【文献】
J. Agric. Food Chem.,2010年,Vol. 58,p. 2123-2130
【文献】
J. Sci. Food. Agric.,1998年,Vol. 77,p. 468-472
【文献】
Journal of Food Biochemistry,2011年,Vol. 35,p. 1514-1521
【文献】
J. Trad. Med.,2006年,Vol. 23,p. 42-46
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
肝保護作用、抗動脈硬化、老化防止、抗腫瘍作用、抗高脂血症、抗血栓、血圧降下作用、免疫機能改善、血糖値低下作用、鎮痛作用、強心作用、抗炎症作用、末梢血流改善作用、止血作用、抗酸化作用、抗筋委縮作用、骨量増加作用及び抗ストレスからなる群から選択される少なくとも1つの作用を示すことを特徴とする請求項1又は2に記載の発酵物。
アブラナ科植物を、ラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)を用いて発酵することを特徴とする、アブラナ科植物の発酵物であり、ケルセチン及びケンペロールを含有する発酵物の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の発酵物は、アブラナ科植物をラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)を用いて発酵することにより製造されることを特徴とする。
【0014】
本発明において使用されるラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)は、ラクトバチルス属に属する乳酸菌であり、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(住所:郵便番号305−8566 日本国 茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に寄託されている(受託日:平成15年(2003年)8月11日、受託番号:FERM BP−10123)。
【0015】
本発明において発酵原料として使用されるアブラナ科植物としては、特に限定されないが、例えば、ブロッコリー、ケール、キャベツ、カリフラワー、高菜、あぶらな、からしな、大根、大根葉、野沢菜、小松菜、白菜、芽キャベツ、更にはケールと芽キャベツの交配で開発されたプチヴェール等が挙げられる。アブラナ科植物は、好ましくは、ケール、ブロッコリー、キャベツ、芽キャベツ、プチヴェール等であり、より好ましくは、ケール、ブロッコリー、プチヴェール等である。
【0016】
本発明において使用されるアブラナ科植物としては、通常、従来公知の方法により得られるものを使用することができる。アブラナ科植物は、例えば、従来公知の方法により得られるものをそのまま使用することができるし、従来公知の方法により得られるものを、水洗いしただけのもの、水洗いしてさらに乾燥したもの、水洗いして蒸した後乾燥したもの、それらを任意の大きさに裁断、粉砕、又はペースト状化したもの等を使用することができる。アブラナ科植物としては、天然品もその加工品も支障なく本発明で使用できる。加工品としては、例えば、アブラナ科植物の乾燥物、裁断物、粉砕物、抽出物、ペースト等が挙げられる。前記乾燥方法、裁断方法、粉砕方法、抽出方法、ペースト状化方法は、従来公知の方法を使用することができる。
また、本発明において使用されるアブラナ科植物の部位は、特に限定されず、例えば、生葉、つぼみ、茎、花等のどの部位でも使用することができ、好ましくは、生葉、つぼみ、茎等である。
【0017】
本発明において使用されるアブラナ科植物は、フラボノイド配糖体として、ケルセチン−3−O−ソホロシド−7−O−グルコシド及び/又はケンペロール−3−O−ソホロシド−7−O−グルコシドを含有することが好ましい。あるいは、該アブラナ科植物は、ケルセチン−3−O−ソホロシド及び/又はケンペロール−3−O−ソホロシドを含有してもよい。アブラナ科植物中のケルセチン−3−O−ソホロシド−7−O−グルコシド含有量及びケンペロール−3−O−ソホロシド−7−O−グルコシド含有量は、特に限定されないが、例えば、アブラナ科植物全量に対して、それぞれ約0.001〜15重量%が好ましい。同様に、アブラナ科植物中のケルセチン−3−O−ソホロシド含有量及びケンペロール−3−O−ソホロシド含有量は特に限定されないが、アブラナ科植物全量に対して、それぞれ約0.001〜15重量%が好ましい。
【0018】
本発明において、「アブラナ科植物のラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)発酵物」とは、アブラナ科植物を、ラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)を用いて発酵して得られる発酵生産物のことをいう。該発酵物は、アブラナ科植物を、ラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)を用いて、従来公知の方法により発酵して得られる発酵液そのままの状態のもの、該発酵液の上澄み液、又はそれらの処理物を含む。発酵液には、ラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)が含まれていても良い。上澄み液は、発酵液に、遠心分離又は濾過等の処理を施すことにより得ることができる。遠心分離及び濾過の方法は、常法を使用することができる。発酵液又は上澄み液の処理物としては、該発酵液又は上澄み液の希釈液又は濃縮液、該発酵液又は上澄み液を乾燥させて得られる乾燥物、該発酵液又は上澄み液の粗精製物又は精製物等が挙げられる。これらの発酵液又は上澄み液の処理物は、いずれも本発明の発酵物である。希釈、濃縮、乾燥、粗精製、精製の方法は、従来公知の方法を使用することができる。
【0019】
アブラナ科植物をラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)を用いて発酵する方法は、アブラナ科植物とラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)を接触させて発酵する方法であれば、特に限定されず、従来公知の方法を使用することができる。乳酸菌発酵は、従来十分に確立されていて、本発明もそれに従ってよい。例えば、アブラナ科植物を含有する培地を常法により加熱減菌処理あるいは濾過滅菌した後、該培地にラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)を接種し、発酵する方法が挙げられる。また、予めアブラナ科植物を含有しない培地にてラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)を増殖させ、遠心分離により菌体を得た後、該菌体に滅菌蒸留水及び公知の方法で滅菌処理を施したアブラナ科植物を加えることで、発酵処理を行ってもよい。乳酸菌によるアブラナ科植物の発酵では、炭素、窒素、ミネラルを含む培地での発酵が好ましい。なお、発酵に用いる乳酸菌は生菌体のままでもよい。生菌体としては、増殖期の菌体でも良いし、休止菌体を用いても良い。あるいは適宜溶媒により固定・乾燥を経た死滅粉体を用いても良いが、生菌体が好ましい。
