(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の熱交換器では、単に、熱交換器の側面から冷却水の流入及び流出が行われる。つまり、該熱交換器では、冷却水の流れが適切に制御されていない。このため、熱交換器の内部で冷却水の流れに偏りが生じる恐れがある。その結果、熱交換の効率が低くなる恐れがある。
【0005】
本開示の一側面においては、熱交換の効率を良好にしつつ、排熱回収装置等の配置を容易にすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面の一体型排気熱回収装置は、エンジンからの排ガスの流路である排ガス流路に配置される。一体型排気熱回収装置は、配置部と、熱交換部と、排ガス制御部とを備える。配置部は、排ガス流路の下流側に向かう流下方向に延びる筒状の部位であり、排ガスを浄化する浄化装置が配置される。熱交換部は、排ガスの熱を流体に伝達させる熱交換器を有し、配置部の下流側に配置される。排ガス制御部は、配置部から流出した排ガスを熱交換部に流入させる。
【0007】
また、熱交換器は、複数のプレートと、入口部と、出口部とを備える。複数のプレートは、流下方向に沿って重なった状態で配置された扁平な部位であり、流体の流路である熱交換流路を内部に有する。また、入口部は、複数のプレートの熱交換流路の一端を繋ぐ部位であって、流下方向の側方に向かって開口する入口から流入した流体を、これらの熱交換流路に流入させる。また、出口部は、複数のプレートの熱交換流路の他端を繋ぐ部位であって、流下方向の側方に向かって開口する出口から、これらの熱交換流路を流下した流体を流出させる。
【0008】
このような構成によれば、流下方向に重ねて配置された複数のプレートにより、排ガスの熱を流体に伝達する熱交換が行われる。複数のプレートの内部の熱交換流路の一端では、同一の入口から流体が流入する。また、これらの熱交換流路の他端に到達した流体は、同一の出口から外部に流出する。そして、入口及び出口は、流下方向の側方に向かって開口している。このため、各熱交換流路と入口との間の距離のばらつき、及び、各熱交換流路と出口との間の距離のばらつきを抑制可能となる。したがって、各熱交換流路における流体の流れをより均一化することができる。
【0009】
また、上記構成によれば、排ガスと流体との間で熱交換を行う排気熱回収装置と排ガスの浄化装置とが一体化される。このため、排気熱回収装置等の配置スペースを縮小可能となる。さらに、各プレートへの入口及び出口が流下方向に向かって開口している場合に比べ、一体型排気熱回収装置の流下方向の長さを抑制できる。その結果、一体型排気熱回収装置の配置位置をより柔軟に定めることが可能となる。
【0010】
したがって、熱交換の効率を良好にしつつ、排熱回収装置等の配置を容易にすることができる。
本開示の一側面の一体型排気熱回収装置において、排ガス制御部は、接続部と、縮小部と、誘導部とを有しても良い。接続部は、配置部の下流側の端部から流下方向に延びる筒状の部位であっても良い。また、縮小部は、接続部の下流側の端部から流下方向に延びる筒状の部位であって、接続部よりも細い部位であっても良い。また、誘導部は、排ガスを熱交換部に誘導しても良い。また、熱交換部は、縮小部の側方に配置されていても良い。そして、誘導部は、縮小部に流入した排ガスを縮小部の側方に流出させることで、排ガスを熱交換部に誘導しても良い。
【0011】
浄化装置を通過した排ガスは、流速及び進路が不均一となる。これに対し、上記構成によれば、浄化装置を通過した排ガスの流路が縮小部にて狭められる。このため、縮小部を流下する排ガスの流速が向上する。この時、排ガスの流速及び進路がより均一になる。そして、このような排ガスを集合部の側方に流出させることで、排ガスが熱交換部に誘導される。このため、熱交換部に向かう排ガスの流速、及び、熱交換部を流下する排ガスの流速が向上する。これにより、熱交換部の排ガスの温度がより高温に保たれる。したがって、熱交換の効率が向上する。
【0012】
本開示の一側面の一体型排気熱回収装置において、縮小部は、熱交換部が側方に配置された部位の下流側に位置する流入口を有しても良い。そして、誘導部は、縮小部における流入口の下流側に位置する誘導位置を閉鎖し、誘導位置に到達した排ガスを流下方向の反対側に向けて移動させ、さらに、流入口から縮小部の側方に排ガスを流出させることで、排ガスを熱交換部に誘導しても良い。
【0013】
