアミン(N2,N3-bis(4-(Pentafluorothio)phenyl)quinoxaline-2,3-diamine)(TD-68)
【0202】
【化105】
[この文献は図面を表示できません]
【0203】
1H NMR(400 MHz, MeOH-d4)δ7.41(dd, J = 3.6, 6.0 Hz, 1H), 7.67(dd, J = 3.4, 6.4 Hz, 1H), 7.79(d, J = 9.2 Hz, 2H), 8.03(d, J = 8.8 Hz, 2H)である。
【0205】
【化106】
[この文献は図面を表示できません]
【0206】
本発明の化合物は、上述の合成スキームIIを通して調製して得られる。具体的な合成スキームは、実施形態の記述を参照されたい。
合成スキームIIにおいて、先ず1当量の2,3-ジクロロキノキサリン(2,3-dichloroquinoxaline)及び1当量のアニリン類似物を、3〜5mLのイソプロパノール中に加え、次に1モル濃度のHClを加える。続いて混合物を電子レンジで150℃まで30分加熱する。
【0207】
1.2.1 3-クロロ-N-(3,5-ジクロロフェニル)キノキサリン-2-アミン(3-chloro-N-(3,5-dichlorophenyl)quinoxalin-2-amine)(TD-78)
【0208】
【化107】
[この文献は図面を表示できません]
【0209】
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ7.20-7.28(m, 4H), 7.52(d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.35(s, 2H), 9.82(s, 1H)である。
【0210】
1.2.2 3-クロロ-N-(4-クロロ-3-(トリフロロメチル)フェニル) キノキサリン-2-アミン(3-chloro-N-(4-chloro-3-(trifluoromethyl)phenyl)quinoxalin-2-amine)(TD-79)
【0211】
【化108】
[この文献は図面を表示できません]
【0212】
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ7.21-7.26(m, 3H), 7.47(d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.64(d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.47(d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.89(s, 1H), 9.97(s, 1H)である。
【0213】
1.2.3 3-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル) キノキサリン-2-アミン(3-chloro-N-(4-(trifluoromethoxy)phenyl)quinoxalin-2-amine)(TD-80)
【0214】
【化109】
[この文献は図面を表示できません]
【0215】
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ7.19-7.20(m, 3H), 7.34(d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.50(d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.28(d, J = 8.4 Hz, 2H), 9.65(s, 1H)である。
【0216】
1.2.4 3-クロロ-N-(4-(ペンタフルオロスルファニル) フェニル) キノキサリン-2-アミン(3-chloro-N-(4-(Pentafluorothio)phenyl)quinoxalin-2-amine)(TD-81)
【0217】
【化110】
[この文献は図面を表示できません]
【0218】
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ7.22-7.27(m, 3H), 7.54(d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.84(d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.38(d, J = 8.8 Hz, 2H), 9.90(s, 1H)である。
【0220】
【化111】
[この文献は図面を表示できません]
【0221】
本発明の化合物は、上述の合成スキームIIIを通して調製して得られる。具体的な合成スキーム実施形態の記述を参照されたい。
合成スキームIIIでは、先ず4個位置に修飾があるフェニレンaを2mLの濃HClに溶解させ、180℃まで加熱し一晩置く。該混合物に水ろ過を通して乾燥後、沈殿した中間産物bを得る。続いて、該中間産物bをPOCl3に溶解させ、110℃まで3時間加熱する。反応混合物を室温まで冷やした後、それを冰水中に入れ沈殿物を生じる。該沈殿物をオーブンで乾燥させ、中間産物cを得る。アニリン及び中間産物cをIPA中に溶解させ、次に2モル濃度HClを加え、続いて混合物を60℃まで加熱し一晩置く。該混合物にIPAろ過を利用し沈殿物を得て、該沈殿物にさらにクロマトグラフィーを使用して純化し、TD-83〜TD-95、ITRI TD-602〜ITRI TD-604、ITRI TD-607、ITRI TD-608、ITRI TD-613 至 ITRI TD-618、ITRI TD-620からITRI TD-624、ITRI TD-629等の化合物を得る。
【0222】
1.3.1 メチル 2,3-ビス((4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)アミン)キノキサリン-6-カルボキシレート(methyl 2,3-bis((4-(trifluoromethoxy)phenyl)amino)quinoxaline-6-carboxylate)(TD-94)
【0223】
【化112】
[この文献は図面を表示できません]
【0224】
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ3.84(s, 3H), 7.38(dd, J = 4.4, 8.0 Hz, 4H), 7.56(d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.83(dd, J = 8.6, 1.6 Hz, 1H), 8.10(d, J = 1.2 Hz, 1H), 8.18(t, J = 8.8 Hz, 4H)である。
【0225】
1.3.2 N2,N3-ビス(4-メトキシフェニル)-6-ニトロキノキサリン-2,3-ジアミン(N2,N3-bis(4-methoxyphenyl)-6-nitroquinoxaline-2,3-diamine)(ITRI TD-602)
【0226】
【化113】
[この文献は図面を表示できません]
【0227】
1H NMR(500 MHz, DMSO-d6)3.79(s, 6H), 7.00(dd, 4H), 7.56(d, 1H), 7.89(dd, 4H), 8.03(d, 1H), 8.23(s,1H), 10.0(b,2H)である。
