【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の加熱調理器は、水平方向に沿う平板状に形成されかつ上面部と下面部とのうちの下面部のみに加熱部が形成された調理用加熱体が、直方体状の加熱室の内部の上部側に設けられ、
前記加熱室で発生した調理排気を上方の排気出口に向けて案内する排気路を形成する排気筒が、前記加熱室の4つの側壁部のうちの一つの側壁部の上方側部に、上方に突出する姿勢で接続され、
前記調理用加熱体と前記加熱室の天井部との間に、前記加熱室で発生した調理排気を前記排気路の下方側の流入口に誘導する排気誘導路が形成されたものであって、その第1特徴構成は、
前記調理用加熱体の横幅が前記加熱室の横幅より狭く形成されて、前記調理用加熱体の両横側箇所に前記調理排気を前記排気誘導路に流動させる通路が形成され、且つ、前記調理用加熱体の前後幅が前記加熱室の前後幅より狭く形成されて、前記調理用加熱体の前方側箇所に前記調理排気を前記排気誘導路に流動させる通路が形成され、
前記加熱室の天井部の上面及び前記排気筒の外面に沿って外気導入口から導入された冷却用空気を流動させる冷却用空気流動路が形成され、
前記排気路を流動する調理排気を前記排気筒の内面に向けて偏向させる偏向用板部が設けられている点を特徴とする。
【0013】
すなわち、調理排気が排気路を流動すると、排気筒が高温状態になるため、排気筒の外周部には、上昇流動する空気の流れが発生することになり、その空気流れによるドラフト作用によって、外部空気を冷却用空気として冷却用空気流動路に導入して、冷却用空気流動路を通して冷却用空気を流動させて、加熱室の天井部や排気筒を冷却できる。
【0014】
したがって、被調理物から流出する油分に引火する等により、万が一、加熱室の内部に火炎が発生することがあっても、この火炎が排気誘導路を流動する過程において、加熱室の天井部やグリルバーナの上面部に接触して冷却されることによって、消炎されることになる。
特に、加熱室の天井部は、冷却用空気流動路を通して流動する冷却用空気によって冷却されているから、火炎の冷却作用を適切に発揮することになる。
【0015】
また、排気誘導路を流動する過程において火炎が消火されないことがあっても、排気筒に接触して冷却されることによって、消炎できるものとなる。
特に、排気筒は、冷却用空気流動路を通して流動する冷却用空気によって冷却されているから、火炎の冷却作用を適切に発揮することになる。
【0016】
しかも、火炎が排気路を流動する状態となると、偏向用板部によって、火炎が排気筒の内面に向けて偏向されることになるから、排気路を流動する火炎は、偏向用板部との接触や排気筒との接触により、的確に冷却されて、消炎されることになる。
【0017】
以上の通り、冷却用空気流動路を通して冷却用空気を流動させること、及び、排気路に偏向用板部を備えることによって、火炎の冷却作用が高められているため、加熱室の内部に火炎が発生することがあっても、的確に消炎させることができる。
【0018】
そして、冷却用空気流動路を通した冷却用空気の流動は、排気筒の外周部において上昇流動する空気の流れのドラフト作用を利用して行うことができ、また、偏向用板部は、多孔状ではない、安価な単なる板材を用いて構成できるものであるから、製造コストの増大を抑制しながら、火炎の冷却作用を高めることができる。
【0019】
また、偏向用板部は、単に、調理排気の流れる方向を変化させるものであるから、偏向用板部の設置により、調理排気を排気する排気抵抗が大きく増加することを抑制できる。
【0020】
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、製造コストの増大を抑制し、しかも、調理排気を排気する排気抵抗の増加を抑制しながら、火炎の冷却作用を高めて、安全性を一層向上させることができる加熱調理器を提供できる。
【0021】
本発明の加熱調理器の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記排気筒が、横断面形状が4角状に形成され、
前記排気路の長手方向での位置を異ならせた複数の前記偏向用板部が、前記排気筒の対向する一対の壁部に対して交互に設置する状態で、且つ、前記壁部から片持ち状に突出する突出姿勢で設けられている点を特徴とする。
【0022】
すなわち、排気経路が、排気筒の対向する一対の壁部に交互に設置された偏向用板部の存在によって、屈曲経路状となるから、火炎が排気路を流動する状態が発生した際に、流動する火炎を蛇行状態で流動させながら、偏向用板部や排気筒に繰り返し接触させて冷却させることができるため、消炎作用を良好に発揮させることができる。
