(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ウコン抽出物は、水、炭素数1〜4のアルコール、エチルアセテート、及び、これらの混合溶媒で構成される群から選択される溶媒で抽出して製造したものである、請求項1に記載のアミン系化合物除去用組成物。
前記甘草抽出物は、水、炭素数1〜4のアルコール、エチルアセテート、及び、これらの混合溶媒で構成される群から選択される溶媒で抽出して製造したものである、請求項1に記載のアミン系化合物除去用組成物。
【発明を実施するための形態】
【0015】
前記目的を達成するための一つの様態として、本発明は、ウコン抽出物、その分画物又は水溶性クルクミン、甘草抽出物又はその分画物、及び、サケ白子抽出物を有効成分として含むアミン系化合物除去用組成物を提供する。
【0016】
前記ウコン(Curcuma longa)は、ショウガ科クルクマ属に属し、花の色などでキョウ
オウとは相異する多年生草本植物である。本発明では、ウコンは、商業的に販売されているものを購入する、又は、自然で採取若しくは栽培されたものを用いればよい。
【0017】
前記甘草(Glycyrrhiza uralensis)は、マメ科に属する多年生草本植物で、中国北部
、シベリア、イタリア南部、満州、モンゴルなどで自生し又は栽培されている。本発明では、甘草は商業的に販売されているものを購入したものを用いてもよいし、自然で採取又は栽培されたものを用いてもよい。甘草は、腎臓の酸化的損傷を軽減させ、カドミウムによって損傷される肝細胞を保護する効果もあることが知られているが、そのアミン系化合物の除去効果及びこれによる動物糞尿の臭いの除去効果に関しては知られていない。
【0018】
前記クルクミン(curcumin)は、商業的に販売されているものを購入して用いてもよいし、自然で採取又は栽培されたものを用いてもよい。一例として、ウコン抽出物から分離されたものであってもよく、水溶性クルクミンであってもよい。前記水溶性クルクミンは、不溶性であるクルクミンを水溶化させるために、当業界で一般的に用いられる方法を用いて製造されたものであってもよく、例えば、ナノ化されたクルクミンを意味しうる。
【0019】
前記サケ白子抽出物(Salmon milt extract)は、サケ白子(精巣)から由来した抽出
物を意味する。例えば、サケ白子に酸性水溶液又は酵素を処理した抽出物であって、核酸を高純度に含んでいる抽出物を意味しうる。前記抽出物は、核酸(DNA又はRNA)を抽出物重量に対して0.1〜99重量%で含むものとしてもよい。前記サケ白子抽出物は、当業界で食品又は飼料添加物として用いられているものであれば、特に制限されない。サケ白子は、核酸が豊富で、様々な機能性食品及び化粧品の素材として活用されている。例えば、特許文献4には、サケ白子から得られた核酸を含む更年期障害抑制用健康食品が提供されており、特許文献5には、サケ精巣を用いた化粧品用機能性輸液の製造方法が提供されている。このようなサケ白子抽出物によるアミン系化合物の除去効果に関しては知られていない。
【0020】
前記ウコン抽出物又は甘草抽出物を得るための方法は、アミン系化合物の除去効果を有する抽出物を得ることができる限り、特にこれに限定されるものではないが、ウコン又は甘草のそれぞれを様々な溶媒に浸漬した後、常温又は加温状態で一定時間抽出して得た液状成分、前記液状成分から溶媒を除去して得た固形分などの結果物とすることができる。また、前記結果物に加えて、前記結果物の希釈液、これらの濃縮液、これらの調整剤物、精製物などを全て含むもので包括的に解釈されてもよい。
【0021】
具体的に、前記ウコン抽出物又は甘草抽出物は、ウコン又は甘草のそれぞれの乾燥物、加工物、或いは粉砕物を乾燥重量の約5〜30倍、具体的には約10〜20倍に達する体積の水、メタノール、エタノールなどの炭素数1(C1)〜4(C4)の低級アルコールのような極性溶媒、又は、これらの約1:0.1〜1:10の混合比を有する混合溶媒で溶出したものであってもよい。一例として、前記ウコン抽出物は、水、炭素数1〜4のアルコール、エチルアセテート、及び、これらの混合溶媒で構成される群から選択される溶媒で抽出して製造したものであってもよい。また、前記甘草抽出物は、水、炭素数1〜4のアルコール、エチルアセテート、及び、これらの混合溶媒で構成される群から選択される溶媒で抽出して製造したものであってもよい。
【0022】
