(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
クリスプゲイン制御回路は、映像レベルを横軸とし、クリスプゲインを縦軸とした場合で、映像レベルがゼロで、クリスプゲインをゼロとする第1の点と、映像レベルが100%でクリスプゲインを1とする第2の点とを結んだ線上で、映像レベルに応じたクリスプゲインを出力することを特徴とする請求項1記載の輪郭強調処理回路。
レンズから入力された映像を取り込むプリズムと、撮像素子と、CDS(相関2重サンプリング)回路と、VGA(可変ゲイン増幅)回路と、A/D変換器と、映像信号処理部と、映像信号出力部と、タイミング生成部とを備えたテレビジョンカメラにおいて、
前記映像信号処理部は、
入力された映像信号を遅延させる第1のディレイ手段と、
前記映像信号の輪郭成分の信号を抽出する輪郭抽出手段と、
前記輪郭成分の信号を遅延させる第2のディレイ手段と、
前記映像信号の映像レベルを検出し、前記映像レベルを出力する映像レベル検出手段と、
前記第2のディレイ手段からの輪郭成分の信号におけるノイズ成分を除去するクリスプ信号によって前記輪郭成分の信号からノイズ成分を除去して輪郭信号を出力するクリスプ手段と、
前記映像レベルに応じて前記クリスプ信号の元になる信号の増幅を制御するゲインを求め、当該ゲインをクリスプゲインとして出力するクリスプゲイン制御手段と、
前記クリスプゲインと前記クリスプ信号の元になる信号とを乗算してクリスプ信号を前記クリスプ手段に出力する乗算手段と、
前記クリスプ手段でノイズ成分が除去された輪郭信号を増幅するゲイン手段と、
前記第1のディレイ手段からの映像信号と前記ゲイン手段からの増幅された輪郭信号を加算して輪郭が強調された映像信号を出力する加算手段とを備え、
前記クリスプゲイン制御手段は、映像レベルが100%の場合を正規化基準レベルとし、当該正規化基準レベルでゲインを1とし、前記正規化基準レベルに対する前記映像レベル検出手段からの映像レベルに応じてクリスプゲインを出力し、
前記クリスプゲイン制御手段は、映像レベルを横軸とし、クリスプゲインを縦軸とした場合で、映像レベルがゼロで、クリスプゲインをゼロとする第1の点と、映像レベルが100%でクリスプゲインを1とする第2の点とを結んだ線上で、映像レベルに応じたクリスプゲインを出力し、
さらに、前記クリスプゲイン制御手段は、外部からの傾斜信号により、前記第1の点を横軸方向又は縦軸方向にずらすことで輪郭強調処理制御を行うことを特徴とするテレビジョンカメラ。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来のテレビジョンカメラの映像信号処理について説明する。[テレビジョンカメラ:
図7]
テレビジョンカメラの構成について
図7を参照しながら説明する。
図7は、テレビジョンカメラの構成ブロック図である。
テレビジョンカメラ1は、
図7に示すように、レンズ2と、プリズム3と、撮像素子4と、CDS(Correlated Double Sampling:相関2重サンプリング)回路5と、VGA(Variable Gain Amplifier:可変ゲイン増幅)回路6と、A/D(Analog to Digital)変換器7と、映像信号処理部8と、映像信号出力部9と、TG(Timing Generator:タイミング生成部)10と、CPU(Central Processing Unit:制御部)11とを有している。
【0003】
次に、テレビジョンカメラの動作について説明する。
まず、被写体像はテレビジョンカメラ1のレンズ2を通り、プリズム3でR(赤),G(緑),B(青)の3色に分解され、撮像素子4R,4G,4BでR,G,Bそれぞれ電気信号に変換される。
その後、CDS回路5R,5G,5Bを通り、VGA回路6R,6G,6Bで信号を増幅した後に、A/D変換器7R,7G,7Bでアナログ信号からデジタル信号に変換され、映像信号処理部8で様々な信号処理を施した後、映像信号出力部9からテレビジョン信号を出力する。
また、TG10は、撮像素子4及びCDS回路5を駆動するためのタイミング信号を生成部し、CPU11は、システムコントローラとして、各部の回路を制御する。
【0004】
[従来の第1の輪郭強調処理回路:
図8]
映像信号処理部8における輪郭強調処理回路として、従来の第1の輪郭強調処理回路について