【0020】
本発明において乳酸菌による発酵、あるいは菌体の前培養に使用される培地は、特に限定されないが、例えば、乳酸菌の培養に通常使用される炭素源、窒素源、ミネラル源等を含むもの等を使用することができ、天然培地又は合成培地等を用いることができる。好ましくは、液体培地を用いる。
【0021】
炭素源としては、特に限定されないが、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ラクトース、スクロース、セロビオース、廃糖蜜、グリセロール等が挙げられ、好ましくは、グルコース、スクロース等である。窒素源としては、特に限定されないが、無機態窒素源では、例えば、アンモニア、アンモニウム塩等が挙げられ、有機態窒素源では、例えば、ペプトン、ポリペプトン、尿素、アミノ酸、タンパク質、大豆ペプチド等のペプチド類等が挙げられる。窒素源は、好ましくは、ペプトン、ポリペプトン、ペプチド、アミノ酸等である。また、ミネラル源としては、特に限定されないが、酵母エキスや肉エキスの他、K、P、Mg、S等を含む、例えば、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリウム、硫酸マグネシウム等が挙げられる。これらの炭素源、窒素源、ミネラル源は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
培地中の炭素源及び窒素源の濃度は、乳酸菌が生育できる通常の濃度であればよく、特に限定されない。培養開始時の炭素源濃度は、通常は、培地全量に対して約0.1〜15重量%が好ましく、約1〜10重量%がより好ましい。培養開始時の窒素源の濃度は、通常は、培地全量に対して約0.05〜10重量%が好ましく、約0.1〜5重量%がより好ましい。
【0022】
前記培地は、前記の窒素源、炭素源、ミネラル源に加えて、さらに、無機質、有機質、pH緩衝剤等を添加しても良い。無機質や有機質としては、特に限定されないが、例えば、硫酸アンモニウム、リン酸カリウム、塩化マグネシウム、酢酸ナトリウム、食塩、鉄、マンガン、モリブデン、各種ビタミン類等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
pH緩衝剤としては、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム等が好ましく挙げられる。
本発明において、アブラナ科植物は、発酵原料として培地に添加される。アブラナ科植物は、天然物でもその加工品でも良い。加工品としては、例えば、アブラナ科植物の乾燥物、裁断物、粉砕物、抽出物、ペースト等が挙げられる。
アブラナ科植物の使用量は、特に限定されないが、培地全量に対して、好ましくは、約1〜50重量%であり、より好ましくは、約5〜40重量%である。
前記培地は、本発明の効果を奏する限り、上述したアブラナ科植物以外の成分や添加剤を含んでも良い。
【0023】
前記培地のpHは、例えば約3〜7とすることが好ましく、約6〜7とすることがより好ましい。pHを制御してもよく、酸又はアルカリを用いてpHの調整を行うことができる。
【0024】
発酵の好ましい実施形態として、下記のものが例示される。
例えば、前記アブラナ科植物又はその加工品を、酵母エキス、大豆ペプチド、ミネラルやpH緩衝剤等を含有する仕込み液に添加して高圧蒸気滅菌することにより、発酵用の培地が好ましく得られる。
そこへ、公知の方法で調整される培地で予め増殖させた乳酸菌を接種して、発酵させることにより、アブラナ科植物の乳酸菌発酵物を好ましく取得することができる。発酵用の培地に添加するアブラナ科植物又はその加工品としては、前記[0016]に記載のアブラナ科植物を使用することができるし、アブラナ科植物に抽出溶媒を添加してアブラナ科植物成分を抽出させることにより得られる抽出液、アブラナ科植物及び抽出溶媒の懸濁液そのままのもの、又は該懸濁液を常法により加熱して得られる熱水抽出液を使用することもできる。前記懸濁液を加熱する温度は、特に限定されない。さらに、前記抽出液、懸濁液又は熱水抽出液を乾燥させて調整した抽出物を使用しても良い。
また、培地として、前記抽出液、懸濁液又は熱水抽出液を使用することもでき、該培地を減菌した後、該培地に乳酸菌を直接接種して発酵させることにより、アブラナ科植物を乳酸菌を用いて発酵して得られる乳酸菌発酵物を取得することもできる。
【0025】
前記抽出溶媒は、特に限定されないが、例えば、水を用いた抽出では、蒸留水、イオン交換水、生理食塩水等が挙げられる。また、有機溶媒を用いた抽出では、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノール等の低級アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の液状多価アルコール;アセトン等のケトン類;酢酸エチルエステル等のエステル類等の有機溶媒が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。前記抽出溶媒は、好ましくは、蒸留水、含水エタノール等である。
【0026】
前記培地に使用されるアブラナ科植物と抽出溶媒の重量比は、アブラナ科植物の種類、形状、及び乾燥状態等に応じて適宜選択され得るが、例えば、アブラナ科植物/抽出溶媒の重量比は、好ましくは、約1/100〜50/100であり、より好ましくは、約5/100〜40/100である。
【0027】
本発明において、前記培地にラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)を接種する条件は、特に限定されず、例えば、該培地中にラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)を約0.01〜30%接種することが好ましく、約0.5〜10%接種することがより好ましい。
【0028】
本発明において、アブラナ科植物を、ラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)を用いて発酵する発酵温度は、発酵が効率的に実施できれば特に限定されないが、例えば、約15〜45℃が好ましく、約25〜37℃がより好ましい。
また、発酵時間は、前記培地の組成、該培地のラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)の接種量、前記発酵温度等に応じて適宜設定され得るが、例えば、約12〜336時間が好ましく、約24〜168時間がより好ましい。発酵は、好気条件下で行ってもよく、嫌気条件下で行っても良い。