【0228】
1.3.3 N2,N3-bis(3-エチニルフェニル)-6-ニトロキノキサリン-2,3-ジアミン(N2,N3-bis(3-ethynylphenyl)-6-nitroquinoxaline-2,3-diamine)(ITRI TD-604)
【0229】
【化114】
[この文献は図面を表示できません]
【0230】
1H NMR(500 MHz, DMSO-d6)4.19(s,1H),4.20(s,1H) 7.23(dd, 2H), 7.42(m, 3H), 7.64(d, 1H), 8.11(b, 4H), 8.23(s,1H), 10.1(b,2H)である。
【0231】
1.3.4 N2,N3-ビス(4-トリフロロメチル)フェニル) キノキサリン-2,3,6-トリアミン(N2,N3-bis(4-(trifluoromethyl)phenyl)quinoxaline-2,3,6-triamine)(ITRI TD-607)
【0232】
【化115】
[この文献は図面を表示できません]
【0233】
1H NMR(500 MHz, DMSO-d6)δ5.4(s, 2H), 6.7(s, 1H), 6.82(d, 1H), 7.35(d, 1H), 7.65(d, 2H), 7.68(d, 2H), 7.92(d, 2H), 8.08(d, 2H),(9.04, 1H ),(9.20, 1H)である。
【0234】
1.3.5 N2,N3-ビス(3-メトキシフェニル)-6-ニトロキノキサリン-2,3-ジアミン(N2,N3-bis(3-methoxyphenyl)-6-nitroquinoxaline-2,3-diamine)(ITRI TD-608)
【0235】
【化116】
[この文献は図面を表示できません]
【0236】
1H NMR(500 MHz, DMSO-d6)3.98(s,3H), 3.97(s, 3H), 6.68(dd, 2H), 7.27(t, 2H), 7.43(d, 1H), 7.44(d, 1H), 7.61(s,1H), 7.62(m, 2H), 8.05(d, 1H), 8.25(s, 1H), 9.28(s, 1 H), 9.35,(s, 1H)である。
【0237】
1.3.6 3-(2-(3-ヒドロキシフェニルアミノ)-6-ニトロキノキサリン-3-イルアミン)フェノール(3-(2-(3-hydroxyphenylamino)-6-nitroquinoxalin-3-ylamino)phenol)(ITRI TD-613)
【0238】
【化117】
[この文献は図面を表示できません]
【0239】
1H NMR(500 MHz, DMSO-d6)6.68(dd, 2H), 7.09(m, 2H), 7.18(m, 2H), 7.58(d, 1H), 7.61(d,1H), 7.70(d, 1H), 8.10(d, 1H), 8.31(s, 1 H), 9.60-10.1,(b, 4H)である。
【0240】
1.3.7 N2,N3-ビス(3-ブロモフェニル)-6-ニトロキノキサリン-2,3-ジアミン(N2,N3-bis(3-bromophenyl)-6-nitroquinoxaline-2,3-diamine )(ITRI TD-618)V
【0241】
【化118】
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【0242】
1H NMR(500 MHz, DMSO-d6)7.00(dd, 1H), 7.19(m, 2H), 7.30(m, 1H), 7.58(d, 1H), 7.39(dd, 2H), 7.62(d, 1H), 8.05(m, 3H), 8.38(s, 1 H), 10.2-10.6,(b, 2H)である。
【0243】
1.3.8 N2,N3-ビス(4-フルオロフェニル)-6-ニトロキノキサリン-2,3-ジアミン(N2,N3-bis(4-fluorophenyl)-6-nitroquinoxaline-2,3-diamine)(ITRI TD-620)
【0244】
【化119】
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【0245】
1H NMR(500 MHz, DMSO-d6)7.25(m, 4H), 7.59(d, 1H), 7.88(m, 4H), 8.06(d, 1H), 8.26(s, 1H), 9.34(s, 1H), 9.51(s, 1H)である。
【0246】
1.3.9 N2,N3-ビス(4-クロロ-3-フルオロフェニル)-6-ニトロキノキサリン-2,3-ジアミン N2,N3-bis(4-chloro-3-fluorophenyl)-6-nitroquinoxaline-2,3-diamine(ITRI TD-624)
【0247】
【化120】
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【0248】
1H NMR(500 MHz, DMSO-d6)7.41(dd, 2H), 7.68(m, 3H), 7.95(s, 1H), 8.08(s, 1H), 8.10(d, 1H), 8.30(s, 1H), 10.0(b, 2H)である。
【0249】
1.3.10 N2,N3-ビス(4-フェニルスルフォンアミド)-6-ニトロキノキサリン-2,3-ジアミン(N2,N3-bis(4-phenylsulfonamide)-6-nitroquinoxaline-2,3-diamine)(ITRI TD-629)
【0250】
【化121】
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【0251】
1H NMR(500 MHz, DMSO-d6)7.29(b, 4H), 7.74(d, 1H), 7.88(d, 4H), 8.20(m, 5H), 8.42(s, 1H), 10.14(s, 1H), 10.30(b, 1H)である。
【0252】
1.4 合成スキームIV
本発明の化合物は上述の合成スキームIVを通して調製して得られる。具体的な合成スキームは、実施形態の記述を参照されたい。
合成スキームIVでは、先ずそれぞれ1当量の4-(2-クロロ-7-ニトロキノキサリン-3-イルアミン)フェノール(4-(2-chloro-7-nitroquinoxalin-3-ylamino)phenol)、3-クロロ-N-(4-メトキシフェニル)-6-ニトロキノキサリン-2-アミン(3-chloro-N-(4-methoxyphenyl)- 6-nitroquinoxalin-2-amine)、4-(2-クロロ-7-ニトロキノキサリン-3-イルアミン)-3-メチルフェノール(4-(2-chloro-7-nitroquinoxalin-3-ylamino)-3-methylphenol)或いは3-クロロ-N-(5-メチル-1H-ピラゾル-3-イル)-6-ニトロキノキサリン-2-アミン(3-chloro-N-(5-methyl-1H-pyrazol- 3-yl)-6-nitroquinoxalin-2-amine)と1.2当量のアニリン化合物を3〜5mLのDMFに加える。次に110℃まで3時間加熱する。反応完成後、該反応混合物に加水し、酢酸エチルにより抽出し、酢酸エチルを水洗、乾燥後に減圧抽幹し、粗産物を得る。粗産物にさらに酢酸エチル/ヘキサンを使用し、順相クロマトグラフィーを通して純化し、それぞれITRI TD-605、ITRI TD-612、ITRI TD-619、ITRI TD-625、ITRI TD-626、ITRI TD-628、ITRI TD-630、ITRI TD-631等化合物を得る。