抽出温度は、これに限定されないが、20〜100℃、具体的に60〜100℃で、抽出期間は約1時間〜4日間で、熱水抽出、冷浸抽出、還流冷却抽出、ろ過抽出又は超音波抽出などの抽出方法を用いて抽出することができる。
【0023】
一例として、前記ウコン抽出物又は甘草抽出物は、組成物の総重量に対して0.01〜100重量%、より具体的に、1〜80重量%で含まれていればよい。
【0024】
本発明において、ウコン抽出物の分画物は、ウコンの抽出物から特定の成分又は特定成分のグループを分離するために分画を行って得られた結果物を意味する。また、本発明において、甘草抽出物の分画物は、甘草の抽出物から特定の成分又は特定成分のグループを分離するために分画を行って得られた結果物を意味する。
【0025】
前記分画物を得る分画方法は、特に制限されず、当該技術分野で通常に用いる方法に従って行われるとよい。例えば、様々な溶媒を処理して行う溶媒分画法、一定の分子量カット−オフ値を有する限外ろ過膜を通過させて行う限外ろ過分画法、多様なクロマトグラフ
ィー(サイズ、電荷、疎水性又は親和性による分離のために製作されたもの)を行うクロマトグラフィー分画法、及び、これらの組み合わせなどで行われるとよい。
【0026】
前記分画物を得るために用いられる溶媒の種類は、特に制限されず、該当技術分野で公知された任意の溶媒を用いることができる。前記分画溶媒の非限定的な例としては、水、アルコールなどの極性溶媒、ヘキサン(Hexane)、エチルアセテート(Ethyl acetate)
、クロロホルム(Chloroform)、ジクロロメタン(Dichloromethane)などの非極性溶媒
などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。前記分画溶媒の中でアルコールを用いる場合には、具体的に、C1〜C4のアルコールを用いることができる。
【0027】
前記ウコン抽出物の分画物又は甘草抽出物の分画物は、組成物の総重量に対して0.01〜100重量%、より具体的に、1〜80重量%で含まれていればよい。
【0028】
本発明において、アミン系化合物は、アミン基(NH
2)を含む化合物を意味する。一例として、前記アミン系化合物は、トリメチルアミン、アンモニア、インドール又はスカトールであってもよく、具体的には、トリメチルアミン又はアンモニアであってもよい。本発明者らは、本発明のアミン系化合物除去用組成物が悪臭を誘発するトリメチルアミン及びアンモニアを30分以内にすべて除去したことを確認し(
図1)、動物糞尿の臭い成分であるアンモニアを効果的に除去して、ウコン抽出物又は水溶性クルクミン、甘草抽出物、及び、サケ白子抽出物を含む飲水剤が、クルクミンを含む飲水剤、ウコン抽出物又は水溶性クルクミン、甘草抽出物を含む飲水剤に比べて、アンモニアをより効果的に除去したことを確認した(
図3)。したがって、前記組成物は、アミン系化合物による悪臭を除去するものであり得る。
【0029】
前記ウコン抽出物又は水溶性クルクミンと甘草抽出物とは、1:20〜1:200の重量比で混合されたものであってもよい。前記ウコン抽出物又は水溶性クルクミンと甘草抽出物とサケ白子抽出物とは、0.5〜5:20〜200:0.5〜5の重量比で混合されたものであってもよい。具体的には、前記ウコン抽出物又は水溶性クルクミンと甘草抽出物とサケ白子抽出物とは、1:20〜200:0.5〜5であってもよい。
【0030】
もう一つの様態として、本発明は前記アミン系化合物除去用組成物を含む飼料用組成物を提供する。
【0031】
本発明において、アミン系化合物除去用組成物は、ウコン抽出物、その分画物又は水溶性クルクミン、甘草抽出物又はその分画物、及び、サケ白子抽出物を有効成分として含むもので、具体的な内容は前記のとおりとなる。
【0032】
本発明の飼料用組成物は、動物が食べて、摂取し、消化するための、又は、これらに適した任意の天然若しくは人工の規定食、一食など又は前記一食の成分を意味してもよく、当業界の公知された様々な形で製造可能である。
【0033】
前記飼料の種類は、特に制限されず、当該技術分野で通常に用いられる飼料とすることができる。前記飼料の非制限的な例としては、穀物類、根果類、食品加工副産物類、藻類、繊維質類、製薬副産物類、油脂類、澱粉類、粕類又は穀物副産物類などの植物性飼料が挙げられ、また、タンパク質類、無機物類、油脂類、鉱物性類、油脂類、単細胞タンパク質類、動物性プランクトン類又は飲食物などのような動物性飼料が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0034】
