特許第6462881号(P6462881)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6462881
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】アセナピン含有貼付剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/407 20060101AFI20190121BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20190121BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20190121BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20190121BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20190121BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20190121BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20190121BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20190121BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
   A61K31/407
   A61P25/18
   A61K9/70 401
   A61K47/18
   A61K47/32
   A61K47/46
   A61K47/34
   B32B27/00 M
   B32B27/18 F
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-530823(P2017-530823)
(86)(22)【出願日】2016年7月21日
(86)【国際出願番号】JP2016071451
(87)【国際公開番号】WO2017018322
(87)【国際公開日】20170202
【審査請求日】2017年9月21日
(31)【優先権主張番号】特願2015-147518(P2015-147518)
(32)【優先日】2015年7月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000160522
【氏名又は名称】久光製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100126653
【弁理士】
【氏名又は名称】木元 克輔
(72)【発明者】
【氏名】安河内 崇
(72)【発明者】
【氏名】園部 睦
(72)【発明者】
【氏名】天野 智史
【審査官】 菊池 美香
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/136283(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/127674(WO,A1)
【文献】 粘着技術ハンドブック,日刊工業新聞社,1997年 3月31日,初版1刷,ISBN4-526-03986-1, p.559-569、特にp.569
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/407
A61K 9/70
A61K 47/18
A61K 47/32
A61K 47/34
A61K 47/46
A61P 25/18
B32B 27/00
B32B 27/18
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、支持体の片面に積層された粘着剤層と、を備え、
粘着剤層が、アセナピンまたはその薬学的に許容される塩、粘着基剤、および、低分子アミンを含有する、貼付剤(但し、オクチルジメチルパラアミノ安息香酸を含有する貼付剤を除く。)
【請求項2】
低分子アミンが、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、および、ジイソプロパノールアミンからなる群から選択された1種以上である、請求項1に記載の貼付剤。
【請求項3】
粘着基剤が、ゴム系粘着基剤、アクリル系粘着基剤、および、シリコーン系粘着基剤からなる群から選択される1種以上である、請求項1または2に記載の貼付剤。
【請求項4】
支持体と、支持体の片面に積層された粘着剤層と、を備える貼付剤の製造方法であって、
アセナピンまたはその薬学的に許容される塩、粘着基剤、および、低分子アミンを混和して粘着組成物を得ることと、
粘着組成物を支持体の片面に積層することと、を含み、
前記粘着組成物がオクチルジメチルパラアミノ安息香酸を含有しない、方法。
【請求項5】
低分子アミンが、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、および、ジイソプロパノールアミンからなる群から選択された1種以上である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
粘着基剤が、ゴム系粘着基剤、アクリル系粘着基剤、および、シリコーン系粘着基剤からなる群から選択される1種以上である、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
支持体と、支持体の片面に積層された粘着剤層と、を備える貼付剤において、
アセナピンまたはその薬学的に許容される塩、粘着基剤、および、低分子アミンを混和して得られる粘着組成物から粘着剤層を形成することを含み、
前記粘着組成物がオクチルジメチルパラアミノ安息香酸を含有しない、粘着剤層の吸湿による粘着力の低下を抑制する方法。