【0253】
1.4.1 N3-(3-エチニルフェニル)-N2-(4-メトキシフェニル)-6-ニトロキノキサリン-2,3-ジアミン(N3-(3-ethynylphenyl)-N2-(4-methoxyphenyl)-6-nitroquinoxaline-2,3-diamine)(ITRI TR-605)
【0254】
【化122】
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【0255】
1H NMR(500 MHz, DMSO-d6)δ3.78(s, 3H),4.21(s, 1H), 7.00(d, 2H), 7.21(d, 1H), 7.42(t, 1H), 7.59(d, 1H), 8.01(dd, 2H), 8.02(d, 2H), 8.07(d, 1H), 8.26(s, 1H), 9.34(s, 1H), 9.41(s, 1H)である。
【0256】
1.4.2 3-(2-(4-メトキシフェニルアミノ)-6-ニトロキノキサリン-3-イルアミン)フェノール(3-(2-(4-methoxyphenylamino)-6-nitroquinoxalin-3-ylamino)phenol)(ITRI TD-612)
【0257】
【化123】
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【0258】
1H NMR(500 MHz, DMSO-d6)δ3.78(s, 3H),4.21(s, 1H), 7.00(d, 2H), 7.21(d, 1H), 7.42(t, 1H), 7.59(d, 1H), 8.01(dd, 2H), 8.02(d, 2H), 8.07(d, 1H), 8.26(s, 1H), 9.34(s, 1H), 9.41(s, 1H)である。
【0259】
1.4.3 4-(2-(3-エチニルフェニルアミノ)-7-ニトロキノキサリン-3-イルアミン)フェノール(4-(2-(3-ethynylphenylamino)-7-nitroquinoxalin-3-ylamino)phenol)(ITRI TD-619)
【0260】
【化124】
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【0261】
1H NMR(500 MHz, DMSO-d6)δ4.19(s, 1H), 6.81(dd, 2H), 7.20(d, 1H), 7.22(t, 1H), 7.54(d, 1H), 7.60(dd, 2H), 8.00(d, 2H), 8.05(d, 1H ), 8.23(s, 1H), 9.31(b, 2H), 9.39(b, 1H)である。
【0262】
1.4.4 4-(2-(3-エチニルフェニルアミノ)-7-ニトロキノキサリン-3-イルアミン)-3-メチルフェノール(4-(2-(3-ethynylphenylamino)-7-nitroquinoxalin-3-ylamino)-3-methylphenol)(ITRI TD-625)
【0263】
【化125】
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【0264】
1H NMR(500 MHz, DMSO-d6)δ2.05(s, 3H), 4.21(s, 1H), 6.65(d, 1H), 6.67(s, 1H), 7.13(d, 1H), 7.21(d, 1H), 7.42(m, 2H), 8.05(d, 1H ), 8.05(m, 2H),8.26(s, 1H), 9.10(s, 1H), 9.25(s, 1H), 9.39(s, 1H)である。
【0265】
1.4.5 N3-(4-(トリフロロメチル)フェニル)-N2-(4-メトキシフェニル)-6-ニトロキノキサリン-2,3-ジアミン(N3-(4-(trifluoromethyl)phenyl)-N2-(4-methoxyphenyl)-6-nitroquinoxaline-2,3-diamine)(ITRI TD-626)
【0266】
【化126】
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【0267】
1H NMR(500 MHz, DMSO-d6)δ3.89(s, 3H),7.00(d, 2H), 7.59(d, 1H), 7.77(m, 4H), 8.11(d, 1H), 8.17(d, 2H), 8.36(s, 1H ), 9.47(s, 1H), 9.56(s, 1H)である。
【0268】
1.4.6 4-(2-(5-メチル-1H-ピラゾル-3-イルアミン)-6-ニトロキノキサリン-3-イルアミン)フェノール(4-(2-(5-methyl-1H-pyrazol-3-ylamino)-6-nitroquinoxalin-3-ylamino)phenol)(ITRI TD-628)
【0269】
【化127】
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【0270】
1H NMR(500 MHz, DMSO-d6)δ2.28(s, 3H),6.80(d, 2H), 6.88(s, 1H), 7.64(d, 1H), 7.65(d, 2H), 8.03(d, 1H), 8.21(s, 1H ), 9.28(s, 1H), 9.30(s, 1H), 10.2(s, 1H)である。
【0271】
1.4.7 N3-(4-フルオロフェニル)-N2-(4-メトキシフェニル)-6-ニトロキノキサリン-2,3-ジアミン(N3-(4-fluorophenyl)-N2-(4-methoxyphenyl)-6-nitroquinoxaline-2,3-diamine )(ITRI TD-631)
【0272】
【化128】
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【0273】
1H NMR(500 MHz, DMSO-d6)δ3.78(s, 3H),7.00(d, 2H), 7.26(t, 2H), 7.57(d, 1H), 7.93(d, 2H), 7.92(dd, 2H), 8.07(d, 1H ), 8.25(s, 1H), 9.31(s, 1H), 9.40(s, 1H)である。
【0274】
1.5 合成スキームV
本発明の化合物は、上述の合成スキームVを通して調製して得られる。
合成スキームVでは、先ず1当量の(2,3- ジクロロキノキサリン-6-イル)(フェニル)メタノン((2,3-dichloroquinoxalin-6-yl)(phenyl)methanone)と1.2当量の3-エチルベンゼンアミン(3-ethynylbenzenamine)を、IPA中で加熱回流5時間後に冷却し、析出した固体をさらにIPAで洗浄し、得られた固体を、乾燥させ、産物TD-632(式II)を得る。
【0275】
1.5.1 2,3-ビス(3-エチニルフェニルアミノ) キノキサリン-6-イル)(フェニル)メタノン(2,3-bis(3-ethynylphenylamino)quinoxalin-6-yl)(phenyl)methanone)(TD-632)
