【実施例】
【0035】
〔実施例1〕
実施例1では、清掃用ウェットシート1として以下のものを用いた。
疎水性繊維にはポリエチレンテレフタレートを主成分とする不織布を用い、親水性繊維にはパルプ原料を主成分とする繊維を用いた。
また、疎水性繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンなどを主成分とする化学繊維が適用される。具体的には、外層3は、疎水性繊維が100%で構成されており、疎水性繊維としてポリエチレンテレフタレートが90%含有され、バインダー繊維としてポリプロピレンとポリエチレンの芯鞘繊維が10%含有されている。また、ポリエチレンテレフタレート繊維は、繊度が3.3dtex、バインダー繊維は、繊度1.7dtexのものを用いた。
薬液には、水を溶媒とし、界面活性剤(陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤および両性界面活性剤)、水溶性溶剤(1価アルコールあるいは多価アルコール)を用いた。本実施例では、水93.65%、非イオン界面活性剤としてプリストール1%、両性界面活性剤としてラウリルジメチルアミンオキシド0.5%、アルコール類としてエタノール3.4%、1−メトキシー2−プロパノール1.4%、第4級アンモニウム塩として塩化ベンザルコニウム0.05%を各々配合し、その結果、25℃における粘度が2.8mPa・sの薬液を得た。
また、外層3の交絡部31の平面視における面積率を50%に形成した。
【0036】
〔実施例2〕
実施例2では、水92.65%、非イオン界面活性剤としてプリストール2%、両性界面活性剤としてラウリルジメチルアミンオキシド0.5%、アルコール類としてエタノール3.4%、1−メトキシー2−プロパノール1.4%、第4級アンモニウム塩として塩化ベンザルコニウム0.05%を各々配合し、その結果、25℃における粘度が3.0mPa・sの薬液を得た。
また、外層3の交絡部31の平面視における面積率を80%に形成した。
この他の構成は、実施例1と同様である。
【0037】
〔実施例3〕
実施例3では、水89.65%、非イオン界面活性剤としてプリストール5%、両性界面活性剤としてラウリルジメチルアミンオキシド0.5%、アルコール類としてエタノール3.4%、1−メトキシー2−プロパノール1.4%、第4級アンモニウム塩として塩化ベンザルコニウム0.05%を各々配合し、その結果、25℃における粘度が3.4mPa・sの薬液を得た。
また、外層3の交絡部31の平面視における面積率を23%に形成した。
この他の構成は、実施例1と同様である。
【0038】
〔実施例4〕
実施例4では、水96.60%、アルコール類としてエタノール3.4%を各々配合し、その結果、25℃における粘度が1.0mPa・sの薬液を得た。
また、外層3の交絡部31の平面視における面積率を40%に形成した。
この他の構成は、実施例1と同様である。
【0039】
〔実施例5〕
実施例5では、水93.55%、非イオン界面活性剤としてプリストール1%、両性界面活性剤としてラウリルジメチルアミンオキシド0.5%、アルコール類としてエタノール3.4%、1−メトキシー2−プロパノール1.4%、第4級アンモニウム塩として塩化ベンザルコニウム0.05%、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)0.1%を各々配合し、その結果、25℃における粘度が15.0mPa・sの薬液を得た。
また、外層3の交絡部31の平面視における面積率を60%に形成した。
この他の構成は、実施例1と同様である。
【0040】
〔実施例6〕
実施例6では、水89.60%、非イオン界面活性剤としてプリストール5%、両性界面活性剤としてラウリルジメチルアミンオキシド0.5%、アルコール類としてエタノール3.4%、1−メトキシー2−プロパノール1.4%、第4級アンモニウム塩として塩化ベンザルコニウム0.1%を各々配合し、その結果、25℃における粘度が4.0mPa・sの薬液を得た。
また、外層3の交絡部31の平面視における面積率を85%に形成した。
この他の構成は、実施例1と同様である。
【0041】
〔比較例1〕
比較例も実施例と同様に、疎水性繊維として実施例1と同一のものを用いた。
また、水93.35%、非イオン界面活性剤としてプリストール1%、両性界面活性剤としてラウリルジメチルアミンオキシド0.5%、アルコール類としてエタノール3.4%、1−メトキシー2−プロパノール1.4%、第4級アンモニウム塩として塩化ベンザルコニウム0.05%、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)0.3%を各々配合した結果、25℃における粘度が37.6mPa・sの薬液を得た。
また、外層3の交絡部31の平面視における面積率を50%に形成した。
【0042】
〔比較例2〕
比較例2では、水93.60%、非イオン界面活性剤としてプリストール1%、両性界面活性剤としてラウリルジメチルアミンオキシド0.5%、アルコール類としてエタノール3.4%、1−メトキシー2−プロパノール1.4%、第4級アンモニウム塩として塩化ベンザルコニウム0.05%、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)0.05%を各々配合し、その結果、25℃における粘度が10.0mPa・sの薬液を得た。 また、外層3の交絡部31の平面視における面積率を0%に形成した。