【請求項8】
低分子アミンが、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、および、ジイソプロパノールアミンからなる群から選択された1種以上である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
粘着基剤が、ゴム系粘着基剤、アクリル系粘着基剤、および、シリコーン系粘着基剤からなる群から選択される1種以上である、請求項7または8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセナピン含有貼付剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アセナピンは、中枢神経系疾患、特に統合失調症の治療薬として知られる化合物である。アセナピンを含有する貼付剤は、例えば、特許文献1〜4に記載されている。アセナピン遊離体を含有する貼付剤は、アセナピンの皮膚透過性に優れることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2010/127674号
【特許文献2】国際公開第2014/017593号
【特許文献3】国際公開第2014/017594号
【特許文献4】国際公開第2014/017595号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、皮膚から分泌される汗などへの接触、空気中の湿気による暴露、入浴や調理等の日常生活における水や蒸気への接触により、貼付剤の粘着剤層が吸湿し、その粘着力が低下することがあることを見出した。このような粘着力の低下は、貼付剤を長時間貼付する場合に、顕著である。また、貼付剤を長時間保存している間にも、吸湿して粘着力が低下する場合がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、粘着剤層が吸湿した場合においても、粘着力の低下が抑制された貼付剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討の結果、アセナピン含有貼付剤において、低分子アミンを含有する粘着剤層は、粘着剤層が吸湿した場合においても粘着性が維持されることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、支持体と、支持体の片面に積層された粘着剤層と、を備える貼付剤であって、粘着剤層が、アセナピンまたはその薬学的に許容可能な塩、粘着基剤、および、低分子アミンを含有する、貼付剤を提供する。上記貼付剤において、低分子アミンが、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、および、ジイソプロパノールアミンからなる群から選択された1種以上であることが好ましい。
【0008】
また、本発明はまた、支持体と、支持体の片面に積層された粘着剤層と、を備える貼付剤において、アセナピンまたはその薬学的に許容される塩、粘着基剤、および、低分子アミンを混和して得られる粘着組成物から粘着剤層を形成することを含む、粘着剤層の吸湿による粘着力の低下を抑制する方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る粘着剤によれば、粘着剤層が吸湿した後であっても、粘着剤層の粘着力の低下が抑制される。特に、シリコーン系粘着基剤は他の粘着基剤よりも親水性に乏しいため、使用者の発汗等の影響を受けやすいと思われる。実際に、シリコーン系粘着基剤を含有する貼付剤において、粘着剤層の吸湿による粘着力の低下割合が顕著であり、アクリル系粘着基剤を含有する貼付剤と比較して大きい。また、アクリル系粘着基剤を含有する貼付剤は、粘着剤層の吸湿による粘着力の低下割合はゴム系粘着基剤を含有する貼付剤と比較して大きい。本発明によれば、シリコーン系粘着基剤、アクリル系粘着基剤、および、ゴム系粘着基剤のいずれの粘着基剤を含有する貼付剤においても、吸湿による粘着力の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】吸湿による粘着力の変化を示すグラフである。
図2】吸湿による粘着力の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態を示して、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明の一実施形態は、支持体と、支持体上に積層された粘着剤層と、を備える貼付剤である。貼付剤は、支持体と、支持体の片面に積層された粘着剤層と、を備える貼付剤であって、粘着剤層が、アセナピンまたはその薬学的に許容可能な塩、粘着基剤、および、低分子アミンを含有する、貼付剤である。
【0013】
支持体は、貼付剤、特に粘着剤層の形状を維持し得るものであればよい。支持体の材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ナイロン(商品名)等のポリアミド、ポリエステル、セルロース誘導体、ポリウレタンなどの合成樹脂が挙げられる。支持体の性状は、例えば、フィルム、シート、シート状多孔質体、シート状発泡体、織布、編布、不織布等の布帛、及びこれらの積層体などである。支持体の厚さは、特に制限されないが、通常、2〜3000μm程度であることが好ましい。
【0014】
粘着剤層は、アセナピンまたはその薬学的に許容可能な塩、粘着基剤および低分子アミンを含有する。
【0015】
粘着剤層の厚みは、特に制限されず、30〜300μmであってもよい。粘着剤層の厚みが300μmを超えると、被服の着脱時等に貼付剤が脱落しやすくなる。
【0016】