【0276】
【化129】
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【0277】
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)4.2(s,1H), 4.1(s,1H).7.24(d, 1H), 7.25(d, 1H),7.56(d, 2H), 7.40(m ,2H), 7.6(m, 3H), 7.64(m 3H) ,7.79(m 2H) 7.82(s 1H),8.15(b,2H) ,9.25(b,2H)である。
【0278】
実施形態2 生物活性検査測定
2.1 材料と方法
2.1.1 試剤と抗体
ソラフェニブ(Sorafenib)(レイシャワフィルムコート錠)、エルロチニブ(Erlotinib)(タルセバフィルムコート錠)パクリタキセル(Paclitaxel)は、それぞれバイエル製薬(Bayer Pharmaceuticals)(ウェストヘーブン、コネチカット州)、ロッシュ製薬(Roche Pharmaceuticals)(バーゼル、スイス)により提供する。オカダ酸(okadaic acid,OA)は、ケイマンケミカル(Cayman Chemical)(アナーバー、ミシガン州)から購入し、及びz-VAD-fmkは、シグマ(Sigma)(セントルイス、ミズーリ州)から購入する。生体外(in vitro)実験に関しては、各種薬物はすべてジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解させ、細胞培養は、5%ウシ胎児血清(FBS)を含むDMEMダルベッコ改良Eagle培養基(dulbecco's modified eagle's medium)或いはRPMI(Roswell Park Memorial Institute)培養基中で行う。
生体内(in vitro)実験に関しては、培養基に加えた後、最終的なDMSOの濃度は0.1%である。免疫ドット分析に用いる抗体は、アンチ-CIP2A、アンチ-Akt1、アンチ-PAPP、anti-PP2A-C、アンチ-PP2A-A、アンチ-PP2A-B55及びアンチ-Elk-1で、すべてサンタクルスバイオテクノロジー(Santa Cruz Biotechnology)(サンディエゴ、カリフォルニア州)から購入する。他の抗体は、アンチ-システインプロテアーゼ-3(anti-caspase-3)及びアンチ-P-Akt(Ser473)で、これらはセルシグナリング(Cell Signaling)(ダンフォス、マサチューセッツ州)から購入する。
【0279】
2.1.2 細胞培養
Sk-Hep1、PLC/PRF/5(PLC)及びHep3B細胞株は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)(マナッサス、ヴァージニア州)から得る。Huh-7肝がん細胞株は、ヘルスサイエンス研究資源バンク(Health Science Research Resources Bank)(大阪,日本;JCRB0403)から得る。上述の細胞を、10%ウシ胎児血清を含むDMEM培養液中に維持し、37℃の5%二酸化炭素を含む加湿インキュベーター中に置く。非小細胞肺がん細胞株H358、H460及びA549及び扁平上皮がんNCI-1703、H2170、H520、SW900及びNCI-H226を含む他の細胞株は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)(マナッサス、ヴァージニア州)から得て、以下の細胞検査測定に使用する。
【0280】
2.1.3 細胞アポトーシス分析
DMSO、ソラフェニブ、本発明のエルロチニブ派生物を処理した後、フローサイトメトリー(sub-G1)を使用し、アポトーシスの細胞を計量した。アネキシン-V/ヨウ化プロピジウム(propidium iodide,PI)二重染色法を用いて、細胞アポトーシス及び壊死の数量を検査測定する。上述の2種の分析方式により、本発明のエルロチニブ派生物処理後にHCC細胞を収集し、PIと単独培養して、sub-G1分析に使用し、及びアネキシン-V-FITCと組合せ培養する。フローサイトメトリーにより細胞組成物の分析を行う。システインプロテアーゼ及びせん断のPAPPを通して、ウエスタンブロット分析を使用し、本発明のエルロチニブ派生物の細胞死亡誘導効果を分析する。細胞質ヒストン関連のDNAフラグメンテーションの酵素結合免疫吸着分析法(ELISA)により、細胞死亡(ロッシュ、インディアナポリス、インディアナ州)を検査測定する。ウエスタンブロット分析及びフローサイトメトリーにより、本発明のエルロチニブ派生物及びz-VAD-fmk、システインプロテアーゼに共処理した効果を評価する。
【0281】
2.1.4 ウエスタンブロット分析法
細胞とシステインプロテアーゼ-3、PAPP、P-Akt、Akt、CIP2A等を一定時間処理した後、細胞溶解物を、ウエスタンブロット分析法で分析する。
【0282】
2.1.5 siRNAを使用し遺伝子を除去
対照組(D-001810-10)及びPP2A-C(L-001810-10)を含むSmart-pool siRNAは、Dharmacon(シカゴ、イリノイ州、11121-11133)から購入する。メーカーの操作ハンドブックに基づき、六孔盤内で、Dharma-FECT4染色液(Dharmacon社)を使用し、siRNA(最終濃度100 nM)で、細胞の第一次染色48時間を行う。その後培養液に交換し、次に細胞を、本発明のエルロチニブ派生物(2μM,48時間)により、続いて収集した細胞に、ウエスタンブロット分析法及びフローサイトメトリーにより、細胞アポトーシス分析を行う。
【0283】
2.1.6 過渡性染色(Transient transfection)
CIP2A cDNA(KIAA1524)及びElk-1 cDNAは、Origene社(RC219918及びRG208921;ロックビル、メリーランド州)から購入する。
染色48時間の後、細胞を、本発明のエルロチニブ派生物により一定時間処理した後、収集し、さらに分析を行う。
【0284】
2.1.7 PP2Aホスファターゼ活性
マラカイトグリーンリン複合物分析(malachite greenーphosphate complex assay)(upstateバイオテクノロジー社、レークプラシッド、ニューヨーク州)を使用し、スレオニンリンペプチドから游離したリン酸塩を計測し、各細胞溶解物のタンパクホスファターゼ活性を確定する。先ず低洗浄剤溶解緩衝液(low-detergent lysis buffer)中で、HCC細胞溶解液を調製する。750μMホスホペプチド受質を含むPP2A-特定反応緩衝液(ミリポア社、ビルリカ、マサチューセッツ州)中で、ホスファターゼ分析を行う。30℃で10分培養後、マラカイト染色剤を加え、しかも650nm下で光密度を通過させ、游離したリン酸塩を測定する。サンプルの間の免疫沈殿タンパク質数量の差異により差異を招くことがないよう、ホスファターゼ活性は、各処理グループはどれも、免疫印跡検査測定及び定量のPP2A免疫沈殿数量標準化を経る。
【0285】
2.1.8 ルシフェラーゼレポーターを確立し、CIP2Aプロモーター及び5’端検査測定を分析