図8を参照しながら説明する。
図8は、従来の第1の輪郭強調処理回路の構成ブロック図である。
従来の第1の輪郭強調処理回路は、映像信号処理部8内に設けられており、
図8に示すように、ディレイ回路12と、加算器13と、輪郭抽出回路14と、ゲイン回路15とを有している。
【0005】
従来の第1の輪郭強調処理回路における動作は、映像信号がディレイ回路12と輪郭抽出回路14とに入力される。ディレイ回路12は、輪郭抽出回路14とゲイン回路15の信号処理の時間分遅延させ、遅延映像信号12aを加算器13に出力する。
輪郭抽出回路14は、入力された映像信号から輪郭成分を抽出し、輪郭信号14aをゲイン回路15に出力する。
ゲイン回路15は、CPU11から入力する増幅量(gain)分に従って輪郭信号14aの増幅を行い、輪郭信号15aとして加算器13に出力する。 加算器13は、輪郭信号15aとディレイ回路12により輪郭信号15aと位相が一致する遅延映像信号12aを加算して、輪郭が強調された映像信号を出力する。
【0006】
[映像例:
図9]
次に、輪郭強調に関する映像例について
図9を参照しながら説明する。
図9は、(a)が本来の映像例(輪郭強調前の映像例)で、(b)が輪郭強調後の映像例を示す図である。
図9(a)に示す本来の画像(輪郭強調前の画像)例に対して、
図9(b)には、画像強調を行った画像(輪郭強調後の画像)例を示している。
図9(b)では、画像パターンの輪郭部分が明確になるように画像信号の処理が為されている。
【0007】
[理想的な輪郭強調処理を示す信号波形:
図10]
ノイズのない理想的な輪郭強調処理を示す信号波形について
図10を参照しながら説明する。
図10は、理想的な輪郭強調処理を示す信号波形図である。尚、
図10,11,14では、縦軸が映像信号レベルであり、横軸が映像信号波形を示している。
図10(a)には、
図9(a)に示した映像例のノイズのない理想的な信号波形が示されている。
図9(a)では、左側が暗く、右側に向けて段階的に明るくなっているので、映像信号レベルが横軸方向に階段状に上昇している。
【0008】
そして、
図10(b)では、輪郭抽出回路14でノイズのない理想的な映像信号から輪郭を抽出した輪郭信号波形が示されている。
図10(c)では、ゲイン回路15で輪郭信号14aが増幅された信号波形が示されており、
図10(d)では、加算器13で遅延映像信号に増幅された輪郭信号が加算され、輪郭が強調された映像信号波形が示されている。この輪郭が強調された映像信号は映像例として
図9(b)に示した映像例となる。
【0009】
ところで、実際の映像信号にはノイズが含まれており、輪郭抽出回路14により抽出した輪郭信号14aにもノイズが含まれている。このまま、輪郭信号14aをゲイン回路15により増幅するとノイズも増幅され、輪郭強調を強くすると出力される輪郭強調の映像信号には、映像信号のノイズと輪郭強調されたノイズが合成されることになる。
【0010】
[映像信号にノイズが含まれる場合の信号波形:
図11]
次に、映像信号にノイズが含まれる場合の信号波形について
図11を参照しながら説明する。
図11は、映像信号にノイズが含まれる場合の信号波形図である。
図11(a)では、映像信号にノイズが含まれている例を示しており、映像信号レベルに比例して増加する特性を持ったノイズを含む映像信号波形を示している。
【0011】
図11(b)では、ノイズを含む映像信号から輪郭抽出回路14で輪郭を抽出した輪郭信号波形を示している。ノイズの輪郭も抽出されるため、輪郭信号波形にもノイズが含まれることになる。
図11(c)では、輪郭信号をゲイン回路15で増幅した輪郭信号波形が示されている。輪郭信号に含まれるノイズも増幅されることになる。
【0012】
図11(d)では、加算器13で、遅延映像信号に増幅された輪郭信号が加算(合成)され、輪郭が強調された映像信号の信号波形が示されている。遅延映像信号にはノイズがふくまれており、輪郭信号波形でもノイズを含んで増幅されているため、両者を合成した輪郭が強調された映像信号では、輪郭が強調されるものの、ノイズが重ね合わさって増大するため、粗い感じの映像となる。
【0013】
[従来の第2の輪郭強調処理回路:
図12]
以上のノイズを防ぐためには、輪郭抽出回路14の後に、クリスプ処理を行うのが一般的である。クリスプ処理は、輪郭信号からノイズ信号を除去する処理である。