アセナピンは、(3aRS,12bRS)−5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンゾ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロールとも呼ばれる化合物であり、以下の式(1)で表される。アセナピンは、複数の光学異性体を有しており、いずれの光学異性体であってもよく、ラセミ体等の光学異性体の混合物であってもよい。アセナピンに付加される酸としては、薬学的に許容可能な酸であれば、特に制限されない。酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、サリチル酸、安息香酸等が挙げられる。アセナピンの酸付加塩は、無水物であってもよく、水和物であってもよい。例えば、アセナピンマレイン酸塩は、統合失調症の治療薬として市販されている。
【化1】
【0017】
低分子アミンは、分子量が30〜300であるアミンであり、式(2)で表される化合物であってもよい。
【化2】
低分子アミンは、式(2)で表される化合物であり、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、置換されていてもよいアルキル基(好ましくは、炭素数が1〜12であるアルキル基)又は置換されていてもよいアリール基(好ましくは、炭素数が6〜14のアリール基)である。R、R及びRのうち、いずれか2つまたは3つが互いに直接結合してヘテロ環構造を形成してもよく、いずれか2つまたは3つが互いに酸素原子、硫黄原子又はイミノ基(−NR−)を介して結合して、ヘテロ環構造を形成してもよい。Rは、水素原子、置換されていてもよいアルキル基(好ましくは、炭素数が1〜12であるアルキル基)又は置換されていてもよいアリール基(好ましくは、炭素数が6〜14のアリール基)である。ここで、「置換されていてもよい」とは、当該基がヒドロキシ基、アミノ基、チオール基等の置換基でさらに置換されることを意味する。R、RおよびRの炭素数の合計は、12以下であることが好ましい。
【0018】
低分子アミンとしては、例えば、アンモニア、モノエチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の直鎖状または分枝状アルキルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トロメタモール、エチレンジアミン、メグルミン等のアルカノールアミン;エチレンジアミン等のジアミン;ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、キヌクリジン等の環状アミン;アニリン等のアリールアミンなどが挙げられる。低分子アミンは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、および、ジイソプロパノールアミンからなる群から選択された1種以上であることが好ましい。
【0019】
粘着基剤は、粘着剤層に粘着性を付与する成分であり、例えば、ゴム系粘着基剤、アクリル系粘着基剤、シリコーン系粘着基剤等が挙げられる。粘着基剤は、ゴム系粘着基剤、アクリル系粘着基剤、および、シリコーン系粘着基剤からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。粘着基剤は、水を含まないこと(非水系粘着基剤)が好ましい。粘着基剤の総含有量は、粘着剤層の全質量を基準として40〜98質量%であることが好ましく、50〜95質量%であることがより好ましい。
【0020】
ゴム系粘着基剤としては、例えば、天然ゴム、ポリイソブチレン、アルキルビニルエーテル(共)重合体、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、本発明に係るゴム系粘着剤としては、粘着剤層からのアセナピンの放出性がより向上し、かつ、粘着剤層のより十分な粘着力を発揮することができる傾向にあるという観点から、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体及びポリイソブチレンからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましく、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体及びポリイソブチレンであることがより好ましい。またこのとき、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体とポリイソブチレンとの質量比(スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体:ポリイソブチレン)としては、15:2〜2:15であることが特に好ましい。
【0021】
ゴム系粘着基剤の具体例としては、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、イソプレンゴム、ポリイソブチレン(PIB)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等が挙げられる。これらのゴム系粘着剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。好ましいゴム系粘着剤としては、SIS及びPIBが挙げられる。ゴム系粘着剤の具体例としては、オパノールB12、B15、B50、B80、B100、B120、B150、B220(商品名、BASF社製)、JSRブチル065、268、365(商品名、JSR社製)、ビスタネックスLM−MS、MH、H、MML−80、100、120、140(商品名、エクソン・ケミカル社製)、HYCAR(商品名、グッドリッチ社製)、SIBSTAR T102(商品名、カネカ社製)等が挙げられる。
【0022】
ゴム系粘着基剤の含有量は、粘着剤層の全質量を基準として0〜98質量%であり、0〜85質量%であることが好ましい。
【0023】