上述研究に基づきPLC5細胞の遺伝子組DNAはエクソン1(-2000 bpから-1 bp)を含むCIP2Aプロモーター上流区域は、PCRにより拡張し、及びレポーターキャリアにクローニングし、Frieflyキャリア(pGL4.17)はKpnI及びBg/II制限酵素カッティングを通して、PCR拡張の引子区域-1000/-1、-400-/-1、-300/-1、-150/-1、-110/-1はpGL4キャリアKpnI及びBg/II制限酵素カッティング位置にクローニングされ、シークエンシングを通してクローニングのヌクレオチド配列を確認する。
【0286】
2.1.9 染色質免疫沈澱技術(chromatin immunoprecipitation assay, ChIP)分析
Chip試剤組は、Novus生物社(NBP1-71709,リトルトン、コロラド州)から購入する。1×107個のPLC5細胞数によりChIPを行う。該細胞は、本発明のエルロチニブ派生物により16時間処理し、37%ホルムアルデヒドv/v(Sigma社,F1635)が1%最終濃度から1%を達成し、室温下でDNA結合タンパクとDNAとを10分間架橋結合する。架橋結合後、該細胞は、プロテアーゼ抑制剤混合物(Cocktail)を含む1倍冰PBSにより2回洗浄し、細胞を収集し、800×gで5分間遠心分離し、400 μlのプロテアーゼ抑制剤混合物(Cocktail)を含む溶解緩衝液を再び懸濁させる。続いて、該細胞を、6回パルス超音波処理する。各パルスは50%で15秒出力し、各パルスの間は60秒開ける。4℃下で、細胞溶解物を、12500×gで5分間遠心分離し、Elk1或いはウサギIgG抗体を加え、陰性対照組で免疫沈殿を行う。4℃下で、該免疫複合物を25 μlタンパク質A/G磁性ビーズ処理を行い、沈殿反応を1時間行う。400μlで緩衝液を脱水し、タンパク質-DNA複合物は、磁性ビーズから洗浄される。95℃下でタンパク質-DNAの架橋結合は、8 μl 5MのNaClを経て、架橋結合を15分間行う。
スピンコラム(spin column)を使用しDNAを純化し、2μl DNAをとり、半定量PCR反応拡張CIP2Aプロモーター区域(-139/-16bp)を行う。
【0287】
2.1.10 異体移植(xenograft)腫瘍の成長
オスのNCr無胸腺ヌードマウス(5-7週齢)は、国家実験動物センター(National Laboratory Animal Center)(台北、台湾)から得る。これらマウスを使用して行うすべての実験プロセスは、国立台湾大学批准の実験操作プロセスに基づく。1×106個のPLC5或いはA549細胞数を、Matrigel(マトリゲル、BDバイオテクノロジー社、ベッドフォード、マサチューセッツ州)を含み血清を含まない培養基中に懸濁させる。マウス腫瘍が100-150mm3になったら、マウスに対して強制経口投与で実験予定の治療を行う。例えば、毎日1kg当たり10mgのソラフェニブ、本発明のエルロチニブ派生物或いは制御組4間実験予定の治療を行う。
【0288】
2.1.11 免疫組織化学染色法
パラフィンエムベディングのHCC組織スライド(4 mm)を、ポリ-1-リジンコーテッドスライド(poly-1-lysine-coated slides)上で、エムベディングを除去し、10mM Tris-HCl(pH7.4)及び150mM塩化ナトリウム洗浄し、カタラーゼ、メタノール及び3%過酸化物により抑制(quenched)する。続いて100℃加圧加熱室内で、スライドを10mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.0)に20分間置く。1:200希釈のp-Akt1/2/3(Thr 308)-抗体(ab8805,abcam社、ケンブリッジ)及び以1:100希釈のCIP2A抗体(ab84547,abcam社,ケンブリッジ)により室温下で1時間処理し、スライドをPBDで完全に3回洗浄する。EnVisionカタラーゼ検査測定システム/DAB ウサギ/マウス試剤組(Dako社、グロススープ)を使用し、すでに結合した抗体を検査する。続いて、該スライドをヘマトキシリン(hematoxylin)で反染色する。マウスパラフィンエムベディングスライド腎組織とヒト結腸がんとを、それぞれp-Akt1/2/3及びCIP-2Aの陽性対照組とする。陰性対照組は、PBSにより初級抗体を置換する。認証を通過した病理学者が、半定量の染色強度に基づき、p-Akt1/2/3及びCIP-2Aの発現を評価する。染色強度の評価は、負、弱、中等及び強である。
【0289】
2.2.12 表面プラズモン共鳴(Surface plasmon resonance)
本発明は、全長SET及び裁断SETの、PP2Ac(PP2Aの触媒領域)への結合親和力、及び本発明のエルロチニブ派生物のSET及びPP2Acを干渉する効果を分析する。PP2Ac-GST組み換えタンパクを、GST捕捉抗体を備えるCM5チップに結合させる。注射を通して、異なる濃度の本発明のエルロチニブ派生物と固定濃度のSET組合せタンパク質、或いは固定剤量の本発明のエルロチニブ派生物の異なる濃度の裁断SETタンパク質は、センサーグラム(sensergram)に示す。PP2Ac-GST組み換えタンパクは、アブノバ社(H00005515,Abnova社,台湾)から購入し、及びSET-His組み換えタンパクは、Genway社(GWB-ATG319)から購入する。
【0290】
2.2.13統計分析
腫瘍成長データの平均腫瘍体積±S.E.を、独立サンプルt-検証実験と比較する。臨床サンプルはΧ2-検証実験と比較する。両側検証実験P値<0.05で、顕著な意義があるとみなす。すべての統計分析は、Windowsソフトウエアを支援するSPSSソフトウエア計算(第17.0版,SPSS社,シカゴ、イリノイ州)を採用する。
【0291】
結果
2.2.1 本発明のエルロチニブ(erlotinib)派生物はHCC細胞アポトーシスを拡大
本発明は、エルロチニブ派生物TD-52及びエルロチニブにより、HCC細胞中抗がん活性の比較を行った。本発明は、MTT分析を使用し、HCC細胞の、TD-52及びエルロチニブに48時間暴露後の細胞活性を実証し、DMSO処理により対照組とした。その結果は図1Aに示す。HCC細胞株(HA22T、Hep3B、PLC5及びHep3Bを含む)において、TD-52のがん細胞活性に対する減少が、エルロチニブよりすぐれていることを測定した。その内、HA22T(IC50=0.9μmol/l)、Hep3B(IC50=0.9μmol/l)、PLC5(IC50=0.8μmol/l)及びSk-Hep1(IC50=1.2μmol/l)を含む。細胞アポトーシスの程度をさらに確認するため、4個の細胞株を、TD-52及びエルロチニブにより24時間処理後、フローサイトメトリーによりsub-G1細胞の比率を確認した。図1Bに示す通り、用量依存性下でsub-G1分析はMTT分析と同様の結果を示した。つまり、TD-52はエルロチニブに比べ、より抗がんの効果を備える。