このような構成によれば、縮小部を高速に流下する排ガスの進路が反転され、流入口から縮小部の側方に流出する。これにより、排ガスが熱交換部に誘導される。このため、熱交換部に向かう排ガスの流速、及び、熱交換部を流下する排ガスの流速がより向上する。その結果、熱交換部の排ガスの温度がより一層高温に保たれる。したがって、熱交換の効率がより向上する。
【0014】
本開示の一側面の一体型排気熱回収装置において、誘導部は、誘導位置を開閉するバルブであり、誘導位置を閉鎖することで、排ガスを熱交換部に誘導しても良い。
このような構成によれば、排ガスと流体との間の熱交換を行うか否かの切り換えが可能となる。また、縮小部の側面に、熱交換部に繋がる流入口が設けられている。このため、誘導位置を開放した場合、排ガスは熱交換部に向かい難くなる。したがって、必要以上に熱交換が行われるのを抑止できる。
【0015】
本開示の一側面の一体型排気熱回収装置において、プレートは、縮小部の側方を取り囲んだ状態で、流下方向に沿って重なった状態で配置されていても良い。
このような構成によれば、接続部よりも細い縮小部の側方のスペースを有効活用できる。このため、熱交換器等をコンパクトに収容可能となる。したがって、一体型排気熱回収装置の小型化が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本開示の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0019】
[全体の構成の説明]
本実施形態の一体型排気熱回収装置1は、例えば、エンジンを有する車両等の移動体に搭載される(
図1)。一体型排気熱回収装置1は、エンジン等の排ガスを浄化する浄化装置と、排ガスの熱を回収する排気熱回収装置とが一体化されて構成される。一体型排気熱回収装置1は、エンジン等の排ガスの流路である排ガス流路に配置される。換言すれば、一体型排気熱回収装置1は、排ガス流路の一部の区間を内部に有する。以後、排ガス流路の上流側を単に上流側と、排ガス流路の下流側を単に下流側と記載する。
【0020】
一体型排気熱回収装置1では、高温の流体である排ガス100とエンジンの冷却液との間で熱交換が行われる。つまり、排ガス100の熱がエンジンの冷却液に伝達される。これにより、排ガス100から熱が回収される。なお、冷却液は、例えば、冷却水又は油液であっても良い。
【0021】
また、一体型排気熱回収装置1は、浄化装置21を有する。浄化装置21は、排ガス100を浄化する。浄化装置21は、例えば、外形が円柱状の触媒又はフィルタ等であっても良い。なお、このような触媒等は、内部に、高さ方向に延びる排ガス100の流路を多数有する。触媒は、排ガス100を酸化又は還元させる。これにより、排ガス100が浄化される。具体的には、触媒とは、例えば酸化触媒であっても良い。酸化触媒は、例えば、ディーゼルエンジンからの排ガス100に含まれる一酸化窒素(NO)、一酸化炭素(CO)、又は、炭化水素(HC)等の物質を酸化させる。また、触媒とは、例えばSCR触媒(Selective Catalytic Reduction)であっても良い。SCR触媒は、例えば、ディーゼルエンジンからの排ガス100に含まれるNOxを還元する。また、フィルタとは、例えば、排ガス100のPM(粒子状物質)を補足して燃焼させるものであっても良い。
【0022】
また、一体型排気熱回収装置1は、上流側排気管2、下流側排気管3、熱交換室4、仕切り部材5、バルブ装置6、及び、シェル部材7等を有する。
上流側排気管2は、両端が開口した円筒状の部材である。上流側排気管2は流下方向に延びる。流下方向とは、排ガス流路の下流側に向かう方向である。上流側排気管2の内側の空間は、排ガス100の流路となる。上流側排気管2の上流側の開口(以後、入口)は、エキゾーストマニホールド等に繋がっている。エキゾーストマニホールドとは、エンジンからの排ガスが流入する部材である。上流側排気管2は、配置部20を有する。配置部20は、上流側排気管2の入口から所定距離を隔てた位置から下流側の開口(以後、出口)にわたる部位である。配置部20は、上流側排気管2の入口周辺に比べ径が大きい。配置部20には、浄化装置21が配置される。
【0023】
シェル部材7は、両端が開口した円筒状の部材である。シェル部材7は、流下方向に延びる。シェル部材7の内側の空間は、上流側排気管2の下流側の排ガス100の流路となる。シェル部材7の内側の空間には、下流側排気管3、熱交換室4、仕切り部材5、及び、バルブ装置6等が配置される。