アクリル系粘着基剤としては、粘着剤層に粘着性を付与する成分であり、例えば、1種又は2種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの(共)重合体である。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシルなどが挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」との用語は、アクリル酸およびメタクリル酸のいずれか一方または両方を意味し、類似の表現についても同様に定義される。
【0024】
アクリル系粘着基剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(主モノマー)とコモノマーから形成される共重合体であってもよい。主モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸へプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。コモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合できる成分であればよい。コモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、エチレン、プロピレン、スチレン、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アミドなどが挙げられる。コモノマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせたものであってもよい。
【0025】
アクリル系粘着基剤の具体例としては、アクリル酸・アクリル酸オクチルエステル共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル・ビニルピロリドン共重合体溶液、アクリル酸エステル・酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸ドデシル共重合体、アクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン、アクリル樹脂アルカノールアミン液に含有されるアクリル系高分子等が挙げられる。このようなアクリル系粘着剤としては、具体例としては、DURO−TAK(登録商標) 387−2510、DURO−TAK(登録商標) 87−2510、DURO−TAK(登録商標) 387−2287、DURO−TAK(登録商標) 87−2287、DURO−TAK(登録商標) 87−4287、DURO−TAK(登録商標) 387−2516、DURO−TAK(登録商標) 87−2516、DURO−TAK(登録商標) 87−2074、DURO−TAK(登録商標) 87−900A、DURO−TAK(登録商標) 87−901A、DURO−TAK(登録商標) 87−9301、DURO−TAK(登録商標) 87−4098等のDURO−TAKシリーズ(Henkel社製);GELVA(登録商標) GMS 788、GELVA(登録商標) GMS 3083、GELVA(登録商標) GMS 3253等のGELVAシリーズ(Henkel社製);MAS811(商品名)、MAS683(商品名)等のMASシリーズ(コスメディ製薬株式会社製);オイドラギット(登録商標)シリーズ(エボニック社製)、ニカゾール(登録商標、日本カーバイド工業株式会社製)、ウルトラゾール(登録商標、アイカ工業株式会社製)が挙げられる。
【0026】
アクリル系粘着基剤の含有量は、粘着剤層の全質量を基準として0〜98質量%であり、0〜80質量%であることが好ましい。
【0027】
シリコーン系粘着基剤は、オルガノポリシロキサン骨格を有する化合物である。シリコーン系粘着基剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ポリメチルビニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンが挙げられる。具体的なシリコーン系粘着基剤としては、例えば、MD7−4502 Silicone Adhesive、MD7−4602 Silicone Adhesive等のMDシリーズ(ダウコーニング社製);BIO−PSA(登録商標) 7−4301 Silicone Adhesive、BIO−PSA(登録商標) 7−4302 Silicone Adhesive、BIO−PSA(登録商標) 7−4201 Silicone Adhesive、BIO−PSA(登録商標) 7−4202 Silicone Adhesive、BIO−PSA(登録商標) 7−4101 Silicone Adhesive、BIO−PSA(登録商標) 7−4102 Silicone Adhesive、BIO−PSA(登録商標) 7−4601 Silicone Adhesive、BIO−PSA(登録商標) 7−4602 Silicone Adhesive、BIO−PSA(登録商標) 7−4501 Silicone Adhesive、BIO−PSA(登録商標) 7−4502 Silicone Adhesive、BIO−PSA(登録商標) 7−4401 Silicone Adhesive、BIO−PSA(登録商標) 7−4402 Silicone Adhesive等のBIO−PSAシリーズ(ダウコーニング社製)、Dow Corning(登録商標) 7−9800A、Dow Corning(登録商標) 7−9800B、Dow Corning(登録商標) 7−9700A、Dow Corning(登録商標) 7−9700Bが挙げられる。
【0028】
シリコーン系粘着基剤の含有量は、粘着剤層の全質量を基準として0〜98質量%であり、0〜85質量%であることが好ましい。
【0029】