本発明において、アブラナ科植物を、ラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)を用いて発酵する際に、ラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)以外の微生物1種又は2種以上を使用してもよい。
【0029】
上述のようにして得られる発酵物は、アグリコンとしてケルセチン及び/又はケンペロールを含有することが好ましい。前記発酵物に含有されるケルセチン及びケンペロールの含有量は、特に限定されないが、例えば、該発酵物全量に対して、それぞれ約0.0001〜15重量%等が挙げられ、好ましくは、約0.001〜10重量%である。
【0030】
上述のようにして得られる本発明の発酵物は、高い生理活性及び抗酸化機能を有しているため、酸化ストレスが関与する諸疾病(動脈硬化症、糖尿病性網膜症、脳梗塞等)の予防・改善や、皮膚や腸管上皮などの上皮抗酸化機能向上、並びに該上皮バリアの強化のために利用することができる。また、本発明の発酵物は、肝保護作用、抗動脈硬化、老化防止、抗腫瘍作用、抗高脂血症、抗血栓、血圧降下作用、免疫機能改善、血糖値低下作用、鎮痛作用、強心作用、抗炎症作用、末梢血流改善作用、止血作用、抗酸化作用、抗筋委縮作用、骨量増加作用及び抗ストレスからなる群から選択される少なくとも1つの作用を示すことができる。
従って、本発明は、アブラナ科植物のラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)発酵物による医薬としても有用である。本発明においては、発酵物から上記有効成分(ケルセチン及び/又はケンペロール)を、例えば希釈、濃縮、乾燥、溶媒による抽出、ろ過、遠心分離、カラムクロマトグラフィー等の手段で、公知の方法により精製してもよい。
【0031】
また、本発明は、アブラナ科植物のラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)発酵物を含有する上皮バリア増強剤も含む。本発明において、上皮バリア増強剤とは、上皮の抗酸化機能を向上させ、該上皮バリアを強化する効果を有する剤をいう。本発明において、上皮は、特に限定されないが、例えば、皮膚、腸管上皮、血管内皮、リンパ管内皮、尿管上皮、咽頭上皮、肺胞上皮等が挙げられ、好ましくは、皮膚、腸管上皮、血管内皮、リンパ管内皮等である。該上皮バリア増強剤に含有される本発明の発酵物の取得方法及び好ましい形態は、上述した本発明の発酵物と同様である。
【0032】
本発明の上皮バリア増強剤において、本発明の発酵物の含有量は特に限定されない。また、該上皮バリア増強剤の摂取において、本発明の発酵物の摂取量は、成人1日当たり、好ましくは約0.01〜100mg/Kg・体重であり、より好ましくは、約0.1〜50mg/Kg・体重である。
本発明の上皮バリア増強剤は、後述の食品及び化粧品の形態で使用することができる。
【0033】
<食品>
本発明は、アブラナ科植物のラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)発酵物を含有する食品も含有する。
本発明の食品に含有されるアブラナ科植物のラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)発酵物の取得方法及び好ましい形態は、上述した本発明の発酵物と同様である。
本発明において、食品とは、経口的に摂取されるものを意味する。食品としては、特に限定されないが、例えば、健康食品、サプリメント、飲料、半固形食品、固形食品、粉末食品等が挙げられる。食品は、好ましくは、健康食品、サプリメント、飲料、固形食品、粉末食品等であり、より好ましくは、健康食品、サプリメント、飲料、粉末食品等である。
【0034】
前記健康食品とは、保健、健康維持・増進等の目的とした食品組成物を意味し、認可された特定機能性食品や、特定機能性食品として認可のないいわゆる健康食品が含まれる。前記健康食品は、特に限定されないが、液体、半固形、固形又は粉末の製品等が挙げられ、例えば、クッキー、せんべい、ゼリー、ようかん、ヨーグルト、まんじゅう等の菓子類、青汁、清涼飲料、栄養飲料、スープ、青汁用粉末等が挙げられる。粉末の場合は、そのままお湯や水に溶かして飲用しても良い。健康食品は、好ましくは、青汁、青汁用粉末、清涼飲料、栄養飲料、スープ等であり、より好ましくは、青汁、青汁用粉末、清涼飲料、栄養飲料等である。
【0035】
前記サプリメントとは、栄養素等を補うための栄養補助食品、栄養機能食品等を意味するだけではなく、健康の保持・回復・増進等のために役立つ機能等を有する健康補助食品、健康機能食品等をも意味する。サプリメントの形状としては、特に限定されないが、例えば、タブレット状、丸状、カプセル(ハードカプセル、ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)状、粉末状、顆粒状、細粒状、トローチ状、液状(シロップ状、乳状、懸濁状を含む)等が挙げられる。サプリメントは、好ましくは、粉末状、顆粒状、細粒状、液状等であり、より好ましくは、粉末状、顆粒状、細粒状等である。
【0036】
前記の半固形食品又は固形食品としては、特に限定されないが、例えば、ドロップ、キャンディー、チューインガム等の菓子類;クッキー、クラッカー、ビスケット、ポテトチップス、パン、ケーキ、チョコレート、ドーナツ、プリン、ゼリー等の洋菓子;煎餅、羊羹、大福、おはぎ、饅頭、カステラ等の和菓子;アイスクリーム、アイスキャンディー、シャーベット、ジェラート等の冷菓;うどん、そば、きしめん等の麺類;かまぼこ、魚肉ソーセージ等の魚肉練り製品;ハム、ソーセージ、ハンバーグ、コーンビーフ等の畜肉製品;塩、胡椒、みそ、しょう油、ソース、ドレッシング、マヨネーズ、ケチャップ、甘味料、辛味料等の調味類;明石焼き、たこ焼き、もんじゃ焼き、お好み焼き、焼きそば、焼きうどん等の鉄板焼き食品;チーズ、ヨーグルト等の乳製品;納豆、厚揚げ、豆腐、こんにゃく、団子、漬物、佃煮、餃子、シューマイ、コロッケ、サンドイッチ、ピザ、ハンバーガー、サラダ等の各種総菜;ビーフ、ポーク、チキン等の畜産物;海老、帆立、蜆、昆布等の水産物等が挙げられ、好ましくは、菓子類、乳製品、各種惣菜等であり、より好ましくは、菓子類、乳製品等である。
前記粉末食品としては、特に限定されないが、例えば、野菜・果実類、植物、酵母、藻類等を粉末にした各種粉末;油脂類・香料類(バニラ、柑橘類、かつお等)を粉末固形化したもの等が挙げられ、好ましくは、野菜・果実類の粉末、植物の粉末等である。
【0037】