次に、クリスプ処理を行うための輪郭強調処理回路として、従来の第2の輪郭強調処理回路について
図12を参照しながら説明する。
図12は、従来の第2の輪郭強調処理回路の構成ブロック図である。
従来の第2の輪郭強調処理回路は、
図12に示すように、
図8の輪郭強調処理回路において、輪郭抽出回路14とゲイン回路15の間にクリスプ回路16を設けた構成となっている。
【0014】
ディレイ回路12は、入力された映像信号を輪郭抽出回路14とクリスプ回路16とゲイン回路15での信号処理の時間分だけ遅延させた遅延映像信号12bを出力する。
クリスプ回路16は、輪郭抽出回路14で抽出された輪郭成分の輪郭信号14aについて、ノイズ低減量(crisp)信号によりノイズを除去し、輪郭信号16aを出力する。
ゲイン回路15は、ノイズが除去された輪郭信号16aを、別途CPU11から入力される増幅量(gain)分の増幅を行い、増幅された輪郭信号15bを加算器13に出力する。
加算器13は、ディレイ回路12により輪郭信号15bと位相が一致する映像信号12bに輪郭信号15bを加算して、輪郭が強調された映像信号を得る。
【0015】
従来の第2の輪郭強調処理回路の具体的動作について説明する。
従来の第2の輪郭強調処理回路は、ノイズが含まれた輪郭信号14aから、クリスプ回路16によりノイズ成分を除去した輪郭信号16aを得て、これをゲイン回路15で増幅すると、輪郭部分だけが強調された輪郭信号15bが得られる。そして、加算器13で輪郭部分が強調された輪郭信号15bと映像信号12bとを加算することにより、ノイズが少ないクリアな映像が得られる。ここでcrisp信号は、クリスプ回路16のノイズ除去量(クリスプ量)を指定するCPU11からの信号である。
【0016】
[クリスプ機能を示す信号波形:
図13]
クリスプ機能について
図13を参照しながら説明する。
図13は、クリスプ機能を示す信号波形図である。
図13に示すように、ノイズを含む輪郭信号は、クリスプ回路16によってノイズを除去されるが、ノイズが減った分、輪郭信号も小さくなる。そこで、ゲイン回路15で輪郭信号を本来の信号レベルとなるよう増幅して、ゲインアップを行う。クリスプ機能によってノイズが除去される処理をクリスプ処理という。
【0017】
[従来の第2の輪郭強調処理を示す信号波形:
図14]
従来の第2の輪郭強調処理を示す信号波形について
図14を参照しながら説明する。
図14は、従来の第2の輪郭強調処理を示す信号波形図である。
図14(a)に示すように、映像信号にノイズ成分が含まれる映像信号波形の例を示している。このノイズ成分のノイズ信号は、映像レベルに比例して増加する特性を持ったものである。
【0018】
図14(b)では、輪郭抽出回路14で映像信号から輪郭が抽出され、ノイズの輪郭も抽出されるため、輪郭信号波形にもノイズ成分が含まれる。
図14(c)では、クリスプ回路16でノイズを低減した信号波形が示されている。クリスプ処理におけるクリスプ量は、映像レベルにかかわらず一定となっている。
【0019】
図14(d)では、ゲイン回路15で輪郭信号を増幅した輪郭信号波形が示されている。ここで、クリスプ処理でノイズ成分がなくなった部分は輪郭のみが増幅されるが、ノイズ成分が残った部分はノイズ成分も増幅されることになる。
図14(e)では、加算器13で映像信号に輪郭信号が加算された映像信号波形が示されている。輪郭が強調された映像信号では、輪郭が強調されるものの、残ったノイズ成分も増えるため、粗い感じの映像となる。つまり、
図14(e)の輪郭強調された映像信号は、
図14(a)の映像信号波形と
図14(d)の輪郭信号波形が合成されたものとなる。
【0020】
[従来の課題を説明するための輪郭信号波形:
図15]
次に、従来の課題を説明するための輪郭信号波形について
図15を参照しながら説明する。
図15は、従来の課題を説明するための輪郭信号波形図である。
図15(a)では、映像信号の映像レベルに比例してノイズ成分が増加する特性を持ったノイズ信号が輪郭信号に含まれる例を示している。
そして、クリスプ処理を行う場合に、クリスプ量は一定であるため、そのクリスプ量をどの程度にするかによって輪郭信号波形に対する影響が異なってくる。
【0021】
図15(b)では、映像信号の映像レベルが高い部分のノイズ成分にクリスプ量を合わせた場合であり、ノイズ成分は完全に除去されるが、輪郭信号が小さくなってしまう。輪郭信号が元々小さい場合には、輪郭がなくなってしまうことがある。