前記飼料用組成物は、動物糞尿の悪臭を除去するものであってもよい。本発明者らは、
本発明の飼料用組成物が動物糞尿に含まれているアンモニアを減少させることに、優れた効果があることを確認した(
図3)。
【0035】
一例として、前記飼料用組成物は、アミン系化合物除去用組成物を0.1〜20重量%の割合で含んでもよい。
【0036】
他の一例として、前記飼料用組成物は、投与する動物の重量を基準に、1kgあたり約1g〜500g、具体的には、10g〜250gの量のアミン系化合物除去用組成物を含んでもよい。
【0037】
前記飼料用組成物は、飲水剤であってもよい。飲水剤とは、液状の投与可能な形態を意味し、飼料管理法上の補助飼料に該当する。
【0038】
本発明の飼料用組成物は、栄養素補充及び体重減少の予防、飼料内繊維素の消化利用性増進、流質改善、繁殖障害の予防及び受胎率の向上、夏期高温ストレスの予防など、様々な効果を示す物質をさらに含むことができる。例えば、炭酸水素ナトリウム、ベントナイト(bentonite)、酸化マグネシウム、複合ミネラルなどの鉱物質製剤、亜鉛、銅、コバ
ルト、セレンなどの微量ミネラルであるミネラル製剤、カロチン、ビタミンE、ビタミンA、D、E、ニコチン酸、ビタミンB複合体などのビタミン剤、メチオニン、リシンなどの保護アミノ酸剤、脂肪酸カルシウム塩などの保護脂肪酸剤、プロバイオティクス(乳酸菌製)、酵母培養物、菌発酵物などの生菌、酵母剤などがさらに含まれてもよい。
【0039】
本発明の飼料組成物は、哺乳類、家禽類を含む多数の動物の食餌、すなわち、飼料及び飲用水に適用することができる。
【0040】
もう一つの様態として、本発明は前記飼料用組成物を動物に投与する段階を含む、動物糞尿の消臭方法を提供する。
【0041】
飼料用組成物は、前記のとおりである。
【0042】
前記動物は、牛、馬、羊、豚、ヤギ、ラクダ、レイヨウ、犬、猫などの哺乳動物であればよいが、これらに限定されない。
【0043】
前記投与は、任意の適切な方法で動物に本発明の組成物を導入することを意味し、本発明の組成物の投与経路は目的組織に到達することができる限り、経口又は非経口の多様な経路を介して投与されてもよい。本発明者らは、本発明の飼料用組成物を経口又は腹腔投与しても急性毒性が現れないことを確認した(
図2)。
【0044】
もう一つの様態として、本発明は前記アミン系化合物除去用組成物を含む飼料添加剤用組成物を提供する。
【0045】
本発明の飼料添加剤組成物は、投与のために前記の成分以外に、さらにクエン酸、フマル酸、アジピン酸、乳酸などの有機酸、又は、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、重合リン酸塩などのリン酸塩、又は、ポリフェノール、カテキン、トコフェロール、ビタミンC、緑茶抽出物、キトサン、タンニン酸などの天然抗酸化剤のうち1成分以上を混合して用いてもよく、必要に応じて緩衝液、静菌剤など他の通常の添加剤を添加してもよい。また希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤及び潤滑剤を付加的に添加して水溶液、懸濁液、乳濁液などのような注射用剤形、カプセル、顆粒又は錠剤に製剤化することができる。
【0046】
また、本発明の飼料添加剤組成物及びこれを含む飼料組成物は、補助成分としてアミノ
酸、無機塩類、ビタミン、抗酸化、抗カビ、微生物製剤などの様々なサプリメント、及び、粉砕又は破砕された小麦、大麦、トウモロコシなどの植物性タンパク質飼料、血粉、肉粉、魚粉などの動物性タンパク質飼料、動物性脂肪及び植物性脂肪のような主成分以外にも栄養補助剤、成長促進剤、消化吸収促進剤、疾病予防剤と共に用いてもよい。
【0047】
前記動物飼料用飼料添加剤は動物の飼料に直接混合するか、飼料とは別に単独で経口剤形、注射又は経皮で、他の成分と組み合わせて簡単に投与することができる。投与量は、動物の体重、健康状態、食餌、投与方法及び疾患の重症度などによってその範囲が多様である。当業界でよく知られているように、一日の投与量は、約0.1〜10mg/g、具体的には0.05〜1mg/gであり、一日一回〜数回に分けて投与することがより好ましい。
【0048】