前記飲料としては、特に限定されないが、例えば、スープ、味噌汁等の飲食品;インスタントコーヒー、インスタント紅茶、インスタントミルク、インスタントスープ、インスタント味噌汁等の粉末飲食品;ウイスキー、バーボン、スピリッツ、リキュール、ワイン、果実酒、日本酒、中国酒、焼酎、ビール、アルコール度数1%以下のノンアルコールビール、発泡酒、酎ハイ等のアルコール飲料;果汁(例えば、リンゴ、ミカン、ブドウ、バナナ、ナシ、ウメの果汁等)入り飲料、野菜汁(例えば、トマト、ニンジン、セロリ、キュウリ、スイカの野菜汁等)入り飲料、果汁および野菜汁入り飲料、清涼飲料水、牛乳、豆乳、乳飲料、ドリンクタイプのヨーグルト、コーヒー、ココア、茶飲料(紅茶、緑茶、麦茶、玄米茶、煎茶、玉露茶、ほうじ茶、ウーロン茶、ウコン茶、プーアル茶、ルイボスティー茶、ローズ茶、キク茶、ハーブ茶(例えば、ミント茶、ジャスミン茶)等)、栄養ドリンク、スポーツ飲料、ミネラルウォーター等の非アルコール飲料、等が挙げられ、好ましくは、果汁入り飲料、野菜汁入り飲料、果汁および野菜汁入り飲料、清涼飲料水、乳飲料等であり、より好ましくは、野菜汁入り飲料、果汁および野菜汁入り飲料、乳飲料等である。
【0038】
本発明の食品の製造方法は、アブラナ科植物のラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)発酵物を原料として含有する方法であれば特に限定されず、従来公知の方法を使用することができる。前記発酵物は、本発明の食品の製造過程において、常法により添加又は配合され得る。食品への前記発酵物の配合量は、特に限定されず、食品の種類や成分等により適宜変更され得るが、例えば、食品が液体状の場合は、食品全量に対して、約0.01〜10重量%が好ましく、約0.1〜5重量%がより好ましい。食品への前記発酵物の配合量は、食品が粉末状の場合は、例えば、約0.01〜40重量%が好ましく、約1〜10重量%がより好ましい。食品への前記発酵物の配合量は、食品が固形又は半固形状の場合は、例えば、約0.01〜40重量%が好ましく、約1〜10重量%がより好ましい。
【0039】
本発明の食品の摂取において、前記発酵物の摂取量は、特に限定されず、食品の種類や成分等により適宜変更され得るが、該発酵物による抗酸化機能の賦活及び酸化ストレスが関与する疾病や、表皮や腸管上皮バリアの悪化を伴う疾患の予防・改善作用を効果的に得られる点で、例えば、成人1日当たり、好ましくは約0.01〜300mg/Kg・体重であり、より好ましくは、約0.1〜150mg/Kg・体重である。
【0040】
本発明の食品は、前記発酵物以外の成分1種又は2種以上を、食品の種類に合わせて適宜含有することができる。前記発酵物以外の成分としては、特に限定されず、食品に一般的に使用される成分を、本発明の食品の製造過程において、所望により、公知方法に従って、適宜添加又は配合することができる。
【0041】
<化粧品>
本発明は、アブラナ科植物のラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)発酵物を含有する化粧品も含有する。
本発明の化粧品に含有されるアブラナ科植物のラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)発酵物の取得方法及び好ましい形態は、上述した本発明の発酵物と同様である。
【0042】
本発明において、化粧品としては、特に限定されず、薬用化粧品等の薬事法における定義では医薬部外品に分類されるものも含む。
化粧品の形態は、特に限定されず、液体状、流動状、又は半固形状とすることができ、例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、エアゾール剤、不織布に薬液を含浸させたシート剤等が挙げられる。該形状は、好ましくは、乳剤、クリーム剤、乳液、軟膏剤、ゲル剤、ローション剤等であり、より好ましくは、クリーム剤、乳液、軟膏剤、ゲル剤等である。
【0043】
化粧品の具体的な用途は、特に限定されないが、例えば、化粧水、乳液、ジェル、クリーム、美容液、日焼け止め用化粧料、パック、マスク、ハンドクリーム、ボディローション、ボディークリーム等の基礎化粧品;洗顔料、メイク落とし、ボディーシャンプー、シャンプー、リンス、トリートメント等の洗浄用化粧品;ファウンデーション、各種カラー等のメークアップ化粧料等が挙げられ、好ましくは、基礎化粧品、洗浄用化粧品等であり、より好ましくは、基礎化粧品等である。
【0044】
本発明の化粧品の製造方法は、アブラナ科植物のラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)発酵物を成分として使用する方法であれば特に限定されず、従来公知の方法を使用することができる。例えば、該発酵物を、常法により、化粧品の製造時にそのまま、あるいは乳化、可溶化、分散化して配合することにより製造ができる。化粧品への該発酵物の配合量は、化粧品の種類や配合成分等により適宜選択でき、限定されないが、好ましくは約0.001〜10重量%、より好ましくは約0.01〜1重量%である。この配合量は、液剤、乳剤、クリーム剤等の形態又は基礎化粧品、洗浄用化粧品等の用途に限定されない。
【0045】
本発明の化粧品は、本発明の効果を奏することになる限り、前記発酵物と共に、化粧品に一般的に使用され得る基剤又は担体、及び必要に応じて添加剤やその他の有効成分を配合することができる。
【0046】
前記基剤又は担体としては、特に限定されないが、例えば、パラフィン、流動パラフィン、スクワラン、白ロウ、ゲル化炭化水素(プラスチベース等)、オゾケライト、セレシン、ワセリン、ハードファット、マイクロクリスタリンワックス、α−オレフィンオリゴマー、軽質流動パラフィン等の炭化水素;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸;トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(トリオクタノイン)、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル等のトリ脂肪酸グリセリド;セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体、アクリル酸アルキル共重合体メチルポリシロキサンエステル、架橋型メチルポリシロキサン、架橋型メチルフェニルポリシロキサン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキル変性シリコーン、デカメチルシクロペンタシロキサン、エチルトリシロキサン、メチルトリメチコン、メチルシロキサン網状重合体、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、メチルハイドロジェンポリシロキサン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン、ジメチルポリシロキサン等のシリコーン油;エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、トリエチレングリコールジアセタート、ヘキシレングリコールジアセタート、及び2−メチル−2−プロペン−1,1−ジオールジアセタート等のグリコールアセタート;トリエチレングリコールジバレラート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチラート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチラート等のグリコールエステル;エチレングリコールジアクリラート、ジエチレングリコールジアクリラート、プロピレングリコールモノアクリラート、2,2−ジメチル−トリメチレングリコールジアクリラート、及び1,3−ブチレングリコールジアクリラート等のグリコールアクリラート;エチレングリコールジニトラート、ジエチレングリコールジニトラート、トリエチレングリコールジニトラート、及びプロピレングリコールジニトラート等のグリコールジニトラート;2,2′−[1,4−フェニレンジオキシ]ジエタノール;エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン;カラギーナン;ポリビニルブチラート;ポリエチレングリコール;ジオキサン;ブチレングリコールアジピン酸ポリエステル;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスエリット等のエステル類;デキストリン、マルトデキストリン等の多糖類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等のグリコールエーテル;水等の水系基剤等が挙げられる。これらの基剤又は担体は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0047】
前記添加剤としては、特に限定されないが、例えば、酸化防止剤、界面活性剤、増粘剤、保存剤、pH調整剤、安定化剤、防腐剤、着色剤、及び香料等が挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0048】
酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ソルビン酸、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、トコフェロール、トコフェロール誘導体、エリソルビン酸、L−システイン塩酸塩等が挙げられる。
【0049】
界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類;グリセリンアルキルエーテル;アルキルグルコシド;ステアリルアミン、オレイルアミン等のアミン類;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等のシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
【0050】
増粘剤としては、例えば、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリエチレングリコール、ベントナイト、アルギン酸、マクロゴール、並びにセルロース系増粘剤(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びカルボキシエチルセルロースなど)及びこれらの塩等が挙げられる。
【0051】
防腐剤、保存剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビン酸およびその塩、グルコン酸クロルヘキシジン、アルカンジオール、及びグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0052】
pH調整剤としては、無機酸(塩酸、硫酸など)、有機酸(乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウムなど)、無機塩基(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)、有機塩基(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなど)等が挙げられる。
【0053】
安定化剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エデト酸塩等が挙げられる。
刺激低減剤としては、甘草エキス、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0054】
前記その他の有効成分としては、特に限定されないが、例えば、保湿成分、抗炎症成分、抗菌又は殺菌成分、ビタミン類、ペプチド又はその誘導体、細胞賦活化成分、血行促進成分、角質軟化成分、美白成分、収斂成分等が挙げられる。これらの有効成分は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0055】
保湿成分としては、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、キチン、キトサン等の高分子化合物;乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等の天然保湿因子;セラミド、コレステロール、リン脂質等の脂質;カミツレエキス、ハマメリスエキス、チャエキス、シソエキス等の植物抽出エキス等が挙げられる。
【0056】
抗炎症成分としては、植物(例えば、コンフリー)に由来する成分、アラントイン、グリチルリチン酸又はその誘導体、酸化亜鉛、塩酸ピリドキシン、酢酸トコフェロール、サリチル酸又はその誘導体、ε-アミノカプロン酸等が挙げられる。
【0057】
抗菌又は殺菌成分としては、エタノール、クロルヘキシジン、サリチル酸、塩化ベンザルコニウム、アクリノール、イオウ、レゾルシン、塩化ベンゼトニウム、アダパレン、過酸化ベンゾイル、クリンダマイシン、クレゾール、グルコン酸及びその誘導体、ポピドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、イソプロピルメチルフェノール、トリクロカルバン、トリクロサン、感光素101号、感光素201号、パラベン、フェノキシエタノール、1,2-ペンタンジオール、塩酸アルキルジアミノグリシン、グルコン酸クロルヘキシジン、パラフェノールスルホン酸亜鉛等が挙げられる。
【0058】