図15(c)では、映像信号の映像レベルが低い部分のノイズ成分にクリスプ量を合わせた場合であり、映像信号の映像レベルが高いノイズ成分が除去されず、残ってしまうことになる。
【0022】
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、特開2009−303206号公報「個体撮像装置及び監視システム」(株式会社日立国際電気)[特許文献1]がある。
特許文献1には、個体撮像装置において、個体撮像素子の、垂直方向も低周波数から低い変調度を補うこと及びオーバーシュートやアンダーシュートを抑えることの両方を実現する技術が示されている。特に、特許文献1には、低周波数から輪郭を補正することが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
しかしながら、従来の輪郭強調処理回路では、クリスプ回路が映像信号レベルに関係なく一定量のクリスプ量でノイズ成分を除去するように動作するため、映像信号の映像レベルが高い部分のノイズ成分にクリスプ量を合わせてしまうと、輪郭信号が必要以上に小さくなったり、輪郭信号が元々小さい場合には、輪郭信号がなくなってしまったりする恐れがあり、映像信号の映像レベルが低い部分のノイズ成分にクリスプ量を合わせてしまうと、映像信号の映像レベルが高い部分のノイズ成分が除去されず、残ってしまうという問題点があった。
【0025】
尚、特許文献1には、低周波数から輪郭を補正することが記載されているが、映像信号のレベルにより除去するノイズ量を可変にできるものではなく、暗部から明部までノイズが少ない鮮明な輪郭強調処理を実現できるものとはなっていないものである。
【0026】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、映像信号のレベルによりクリスプ回路で除去するノイズ量を可変にできるようにし、暗部から明部までノイズが少ない鮮明な輪郭強調処理を実現できる輪郭強調処理回路、輪郭強調処理方法、及びテレビジョンカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、テレビジョンカメラの映像信号処理部で用いられる輪郭強調処理回路であって、入力された映像信号を遅延させる第1のディレイ回路と、映像信号の輪郭成分の信号を抽出する輪郭抽出回路と、輪郭成分の信号を遅延させる第2のディレイ回路と、映像信号の映像レベルを検出し、映像レベルを出力する映像レベル検出回路と、第2のディレイ回路からの輪郭成分の信号におけるノイズ成分を除去するクリスプ信号によって輪郭成分の信号からノイズ成分を除去して輪郭信号を出力するクリスプ回路と、映像レベルに応じてクリスプ信号の元になる信号の増幅を制御するゲインを求め、当該ゲインをクリスプゲインとして出力するクリスプゲイン制御回路と、クリスプゲインとクリスプ信号の元になる信号とを乗算してクリスプ信号をクリスプ回路に出力する乗算器と、クリスプ回路でノイズ成分が除去された輪郭信号を増幅するゲイン回路と、第1のディレイ回路からの映像信号とゲイン回路からの増幅された輪郭信号を加算して輪郭が強調された映像信号を出力する加算器とを有することを特徴とする。
【0028】
本発明は、上記輪郭強調処理回路において、クリスプゲイン制御回路が、映像レベルが100%の場合を正規化基準レベルとし、当該正規化基準レベルでゲインを1とし、正規化基準レベルに対する映像レベル検出回路からの映像レベルに応じてクリスプゲインを出力することを特徴とする。
また、本発明は、上記輪郭強調処理回路において、クリスプゲイン制御回路が、映像レベルを横軸とし、クリスプゲインを縦軸とした場合で、映像レベルがゼロで、クリスプゲインをゼロとする第1の点と、映像レベルが100%でクリスプゲインを1とする第2の点とを結んだ線上で、映像レベルに応じたクリスプゲインを出力することを特徴とする。
また、本発明は、上記輪郭強調処理回路において、クリスプゲイン制御回路が、外部からの傾斜信号により、第1の点を横軸方向又は縦軸方向にずらすことを特徴とする。
【0029】