【0023】
つまり、火炎が排気路を流動する状態が発生した際に、排気路を流動する火炎を、偏向板部や排気路の内面に繰り返し接触させながら十分に冷却することができるため、的確に消炎させることが可能となる。
【0024】
要するに、本発明の第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、排気路を流動する火炎を的確に消炎させることができる加熱調理器を提供できる。
【0025】
本発明の加熱調理器の第3特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記加熱室の前記排気筒が接続される前記側壁部に、前記排気誘導路に連通する延長誘導路を形成する延長筒部が、水平方向に伸びる状態で設けられ、
前記排気筒が、横断面形状が4角状に形成され且つ前記延長筒部の端部に接続され、
前記排気筒の前記加熱室に対する遠近方向に位置する一対の壁部のうちの前記加熱室の存在側に位置する加熱室存在側壁部の下端部に、前記偏向用板部としての下方側偏向用板部が、前記加熱室から離れる側で且つ下方側に向けて伸びる傾斜姿勢に片持ち状に支持された状態で設けられている点を特徴とする。
【0026】
すなわち、火炎が排気誘導路を流動するときに、消炎されないことがあっても、延長誘導路を火炎が流動するときに、火炎を延長筒部との接触により冷却して、消炎させることが可能となる。
【0027】
そして、火炎が延長誘導路を流動するときに消炎されずに、火炎が延長筒部から排気筒の内部に流動する状態が発生した際に、下方側偏向用板部の偏向作用によって、火炎が延長筒部の底面や排気筒の内面に接触しながら流動するため、延長筒部の底面による冷却作用及び排気筒の内面による冷却作用を発揮させて、消炎させることが可能となる。
【0028】
つまり、火炎が排気誘導路を流動するときに、消炎されないことがあっても、延長誘導路を火炎が流動するときに、消炎させることが可能となり、さらには、火炎が延長誘導路を流動するときに消炎されずに、火炎が延長筒部から排気筒の内部に流動する状態が発生した際に、延長筒部の底面による冷却作用及び排気筒の内面による冷却作用を的確に発揮させて、消炎させることが可能となるのであり、消炎機能を向上させることができる。
【0029】
要するに、本発明の第3特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、消炎機能を向上させることができる加熱調理器を提供できる。
【0030】
本発明の加熱調理器の第4特徴構成は、上記第3特徴構成に加えて、
前記排気筒の前記加熱室に対する遠近方向に位置する一対の壁部のうちの前記加熱室から離間する側に位置する加熱室離間側壁部に、前記偏向用板部としての上方側偏向用板部が、前記下方側偏向用板部よりも上方に位置させる状態で、かつ、前記加熱室に近づく側に向けて伸びる姿勢に片持ち状に支持された状態で設けられている点を特徴とする。
【0031】
すなわち、排気経路が、下方側偏向用板部と上方側偏向用板部との存在によって、屈曲経路状となるから、火炎が排気路を流動する状態が発生した際に、流動する火炎を、蛇行状態で流動させながら、下方側偏向用板部と上方側偏向用板部とに接触させ、かつ、排気筒に繰り返し接触させて冷却させることができるため、消炎作用を良好に発揮させることができる。
【0032】
つまり、火炎が排気路を流動する状態が発生した際に、排気路を流動する火炎を、下方側偏向用板部と上方側偏向用板部とに接触させ、かつ、排気路の内面に繰り返し接触させながら十分に冷却することができるため、的確に消炎させることが可能となる。
【0033】
要するに、本発明の第4特徴構成によれば、上記第3特徴構成による作用効果に加えて、排気路を流動する火炎を一層的確に消炎させることができる加熱調理器を提供できる。
【0034】
本発明の加熱調理器の第5特徴構成は、上記第1〜第4特徴構成のいずれかに加えて、
前記偏向用板部が、非多孔状の板材にて形成されている点を特徴とする。
尚、非多孔状とは、複数の孔が形成されている状態や全く孔が形成されていない状態を意味するものである。
【0035】
すなわち、非多孔状の板材は、多孔状の板材に較べて、安価に製作できるものであるから、偏向用板部を安価に製作できるものとなるのであり、火炎の冷却作用を高めるために偏向用板部の設置することを、製造コストの低減を図る形態で行うことができる。
【0036】
要するに、本発明の第5特徴構成によれば、上記第1〜第4特徴構成による作用効果に加えて、火炎の冷却作用を高めるために偏向用板部の設置することを、製造コストの低減を図る形態で行うことができる加熱調理器を提供できる。