本発明の飼料添加剤は、動物糞尿の消臭を目的に飼料に添加することもできる。本発明の飼料添加剤を飼料添加物として用いる場合、前記飼料添加剤をそのまま添加したり、他の成分と一緒に用いてもよく、この場合、通常の方法に従って適切に用いればよい。飼料添加剤の投与形態は、非毒性製薬上許容可能な担体と組み合わせて、非持続放出性剤形又は徐放性剤形で製造することができる。これらの食用担体は、トウモロコシデンプン、ラクトース、スクロース及び大豆フレーク、プロピレングリコールとすることができる。固体担体の場合には、錠剤、散剤、トローチ剤を用いてもよく、液状担体の場合は、シロップ剤、液体懸濁液剤、エマルジョン剤、溶液剤の投与形態であってもよい。
【0049】
本発明の飼料添加剤組成物は、哺乳類、家禽類を含む多数の動物の食餌、すなわち、飼料に適用することができる。商業的に重要な豚、牛、ヤギなどの哺乳類、ゾウ、ラクダなどの動物園の動物、犬、猫などの家畜に用いることができる。
【0050】
本発明に係る飼料添加剤組成物を含む動物用飼料配合方法は、飼料添加剤組成物を動物飼料に乾燥重量基準で1kgあたり約10g〜500g、具体的には、10g〜100gの量で混合するものである。また、飼料混合物を完全に混合した後、マッシュで供給したり、追加の加工工程を介してペレット化、膨張化、押出工程を経ることが望ましい。
【0051】
もう一つの様態として、本発明は前記アミン系化合物除去用組成物を含む、医薬部外品組成物を提供する。
【0052】
本発明では、アミン系化合物除去用組成物は、ウコン抽出物又はその分画物、甘草抽出物又はその分画物、及び、サケ白子抽出物を有効成分として含むもので、具体的な内容は、前記のとおりである。
【0053】
医薬部外品は、ヒトや動物の病気を治療、軽減、処置若しくは予防の目的で用いられる繊維、ゴム製品、又は、これに類似したもの、人体に対する作用が弱いか、人体に直接作用されず、器具又は機械ではないものと、これらと同様のもの、感染型の予防のために殺菌、殺虫、及び、これらに同様の用途に用いられる製剤のいずれかに該当する物品であって、ヒトや動物の病気を診断、治療、軽減、処置又は予防の目的で用いる物品のうち器具、機械又は装置がないもの及びヒトや動物の構造と機能に薬理学的な影響を与える目的で用いる物品のうち器具、機械又は装置がないものを除いた物品を意味することができる。また、前記医薬部外品は、皮膚外用剤及び個人衛生用品を含むことができる。具体的には、消毒洗浄剤、シャワーフォーム、カグリン、ウェットティッシュ、洗剤石鹸、ハンドソープ、又は軟膏剤であってもよいが、これらに限定されない。
【0054】
本発明に係る前記組成物を医薬部外品添加物として用いる場合、前記組成物をそのまま添加したり、他の医薬部外品又は医薬部外品成分と一緒に用いることができ、この場合、
通常の方法に従って適切に用いることができる。有効成分の混合量は、使用目的に応じて適切に決定することができる。
【実施例】
【0055】
以下、本発明を下記例により詳細に説明する。ただし、下記の例は、本発明を例示するためのもので、下記の例により本発明の範囲が制限されるものではない。
【0056】
実施例1.飲水剤組成物の製造
ウコン(Curcuma longa)2kgに、95%v/vのエタノール(ethanol)20Lを加え、室温で7日間放置して抽出し、これを濾紙で濾過して液状成分を得た後、これを濃縮及び乾燥させてウコンのエタノール抽出物210gを製造した。甘草(Glycyrrhiza uralensis)3kgに、95%v/vのエタノール(ethanol)20Lを加え、室温で7日間放置して抽出し、これを濾紙で濾過して液状成分を得た後、これを濃縮及び乾燥させて甘草のエタノール抽出物230gを製造した。
【0057】
実験群として、カクテル製剤飲水剤(試製品−1)として、ウコン抽出物1.0g、甘草抽出物100gを、滅菌水990gに溶かして製造した。カクテル製剤飲水剤(試製品−2)として、ウコン抽出物1.0g、甘草抽出物100g、サケ白子抽出物(株式会社マルハニチロフードから購入、製品名DNA−Na)1.0gを、滅菌水940gに溶かして飲水剤組成物を製造した。
【0058】
試製品−3又は試製品−4として、試製品−1又は試製品−2でウコン抽出物1.0gの代わりに水溶性クルクミン(株式会社ケイエヌピーナノフードから購入)1.0gを添加して製造した。
【0059】