また、本発明は、テレビジョンカメラの映像信号処理部で用いられる輪郭強調処理方法であって、入力された映像信号を遅延させる第1のディレイ手段と、映像信号の輪郭成分の信号を抽出する輪郭抽出手段と、輪郭成分の信号を遅延させる第2のディレイ手段と、映像信号の映像レベルを検出し、映像レベルを出力する映像レベル検出手段と、第2のディレイ手段からの輪郭成分の信号におけるノイズ成分を除去するクリスプ信号によって輪郭成分の信号からノイズ成分を除去して輪郭信号を出力するクリスプ手段と、映像レベルに応じてクリスプ信号の元になる信号の増幅を制御するゲインを求め、当該ゲインをクリスプゲインとして出力するクリスプゲイン制御手段と、クリスプゲインとクリスプ信号の元になる信号とを乗算してクリスプ信号をクリスプ手段に出力する乗算手段と、クリスプ手段でノイズ成分が除去された輪郭信号を増幅するゲイン手段と、第1のディレイ手段からの映像信号とゲイン手段からの増幅された輪郭信号を加算して輪郭が強調された映像信号を出力する加算手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明は、上記輪郭強調処理方法において、クリスプゲイン制御手段が、映像レベルが100%の場合を正規化基準レベルとし、当該正規化基準レベルでゲインを1とし、正規化基準レベルに対する映像レベル検出手段からの映像レベルに応じてクリスプゲインを出力することを特徴とする。
また、本発明は、上記輪郭強調処理方法において、クリスプゲイン制御手段が、映像レベルを横軸とし、クリスプゲインを縦軸とした場合で、映像レベルがゼロで、クリスプゲインをゼロとする第1の点と、映像レベルが100%でクリスプゲインを1とする第2の点とを結んだ線上で、映像レベルに応じたクリスプゲインを出力することを特徴とする。
さらに、本発明は、上記輪郭強調処理方法において、クリスプゲイン制御手段が、外部からの傾斜信号により、第1の点を横軸方向又は縦軸方向にずらすことを特徴とする。
【0030】
また、本発明は、レンズから入力された映像を取り込むプリズムと、撮像素子と、CDS(相関2重サンプリング)回路と、VGA(可変ゲイン増幅)回路と、A/D変換器と、映像信号処理部と、映像信号出力部と、タイミング生成部とを備えたテレビジョンカメラにおいて、映像信号処理部が、入力された映像信号を遅延させる第1のディレイ手段と、映像信号の輪郭成分の信号を抽出する輪郭抽出手段と、輪郭成分の信号を遅延させる第2のディレイ手段と、映像信号の映像レベルを検出し、映像レベルを出力する映像レベル検出手段と、第2のディレイ手段からの輪郭成分の信号におけるノイズ成分を除去するクリスプ信号によって輪郭成分の信号からノイズ成分を除去して輪郭信号を出力するクリスプ手段と、映像レベルに応じてクリスプ信号の元になる信号の増幅を制御するゲインを求め、当該ゲインをクリスプゲインとして出力するクリスプゲイン制御手段と、クリスプゲインとクリスプ信号の元になる信号とを乗算してクリスプ信号をクリスプ手段に出力する乗算手段と、クリスプ手段でノイズ成分が除去された輪郭信号を増幅するゲイン手段と、第1のディレイ手段からの映像信号とゲイン手段からの増幅された輪郭信号を加算して輪郭が強調された映像信号を出力する加算手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明は、上記テレビジョンカメラにおいて、クリスプゲイン制御手段が、映像レベルが100%の場合を正規化基準レベルとし、当該正規化基準レベルでゲインを1とし、正規化基準レベルに対する映像レベル検出手段からの映像レベルに応じてクリスプゲインを出力することを特徴とする。
また、本発明は、上記テレビジョンカメラにおいて、クリスプゲイン制御手段が、映像レベルを横軸とし、クリスプゲインを縦軸とした場合で、映像レベルがゼロで、クリスプゲインをゼロとする第1の点と、映像レベルが100%でクリスプゲインを1とする第2の点とを結んだ線上で、映像レベルに応じたクリスプゲインを出力することを特徴とする。