粘着剤層は、その他の添加剤をさらに含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、粘着付与樹脂、可塑剤、経皮吸収促進剤、安定化剤、充填剤、香料などが挙げられる。
【0030】
粘着付与樹脂は、粘着剤層の粘着性を調整する成分である。粘着付与樹脂としては、例えば、脂環族飽和炭化水素樹脂;ロジン、ロジンのグリセリンエステル、水添ロジン、水添ロジンのグリセリンエステル、ロジンのペンタエリスリトールエステル、マレイン化ロジン等のロジン誘導体;テルペン系粘着付与樹脂;石油系粘着付与樹脂等が挙げられる。粘着付与樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。粘着付与樹脂としては、薬物放出性に優れる点から、脂環族飽和炭化水素樹脂が好ましい。
粘着剤層が粘着付与樹脂を含有する場合、粘着付与樹脂の含有量は、粘着剤層全体の質量を基準として0〜80質量%であることが好ましく、0〜70質量%であることがより好ましい。粘着付与樹脂の含有量が80質量%以下であると、粘着剤の凝集性が優れる傾向がある。
【0031】
吸収促進剤は、アセナピンまたはその薬学的に許容可能な塩の皮膚透過性を調整する成分である。吸収促進剤としては、従来皮膚への吸収促進作用が認められている化合物であれば特に限定されず、例えば、炭素数6〜20の脂肪族アルコール、炭素数6〜20の脂肪族エーテル、炭素数6〜20の脂肪酸、炭素数6〜20の脂肪酸エステル、炭素数6〜20の脂肪酸アミド、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコール及びポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、芳香族系有機酸、芳香族系アルコール、芳香族系有機酸エステル、芳香族系有機エーテル(以上の化合物は飽和及び不飽和のいずれであってもよく、直鎖状及び分岐状のいずれであってもよく、環状構造を含むものであってもよい。)、乳酸エステル類、酢酸エステル類、モノテルペン系化合物、セスキテルペン系化合物、エイゾン(Azone、登録商標)、エイゾン(Azone)誘導体、ピロチオデカン、ソルビタン脂肪酸エステル類(Span(登録商標)系)ポリソルベート系(Tween(登録商標)系)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ショ糖脂肪酸エステル類、植物油が挙げられる。吸収促進剤の具体例としては、カプリル酸、カプリン酸、カプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリン酸メチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、サリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸エチレングリコール、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、クレゾール、乳酸セチル、乳酸ラウリル、酢酸エチル、酢酸プロピル、ゲラニオール、チモール、オイゲノール、テルピネオール、l−メントール、ボルネオロール、d−リモネン、イソオイゲノール、イソボルネオール、ネロール、dl−カンフル、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノカプレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ショ糖モノラウレート、ポリソルベート20、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ニッコール(登録商標)HCO−60(日光ケミカルズ株式会社)、ピロチオデカン(登録商標)、オリーブ油及びソルビタンモノオレエートが挙げられる。吸収促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。吸収促進剤としては、アセナピンの吸収率がより優れる点から、脂肪酸誘導体が好ましい。
粘着剤層が吸収促進剤を含有する場合、吸収促進剤の含有量は、粘着剤層全体の質量を基準として0〜30質量%であることが好ましく、0〜20質量%であることがより好ましい。吸収促進剤の含有量が30質量%以下であると、吸湿後であっても粘着性が低下しない傾向がある。
【0032】
安定化剤としては、例えば、トコフェロールおよびそのエステル誘導体、アスコルビン酸およびそのエステル誘導体、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、2−メルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。安定化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。安定化剤としては、アセナピンの分解をより抑制できる点から、ジブチルヒドロキシトルエンが好ましい。
粘着剤層が安定化剤を含有する場合、安定化剤の含有量は、粘着剤層全体の質量を基準として0〜5質量%であることが好ましく、0〜3質量%であることがより好ましい。安定化剤の含有量が5質量%以下であると、吸湿後であっても粘着性が低下しない傾向がある。
【0033】
貼付剤は、さらに剥離ライナーを備えていてもよい。剥離ライナーは、粘着剤層に対して、支持体と反対側の面に積層されている。剥離ライナーを備えていると、保管時において、粘着剤層へのゴミ等の付着を低減することができる傾向がある。
剥離ライナーの素材としては、特に限定されず、当業者に一般的に知られているライナーを用いることができる。剥離ライナーの材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のフィルム;上質紙とポリオレフィンとのラミネートフィルム;ナイロン(登録商標)、アルミニウム等のフィルム等が挙げられる。剥離ライナーの材質としては、ポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0034】