TD-52抗がんの特性をさらに確認するため、本発明は、アネキシン-V/PI二重染色法、ウエスタンブロット分析、細胞週期分析及びDNAフラグメンテーション分析(図1C〜図1E)を行う。剤量を徐々に増やしながら、アネキシン-V/PI二重染色法により、細胞アポトーシス及び細胞壊死の比率を分析する。その結果、2μM TD-52及びより高い剤量で4個の細胞株を48時間処理した後、がん細胞死亡の程度(細胞アポトーシス及び壊死を含む)は50%或いはもっと高い(図1C)ことが発見された。しかも、Hep3B細胞は、TD-52誘導壊死細胞死亡に対して比較的敏感で、相同の剤量では、HA22T、PLC5及びSk-Hep1細胞中の大部分は、細胞アポトーシス死亡を誘導された。ウエスタンブロット分析の結果において、TD-52により処理した細胞は、システインプロテアーゼ-9、システインプロテアーゼ-3の活性を誘発し、及びポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(poly(ADP-ribose) polymerase,PARP)は溶解物を生じる(図1D)。さらに、TD-52(2μM)とz-VAD-fmk、pan-システインプロテアーゼ抑制剤共処理48時間後、TD-52が細胞アポトーシスを誘発する結果(図1F)が得られた。同時に、比較的低濃度TD-52処理(1μmol/l,24時間)は、がん細胞DNAフラグメンテーションを誘発する(図1E)。しかし、TD-52は、エルロチニブと相同の抑制上皮細胞成長因子レセプター(EGFR)キナーゼ抑制剤の効果を備えない(図1G)。そのため、本発明のエルロチニブ派生物の抗がん活性の効果は、エルロチニブより優れ、しかも該活性は、上皮細胞成長因子レセプター(EGFR)キナーゼ抑制のメカニズムとは異なる。
また、本発明の各エルロチニブ派生物を、1μM及び10μMで、扁平上皮がんNCI-1703、H2170、H520、SW900及びNCI-H226、非小細胞肺がんA549、H358細胞株を処理し、細胞活性及びIC50検査測定を行った。その結果は、表5〜表12に示すが、本発明のエルロチニブ派生物はがん細胞の死亡を促進可能であることが実証された。
【0292】
【表5】
[この文献は図面を表示できません]
【0293】
【表6】
[この文献は図面を表示できません]
【0294】
【表7】
[この文献は図面を表示できません]
【0295】
【表8】
[この文献は図面を表示できません]
【0296】
【表9】
[この文献は図面を表示できません]
【0297】
【表10】
[この文献は図面を表示できません]
【0298】
【表11】
[この文献は図面を表示できません]
【0299】
【表12】
[この文献は図面を表示できません]
【0300】
2.2.2 本発明のエルロチニブ派生物は抑制CIP2Aを通してPP2A活性を強化可能
本発明は、本発明のエルロチニブ派生物TD-52の作用メカニズムをさらに検討する。特に、タンパク質ホスファターゼ2Aがん抑制因子(CIP2A)-タンパク質ホスファターゼ2A(PP2A)-p-Aktシグナルルートに注目する。図2A及びBに示す通り、剤量及び時間依存性の方式で、TD-52はCIP2A及びp-Aktの発現をダウンレギュレーションする。さらに、HCC細胞は、1μM TD-52の処理24時間の後、PP2Aの活性(図2C)を高めることができる。PP2Aと関連するサブユニット(subunit)、PP2A-A、PP2A-B5及びPP2A-Cサブユニットの発現量は、影響を受けない。上述の結果により、TD-52処理は、CIP2A発現を抑制することで、PP2A活性を向上させ、こうしてp-Aktをダウンレギュレーションし、及びHCC細胞アポトーシスを招く(図2D)。
TD-52を通して、細胞アポトーシスCIP2A-PP2A-p-Akt誘発シグナルルートで果たす役割を確認するため、本発明は過渡型染色(Transient transfection)を通して、myc-マークをしたCIP2A異所性発現のPLC5細胞を48時間(図2E)、さらに2μM TD-52処理24時間後に、野生型細胞のCIP2A-過度発現細胞中p-Aktの発現量と比べてアップレギュレーションした。さらには、本発明はsub-G1分析を利用し、TD-52のアポトーシス影響は顕著に、該各CIP2A-過度発現細胞中で減少することを発見した。続いて、本発明は2個の方法を利用し、PP2AがTD-52処理のHCC細胞中で果たす役割を確認する。サイレントRNA(siRNA)を通して、PP2A遺伝子を取り除き、PP2A抑制剤、オカダ酸(OA)と共処理する(図2F及びG)。PLC5細胞が、100 nM OAから処理されると、p-Aktの発現量は上昇し、TD-52-誘発HCC腫瘍細胞アポトーシスは減少する(図2F)。同様に、PP2AがsiRNAを通して取り除かれると、p-Aktの発現量は増加し、しかもTD-52の抗がん効果は減少する。本発明は、過渡型染色を通して、Akt-過度発現PLC5細胞を発生し、HCC細胞TD-52誘発細胞アポトーシスが顕著に減少することが発見された(図2H)。該各結果により、CIP2A-PP2A-p-Aktシグナルルートが、HCC細胞TD-52抗がん効果の調節において、重要な役割を果たしていることが実証された。
【0301】
2.2.3 本発明のエルロチニブ派生物がCIP2A-PP2A-p-Aktシグナルルートにおいて、細胞アポトーシスを誘発する分子メカニズム
TD-52がCIP2A-PP2A-p-Aktシグナルルートにいかにして影響するかをさらに確認するため、本発明はタンパク質合成阻害剤シクロヘキシミド(cycloheximide)が転写作用を阻害する時、TD-52がCIP2Aタンパク質の劣化(degradation)に影響するかどうかを確認する。また、DMSO処理を対照組とし、その結果は図3Aに示す。CIP2Aタンパク質の劣化に必要な時間は、TD-52のあるなしに影響されないが、RT-PCRの検査により、mRNA発現はTD-52処理により抑制されることが発見された。該結果は、TD-52がCIP2Aの転写作用を抑制できることを示している。本発明は、CIP2Aプロモーターの作用メカニズムをさらに確認する。CIP2A遺伝子プロモーターとルシフェラーゼ(luciferase)レポーターの連接時、用量依存性の方式下で、TD-52がルシフェラーゼの活性を抑制する(図3B上図)ことが発見された。本発明は、シリーズのpGL4ルシフェリンキャリア欠失選択株を作り、CIP2A遺伝子プロモーター区域中の序列の、TD-52に対する影響が鍵であることを確認した。図3Bに示す通り、-110/-1キャリアを備える細胞中で、TD-52処理は、ルシフェラーゼ活性に影響しない。この結果は、PLC5細胞中-110及び-150の間には、CIP2A発現の結合位置があることを説明している。既存の文献では、Elk-1は該位置上に結合し、子宮頸がん及び子宮内膜がん中Elk-1は、もう一つの転写因子Ets-1と一緒にCIP2Aの発現を調整すると開示している。よって、本発明は、ウエスタンブロット分析法を通して、TD-52処理を経たPLC5細胞でElk-1及びCIP2Aの発現を測定し、Elk-1が、CIP2A-PP2A-p-Aktシグナルルートの調節で果たす役割を確認した。その結果は、肝がん細胞中でElk-1転写因子は、細胞核中で発現することで、CIP2A遺伝子の転写を調整しているが、TD-52処理後のPLC5細胞では、CIP2A及びElk-1は、顕著に抑制されていることが発見された(図3C)。
本発明は、染色質免疫沈澱技術(ChIP)及び定量PCRにより、Elk-1とCIP2Aプロモーター遺伝子との間の関係を確認し(図3D)、未処理の細胞中で、タンパク質-DNA複合物を架橋結合し、Elk-1発現を測定し、Elk-1がCIP2A遺伝子のプロモーター区域に結合することを実証した。さらに、細胞がTD-52に暴露されると、用量依存性の方式で、Elk-1の発現は減少する。つまり、この結果は、TD-52は、Elk-1とCIP2Aプロモーターとの間の結合を干渉することで、CIP2A転写を減少させCIP2Aをダウンレギュレーションを示している。CIP2Aが抑制されると、PP2A活性化はAkt 脱リン酸化を促し、がん細胞をアポトーシスさせる。さらに、Elk-1の過度な発現は減少し、TD-52はCIP2Aのダウンレギュレーション作用及びがん細胞アポトーシス(図3D、右欄)を誘導する。