対照群の飲水剤として、KW−100は、ウコン抽出物1.0gを滅菌水1000gに溶かして製造し、KC−100は、甘草抽出物100gを滅菌水990gに溶かして製造した。
【0060】
実験例1.消臭効果確認
実施例1で製造した飲水剤の消臭効果を調べるために、まず、実施例1の飲水剤20mLを5Lの反応容器に入れて密封して、悪臭ガスであるトリメチルアミンガスの初期濃度を50μmol/molとして容器内に注入した。実験温度は25℃、湿度は50%を維持しており、トリメチルアミンガスの濃度を0分、30分、60分、120分にそれぞれ測定し、その結果を
図1に示した。
【0061】
図1のように、試製品−1の処理によって、30分以内に悪臭物質であるトリメチルアミン及びアンモニアがすべて除去されていることを確認した。これはウコン抽出物及び甘草抽出物が、アミン系化合物に対して優れた除去効果があることを示唆する。
【0062】
実験例2.急性毒性実験
実施例1で製造した試製品−2(KW−100/KC−100/サケ白子抽出物)の急性毒性を調べるために、下記のような実験を行った。
【0063】
まず、ペットであるビーグル(10.0〜12.0kg/匹)をケージ(140×80×80cm)に入れて、14日間一般飼料で自律給餌し、飼育温度は25±2℃を維持しながら飼育した。その後、実施例1で製造した試製品−2を2000mg/kgの容量で7日間腹腔又は経口で投与した(実験群)。
【0064】
対照群(control)には、実験群と同じ容量で滅菌水を投与した。前記した実験モデル
は、表1のとおりである。
【表1】
表1は、急性毒性評価動物(ビーグル)実験モデルを示す表である。
【0065】
その結果、試製品−2を投与した場合、経口投与群(b)及び腹腔投与群(c)の両方で7日間、高い生存率(100%)を示した。また、
図2の組織写真のように、糸球体、近位尿細管及び遠位尿細管の場合にも、対照群(control)に比べて病理学的病変の誘発
が現れない試製品−2は、毒性がほとんどなく、飼料として用いることに適していると判断した。試製品−3、試製品−4の場合にも、同様の効果が現れた。
【0066】
実験例3.飲水剤が動物の糞尿の臭いに及ぼす影響調査
飼育場の中で、実施例1の飲水剤の添加による実験動物の尿の臭い成分であるアンモニア数値の変化を調査した。
【0067】
具体的には、飼育温度を25±2.0℃に維持し、実施例1のKW−100、試製品−1(KW−100/KC−100)、試製品−2(KW−100/KC−100/サケ白子抽出物)を10日間毎日10mL給餌した後、実験動物の膀胱から注射器で尿を抜いて、尿に含まれているアンモニアの数値(ppm)を分析した。対照群には、同じ容量で滅菌水を投与した。アンモニア低減率(%)は、KW−100、試製品−1、試製品−2、又は、滅菌水投与前後のアンモニアの数値の差を相対的に示したものである。
【0068】
その結果、
図3及び表2に示されるように、対照群の場合には、ビーグルの尿に含まれていたアンモニアの低減率が3%と示されて、KW−100を給餌した場合には47.8%、試製品−1(KW−100/KC−100)を給餌した場合には49.5%、試製品−2(KW−100/KC−100/サケ白子抽出物)を給餌した場合には85.7%と示された。試製品−4の場合にも試製品−2と同様の効果が現れた。
【表2】
【0069】
これらの結果は、本発明の組成物が、糞尿に含まれているアンモニアを効率的に除去することを示唆するものである。
【0070】
したがって、本発明に係るウコン抽出物、甘草抽出物、及び、サケ白子抽出物を含む飲水剤組成物である試製品−2(KW−100/KC−100/サケ白子抽出物)は、アミン系化合物の除去及びこれによる動物糞尿の消臭のために効果的に用いることができる。
【0071】
以上の説明から、本発明が属する技術分野の当業者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せず、他の具体的な形で実施され得ることを理解できるだろう。これに関連し、以上で記述した実施例は、すべての面で例示的なものであり、限定的なものではないものとして理解するべきである。本発明の範囲は、前記の詳細な説明ではなく、後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導出されるすべての変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。