さらに、本発明は、上記テレビジョンカメラにおいて、クリスプゲイン制御手段が、外部からの傾斜信号により、第1の点を横軸方向又は縦軸方向にずらすことで輪郭強調処理制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、第1のディレイ回路が、入力された映像信号を遅延させ、輪郭抽出回路が、映像信号の輪郭成分の信号を抽出し、第2のディレイ回路が、輪郭成分の信号を遅延させ、映像レベル検出回路が、映像信号の映像レベルを検出し、映像レベルを出力し、クリスプ回路が、第2のディレイ回路からの輪郭成分の信号におけるノイズ成分を除去するクリスプ信号によって輪郭成分の信号からノイズ成分を除去して輪郭信号を出力し、クリスプゲイン制御回路が、映像レベルに応じてクリスプ信号の元になる信号の増幅を制御するゲインを求め、当該ゲインをクリスプゲインとして出力し、乗算器が、クリスプゲインとクリスプ信号の元になる信号とを乗算してクリスプ信号をクリスプ回路に出力し、ゲイン回路が、クリスプ回路でノイズ成分が除去された輪郭信号を増幅し、加算器が、第1のディレイ回路からの映像信号とゲイン回路からの増幅された輪郭信号を加算して輪郭が強調された映像信号を出力する輪郭強調処理回路としているので、映像レベルに応じて適正なクリスプ処理を行ってノイズを除去でき、暗部から明部までノイズの少ない鮮明な輪郭強調された映像信号を得ることができる効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る輪郭強調処理回路は、第1のディレイ回路が、入力された映像信号を遅延させ、輪郭抽出回路が、映像信号の輪郭成分の信号を抽出し、第2のディレイ回路が、輪郭成分の信号を遅延させ、映像レベル検出回路が、映像信号の映像レベルを検出し、映像レベルを出力し、クリスプ回路が、第2のディレイ回路からの輪郭成分の信号におけるノイズ成分を除去するクリスプ信号によって輪郭成分の信号からノイズ成分を除去して輪郭信号を出力し、クリスプゲイン制御回路が、映像レベルに応じてクリスプ信号のゲインを制御して出力し、乗算器が、クリスプ信号のゲインとクリスプ信号の元になる信号とを乗算してクリスプ信号をクリスプ回路に出力し、ゲイン回路が、クリスプ回路でノイズ成分が除去された輪郭信号を増幅し、加算器が、第1のディレイ回路からの映像信号とゲイン回路からの増幅された輪郭信号を加算して輪郭が強調された映像信号を出力する輪郭強調処理回路としているので、映像レベルに応じて適正なクリスプ処理を行ってノイズを除去でき、暗部から明部までノイズの少ない鮮明な輪郭強調された映像信号を得ることができる
【0034】
[本輪郭強調処理回路:
図1]
本発明の実施の形態に係る輪郭強調処理回路(本輪郭強調処理回路)について
図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る輪郭強調処理回路の構成ブロック図である。
本輪郭強調処理回路は、
図1に示すように、第1のディレイ回路12と、加算器13と、輪郭抽出回路14と、ゲイン回路15と、クリスプ回路16と、映像レベル検出回路17と、クリスプゲイン制御回路18と、乗算器19と、第2のディレイ回路20とを有している。
尚、上記各回路等を、テレビジョンカメラの映像信号処理部において、第1のディレイ手段、加算手段、輪郭抽出手段、ゲイン手段、クリスプ手段、映像レベル検出手段、クリスプゲイン制御手段、乗算手段、第2のディレイ手段と記載することがある。
【0035】
映像信号は、第1のディレイ回路12と、輪郭抽出回路14と、映像レベル検出回路17に入力される。
第1のディレイ回路12からの出力信号12cが加算器13に入力される。
輪郭抽出回路14からの出力信号14aが第2のディレイ回路20に入力され、第2のディレイ回路20からの出力信号20aがクリスプ回路16に入力され、クリスプ回路16からの出力信号16bがゲイン回路15に入力され、ゲイン回路15からの出力信号15cが加算器13に入力される。
また、映像レベル検出回路17からの出力信号17aがクリスプゲイン制御回路18に入力され、クリスプゲイン制御回路18からの出力信号18aが乗算器19に入力され、乗算器19からの出力信号19aがクリスプ回路16に入力される。
【0036】
[本輪郭強調処理回路の各部]
次に、本輪郭強調処理回路の各部について具体的に説明する。
第1のディレイ回路12は、入力された映像信号を輪郭抽出回路14、第2のディレイ回路20、クリスプ回路16、ゲイン回路15での処理時間分遅延させ、遅延映像信号12cを加算器13に出力する。
輪郭抽出回路14は、入力された映像信号の輪郭成分の信号を抽出し、輪郭信号14aを第2のディレイ回路20に出力する。輪郭の抽出方法は、様々な手法が知られているが、いかなる輪郭抽出方法であってもよい。
尚、輪郭抽出回路14の具体的構成及び輪郭の抽出方法については後述する。