【0302】
2.2.4 本発明のエルロチニブ派生物のPLC5を有する異体移植の体内作用
本発明中では、PLC5の異体移植マウスモデルを用い、TD-52生体内(in vivo)における影響を評価する。本発明は、現在臨床上の抗がん薬物ソラフェニブ(10/mg/kg)、TD-52(10/mg/kg)或いはDMSO(制御組とする)を使用し、4週間投薬した後、ソラフェニブ及びTD-52を受けたマウスの腫瘍サイズは制御組より小さい。
さらに、ソラフェニブに比べ、TD-52は生体外腫瘍成長及び生体内の細胞活性に対して、より良い抑制能力(P<0.05;図4A及びD)があると示された。本発明は、TD-52投薬及び制御組マウスの異体移植腫瘍組織のタンパク質発現をさらに測定する。図4B及びCに示す通り、生体腫瘍サンプル中で、TD-52はPP2A活性を高め、しかもCIP2A及びp-Aktの発現量をダウンレギュレーションした。そのため、TD-52は、Elk-1とCIP2Aプロモーターとの間の結合を干渉することで、CIP2A転写を減少させ、CIP2Aの転写をダウンレギュレーションし、及びPP2Aの活性を拡大すると示された。TD-52がPP2Aの活性を高めると、Aktは脱リン酸化し、HCC細胞アポトーシスを促進する。
【0303】
2.2.5 肝がん患者腫瘍組織の検査測定
p-Akt及びCIP2Aの臨床意義を確認するため、147個の肝がん患者の腫瘍サンプル及び臨床特性をさらに分析する。図4F中で、55.5%の腫瘍サンプルCIP2Aは高度に発現し、さらにp-Akt免疫組織化学染色法は、細胞核p-Aktの発現強度と細胞核質CIP2Aには顕著な相関があることを示している。
【0304】
2.2.6 がんタンパクSETの腫瘍組織中での過度発現
本発明はさらに、肝がん腫瘍組織中でのSET過度発現及びSET及びp-Akt共発現から、手術後肝腫瘍患者再発のリスクを予測できると検証する。本発明は、147の肝がん患者腫瘍組織及びその近隣の正常組織を収集し、SETがんタンパク質の異常発現を測定した(図5A〜C)。腫瘍組織中でSETの発現は、他の正常組織より顕著に高く、294サンプル中(各患者に一対のサンプル)でSETの発現は、腫瘍組織の平均H分数は170.8で、非腫瘍組織の分数は86.7(p=86.8)である(図5B)。腫瘍中のSETの発現量は、一対の正常組織に比べ、腫瘍組織SETは特異な発現を示す。図5Cに示す通り、ほとんどの各患者はSETの発現が明らかに高く、腫瘍の、非腫瘍に対するSETの発現の平均比率は2.2である。さらに、SETの高発現量と比較的劣る臨床特性とは、顕著な関連性がある。SETは、がん抑制剤ホスファターゼPP2Aの抑制剤であることから、本発明は、腫瘍細胞中のSETの異常発現とPP2A機能障害とに関連があるか測定し、SETの高発現量とAktシグナルの活性には、顕著な関連性があることを発見した。PP2Aにより重要な腫瘍シグナルルートを調整し(図5D)、しかも肝がん患者の手術後のSETとp-Akt共発現量は高く、再発が高リスクであると予測される(図5D、下図)。
さらに、肝腫瘍細胞中のSETががん化する特性、特定のshRNS細胞成長中のSET沈黙に対する効果を確認する。図5Eに示す通り、抗SETのshRNAをPLC5細胞に転写すると、以shRNAを転写した陰性対照組の成長率に比べ、その結果は前記と一致した。SET沈黙は、Hep3B細胞の自我分化を招き、肝がん細胞ヘパトスファー(hepatosphere)の能力減少させる(図5F)。そのため、該発現は、SETの異常発現は、肝腫瘍の発生を促進すると示している。同時に、本発明は、非小細胞肺がん(NSCLC)A549細胞株及び非小細胞肺がん患者組織により、SETが肺がん細胞中でがん化する鍵となる役割を果たし、及び肝がん細胞中SETとPP2Ac(PP2A触媒領域(catalytic domain))結合は、PP2Aの活性を増加させる(結果は未図示)ことを実証した。
【0305】
2.2.7 PP2AはAktのダウンレギュレーション及び肝がん細胞アポトーシスを促進する
本発明はさらに、SET-PP2Aが、抗がん戦略の新目標であるかどうかを実証する。まず、本発明は、肝がん細胞を相同剤量の本発明のエルロチニブ派生物(EMQA)に48時間暴露させ、MTT分析を用いて測定し、細胞活性を確認する。図6Aに示す通り、EMQAは、四種の肝がん細胞PLC5、HuH7、Hep3B及びSk-Hep1細胞株を含む肝がん細胞活性を顕著に減少させる。EMQA処理後に細胞アポトーシスを促進する効果も測定する。四種の肝がん細胞を相同濃度のEMQAに24時間暴露させ、さらにフローサイトメトリーを通して、酵素結合免疫吸着分析法(ELISA)及びウエスタンブロット分析法で、細胞死亡を分析し、DMSOを対照組とする。フローサイトメトリーを通して、EMQAの高剤量或いは長時間処理のsub-G1細胞に対する比率(図6B及びD、上図)を測定し、ELISA分析を通して、DNAフラグメンテーション程度が、EMQA処理の剤量が増加するに従い増加することを示す(図6C)。用量依存性及び時間依存性の方式で、EMQA-誘発-肝細胞アポトーシスは、p-Aktシグナルをダウンレギュレーションする(図6D)。
さらに、本発明は、PLC5異体移植腫瘍マウスモデルを通して、生体内EMQAの肝がんに対する影響を評価し、制御組のマウスに比べ、EMQA治療(10 mg/kg/day)の腫瘍マウスは、腫瘍成長が顕著に減少した(図6E)。腫瘍組織発生の分子メカニズムを確認するため、ウエスタンブロット分析法及びPP2A活性分析により、EMQA治療及び制御組の異体移植腫瘍マウスの腫瘍組織を測定したところ、生体外検査測定の結果と一致した。
EMQA治療を受けた異体移植腫瘍マウスの腫瘍組織は、制御組p-Aktより発現が低く、しかもPP2Aの活性は高かった(図6F)。
【0306】
2.2.8 SET/PP2A/p-Aktシグナルの抑制により、本発明のエルロチニブ派生物の細胞アポトーシス促進の効果を確認する
本発明は、AktがEMQAのHCCに対抗する効果を調節する鍵であるかどうかを確認する。過渡性染色(Transient transfection)を通して、Myc-マークをしたAkt異所性発現のPLC5細胞を、5μM EMQAで24時間処理後、図7Aに示す通り、野生型に比べ、EMQA処理後のsub-G1細胞及びPARPカッティング形式の比率は、過度発現AktのPLC5細胞中で顕著に減少し、それはAktがEMQAの細胞アポトーシス促進効果を決めていることを示す。続いて、本発明は3個の異なる戦略により、EMQA-調節AktダウンレギュレーションPP2Aの役割を実証する。まず、PP2A抑制剤、オカダ酸(OA)を使用し、PP2Aの活性を抑制する。図7Bに示す通り、EMQA処理を通して、p-Aktダウンレギュレーションの発現を誘発し、及び細胞アポトーシス促進の効果は、さらに5 μM EMQA及び100nM OA共処理後に、反対の結果を得た。続いて、本発明はsiRNAを通して特異性PP2Ac除去を行い、野生型のPLC5細胞に比べ、siRNAによりPP2Acを除去すると、p-Aktの発現は増強される(図7C)。さらに、MQA-細胞アポトーシス誘発の比率は、PP2Ac-除去-PLC5細胞中で明らかに減少する。PP2Aの他に、PI3K、PTEM及びPDK1を含む他のタンパク質キナーゼは、調節Aktシグナル活性と関連があると公知である。本発明は、EMQA-処理肝がん細胞溶解物中で、該各タンパク質の発現を確認する。図7Dに示す通り、EMQAを通して、p-Aktの発現を顕著に抑制するが、PI3K、PTEM及びPDK1の発現に影響しない。該各結果は、PP2Aは、PP2AがEMQA-誘発Aktダウンレギュレーションを調節する過程で、重要な役割を果たすことを実証した。
