【実施例】
【0044】
実施例1
1リットルの水に75ppmのパラジウムイオンと220ppmのアラントインとを含有する触媒を、50g/Lアラントイン原液の4.4mLのアリコート(aliquat)を900mLのDI水で希釈することによって調製した。208mgのテトラクロロパラジウム酸ナトリウムを最小量のDI水に溶解し、前記アラントイン溶液に添加した。この混合物を希釈して1リットルとし、室温で30分間撹拌した。アラントイン対パラジウムイオンのモル比は2:1であった。溶液のpHは3.4であった。
【0045】
1リットルの水に75ppmのパラジウムイオンと180ppmの5,5−ジメチルヒダントインとを含有する第2の触媒を調製し、50g/Lの原液を作製した。この50g/L 5,5−ジメチルヒダントイン原液の3.6mLのアリコート(aliquat)を900mLのDI水で希釈した。188mgの硝酸パラジウム二水和物を最小量のDI水に溶解し、5,5−ジメチルヒダントイン溶液に添加した。この混合物を希釈して1リットルとし、室温で30分間撹拌した。5,5−ジメチルヒダントイン対パラジウムイオンのモル比は2:1であった。溶液のpHを、1M水酸化ナトリウムを用いて8.5に調節した。
【0046】
続いて、各触媒を用いて、NY−1140非クラッド積層体(NanYaから入手可能)を以下の方法に従って無電解めっきした:
1.各非クラッド積層体をCIRCUPOSIT(商標)コンディショナー3325溶液に50℃で5分間浸漬した後、水道水の流水で4分間すすいだ;
2.続いて、積層体を、PREPOSIT(商標)748エッチング液に室温で1分間浸漬した後、DI水の流水で4分間すすいだ;
3.各積層体を、パラジウムイオン/アラントイン触媒又はパラジウムイオン/5,5−ジメチルヒダントイン触媒のいずれかの溶液に40℃で5分間浸漬した後、DI水の流水で1分間すすいだ;
4.続いて、積層体を0.25M次亜リン酸ナトリウム溶液に50℃で1分間浸漬してパラジウムイオンを金属パラジウムへと還元し、続いてDI水の流水で1分間すすいだ;
5.活性化した積層体をCIRCUPOSIT(商標)880無電解銅浴に40℃及びpH13で15分間浸漬し、銅を積層体上にめっきした;
6.銅めっき後、積層体を水道水の流水で4分間すすいだ。
【0047】
各積層体を、銅めっき性能について試験した。いずれの積層体も光沢があり、均一な銅付着を有することが認められた。
【0048】
実施例2
触媒が、70ppmの硝酸銀由来銀イオン及び102ppmのアラントイン、並びに70ppmの硝酸銀由来銀イオン及び83ppmの5,5−ジメチルヒダントインを含有することを除いて、実施例1の方法を繰り返す。触媒は、実施例1に記載のプロセスと実質的に同じプロセスによって調製する。錯化剤対銀イオンのモル比は1:1である。各触媒溶液のpHは3である。NY−1140非クラッド積層体を、実施例1に記載のように、無電解銅めっき用に前処理する。めっき後、積層体の銅付着の品質を試験する。いずれの積層体も平滑で光沢のある銅付着を有すると予想される。
【0049】
実施例3
次の6種類の銅クラッドパネルの各2枚に、複数のスルーホールを設けた:TUC−662、SY−1141、SY−1000−2、IT−158、IT−180及びNPG−150。TUC−662はTaiwan Union Technologyから入手し、SY−1141及びSY−1000−2はShengyiから入手した。IT−158及びIT−180はITEQ Corp.から入手し、NPG−150はNanYaから入手した。パネルのT
g値は140℃〜180℃の範囲であった。各パネルは5cm×12cmであった。
【0050】
75ppmパラジウムイオン/220ppmアラントイン触媒を調製した。室温にて、50g/Lの原液から4.4mLのアラントイン溶液をpH10にて900mLのDI水に溶解した。208mgのテトラクロロパラジウム酸ナトリウムを最小量のDI水に溶解し、前記アラントイン溶液に添加した。十分なDI水を撹拌下で溶液に加えて1リットルとした。触媒中のアラントイン対パラジウムイオンのモル比は2:1であった。非調節時のpHは3.4であった。
【0051】
各パネルのスルーホールを以下のように処理した:
1.各パネルのスルーホールを、CIRCUPOSIT(商標)MLBコンディショナー211溶液で、80℃にて7分間デスミアした;