映像レベル検出回路17は、入力された映像信号の映像レベルを検出し、映像レベルの信号(映像レベル)17aをクリスプゲイン制御回路18に出力する。
【0037】
クリスプゲイン制御回路18は、映像レベル検出回路17からの映像レベル17aに応じてクリスプ信号の元になる信号(クリスプ元信号:crisp)の増幅を制御するクリスプゲイン信号(crisp gain)18aを乗算器19に出力する。
具体的には、クリスプゲイン制御回路18は、テレビジョンカメラのCPU11から正規化基準レベルを入力する。この正規化基準レベルは、映像レベルが100%の場合の信号であり、その正規化基準レベルでクリスプゲインが1.0となるよう設定されている。
【0038】
従って、クリスプゲイン制御回路18は、映像レベル検出回路17から入力される映像レベル17aの100%の映像レベルに対する割合を求め、その割合に応じたクリスプゲインを求めて乗算器19に出力する。クリスプゲインは、映像レベル100%でゲインが1.0であるので、映像レベル検出回路17から入力される映像レベル17aに対するクリスプゲインは、0〜1.0の範囲内となるものである。
クリスプゲイン制御回路18におけるクリスプゲインの制御については後述する。
【0039】
乗算器19は、クリスプゲイン信号18aとCPU11から入力されるノイズ除去量となるクリスプ信号の元になる信号(クリスプ元信号)とを乗算してクリスプ信号(ノイズ低減量)19aをクリスプ回路16に出力する。
つまり、クリスプ信号19aは、検出された映像レベルに応じて可変となるよう制御されている。
第2のディレイ回路20は、入力された輪郭信号14aを、映像レベル検出回路17、クリスプゲイン制御回路18、乗算器19により算出されるノイズ低減量19aと輪郭信号14aとの位相が一致するように遅延させる。
【0040】
クリスプ回路16は、第2のディレイ回路20からの輪郭信号14aにおけるノイズ成分を除去するクリスプ信号19aによって輪郭信号14aからノイズ成分を除去して輪郭信号16bを出力する。
ゲイン回路15は、クリスプ回路16でノイズ成分が除去された輪郭信号16bをCPU11から入力される増幅量(gain)分だけ増幅して、増幅された輪郭信号(増幅輪郭信号)15cを加算器13に出力する。
加算器13は、第1のディレイ回路12からの映像信号12cとゲイン回路15からの増幅輪郭信号15cを加算して輪郭が強調された映像信号(輪郭強調映像信号)を出力する。
【0041】
[輪郭抽出回路:
図2]
次に、本輪郭強調処理回路における輪郭抽出回路について
図2を参照しながら説明する。
図2は、輪郭抽出回路の構成ブロック図である。
輪郭抽出回路14は、
図2に示すように、ディレイ回路(D)141,142と、加算器143と、除算器(1/2)144と、減算器145と、加算器146とを備えている。
【0042】
映像信号d1がディレイ回路141と加算器143に入力され、ディレイ回路141で遅延させた映像信号d2がディレイ回路142と減算器145と加算器146に入力され、ディレイ回路142で遅延させた映像信号d3が加算器143に入力される。
加算器143では映像信号d1とディレイ回路からの映像信号d3とが加算され、除算器144で半分(1/2)の信号レベルとして減算器145に出力する。
減算器145は、映像信号d2から除算器144の信号を減算し、輪郭信号として加算器146に出力する。そして、加算器146では、映像信号d2に輪郭信号が加算され、輪郭強調された映像信号が出力される。
【0043】
[輪郭強調された映像信号生成:
図3]
次に、輪郭強調された映像信号の生成について
図3を参照しながら説明する。
図3は、輪郭強調された映像信号生成のタイムチャートを示す図である。
図3に示すように、輪郭が強調された映像信号を生成するためには、映像信号d1に対して映像信号d2,d3を遅延させ、加算器143でd1+d3の映像信号を生成し、除算器144で(d1+d3)/2の映像信号を生成する。
そして、減算器145で減算処理を行い、d2−(d1+d3)/2の映像信号を生成し、輪郭信号として出力する。
更に、加算器146で加算処理が為され、d2+輪郭信号の映像信号が生成され、輪郭強調された映像信号が出力されることになる。
【0044】
[映像レベルとクリスプゲインの関係:
図4]
次に、映像レベルとクリスプゲインの関係について
図4を参照しながら説明する。