【0024】
下流側排気管3は、両端が開口した円筒状の部位である。下流側排気管3は、流下方向に延びる。下流側排気管3の内側の空間は、排ガス100の流路となる。下流側排気管3の上流側の開口(以後、入口)は、上流側排気管2の出口(換言すれば、配置部20の下流側の端部)に繋がっている。下流側排気管3の入口は、配置部20に配置された浄化装置21に対面した状態になる。
【0025】
また、下流側排気管3は、接続部30及び集合部31の2つの区間を有する。接続部30は、下流側排気管3の入口から延びる区間である。接続部30は、下流側に向かうにつれ径が小さくなっている。換言すれば、接続部30は、下流側に向かって細くなっている。接続部30は、配置部20と集合部31とを繋ぐ。一方、集合部31は、接続部30の下流側の端部から流下方向に延びる区間である。集合部31は、径が略一定となっている。また、集合部31は、配置部20よりも細い。
【0026】
熱交換室4は、集合部31の側方を取り囲む環状の空間である。熱交換室4は、上流側排気管2(換言すれば、配置部20)の下流側に位置する。熱交換室4は、接続部30と、集合部31と、シェル部材7と、仕切り部材5の仕切り部51(詳細は後述する)等とに囲まれた空間である。熱交換室4には、後述する熱交換器40が配置される。熱交換器40により、排ガス100の熱が冷却液に伝達される。
【0027】
仕切り部材5は、筒状部50及び仕切り部51等を有する。
筒状部50は、円筒状の部位である。筒状部50は、集合部31における下流側の開口(以後、出口)周辺の部位を側方から覆う。また、筒状部50は、集合部31の出口の下流側の空間を側方から覆う。筒状部50は、集合部31の側面との間に隙間を有した状態で配置される。該隙間は、熱交換室4への流入経路52となる。また、集合部31における出口を囲む縁部と、筒状部50の側面の内側との間が、流入経路52の入口である流入口52aとなる。流入経路52は、下流側排気管3の出口の周囲、及び、下流側排気管3の出口周辺の側面を取り囲む状態で配置される。また、流入口52aは、下流側排気管3の出口の周囲を取り囲む状態で配置される。また、筒状部50の下流側の開口(以後、出口55)は、バルブ装置6の弁体60により開閉される。筒状部50の出口55の周囲には、緩衝部材54が配置されている。緩衝部材54は、出口55の周囲を取り囲む。緩衝部材54により、弁体60が出口55を閉鎖する際の衝撃が緩和される。なお、緩衝部材54は、例えば、ワイヤメッシュであっても良い。ワイヤメッシュとは、ステンレス等の金属製のワイヤ状の部材を編み込んで構成された部材である。
【0028】
また、仕切り部51は、筒状部50の上流側の端部に位置するフランジ状の部位である。換言すれば、仕切り部51は、筒状部50の上流側の開口の外縁から側方に突出する板状の部位である。仕切り部51は、筒状部50の上流側の開口の周囲を取り囲む環状の部位である。仕切り部51は、熱交換室4の下流側の端部を覆っている。仕切り部51は、その外周をなす縁部とシェル部材7の側面の内側との間に隙間を有した状態で配置される。該隙間は、熱交換室4からの排ガス100の流出口53となる。流出口53は、シェル部材7の側面の内側に沿って、集合部31及び仕切り部材5等を取り囲んだ状態で配置される。
【0029】
バルブ装置6は、弁体60により筒状部50の出口55を開閉する。弁体60は、図示しないばね及びアクチュエータ等により作動される。バルブ装置6により筒状部50の出口55が閉鎖されている時、排ガス100は、出口55に到達すると、弁体60に衝突して流下方向の反対側に移動する。そして、排ガス100は、熱交換室4への流入経路52に流入する。この時、排ガス100は、集合部31及び筒状部50の内部からラジアル方向に広がりながら流入経路52に流入する。そして、排ガス100は、流入経路52を流下方向の反対側に向かって流下する。その後、排ガス100は、流入経路52を通過して熱交換室4に流入する。熱交換室4では、排ガス100が熱交換器40のプレート42と接触する。これにより、排ガス100の熱が冷却液に伝達される。その後、排ガス100は、流出口53から熱交換室4の外部に流出する。そして、排ガス100は、下流側に向かって流下し、シェル部材7の下流側の開口(以後、出口)から外部に流出する。
【0030】
一方、バルブ装置6により出口55が開放されている時、排ガス100は、筒状部50の下流側の端部に到達すると、出口55を通過する。その後、シェル部材7の出口から外部に流出する。