ビタミン類としては、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のレチノール誘導体、レチナール、レチノイン酸、レチノイン酸メチル、レチノイン酸エチル、レチノイン酸レチノール、d−δ−トコフェリルレチノエート、α−トコフェリルレチノエート、β−トコフェリルレチノエート等のビタミンA類;dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム等のビタミンE類;リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、リボフラビン5’−リン酸エステルナトリウム、リボフラビンテトラニコチン酸エステル等のビタミンB2類;ニコチン酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸メチル、ニコチン酸β−ブトキシエチル、ニコチン酸1−(4−メチルフェニル)エチル等のニコチン酸類;アスコルビゲン−A、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ジパルミチン酸L−アスコルビルなどのビタミンC類;メチルヘスペリジン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロールなどのビタミンD類;フィロキノン、ファルノキノン等のビタミンK類、γ−オリザノール、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩;チアミン塩酸塩、チアミンセチル塩酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンモノリン酸塩、チアミンリジン塩、チアミントリリン酸塩、チアミンモノリン酸エステルリン酸塩、チアミンモノリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル塩酸塩、チアミントリリン酸エステル、チアミントリリン酸エステルモノリン酸塩等のビタミンB1類;塩酸ピリドキシン、酢酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサール、5’−リン酸ピリドキサール、塩酸ピリドキサミン等のビタミンB6類;シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、デオキシアデノシルコバラミン等のビタミンB12類;葉酸、プテロイルグルタミン酸等の葉酸類;ニコチン酸、ニコチン酸アミドなどのニコチン酸類;パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(パンテノール)、D−パンテサイン、D−パンテチン、補酵素A、パントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類;ビオチン、ビオチシン等のビオチン類;アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム等のアスコルビン酸誘導体であるビタミンC類;カルニチン、フェルラ酸、α−リポ酸、オロット酸等のビタミン様作用因子等が挙げられる。
【0059】
ペプチド又はその誘導体としては、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コラーゲン、魚由来コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、エラスチン、エラスチン分解ペプチド、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、塩化ヒドロキシプロピルアンモニウム加水分解コラーゲン、エラスチン分解ペプチド、コンキオリン分解ペプチド、加水分解コンキオリン、シルク蛋白分解ペプチド、加水分解シルク、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、大豆蛋白分解ペプチド、加水分解大豆蛋白、小麦蛋白、小麦蛋白分解ペプチド、加水分解小麦蛋白、カゼイン分解ペプチド、アシル化ペプチド(パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルペンタペプチド、パルミトイルテトラペプチド等)等が挙げられる。
【0060】
細胞賦活化成分としては、レチノール、チアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸類などのビタミン類;グリコール酸、乳酸などのα-ヒドロキシ酸類;タンニン、フラボノイド、サポニン、アラントイン、感光素301号等が挙げられる。
老化防止成分としては、パンガミン酸、カイネチン、ウルソール酸、ウコンエキス、スフィンゴシン誘導体、ケイ素、ケイ酸、N−メチル−L−セリン、メバロノラクトン等が挙げられる。
【0061】
血行促進作用成分としては、植物(例えば、オタネニンジン、アシタバ、アルニカ、イチョウ、ウイキョウ、エンメイソウ、オランダカシ、カミツレ、ローマカミツレ、カロット、ゲンチアナ、ゴボウ、コメ、サンザシ、シイタケ、セイヨウサンザシ、セイヨウネズ、センキュウ、センブリ、タイム、チョウジ、チンピ、トウキ、トウニン、トウヒ、ニンジン、ニンニク、ブッチャーブルーム、ブドウ、ボタン、マロニエ、メリッサ、ユズ、ヨクイニン、ローズマリー、ローズヒップ、チンピ、トウキ、トウヒ、モモ、アンズ、クルミ、トウモロコシ)に由来する成分;グルコシルヘスペリジン等が挙げられる。
【0062】
角質軟化成分としては、サリチル酸、グリコール酸、フルーツ酸、フィチン酸、イオウ等が挙げられる。
美白成分としては、アスコルビン酸とその誘導体、アルブチン、トコフェロール等が挙げられる。
収斂成分としては、パラフェノールスルホン酸亜鉛、酸化亜鉛、メントール、エタノール等が挙げられる。
【0063】
本発明の化粧品の使用方法は、特に限定されず、使用対象の皮膚の状態、年齢、性別等によって適宜選択することができるが、例えば、1日数回(例えば、1日1〜5回、好ましくは1日1〜3回)、適量(例えば、約0.05〜5g)を皮膚に適用(塗布、噴霧、貼付等)すれば良い。
本発明の化粧品は、顔、首、手、足、指、胴、頭皮などのどのような皮膚にでも適用することができる。
【0064】
本発明の食品及び化粧品は、生理活性の高いアグリコン型のフラボノイドを含有するため、生体へ抗酸化機能を効果的に賦活することができ、動脈硬化症、糖尿病性網膜症、脳梗塞等の酸化ストレスが関与する疾患の予防・改善に使用することができる。また、本発明の食品及び化粧品は、皮膚へ抗酸化機能を賦活することができるため、例えば、皮膚の老化や肌あれの原因となる活性酸素やフリーラジカルを除去することができ、過酸化脂質の発生防止、皮膚の血液循環の促進、皮膚の角化(表皮細胞のターンオーバーの動き)の促進、肌あれ防止、老化防止、くすみ防止に使用でき加えて皮膚バリア機能強化等の効果を皮膚へ付与することができる。更に皮膚だけでなく、食品の消化吸収の場である腸管上皮へも抗酸化機能向上及びバリア機能強化等の効果を付与する事ができる。
従って、本発明の食品及び化粧品は、皮膚や腸管上皮などの上皮バリア増強剤として使用することができる。また、本発明の発酵物又はその処理物を、公知の方法に従って、医薬組成物としてもよい。
【0065】
本発明のアブラナ科植物のラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)発酵物、該発酵物を含む本発明の食品及び化粧品は、従来のアブラナ科植物やアブラナ科植物を含む従来の食品及び化粧品と比較して、酸化ストレス等に対してより高い防御効果を有する。このような高い抗酸化機能は、アブラナ科植物をラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)を用いて発酵することにより、未発酵のアブラナ科植物に含有されるケルセチン及びケンペロール等のフラボノイドの配糖体が、ケルセチン及びケンペロール等のアグリコンの形に転換されるためと考えられる。