この他の構成は、実施例1と同様である。
【0043】
〔比較例3〕
比較例3では、水20.00%、アセトニトリル80.00%を各々配合し、その結果、25℃における粘度が0.5mPa・sの薬液を得た。
また、外層3の交絡部31の平面視における面積率を50%に形成した。
この他の構成は、実施例1と同様である。
【0044】
〔比較例4〕
比較例4では、水93.50%、非イオン界面活性剤としてプリストール1%、両性界面活性剤としてラウリルジメチルアミンオキシド0.5%、アルコール類としてエタノール3.4%、1−メトキシー2−プロパノール1.4%、第4級アンモニウム塩として塩化ベンザルコニウム0.05%、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)0.15%を各々配合し、その結果、25℃における粘度が18.0mPa・sの薬液を得た。
また、外層3の交絡部31の平面視における面積率を50%に形成した。
この他の構成は、実施例1と同様である。
【0045】
以上の実施例1−6および比較例1−4の清掃用ウェットシート1を用いた拭き取り回数試験を行った。
拭き取り回数試験方法は、清掃用ウェットシート1の取付用治具(クイックルワイパー/花王株式会社2015年製)に清掃用ウェットシート1をたるみなく取り付け、アクリル板で形成した床面を一方向に拭く。冶具の横幅25cmでアクリル板床面(縦90cm、横130cm)の縦方向に沿ってアクリル板床面の端から端までの90cmの拭き取り作業を1回として測定する。
1.床面と取付用治具軸の角度は、60度とし、角度変動しないようヘッドの軸元を市販ボンドで固定する。
2.ヘッドの軸に、筒状円柱の530gの錘(直径100mm長さ200mm)を通し、シートを装着する。
3.測定は幅1300mm×奥行900mmの市販アクリル板を床面に用い、冶具の軸を床面と取付用治具軸の角度が、60度となるように手前側にし、手前から奥へ300mm/sの速度で清掃する。
4.清掃後の面と重ならないようアクリル板床面の幅方向に順次清掃を実施する。
5.次測定の前に清掃用ウェットシート残液を乾いた布でくまなく除去する。
前述の条件により、清掃用ウェットシート1の全幅から薬液が放出されなくなった状態を終点とし、終点に達するまでの拭いた回数(有効拭き回数)を測定する。
6.言い換えれば、床面への薬液放出が明らかに認められない部分が拭き筋として発生し、途中で薬液がかすれて放出されていない状態が全幅で発生した時点が終点となる。
7.終点と判断した回は、回数に含まず測定した。また、測定した拭き回数から以下の式により、有効拭き面積を算出した。
有効拭き面積(m
2)=0.25×0.9m×(回数)
また、上記の試験を5回実施し、有効拭き回数、有効拭き面積の平均値を測定値とする。
そして、有効拭き回数が30回以上を○とし、30回未満を×として評価した。
【0046】
また、捕集性の試験としては、拭き取り面に配置した各種捕集物をどの程度捕集することができたかを調べた。
試験方法は、図示しない清掃用ウェットシート1の取付用治具に清掃用ウェットシート1を取り付けてアクリル板で形成した床面を摺動させて拭くこととした。
また、取付治具は、取っ手となる棒状部材の先端に平板部材が略全方向に回動可能に取り付けられており、この平板部材に清掃用ウェットシート1を取り付けるようになっている。
また、平板部材には、450gの錘を取り付けて清掃用ウェットシート1と床面との押圧力が一定になるようにした。
拭き動作としては、清掃用ウェットシート1を幅50cmの拭き取り面に対し、中央から右へ25cm、左へ50cm、再び右へ25cm移動させて、拭き取り面を1往復するものとした。
捕集物としては、砂塵、毛髪の3種類について試験を行った。
具体的には、
図5に示すように、毛髪Hは、拭き方向に沿って3本並べ、拭き方向に直角に2本並べたものを拭いた。
砂塵は、JIS Z 8901試験用粉体1 No.7(関東ローム層)を200メッシュのふるいに掛けたものを0.2g採取し、床面に設けた5cm×15cmの枠内に配置し、拭き取れた砂塵の量を目視確認し、以下のように評価した。
毛髪は、〇:5本中4−5本捕集、△:5本中2−3本、×:5本中0−1本捕集、という基準により評価した。
また、砂塵は、拭き取れた量を目視確認し、〇△×の評価を行った。
【0047】
また、床面のベタつき評価は、ユーザーによる実使用官能評価である。具体的には、20人のユーザーが、実施例1〜6および比較例1〜4の清掃用ウェットシートを用いて清掃しながら歩いて、べたつきを感じるかどうかで評価した。評価は、べたつきを感じる人数
5名以下:○、6〜14名:△、15名以上:×とした
【表1】
【0048】
表1の結果について以下に述べる。
実施例1−6と比較例1−4とを比較すると、薬液の粘度を1−15mPa・sとしても、高粘度のものと同等以上の有効拭き面積および有効拭き回数を実現でき、特に、有効拭き回数は30回以上を実現できた。
また、ごみの捕集性については、薬液の粘度を1−15mPa・sとしても影響がなく、むしろ、ごみの種別に関係なく一定以上の捕集性を実現できた。また、ベタつき評価も実施例1−6については、全て○で良好であった。
よって、本願発明においては、薬液粘度が1−15mPa・sと低粘度であっても、薬液の放出量を抑制して有効拭き面積、ごみの捕集量を維持できることが確認できた。