【0031】
なお、バルブ装置6を設けず、常時筒状部50の出口55を閉鎖しても良い。これにより、排ガス100が常時熱交換室4に誘導される。
[熱交換器の構成の説明]
次に、熱交換器40について説明する(
図2A,2B)。熱交換器40は、2つの結合部材41、及び、複数のプレート42等を有する。
【0032】
複数のプレート42は、同じ部材となっている。以下、複数のプレート42のうち1つのプレート42に着目して説明する。プレート42は、帯状の部材である。換言すれば、プレート42は、幅が略一定である扁平な細長い部材である。プレート42は、幅方向に湾曲しており、半円の円弧状になっている。プレート42は、内部に、冷却液110が流下する空間である熱交換流路42aを有する。熱交換流路42aは、プレート42の一端から他端にかけて延びている。プレート42の両端には、熱交換流路42aに繋がる開口が設けられている。
【0033】
結合部材41は、細長い略直方体形状の部位である。結合部材41は、開口部41b及び2つの接続面41aを有する。開口部41bは、結合部材41における長手方向に延びる外面(長手外面)のうちの1つに設けられている。開口部41bは、結合部材41の長手方向に延びる細長い形状となっている。また、開口部41bが設けられた長手外面を挟んで対面する2つの長手外面が、接続面41aとなっている。
【0034】
各接続面41aには、プレート42を接続する接続口がN個(Nは2以上の整数)設けられている。なお、本実施形態では、一例として、N=5となっている。これらの接続口は、等間隔で配置されている。これらの接続口は、結合部材41の長手方向に沿って並んでいる。換言すれば、これらの接続口は、開口部41bに沿って配されている。1つの接続口には、1つのプレート42の端部を接続可能となっている。プレート42の端部を接続口に向けて押圧することで、接続口とプレート42の端部とが接続される。
【0035】
また、結合部材41は、内部に冷却液110の流路を有する。該流路は、結合部材41の長手方向に延びている。接続口及び開口部41bは、該流路に繋がる。
各結合部材41における各接続面41aのN個の接続口には、それぞれ、プレート42の端部が接続される。この時、各接続面41aの接続口に接続されたN個のプレート42は、該接続面41aから同方向に突出した状態となる。また、この時、各プレート42は、結合部材41の開口部41bの反対側に向かって湾曲した状態となる。
【0036】
熱交換器40では、2つのプレート42が、2つの結合部材41を挟んで対面した状態で配置される。以下、2つのプレート42(2つで一組のプレート42)に着目して説明する。各結合部材41は、この2つのプレート42の端部同士を繋ぐ。換言すれば、各結合部材41は、2つのプレート42の熱交換流路42aの端部同士を繋ぐ。2つのプレート42は、環状に配置される。また、2つのプレート42は、集合部31の側方を取り囲んだ状態で配置される。また、2つの結合部材41、及び、2つのプレート42は、それぞれ、線対称に配置される。
【0037】
そして、このような2つのプレート42からなる組が、流下方向に沿ってN個重なった状態で配置される。換言すれば、各組のプレート42が、流下方向に積層された状態となる。各層のプレート42は、隣接する層のプレート42に対し、隙間を有した状態となる。また、結合部材41の開口部41bは、対面する2つのプレート42からなる環の外側を向いた状態となる。換言すれば、結合部材41の開口部41bは、流下方向に延びる集合部31の側方に向かって開口した状態となる。この時、開口部41bは、各プレート42の熱交換流路42aの端部に対し、集合部31の側方側に位置する。換言すれば、開口部41bの内側(冷却液110の流路側)に、各プレート42の熱交換流路42aの端部が位置する。
【0038】
2つのプレート42で形成される外周の直径は、円柱状の浄化装置21の幅(換言すれば、浄化装置21における流下方向に直交する円形の断面の直径)以下となっている。換言すれば、各組に含まれる2つのプレート42からなる環の外周の直径は、浄化装置21の幅以下となっている。
【0039】
また、結合部材41の開口部41bは、結合部材41の内部の流路を介して、各接続面41aの全ての接続口に繋がっている。このため、各結合部材41の開口部41bは、結合部材41に接続された全てのプレート42の熱交換流路42aに繋がった状態となる。換言すれば、各プレート42の熱交換流路42aは、共通の開口部41bに繋がっている。