2.続いて、各パネルのスルーホールを水道水の流水で4分間すすいだ;
3.続いて、スルーホールをCIRCUPOSIT(商標)MLBプロモーター3308過マンガン酸塩水溶液で80℃にて10分間処理した;
4.続いて、スルーホールを水道水の流水で4分間すすいだ;
5.続いて、スルーホールを3wt%硫酸/3wt%過酸化水素の中和剤で、室温にて2分間処理した;
6.続いて、各パネルのスルーホールを水道水の流水で4分間すすいだ;
7.続いて、各パネルのスルーホールをCIRCUPOSIT(商標)コンディショナー3325アルカリ溶液で50℃にて5分間処理した;
8.続いて、スルーホールを水道水の流水で4分間すすいだ;
9.続いて、パネルのうち6枚については2分間、残りの6枚については1分間、スルーホールをPREPOST(商標)748エッチング液で室温にて処理した;
10.続いて、各パネルのスルーホールをDI水の流水で4分間すすいだ;
11.続いて、2分間エッチングしたパネルのスルーホールをCATAPREP(商標)404プレディップ溶液に室温で1分間浸漬した後、このパネルを75ppmのパラジウム金属を過剰なスズと共に有する従来のパラジウム/スズ触媒に40℃で5分間浸漬した;一方で、1分間エッチングしたパネルは上記パラジウムイオン/アラントイン触媒に40℃で5分間浸漬した;
12.続いて、パラジウムイオンとアラントインとを含有する触媒で処理したパネルを、0.25M次亜リン酸ナトリウム還元剤溶液に50℃で1分間浸漬してパラジウムイオンを金属パラジウムへと還元した;
13.続いて、全てのパネルをDI水の流水で4分間すすいだ;
14.続いて、パネルをCIRCUPOSIT(商標)880無電解銅めっき浴に40℃、pH13で浸漬し、銅をスルーホールの壁上に15分間付着した;
15.続いて、銅めっきしたパネルを冷水で4分間すすいだ;
16.続いて、銅めっきした各パネルを圧縮空気で乾燥した;
17.パネルのスルーホールの壁の銅めっき被覆率を、下記のバックライトプロセスを用いて試験した。
【0052】
各パネルを、スルーホールの中心のできるだけ近くで垂直に切断して銅めっきされた壁を露出した。スルーホール壁被覆率を測定するため、各パネルのスルーホールの中心から3mm以下の厚さで断面切片を採取した。欧州バックライト評価基準(European Backlight Grading Scale)を用いた。各パネルから得た断面切片を倍率50Xの従来の光学顕微鏡下に、光源を試料の後方にして置いた。銅付着の品質は、試料中を透過して顕微鏡下で観察できる光の量によって決定した。透過光は、めっきスルーホールの無電解被覆が不完全な領域でのみ観察できた。光が透過せず、切片が完全に黒に見える場合、バックライト基準でスルーホールの完全な銅被覆を示す5点と評価した。光が切片全体を透過し、暗い領域がない場合、これは壁上に銅金属付着がほとんど〜全くないことを示し、切片を0点と評価した。切片が多少の暗い領域と明るい領域を有する場合、その切片は0〜5点の間と評価した。各基板について少なくとも10のスルーホールを検査し、評価した。
【0053】
図1は、めっきした6種類のパネルのそれぞれについて、両方の触媒のバックライト性能を示す評価点分布グラフである。グラフのプロットは、各基板の10のスルーホール切片のバックライト評価点の95%信頼区間を示す。各プロットの中央を通る水平線は、測定した10のスルーホール切片の各群について平均バックライト値を示す。パラジウム/アラントイン触媒は従来のパラジウム/スズコロイド触媒と実質的に同じ性能を示し、バックライト値は4.5を超えた。4.5以上のバックライト値は、めっき産業において商業的に許容できる触媒であることを示す。
【0054】
実施例4
触媒溶液が75ppmのパラジウムイオン及び180ppmのジメチルヒダントインを含有することを除いて、同じパネルを用いて実施例3の方法を繰り返した。360mgのジメチルヒダントインを1900mLのDI水に溶解し、溶液のpHを1M水酸化ナトリウムで10.2に調節した。375mgの硝酸パラジウム水和物を最小量のDI水に溶解し、錯化剤を含有する溶液に添加した。続いて、溶液を室温下で30分間撹拌しながら、2リットルに希釈した。最終溶液のpHは8.5であった。錯化剤対パラジウムイオンのモル比は2:1であった。
【0055】
各パネルのスルーホールを以下のように処理した:
1.各パネルのスルーホールを、CIRCUPOSIT(商標)MLBコンディショナー211溶液で、80℃にて7分間デスミアした;
2.続いて、各パネルのスルーホールを水道水の流水で4分間すすいだ;
3.続いて、スルーホールをCIRCUPOSIT(商標)MLBプロモーター3308過マンガン酸塩水溶液で80℃にて10分間処理した;
4.続いて、スルーホールを水道水の流水で4分間すすいだ;
5.続いて、スルーホールを3wt%硫酸/3wt%過酸化水素の中和剤で、室温にて2分間処理した;
6.続いて、各パネルのスルーホールを水道水の流水で4分間すすいだ;
7.続いて、各パネルのスルーホールをCIRCUPOSIT(商標)コンディショナー3325アルカリ溶液で50℃にて5分間処理した;
8.続いて、スルーホールを水道水の流水で4分間すすいだ;
9.続いて、スルーホールを1%硫酸及び75g/L過硫酸ナトリウムエッチング液で室温にて2分間処理した;
10.続いて、各パネルのスルーホールをDI水の流水で4分間すすいだ;
11.続いて、パネルの1/2のスルーホールをCATAPREP(商標)404プレディップ溶液に室温で1分間浸漬した後、このパネルを75ppmのパラジウム金属を過剰なスズと共に有する従来のパラジウム/スズ触媒溶液に40℃で5分間浸漬した;一方で、残りの1/2のパネルを、上記パラジウムイオン/ジメチルヒダントイン触媒に40℃で5分間浸漬した;
12.続いて、パラジウムイオンとジメチルヒダントインとを含有する触媒で処理したパネルを、0.25M次亜リン酸ナトリウム還元剤溶液に50℃で1分間浸漬してパラジウムイオンを金属パラジウムへと還元した;
13.続いて、パラジウム/スズ触媒で触媒されたパネルをDI水の流水で4分間すすぎ、パラジウム/ジメチルヒダントイン触媒で触媒されたパネルを30秒間すすいだ;
14.続いて、パネルをCIRCUPOSIT(商標)880無電解銅めっき浴に38℃及びpH13で浸漬し、スルーホールの壁上に銅を15分間付着した;
15.続いて、銅めっきしたパネルを冷水で4分間すすいだ;
16.続いて、銅めっきした各パネルを圧縮空気で乾燥した;
17.パネルのスルーホールの壁の銅めっき被覆率を、上記実施例3に記載のバックライトプロセスを用いて試験した。
【0056】
図2は、めっきした6種類のパネルのそれぞれについて、両方の触媒のバックライト性能を示す評価点分布グラフである。グラフのプロットは、各基板の10のスルーホール切片のバックライト評価点の95%信頼区間を示す。各プロットの中央を通る水平線は、測定した10のスルーホール切片の各群について平均バックライト値を示す。パラジウム/ジメチルヒダントイン触媒は従来のパラジウム/スズコロイド触媒ほどの性能を示さなかったが、パラジウム/ジメチルヒダントイン触媒のバックライト値は商業目的で許容できる4.5を超えた。
【0057】
実施例5
触媒溶液が75ppmのパラジウムイオン及び140ppmのスクシンイミドを含有することを除いて、同じパネルを用いて実施例3の方法を繰り返した。0.24gのスクシンイミドを400mLのDI水に溶解した。溶液を、1M水酸化ナトリウムでpH10.5に調節した。375mgの硝酸パラジウム水和物を最小量のDI水に溶解し、スクシンイミド溶液に添加した。続いて、このパラジウムイオンとスクシンイミドの溶液を、1gのクエン酸三ナトリウムカリウムと3.8gの四ホウ酸ナトリウム十水和物とを含有する1リットルの溶液に添加した。この溶液を室温で30分間撹拌した。錯化剤対パラジウムイオンのモル比は2:1であり、溶液のpHは9であった。
【0058】
各パネルのスルーホールを以下のように処理した:
1.各パネルのスルーホールを、CIRCUPOSIT(商標)MLBコンディショナー211溶液で、80℃にて7分間デスミアした;
2.続いて、各パネルのスルーホールを水道水の流水で4分間すすいだ;
3.続いて、スルーホールをCIRCUPOSIT(商標)MLBプロモーター3308過マンガン酸塩水溶液で80℃にて10分間処理した;
4.続いて、スルーホールを水道水の流水で4分間すすいだ;
5.続いて、スルーホールを3wt%硫酸/3wt%過酸化水素の中和剤で、室温にて2分間処理した;
6.続いて、各パネルのスルーホールを水道水の流水で4分間すすいだ;
7.続いて、各パネルのスルーホールをCIRCUPOSIT(商標)コンディショナー3325アルカリ溶液で50℃にて5分間処理した;
8.続いて、スルーホールを水道水の流水で4分間すすいだ;