【0066】
本発明は、アブラナ科植物のラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)発酵物を哺乳類に摂取させる哺乳類の上皮バリア増強方法(医療行為を除く)及び酸化ストレスが関与する哺乳類の諸疾病の予防・改善方法(医療行為を除く)も含有する。なお、「医療行為を除く」とは、医療行為、すなわち治療による人体または動物の体への処置行為を含まないことをいう。
【0067】
また、本発明は、アブラナ科植物を、ラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)を用いて発酵する、アブラナ科植物のラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)発酵物の製造方法も含有する。該製造方法は、上述した本発明の発酵物の取得方法として当業者であれば実施できるように詳細に開示されている。
【実施例】
【0068】
本発明を以下の実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。以下の実施例及び図において、ラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)は、A221株ともいう。
【0069】
(実施例1)
<ケールのA221株発酵物の製造>
ケールの生葉をブレンダ―にて破砕し、破砕後のケール生葉150gを蒸留水500mLに加え、75℃で1時間撹拌しながら抽出を行った。その後、濾過し、フィルター濾過による滅菌処理を行った後、得られた抽出液100mLを別途用意した滅菌三角フラスコへ採り、そこへ乳酸菌A221株をおよそ1×10
11cfu加えた。37℃で72時間静置培養した後、凍結乾燥を行った。該凍結乾燥物に50%エタノールを100mL加え、4℃で一晩振とうしながら再抽出を行った。その後、該抽出液を3500rpmで15分遠心することで菌体を落とし、上清をゆっくりと回収した後、−30℃にて一晩澱を落とした。上清を回収し、ロータリーエバポレーターにより溶媒を留去した後、蒸留水25mLに懸濁したものを再び凍結乾燥することで、ケールのA221株発酵物の乾燥粉末を得た。
<HPLCによる分析>
上記の通り得られた乾燥粉末を測りとり、25mg/mLとなるように50%エタノールへ再溶解し、20μLを以下の条件下でHPLCへ供した。HPLC(島津製作所社製)では分離カラムにμBondasphere(I.D. 150×3.9mm、C18 5μm;ウォーターズ社製)を用いた逆相系を使用し、移動相としてアセトニトリル及び2%酢酸を用いたグラジエント条件下で分析を行った。カラムオーブンを30℃に設定したまま5%アセトニトリル溶液から開始し、0分から10分までに20%まで、さらに10分から25分までに、80%まで濃度を上げ、その後100%アセトニトリルによる洗浄工程を経る条件を用いた。なお流速1mL/分で254nmでの検出を行った。結果を
図1に示す。
【0070】
(比較例1)
<ケールのNBRC15889株発酵物の製造>
ラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)を、当該菌株の基準株であるNBRC15889株に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、ケールのNBRC15889株発酵物の乾燥粉末を得た。
<HPLCによる分析>
実施例1と同様の操作を行い、HPLC測定を行なった。結果を
図2に示す。
【0071】
(比較例2)
<乳酸菌未発酵のケール処理物の製造>
ラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)に代わって滅菌蒸留水を加えた以外は実施例1と同様の操作を行い、実施例1と同様の条件でケールを処理することにより、乳酸菌未発酵のケール処理物の乾燥粉末を得た。
<HPLCによる分析>
実施例1と同様の操作を行い、HPLC測定を行なった。結果を
図3に示す。
比較例1及び2では、19.5minのケンペロールのピークが見られないのに対して、実施例1のA221株発酵物では、19.5minのケンペロールのピークが見られた。
この結果から、ケールを、A221株を用いて発酵することにより、ケールに含まれるケンペロールの配糖体をアグリコン化できることがわかる。
【0072】
(実施例2)
<ブロッコリーのA221株発酵物の調製>
ブロッコリーの(つぼみの部分)を取り、ブレンダ―にて破砕し、破砕後のブロッコリーのつぼみ20gを蒸留水50mLに加え、75℃で1時間撹拌しながら抽出を行った。その後、濾過し、フィルター濾過による滅菌処理を行い、抽出液を得た。得られた抽出液5mLを別途用意した15mLファルコンチューブへ採り、そこへ乳酸菌A221株をおよそ1×10
10cfu加えた。37℃で96時間静置培養することで発酵物を得た。その後、上清を0.22μmフィルターへ通して20μL取り、実施例1と同様の方法を用いてHPLC測定を行なった。結果を
図4に示す。
【0073】
(比較例3)
<ブロッコリーのNBRC15889株発酵物の調製>
ラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)を、当該菌株の基準株であるNBRC15889株に変更した以外は実施例2と同様の操作を行い、HPLC測定を行なった。結果を
図5に示す。
【0074】
(比較例4)
<乳酸菌未発酵のブロッコリー処理物>
ラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)に代わって滅菌蒸留水を加えた以外は実施例2と同様の操作を行い、HPLC測定を行なった。結果を
図6に示す。
比較例3及び4では、18.5minのケルセチンのピーク及び20minのケンペロールのピークが見られないのに対して、実施例2のA221株発酵物では、18.5minのケルセチンのピーク及び20minのケンペロールのピークの両ピークが見られた。
この結果から、ブロッコリーを、A221株を用いて発酵することにより、ブロッコリーに含まれるケルセチンの配糖体及びケンペロールの配糖体をアグリコン化できることがわかる。
【0075】
(試験例1)
<正常ヒト新生児由来表皮角化細胞(NHEKn)に対するバリア機能測定>
<細胞処理用培地の調製>
実施例1で得られたケールのA221株発酵物、比較例1で得られたケールのNBRC15889株発酵物、あるいは比較例2で得られた乳酸菌未発酵のケール処理物の乾燥粉末をそれぞれ抽出物固形物濃度で50mg/mLとなるように50%エタノールに加え、各被験物質のストックを調整した。これらをHKGSサプリメント(ギブコ社製)含有Epilife培地(ギブコ社製)に所定の濃度となるようにそれぞれ溶解し、細胞処理用培地を調整した。該所定の濃度としては高濃度と低濃度の条件を設定し、高濃度では各被験物質を抽出物固形物濃度で最終的に1000μg/mLとなるように培地に加えた。また、該高濃度培地の対照を、50%エタノールを、エタノールの最終濃度が1%となるように培地に加えて調整した。一方で、低濃度では各被験物質を抽出物固形物濃度で最終的に333μg/mLとなるように培地に加えた。該低濃度培地の対照を、50%エタノールを、エタノールの最終濃度が0.3%となるように培地に加えて調整した。