【0040】
そして、各結合部材41の開口部41bは、エンジン等に繋がる冷却液110の流路に接続される。一方の結合部材41(以後、入口部)の開口部41bは、各プレート42の熱交換流路42aに冷却液110の入口となる。換言すれば、該開口部41bは、各プレート42の熱交換流路42aへの共通の入口となる。また、他方の結合部材41(以後、出口部)の開口部41bは、各プレート42の熱交換流路42aからの冷却液110の出口となる。換言すれば、該開口部41bは、各プレート42の熱交換流路42aからの共通の出口となる。
【0041】
入口に到達した冷却液110は、入口部の内部に流入する。入口の両側には、接続面41aが位置する。また、各接続面41aでは、接続口が等間隔に配置されている。このため、冷却液110が一部のプレート42の熱交換流路42aに偏って流入するのを抑制できる。そして、冷却液110は、各プレート42の熱交換流路42aを通過すると、出口部の接続口から出口部の内部に流入する。その後、冷却液110は、出口から冷却液110の流路に流出する。
【0042】
[効果]
本実施形態の一体型排気熱回収装置1では、流下方向に積層された複数のプレート42により、排ガス100と冷却液110との間の熱交換が行われる。複数のプレート42は、2つの結合部材41に接続されている。また、各プレート42の熱交換流路42aの一端には、一方の結合部材41の開口部41b(入口)から冷却液110が流入する。熱交換流路42aの他端を通過した冷却液110は、他方の結合部材41の開口部41b(出口)から外部に流出する。そして、冷却液110の入口及び出口は、流下方向の側方に向かって開口している。このため、各層のプレート42における熱交換流路42aと入口との間の距離のばらつき、及び、熱交換流路42aと出口との間の距離のばらつきを抑制できる。したがって、各層のプレート42における冷却液110の流れをより均一化することができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、排ガス100と冷却液110との間で熱交換を行う排気熱回収装置と排ガスの浄化装置21とが一体化される。このため、排気熱回収装置等の配置スペースを縮小可能となる。さらに、冷却液110の入口及び出口が流下方向に開口している場合に比べ、一体型排気熱回収装置1の流下方向の長さを抑制できる。その結果、一体型排気熱回収装置1の配置位置をより柔軟に定めることが可能となる。
【0044】
したがって、熱交換の効率を良好にしつつ、排熱回収装置等の配置を容易にすることができる。
さらに、排気熱回収装置と浄化装置21とが一体になっているため、これらのハウジングを一体的に構成することができる。このため、部品数を抑えることができる。
【0045】
また、一体型排気熱回収装置1の流下方向の長さが抑制された結果、一体型排気熱回収装置1を、排ガス流路のより上流側に配置可能となる。このため、より高温の排ガスとの間で熱交換を行うことができる。その結果、熱交換の効率を向上させることが可能となる。
【0046】
また、熱交換器40の複数のプレート42には、複数のプレート42が積層される流下方向の側方から冷却液の出し入れが行われる。このため、複数のプレート42の構造を同一にすることが可能となる。
【0047】
また、浄化装置21を通過した排ガス100は、流速及び進路が不均一となる。これに対し、本実施形態の一体型排気熱回収装置1では、浄化装置21を通過した排ガス100の流路が、集合部31及び筒状部50にて狭められる。このため、集合部31等を流下する排ガス100の流速が向上する。この時、排ガス100の流速及び進路がより均一になる。そして、このような排ガス100を集合部31の側方に流出させることで、排ガス100が熱交換室4に誘導される。このため、流入経路52及び熱交換室4を流下する排ガス100の流速が向上する。これにより、熱交換室4の排ガス100の温度がより高温に保たれる。したがって、熱交換の効率が向上する。
【0048】
また、本実施形態の一体型排気熱回収装置1では、集合部31及び筒状部50を高速に流下する排ガス100の進路が反転され、流入経路52に流出する。このため、流入経路52及び熱交換室4を流下する排ガス100の流速がより向上する。また、この時、排ガス100は、ラジアル方向に広がりながら流入経路52に流入する。このため、排ガス100が、特定の領域に偏った状態で熱交換室4に流入するのを抑制できる。その結果、熱交換室4の排ガス100の温度がより一層高温に保たれる。したがって、熱交換の効率がより向上する。