図4は、映像レベルとクリスプゲインの関係を示す図である。
図4に示すように、映像レベルが100%に対してクリスプゲイン(crisp gain)を1.0倍としたポイント(請求項における第2のポイント)、映像レベルが0%でクリスプゲイン0倍のゼロポイント(請求項における第1のポイント)とを結んだ直線を利用して、入力される映像レベル17aのクリスプゲインを特定するものである。
【0045】
ここで、クリスプゲイン制御回路18に入力される正規化基準レベルは、
図4における映像レベルが100%となる基準レベルである。つまり、正規化基準レベルを映像レベル100%の基準レベルとして、映像レベル検出回路17から入力される映像レベル17aが基準レベルの何%であるのかをクリスプゲイン制御回路18内で判定し、
図4の傾き直線を利用してクリスプゲインを求めるものである。
尚、従来のクリスプゲインは、1.0倍で一定となっていた。
【0046】
[本輪郭強調処理を示す信号波形:
図5]
次に、本輪郭強調処理を示す信号波形について
図5を参照しながら説明する。
図5は、本輪郭強調処理を示す信号波形図である。
図5(a)では、ノイズを含む映像信号波形を示している。ノイズは、映像レベルに比例して増加する特性を持ったものである。
図5(b)では、輪郭抽出回路14において映像信号から輪郭成分を抽出した輪郭信号波形を示している。ノイズ成分も抽出されるため、輪郭信号波形にもノイズが含まれることになる。
【0047】
図5(c)では、映像レベル検出回路17、クリスプゲイン制御回路18、乗算器19によって調整されたクリスプ信号によってクリスプ回路16で映像信号からノイズを除去した輪郭信号波形を示している。従来のクリスプ処理と異なり、映像レベルが低い部分から高い部分まで全体的にノイズ量に応じたノイズ除去が行われ、輪郭信号が必要以上に小さくなったり、輪郭信号がなくなってしまったりすることもない。
図5(d)では、ゲイン回路15においてクリスプ回路16からの輪郭信号を増幅した輪郭信号波形を示している。クリスプ処理でノイズが除去されているので、輪郭のみが増幅される。
【0048】
図5(e)では、加算器13で、第1のディレイ回路12からの映像信号にゲイン回路15からの輪郭信号を加算(合成)した輪郭強調の映像信号が得られる。輪郭強調の映像信号は、輪郭の鮮鋭度が増し、輪郭信号におけるノイズがなく映像信号のノイズのみが含まれる映像となるものである。
このように、映像信号から抽出した輪郭信号について、ノイズ成分を完全に除去すると共に、輪郭部分を十分に強調できる輪郭信号を生成できるものである。
【0049】
[映像レベルに対するクリスプゲインの傾き制御:
図6]
次に、映像レベルに対するクリスプゲインの傾き制御について
図6を参照しながら説明する。
図6は、映像レベルに対するクリスプゲインの傾き制御を示す図である。
図6に示すように、映像レベルが100%でクリスプゲイン1.0倍のポイントを中心に斜線の傾きを任意に変更することができるようになっている。クリスプゲイン制御回路18に入力される傾き信号(slope)によって、映像レベルに対するクリスプゲインの傾きを制御できるものである。
【0050】
図6において、中心の基準の斜線に対して斜線を下側に変更すると、映像レベルが20%程度では、クリスプゲインは0倍であり、映像レベルが20%以下の暗い画像ではクリスプ機能が働かず、ノイズ除去を行わないことになる。
また、基準の斜線に対して斜線を上側に変更すると、映像レベルが0%であっても、クリスプゲインが約0.25倍程度あって、映像レベルが0%の暗い画像でも少しばかりクリスプ機能が働き、ノイズ除去を行う。
つまり、映像信号の状況に応じてクリスプ機能の効き具合を、傾き信号によって調整するものである。
【0051】
[実施の形態の効果]
本輪郭強調処理回路によれば、映像信号の映像レベルに応じてクリスプ回路16でのクリスプ機能が動作する度合いを制御するようにしているので、輪郭信号に発生するノイズを完全に除去できると共に、輪郭信号の輪郭部分を小さくしてしまうことがなく、輪郭を強調したノイズの少ない映像信号を得ることができる効果がある。
【0052】
また、本輪郭強調処理回路によれば、映像レベルとクリスプゲインの関係を示す基準の斜線の傾きを制御できるようにしているので、映像の状況に応じて斜線の傾きを制御し、映像に応じた適正なクリスプ処理を行ってノイズ除去を実現できる効果がある。