<経上皮電気抵抗値の測定>
1×10
5個の正常ヒト新生児由来表皮角化細胞(NHEKn)を12ウェル用のセルカルチャーインサート(グライナーバイオワン社製)に播種し、HKGSを含有するEpilife培地にて37℃、5%CO
2条件下で培養を行った。培養はアピカル側へ500μL、バソラテラル側へは1.5mLの培地を加え、3日に一回培地交換し、およそ1週間培養を行った。その後、培地をアスピレートし、上述の各細胞処理用培地により細胞を処理して24時間培養を行った。細胞を処理する際は、アピカル側及びバソラテラル側両方へ被験物質を含有する培地を加えた。各培地において培養された細胞の経上皮電気抵抗値を、Millicell ERS−2(ミリポア社製)を用いて測定した。結果を
図7に示す。
図7において、TEERとは、経上皮電気抵抗値を示し、対照とは、エタノールのみを含有する培地により処理した群を示す。
この結果から、抽出物固形分濃度が低濃度、高濃度の場合ともに、ケールのA221株発酵物は、乳酸菌未発酵のケール処理物及びケールの基準株(NBRC15889株)発酵物と比較して、正常ヒト新生児由来表皮角化細胞(NHEKn)に対するバリア機能が高いことから、皮膚バリア機能強化作用が高いことがわかる。
【0076】
(試験例2)
<ヒト成人由来真皮線維芽細胞の生体防御遺伝子発現の評価>
<細胞処理用培地の調製>
実施例1で得られたケールのA221株発酵物、比較例1で得られたケールのNBRC15889株発酵物、あるいは比較例2で得られた乳酸菌未発酵のケール処理物の乾燥粉末をそれぞれ抽出物固形物濃度で50mg/mLとなるように50%エタノールに加え、被験物質のストックを調整した。これらをDMEM完全培地(10%ウシ胎児血清、50Units/mL ペニシリン、50μg/mL ストレプトマイシン含有;ギブコ社製)に所定の濃度となるようにそれぞれ溶解し、細胞処理用培地を調整した。該所定の濃度としては高濃度と低濃度の条件を設定し、高濃度では各被験物質を抽出物固形物濃度で最終的に1000μg/mLとなるようにDMEM完全培地に加えた。また、該高濃度培地の対照を、50%エタノールを、エタノールの最終濃度が1%となるようにDMEM完全培地に加えて調整した。一方で、低濃度では各被験物質を抽出物固形物濃度で最終的に333μg/mLとなるように培地に加えた。該低濃度培地の対照を、50%エタノールを、エタノールの最終濃度が0.3%となるようにDMEM完全培地に加えて調整した。
<生体防御遺伝子発現の評価>
2×10
5個のヒト成人由来真皮繊維芽細胞を6ウェルプレート(イワキ社製)に播種し、100%コンフル―エントまでDMEM完全培地の下、37℃、5%CO
2の条件で培養を行った。その後、培地をアスピレートし、上述の各細胞処理用培地により細胞を処理して24時間培養を行った。培地をアスピレートし、PBS(−)により細胞を洗浄した後、Trizol試薬(インビトロジェン社製)600μLを加え、細胞を溶解しサンプルを回収した。該サンプルよりトータルRNAを調整し、TurboDNA−freeキット(アンビオン社製)によりゲノムDNAの消化を行った後、PrimeScript RT reagent Kit(タカラ社製)を用いて相補鎖DNAの合成を行った。該相補鎖DNAを鋳型とし、酸化ストレス防御に関与する生体防御遺伝子であるHO−1の発現量を定量性PCRにより評価した。その際、内部標準としてGAPDH遺伝子の発現量を合わせて評価し、HO−1遺伝子の発現量を該遺伝子の発現量で除することで値を補正した。結果を
図8に示す。
この結果から、抽出物固形分濃度が低濃度、高濃度の場合ともに、ケールのA221株発酵物は、乳酸菌未発酵のケール処理物及びケールの基準株(NBRC15889株)発酵物と比較して、生体防御遺伝子の発現量が多く、抗酸化ストレス防御機能が高いことがわかる。
【0077】
(試験例3)
<ヒト大腸がん細胞株(Caco-2)を用いた腸管上皮モデルに対するバリア機能測定>
<細胞処理用培地の調製>
実施例1で得られたケールのA221株発酵物、比較例1で得られたケールのNBRC15889株発酵物、あるいは比較例2で得られた乳酸菌未発酵のケール処理物の乾燥粉末をそれぞれ抽出物固形物濃度で50mg/mLとなるように50%エタノールに加え、被験物質のストックを調整した。これらを、グルコースを4.5g/Lで含有するDMEM完全培地(10%ウシ胎児血清、50Units/mL ペニシリン、50μg/mL ストレプトマイシン、1×非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム含有;ギブコ社製)に所定の濃度となるようにそれぞれ溶解し、細胞処理用培地を調整した。該所定の濃度としては高濃度と低濃度の条件を設定し、高濃度では各被験物質を抽出物固形物濃度で最終的に1000μg/mLとなるようにDMEM完全培地に加えた。また、該高濃度培地の対照を、50%エタノールを、エタノールの最終濃度が1%となるようにDMEM完全培地に加えて調整した。一方で、低濃度では各被験物質を抽出物固形物濃度で最終的に333μg/mLとなるように培地に加えた。該低濃度培地の対照を、50%エタノールを、エタノールの最終濃度が0.3%となるようにDMEM完全培地に加えて調整した。
<経上皮電気抵抗値の測定>
1×10
5個のヒト大腸がん細胞(Caco-2)を12ウェル用のセルカルチャーインサートに播種し、上述の各DMEM完全培地にて37℃、5%CO
2条件下で培養を行った。培養はアピカル側へ500μL、バソラテラル側へは1.5mLの培地を加え、3日に一回培地交換し、およそ14日間培養を行い、細胞を分化させた。その後、上述の細胞処理用培地により細胞を処理し、6時間培養を行った。細胞を処理する際は、アピカル側へ被験物質を含有する培地を加えた。各培地において培養された細胞の経上皮電気抵抗値を、Millicell ERS−2を用いて測定した。結果を
図9に示す。
図9において、TEERとは、経上皮電気抵抗値を示し、対照とは、エタノールのみを含有する培地により処理した群を示す。
この結果から、抽出物固形分濃度が低濃度、高濃度の場合ともに、ケールのA221株発酵物は、乳酸菌未発酵のケール処理物及びケールの基準株(NBRC15889株)発酵物と比較して、ヒト大腸がん細胞株(Caco-2)に対するバリア機能が高いことから、腸管上皮バリア機能強化作用が高いことがわかる。
【0078】
本発明によれば、上記試験例に示した皮膚や腸管上皮だけでなく、血管内皮やリンパ管内皮についても、上記試験例と同様の方法を用いて、バリア機能を強化させることができる。