【0049】
また、本実施形態の一体型排気熱回収装置1では、バルブ装置6により筒状部50の出口55を開閉可能となっている。このため、熱交換を行うか否かの切り換えが可能となる。また、集合部31の側方に、熱交換室4への流入経路52の入口である流入口52aが設けられている。このため、出口55を開放した場合、排ガス100は熱交換室4に流入し難くなる。したがって、必要以上に熱交換が行われるのを抑止できる。
【0050】
また、本実施形態の一体型排気熱回収装置1では、集合部31の側方を取り囲んだ状態で、熱交換器40のプレート42が配置される。このため、集合部31の側方のスペースを有効活用できる。これにより、熱交換器40等をコンパクトに収容可能となる。したがって、一体型排気熱回収装置1の小型化が可能となる。
【0051】
さらに、2つのプレート42で形成される外周の直径は、浄化装置21の幅以下となっている。このため、シェル部材7の形状が一体型排気熱回収装置1の幅方向に突出するのを抑制できる。
【0052】
また、積層された熱交換器40の各プレート42は、同一の構造となっている。そして、各層では、2つのプレート42が集合部31の側方を取り囲んで環状に配置されている。また、2つのプレート42は、線対称に配置される。このため、各層における2つのプレート42の冷却液110の流れを、より一層均一化できる。その結果、熱交換の効率を向上させることができる。
【0053】
[他の実施形態]
(1)本実施形態の一体型排気熱回収装置1の上流側排気管2、下流側排気管3、仕切り部材5の筒状部50、シェル部材7等は、円筒状となっている。しかしながら、これに限らず、これらの部材は、円筒状以外の筒状の形状となっていても良い。
【0054】
(2)本実施形態の一体型排気熱回収装置1では、集合部31及び筒状部50にて排ガス100の流路が狭められる。そして、筒状部50の出口55にて排ガス100の進路を反転させることで、排ガス100を熱交換室4に誘導している。
【0055】
しかし、排ガスの流路が狭めたり、排ガスの進路を反転させたりすること無く排ガスを熱交換室に誘導しても良い。例えば、熱交換室の上流側で排ガスの進路を調整し、排ガスを熱交換室に誘導しても良い。具体的には、例えば、浄化装置21が配置された配置部20の下流側に隣接して熱交換室を配置しても良い。そして、配置部20を通過した排ガスが、そのまま熱交換室に流入するようにしても良い。また、例えば、配置部20と熱交換室との間にバルブ装置を設けても良い。そして、バルブ装置により、排ガスを、熱交換室に向かう流路と、熱交換室に進入せずにシェル部材7の出口に向かう流路とのうちのいずれかに誘導しても良い。
【0056】
(3)本実施形態では、熱交換器40のプレート42の形状は、半円の円弧状となっている。しかし、プレートの形状はこれに限らず、帯状部材を幅方向に屈曲又は湾曲した形状(例えば、L字状やU字状)とすることができる。このような場合でも、本実施形態と同様にして、結合部材41を用いて、集合部31を側方から取り囲んだ状態でプレートを配置することができる。
【0057】
また、上記(2)のように、排ガスの進路を反転させること無く排ガスを熱交換室に誘導する場合、集合部31の側方を取り囲んだ状態でプレートを配置する必要は無い。そして、このような場合には、プレートの形状は、帯状に限らず、例えば、円形又は多角形等、様々な扁平な形状とすることができる。このような場合には、プレートの形状又は配置位置等に応じて、各プレートの熱交換流路を繋ぐ結合部材の接続口の位置や形状等を調整するのが好適である。無論、このような場合であっても、結合部材の開口部は、プレートが積層される方向である流下方向の側方に向かって開口した状態で配置される。この時、開口部は、各プレートの熱交換流路の端部に対し、流下方向の側方側に位置する。換言すれば、開口部の内側(冷却液の流路側)に、各プレートの熱交換流路の端部が位置する。
【0058】
[特許請求の範囲との対応]
上記実施形態の説明で用いた用語と、特許請求の範囲の記載に用いた用語との対応を示す。
【0059】
下流側排気管3、仕切り部材5、バルブ装置6、及び、シェル部材7が、排ガス制御部の一例に、熱交換室4が熱交換部の一例に相当する。
また、筒状部50の出口55の周辺の部分、及び、集合部31が、縮小部の一例に相当する。また、バルブ装置6が誘導部の一例に、出口55が誘導位置の一例に、冷却液が流体の一例に相当する。