EMQAは、SET-PP2Ac結合を切断することで、PP2Aを再活性化するため、本発明はSETの役割を実証するため、過渡性染色を通して、Myc-マークを備えるSET異所性発現のHep3B細胞を産生し、SET過度発現の細胞中で、EMQA処理を通して誘発後のp-Aktダウンレギュレーションの発現及び細胞アポトーシスの効果は減少(図7E)した。本発明は、2種の裁断のSETタンパク質で、EMQAの目標位置を確認する。それはそれぞれ、N-末端フラグメント(SETNTF,a.a.l-227)及びC-末端フラグメント(SETCTF,a.a.76-277)で、生体外SPRシステムにより検査測定(図7F、左図)及び細胞システム(cell-based system,図7F,右図)である。PP2AcがCMチップをコーティング固定する量に従い、本発明は、SPRシステム中の固定剤量のEMQAが、異なる比率の全長及び裁断型式のSETタンパク質の干渉をテストする。図7Fに示す通り、EMQAの干渉効果は、SETNTFの比率により増加して影響を受けることはなく、反対に、SETNTF及び全長のSETタンパク質を含む複合体の、PP2Acに対する結合親和力は、SETNTF比率増加に従い増加する。本発明は、過渡性染色を通して、2個の裁断型式を備えるFlag-マークSETタンパク質の異所性発現の細胞を産生し、SPRの結果と一致する。EMQAは、全長SET及びSETCTF対PP2Acの結合を減少させ、SETNTFの結合に影響しない(図7F、右図)。同時に、本発明は、肺がん細胞A549中で、相同の結果を得た(結果は未図示)。この結果は、EMQAが特異性でSETタンパクのC-末端を目標とすることを実証する。
【0307】
2.2.9 本発明のエルロチニブ派生物の生体外及び生体内での、ソラフェニブのHCC細胞に対する敏感性強化PP2Aの機能
現在、ソラフェニブは、肝がん患者治療に合格した分子標的薬物である。それは、有限の無増悪生存期間(progression-free survival)及び比較的高い治療相関毒性程度を有するため、ソラフェニブの肝がん患者に対する薬物敏感性を改善する必要がある。本発明は、PP2A再活性化は、ソラフェニブの効果を改善できるかどうかをテストする。本発明はまず、MTTにより、EMQA組合せソラフェニブの効果をテストする。四個の異なる肝がん細胞株中で、EMQA組合せソラフェニブの比率が1:5である時、抗がん効果を顕著に改善できる。MTTの結果により、すべての肝がん細胞株の組合せ比率が確認された。それは協同効果(synergism)があることを示している(図8A)。さらに、sub-G1分析及びウエスタンブロット分析法を通して、該組合せ処理の細胞アポトーシス促進の結果を確認した。ソラフェニブ単独処理に比べ、Hep3B及びPLC5細胞中でEMQAをソラフェニブに比べると、フローサイトメトリーを通して測定したsub-G1の比率及びPARPのカッティング型式は、顕著に増加している(図8B)。現在ソラフェニブは、末期の肝がん治療にだけ適用されている。その腫瘍は通常は巨大で、しかも他の方式で処理できない。この這種の臨床症状に似せるため、本発明では、PLC5異体移植腫瘍を備えるマウスにより、ソラフェニブ及びEMQA結合の治療効果をテストする。図8Cに示すように、単独でEMQA或いはソラフェニブを受けたマウスに比べ、ソラフェニブ及びEMQA結合は、腫瘍成長の速度を顕著に抑制し、しかも治療を受けた末期腫瘍の平均重量は明らかに低く(図8D)、さらには腫瘍中で、該組合せ治療も、PP2Aの活性を強化し(図8E、上図)及びp-Aktの発現を抑制していた。
【0308】
2.2.10 本発明のエルロチニブ派生物とパクリタキセル(paclitaxel)は、p-Aktをダウンレギュレーションし、非小細胞肺がん細胞のアポトーシスを促進する
本発明は、ウエスタンブロット分析法により、パクリタキセル及び/或いはEMQA処理の細胞溶解物を分析する。図9Aに示す通り、パクリタキセル及びEMQA処理の肺がん細胞p-Aktの発現量は顕著に減少している。さらに、用量依存性及び時間依存性の方式で、共処理し、p-Aktダウンレギュレーションを誘発し(図9B及びC)、さらに重要なのは、PARPシグナルの活性とp-Aktダウンレギュレーションの結果は一致した。本発明は、過渡性染色を通して、Myc-マークを備えるAkt異所性発現のA549細胞を作り、5μM EMQA及び10 nMパクリタキセルで24時間処理したところ、図9Dに示す通り、共処理により、Akt過度発現細胞は顕著に減少した。つまり、Aktシグナル抑制の、非小細胞肺がん細胞中のEMQA及びパクリタキセルの協同効果が確認された。
【0309】
2.2.11 生体内(in vivo)における本発明のエルロチニブ派生物とパクリタキセルのがんに対応する協同効果
本発明は、生体内で、EMQAとパクリタキセル結合の抗がん効果をテストした。本発明は、A549異体移植腫瘍のマウスを産生し、制御組、パクリタキセル及び/或いはEMQA治療マウスとした。EMQA或いはパクリタキセルを単独で受けたマウスに比べ、EMQAとパクリタキセル結合治療を受けたマウスの腫瘍成長速度は明らかに減少(図10A)した。しかも、平均腫瘍種量は顕著に低い(図10B)。異なる治療を受けたマウスの体重には、明らかな差異はない(図10E)。本発明は、ウエスタンブロット分析法及びPP2A活性を通して、腫瘍溶解物を分析したところ、その結果は前記と相同で、EMQAとパクリタキセル結合治療を受けたマウス腫瘍のPP2A活性は、制御治療を受けたマウスより明らかに高い(図10C)。しかも、p-Aktの発現も、ダウンレギュレーションされている。本発明は、ウエスタンブロット分析法により、A549異体移植腫瘍マウスの腫瘍溶解物p-Akt及びAktの発現量を分析したところ、減少の趨勢が見られた(図10D)。
よって、本発明のエルロチニブ派生物は、腫瘍細胞において新しい治療メカニズムを発言でき、CIP2Aを抑制することで、PP2A発現を向上させ、しかもp-Aktをダウンレギュレーションするため、本発明のエルロチニブ派生物は、PP2A活性を増強するがん治療方法に用いることができる。同時に、本発明はSETの高度発現が、患者腫瘍の深刻さ、及び予後の悪さには関連があると実証した。そのため、本発明はSET-PP2Aの結合干渉を、がん治療の新戦略とし、本発明のエルロチニブ派生物とソラフェニブ或いはパクリタキセル結合を通して、ソラフェニブの治療効果を強化し、腫瘍の成長を抑制できる。本発明は、がん治療の代替え選択を提供し、該選択は伝統医薬治療に対して耐性を有するがん治療において、極めて大きな役割を果たす可能性がある。
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