<貼付剤の製造方法>
本発明の貼付剤は、例えば、以下の方法により製造することができる。まず、アセナピンまたはその薬学的に許容可能な塩、粘着基剤および低分子アミンを混和し、必要に応じて、溶剤、その他の添加剤等を加えて混和し、均一な粘着組成物を得る。次いで、得られた粘着組成物を支持体の片方の面上に所定の厚みで塗布した後、必要に応じて加熱して溶剤を乾燥除去し、所望の大きさに裁断することにより、貼付剤を得る。なお、加熱の条件は、前記溶剤に応じて適宜選択することができ、温度条件としては、60〜120℃であることが好ましく、加熱時間は、例えば、2〜30分間である。
【0035】
剥離ライナーを備える貼付剤を製造する場合には、粘着組成物を支持体に塗布し、溶剤を乾燥除去した後に剥離ライナーを積層してもよい。また、剥離ライナーを備える貼付剤を製造する場合には、粘着組成物を剥離ライナーの片方の面上に所定の厚みで塗布した後、必要に応じて加温して溶剤を乾燥除去し、支持体を積層させ、所望の大きさに裁断することにより、貼付剤を得てもよい。
【0036】
上記製造方法で使用する粘着組成物は、アセナピンまたはその薬学的に許容可能な塩、粘着基剤および低分子アミンを含有し、必要に応じて、溶剤、その他の添加剤等をさらに含有していてもよい。
【0037】
溶剤は、粘着組成物に含有される他の成分と反応しないものであればよく、粘着組成物の粘性を調整するために添加される。溶剤としては、例えば、トルエン、エタノール、メタノール、酢酸エチル等が挙げられる。溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。溶剤の含有量は、粘着組成物の粘性を考慮して、調整すればよい。
【0038】
粘着組成物におけるアセナピンまたはその薬学的に許容可能な塩の含有量は、粘着組成物全体の質量を基準として1〜30質量%であることが好ましく、3〜25質量%であることがより好ましい。
粘着組成物における粘着基剤の含有量は、粘着組成物全体の質量を基準として40〜98質量%であることが好ましく、50〜85質量%であることがより好ましい。粘着基剤の含有量が40質量%以上であると、吸湿後であっても粘着力の低下が少ない傾向がある。
粘着組成物における低分子アミンの含有量は、粘着組成物全体の質量を基準として0.5〜40質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましい。
粘着組成物におけるその他の添加剤の含有量は、粘着組成物全体の質量を基準として0〜30質量%であることが好ましく、0〜20質量%であることがより好ましい。
【実施例】
【0039】
以下に、実施例と比較例を示して、本発明をより詳細に説明する。
【0040】
(1)貼付剤の製造
表1に記載の質量比で各成分を混和し、ゴム系粘着剤1を調製した。表2に記載の成分をそれぞれ秤取し、必要に応じて溶剤を加えて混和し、粘着組成物を得た。得られた粘着組成物をポリエステル製の剥離ライナーに塗布し、溶剤を乾燥除去することにより、粘着剤層を形成した。得られた粘着剤層に、ポリエステルフィルム(支持体)を積層し、適宜裁断して、所望の貼付剤を得た。なお、表2中の数字は、質量%を意味する。
【表1】
【表2】
【0041】
(2)粘着力の測定
得られた貼付剤の粘着力を、JIS Z0237:1991の記載を参考にして、直径5mmのステンレス製プローブを120mm/分の速度で、200gf/cmの接触荷重を加えて1秒間、粘着剤層に接触させた後、120mm/分の速度で引き剥がす時に要した力(単位:gf)を測定し、その最大値を粘着力(吸湿前)として表3に記載した。
また、各貼付剤の剥離ライナーを除去し、温度40℃、相対湿度75%RHの条件で48時間静置させた。その後、引き剥がしに要した力を同様の方法で測定し、その最大値を粘着力(吸湿後)として、表3に記載した。なお、表3中、「変化率(%)」とは、吸湿前の粘着剤層の粘着力の値を100としたときの、吸湿後の粘着剤層の粘着力の値である。
【0042】
結果を表3および図1に示す。実施例1〜5の貼付剤は、比較例1または2の貼付剤に比べて、粘着剤層が吸湿した後における粘着力の低下が小さかった。特に、実施例1、4および5の貼付剤は、粘着力の低下がほとんどみられなかった。
【表3】
【0043】
(3)貼付剤の製造
表4に記載の成分をそれぞれ秤取し、必要に応じて溶剤を加えて混和し、粘着組成物を得た。得られた粘着組成物をポリエステル製の剥離ライナーに塗布し、溶剤を乾燥除去することにより、粘着剤層を形成した。得られた粘着剤層に、ポリエステルフィルム(支持体)を積層し、適宜裁断して、所望の貼付剤を得た。なお、表4中の数字は、質量%を意味する。
【表4】
【0044】
(4)粘着力の測定
得られた貼付剤の粘着力を、上述の方法により、粘着力(吸湿前)及び粘着力(吸湿後)を算出し、表5に記載した。なお、表5中、「変化率(%)」とは、吸湿前の粘着剤層の粘着力の値を100としたときの、吸湿後の粘着剤層の粘着力の値である。
【0045】
結果を表5および図2に示す。実施例6〜10の貼付剤は、比較例3または4の貼付剤に比べて、粘着剤層が吸湿した後における粘着力の低下が小さかった。特に、実施例6、7および9の貼付剤は、粘着力の低下がほとんどみられなかった。
【表5】
【0046】
(5)アミンの検討
実施例1の貼付剤において、モノエタノールアミンに代えて、等モル量のトリエチルアミン、ピペリジン、キヌクリジンを用いた貼付剤(それぞれ実施例11〜13)においても、粘着力の低下は他の実施例と同様に低減された。また、実施例6の貼付剤において、モノエタノールアミンに代えて、等モル量のトリエチルアミン、ピペリジン、キヌクリジンを用いた貼付剤(それぞれ実施例14〜16)においても、粘着力の低下は他の実施例と同様に低減された。
図1
図2