9.続いて、スルーホールを1%硫酸及び75g/L過硫酸ナトリウムエッチング液で室温にて2分間処理した;
10.続いて、各パネルのスルーホールをDI水の流水で4分間すすいだ;
11.続いて、パネルの1/2のスルーホールをCATAPREP(商標)404プレディップ溶液に室温で1分間浸漬した後、このパネルを75ppmのパラジウムを過剰なスズと共に有する従来のパラジウム/スズ触媒の溶液に40℃で5分間浸漬した;一方で、残りの1/2のパネルを、最初に0.5g/Lクエン酸三ナトリウムを含有するプレディップに室温で1分間浸漬し、続いてパラジウムイオン/スクシンイミド触媒に40℃で5分間浸漬した;
12.続いて、パラジウムイオンとスクシンイミドとを含有する触媒で処理したパネルを、0.25M次亜リン酸ナトリウム還元剤溶液に50℃で1分間浸漬してパラジウムイオンを金属パラジウムへと還元した;
13.続いて、パラジウム/スズ触媒で触媒されたパネルをDI水の流水で4分間すすぎ、パラジウム/スクシンイミド触媒で触媒されたパネルを30秒間すすいだ;
14.続いて、パネルをCIRCUPOSIT(商標)880無電解銅めっき浴に38℃及びpH13で浸漬し、スルーホールの壁上に銅を15分間付着した;
15.続いて、銅めっきしたパネルを冷水で4分間すすいだ;
16.続いて、銅めっきした各パネルを圧縮空気で乾燥した;
17.パネルのスルーホールの壁の銅めっき被覆率を、上記実施例3に記載のバックライトプロセスを用いて試験した。
【0059】
図3は、めっきした6種類のパネルのそれぞれについて、両方の触媒のバックライト性能を示す評価点分布グラフである。グラフのプロットは、各基板の10のスルーホール切片のバックライト評価点の95%信頼区間を示す。各プロットの中央を通る水平線は、測定した10のスルーホール切片の各群について平均バックライト値を示す。パラジウム/スクシンイミド触媒は従来のパラジウム/スズコロイド触媒ほどの性能を示さなかったが、パラジウム/スクシンイミド触媒のバックライト値は商業目的で許容できる4.5を超えた。
【0060】
実施例6
銀イオン及び5,5−ジメチルヒダントイン触媒を用いて6枚のパネルを活性化することを除いて、実施例4の方法を繰り返した。150ppmの酢酸銀由来の銀及び208ppmのヒダントインが触媒に包含される。触媒は、実施例4に記載のプロセスと実質的に同じプロセスによって調製する。ヒダントイン対銀イオンのモル比は1.5:1である。手順及びパラメータは上記の実施例3と実質的に同じである。バックライトの結果は、パラジウム及び5,5ジメチルヒダントイン触媒に関する
図2で示した結果と実質的に同じであると予想される。
【0061】
実施例7
金イオン及びスクシンイミド並びに白金及びスクシンイミドを用いて触媒を作製したことを除き、実施例5の方法を繰り返す。金イオンは、塩化金カリウムから提供され、白金イオンは四塩化白金酸カリウムから提供される。触媒は、実施例5に記載の方法と実質的に同じ方法によって調製する。金/スクシンイミド触媒は60ppmの金イオン及び60ppmのスクシンイミドを含有する。白金/スクシンイミド触媒は80ppmの白金イオン及び82ppmのスクシンイミドを含有する。スクシンイミド対金属イオンのモル比は2:1である。手順及びパラメータは、上記の実施例5と実質的に同じである。バックライトの結果は、
図3で示したバックライト値が4.5以上であったパラジウム/スクシンイミド触媒に関する結果と実質的に同じであると予想される。
【0062】
実施例8
銅及びアラントイン、コバルト及び5,5−ジメチルヒダントイン、並びにニッケル及びスクシンイミドのイオン性触媒を調製することを除き、実施例3の方法を繰り返す。触媒の調製方法は、実施例1と実質的に同じである。銅イオン/アラントイン触媒は、100ppmの硫酸銅五水和物由来の銅イオン及び498ppmのアラントインを含有する。コバルトイオン/5,5−ジメチルヒダントイン触媒は、110ppmの酢酸コバルト由来のコバルトイオン及び477ppmの5,5−ジメチルヒダントインを含有し、ニッケルスクシンイミドのイオン性触媒は120ppmの塩化ニッケル由来のニッケルイオン及び403ppmのスクシンイミドを含有する。錯化剤対金属イオンのモル比は2:1である。手順及びパラメータは、上記の実施例3と実質的に同じである。バックライト値は4.5以上であると予想される。